30年度 問題2 消費者行政の歴史(景品表示法)(選択穴埋)その1(一般公開中)

2. 次の文章の[ ]に入る最も適切な語句を、下記の語群の中から1つ選び、解答用紙の解答欄にその番号を記入(マーク)しなさい。なお、同一記号には同一語句が入る。

① 景品表示法が制定される重要な契機となったのは、1960(昭和35)年に発生した[ ア ]であった。本件のような行為は、独占禁止法が禁止する不公正な取引方法の一類型である[ イ ]に該当するとして規制されることになった。
その後、より有効な規制を求める世論の高まりを受け、[ ア ]のような[ ウ ]については、当時一般消費者の利益を害するとして問題とされていた[ エ ]とともに、迅速な規制を可能とするため、1962(昭和37)年、独占禁止法の特例として景品表示法が制定されるに至った。

② 1971(昭和46)年当時、ジュースの表示について、景品表示法に基づき公正取引委員会の認定を受けた果汁飲料等の表示に関する[ オ ]では、果汁含有量が5%未満ないし無果汁の場合もその旨の表示をせずに、「合成着色飲料」等と表示すれば足りるとされていた。そこで、[ カ ]及びその代表が、公正取引委員会に対し不服申立てを行ったところ、公正取引委員会は不服申立ての資格なしとする審決を下した。その後、[ カ ]らが審決取消訴訟を提起したが、最高裁は、1978(昭和53)年、不服申立てには[ キ ]の侵害が必要であるところ、一般消費者が受ける利益は公益の保護の結果として生ずる反射的な利益ないし事実上の利益にすぎないとして、訴えを退けた。
一方、公正取引委員会においては、1973(昭和48)年、新たに、無果汁の清涼飲料水等の表示に関する[ ク ]を定め、5%未満ないし無果汁の場合でその旨の表示がない場合に[ ウ ]となることを明記し、現在の景品表示法に引き継がれている。その後、景品表示法の所管は、2009(平成21)年、公正取引委員会から[ ケ ]に移され、目的規定から[ コ ]の文言が削除された。

【語群】

1.有利誤認表示 2. 公正な競争 3. 過大な景品類提供 4. 主婦連合会 5. 不当な顧客誘引 6. ニセ牛缶事件 7. 一般消費者の自主的かつ合理的な選択 8. 競争者に対する不当な取引妨害 9. 不当な取引制限 10. 命令 11. 自由な競争 12. 法律上の利益 13. 公正競争規約 14. 不当な表示 15. カラーテレビ二重価格表示問題 16. 告示 17. 消費者庁 18. 公共の福祉 19. 全国地域婦人団体連絡協議会 20. 消費者委員会

解説

この問題でつまずいてペースを乱してしまった受験生がかなり多くいたようです。確かに、点数を稼ぐはずの穴埋め問題なのに。長文かつややこしい問題でしたので、時間をかけても正解にたどりつけるかわからないというのが正直なところです。直観的に、正解できなくてもよい捨て問題と判断した受験生もいたようです。

通常、5分ほどでクリアしたい穴埋め問題ですが、少なくとも10分は必要な手ごたえです。最近は全体の問題数が減ったので、結果的には15分程度かけても大丈夫な時間配分ですが、さすがに2問目で15分間の時間を使う受験生は少ないのではないでしょうか。私自身も模試では10分でとりあえず埋めて、いったん切り上げました。

コツとしては、私のように、穴埋め問題だが長文なので、10分程度の時間はかけてもいいと判断し、とりあえず答えを埋めておくことです。結局、見直しはしませんでしたが、結果的には10問中7問の正解でした。見直せば、間違いにも気づいてたと思います(時間は余りましたが、模試なので、見直す気にはなりませんでした)。

さて、難易度は全体として「難問」としますが、実は、消費者問題の歴史の解説の一番最初に書いている事柄なので誰しも一度は読んだことがあるという超基本知識と日本語解釈の技で6-7割は得点できる問題です。受験本番にそこまでの冷静さを持てるかどうかですので、このあたりは過去問で繰り返し取り組んで慣れておきましょう。そして、この問題をどのように解いていけば正答率があがるかというコツもお伝えします。

さらに、この問題を難しいものにしているのは、①と②が別の問題ではなく、同じ問題であるということです。したがって、①と②の両方をにらめっこしながら解答しなければならないということも解きにくい要因です。

難易度(A易、B普通、C難)目標:6問以上/10問中(★頻出☆重要実務)

①(ア~エ)景品表示法の誕生のきっかけ

ア A★
イ C
ウ B
エ BC

②(オ~コ)ジュースの表示

オ B
カ B
キ C
ク B
ケ A★
コ C

ポイント

消費者問題の歴史の中でも「景品表示法」が誕生するきかっけとなった「ビフォア」と「アフタ」の歴史になります。すなわち、「独占禁止法」の消費者対象の分野が「景品表違法」に分離されたということです。

「独占禁止法」といえば、企業への規制が思い浮かぶでしょう。すると、独占禁止法に出てくる言葉は企業向けのちょっと分かりにくい言葉が出てきています。それが、消費者向けの景品表示法になったことで、一般の消費者にも分かりやすい言葉になったということです。これをイメージすれば、ビフォア・アフタで使う言葉の違いで正解が予測できるのです。

語群を分類

穴埋問題は対になっている言葉から選択できることが多く、分類わけすれば正解にぐっと近づきますが、試験本番ではそこまでの時間がないので、印をつけながら分類していくことになりますので、語群が分かりにくくなります。試験対策としては、しっかり語群を分けて、関係性を理解しておけば、本番でも脳の中でうまく分類できるのではないかと思います。

語群分類のポイント

通常、2択のような対になっている。片方だけ選ぶ場合や、もう片方も別の空欄に入る場合もあり、そのときに失敗すると2個とも不正解になるという恐怖もあります。ただ、2択になっても明らかに正解ということが結構たくさんあります。

今回の問題では、うまく分類できない語群があることが混乱を招く原因になっています。しかも、長い語群が。いったん、語群を分類してみると、少しは整理できますので確認しましょう。なお、普通の穴埋めの語群は、ほぼすべてが分かりやすいように分類でき、意味がよくわからない語群はまずありません。

景品表示法の正式名称と3種類の不当表示

この2点は基本中の基本ですが、この基本を使うだけで正解率はぐんと跳ね上がります。

「景品表示法」の正式名称は「不当景品類及び不当表示防止法」です。
すなわち「不当景品類」と「不当表示」の2つの分野が対象となっているということです。

禁止されている不当表示は①優良誤認表示と②有利誤認表示というのは当然の知識ですが、3番目に③指定告示というのがあります。この指定告示というのは、その時代特有の不当な表示が①にも②にも分類されず、特別に内閣総理大臣に指定されたものとなっています。

現在は6指定告示となっています。たとえば、直近では老人ホームに関する表示で、高級な分譲老人ホームがブームになった時に、さまざまなケアがついていると広告しながら、実はそうではなかったというトラブルが多発して、特別に指定されたものとなりました。

このように指定告示は、その時代に起こった特別な不当表示をあらわしている鏡ですね。そして、その1番目の指定告示が②の問題になっているので、指定告示を少しでも見聞きしたことがあれば、正解できる問題になっています。

そういう意味では、この問題2は超基本事項が本筋として組み込まれており、その一番易しい基本事項さえ知っていれば、そこそこの点数が取れるという要素を持っています。そういう点で、知識量は同じでも、我慢して取り組めば点数になるし、我慢できなくなれば点数にならないという面白い問題かもしれません。

不当景品類及び不当表示防止法
(不当な表示の禁止)
第五条 事業者は、自己の供給する商品又は役務の取引について、次の各号のいずれかに該当する表示をしてはならない。
一 商品又は役務の品質、規格その他の内容について、一般消費者に対し、実際のものよりも著しく優良であると示し、又は事実に相違して当該事業者と同種若しくは類似の商品若しくは役務を供給している他の事業者に係るものよりも著しく優良であると示す表示であつて、不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあると認められるもの
二 商品又は役務の価格その他の取引条件について、実際のもの又は当該事業者と同種若しくは類似の商品若しくは役務を供給している他の事業者に係るものよりも取引の相手方に著しく有利であると一般消費者に誤認される表示であつて、不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあると認められるもの
三 前二号に掲げるもののほか、商品又は役務の取引に関する事項について一般消費者に誤認されるおそれがある表示であつて、不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあると認めて内閣総理大臣が指定するもの