論文を書くにあたっての注意事項(問題文中と要項から)
- 28年度試験問題文中に書かれている注意事項
- 29年度試験要項からの追記 ⇒(つまり)28年度試験で論文不合格だった指摘ポイント
- 29年度試験での変更点
- 【最新】30年度試験要項での変更点
あまりにも論文不合格が多い?ため、指摘ポイントが毎年のように追加・補足されています。つまり、それらを意識して論文を書くことが基本的なポイントになります。
28年度試験問題文中に書かれている注意事項
なお、論述に当たっては、以下を踏まえること。
1. 以下の指定語句をすべて用いること(順不同)。
2. 指定語句は、単に語句として用いるだけでなく、その意味するところが明確になるように、適切に用いること。
3. 文章中の指定語句の箇所には、分かるように必ず下線を引くこと。
4. 課題を考察するに当たっては、地方自治体における消費生活相談員の立場を考慮すること。
【参考】(27年度まで)
下記の指定語句をすべて使用して論じなさい。なお、文章中の指定語句の箇所には、わかるように必ず下線を引きなさい。
追加ポイント
2. 指定語句は、単に語句として用いるだけでなく、その意味するところが明確になるように、適切に用いること。
4. 課題を考察するに当たっては、地方自治体における消費生活相談員の立場を考慮すること。
解説
1. 以下の指定語句をすべて用いること(順不同)。
当たり前ですよね。1つでも抜けていたら、採点基準対象外かもしれませんね。
2. 指定語句は、単に語句として用いるだけでなく、その意味するところが明確になるように、適切に用いること。
これまでは指定語句の使い方は特に示されていませんでしたので、文章中にその単語が入っていればOKという解釈も可能でしたが、今回からは「指定語句の意味するところが明確になるように、適切に用いること」となりましたので、もしかすると、指定語句の使い方自体が適切かどうかの採点基準ができたのかもしれませんね。
この点は少し注意が必要です。たとえば法律用語だとその法律的な意味も必要になってくるかもしれないということです。
3. 文章中の指定語句の箇所には、分かるように必ず下線を引くこと。
複数回使用した場合など、引き忘れがあるかもしれません。引き忘れがあった場合は減点対象の可能性があります。
4. 課題を考察するに当たっては、地方自治体における消費生活相談員の立場を考慮すること。
これは、私はずっと必要であることを書いてきましたし、特に異論はないと思いますが、例えば、今の消費者施策を否定するような書き方ではなく、相談員としては今の制度の中で相談に応じていくので、今実現していないことが問題だという批判的な立場になるのではなく、肯定しつつも課題があるというニュアンスになります。当然、事業者の立場でもないですし、消費者の立場は尊重しつつも、純粋に消費者からの視点というのでもないです。消費者施策に対する視点です。
また、地方自治体の相談員としての視点からは、地方それぞれの背景や事情があることを考慮する必要があるということですね。例えば、高齢者の見守りにしても、相談員だけでは限界があるので、関係機関とどのように連携していくのか、ということもあります。
相談員になるための試験ですので、私が相談員だったら、こう考える、という感じですね。評論家の新聞社説を書くのではないですよ。
29年度試験要項からの追記 ⇒(つまり)28年度試験で論文不合格だった指摘ポイント
(B)論文試験(100 点満点)
論文試験は、相談内容を分析し、問題点をまとめ、資料を作成する能力を判定するために出題します。このため、「体験談」や「感想文」といった作文ではなく、客観的な事実に基づき、要求された論点について考察した論文である必要があります。
評価の観点は以下のとおりです。
・出題の趣旨をよく理解しているか。
・指定語句を適切に使用しているか。
・出題に関する知識や能力、問題意識を有しているか。
・広い見地から考察し、適切な結論を下しているか。
・論理に矛盾や飛躍がなく、論旨が明確になっているか。
・消費生活相談員の職務の意義や内容等を踏まえて消費者問題を考察しているか。
なお、原稿用紙の使い方の不適、誤字・脱字については、その程度に応じて減点します。
解説
注意事項
論文試験は、相談内容を分析し、問題点をまとめ、資料を作成する能力を判定するために出題します。このため、「体験談」や「感想文」といった作文ではなく、客観的な事実に基づき、要求された論点について考察した論文である必要があります。
おそらく28年度試験のテーマ2を意識した指摘だと思います。単に事例をあげて、相談員としての感想やあっせん経験を書くのではなく、具体的な事例に対する法律的な問題点や法律的な解決方法を指定語句を使いながら論じることになります。行政問題と違い、法律問題は「指定語句」に法律用語が多いことからもわかると思います。
近年、法律問題は純粋な法律問題ではなく、具体的な事例をからませて、法律的な解釈や解決方法を示すという方向性になりつつあるのではと感じています。
評価の観点
出題の趣旨をよく理解しているか。
論文添削の最初に必ずチェックすることです。問題文をしっかり読んで、何を書くかということを見つける作業です。基本ですね。
指定語句を適切に使用しているか。
これは従来と同じで、新試験からより具体的に示されました。上で解説しています。
出題に関する知識や能力、問題意識を有しているか。
内容の組み立てですね。出題の趣旨に合わせた論文の知識や課題を見つけ出すことですね。
広い見地から考察し、適切な結論を下しているか。
結論が適切であるかどうか、という簡単な問題ですが、細かいところにこだわりすぎると論旨がずれて、違う結論になってしまうことがあります。木を見て森を見ずにならないように。
論理に矛盾や飛躍がなく、論旨が明確になっているか。
論文構成能力です。序論・本論・結論とわかりやすく論文を構成します。論文添削でも力を入れているところです。ここができていないと全体的な印象が悪くなってしまいます。
消費生活相談員の職務の意義や内容等を踏まえて消費者問題を考察しているか。
上で解説したとおりです。相談員になるための試験であることを頭に入れておいてください。
29年度試験での変更点
要件(注意書きの変更)
「記載」が「記入」に変更したなどの細かな修正は別として、大きな修正があります。
- ②文字数制限で、「1行の途中で終わっても1行とみなす」ことですが、これは、1000字の最後の50行目が途中で終わっていた場合に、1000字以上とみなしてもらえるのかどうかということで、昨年、勉強部屋の会員が問い合わせてOKだった話です。それが明確に表現されています。50行目の途中でも50行目まで書いたことになり、1000字以上の要件を満たします。
49行目までで終わっていたら、残念ながら採点対象外の可能性が高いですね。点数開示で確認できると思います。文字数が不足して、採点対象外になった受験生の報告もありましたので、十分に気をつけてください。どうしても足らなくなったら、相談員としての心がけをテーマにあわせて追加すればいいと思います。 - ③指定語句が複数回出たときはすべてに下線を引かなければならなかったのが、最初に出てきた1回目だけでOKになりました。繰り返し使う指定語句に線を引くのはミスが起こりがちでしたのでよい変更点かもしれません。
複数引いてしまった場合に減点対象になるかはわかりません。また、指定語句の書き間違い(29年度試験でいえば「成年年齢」を「成人年齢」、「引下げ」を「引き下げ」など)は採点対象外という鬼のようなことはしないと信じていますが減点対象になる可能性はあるかもしれません。 - ④「消費生活相談員の立場を」というのが、「消費生活センター、消費生活相談窓口、消費生活相談員等の役割を」に変わりました。基本原則は変わりませんが、少し視野が広くなった感じですね。行政職員の受験が増えている(すすめている?)ことも背景にあるのかもしれません。また「立場」が「役割」に変わっているというのもあります。どちらにしても、行政施策や消費生活センターの存在をネガティブにとらえてはいけないということです。
変更前後
変更前
次のテーマのうち1 つを選び、1,000 字以上1,200 字以内で論文にまとめ、解答用紙に記入しなさい。以下の場合は、いずれも採点の対象外となる。
①「選択式及び正誤式筆記試験」の得点が基準を超えていない場合
②文字数制限が守られていない場合
③受験番号の記載がない場合
④選択した論文テーマ番号の記載がない場合
1. 以下の指定語句をすべて用いること(順不同)。
2. 指定語句は、単に語句として用いるだけでなく、その意味するところが明確になるように、適切に用いること。
3. 文章中の指定語句の箇所には、分かるように必ず下線を引くこと。
4. 課題を考察するに当たっては、地方自治体における消費生活相談員の立場を考慮すること。
変更後
次の2つのテーマのうち1 つを選び、1,000 字以上1,200 字以内で論文にまとめ、解答用紙に記入しなさい。以下の場合は、いずれも採点の対象外となる。
①「選択式及び正誤式筆記試験」の得点が基準を超えていない場合
②文字数制限が守られていない場合
※文字数の数え方は、文字が記入されている行ごとに20字として数える。一行の途中までしか文字が書かれていなくても、20字として数える。
③受験番号・氏名の記載入がない場合、もしくは正しく記入されていない場合
④選択した論文テーマ番号の記載入がない場合、もしくは正しく記入されていない場合
1. 以下の指定語句をすべて用いること(順不同)。
2. 指定語句は、単に語句として用いるだけでなく、その意味するところが明確になるように、適切に用いること。
3. 文章中の指定語句の箇所には、分かるように必ず下線を引くこと。同じ指定語句を複数回用いる場合は、下線は1回目の箇所についてのみ引けばよい。
4. 課題を考察するに当たっては、地方自治体における消費生活センター、消費生活相談窓口、消費生活相談員等の立場役割を考慮すること。
【最新】30年度試験要項での変更点
変更ポイント
- 「テーマに関する要点が適切に記載」が補足されました。論文的には問題ないのだけれど、そもそもテーマで求められる論点ではない場合はダメだということだと思われます。
- 指定語句について、「その意味するところが明確になるよう」が補足されました。単に指定語句を論文中に使用するだけではなく、その意味(解説など)もきちんと書く必要があるということだと思われます。
- 「消費生活相談員の職務の意義や内容等」から、「消費生活センター・消費生活相談窓口、消費生活相談員の役割」に対象が広くなっています。29年度試験での変更点にも書きましたが、受験者が行政職員を含めた立場で広く考えるということだと思われます。
30年度の試験要項より
(B)論文試験(100 点満点)
論文試験は、相談内容を分析し、問題点をまとめ、資料を作成する能力を判定するために出題します。このため、「体験談」や「感想文」といった作文ではなく、以下の評価の観点を踏まえ、客観的な事実に基づき論理的に考察した論文である必要があります。
[評価の観点]
・出題の趣旨をよく理解し、テーマに関する要点が適切に記載されているか。
・指定語句をその意味するところが明確になるよう、適切に使用しているか。
・出題に関する知識や能力、問題意識を有しているか。
・広い見地から考察し、適切な結論を下しているか。
・論理に矛盾や飛躍がなく、論旨が明確になっているか。
・消費生活センター・消費生活相談窓口、消費生活相談員の役割を踏まえて消費者問題を考察しているか。
なお、原稿用紙の使い方の不適、誤字・脱字については、減点の対象とします。
29年度の試験要項より
(B)論文試験(100 点満点)
論文試験は、相談内容を分析し、問題点をまとめ、資料を作成する能力を判定するために出題します。このため、「体験談」や「感想文」といった作文ではなく、客観的な事実に基づき、要求された論点について考察した論文である必要があります。
評価の観点は以下のとおりです。
・出題の趣旨をよく理解しているか。
・指定語句を適切に使用しているか。
・出題に関する知識や能力、問題意識を有しているか。
・広い見地から考察し、適切な結論を下しているか。
・論理に矛盾や飛躍がなく、論旨が明確になっているか。
・消費生活相談員の職務の意義や内容等を踏まえて消費者問題を考察しているか。
なお、原稿用紙の使い方の不適、誤字・脱字については、その程度に応じて減点します。