電気通信事業法の改正(平成27年5月22日公布、平成28年5月21日施行)

平成28年度試験では概要が出題範囲になりましたが、29年度試験以降は完全に試験範囲になります。とはいえ、ポイントは限られていますので平成28年度試験用に作成した対策がそのまま29年度試験の対策となります。下記に示した事例問題を作成しましたが、28年度試験では、ほぼ同じような問題が出題されました。29年度試験では新規になるので出題される可能性は確実なものの、同じような論点で出題されると思いますので確認しておいてください。特に、通信契約と端末売買契約は別物であるものの、場合によっては売買契約も解除されるところですね(初期契約解除制度)。

問題18① 電気通信事業法・初期契約解除制度 AB

① 2015(平成27)年の電気通信事業法の改正により、初期契約解除制度が導入され、同制度の対象となる役務については、契約後に交付される書面受領後等から㋐8日間は販売態様に関係なく、㋑消費者は書面により当該契約を自由に解除することができることになった。ただし、事業者は、契約解除までの間に消費者が利用した役務の対価等については、㋒消費者に対し請求できる

【参考】新聞報道(平成29年6月22日)

総務省
携帯大手3社に行政指導 販売時の説明不十分
毎日新聞2017年6月22日 22時32分(最終更新 6月22日 22時32分)

https://mainichi.jp/articles/20170623/k00/00m/020/133000c

異例の覆面調査で確認
総務省は22日、NTTドコモ、KDDI(au)、ソフトバンクの携帯電話大手3社に対し、顧客に契約内容を十分説明せずスマートフォンなどを販売した事例が多いとして、サービスの在り方を改善するよう行政指導する方針を固めた。

総務省によると、消費者から苦情や相談が多く寄せられる状況が続いていることから、全国の携帯電話販売店で異例の「覆面調査」を実施し、料金プランや契約期間の拘束について説明が不十分なケースが多く見られたという。

近く行政指導に踏み切り、各社に対し、傘下の販売店がガイドラインに従って説明を徹底するよう求める。

調査は今年、3社の傘下の販売店300カ所で実施。総務省が委託した民間調査員が顧客を装い店舗を訪問。契約手続きを進め、ガイドラインに沿った販売をしているかチェックした。

その結果、料金プランで自動更新以外の選択肢が示されなかった例が全体の68%、契約期間の拘束や自動更新の仕組みが十分説明されなかった例が66%、解約時の費用の説明不足が51%に上るなど、多くの不適切な事例が確認された。

さらにNTTドコモは、電波状況が悪かったり説明に不備があったりした場合、契約後8日以内であれば応じなければならないと定められている契約解除が、他の2社より大幅に少なかった。このため総務省が聞き取り調査を行ったところ、消費者が契約書に基づき訴えないと解除に応じない事例が確認された。総務省は「利用者視点に立った対応が必要だ」として、ドコモに追加で行政指導する方針だ。(共同)

 28年度試験対策での作成分

平成28年度試験では概要が出題範囲になります。

例えばこんな感じの問題?
【問題】平成27年5月に電気通信事業法が改正され、消費者保護のルールが充実・強化された。具体的には、㋐電気通信サービスの契約が成立したときには遅滞なく、消費者に個別の契約内容を明らかにした書面(契約書面)を交付しなければならない。さらに、8日以内であれば契約を解除できる「初期契約解除制度」が導入された。この制度を利用して契約解除をした場合は、㋑特商法のクーリングオフと同様に無条件で解約できるが、携帯電話端末の購入契約は㋒解約できない
⇒回答は一番下です。

国民生活センターのHPでのポイントが参考になります。

ポイント

  1. 契約後の書面交付義務
  2. 契約から一定期間内に利用できる契約解除制度(初期契約解除制度・確認措置)

ご存じですか? 電気通信事業法が改正されました(国民生活センターHP)

国民生活センターHP
トップページ > 注目情報 > 発表情報 > ご存じですか? 電気通信事業法が改正されました-光回線やスマートフォン等の契約書面はしっかり確認しましょう!-
[2016年6月6日:更新][2016年5月19日:公表]
http://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20160519_2.html

電気通信事業法が平成27年5月22日に改正され、消費者保護ルール(注)が充実・強化されました。具体的には、契約後の書面の交付義務、初期契約解除制度、不実告知等の禁止、勧誘継続行為の禁止、代理店に対する指導等の措置義務が新たに導入されます。改正法は平成28年5月21日から施行になります。このうち、特に消費者自身にとって関係がある「契約後の書面の交付義務」、「初期契約解除制度」について概要を説明します。改正法施行後の契約において必要なポイントを理解しておきましょう。

(注)電気通信消費者情報コーナー内 電気通信事業分野における消費者保護施策(総務省)

改正法施行後の電気通信事業法のポイント

(1)契約後の書面交付義務

電気通信事業者は、電気通信サービスの契約が成立したときには遅滞なく、消費者に個別の契約内容を明らかにした書面(契約書面)を交付しなければなりません。契約書面には、複雑な料金割引の仕組みを図示することや、付随する有料オプションサービスについての記載等が義務付けられています。

(2)契約から一定期間内に利用できる契約解除制度(初期契約解除制度・確認措置)

「初期契約解除制度」または「確認措置」の対象である場合は、契約書面にその旨の記載があります。

1)初期契約解除制度
初期契約解除制度とは、契約書面の受領日(一部例外的な場合あり)を初日とした8日が経過するまでの間は、契約先である電気通信事業者の合意なく、消費者の申し出により電気通信サービスを契約解除できる制度です。対象は、光回線サービスや主な携帯電話サービス等です。
ただし、電気通信サービスと一緒に購入した端末・サービス等の契約は対象ではないため、携帯電話等の端末費用は消費者が負担します。また、事業者は契約解除までの期間のサービス利用料・工事費・事務手数料を消費者に請求することが可能で、工事費・事務手数料については請求できる上限額が決まっています。
2)確認措置
確認措置では、電波のつながり具合が不十分な場合と、事業者による説明等が不十分な場合は、消費者の申し出により、携帯電話等の端末も含めて電気通信サービスが違約金なしで契約解除できます。消費者は端末費用を負担する必要はありません。
申し出が可能な期間は最低8日で、事業者が定めます。なお、本措置の対象サービスは店舗販売および通信販売で契約した移動通信サービスで、総務大臣が認定します。また、事業者は、契約解除までの期間のサービス利用料・付随する有料オプションサービスの利用料を消費者に請求することができます

[報告書本文] ご存じですか? 電気通信事業法が改正されました -光回線やスマートフォン等の契約書面はしっかり確認しましょう!-[PDF形式](603KB)
http://www.kokusen.go.jp/pdf/n-20160519_2.pdf

総務省の資料

電気通信消費者情報コーナー内 電気通信事業分野における消費者保護施策(総務省)

・総務省 電気通信サービスQ&A(抜粋)

「電気通信サービスの消費者保護ルールはこれからどう変わるの?」
http://www.soumu.go.jp/main_content/000422692.pdf

この資料の「特集1 電気通信サービスの消費者保護ルールの見直し」2ページ分を参照


【問題】平成27年5月に電気通信事業法が改正され、消費者保護のルールが充実・強化された。具体的には、㋐電気通信サービスの契約が成立したときには遅滞なく、消費者に個別の契約内容を明らかにした書面(契約書面)を交付しなければならない。さらに、8日以内であれば契約を解除できる「初期契約解除制度」が導入された。この制度を利用して契約解除をした場合は、㋑特商法のクーリングオフと同様に無条件で解約できるが、携帯電話端末の購入契約は㋒解約できない
【回答】×㋑ 無条件解約ではなく、契約解除までの利用料や工事費は支払わなければならない。また、携帯電話端末の契約解除はできないが、確認措置の対象となる場合は携帯電話端末も契約解除できる。
※通信契約にもクーリングオフが導入されたというフレーズを聞きますが、無条件で解約できる特商法のクーリングオフと同じではなく、契約解除までに利用した費用を負担する必要があります。

引っ掛け問題としては「さらに、8日以内であれば契約を解除できる「初期契約解除制度」や「確認措置」の契約解除制度が導入された。⇒携帯電話端末の購入契約は解約できない。⇒×確認措置の対象であれば解除することが可能である。