改正民法(債権法)の試験対策(動画解説あり)

【注意事項】民法の択一試験(正誤×選択)の問題形式は、条文から引用してそのまま出題されることが多いので、概念で覚えても、問題に正確には対応できないところが厄介です(暗記系に近い)。正解率5割以上を目指すレベル感で構いません。穴埋問題は概念的な覚え方で大丈夫です。

WEB版国民生活 連載「消費者問題アラカルト」

WEB版国民生活「消費者問題アラカルト」
2017年10月号(No.63)
民法改正の概要とポイント-契約に関する主な改正点-[PDF形式](325KB)
http://www.kokusen.go.jp/wko/pdf/wko-201710_05.pdf
【執筆者】鹿野 菜穂子(慶應義塾大学大学院法務研究科教授)
2017年6月、民法改正法が成立しました。本改正の理由と目的、消費生活にとって重要な項目の改正のポイントを解説します。

改正の概要とポイント
⒈ 約款規定の新設
⒉ 売主や請負人の担保責任
⒊ 賃貸借における敷金ルールの明文化
⒋ 消滅時効規定の見直し
⒌ 保証ルールの見直し
⒍ 変動法定利率の採用

http://www.kokusen.go.jp/wko/data/bn-alacarte.html

改正の概要とポイント(本文だけでは不十分だったので追記も含めています)

⒈ 約款規定の新設

  • 定型約款を規定(利用規約等も定型約款に含まれる)
  • 約款を契約内容にする旨の合意があれば契約内容とする(これまではあいまい)
  • 約款に不当な条項があれば、その条項は契約内容とはならない
  • ネット通販の約款同意のチェックボックス等をイメージ
  • 約款変更に合理性があれば一方的に約款を変更し、契約内容を更新することができる

⒉ 売主や請負人の担保責任

  • 「瑕疵」という文言がなくなった ※「瑕疵」とは通常有すべき品質・性能を欠く
  • 「瑕疵担保責任」から「契約不適合責任」になり、ざっくり広い解釈となった
  • 契約不適合…引き渡された目的物が種類、品質又は数量に関して契約の内容に適合しない場合の追完請求権(修理や代替物を請求)、代金減額請求権(不適合分は減額)、解除権、損害賠償請求が規定された。
  • 「瑕疵担保責任」は知ったときから1年以内に権利行使⇒「契約不適合責任」知ったときから1年以内に通知

⒊ 賃貸借における敷金ルールの明文化

  • 原状回復や敷金の規定がなかったので、今回の改正で明文化
  • 退去時の賃借人の原状回復義務には、通常損耗などは含まれないこと(改正法621条)、
  • 敷金に関する原則的なルールを明文化(改正法622条の2)…充当すべき金銭債務を差し引いて残額がある場合は返還する・充当すべき金銭債務がない場合は全額を返還すること ※金銭債務は滞納家賃や修繕費等の債務不履行など
  • 「礼金」「権利金」「保証金」などの名目にかかわらず、担保目的であれば敷金…最初から返ってこない「礼金」であれば敷金とはならない

⒋ 消滅時効規定の見直し

  • 従前は、原則10年で、飲食2年など業種ごとに異なっていたが、権利を行使できることを知った日から5年・権利を行使できる時から10年に統一
  • ただし、不法行為による損害賠償は、従前どおり3年・20年、生命身体にかかる損害賠償は5年・20年

⒌ 保証ルールの見直し

  • 2004年改正で個人に対する貸金等債務の根保証(ざっくりいうと限度額なし)を禁止したが、今回の改正で貸金等以外の債務(たとえんば賃貸借=貸金)についても限度額の設定が必要となった 
  • 事業用資金への個人の保証には、公正証書の作成が必要

(参考)不動産を借りるときの保証人になれば、家賃の滞納の保証だけでなく修繕費等も含めて限度額のない保証(根保証)でしたが、限度額を定めることとなった。保証人の保護を目的(無限責任にならないように)

⒍ 変動法定利率の採用

  • 利息や遅延損害金の法定利率が従来の固定利率5%(商法で6%)から変動利率に。当初は3%からスタート。

WEB版国民生活 連載「消費生活相談に役立つ改正民法の基礎知識」

きっちり読み込めば勉強になりますが、ボリュームが多くて心が折れると思います。興味がある人は読んでください。勉強部屋では試験に必要なところだけを抜粋紹介します。ちなみにほかの法律でも解説がありますが正直読むのはしんどいです。解説書籍と同じですので。

ということで、問題作成にも深くかかわっていると思われる執筆者ですので、この連載の項目について、ワンポイントで試験対策項目をあげておきたいと思います。

国民生活センターHP
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http://www.kokusen.go.jp/wko/data/bn-hhkouza.html

消費生活相談に役立つ改正民法の基礎知識【連載期間:2019年3月号(No.80)第1回~2020年1月号(No.90)最終回】(連載終了)

2020年1月号(No.90)
【消費生活相談に役立つ改正民法の基礎知識】最終回 法定利率[PDF形式](369KB)
【執筆者】村 千鶴子(東京経済大学現代法学部教授、弁護士)
2019年12月号(No.89)
【消費生活相談に役立つ改正民法の基礎知識】第10回 定型約款の規定の新設[PDF形式](488KB)
【執筆者】村 千鶴子(東京経済大学現代法学部教授、弁護士)
2019年11月号(No.88)
【消費生活相談に役立つ改正民法の基礎知識】第9回 保証[PDF形式](460KB)
【執筆者】村 千鶴子(東京経済大学現代法学部教授、弁護士)
2019年10月号(No.87)
【消費生活相談に役立つ改正民法の基礎知識】第8回 消滅時効[PDF形式](525KB)
【執筆者】村 千鶴子(東京経済大学現代法学部教授、弁護士)
2019年9月号(No.86)
【消費生活相談に役立つ改正民法の基礎知識】第7回 賃貸借[PDF形式](487KB)
【執筆者】村 千鶴子(東京経済大学現代法学部教授、弁護士)
2019年8月号(No.85)
【消費生活相談に役立つ改正民法の基礎知識】第6回 消費貸借・請負[PDF形式](572KB)
【執筆者】村 千鶴子(東京経済大学現代法学部教授、弁護士)
2019年7月号(No.84)
【消費生活相談に役立つ改正民法の基礎知識】第5回 契約が守られないとき[PDF形式](467KB)
【執筆者】村 千鶴子(東京経済大学現代法学部教授、弁護士)
2019年6月号(No.83)
【消費生活相談に役立つ改正民法の基礎知識】第4回 契約をやめる-無効、取消し、解除[PDF形式](582KB)
【執筆者】村 千鶴子(東京経済大学現代法学部教授、弁護士)
2019年5月号(No.82)
【消費生活相談に役立つ改正民法の基礎知識】第3回 意思表示・錯誤[PDF形式](178KB)
【執筆者】村 千鶴子(東京経済大学現代法学部教授、弁護士)
2019年4月号(No.81)
【消費生活相談に役立つ改正民法の基礎知識】第2回 人の能力[PDF形式](190KB)
【執筆者】村 千鶴子(東京経済大学現代法学部教授、弁護士)
2019年3月号(No.80)
【消費生活相談に役立つ改正民法の基礎知識】 第1回 民法改正の経緯と概要[PDF形式](207KB)
【執筆者】村 千鶴子(東京経済大学現代法学部教授、弁護士)

http://www.kokusen.go.jp/wko/data/bn-hhkouza.html

各号ごとのキーワード・ポイント

第1回 民法改正の経緯と概要

2019年3月号(No.80)
【消費生活相談に役立つ改正民法の基礎知識】 第1回 民法改正の経緯と概要[PDF形式](207KB)

  • (1)条文の「見える化」を図る
  • (2)確立された判例を条文に取り込む
  • (3)実質的な改正がされた部分
    消滅時効の短期化、法定利率の引き下げ、定型約款に関する規定の新設、意思表示の到達主義への一本化、錯誤無効から取消制度への変更、債務不履行責任と瑕疵担保責任の見直し、危険負担の債権者主義の廃止、債権譲渡の対抗要件の異議なき承諾の規定の見直しなど多岐にわたります。
  • (4)消費者保護のための改正
    事業資金の借り入れについての個人保証人の保護制度が導入されました。

第2回 人の能力

2019年4月号(No.81)
【消費生活相談に役立つ改正民法の基礎知識】第2回 人の能力[PDF形式](190KB)

  • 民法の「人の能力」の扱い…権利能力・行為能力・意思能力の三種類の概念に区別
  • 権利能力⇒民法上の権利の主体者となる能力…生まれると同時
  • 行為能力⇒行為能力者とは、自分で行った法律行為(典型的なものが契約)に対しては守るべき法的責任を負う能力があるものとして扱う…成年 ※制限行為能力者の規定あり(未成年者保護制度と成年になった以降の人のための成年後見制度・保佐制度・補助制度(まとめて成年後見制度)
  • 意思能力⇒自分で判断して選択し、選択に対して法的責任を負うことができる現実の能力…、裁判例では6 ~ 7 歳程度の知的能力で小学校1年生程度の知的能力があれば意思能力はあると考えられてきたが、あくまでも参考基準
  • 未成年でも婚姻していれば成年とみなす規定があったが、2022年の成年年齢の引下げにより、婚姻年れも男女とも18歳になったので、一律に18歳で成年。ただし、事業としての契約の場合は未成年であっても成年とみなす制度は残る。

第3回 意思表示・錯誤

2019年5月号(No.82)
【消費生活相談に役立つ改正民法の基礎知識】第3回 意思表示・錯誤[PDF形式](178KB)

  • 「契約自由の原則について明文化」
    (契約の締結及び内容の自由)
    第五百二十一条 何人も、法令に特別の定めがある場合を除き、契約をするかどうかを自由に決定することができる
    2 契約の当事者は、法令の制限内において、契約の内容を自由に決定することができる
  • 「契約の成立について明文化」
    (契約の成立と方式)
    第五百二十二条 契約は、契約の内容を示してその締結を申し入れる意思表示(以下「申込み」という。)に対して相手方が承諾をしたときに成立する。
    2 契約の成立には、法令に特別の定めがある場合を除き、書面の作成その他の方式を具備することを要しない
  • 隔地者間の契約の成立時期…改正前の民法では、意思表示の原則は、到達主義を取りつつ(97 条)、契約の承諾の意思表示については発信主義を取っていましたが、到達主義に一元化しました。
  • 「錯誤無効」を「錯誤取消し」に修正…実態に合わせた(本人が取消すかどうかを決める)※無効の場合は本人以外からも無効を主張できた
  • 要素の錯誤だけでなく、動機の錯誤も追加 ※動機とは契約内容素のもではなく契約に至る事情(条文では「表意者が法律行為の基礎とした事情についてのその認識が真実に反する錯誤」)
  • 重大な過失により錯誤に陥っていた場合には取消しができない(条文では「相手方が表意者に錯誤があることを知り、又は重大な過失によって知らなかったとき。相手方が表意者と同一の錯誤に陥っていたとき。」

第4回 契約をやめる-無効、取消し、解除

2019年6月号(No.83)
【消費生活相談に役立つ改正民法の基礎知識】第4回 契約をやめる-無効、取消し、解除[PDF形式](582KB)

  • 債務不履行を理由に契約を解除する場合には、債務者の帰責事由がないときでも解除できるものとした
  • 相手に債務不履行がある場合には、相手に対して、相当な期間を定めて履行請求し、相当な期間内に相手が履行しない場合は契約の解除ができたが(催告による解除)、催告することなく解除できる場合を明確化(無催告解除)

第5回 契約が守られないとき

2019年7月号(No.84)
【消費生活相談に役立つ改正民法の基礎知識】第5回 契約が守られないとき[PDF形式](467KB)

  • 債務不履行を理由に契約を解除する場合には、債務者の帰責事由がないときでも解除できるものとした
  • 契約内容不適合の場合にも債務不履行解除の対象となった
  • 改正前の瑕疵担保責任は、改正法により債務不履行責任に一本化された

第6回 消費貸借・請負

2019年8月号(No.85)
【消費生活相談に役立つ改正民法の基礎知識】第6回 消費貸借・請負[PDF形式](572KB)

  • 請負契約で、仕事が完成しなかたっときでもその部分だけの割合の報酬を請求することができる
  • 担保責任の期間は知った日から1年

【特別法の適用】新築住宅の建築請負契約の場合には、「住宅の品質確保の促進等に関する法律」による特例による規制が及びます。住宅のうち構造耐力上主要な部分または雨水の浸入を防止する部分として政令で定めるものの瑕疵については、請負人は引渡し時から10年間の担保責任を負います。この規定は強行規定です。注文者に不利な特約は無効です。

第7回 賃貸借

2019年9月号(No.86)
【消費生活相談に役立つ改正民法の基礎知識】第7回 賃貸借[PDF形式](487KB)

  • 賃貸借契約の存続期間の上限を20 年から50 年
  • 原状回復義務を規定の新設
    通常の使用により生じた損耗、ないしは経年劣化による部分なので、そのままの状態で返還すればよい
  • 敷金に関する規定の新設
    条文では「賃料債務その他の賃貸借に基づいて生ずる賃借人の賃貸人に対する金銭の給付を目的とする債務を担保する目的で、賃借人が賃貸人に交付する金銭をいう。」

第8回 消滅時効

2019年10月号(No.87)
【消費生活相談に役立つ改正民法の基礎知識】第8回 消滅時効[PDF形式](525KB)

  • 従前は、原則10年で、飲食2年など業種ごとに異なっていたが、権利を行使できることを知った日から5年・権利を行使できる時から10年に統一
  • ただし、不法行為による損害賠償は、従前どおり3年・20年、生命身体にかかる損害賠償は5年・20年
  • 時効の完成猶予の導入…裁判上の請求等があれば、その間は時効の経過が中断する(裁判取り下げなどにより、その間に時効が成立することを防ぐため)

第9回 保証

2019年11月号(No.88)
【消費生活相談に役立つ改正民法の基礎知識】第9回 保証[PDF形式](460KB)

  • 事業用資金への個人の保証には、公正証書の作成が必要

第10回 定型約款の規定の新設

2019年12月号(No.89)
【消費生活相談に役立つ改正民法の基礎知識】第10回 定型約款の規定の新設[PDF形式](488KB)

  • 定型約款を規定(利用規約等も定型約款に含まれる)
  • 約款を契約内容にする旨の合意があれば契約内容とする(これまではあいまい)
  • 約款に不当な条項があれば、その条項は契約内容とはならない
  • ネット通販の約款同意のチェックボックス等をイメージ
  • 約款変更に合理性があれば一方的に約款を変更し、契約内容を更新することができる

(定型約款の合意)
第五百四十八条の二 定型取引(ある特定の者が不特定多数の者を相手方として行う取引であって、その内容の全部又は一部が画一的であることがその双方にとって合理的なものをいう。以下同じ。)を行うことの合意(次条において「定型取引合意」という。)をした者は、次に掲げる場合には、定型約款(定型取引において、契約の内容とすることを目的としてその特定の者により準備された条項の総体をいう。以下同じ。)の個別の条項についても合意をしたものとみなす。
一 定型約款を契約の内容とする旨の合意をしたとき
二 定型約款を準備した者(以下「定型約款準備者」という。)があらかじめその定型約款を契約の内容とする旨を相手方に表示していたとき
2 前項の規定にかかわらず、同項の条項のうち、相手方の権利を制限し、又は相手方の義務を加重する条項であって、その定型取引の態様及びその実情並びに取引上の社会通念に照らして第一条第二項に規定する基本原則に反して相手方の利益を一方的に害すると認められるものについては、合意をしなかったものとみなす

最終回 法定利率

2020年1月号(No.90)
【消費生活相談に役立つ改正民法の基礎知識】最終回 法定利率[PDF形式](369KB)

  • 法定利率を現在の金利情勢に合わせて、5%から3%に引き下げ
  • 固定金利から変動金利へ(3年ごとに見直し)
  • 商法の商事法定利率(6%)を廃止し、民法に統一

【追記】危険負担の債権者主義の廃止

第1回での改正点であげられてたが説明がなかったので簡単に解説します

改正前の民法では、特定物(ほかに代替できるものがないようなもので、例えば家)が、債権者・債務者双方の責任のない事情で目的物が滅失したとき(例えば火事で建築中の家が燃えた)、履行不能となったリスクは不能となった債務の債権者(家を買った人)が負担するとされていた(債権者主義)が、それではあまりにも不合理だということで、改正後は、債務者がリスクを負担することとなった(債権者主義)。

【解説動画】改正民法(債権法)(49分43秒)

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