論文試験

次のテーマのうち1 つを選び、1,000 字以上1,200 字以内で論文にまとめ、解答用紙に記入しなさい。以下の場合は、いずれも採点の対象外となる。
①「選択式及び正誤式筆記試験」の得点が基準を超えていない場合
②文字数制限が守られていない場合
③受験番号の記載がない場合
④選択した論文テーマ番号の記載がない場合


テーマ1:

地方公共団体において消費生活相談を実施することの意義及び役割は何か、また、消費生活相談を実施するに当たって留意すべき点は何かについて論じなさい。なお、論述に当たっては、以下を踏まえること。

1. 以下の指定語句をすべて用いること(順不同)。
2. 指定語句は、単に語句として用いるだけでなく、その意味するところが明確になるように、適切に用いること。
3. 文章中の指定語句の箇所には、分かるように必ず下線を引くこと。
4. 課題を考察するに当たっては、地方自治体における消費生活相談員の立場を考慮すること。

指定語句:相談者への聴き取り、あっせん、相談情報の活用、注意喚起、行政処分

テーマ2:

高齢者の消費者被害が増大しているが、その被害の事例と特徴を具体的に挙げ、それに対して消費生活センターはどう対応すべきか、その課題と対策について論じなさい。なお、論述に当たっては、以下を踏まえること。

1. 以下の指定語句をすべて用いること(順不同)。
2. 指定語句は、単に語句として用いるだけでなく、その意味するところが明確になるように、適切に用いること。
3. 文章中の指定語句の箇所には、分かるように必ず下線を引くこと。
4. 課題を考察するに当たっては、地方自治体における消費生活相談員の立場を考慮すること。

指定語句:判断能力、訪問販売、次々販売、過量販売解除、高齢者見守りネットワーク

管理人の受験後の感想(新資格の再受験です)(2016/10/15)

論文試験

出題形式

出題形式の中で指定語句の書き方が微妙に変わりました。

『2.指定語句は、単に語句として用いるだけでなく、その意味するところが明確になるように、適切に用いること。』

と変わりました。

といっても、それぞれの語句の意味を説明するという趣旨ではないと思います。指定語句に絡めた文章を書くということだと思います。単純に文章の中の単語として流れてはいけませんということでしょう。

テーマ

テーマ1は行政問題で、もっとも基本的な一般論の問題でした。
指定語句も一般用語ばかりでした。

テーマ2は例年法律問題ですが、純粋な法律問題ではなく、行政問題に近いテーマでした。
といっても、指定語句の中に法律に出てくる用語が出てたので、やはり法律問題かなと思います。しかし、消費生活センターの対応を論じることになっており、法律の正確な解釈ではないので、書きやすかったかもしれません。

今回の2つのテーマは制度変更後の初回のテーマとして、比較的書きやすいラッキー問題だったのではと思います。

来年度になると、特商法と消費者契約法の改正や、民法改正も視野に入ってきます。個人情報保護法の大きな改正も待ってます。書きやすいテーマは今回だけかもしれません。

テーマ1

私はこちらを選びましたが、思ったほど上手くかけませんでした。

「意義及び役割は何か+また留意すべき点について」という感じで2つのテーマが入っている形だったので序論本論結論の形式が書きにくかったです。意義及び役割を序論に長めに書いて、本論で留意点を書いて、まとめに、意義役割をもう一度持ってきて、相談員としての考え方を入れました。私にしては珍しく7行も余してしまいました。

指定語句の使い方としては、「相談者への聴き取り」が重要⇒「あっせん」につなげる。「あっせん」にあたっては過去に蓄積された「相談情報の活用」を行う⇒あっせん結果を新たに相談情報として蓄積する。蓄積された情報は、被害拡大防止と被害の未然防止のために「注意喚起」等の啓発に活用する、という流れにしました。

悩んだのは「行政処分」です。行政処分は大半が国が行います。ただし、特商法等は都道府県にも権限が下りてるので時々見かけます。市町村には通常特商法等の処分権限はありません。しかし、テーマは地方公共団体のことです。そこで、私は市町村の消費生活条例で地域で集中的に発生している特定事業者への行政指導と行政処分について書きました。また、法律での行政処分は、都道府県も行うことができる、という形にしました。行政処分情報を啓発活動につなげるというのは事後のことなのでちょっと違うかなと思い書きませんでした。

相談現場を経験したことがあれば、それなりにかけたのではないかと思います。

テーマ2

またもや高齢者か、という感じで、一般の受験生には比較的予想できた問題かなと思います。過去問をしっかりやれば、同じような視点で書けます。

論文添削での電気通信事業法の考えの中で、一人暮らしの高齢者が訪問販売でケーブルテレビを契約してしまい、時間がたってから気づく、など流用できる論点はたくさんありました。もろに事例にしてもかまいません。

「判断能力」は民法で保護される制限行為能力者と保護されない認知症の考え方も何回か解説しています。「過量販売解除」という6文字を論文に使うのは無理がありますね。そして、「高齢者見守りネットワーク」は何度も解説してきたところですね。具体的な事例もたびたび出てきましたので、そんなに手が出ないというテーマでもありませんでした。

管理人の再現論文

論文問題を持ち帰るために最後まで試験を受けたので、余った時間に転記して、ほぼ100%近く再現できました。

2次試験や試験問題の公表前ですが、あまりにも、論文の採点に対する疑問が噴出しているので、「テーマ1」ですが、私の合格論文を公開します。

留意事項

この論文の出来については、私にとってはイマイチでした。しかし、書いている内容は決して難しい言葉を使っているのではなく、誰にでもかけそうな内容です。ということは、採点者にとっても読みやすい論文といえると思います。読みやすい論文は印象がいいと考えています。私の論文添削では読みやすい論文への添削を重視しています。

なお、「担っている」など、恥ずかしながら自信がない漢字が数箇所あり「ひらがな」にしました。
後半の部分で、接続詞も上手く書けていなかったりします。

私は高得点を狙っているのではなく、ぎりぎり合格でいいので、そつない論文にしています。
私が合格した22年度試験でも、8点満点で5点というボーダーラインでした。

私より上手にかけている合格者はたくさんいると思います。
勉強部屋の過去の会員でも、8点満点中7点も結構いました。

再現答案(テーマ1)

段落頭のスペースは表現できません。
見やすいように改行で1行あけてます。
本番は1行20文字ですが、ここでは続けています。
最終的に7行余りましたので、『1000文字(20文字×50行)+20文字×3行』です。

地方公共団体は、身近な住民に様々なサービスを提供している。消費生活センターをはじめとした消費生活相談窓口では住民が消費者トラブルにあった時に、無料で相談することができる。相談窓口が身近にあることは、 被害の早期対応や気軽に相談できるという意義があり、地域住民の安全・安心な生活を確保するための役割をになっている。

住民からの相談は電話で受けることが多いため、不安な気持ちの相談者に寄り添ったコミュニケーションを心がける必要がある。特に、初期の対応には、ていねいに相談者への聴き取りをすることが大切である。

聴き取りに際しては、契約書の有無、契約に至った経緯、被害の有無、何を希望しているかなどを聴きとる。また、製品事故やケガを伴う事故の場合は、症状の状況、事故の発生状況などを聴きとる。場合によっては、契約書をFAXしてもらったり、製品を確認したり、来所を促したりする。

このような状況をもとに、トラブルの解決をはかるため「あっせん」を行う。あっせんに際しては、過去の相談情報の活用により同様事例や同じ事業者でないか、どのようにあっせんしたのかを確認したうえで事業者と交渉することになる。あっせんの結果については、PIO-NET等に情報を蓄積して、将来の相談に活用するというサイクルをまわす。

このように蓄積された情報により、被害の拡大防止や未然防止といった注意喚起を地域住民に行うことで、啓発活動につなげることができる。相談窓口が地方公共団体にあるからこそできる身近な取り組みである。

一方、地域では同じ事業者による被害が集中的に発生することがある。いち早く情報を知ることができることが強みであり、消費生活条例などによる行政指導や行政処分で、いち早く対応することも可能であり、都道府県では、法律による行政処分も可能である。そして、行政処分の情報についても地域に情報提供して、情報を蓄積する。

このように、相談窓口が身近にあることは 住民にとっても心強い。事業者と消費者には情報の質・量・交渉力等に格差がある。この格差を解消するための相談窓口の役割は重要である。消費者庁が創設されて、消費生活センターの設置や相談体制の充実などが強化されている。消費生活相談員としても、年々変化する社会情勢や悪質商法の手口の複雑化などについて学びを続け、あっせん能力の向上を目指し、地域住民の被害回復、被害の未然防止など、安全安心な生活の確保に役立ちたい。

ポイント

そつなく書いてはいますが、いろいろ、「おっ」と思わせるようなポイントを書いています。

「相談窓口は地域住民の被害回復・被害未然防止に重要である」ということは誰もが書くところですが、私は、そこから少し発展させて、「地域住民の安全・安心な生活の確保」という行政が好きなフレーズをいれて、それをまとめ的な柱にしました。

「聴き取り」については、「心がけ」的なことを書かれていると思いますが、私はそれにプラスして具体的な聴き取り事項を列挙しました。その列挙の中には、製品事故の要素も入れています。契約に関する相談が多い中、製品事故を経験する機会が少ないことがありますが、これをいれることで「おっ」と思わせたいという意図があります。

さらに、相談は電話で始まるが、FAXで書類送付してもらったり、製品を確認したり、来所を促したりと、相談機会のバリエーションを書くことで、「おっ」と思わせたいと考えました。

「あっせん」については、聴き取りの列挙のような具体的なあっせん手法を書けばよかったと後から思いました。7行も余したのですから。

「相談情報の活用」のポイントは、PIO-NETによる情報の蓄積でしょう。今の相談に活用できるし、将来の相談にも活用できます。また、啓発にも活用できます。ということで、「注意喚起」は軽く啓発に絡めただけになりました。

だれもが悩んだ「行政処分」です。これが気持ち悪くて「テーマ2」を選んだ現職は多かったと思います(その選択が失敗だと推測しています)。再現論文のとおり、ここは無理やりこじつけました。

最後のまとめですが、「事業者と消費者の格差の解消」、「消費者庁の設置」と「地方の窓口の充実強化」というキーワードを入れました。さらに、論文添削でも必ずプラスポイントとしてあげている「相談員として前向きな姿勢」を入れました。

ただし、論文構成には悩みました。20-30分考え込んでたかもしれません。
問題として書くべきことが、「意義と役割」「相談の留意点」という2つの論点があり、通常の序論・本論・結論の構成が難しいと感じました。意義は最初に無理やり書いて、全体の中に盛り込むようにして、まとめにも入れることで対応しました。

読んでみると、決して、すごい論文のようには感じないと思います。しかし、そつなく書けているなあという印象は感じられるのではないでしょうか。

こんな感じで、余った時間30分で転記して帰りました。行数割をしくじってしまい、きたなくなりました。乱雑な文字から原稿を書き起こしました。行頭をそろえているので、ほぼ完璧な転記です。

正式な得点は65点

100点満点中の65点でした。まあ、準備なしで書いたので合格してさえすればOKです。

会員の中からは80点以上の高得点者が続出です。100点満点もいました。

一方、ぎりぎり60点の冷や汗合格もいました。

採点基準も不明な論文は合格すればOKでいいと思います。

今年の論文試験の評価で何が起こったのかを考えてみました(2016/11/21)

今年の試験では高得点不合格者が続出しているようです。
現職有資格相談員も相当論文で落とされた可能性があります。

過去の試験で、ここまでミスギャップがあった記憶はありません。

論文試験の正式な解説は問題文が公表されてから書きますが、論文試験について、なぜ、不合格者が続出しているか私なりに感じていることがあります。受験感想とかぶる部分がありますが書いてみます。

ずばりポイントは「テーマ2」だと思います

まず、テーマ1が行政問題であることは明白です。したがって、現職にはラッキー問題になりますので、適当といったら語弊がありますが、現職の経験をうまく書けばそんなに難しくないと思います。例年通りの現職のための行政問題です。指定語句を見ても例年通りの書きやすい問題でした。

ただし、指定語句の「行政処分」がネックになり「テーマ2」を選んだ現職も多いと思います。実際、合否報告を見ると、テーマ2を選択している受験生が圧倒的に多く、また、高得点不合格者も「テーマ2」を選択しています。

これが、今年の論文選択の大きな落とし穴になったと考えています。

やっぱり、テーマ1は「行政問題」で、テーマ2は「法律問題」

テーマ2は一見行政問題のように見えて、やっぱり、例年通り、法律問題だと思います。指定語句を見ても、例年どおりの法律問題にでてくるような法律用語です。

今年は、高齢者被害や見守りネットワークという行政問題的な視点が入ったのがポイントだったと思います。

すなわち、テーマ2は行政問題としてではなく、法律問題としての論文が求められていると思います。

特に、今年から、『2.指定語句は、単に語句として用いるだけでなく、その意味するところが明確になるように、適切に用いること。』の要件が加わっていますので、指定語句の法律用語に対して、法律的な説明が必要だと考えます。

それをせずに、行政問題的な視点で論文を書くと、マイナスになるのではないかと考えています。現職はどうしても行政問題的な視点で書こうと考えると思いますが、それは視点がずれてしまっている可能性があります。

私は2つのテーマを見て、直感的にそう感じたので、「テーマ1」を選択しました。
法律問題は知識問題なので正確に書くことが求められますので、記憶力が低下している状況では選択したくないです。

テーマ2の指定語句についてコメントします

「判断能力」

「判断能力」については、「単に判断能力が低下した高齢者が被害にあう」という現場感覚ではなく、判断能力が低下した認知症であっても、民法上は制限行為能力者ではないので保護されない。したがって、診断書などを根拠に交渉すいるしかないという難対応事例になります。そうならないためにも、成年後見人等の手続きをしたほうが良い、というところまで言及できればいいのではと思います。

「訪問販売」

「訪問販売」については、このテーマ2が「訪問販売」について論じる問題ですよ、という出題者の意思表示だと思います。さらに、訪問販売の中でも「次々販売」と「過量販売解除」という関連した2つの指定語句の被害について、具体的に事例をあげて、法律的な解釈を加えるということになります。

「次々販売」「過量販売解除」

そこで、「次々販売」の定義と、「過量販売解除」になる要件をできるだけ条文から引用することになります。この中で、「1年間」「1つの事業者から」「複数の事業者から」など、解除になる要件を説明し、具体的な商品をあげればいいですが、なかなか正確にはあげれないのでぼやかしてもいいと思います。特に「1年間に必要とされる分量を超える」という説明は必須ではないかと思います。

また、浄水器やふとんなどの具体的な数量については法律で定めがありませんが、日本訪問販売協会が目安を作成しており、それがスタンダードになっています。これは勉強部屋の解説では何度も書いているところです。このことを書けばプラスの印象になるでしょう。

さらに、今年の特商法の改正で電話勧誘販売にも過量販売の規制が追加されたと1文書けば印象が良いでしょう。

「高齢者見守りネットワーク」

最後の「高齢者見守りネットワーク」は、この言葉が頻出なのでテーマ2を選択したのかもしれませんが、法律問題であることを考えると重要度は低いと思います。最後のまとめ的な使い方=これらの被害を防止するために、「高齢者見守りネットワーク」を活用する、ということです。そこに軽く「高齢者見守りネットワーク」の説明を入れたらいいと思います。

まとめ

法律問題は、行政問題と違って、個人の感情をあまりいいれてはいけないと考えています。現職は過度に現場の実情や感情的なものを書いているのかもしれません。テーマ2は一般受験生のほうが現職よりも求めれている視点で論文を書けていた可能性があります。

以上です。結論的に『テーマ2は法律問題だった』というのが最大のポイントだったと考えています。

【追記】実は採点基準はそんなに厳しくなかった説

「テーマ2」について考察してきましたが、実は、採点基準はそんなに変わっていない説もあるのではと思い始めました。

つまり、不合格の多くが「テーマ2」であり、その論文クリア要件が法律問題の論文になっていなかったという基本的な間違いで不合格になったことも考えられます。そうすると、現職の高得点者がその罠にはまり、行政問題的な視点で書いたことから、一律、不合格の基準に抵触した可能性もあるのではないでしょうか。

合否報告を見ると、テーマ1の選択者自体が少ないですが、テーマ1の不合格者はいるものの、それは例年通りの割合かもしれません。今一度、どんな論文だったか思い返してください。

(2017/7/25 追記)29年度試験の要項に『論文試験は、相談内容を分析し、問題点をまとめ、資料を作成する能力を判定するために出題します。このため、「体験談」や「感想文」といった作文ではなく、客観的な事実に基づき、要求された論点について考察した論文である必要があります。』などの注意事項が追記されたことは、これらのことを裏付けているような気がします。

論文記事に対する意見(的を得ている内容でしたので公表します)(2016/11/23)

非会員 153点 合格者です

管理人様

管理人様の論文に関する記事を拝見しました。
現職相談員の私の感想がお役に立てるかわかりませんが、振り返りと感想を書かせていただければと思います。
もちろんお役に立てるのなら、勉強部屋に転記していただいても構いません。

私は一昨年、消費生活アドバイザーをとりましたので、論文については産能大の講座で学んでいました。
アドバイザーと専門相談員の論文は、文字数や指定語句の有無などの違いはありますが、

序論→本論→結論の構成はかわらないので、論文を書く際には、その時に学んだことを頭の片隅においていました。
今回の試験では「1」も「2」もその構成が、思うように展開できず、試験開始から45分ほど、どちらにするか迷って、ただ時間だけが過ぎて行きました。
最終的に「1」を選んだのは、管理人様が書いていらっしゃったように、「2」は法律問題だと思ったからです。
法律問題は、間違えたことを書くと大きく減点されると聞いたことがあり、私の曖昧な記憶では、正しく法律問題の論文を書く自信がなかったからです。
ならば「1」を!と書き始めたのですが、高齢者にこだわった論文になってしまい、納得できる内容にはなりませんでした。

↑ここの思考プロセスが私と全く同じでした。私はいち早く「1」を選びましたが、どう書こうか結構な時間考え込みました。

地方公共団体で消費生活相談を行う意義は「誰でもどこに住んでいても、質の高い相談と救済を受けることができることにある」と始めに書きました。
その後、なぜ高齢者の消費者被害があとをたたず、被害の発覚がなぜ遅いのかを書きました。
地方公共団体は地域に密着しているため、役所の高齢者担当部署や地域包括支援センターと連携が取りやすく、被害の未然防止や、救済に役にたてるとも書きました。

↑その意義を分かりやすく書くことがポイントですね。ただし、高齢者に絞りすぎたのは、書かれているとおり無理があったかもしれません。場合によってはマイナスリスクかもしれなかったですね。私は相談者全体を想定しました。また、「地域包括支援センター」という難しい言葉は私は使いたくないと感じました。

指定語句については
「相談者への聴き取り」⇒相談内容をきちんと把握し、救済につなげるためにも丁寧に行う必要がある。
聴き取りの際には決して上から目線にならず、相談者の気持ちに寄り添い、信頼して話してもらえるようにすることが重要である。
「あっせん」⇒高齢者の相談には積極的にあっせんを行うべきである。
「相談情報の活用」⇒地方公共団体の相談窓口に寄せられる相談の中には、その地域独特のものや、その地域で多く多発している被害など、他の地域にはないものも多くある。消費生活講座や広報で、それらの相談情報の活用をし、注意喚起を行うことで、被害を未然に防ぐことができる。地方公共団体の相談窓口に寄せられる相談は、地域の住民の安心・安全な消費生活を守るために、非常に大切なものである。
「行政処分」⇒地方公共団体には処分権限はないが、相談の内容の記録の積み重ねが、都道府県や国が行う行政処分につながることがある。相談を受ける際には、相談者の被害救済はもちろんのこと、国民の被害防止につながることを、意識することも重要である。

↑特に問題なくかけていますね。もう少し具体的に深堀りしたいところです。

結論は、地方公共団体が行う消費生活相談は、被害救済や被害未然防止に関して、非常に重要な役割を担っている。というニュアンスのことを書きました。

試験時間の45分を無駄にしてしまったため、終了時間ぎりぎりまで必死で書いていました。
書き始めた時点で、あとで見直す時間をとれないかもしれないと思い、
指定語句を使ったら、すぐに下線を引き、イージーミスをしないよう気をつけました。

↑私も直接書いていく方式なので、複数回出てくる指定語句の下線などミスがないように心がけました。

昨年の論文試験と違い、一見書きやすそうなテーマと指定語句でしたが、書いてみると、そうでもなかったです。
どちらも書けそうで書けないというか、出題者が何を求めているのか、試験問題を前にして緊張している状態ではなかなかひらめきませんでした。
あとでよくよく考えると、自分の書いた論文は論点がずれているような気がして、落ち込みました。
布団や健康食品の過量販売を事例にあげ、「2」にすればよかったかなとも思いましたが、私は、論文に事例を入れることが上手くありません。
あれもこれもになって収集がつかなくなるので、事例をあげる論文は、自ら選ぶこともほとんどありません。
管理人様の論文解説を読ませていただき、「2」を選ばなくて正解だったと思いました。

↑そうなんですね。本番になると頭が真っ白になります。私も問題を読んで最初は結構「どうしよう」と考え込みました。書きやすそうで書きにくかったのは同感です。

長々と失礼いたしました。

試験は終わりましたが、管理人様の記事には色々なことに気付かされます。

気温差が大きい毎日ですが、ご自愛下さいませ。

貴重なご意見ありがとうございました。非常に参考になりました。

28年度試験 再現論文の評価(一般応募分)

再現論文の評価とシェアをします

できるだけ試験当日の論文を忠実に再現してください。幹事等を含め再現中に間違いが分かった場合も、そのまま書いてください(気付いた点はコメントしていただければいいので)。

基本的には「不合格」と思われる論文が対象ですが、合格者の論文でもかまいません。

なお、後日、採点結果をお知らせください。

会員向けには詳しい添削をしますが、一般向けには評価とコメントになりますのでご了承ください。
なお、公開にご了解いただけること(名前等の情報は出しません)が前提となります。

評価に対する本人もしくは受験者の感想をいただければ、管理人のコメントを入れて追記します。

応募方法

  1. 再現論文をWORDで作成し、添付送付。1行20文字の原稿用紙設定にしていただくと助かります。
  2. 名前もしくはニックネームなど識別できる情報
  3. 個人的な出来栄えに関してのコメントや聞きたいこと
  4. 選んだテーマ
  5. 択一の自己採点の点数および合否
  6. 立場(現職相談員、行政職員、一般など)
  7. だいたいの年代があれば参考になります(50代女性、60代男性、など)
  8. 送付先メールアドレス

再現論文の評価 その1 合格論文「テーマ2」(2016/11/23)

「テーマ2」合格 択一点数未報告

◎ 28年度一次試験 テーマ2 (30字×39行)
我が国は、4人に1人が65歳以上の超高齢化社会となっており、老夫婦だけの世帯や独居老人も増加傾向にある。高齢者は加齢とともに体力や判断力が低下しており、心疾患にり患している高齢者や認知症にり患している高齢者も存在する。
このような状況の中で、不意打ち的に訪問し、セールスは断りから始まるという勝手なセールス理論から、手練手管で、高齢者に対し、理解させないまま、次々販売や過量販売を行い、結果、高齢者被害は後を絶たない状況となっている。また、被害を救済すると持ち掛けてだますという二次被害も増えている。
民法は、認知症により弁識を欠く状況によって後見人、保佐人、補助人という後見人制度を設けて制限行為能力者として保護している。しかし、費用の面や本人の意向などによって後見人制度が利用されていないのが実態である。
また、特定商取引法の訪問販売は、訪問目的を告げる義務や再訪問の禁止、不実告知等を禁止するほか、民事ルールとして、民法で認めていないクーリング・オフを認め、不実告知等の誤認による意思表示の取消し、過量販売解除を認める等の規制を行っている。
これらを受け、消費生活センターは、被害者の行為能力が低下していたことを医師の診断書等の用意をしたり、あるいは普段の生活状況を訴えて勧誘時に行為能力がないあるいは低下していることを訴えるあっせんを行っている。
しかし、心疾患にり患し不自由な生活をしていることから、行為能力が低下していると思い、本人を交えた交渉の場で行為能力がないと強調したら、怒り出してしまった高齢者もいる。あっせんにより被害の回復ができたものの勧誘者にまた来てねと被害にあったという意識を持たない高齢者も中にいる。また、認知症だからといって常に行為能力がないような行動を行っているものではなく、外観や言動から行為能力があると思われるような場合もあるため、行為能力が低下していることに理解を得られない場合もある。このように高齢者だからといっても、一様ではない。
消費者庁は、強化作戦として、高齢者見守りネットワークの推進を図っている。これは、市町村、介護師、消費者協力団体、消費生活協力員などが連携して高齢者の見守りを行うというものである。常日頃から接触し、日常生活の状況を知ることによって、被害を防止することができるし、また、これによって行為能力の把握することもできる。
特定商取引法の改正により事業者に対する罰則強化が図られ、消費者契約法も新たに過量販売の取消しの導入が予定されている。今後、一層の見守りが必要である。

【感想】
思い出しながら、再現してみた。100%ではないが、95%程度の再現率である。
学科の自己採点は142点なので、心配しなかったが、論文は、次の点を明記しなかったので、65%ぎりぎりではないか、65%いかないと危ないのではと思い、合否発表までは不安であった.
結果、合格で、安心した。
① 制限行為能力者の意思表示の取消しについて明記しなかったこと。
② 消費生活センターの取組みの課題についての記述が曖昧であること。
③ 地域包括センターの取組みについて触れなかったこと。
④ 結び部分が、論旨と関係のない内容となっていること。

管理人の評価

  • よくここまで法律用語をかけていると思いました。私には無理かも。記憶力が必要ですね。
  • 法律問題の論文としてはきちんと要件を満たしています。
  • 書き足らなかった分は特に問題となりません。論文に出てきていませんので。あまり、山盛り書こうとしても字数が気になります。それよりも、間違ったことを書かないことが法律問題では大切です。
  • 難しい日本語表現や単語を使っていたり、堅い印象で、全体的に読みやすい論文ではないのが気になります。「心疾患」「り患」「手練手管」など、日常的にはあまり使わない表現です。
  • 法律問題の回答として押さえるべきところは押さえているので、基本的には大きな減点要素がないと思います。
  • 認知症と制限行為能力者がイコールでないところに、消費生活センターの「あっせん」の困難さがあることをもう少しうまく表現できてたらと思います。
  • 「地域包括センターの取組み」は不要です。
  • 結びは、この程度でかまいません。問題ないです。
  • 間違いなく合格論文としての評価です。

※お問合せフォームに記入いただいたメールドレスが間違っているようなので、ご本人には返信できませんでした。この場を借りて応募のお礼を申し上げます。

論文100点満点3人の受験者からのコメント紹介

1人目【非会員】論文点数・選択テーマ番号:100点/100点 テーマ2 選択

ちなみに初受験のH27年度も、テーマ2を選択し、8点満点で、本人が一番驚き、電話口で聞き直したくらいです。

本年度は、テーマ1、2ともに簡単な問題で、問題の趣旨はほぼ同じではないかと感じました。しかし、現職ではない私にとって、テーマ1では、量的に書く内容に自信が持てずに、テーマ2を選択しました。
H27、H28に共通の論文対策として、構成に時間をかけました(30分以上)。起承転結の原則に従い、序論・本論・結論の三部構成にし、指定語句を配置しながら、構成しました。H28のテーマ2では、具体例を丁寧に列挙しましたが、関連法令、条文は、可能な限り引用しました。
元々法律関係が専門でしたので、法的な観点からの文章記述は、得意とするところですが、テーマ2が特段法律分野とは意識しませんでした。
論文では、課題の本質を的確に分析することに主眼を置きます。例えば、テーマ2において、法制度の整備や、消費者センターによる対策よりも、高齢者被害の本質を明らかにし、実効的対策を論じました。
また、論文対策として、読み手にとってストレスなく一気に読める流れのある分かりやすい文章表現に注力しました。
本年度は、結論部分において、同じ主張を繰り返し、冗長な文章になったので、なぜ100点満点なのか不思議で仕方ありません。
H27年度テーマ2では、曖昧な法律知識を記述したので、やはり8点満点は、本人が一番信じられませんでした。

恐らくは、審査員にとって、とても読みやすく、課題の趣旨というか、「これを聞きたかったんだよ!」と思わせるマジックワードが盛り込まれていたからではないかと勝手に自己分析しています。

管理人コメント

報告ありがとうございます。2年連続の満点はすばらしいです。
高齢者被害への対策(=結果的に行政的な視点と同じになった)を踏まえつつ、無意識に書ける法律の論点もカバーされていたので、高評価だったと思います。法律的な視点と行政的な視点も含まれる論文です。そして、勉強部屋の論文対策でもアドバイスしている「読みやすい・分かりやすい論文」になっているのもポイントですね。

2人目【会員】現職有資格相談員(23年勉強部屋卒業)100点/100点 テーマ2

③論文100点 テーマ2←びっくりして2回点数確認しました
勉強部屋で論文の心得を確認しただけて書いてみるという対策はしていません。
くらしの豆知識2017年版には例年巻末にある消費生活相談傾向がなかったので、国センホームページから2015年度のPIO-NETにみる消費生活相談の概要という記事を確認し、新しい消費生活年報の最初の方のまとめもざっと確認しました。60歳以上の消費生活相談件数のうち、70歳以上の高齢者からの相談が4割を超え、高齢者の消費者被害増大というような内容があったので(どちらにあったか覚えていません…)、国民生活9月号高齢者見守りネットワーク構築の記事、以前受講した池本誠司弁護士による見守りネットワーク構築関連の講座レジュメをざっと読みました。このヤマを外していたらダメだったと思います。

論文にはPIO-NETにみる〜などで得た情報を交え、高齢者の消費者被害の特徴、本人よりも家族や介護サービス提供事業者など見守る方からの相談が多いことなどを導入部としました。事例として実際に相談を受けた、地元地域包括支援センターからの案内で消費生活センターへ相談となった事例をあげました。認知症で数社から電話勧誘による健康食品の過量販売被害にあっていた事例で、これをもとに在宅率が高いため電話勧誘販売被害に遭いやすいなどの高齢者の被害の特徴や次々販売、現在は過量販売解除が訪販でしか認められていないが改正特商法では電話勧誘販売も対象となることについて書きました。高齢化社会を迎えるにあたり判断能力の低下が認められた相談者に対して地域包括支援センターや役所の福祉担当課、家族、介護サービス提供事業者、地元民生委員などと、消費生活センターが連携して行くために必要と考えられることを現状(連携がうまくいっていない状況)で直面している問題点を踏まえ、まとめに書きました。

テーマ2を見たら、ヤマをはっていた内容なうえ、被害事例と特徴を具体的に挙げ、指定語句の意味することを明確になるよう適切に用いるという条件だったので、これは現役相談員を合格させるための問題だと飛びつきました。ただ、指定語句を正しく使わなければならないため、読み手に間違った解釈をされないよう、平易な、一つの文が長くても3行程度の文章を心掛けて書きました。怪しい知識は書かないことも心掛けました。途中まで下書きしましたが時間がなくなり、中段以降は書いては消しでやっと間に合いました。

管理人コメント

会員から満点が出たことは嬉しいです。
具体的な相談事例をあげてのテーマだったので、確かに、現職相談員にはラッキーだったかもしれません。ただし、あまりにも、具体事例にとらわれすぎて、指定語句が適切に使えなかった人も多かったと想像しています。逆に、現場を知らない一般受験者は両方ともきつかったのではと思います。

論文に苦手意識がない場合は、パーツで覚えた知識を論文に構成するのが難しくないのですね。論文が苦手な人は、きちんと基本を学んで、練習して、添削して、修正するサイクルが大切です。

3人目【会員】現職有資格相談員(23年勉強部屋卒業)100点/100点 テーマ2

③論文点数 100点・選択テーマ番号 2(テーマ2の視点、行政的)
・手ごたえ 受験直後 → まったく自信なし、合格発表後 → 70点と予想

・点数の感想
受験結果が合格だったが、論文の点数がまさか100点とは思わなかったので電話口で思わず「えっ!」と声が漏れてしまい、担当者の女性からもう一度「100点です」と回答されました。思い返してみてもそんな高得点を取れた実感はまったくありません。

・高得点の要因(?)
結論の最後に現在、訪問販売お断りステッカーを玄関に貼っているだけでは明確な意思表示とは解されていないものの、しっかりとした拒絶を事業者に示すことができない高齢者の場合には有効とするべきと自分は考える(100文字程度)と結んだことが良かったのかも?
※個人の感想

最初の30分位はテーマ1にしようか2にしようか悩んでいたので、隣の人が書き始めてもなかなか書きだすことができませんでした。

序論は高齢者被害が増大している現状として超高齢化社会が進行していること、それにともなって在宅率が高くなっていることや独居に着目して200文字程度にまとめるのを意識しました。

本論では具体例として、訪問販売では点検と称して自宅に上がり込み、布団が湿っているのでこのままでは体に良くないと高級羽毛布団を購入させるとか、電話勧誘販売では健康に関するアンケートと言いながらいつのまにか定期購入契約を結ばされるといったことを挙げ、記憶が曖昧になってしまっていても相談員として丁寧な聞き取りが重要であること、窓口で受付けるだけではなく、場合によってはこちらから出向く必要があると書きました。

結論として、地域包括センターや行政職員・福祉部局との連携、見守りネットワークの構築の必要性を挙げましたが、過疎化による連携の難しさも盛り込み、そこで法律の改正は難しいのであれば地方公共団体における条例で訪問販売お断りステッカーが初期の意思表示として盛り込むことにより消費者被害を抑止できるのでは訴え、締めくくりました。

この時点で残り時間は15分位でした。しかし、1200文字フルに書きこんだにも関わらず、本論を読み返してみたら、具体例として挙げた訪問販売と電話勧誘販売について、ただ、だらだらと書き連ねただけのような気がして中段の部分2~3行の言い回しをなんとか行をはみ出さないよう違う文言に書き直したりしてテンパっていたので残念ながら再現できるほど内容を覚えていません。

【追記分】

管理人様の推察の通り、テーマ2は行政問題と法律問題が混合されたものだったと思います。
本論では指定語句の過量販売解除や次々販売を用いるときに消費者契約法と特商法の違いについても記述しました。結論部分では見守りネットワークについて、構成する主体部分としての行政のあり方と消費者安全法についても記述しました。

管理人コメント

択一が126点とぎりぎりクリアして論文満点というスペシャルパターンです。
論文添削を2回やって、かなりダメだししましたが、高得点で嬉しいです。
特に、序論・本論・結論の組み立てについてできていなかったので指摘したところがかけているようで、論文添削にチャレンジした甲斐があったと思います。

相談現場で経験したことを、うまく表現できたのが良かったのかもしれませんね。

論文問題予想・論文対策の振り返り

特に鉄板というのはないので一般的な予想問題(詳しくは論文添削用のテーマに列挙)

過去問対策(特に高齢者)

消費者行政のあり方

消費者教育

法律(民法・電気通信事業法・景品表示法・食品など)

論文添削

 

非常に多くの論文添削をしました。管理人大変でした。

これらの論文添削を勉強するだけでも十分な論文試験対策になりました。出題されたテーマもほぼ含まれていました。

以下に論文添削のテーマをざっくり抜粋しました

論文添削はこれ他も含めて過去の添削文をすべて閲覧できますので、論文が苦手な方は、できるだけ読み直しておいてください。

 

  1. 相談員やセンターの役割と課題
  2. 地方消費者行政の役割
  3. 特商法等の法律改正の背景と地方や国の果たす役割
  4. 相談窓口の向上・相談員の役割
  5. 高齢者被害の防止・見守りネットワーク
  6. 訪問販売・不招請勧誘・高齢者・訪問販売お断りシール
  7. 高齢者送りつけ商法(26年過去問)
  8. 民法改正(成人年齢の引き下げ)
  9. スマホ・光回線の契約の問題点と被害者救済
  10. 電気通信契約(24過去問)
  11. 景品表示法
  12. 食品表示法

最後に

昨年度の論文対策について、1つの記事にまとめました。

今後、28年度論文解説と論文添削に続きます。

論文添削にチャレンジしない場合は、ほかの方の論文添削を必ずチェックしてください。