- 試験の傾向が前年度と変わったというコメントをいただいたりしていますが、年によってばらつきは当然あります。しかし、傾向的には変わっていません。
- 今の試験の原型である平成21年度からの微妙な難易度の変化の歴史を簡単にまとめてみました。また、相談員試験自体の歴史もまとめてみました。
勉強部屋の始まり
- 私が受験したのは平成22年度試験で、月刊国民生活に掲載されている21年度試験の過去問を受験のために勉強しました。訳分からない問題ばかりで苦労しました。消費生活センターの行政職員でしたが、個人的に受験したので2次免除ではなく、ひそ勉でした。
- 平成22年度試験を受験して合格しましたが、あまりにも勉強不足を感じたので、自分自身の復習のために、受験した問題がなぜそのような答になるのかを再学習するために勉強しようと考えました。それなら、ホームページで公開したほうがモチベーションも上がるし、新たな受験生の役に立つかもしれないと考えたのが勉強部屋の始まりでした。
- 当時は現職の公務員でしたので、匿名かつ無料で勉強部屋を管理・運営していました。それが3年続き、4年目に独立して有料会員制にしました。
- 23年度試験からは、試験問題が公表されたら、私自身も模擬試験のつもりでチャレンジしました。本当に、2時間30分かかることもあるので、ぐったりした覚えがあります。いちおう、毎年、合格ラインは超えています。
- もしかすると、相談員試験をここまでやりこんでいる人はいないのではと思うぐらいです、毎年、受験しているようなものなので、傾向や難易度などがある程度分かります。みなさまも活用しておられるとおり、相談員試験の基本的な情報を勉強部屋で公開しています。
平成3年度(1991年度)に消費生活専門相談員資格認定制度が発足
【平成6年の全国消費生活相談員協会作成試験問題集から抜粋引用】
経済社会の著しい変化に伴って、消費者問題は複雑化、高度化、多様化の一途をたどり、相談に当たる担当者の能力、資質の向上とともに、その信頼性と社会的地位を高めることが必要になってきました。
そのため、平成2年度の消費者保護会議で「消費生活相談員の能力、資質の向上を図るため、相談業務に関わる公的資格制度を創設する」ことが決定され、平成3年度から消費生活専門相談員資格認定制度が発足しました。
この資格は、国民生活センターが実施する試験に合格し、実務実習を修了したものに与えたれるもので、平成5年10月現在、939名が資格を取得し、専門職として活躍しています。
※第1回~第3回の試験問題を持っていますが、今とはずいぶん違いますね。機会があれば、どんな問題だったか紹介します。
平成14年度(2002年度)からマークシート方式に
- 択一試験は、正誤問題(単純○×選択)と穴埋問題
- 問題数は250問前後
- 試験時間は2時間30分
- 問題の難易度自体は、そんなに変わっていないが、正誤問題が単純○×選択なので、今の×選択問題に比べれば、そんなに難しくない。
- 論文問題も同じような感じ。
- 国民生活センターが各地で主催する消費生活専門相談員養成講座の最後に試験があり、合格すると、本番の一次試験の択一式及び○×式筆記試験が免除になり、論文試験だけを受験することになっていました。
平成21年度
- 平成21年(2009年)9月1日に消費者庁が創設されました。
- 平成20年度までの養成講座に対する免除制度がなくなり、平成21年度からは制度が変更されました。
- おそらく、消費者庁が創設され、消費者安全法で資格の位置づけがされ、一般受験者の増加ともあわせて公平性をたもつために免除がなくなったのではないかと思います。ただし、現職の2次試験の免除制度はあり。二次試験の面接は現職の相談員などは免除になっています。当然、相談員になれるかどうかを面接するので、すでに相談員の場合は必要がありませんので、全体的には特に影響はありません。
- また、前年度の一次試験に合格して、二次試験に不合格であったり、二次試験を欠席した場合は、一次試験は免除となります。
- 今の相談員試験の原型はここから始まったともいえます。
- 一気に難化しました。
- 正誤問題が、単純な○×ではなく、×の場合はどの箇所(3-4箇所の下線から選択)が間違っているのかも答える方式になり、難易度が一気に高くなりました。すなわち、○×問題の当てずっぽうが不可能になりました。また、同一の大問で、すべて○にすると0点になるペナルティもあります。
- この「正誤×選択」問題が相談員試験の合否を左右することになり、相談員試験の難しいところです。
- そして、この×がなぜ×になるのか分からないのが過去問対策の大きなハードルで時間が無限に必要かと思うところです。
- 試験問題は250個で2時間半という時間だったので、全く時間が足りません。この時間の足りなさが難化の大きな要因の一つです。
- いきなりう傾向が変わったこの年に合格された方はすばらしいです。
受験データ
・申込者数 1,563人
・欠席者数 240人
・実受験者数 1,323人
・合格者数 354人
・合格率 26.8%
平成22年度
- 前年と同じ傾向でした
- 私が受験した年です
- 私は試験に解答するのが速いですが、時間がぎりぎりでした
受験データ
・申込者数 1,580人
・欠席者数 229人
・実受験者数 1,351人
・合格者数 359人
・合格率 26.6%
平成23年度
- なんと、試験問題が250個から200個に減少しました。
- 時間は2時間30分で同じでしたので楽になりそうですが、それでも時間が足らない受験生が多かったです。
- 事例問題がなくなりました。事例問題は具体的な相談事例を問題にして、どう対応するのかということを選択解答するものです。2問程度ありました。結構、長文だったのでしんどかったかもしれませんが、面白い問題だと思いました。
受験データ(勉強部屋調べ 合格ラインは125点以上/200点満点中)
・申込者数 1,137人
・欠席者数 157人
・実受験者数 980人
・合格者数 249人
・合格率 25.4%
平成24年度
- 平成23年度と同じ傾向でした。
- 沖縄会場が台風により延期となりましたので、この年だけ沖縄問題というのがありました。結構、本試験と似たような問題も出題されたりしましたが、本試験よりも易しかったという印象です。私も解答する時間が本試験よりもかなり短く済んだような感じでした。
受験データ(勉強部屋調べ 合格ラインは126点以上/200点満点中)
・申込者数 1,158人
・欠席者数 156人
・実受験者数 1,002人
・合格者数 275人
・合格率 27.4%
平成25年度
- 特に傾向に変化はありませんでした。
受験データ(勉強部屋調べ 合格ラインは127点以上/200点満点中)
・申込者数 902人
・欠席者数 113人
・実受験者数 789人
・合格者数 200人
・合格率 25.3%
平成26年度
- 正誤問題と穴埋問題の出題比率が全く逆転するという異変がありました。
- ○×問題は穴埋め問題よりも難しいです。
これまでは、○×問題は穴埋め問題よりも多く出題され、1.5倍ぐらいの数でした。たとえば25年度だと、130問と70問。それが、26年度(直近の試験)では、60問と140問と大幅な逆転現象となり、難易度が下がりました。
なぜ、こうなったかは分かりませんが、私の勝手な考えでは、試験制度が変わる前に何とか現職無資格相談員に合格してもらいたいというのがあったのかもしれません。 - 勉強する内容は同じでいいのですが、穴埋問題のほうが正誤問題より易しいので、全体的に難易度が下がりました。時間的にも余裕を持てた方も多かったと思います。
- しかし、当然ながら、結果として高得点が続出しました。
- みなさん高得点だったので、合格ラインが上がりました。試験の合格ラインは公表されていませんが、これまでの強部屋受験者からの報告で、おおむね126点前後がボーダーとして推測されていました。資格試験なので、大きくこのラインを変えることはないので合格者数も増えるのかと思ってたら、とんでもないことがおこりました。
- 勉強部屋調べで約10点上昇し、7割の正解が必要になりました。なんだか、平成28年度試験と似たような感じですね。
- 一方、メインの法律である、民法、消費者契約法、特商法、割販法は、これまでと同じ「正誤×選択」でしたので高得点は難しいです。
- 穴埋め問題は対になっていることが多く、片方を間違うともう片方は必ず間違うということもおきます。
最終的に、合格するべき人は合格し、ぎりぎりの人は、運次第となりました。
基本的な知識がないと逆にしんどいかなと思ったりしました。
難易度がそこそこ高かったほうが、きちんと勉強している人が報われると思います。
今回の試験はちょっと疑問符です(翌年度の試験は元に戻りました)。
受験データ(勉強部屋調べ 合格ラインは140点以上/200点満点中)
・申込者数 845人
・欠席者数 111人
・実受験者数 734人
・合格者数 210人
・合格率 28.6%
平成27年度
- 26年度試験の難易度が下がったとしても、それは例外であり、また元に戻す可能性が高いので、25年度試験までの勉強方法と対策をするように呼びかけました。
- 予想通り、穴埋め問題は減り、これまでどおりの形式となりました。26年度の過去問しか対策していない受験生は、試験時間が足りなくなったかもしれません。私も自分でやってみて時間一杯かかりました。それに伴い、合格ラインも10点ほど下がりましたが、易しかった26年度を除いて、これまでで一番高いラインになっています。ちなみに120点台後半から毎年1点づつぐらい上昇して、27年度には130点台にのりました。26年度対策に加えて、25年度までの試験対策をしていれば、あわてずに対応できたと思います。
- 一部には、出題傾向が変わったと考えた受験生もおられましたが、そうではないことが分かると思います。
- ちなみに、単独の消費生活専門専門相談員資格試験としての最後の試験でした。
- もともとは民主党政権下の事業仕訳で国センが消滅し、資格もなくなり、その状況下で新試験制度が議論されていました。国センが存続することになり、当初の思惑とは異なる方向に行ってしまいましたが、基本的にはこれまでと同じように残ることになりました。
受験データ(勉強部屋調べ 合格ラインは130点もしくは131点以上/200点満点中)
・申込者数 909人
・欠席者数 122人
・実受験者数 787人
・合格者数 187人
・合格率 23.8%
平成28年度
- 新しい試験制度の下での初めての試験でした。
- 試験内容について細かく規定され、これまでとは全く異なる難易度の高い試験になるのではないかと思っていましたが、結果的には、これまでと同じ試験内容で、「新しい資格って何?」というおかしな制度となりました。
- しかも、単独の試験ではなく消費生活専門相談員試験に合格すれば、新資格がついてくるという制度です。
- 消費生活専門相談員の試験内容も、これまでの試験を踏襲することも事前に公表されました。
- 実際の試験は、ガイドラインに従い、単純正誤問題の復活や5肢2択のパターンが増えました(あまり影響なし)。問題数が200問から180問に減少しました。問題分野がまとまっておらず、多少ばらけているようなパターンも見られました。コアとなる法律問題の出題数や解答パターンも少し変わりました。このことから、例年にくらべて少し易しくなったように感じました。ただし、現職有資格相談員が大量に受験したため、当然ながら高得点者続出で、合格ラインも高く、勉強部屋調べでは7割の正解が必要ということになりました。合格率も跳ね上がっています。
- それでは、一般受験者の合格率が高かったというと、個人的には、そうではなく例年どおりだったと考えています。平成26年度試験のように、「少し易しかった+現職有資格相談員が平均点を上げた」ことで、例年並み、もしくは、逆に厳しかった可能性もあります。
- 論文試験は基本的に行政問題と法律問題の2つが出題されるのですが、現職であれば無難に行政問題を選択します。しかし、今回は法律問題を選択した現職相談員の不合格が目立ちました。
- 最近の法律問題は純粋な法律問題ではなく、行政問題的な視点が入った法律問題が出題されています。行政的な視点というのは、実際の相談事例を想定して、どのような法律を使って解決していくかという視点です。現職相談員で不合格だった原因は、現場を知っているだけに行政的な視点を出しすぎて、法律的な視点がおろそかになってしまったのではないかというのが私の見方です。それよりも、相談現場を知らない一般受験生には厳しい問題でした。
受験データ(勉強部屋調べ 合格ラインは126点以上/180点満点中 7割以上)
・申込者数 1,714人
・欠席者数 164人
・実受験者数 1,550人
・合格者数 735人
・合格率 47.4%
詳細
第1次試験の結果
・受験申込者数 1,714 名
・第1次試験の受験者数 1,550 名
・合格者数(合格率) 738 名(47.6%)
第2次試験の結果
・第2次試験の実受験者数 233 名
・第2次試験の合格者数(合格率) 231 名(99.1%)
最終結果
・最終合格者数(合格率) 735 名(47.4%)
最終合格者の内訳
・「消費生活専門相談員資格」保有者の再受験合格者数 432名
・新たに「消費生活専門相談員資格」を取得した者 303名
累計認定者数 6,132名
一般受験者の合格率の推測 230人/750人(約25%)※25~28%で例年通りの合格率=7割正解は厳しい
- 1次合格者738名-(2次免除者+2次欠席者)=2次実受験者233名
- 1次合格者738名-最終合格者735名=3名-2次不合格者2名=1名=1次合格だけど2次欠席者数
- 1次合格者738名-(2次実受験者233名+2次欠席者数1名)=738名-234名=504名=2次免除者
- 2次免除者=現職相談員+実務経歴ありの元相談員+旧3資格保有者の指定講習会受講済者=ほぼ現職相談員とみなすと
- 約500人が2次免除者=ほぼ現職相談員
- 2次免除者数500人-再受験合格者432人=約70人=無資格現職相談員合格者数
- 新たな合格者数303人-無資格現職相談員合格者数約70人=約230人=一般受験者合格者数
- 実受験者数1550人-1次合格者738名=812名=1次不合格者数
- 現職相談員の不合格者数を100名とすると、一般受験者の不合格者数は700人(推測)
- 一般受験者数=不合格者700人+合格者230人=930人
- 230人/930人=約25%
- 現職相談員の不合格者数を200人としても。230/830=28%
平成29年度 管理人の想像
- 引き続き、現職有資格相談員が受験してくるので、合格率、平均点、ともに上がってくると思います。まあ、28年度ほどではないと思います。
- 合格ラインは6割と要項に明記している以上、7割にするのはやりすぎだと思います。せいぜい、これまでどおり6.5割がいいところでしょう。
- 今回は平成25年度試験のような現象が起こったと考えていますので、難易度を上げてくると思います。そして、合格ラインが高くても6.5割にするような問題になるのではないかと。
- そうすると、難易度を上げるために、出題数を増やすのか、メインの法律問題で正誤×選択を増やしてくるのかは分かりませんが、これまでどおりの試験対策をすれば対応できると思っています。
1次択一試験の合格基準が28年度の60%から29年度は65%に変更
- 4月に試験要項が公表されましたが、合格ラインは60%から65%に変更されていました。あやうく見逃すところでした。
- つまり、65%から70%までの許容範囲が想定されます。現職有資格相談員の受験者が減り、一般受験生の比率が高くなると、平均点が下がると思われます。