事例問題のケーススタディ(一般公開)

本来は会員限定の記事ですが、いつも勉強部屋を活用していただいている受験生にも役に立つように一般公開します。

28年度の論文試験テーマ2を使って、事例問題を考えてみました

『消費生活センターに、1人暮らしの高齢者の家族ががやってきて、2年ぶりに母の実家に帰ってみたら、あまり使わないような浄水器や布団があり、また健康食品が山のようにあった。購入の状況を聞いてみたが、訪問販売で購入したようで、少し認知症気味であり、記憶があいまいである。使っていない商品を返すことはできるのか?今後、訪問販売を断ることはできるのか?』という相談があった。
あなたが相談員だったら、どうアドバイスしますか?

この事例の解決に当たり、テーマ2の要素(指定語句)がすべて出てきます。

【参考】28年度の論文試験テーマ2
高齢者の消費者被害が増大しているが、その被害の事例と特徴を具体的に挙げ、それに対して消費生活センターはどう対応すべきか、その課題と対策について論じなさい。
指定語句:判断能力、訪問販売、次々販売、過量販売解除、高齢者見守りネットワーク

ポイントを列挙します

本来は、相談者に語りかけるような説明を面接官を相談者と想定して答えるのですが、面接官からの質問に答える形で書いてみました。(面接官に説明するのではなく、相談者にアドバイスしているように説明してください、と突っ込まれることも←私です)

居住地の確認

あまり気が付かない人もいるかもしれませんが、相談者(娘)と被害者(高齢者)の住んでいる住所を確認します。相談は原則として被害者(高齢者)の住所の消費者センターが対応することになりますので。

といいながらも、住所が違っても、一通りのアドバイスはして、本来の窓口に再相談するようにと相談先を紹介するという回答が丁寧ですね。

契約書面

契約書面があるか確認します。あれば、クーリングオフ期間内か、いつ、何を買っているのかを整理します。

次々販売

面接官から、「次々販売の被害にあっている可能性がありますね」とコメントされた後
Q「このような次々販売を救済する方法はありますか?(どんな方法がありますか?)」
A「過量販売による契約解除を考えます」
Q「過量販売の契約解除の要件はどんなものですか?」
A「過去1年間に常必要とされる分量を著しく超える商品の購入は解除できます」(法律知識)
Q「必要とされる分量とは具体的にどれぐらいですか?」
答えが出なくて詰まってしまった場合は助け舟が出ます
Q「法律で具体的な分量が決まってますか?」
A「法律では決まってなかったと思います」
Q「では、他に基準があるのですか」
答えが出たらすばらしいし、でなくても助け舟が出ます
A「業界団体の日本訪問販売協会が具体的な分量の目安を示しています。基本的にはこれに準じたらいいと思います」
答えれない場合は
Q「業界団体の日本訪問販売協会が具体的な分量の目安を示していますので、また、勉強しておいてくださいね。」Q「過量販売の解除の要件に当てはまらなかったら契約は解除できませんか?」

認知症の話

ということで、争点が認知症に話題が変わる(もしくは先になるかも)
QまたはA「ところで、高齢の母親が認知症であることを理由に契約解除できませんか?」
A「認知症でも、成年後見人などの制限行為能力者であれば民法での契約の取り消しはできます」
Q「今回は成年後見人でしたが?」
A「違います。少し認知症が入ってるかなあと感じている程度です」
Q「その場合は、契約解除はできませんか?」
ここで相談現場のリアルな対応の話で、医師の診断書を取り寄せたり、当時の状況を販売者に確認したりして、認知症であり判断能力に劣っていた、商品を全然使っていない、などを材料に自主的に交渉するというアドバイスになります。ただ、なかなか、あっせん解決は難しいです。

今後の被害防止について、認知症のことで医療機関に相談してもらい必要なら成年後見人の申請をすることになります。

そのほかの解除方法は?

たとえば、書面不備によるクーリングオフ、消費者契約法による取消し、などがあげれます。

消費生活センターができること

Q「一人暮らしの高齢者が増えてきているので、行政として、このような被害を防止するようなことはできませんか?」
Aここで、啓発や地域での見守り(高齢者見守りネットワーク)の話をするといいでしょう。

このときに「高齢者見守りネットワーク」とはどういうものですか?と突っ込まれる可能性もあります。自信のない専門用語を使うと、墓穴を掘ることになりますので気をつけてください。

以上はあくまでも一例ですので参考にしてください。

原則論として頭に入れておくこと

基本的には、相談解決には、法律のバックボーンが必要です。事業者と交渉するときには法律の要件を満たしているので解除できるという事実(絶対要件)が必要であり、これを明確に示さないと事業者から反論されます。法律の要件を満たしていないときには感情を入れるなど自主交渉することになります。

テーマ2の論文では、具体的な相談を解決するための法律要件をきちんと説明することが求められるというのは、事業者とのあっせん交渉はシビアであり、法律要件を知らないと激しく批判反論されるからです。事業者も知らない場合もあるし、知ってて反論している場合もあります。

また、どういう権限でいってくるんだ。どんな資格を持っているのか、なども聞かれます。あ!これも面接で聞かれます。ついでに、相談者が消費生活センターのあっせんに不満な場合はどうするのか?というのもあります。それは「2次試験(面接試験)の内容は基本的に4つの項目」の「4.【重要】消費生活センターの役割」でまとめています。

そのほかの面接時の具体的な事例とやり取りについては、過去の面接体験報告 (会員限定)を確認してください。

今年の論文対策の事例で下記を挙げています。面接対策にもなりますので該当するページは確認しておいてください。ちなみに、何例も論文添削したので、「今年のテーマ2」にも応用できたと思います。

消費生活センターに、1人暮らしの高齢者の家族ががやってきて、1ヶ月ほど前に訪問販売でケーブルテレビの契約をしたが、CS放送など普段見ないようなオプション契約もしていおり、さらに、携帯電話の契約をすると割引になるといわれて携帯電話の契約もしたという。最近物覚えが悪くなっており、契約内容をよく理解しておらず、毎月高額な支払であり解約したい、という相談があった。どのようにアドバイスもしくはあっせんしたらよいか、下記の指定語句をすべて使用して論じなさい。
指定語句:電気通信事業法、クーリングオフ、特定商取引法、説明不足、認知症

また、過去の論文問題でも具体的な事例が出ているのがありますので参考にしてください(沖縄問題の解説は作っていません)

【参考】平成24年度沖縄問題
息子が携帯電話をスマートフォンに買い換えてほしいと言っているが、どうしたものかという 相談があった。スマートフォンを未成年の子どもに買い与えて利用させる際に、親として注意すべき点について、どのようなアドバイスをすべきか、下記の指定 語句をすべて使用して論じなさい。なお、文章中の指定語句の箇所には、わかるように必ず下線を引きなさい。
指定語句:フィルタリング、 ソーシャルゲーム、 料金プラン、迷惑メール

以上です。

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