【2019年度論文試験対策】論文を書くにあたっての注意事項(受験要項と試験問題文中から)(一般公開中)
どのような観点で論文を書くのかを試験要項と試験問題からまとめました。新試験の1回目の試験の結果を受けて追記された項目です。要するに論文の出来が悪かったので、このような観点で書きなさいということを要項で示してくれてるのです。論文が苦手な受験生は必ず確認しておいてください。
特に、現役相談員での論文不合格者は「体験談」や「作文」のように書いたために不合格者が続出したのではないかと思います。その傾向は今でもあまり変わってないかもしれません。
内容
- 受験要項での「評価の観点」
- 試験問題での「注意事項」
- 論文試験の「採点対象外」の確認
特記事項(平成29年度試験より問題に明記)
平成29年度試験より、問題に「※文字数の数え方は、文字が記入されている行ごとに20 字として数える。一行の途中までしか文字が書かれていなくても、20 字として数える。」という一文が追加されましたので、1000文字の最後の1行が途中で終わってもOKだということが公式に認められました。
28年度試験までは、すべての指定語句に下線を引かなければなりませんでしたが、29年度試験からは最初の1回目だけでよいことになりました。⇒文章中の指定語句の箇所には、分かるように必ず下線を引くこと。同じ指定語句を複数回用いる場合は、下線は1回目の箇所についてのみ引けばよい。
誤字脱字についての評価基準がありませんでしたが、29年度受験要項で減点対象になると明記されました。⇒原稿用紙の使い方の不適、誤字・脱字については、減点の対象とします。指定語句の誤字も減点対象で済まされると思います(平成29年度試験テーマ1の「成年年齢の引下げ」を「成人年齢の引き下げ」と2か所の誤字)。
1.受験要項での「評価の観点」
2019年度(平成31年度)の受験要項については、平成30年度からの変更はありません。
- 2019年度受験要項での変更点はありません。これで決まったという感じですね。
- 30年度試験の注意事項は29年度試験と同じでした。今後も変わらないと思います。
ポイント
- 体験談や作文ではなく論文であること⇒現職相談員の論文不合格者が続出した要因?⇒論文としての体裁を整えること
- 消費者として批判するのではなく、相談員等の役割を踏まえて考察すること。
- テーマに関する要点を適切に書くこと⇒論文構成を考える
- 指定語句の意味することを明確にし適切に使用すること。
2019年度要項より
(B)論文試験(100 点満点)
論文試験は、相談内容を分析し、問題点をまとめ、資料を作成する能力を判定するために出題します。このため、「体験談」や「感想文」といった作文ではなく、以下の評価の観点を踏まえ、客観的な事実に基づき論理的に考察した論文である必要があります。[評価の観点]
・出題の趣旨をよく理解し、テーマに関する要点が適切に記載されているか。
・指定語句をその意味するところが明確になるよう、適切に使用しているか。
・出題に関する知識や能力、問題意識を有しているか。
・広い見地から考察し、適切な結論を下しているか。
・論理に矛盾や飛躍がなく、論旨が明確になっているか。
・消費生活センター・消費生活相談窓口、消費生活相談員の役割を踏まえて消費者問題を考察しているか。
なお、原稿用紙の使い方の不適、誤字・脱字については、減点の対象とします。
以下は、論文が不合格だった受験生や論文が苦手な受験生は特にしっかり読んでください。
要項や論文試験問題での注意事項の追記修正履歴から論文のポイントが見えてくる
30年度受験要項から論文に求められているポイントを28年度試験から続いている追加・補足で確認すると、論文不合格になる理由が見えてきます。30年度試験実施分で固まったような気がします。
『受験要項⇒試験実施⇒受験要項の見直し⇒試験実施の注意事項の見直し⇒受験要項の見直し⇒試験実施の注意事項の見直し』と、ループされてきましたが、30年度要項の見直しで一旦このループは終了した可能性があります。
- 受験要項の追記修正の更新履歴(30年度試験まで)
- 30年度受験要項での追記・修正 ⇒(つまり)28年度試験の結果で論文不合格が目立ったために指摘ポイントを踏まえて作成した29年受験要項に基づき実施した29年度試験でさらに要項に指摘事項を加えたもの(要するに論文がダメダメだったということです)
- 受験要項での追記・修正内容(28年度まで、29年度、30年度)
- 【解説】29年度受験要項からの追記 ⇒(つまり)28年度試験で論文不合格だった指摘ポイント
- 試験問題文中の追記・修正(27年度まで、28年度、29年度以降)
- 【解説】新試験(28年度試験)から注意事項が大幅に追加されました
※このページに書かれていることは、管理人の個人的な見解ですので、了解の上閲覧ください。
受験要項の追記修正の更新履歴(30年度試験まで)
30年度受験要項での追記・修正 ⇒(つまり)28年度試験の結果で論文不合格が目立ったために指摘ポイントを踏まえて作成した29年受験要項に基づき実施した29年度試験でさらに要項に指摘事項を加えたもの(要するに論文がダメダメだったということです)
- 論理的に考察した論文
- テーマに関する要点が適切に記載
- 指定語句の意味することが明確に(試験問題中に書かれていたことです)
以上の3点が29年度試験から少し変わったポイントであり、おそらく要求している事項だと考えられます。
受験要項での追記・修正内容(28年度まで、29年度、30年度)※マーカー部分を確認
30年度受験要項
(B)論文試験(100 点満点)
論文試験は、相談内容を分析し、問題点をまとめ、資料を作成する能力を判定するために出題します。このため、「体験談」や「感想文」といった作文ではなく、以下の評価の観点を踏まえ、客観的な事実に基づき論理的に考察した論文である必要があります。[評価の観点]
・出題の趣旨をよく理解し、テーマに関する要点が適切に記載されているか。
・指定語句をその意味するところが明確になるよう、適切に使用しているか。
・出題に関する知識や能力、問題意識を有しているか。
・広い見地から考察し、適切な結論を下しているか。
・論理に矛盾や飛躍がなく、論旨が明確になっているか。
・消費生活センター・消費生活相談窓口、消費生活相談員の役割を踏まえて消費者問題を考察しているか。
なお、原稿用紙の使い方の不適、誤字・脱字については、減点の対象とします。
29年度受験要項
(B)論文試験(100 点満点)
論文試験は、相談内容を分析し、問題点をまとめ、資料を作成する能力を判定するために出題します。このため、「体験談」や「感想文」といった作文ではなく、客観的な事実に基づき、要求された論点について考察した論文である必要があります。
評価の観点は以下のとおりです。
・出題の趣旨をよく理解しているか。
・指定語句を適切に使用しているか。
・出題に関する知識や能力、問題意識を有しているか。
・広い見地から考察し、適切な結論を下しているか。
・論理に矛盾や飛躍がなく、論旨が明確になっているか。
・消費生活相談員の職務の意義や内容等を踏まえて消費者問題を考察しているか。
なお、原稿用紙の使い方の不適、誤字・脱字については、その程度に応じて減点します。
28年度受験要項
28年度試験(新試験1回目)までは、この1行だけでした。
(B)論文試験 (100 点満点 )
【解説】29年度受験要項からの追記 ⇒(つまり)28年度試験で論文不合格だった指摘ポイント
(B)論文試験(100 点満点)
論文試験は、相談内容を分析し、問題点をまとめ、資料を作成する能力を判定するために出題します。このため、「体験談」や「感想文」といった作文ではなく、客観的な事実に基づき、要求された論点について考察した論文である必要があります。
評価の観点は以下のとおりです。
・出題の趣旨をよく理解しているか。
・指定語句を適切に使用しているか。
・出題に関する知識や能力、問題意識を有しているか。
・広い見地から考察し、適切な結論を下しているか。
・論理に矛盾や飛躍がなく、論旨が明確になっているか。
・消費生活相談員の職務の意義や内容等を踏まえて消費者問題を考察しているか。
なお、原稿用紙の使い方の不適、誤字・脱字については、その程度に応じて減点します。
注意事項
論文試験は、相談内容を分析し、問題点をまとめ、資料を作成する能力を判定するために出題します。このため、「体験談」や「感想文」といった作文ではなく、客観的な事実に基づき、要求された論点について考察した論文である必要があります。
※30年度受験要項では、「客観的な事実に基づき、要求された論点について考察した論文」から「客観的な事実に基づき論理的に考察した論文」に変更されていますが、基本的には同じことですね。「論理的に」が強調されています。
おそらく28年度試験のテーマ2を意識した指摘だと思います。単に事例をあげて、相談員としての感想やあっせん経験を書くのではなく、具体的な事例に対する法律的な問題点や法律的な解決方法を指定語句を使いながら論じることになります。行政問題と違い、法律問題は「指定語句」に法律用語が多いことからもわかると思います。
近年、法律問題は純粋な法律問題ではなく、具体的な事例をからませて、法律的な解釈や解決方法を示すという方向性になりつつあるのではと感じています。
評価の観点 ※( )は30年度要項での修正分
出題の趣旨をよく理解しているか。(出題の趣旨をよく理解し、テーマに関する要点が適切に記載されているか。)
論文添削の最初に必ずチェックすることです。問題文をしっかり読んで、何を書くかということを見つける作業です。基本ですね。
指定語句を適切に使用しているか。(指定語句をその意味するところが明確になるよう、適切に使用しているか。)
これは従来と同じで、新試験からより具体的に示されました。上で解説しています。
出題に関する知識や能力、問題意識を有しているか。
内容の組み立てですね。出題の趣旨に合わせた論文の知識や課題を見つけ出すことですね。
広い見地から考察し、適切な結論を下しているか。
結論が適切であるかどうか、という簡単な問題ですが、細かいところにこだわりすぎると論旨がずれて、違う結論になってしまうことがあります。木を見て森を見ずにならないように。
論理に矛盾や飛躍がなく、論旨が明確になっているか。
論文構成能力です。序論・本論・結論とわかりやすく論文を構成します。論文添削でも力を入れているところです。ここができていないと全体的な印象が悪くなってしまいます。
消費生活相談員の職務の意義や内容等を踏まえて消費者問題を考察しているか。(消費生活センター・消費生活相談窓口、消費生活相談員の役割を踏まえて消費者問題を考察しているか。)
上で解説したとおりです。相談員になるための試験であることを頭に入れておいてください。平成30年度受験要項からは、相談員だけではなく、センターや窓口等が追加されています。基本は同じです。
2.試験問題での「注意事項」 ※試験問題文中の追記・修正(27年度まで、28年度、29年度以降)
30年度試験問題文中に書かれている注意事項
29年度と同じでした
29年度試験問題文中に書かれている注意事項
なお、論述に当たっては、以下を踏まえること。
1.以下の指定語句をすべて用いること(順不同)。
2.指定語句は、単に語句として用いるだけでなく、その意味するところが明確になるように、適切に用いること。
3.文章中の指定語句の箇所には、分かるように必ず下線を引くこと。同じ指定語句を複数回用いる場合は、下線は1回目の箇所についてのみ引けばよい。
4.消費生活センター・消費生活相談窓口、消費生活相談員等の役割を考慮すること。
28年度試験問題文中に書かれている注意事項
新試験(28年度試験)から注意事項が大幅に追加されました。
なお、論述に当たっては、以下を踏まえること。
1. 以下の指定語句をすべて用いること(順不同)。
2. 指定語句は、単に語句として用いるだけでなく、その意味するところが明確になるように、適切に用いること。
3. 文章中の指定語句の箇所には、分かるように必ず下線を引くこと。
4. 課題を考察するに当たっては、地方自治体における消費生活相談員の立場を考慮すること。
27年度まで(旧試験)の試験問題文中に書かれている注意事項
旧試験では箇条書きではなくこれだけ
下記の指定語句をすべて使用して論じなさい。なお、文章中の指定語句の箇所には、わかるように必ず下線を引きなさい。
新試験(28年度試験)から注意事項が大幅に追加されました
2と4が新たに追加
2. 指定語句は、単に語句として用いるだけでなく、その意味するところが明確になるように、適切に用いること。
4. 課題を考察するに当たっては、地方自治体における消費生活相談員の立場を考慮すること。
1. 以下の指定語句をすべて用いること(順不同)。
当たり前ですよね。1つでも抜けていたら、採点基準対象外かもしれませんね。
2. 指定語句は、単に語句として用いるだけでなく、その意味するところが明確になるように、適切に用いること。
これまでは指定語句の使い方は特に示されていませんでしたので、文章中にその単語が入っていればOKという解釈も可能でしたが、今回からは「指定語句の意味するところが明確になるように、適切に用いること」となりましたので、もしかすると、指定語句の使い方自体が適切かどうかの採点基準ができたのかもしれませんね。
この点は少し注意が必要です。たとえば法律用語だとその法律的な意味も必要になってくるかもしれないということです。
3. 文章中の指定語句の箇所には、分かるように必ず下線を引くこと。
複数回使用した場合など、引き忘れがあるかもしれません。引き忘れがあった場合は減点対象の可能性があります。
※平成29年度試験からは、複数回使用しても最初の1回目だけに下線を引けばよいということに変更になった。
「文章中の指定語句の箇所には、分かるように必ず下線を引くこと。同じ指定語句を複数回用いる場合は、下線は1回目の箇所についてのみ引けばよい。 」
4. 課題を考察するに当たっては、地方自治体における消費生活相談員の立場を考慮すること。
これは、私はずっと必要であることを書いてきましたし、特に異論はないと思いますが、例えば、今の消費者施策を否定するような書き方ではなく、相談員としては今の制度の中で相談に応じていくので、今実現していないことが問題だという批判的な立場になるのではなく、肯定しつつも課題があるというニュアンスになります。当然、事業者の立場でもないですし、消費者の立場は尊重しつつも、純粋に消費者からの視点というのでもないです。消費者施策に対する視点です。
また、地方自治体の相談員としての視点からは、地方それぞれの背景や事情があることを考慮する必要があるということですね。例えば、高齢者の見守りにしても、相談員だけでは限界があるので、関係機関とどのように連携していくのか、ということもあります。
相談員になるための試験ですので、私が相談員だったら、こう考える、という感じですね。評論家の新聞社説を書くのではないですよ。
※平成29年度試験から「 消費生活センター・消費生活相談窓口、消費生活相談員等の役割を考慮すること。 」と対象が少し変わったが、基本は同じだと考えられます。
3.論文試験の「採点対象外」の確認
論文試験の採点対象外を確認しておく(論文試験の解答用紙と記入ミスへの注意)※論文まとめページにも同じことを書いています※
試験問題から抜粋 ※これで採点対象外不合格になった受験生がいます※
【注意事項】
5.解答用紙の表紙には、受験番号・氏名・論文テーマ番号を所定の箇所に必ず記入すること。※
6.解答用紙の表紙の裏(論文記述ページ)左上の所定の箇所には、論文テーマ番号・受験番号を必ず記入すること。※
※ 5、6の記入がない場合、もしくは正しく記入されていない場合は、採点対象外となる。
論文試験
次の2つのテーマのうち1 つを選び、1,000 字以上1,200 字以内で論文にまとめ、解答用紙に記入しなさい。以下の場合は、採点の対象外となる。
①「選択式及び正誤式筆記試験」の得点が基準を超えていない場合
②文字数制限が守られていない場合
※文字数の数え方は、文字が記入されている行ごとに20 字として数える。一行の途中までしか文字が書かれていなくても、20 字として数える。
③受験番号・氏名の記入がない場合、もしくは正しく記入されていない場合
④選択した論文テーマ番号の記入がない場合、もしくは正しく記入されていない場合
注意すべきこと
- 名前と受験番号(マークシートではありません)
- 選択テーマは2箇所への記入欄があります。択一試験と違って、試験開始の合図の後から書くことになるので忘れないように。
なぜ?この記事を書いたかというと・・・
「論文採点対象外」という報告があったからです。
択一試験での採点対象外の原因として「マークミス」と推測される報告はありましたが、論文では初めてでした。
せっかく、択一試験を突破していても、採点してくれずに不合格というのは残念な話ですので、他人事とは思わず、気を引きしめてください。