30年度 問題1④~⑥ 消費者行政と関連法(正誤○×)その3(一般公開中)

1. 次の各文章が、正しければ○、誤っていれば×を解答用紙の解答欄に記入 (マーク)しなさい。

④ 消費者庁は、実証に基づいた政策の分析・研究をベースとした消費者行政の発展・創造の場として、新たな観点からの取組を集中的に実施する拠点となる「消費者行政新未来創造オフィス」を徳島県に開設した。

⑤ 消費者庁は、消費者基本計画を踏まえ、どこに住んでいても質の高い相談・救済を受けられ、安全・安心が確保される地域体制を全国的に整備するため、「地方消費者行政強化作戦」を定めている。

⑥ 2017(平成29)年10 月、特定適格消費者団体が消費者被害の回復のための民事の裁判手続の中で、仮差押命令を申し立てる際に担保金を手当てすることが困難な場合に備え、国民生活センターがそれを援助する制度が新設された。

問題1④ 消費者行政新未来創造オフィス(徳島県)AB ※トピックス

④ 消費者庁は、実証に基づいた政策の分析・研究をベースとした消費者行政の発展・創造の場として、新たな観点からの取組を集中的に実施する拠点となる「消費者行政新未来創造オフィス」を徳島県に開設した。

東京一極に集中する省庁を地方へ移転させようという課題の中で、消費者庁を徳島県に移転するという案が出てきました。そのために、平成28年3月から試行的に業務を実施していました。その結果、平成29年7月24日に徳島にオフィスを設置して、3年後をめどに移転の可否について検証をすることになりました。

この問題は、消費者行政にかかわるならトピックスとして知っておけよ、という問題ですね。消費者庁のホームページに、そのまま書かれています。「消費者行政新未来創造オフィス」を違う名前にしたり、徳島県をほかの県名にしたりという意地悪はしないと信じたい研修問題ですね。新たな研修的な論点の問題は「正解」であることが多いです。

したがって、問題1④は〇(正しい文章)です。この問題は国の意地の重要トピックなので正解したいところです。

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消費者行政新未来創造オフィスについて

平成29年7月24日に「消費者行政新未来創造オフィス」を開設いたしました。
同オフィスは実証に基づいた政策の分析・研究をベースとした消費者行政の発展・創造の場として位置付けられ、理論的・先進的な調査・研究や全国展開を見据えたモデルプロジェクトなど、新たな観点からの取組を集中的に実施する拠点となります

https://www.caa.go.jp/future/about/office/

今後、再度出題されるときの追加試験対策ポイントとしては、このオフィスは消費者庁だけでなく、国民生活センターも事務所を置いたということです。国民生活センターのホームページに具体的な業務が紹介されています。

国民生活センターホームページ:トップページ > 国民生活センターについて > 国民生活センターの紹介 > 消費者行政新未来創造オフィスについて

消費者行政新未来創造オフィスについて
国民生活センターでは、平成29年7月24日に開設された消費者行政新未来創造オフィスに参加しています。

消費者行政新未来創造オフィスの業務
まちひとしごと創生本部決定においては、以下の業務を実施することとされています。
主として関西、中国・四国地域の対象者を中心とした研修や、徳島独自の研修の実施
徳島県周辺も含めた大学、医療機関、研究施設等を活用しつつ、徳島県の協力を得ながら徳島県を実証フィールドとした、相模原事務所では実施できなかった先駆的な商品テストのプロジェクトを実施

https://www.caa.go.jp/future/about/office/

個人的には、消費者庁が徳島県に移転したり、国民生活センターがついて行ったりとかは無理やり感があるように思います。先駆的な商品テストのプロジェクトといっても、商品テスト業務はジリ貧ですので、確かに大学研究機関との連携はできそうですが、後付け理由のような気がします。最終的には全面移転にはならずサテライトオフィスという形で残るのではないでしょうか。ほかに、首都圏に大規模な災害があって行政機能が長期間にわたって機能しなくなる時に活用できるなど。とは言っても、徳島も東南海・南海トラフ地震などの被害に遭う可能性もありますよね。

オフィス設置までの時系列

  • 平成28年3月と7月に移転試行
  • 平成28年に「平成29年からオフィスを開設するが3年をめどに結論を先送りする」ことを発表
  • 平成29年7月にオフィス開設・国民生活センターも参加

もともとこの話が出てきたのは2016年(平成28年)で、新聞報道もされました。平成28年といえば新試験制度の1年目です。私も有資格者再受験組として受験しましたが、2次面接試験で消費者庁の徳島移転についてどう思いますか?と聞かれました。そのときの面接体験記にも書いてますが、理論立てて課題を指摘し少しネガティブな意見を言いました(本来はネガティブはだめですが、私は自信をもってネガティブにしました)。

具体的なプロジェクト(成果が報告されているのでどんなプロジェクトをしてるのかを確認)

消費者庁ホーム > 消費者行政新未来創造オフィス > プロジェクトについて

プロジェクトについて
消費者行政新未来創造オフィスの取組について[PDF:1.6MB]

若年者向け消費者教育の取組について
消費者安全確保地域協議会(見守りネットワーク)の構築
「倫理的消費(エシカル消費)」普及・啓発活動
食品ロスの削減
子どもの事故防止に関する取組について
栄養成分表示等の活用に向けた消費者教育
消費者志向経営の推進について
食品のリスクコミュニケーション
行動経済学等を活用した消費行動等の分析・研究
障がい者の消費行動と消費者トラブルに関する調査
若者の消費者被害の心理的要因からの分析に係る検討会

https://www.caa.go.jp/future/project/

【WEBニッポン消費者新聞】「徳島オフィス」実証事業の成果 各地で活用へ (2019/2/13)

問題1⑤ 地方消費者行政強化作戦  AB ※平成28年度開始の重要消費者施策

⑤ 消費者庁は、消費者基本計画を踏まえ、どこに住んでいても質の高い相談・救済を受けられ、安全・安心が確保される地域体制を全国的に整備するため、「地方消費者行政強化作戦」を定めている。

地方消費者行政強化作戦については、28年度試験直前対策で公開記事を書きました。平成27年度試験に出題されています。
「地方消費者行政強化作戦」について一度でも見たことがあれば、問題文には特に違和感がないので素直に正解にすればいいです。

ということで、消費者庁のホームページに「地方消費者行政強化作戦」のページがあり、問題文と同じ内容です。

したがって、問題1⑤は〇(正しい文章)です。相談員試験を受けるのであれば正解したいところです。

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地方消費者行政の支援に関する業務

地方消費者行政強化作戦

消費者基本計画(平成27年3月24日閣議決定)を踏まえ、どこに住んでいても質の高い相談・救済を受けられ、安全・安心が確保される地域体制を全国的に整備することを目指して、「地方消費者行政強化作戦」を定めることとしました。
消費者庁としては、地方消費者行政強化作戦を推進するため、地方消費者行政のための交付金を通じ、地方公共団体における消費者行政推進のための計画的・安定的な取組を支援してまいります。
地方消費者行政強化作戦についてはこちらをご覧ください[PDF:65KB](平成27年3月)
地方消費者行政強化作戦の達成状況はこちらをご覧ください[PDF:995KB](平成30年10月)

https://www.caa.go.jp/policies/policy/local_cooperation/local_consumer_administration/

地方消費者行政強化作戦 平成27年3月 消費者庁

地方消費者行政強化作戦 平成27年3月 消費者庁

趣旨
消費者基本計画(平成27年3月24日閣議決定)を踏まえ、どこに住んでいても質の高い相談・救済を受けられ、安全・安心が確保される地域体制を全国的に整備

・地方消費者行政のための交付金を通じ、地方における計画的・安定的な取組を支援
・地方の自主性・独自性を確保しつつ、交付金を通じた当面の政策目標を設定

当面の政策目標
●都道府県ごとに以下の目標を達成することを目指し、地方公共団体の取組を支援
<政策目標1>相談体制の空白地域の解消
1-1 相談窓口未設置の自治体(市町村)を解消
<政策目標2>相談体制の質の向上
2-1 消費生活センターの設立促進
(人口5万人以上の全市町及び人口5万人未満の市町村の50%以上)
【消費生活相談員】
2-2 管内自治体(市区町村)の50%以上に配置
2-3 資格保有率を75%以上に引き上げ
2-4 研修参加率を100%に引き上げ(各年度)
<政策目標3>適格消費者団体の空白地域の解消
3-1 適格消費者団体が存在しない3ブロック(東北、北陸、四国)における適格消費者団体の設立支援
<政策目標4>消費者教育の推進
4-1 消費者教育推進計画の策定、消費者教育推進地域協議会の設置(全都道府県・政令市)
<政策目標5>「見守りネットワーク」の構築
5-1 消費者安全確保地域協議会の設置(人口5万人以上の全市町)

地方消費者行政強化作戦についてはこちらをご覧ください[PDF:65KB](平成27年3月)

時間があれば、達成状況をチェックしてください

類似過去問

【平成27年度試験 問題2⑧ 正誤×選択】
⑧ 消費者庁は、平成27年3月の消費者基本計画の閣議決定を踏まえ、地方消費者行政強化作戦を行うこととして、㋐相談体制の空白地域の解消、相談体制の質の向上、㋑適格消費者団体の空白地域の解消、消費者教育の推進、㋒「見守りネットワーク」の構築の5つの当面の政策目標を設定した。
(正答→すべて正解)

問題1⑥ 国民生活センター法の改正(消費者裁判手続特例法での担保金の援助)AB ※法律改正論点

⑥ 2017(平成29)年10 月、特定適格消費者団体が消費者被害の回復のための民事の裁判手続の中で、仮差押命令を申し立てる際に担保金を手当てすることが困難な場合に備え、国民生活センターがそれを援助する制度が新設された。

30年度試験対策の法律改正の出題ポイントでしたので、きちんと勉強していた受験生は正解できたと思います。

「消費者被害の回復のための民事の裁判手続」というのが「(通称)消費者裁判手続特例法」のことです。訴えを起こすには被害額に対する相当な金額を担保としなければなりません。しかし、特定適格消費者団体が一時的にせよ大金を用意することは難しいです。すると、制度の積極的な利用が阻害されるので、国民生活センターが担保金を貸し出すことができるように国民生活センター法が改正されました。ただし、国民生活センターも予算には余裕がないので、長期借入金ができるということも規定されました。

国民生活センター法

第10条 センターは、第3条の目的を達成するため、次に掲げる業務を行う。
(7) 特定適格消費者団体(消費者の財産的被害の集団的な回復のための民事の裁判手続の特例に関する法律(平成25年法律第96号)第2条第10号に規定する特定適格消費者団体をいう。)が行う同法第56条第1項の申立てに係る仮差押命令の担保を立てること。

(長期借入金)
第43条の2 センターは、第10条第7号に掲げる業務又はこれに附帯する業務に必要な費用に充てるため、内閣総理大臣の認可を受けて、長期借入金をすることができる。
2 センターは、毎事業年度、長期借入金の償還計画を立てて、内閣総理大臣の認可を受けなければならない。
3 内閣総理大臣は、前2項の規定による認可をしようとするときは、財務大臣に協議しなければならない。

したがって、問題1⑥は〇(正しい文章)です。法律改正への対策を準備していたら正解できたと思います。わからなくても、どちらかというと正解でしょう。知っておきなさいという研修問題ですね。

独立行政法人国民生活センター法等の一部を改正する法律(平成29年6月2日公布、平成29年10月1日施行)※試験対策の法律改正より抜粋

「等」とあるように独立行政法人国民生活センター法だけではなく、合わせて3つの関連する法律が改正されています。

○独立行政法人国民生活センター法(平成十四年法律第百二十三号)(第一条関係)
○消費者契約法(平成十二年法律第六十一号)(第二条関係)
○消費者の財産的被害の集団的な回復のための民事の裁判手続の特例に関する法律(平成二十五年法律第九十六号)(第三条関係)

背景・経緯

  • 消費者契約法改正(平成18年)…適格消費者団体による差止請求の制度を創設。
  • 消費者裁判手続特例法制定(平成25年)…特定適格消費者団体による被害回復の制度を創設。
    【附則第4条】政府は、特定適格消費者団体による被害回復関係業務の適正な遂行に必要な資金の確保、情報の提供その他の特定適格消費者団体に対する支援の在り方について、速やかに検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。
  • この改正で「資金の確保」と「支援の在り方」について必要な措置が講じられることになった

独立行政法人国民生活センター法

1.目的の追加

(センターの目的)
第三条 独立行政法人国民生活センター(以下「センター」という。)は、国民生活の安定及び向上に寄与するため、総合的見地から国民生活に関する情報の提供及び調査研究を行うとともに、重要消費者紛争について法による解決のための手続を実施し、及びその利用を容易にすることを目的とする。

重要消費者紛争について法による解決のための手続を実施することだけだったのに加えて、その利用を容易にすることが追加された。

2.業務の追加(10条第7項)

特定適格消費者団体の申立てに係る仮差押命令の担保を立てること。

3.借入金の規定

10条第7項の担保を立てるために必要な長期借入金ができるように規定(43条の2)

消費者裁判手続特例法

国民生活センターの担保を立てる業務について相互に連携協力する努力義務(新設)

(特定適格消費者団体等の責務)
第七十五条
4 特定適格消費者団体、独立行政法人国民生活センターその他の関係者は、独立行政法人国民生活センターが行う独立行政法人国民生活センター法(平成十四年法律第百二十三号)第十条第七号に掲げる業務が円滑かつ効果的に実施されるよう、相互に連携を図りながら協力するように努めなければならない。

【正答】
④→〇、⑤→〇、⑥→〇