30年度 問題12 民法(取消し・解除)(選択穴埋)その1(一般公開中)

12. 次の文章の[ ]に入る最も適切な語句を、下記の語群の中から1つ選び、解答用紙の解答欄にその番号を記入(マーク)しなさい。なお、同一記号には同一語句が入る。
※以下は現行民法(平成29 年改正前の民法)に関する問題である。

詐欺や[ ア ]による意思表示については、法律行為はいったん有効に成立するが、取消権者による取消しの意思表示によって法律行為の成立時に遡って効力が否定されることになる。取消権は、追認をすることができる時から[ イ ]間行使されないときは、時効によって消滅する。また、追認をすることができる時よりも後に、取り消すことができる行為について取消権者が履行の請求等をした場合には、取り消すことができなくなる。これを[ ウ ]という。

一方、有効に成立した契約について、債務不履行があった場合には、契約を解除することができ、解除の意思表示がされると、契約の当事者は相互に[ エ ]を負う。また、履行遅滞の場合には、債務者に対して相当期間を定めて履行の[ オ ]をし、その期間内に履行がないときに契約の解除をすることができる。

【語群】
1. 通知 2. 5年 3. 説明義務 4. 催告 5. 強迫 6. 10 年 7. 撤回 8. 原状回復義務 9. 虚偽表示 10. 法定追認 11. 心裡留保 12. 3年 13. 承認 14. 追完

解説

  • 問題11でも解説した通り、旧試験では正誤×選択問題が15問出題されていましたが、新試験になってから、正誤×選択問題が10問に減少し、代わりに選択穴埋問題が5問出題されています。このパターンは、おそらく今後も続くと思われます。
  • そして、穴埋問題ですので難易度は下がります。旧試験での民法15問と新試験での民法15問では正答率を上げることができますので、この穴埋問題は平均以上の点数が取れるようにしましょう。
  • この問題は意思表示の取消しや解除の問題です。あわせて無効も覚えておくとよいでしょう。すでに、これまでの問題で出題論点になってきているものばかりですね。

難易度(A易、B普通、C難)目標:3問以上/5問中(★頻出☆重要実務)

  • ア 詐欺などによる意思表示 AB ※鉄板フレーズ
  • イ 取消権(追認)の時効期間 BC ※暗記問題
  • ウ 取り消しすることができなくなる行為 ※C 法律用語
  • エ 解除したときの義務 AB ※語群から予測可能
  • オ 履行遅延 BC

頻出論点であり平成29年度試験でも出題されています

【平成29年度 問題11④ 詐欺又は強迫、無効 ★BC】
④ 詐欺又は強迫によって締結した契約は、それによって㋐契約締結の意思表示をさせられた者が取り消すことができる。㋑取り消した契約は、契約を締結した時まで遡って無効であったとみなされる。ただし、㋒詐欺又は強迫による取消しは、善意の第三者に対抗できない
【正答 ④→×ウ(誤っている箇所)※善意の第三者に対抗できないのは、「詐欺」だけであり、「強迫」は含まれません。

ポイント(「無効・取消し・解除」+「クーリングオフ(無条件解約)」の違いを理解しておくこと)※その2で解説

契約が成立しているかどうかの視点
・無効・取消し・解除となった場合の効果(原状回復義務・不当利得の返還)
・取消し「現存利益(返還できないサービスや消費済みのものは返還しなくてもよい)
・不当利得の返還義務
・制限行為能力者の保護を手厚くする⇒現存利益のみ(第121条但し書き)
・不法な原因によるものは返還義務なし(賭博行為や闇金など)
取り消し権の効果がなくなるのは「追認」したとき

【取り消し・取消し・取消の違いと使い分け】
(動詞)取り消し、(名詞)取消し、(熟語)取消処分
※解説ではパソコン変換の確認ミスがあるかもしれませんのでご容赦ください。

平成29年民法債権法改正では、取消しや解除などが大幅に改正される予定です。2020年度の試験では改正後の民法の問題が出題されるので、まったく勉強内容が進化してしまいます。ぜひ、今回の試験で合格しましょう。なお、2019年度試験では「概要」は出題されますが、あまりにも膨大なので見送られる可能性が高いと考えています。