2019年度(本試験) 問題4 消費者安全法ほか関連法(5肢2択)その1(一般公開中)
4.問題①から⑤のそれぞれについてア~オの文章の中から、誤っている文章を2つ選んで、その記号を解答用紙の解答欄に記入(マーク)しなさい。
① 以下のア~オは、消費者安全法に関する問題である。
ア 「消費安全性」とは、商品等又は役務の使用等に伴う危険性・リスクがゼロとなるような高い水準の安全性のことをいう。
イ 食べ物により窒息事故が発生し死亡した場合、当該食べ物が消費安全性を欠くことにより事故が生じたものでないことが明らかであるものを除き、「重大事故等」に該当する。
ウ 内閣総理大臣は、「消費者事故等」に関する情報の集約及び分析を行い、取りまとめた結果を、国会に報告しなければならない。
エ 「消費安全性」を欠く商品の使用により火災が生じた場合、消費者の生命又は身体に被害が生じていなくても、「重大事故等」に該当する。
オ 内閣総理大臣は、「消費者事故等」の発生又は「消費者事故等」による被害の拡大の防止を図るため必要があると認めるときは、関係市町村長に対し、必要な行政処分をすることを求めることができる。
② 以下のア~オは、消費者安全法に関する問題である。
ア 消費者安全調査委員会は、「生命身体事故等」が発生した場合、生命身体被害の発生又は拡大の防止のために原因を究明する必要があると認めるときは、調査権限を行使するなどして自ら調査を行う。
イ 消費者安全調査委員会は、「生命身体事故等」について他の行政機関が行った調査等の結果については、事故等原因を究明しているかどうかの評価を行うことができない。
ウ 都道府県知事及び市町村長は、「重大事故等」が発生した旨の情報を得たときは、「重大事故等」の態様、「重大事故等」が発生した日時及び場所、「重大事故等」の原因となった商品等を特定するために必要な情報等を直ちに内閣総理 大臣に通知しなければならない。
エ 工場における施設・機械の故障により当該工場内で就労していた労働者の生命・身体に被害が発生した事故は、「消費者事故等」に該当する。
オ 内閣総理大臣は、財産被害に関する「消費者事故等」について、被害の発生又は拡大の防止を図るため消費者の注意を喚起する必要があると認めるときは、当該「消費者事故等」の態様、当該「消費者事故等」による被害の状況等の情報を都道府県及び市町村に提供するとともに、これを公表するものとされている。
③ 以下のア~オは、特定商取引法に関する問題である。
ア 権利の販売と称し、CO2排出権や知的財産権が販売された場合でも、役務の提供として、特定商取引法が適用されることがある。
イ 株式や社債等を発行会社が自ら販売する場合(自己募集)については、金融商品取引法では規制されないが、特定商取引法では特定権利に該当するため、訪問販売、通信販売、電話勧誘販売の規制の対象となる。
ウ 宅地建物取引業法に基づく免許を受けた業者が、訪問販売で宅地の販売を行ったときは、特定商取引法上の訪問販売の規定が適用される。
エ 特定継続的役務提供は、政令で定められた7つの役務を対象としている。
契約金額はいずれも5万円を超えるものと定めており、契約期間については、一定のエステティック・美容医療は1月を超えるものとし、その他の5つの役務は2月を超えるものと定めている。
オ 広告をしている通信販売業者が、その広告に返品特約を主務省令で定めるところにより表示をしていなかった場合、消費者が商品の引渡しを受けた日から起算して8日以内に契約を解除する旨の通知を発信すれば、解除の効力が発生する。
④ 以下のア~オは、社会福祉分野の法律、制度に関する問題である。
ア 生活保護法による保護は、世帯を単位としてその要否及び程度を定めるものとし、個人を単位として定めることはできない。
イ 生活困窮者自立支援法に基づく生活困窮者家計改善支援事業では、事業実施主体となる行政機関が、生活困窮者に対し、家計の状況の適切な把握及び家計の改善意欲の向上の支援とともに、生活に必要な資金の貸付けのあっせんを行う。
ウ 社会福祉協議会が実施する日常生活自立支援事業では、福祉サービスを利用する際の様々な手続きや契約、預金の出し入れ、生活に必要な利用料の支払い手続き、年金や預金通帳などの書類の管理等の援助を受けることができる。
エ 民生委員の主な職務は、住民の生活状態の把握及び行政機関への報告であり、住民からの日常生活上の相談への対応や助言は、法律上の職務に含まれない。
オ 社会福祉協議会は、民間の社会福祉活動を推進することを目的とした営利を目的としない民間組織で、社会福祉法に基づき設置されている。
⑤ 以下のア~オは、全国消費生活情報ネットワークシステム(PIO‐NET)に登録された2017(平成29)年の消費生活相談情報に関する問題である(「平成30 年版消費者白書」による)。
ア 消費生活相談件数は、約50 万件であった。イ 65 歳以上の高齢者に関する相談について、販売購入形態別相談割合をみると、「訪問販売」の割合は、65 歳以上の全高齢者における割合よりも、認知症等高齢者における割合の方が大きい。
ウ 消費生活相談を販売購入形態別にみると、「店舗購入」よりも「通信販売」の割合が大きい。
エ 架空請求に関する相談件数は、2016(平成28)年より大幅に減少している。
オ いわゆる仮想通貨をめぐるトラブルに関する相談件数は、2016(平成28)年より増加した。
解説
2019年度試験は30年度試験に比べて難易度が上がったように感じました。単一の分野の問題ではなく、複数の分野の問題が混ざっているので、問題のボリューム感を感じて、結構しんどい感じです。また、あまりなじみのない問題もあるので頭が痛いです。常識力をフル稼働させることが大事です。難しそうな問題でも、点数は取れる問題になっています。
出題分野としては、消費者安全法2問+特定商取引法1問+社会福祉分野1問+PIO-NET相談統計1問です。本試験も再試験も同じでした。30年度との違いは4問目の社会福祉分野が30年度では資金決済法でしたので、この1問以外は何となく出題分野が固まってきたような印象です。
まだ、勉強を始めたばかりの受験生は、複数の分野が混じっているので難しく感じると思いますが、2回目の学習をしたときには理解が進んでいると思いますので、特に特定商取引法の分野など、1回目で分からなくてもあまり気にしないでください。
ボリュームが多いですが10分以内で解答を終われるようにしてください。
- 「5肢2択」の問題は新試験になってから新たに設定されました。
- 当初の説明は、「5つの中から誤っているもの(もしくは正しいもの)を2つ選んで両方正解で1点となる」という難易度の高い問題で、場合によっては捨て問題にしても構わないという出題パターンでした。
- しかし、新試験3年目の30年度試験では「両方正解で1点」から「1つ正解で1点=2つ選択なので2点」に変更されました。当然、得点率は格段にアップして難易度が下がることになります。確率的にも1つは正解できるはずですので、点数を稼ぐ問題になりました。
- しかも、30年度試験では5問×2個選択=10点分となり、2019年度試験でも同様でしたので、難易度の上がった分をカバーできるぐらいの比率になっています。ここで、しっかり点数が取れているかどうかで、紙一重の合格ラインのクリアにも影響してきます。
- 「5肢2択」の問題は結局は単純正誤問題が5個あるのと同じにもかかわらず2点にしかなりませんが、そのほかの1個1点になる単純正誤問題よりは易しい問題になっています。2個セットで1点の時に比べれば、1個1点×2個=2点なので、非常に得点しやすいです。5点ぐらいは点数を押し上げる要因にもなるので、合格ラインが65%で固定されているならば確実に得点したいところです。
- また、問題文も短い文章になっていますので、正誤判断する箇所も少なくなっています。
- これまで5問=5点だった配分が、5問=10点に倍増したので、ほかの問題が減って、易しい問題が増えたということになります。
必勝ポイントは「5肢2択」のテクニック
- 明らかに誤っているものを見つけること。見つかれば知らない問題の正誤がわからなくても正解になります。
- 明らかに簡単な正解の問題を除いていくと、3つぐらいに絞れることがある。すると、最低でも1点はとれることになる。
- 正攻法では、5個の選択肢の正誤を1つ1つ確認していきますが、試験本番では、飛ばし読みしながら、不正解を見つけていくことになりますし、最後に残った問題で正しいものを外して消去法で正解に導くなどのテクニックを身につけてください。そのテクニックについても解説します。
難易度(A易、B普通、C難)目標:7問以上/10(5×2)問中
2019年度(本試験) 消費者安全法ほか関連法 5問(10点)目標:7問以上/10(5×2)問中
問題4① 消費者安全法・消費者事故等 BC
問題4② 消費者安全法・消費者事故等 AB
問題4③ 特定商取引法・適用対象 BC
問題4④ 社会福祉分野の法律制度 C
問題4⑤ PIO-NET相談統計(2017年・平成29年の相談統計・30年8月公表分) AB
2019年度(再試験) 消費者安全法ほか関連法 5問(10点)目標:7問以上/10(5×2)問中
問題4① 消費者安全法・理念・消費者事故等 AB
問題4② 消費者安全法・消費者安全確保地域協議会 B
問題4③ 特定商取引法・適用対象 BC
問題4④ 社会福祉分野の法律制度 C
問題4⑤ PIO-NET相談統計(2017年・平成29年の相談統計・30年8月公表分) AB
「5肢2択」過去問
平成30年度 消費者安全法ほか関連法5問(10点)目標:7問以上/10(5×2)問中(★頻出☆重要実務)
問題4① 消費者安全法・消費者事故の定義 AB★☆ ※事故の相談対応に必要な実務知識
問題4② 消費者安全法・消費者安全確保地域協議会 AB ※日本語解釈で対応可能
問題4③ 特定商取引法・クーリングオフ B★☆ ※実務でも重要な質問事項
問題4④ 資金決済法・仮想通貨交換業者 BC ※一般常識で対応したい
問題4⑤ PIO-NET相談統計(2016年・平成28年の相談統計・29年8月公表分) AB ※一般常識で対応可能
平成29年度 消費者安全法5問(5点)目標:3問以上/5問中
問題4①~⑤ 消費者安全法 難易度(A易、B普通、C難)目標:3問以上/5問中(★頻出☆重要実務)
問題4① 定義 AB
問題4② 消費者安全確保地域協議会 BC
問題4③ 重大事故 BC
問題4④ 消費者安全調査委員会 BC
問題4⑤ 消費者事故等・すき間事案 C
平成28年度 住宅2問+特定商取引法3問=5問(5点) 目標:2問/5問中
平成28年度 問題7①~③ 住宅(宅建業) 難易度(A易、B普通、C難)目標:1問/3問中
問題7① 宅建業法 C
問題7② 宅建業法 B
問題7③ 原状回復ガイドライン AB
平成28年度 問題15①② 特定商取引法 難易度(A易、B普通、C難)目標:1問/2問中
問題15① 電話勧誘販売 C
問題15② 通信販売 AB