17.次の文章のうち、下線部がすべて正しい場合は○を、下線部のうち誤っている箇所がある場合は、誤っている箇所(1ヵ所)の記号を解答用紙の解答欄に記入(マーク)しなさい。
※誤っている箇所がある場合は、1ヵ所である。

① 裁判外紛争解決手続の利用の促進に関する法律(ADR 法)に基づき、㋐内閣総理大臣の認証を受けた民間ADR は、㋑裁判によらずに民事上の紛争の解決を図る手続を実施している。民間ADR による手続では、一定の要件のもとに㋒時効中断効や訴訟手続の中止効等の法的効果が付与されており、申請人のニーズに応じて柔軟な手続進行が可能となっている。

② 少額訴訟は、民事訴訟のうち、㋐訴額が60 万円以下の金銭支払請求に関する訴えについて、原則として1回の審理で紛争解決を図る特別な訴訟手続である。少額訴訟では、判決書や和解の内容が記載された和解調書に基づいて、㋑強制執行を申し立てることができる。少額訴訟手続の判決に対して不服がある場合、㋒地方裁判所に控訴をすることはできない

③ 通常の民事裁判手続において、第一審の裁判所の判決に対して不服がある当事者は、原則として㋐控訴という不服申立てができる。控訴ができる期間は、判決書を受領してから㋑8日間である。控訴審の判決に不服がある当事者は、㋒上告ができる。

④ 景品表示法が禁止する優良誤認表示とは、商品やサービスの品質等について、㋐実際のものや、事実に相違して競争事業者のものより「著しく」優良であると、㋑一般消費者に誤認させる表示である。「著しく」とは、㋒誇張・誇大の程度が社会一般に許容されている程度を超えていることを指す。

⑤ 景品表示法上の景品類とは、顧客を誘引する手段として、事業者が自己の供給する商品又は役務の取引に付随して、取引の相手方に提供する㋐物品、金銭その他の経済上の利益をいい、正常な商習慣に照らして値引やアフターサービスと認められる経済上の利益は、㋑景品類として規制の対象となる。景品表示法上の景品類に該当する場合、㋒提供できる景品類の最高額などが規制される。

⑥ 独占禁止法上、再販売価格の拘束は、㋐不公正な取引方法として原則として違法である。書籍、新聞、音楽CD 等の著作物について再販売価格維持行為をすることは、㋑独占禁止法の適用除外とされている。販売の相手方の事業者が国家公務員法、消費生活協同組合法等に基づき設立された団体である場合には、㋒再販売価格維持行為をすることは、独占禁止法の適用除外とはならない

⑦ 個人情報保護委員会は、2016(平成28)年1月1日に発足した㋐独立行政法人で、㋑「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律」(マイナンバー法)と個人情報保護法に関する業務を行っており、㋒個人情報保護法の解釈や制度一般に関する疑問に答えるため、問い合わせ窓口を設置している

⑧ 2015(平成27)年の個人情報保護法改正前は、取り扱う個人情報が㋐5,000人分以下の事業者は「個人情報取扱事業者」に該当しなかった。しかし、2017(平成29)年5月に改正個人情報保護法が施行され、㋑取り扱う個人情報の数の多寡にかかわらず、「個人情報取扱事業者」に該当することとなった。施行後は、㋒自治会等の小規模な非営利組織にも個人情報保護法の遵守義務が生じうることとなった。

解説とポイント

  • 旧試験では、大問題として「訴訟」「景品表示法」「個人情報保護法」がそれぞれ10問・5問・5問の20問出題されていましたが、新試験での問題数減少の影響を受けて問題数が大きく減少しています。結構重要な分野だけに、もっと出題してもいいように思いますが、表示や個人情報の問題は社会問題になっていますので、今後増える可能性ないとはいえません。
  • 問題数が少なくなったということは、基本問題が中心だということですので、しっかり基本を確認しておきましょう。ただ、その基本が暗記系が多くきついところです。
  • 今回は景品表示法の中に「独占禁止法」の問題も入っています。正確には景品表示法と独占禁止法は全く別の法律ですが、歴史的には消費者庁が創設されるまでは両方とも公正取引委員会が所管していました。独占禁止法はどのまま公正取引委員会の所管です。独占禁止法は結構難しい分野ですが、基本的な問題が出題されると思うので、一般常識もあわせて取り組みましょう。
  • 訴訟は繰り返し同じ論点が出題されているので過去問対策がポイントです。
  • 景品表示法は、どんどん規制が強化されていっているので最新トレンドを知っておく必要があります。例えば、打消し表示への規制強化(平成29年7月報告書)や体験談・ビフォアアフタの写真に対する規制(まずは医療法から)など。
  • 訴訟の出題分野は大きく3つ。①訴訟自体の制度のこと②一般的なADRのこと③国民生活センターの実施しているADR制度のこと
  • 個人情報保護法は改正個人情報保護法を含めた基本問題

難易度(A易、B普通、C難)目標:5問/10問中

  • 問題17① 訴訟・裁判外紛争処理 BC
  • 問題17② 訴訟・少額訴訟 BC
  • 問題17③ 訴訟・控訴 BC
  • 問題17④ 景品表示法・優良誤認 AB
  • 問題17⑤ 景品表示法・不当景品類 AB
  • 問題17⑥ 景品表示法(独占禁止法)・再販売価格の拘束 C
  • 問題17⑦ 個人情報保護法・個人情報保護委員会 B
  • 問題19⑧ 個人情報保護法・改正個人情報保護法(定義:個人情報取扱事業者) B

【参考】28年度 問題19 訴訟・景品表示法・個人情報保護法(正誤×選択) 目標:5問/10問中

  • 問題19① 訴訟・国民生活センターの紛争解決委員会 C
  • 問題19② 訴訟・少額訴訟 BC
  • 問題19③ 訴訟・答弁書 C
  • 問題19④ 景品表示法・不当表示 AB
  • 問題19⑤ 景品表示法・不当景品類 AB
  • 問題19⑥ 景品表示法・課徴金制度 C
  • 問題19⑦ 個人情報保護法・個人情報の定義 AB
  • 問題19⑧ 個人情報保護法・利用目的 C