15.次の文章のうち、下線部がすべて正しい場合は○を、下線部のうち誤っている箇所がある場合は、誤っている箇所(1ヵ所)の記号を解答用紙の解答欄に記入(マーク)しなさい。
※誤っている箇所がある場合は、1ヵ所である。

① 電気通信事業法では、電気通信事業者と締結した一定の電気通信役務提供契約につき、消費者は、㋐販売態様に関係なく、書面により契約を自由に解除することができる「初期契約解除制度」が導入されている。初期契約解除が可能な期間は、㋑法定書面を受領した日から起算して8日を経過するまでの間である。解除の効力は、㋒消費者が発した、契約を解除する旨の書面が事業者に到達したときに効力が生じる

② 2016(平成28)年の資金決済法の改正により、仮想通貨及び仮想通貨交換業に関する規定が新たに設けられた。仮想通貨交換業は、㋐内閣総理大臣の登録を受けた者でなければ行うことができず、無登録で行うと刑事罰の対象となる。その他にも、仮想通貨交換業は、名義貸しの禁止、情報の安全管理、㋑利用者に対する情報提供等の保護措置、㋒自己の財産と分別管理、指定紛争解決機関との契約締結など、さまざまな規制を受ける。

③ 電子消費者契約法は、消費者が電子消費者契約を締結する際に、法律行為の要素に錯誤があり、かつ、錯誤に陥ることに㋐重大な過失があっても、契約内容確認措置を講じた場合を除き、㋑民法第95 条但書を適用しないとしている。㋒この規定は、消費者間の取引でも適用される

④ 商品購入代金の支払いのために貸金業者の金銭消費貸借契約を利用する場合であっても、販売業者が借入条件の協議や借入契約書の作成を担当すること等の事情により㋐売買契約と金銭消費貸借契約との間に密接な牽連関係が認められ、㋑借入金を貸金業者から販売業者に直接又は間接的に交付すること、㋒返済期限が2ヵ月を超える定めであることなどの要件を満たせば、割賦販売法上の個別信用購入あっせんに該当し得る。

⑤ 割賦販売法上、個別信用購入あっせんの加盟店である訪問販売業者が、㋐商品の効能・効果について虚偽の説明をした場合、㋑「支払いについて迷惑をかけないので、クレジットを組めず困っている他の購入者のためにクレジットの名義を貸してほしい。商品の引渡しも済んでいる。」などと虚偽の説明をした場合、㋒商品の引渡しがないまま経営不振で倒産した場合などには、個別信用購入あっせん契約の取消しができる。

⑥ 割賦販売法上、購入者が包括信用購入あっせん業者に支払い停止の抗弁を主張し、抗弁事由が存在すると認められる場合には、抗弁事由が解消されるまでの間、㋐支払いを拒絶した間の遅延損害金は発生せず、㋑延滞事故として信用情報機関には登録されない。この場合、購入者は包括信用購入あっせん業者に対し㋒既払金の返還を請求することができる

⑦ 割賦販売法上、包括信用購入あっせんにおける信用購入あっせん業者に対する抗弁の対抗は、㋐決済代行業者が介在している場合でも可能であり、㋑支払総額の多寡にかかわらず主張ができる。㋒抗弁の主張は書面によらない場合でも有効である

⑧ 一人暮らしの高齢者が、割賦販売法上の個別信用購入あっせんを利用して、訪問販売業者に勧められ、一度に15 組の布団を購入した場合には、㋐契約してから8ヵ月後であっても、割賦販売法に基づき、過量販売を理由として個別信用購入あっせん契約を解除することができる。解除の通知は㋑口頭による方法でも有効である。また、㋒個別信用購入あっせん業者へ解除の通知をしても、それによって販売契約は解除されたことにはならない

⑨ 消費者が、割賦販売法上の個別信用購入あっせんを利用して訪問販売の方法で商品を購入した。販売業者が、個別信用購入あっせん契約のクーリング・オフの行使を妨げるために、購入者に対し、クーリング・オフに関する事項について㋐不実のことを告げて誤認させ、又は㋑威迫して困惑させ、これらによりクーリング・オフ期間内にクーリング・オフを行わなかったときは、クーリング・オフ妨害となる。この妨害がなされた場合であっても、購入者は、㋒誤認や困惑の状況から脱してから8日間を経過した後はクーリング・オフを行使できない

⑩ クレジットカードを利用して5万円分の健康食品を購入したところ、販売業者が商品を引き渡してくれなかったため、購入者において債務不履行を理由として販売契約を解除した。この場合において、購入者が割賦販売法に基づき販売業者の債務不履行をもってカード会社に対抗するためには、㋐抗弁事由の存在に関してカード会社の過失は不要であり、㋑販売形態がインターネット通信販売であってもよい。また、購入時にマンスリークリア方式を利用し、後日、リボルビング方式に変更した場合には㋒対抗することができない

解説とポイント

  • 消費者問題のメインの法律の1つでもっとも難関の割賦販売法です。以前は、がっつり大問題として10問、しかも正誤×選択でしたが、新試験になって問題数が減ったことから、割賦販売法の問題が減らされる対象となりました。28年度・29年度、ともに7問になりましたが、問題数が減っても、割賦販売法の難易度はこれまでの試験と同じぐらいです。
  • 割賦販売法を根をつめて勉強しても、なかなかマスターできません。ある程度はあきらめの必要な分野ですので、基本問題や過去問頻出問題、一般常識で解答が出る問題に絞るなど、勉強できる時間と脳に相談してください。
  • 出題分野と割合は28年度試験と同じで、電気通信事業法1問、資金決済法1問、電子消費者契約法1問。割賦販売法7問の合計10問の分野ごちゃ混ぜ問題です。
  • 長文の正誤×選択ですので、疲れてきた時間帯に厳しいです。何度も高く、正確に答えることは難しいですが、何となく正解できてしまう問題が多いので、あきらめずにがんばりましょう。
  • 電気通信事業法・資金決済法・電子消費者契約法は1問づつしか出題されませんので、このパターンだと、あまり難しい問題は出しにくく基本問題の出題になると思いますので正解できるようにしましょう。
  • 特に電気通信事業法・資金決済法は重要な法律改正がポイントですので引き続き同じような問題が出題される可能性がありますので、過去問とあわせて対策しておきましょう。
  • 割賦販売法はやはり悪質商法の元凶ともいうべき「個別信用購入あっせん」契約が中心となります。また、抗弁権も頻出です(難しいですが)。
  • 割賦販売法は半分の正解を目指しましょう。

難易度(A易、B普通、C難)目標:5問/10問中

  • 問題15① 電気通信事業法・初期契約解除制度(28年5月21日改正施行分) AB ☆
  • 問題15② 資金決済法・仮想通貨(29年4月1日改正施行分) BC
  • 問題15③ 電子消費者契約法 AB ★
  • 問題15④ 割賦販売法・個別信用購入・適用対象 BC
  • 問題15⑤ 割賦販売法・個別信用購入・取り消し C
  • 問題15⑥ 割賦販売法・包括信用購入・抗弁 BC
  • 問題15⑦ 割賦販売法・包括信用購入・抗弁 BC
  • 問題15⑧ 割賦販売法・個別信用購入・過量販売 B
  • 問題15⑨ 割賦販売法・個別信用購入・クーリングオフ BC
  • 問題15⑩ 割賦販売法・支払い方法の変更による抗弁 AB

(参考)28年度 問題18 電気通信事業法・資金決済法・割販法(正誤×選択)

難易度(A易、B普通、C難)目標:6問/10問中

    • 問題18① 電気通信事業法 AB
    • 問題18② 資金決済法 C
    • 問題18③ 電子消費者契約法 B
    • 問題18④ 割賦販売法・包括信用購入の適用 C
    • 問題18⑤ 割賦販売法・個別信用購入・加盟店調査 C
    • 問題18⑥ 割賦販売法・個別信用購入・クーリングオフ AB
    • 問題18⑦ 割賦販売法・個別信用購入・取消し B
    • 問題18⑧ 割賦販売法・抗弁 B
    • 問題18⑨ 割賦販売法・抗弁 AB
    • 問題18⑩ 割賦販売法・訪問販売 BC