2019年度(再試験) 問題1⑤~⑧ 消費者行政と関連法(正誤○×)その3(一般公開中)
1. 次の各文章が、正しければ○、誤っていれば×を解答用紙の解答欄に記入(マーク)しなさい。
⑤ 消費者委員会は、消費者庁内部に設置された審議会として、各種の消費者問題について自ら調査・審議を行うとともに、消費者行政全般に対する意見表明や内閣総理大臣等の諮問に応じた調査・審議を実施している。
⑥ 医療機関ネットワーク事業は、消費者庁と国民生活センターの共同事業として実施され、消費生活において生命又は身体に被害を生ずる事故にあい、医療機関を利用した被害者の事故情報を、医療機関から収集するものである。
⑦ 消費者安全法は、消費生活センターの設置基準の一つとして、消費生活相談・あっせん業務に係る窓口を、週3日以上開設していることを定めている。市町村の消費生活センターの設置基準は、都道府県のそれと基本的には同様である。
⑧ 都道府県及び市町村は、消費者安全法によって、消費生活相談員の適切な処遇や研修の実施等の措置を講じ、消費生活相談員等の人材の確保及び資質の向上を図るよう努めることとされている。
2019年度(再試験) 問題1⑤ 消費者委員会の業務 BC ※頻出
⑤ 消費者委員会は、消費者庁内部に設置された審議会として、各種の消費者問題について自ら調査・審議を行うとともに、消費者行政全般に対する意見表明や内閣総理大臣等の諮問に応じた調査・審議を実施している。
- 消費者委員会がどこに設置されているか、というのは頻出問題であり、同じ論点で何度も出題されています。
- 消費者委員会は消費者問題を扱うので消費者庁の業務だけではなく厚生労働省などの関係省庁の業務も審議します。したがって、消費者庁内部に設置するものではなく、関係省庁から独立して審議できなければ意味がありません。
- 通常、内閣府に設置されます。食品安全委員会も厚生労働省ではなく内閣府に設置されています。
- したがって、「消費者庁内部」ではなく、「消費者庁から独立して内閣府に」設置された、というのが正解になります。業務内容については正しいです。
したがって、問題1⑤は×(誤っている文章)です。
平成28年度試験が分かりやすいので紹介しておきます(解説も見返しておいてください)
28年度 問題4
② 消費者委員会は、消費者庁を含めた関係府省庁等の消費者行政全般に対して[ 監視機能 ]を有する独立した第三者機関として[ 内閣府 ]に設置された。消費者委員会の委員は、[ 独立 ]して職権を行う。主な役割は、各種の消費者問題に関して、自ら調査・審議を行い、消費者庁を含む関係府省庁等の消費者行政全般に対して建議等を行うことなどであり、これらによって、関係府省庁等において法令の整備や取組みの強化が図られているといえる。
内閣府ホーム > 活動・白書等 > 審議会・懇談会等 > 消費者委員会 > 消費者委員会について
https://www.cao.go.jp/consumer/about/
消費者委員会について
消費者委員会とは
消費者委員会は、独立した第三者機関として、主に以下の機能を果たすことを目的として、平成21年(2009年)9月1日に内閣府に設置されました。・各種の消費者問題について、自ら調査・審議を行い、消費者庁を含む関係省庁の消費者行政全般に対して意見表明(建議等)を行います。
https://www.cao.go.jp/consumer/about/
・内閣総理大臣、関係各大臣又は消費者庁長官の諮問に応じて調査・審議を実施します。
消費者庁及び消費者委員会設置法
第三章 消費者委員会
(設置)
第六条 内閣府に、消費者委員会(以下この章において「委員会」という。)を置く。
2 委員会は、次に掲げる事務をつかさどる。
一 次に掲げる重要事項に関し、自ら調査審議し、必要と認められる事項を内閣総理大臣、関係各大臣又は長官に建議すること。
イ 消費者の利益の擁護及び増進に関する基本的な政策に関する重要事項
ロ 消費者の利益の擁護及び増進を図る上で必要な環境の整備に関する基本的な政策に関する重要事項
ハ 景品類等の適正化による商品及び役務の消費者による自主的かつ合理的な選択の確保に関する重要事項
ニ 物価に関する基本的な政策に関する重要事項
ホ 公益通報者の保護に関する基本的な政策に関する重要事項
ヘ 消費生活の動向に関する総合的な調査に関する重要事項
二 内閣総理大臣、関係各大臣又は長官の諮問に応じ、前号に規定する重要事項に関し、調査審議すること。
三 消費者安全法第四十三条の規定により、内閣総理大臣に対し、必要な勧告をし、これに基づき講じた措置について報告を求めること。
四 消費者基本法、消費者安全法(第四十三条を除く。)、割賦販売法、特定商取引に関する法律、特定商品等の預託等取引契約に関する法律、食品安全基本法、消費者教育の推進に関する法律、不当景品類及び不当表示防止法、食品表示法、食品衛生法、日本農林規格等に関する法律、家庭用品品質表示法、住宅の品質確保の促進等に関する法律及び国民生活安定緊急措置法(昭和四十八年法律第百二十一号)の規定によりその権限に属させられた事項を処理すること。
(職権の行使)
第七条 委員会の委員は、独立してその職権を行う。
ハンドブック消費者に解説がります
ハンドブック消費者の中の「消費者委員会」の解説ページ
消費者庁HP
消費者庁ホーム > 政策 > 政策一覧(消費者庁のしごと) > 調査・物価・事業者連携 > 調査・報告書等 > ハンドブック消費者
https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_research/research_report/handbook/
Ⅰ 我が国の消費者政策[PDF:4,869KB]
[3]消費者庁・消費者委員会の設置
3.消費者委員会について
13-14ページ3.消費者委員会について
https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_research/research_report/handbook/
消費者委員会は、消費者庁を含めた関係府省庁等の消費者行政全般に対して監視機能を有する独立した第三者機関として、設置法に基づき2009年9月1日に消費者庁と同時に設置されました。
消費者委員会は内閣府に置かれ、「消費者が安心して安全で豊かな消費生活を営むことができる社会の実現に関して優れた識見を有する者」のうちから、内閣総理大臣が任命する10人以内の委員で組織されます。委員の任期は2年とされ、2013年9月には第3次消費者委員会(委員長:河上 正二 東京大学大学院法学政治学研究科教授)が発足したところです。また、特別の事項を調査審議させるため必要があるときは臨時委員を、専門の事項を調査させるため必要があるときは専門委員を、それぞれ消費者委員会に置くことができるとされており、食品表示部会、新開発食品調査部会、公共料金等専門調査会等の下部組織を設置して調査審議を行っています。さらに、委員会には事務局が置かれ、事務局長のほか、所要の職員が置かれています。
消費者委員会の所掌事務としては、設置法第6条において、消費者の利益の擁護及び増進に関する基本的な政策などに関する重要事項について、自ら調査審議を行い、内閣総理大臣や関係各大臣等に建議を行うことができるほか、消費者安全法第43条の規定に基づいて内閣総理大臣に対する勧告が行うことができるなど、いわゆる審議会等としては強力な権限が付与されています。このほか、内閣総理大臣、関係各大臣等の諮問に応じて、消費者の利益の擁護及び増進に関する基本的な政策等に関する重要事項に関して、調査審議をすることも定められています。
また、設置法第8条において、消費者委員会はその所掌事務を遂行するために必要があると認めるときは、関係行政機関の長に対し報告を求めることができるほか、資料の提出などその他必要な協力を求めることができるとされています。
消費者委員会は設置以来、2013年11月末までに、計137回開催されており、各種の消費者問題について積極的に調査審議を行っています。これまでに13件の建議やその他多数の意見表明を行ってきており、これにより関係府省庁等において法令改正や取組の強化が図られるなど、着実に成果を挙げてきています。
2019年度(再試験) 問題1⑥ 医療機関ネットワーク事業 B
⑥ 医療機関ネットワーク事業は、消費者庁と国民生活センターの共同事業として実施され、消費生活において生命又は身体に被害を生ずる事故にあい、医療機関を利用した被害者の事故情報を、医療機関から収集するものである。
- 医療機関ネットワーク事業を知らなくても、問題文を読むと正しいだろうということで正解できる問題です。
- このような情報収集システムでのポイントは消費者庁が中心になっていることです。また、消費者庁の情報収集の実務部隊となっている国民生活センターも一緒にやっていることが基本です。そう理解しておくと、他でも応用が利くと思います。
したがって、問題1⑥は○(正しい文章)です。 下記の説明を一度読んでおけば記憶に残ると思います。
国民生活センターの公表情報での解説引用
医療機関ネットワークとは、2010年12月から運用が開始された消費者庁と国民生活センターとの共同事業で、消費生活において生命または、身体に被害が生じる事故に遭い医療機関を利用した被害者から、事故の詳細情報を収集するものである。
消費者白書での毎年の報告ページから引用(令和元年版消費者白書)
第2節 消費者庁に集約された生命・身体に関する事故情報等
(2)医療機関ネットワーク・医師から収集された情報消費者が消費生活上で生命・身体に被害を生ずる事故に遭った場合、医療機関を受診したとしても、地方公共団体や消費生活センター、事業者等に連絡をしない可能性が考えられます。そこで、事故情報データバンク以外にも、事故情報が消費者庁に寄せられるよう、「医療機関ネットワーク事業」を実施しています(図表Ⅱ-1-2-7)。医療機関ネットワーク事業は、消費生活において生命・身体に被害を生ずる事故に遭い医療機関を受診した患者から事故の詳細情報等を収集し、同種・類似事故の再発を防止するため、2010年12月から消費者庁と国民生活センターの共同事業として実施しているもので、2018年度末時点で参画医療機関数は24機関です(注10)。
2018年度に医療機関ネットワークに収集された生命・身体に関する事故情報(注11)は5,791件となっています。事故のきっかけをみると、「転倒」(自転車での転倒等)が1,480件と最も多く、次いで「転落」(階段、ベッド、脚立からの転落等)が1,243件、「遊具、家具にぶつかる等」が720件となっています(図表Ⅱ-1-2-8)。
また、消費生活上での消費者の生命・身体に関する事故等について、医師から直接の情報提供を受け付ける窓口として、国民生活センターでは、「医師からの事故情報受付窓口」(愛称:ドクターメール箱)を設置し、消費者庁と情報共有しています。
https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_research/white_paper/2019/white_paper_205.html
ハンドブック消費者2014の57ページから引用
(5)医療機関ネットワーク
https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_research/research_report/handbook/
医療機関ネットワークは、消費生活において製品・サービスに起因し、生命又は身体に被害を生ずる事故に遭い、医療機関を利用した被害者から事故の情報を収集し、同種・類似事故の再発防止に活かしていく取組を着実に推進することを目的として、2010 年12 月に13 の医療機関の協力を得、消費者庁と独立行政法人国民生活センターとの共同事業として開始されました。2013 年11 月末時点で、24 の医療機関が参画しています。
消費者庁は、得られた情報を分析し、ポスターや、子ども安全メールの配信等により注意喚起を行っています。
医療機関ネットワークから収集される事故情報は、24 の医療機関を受診する原因となった事故のうち、各医療機関が重大性などの観点から選択して収集するものであり、各医療機関を受診する原因となった全ての事故を対象としているものではありません。また、消費生活上の事故でない情報(交通事故等)は含みません。
2019年度(再試験) 問題1⑦ 消費者安全法・消費生活センターの設置基準 B ※頻出・重要※引っ掛け問題
⑦ 消費者安全法は、消費生活センターの設置基準の一つとして、消費生活相談・あっせん業務に係る窓口を、週3日以上開設していることを定めている。市町村の消費生活センターの設置基準は、都道府県のそれと基本的には同様である。
- 消費生活センターの設置基準は頻出重要事項です。
- 大前提として、消費生活センターの設置は「都道府県は義務」「市町村は努力義務」ということです。
- 開設日数については、施行令で定められています。覚え方としては1週間のうち半分以上=4日以上です。都道府県も市町村も同じです。
- しかし、試験本番となると、7日のうちの4日だったか。平日5日のうち3日だったか、一瞬悩むかもしれません。数字は暗記物なので嫌な問題ですね。しかし、休日でも相談窓口を開設しているセンターもありますので、素直に1週間のうち半分以上と覚えましょう。
したがって。問題文の週3日以上ではなく4日以上という引っ掛け問題になっていますので、問題1⑦は×(誤っている文章)です。
消費者安全法
(消費生活センターの設置)
第十条 都道府県は、第八条第一項各号に掲げる事務を行うため、次に掲げる要件に該当する施設又は機関を設置しなければならない。
一 消費生活相談員を第八条第一項第二号イ及びロに掲げる事務に従事させるものであること。
二 第八条第一項各号に掲げる事務の効率的な実施のために適切な電子情報処理組織その他の設備を備えているものであること。
三 その他第八条第一項各号に掲げる事務を適切に行うために必要なものとして政令で定める基準に適合するものであること。
2 市町村は、必要に応じ、第八条第二項各号に掲げる事務を行うため、次に掲げる要件に該当する施設又は機関を設置するよう努めなければならない。
一 消費生活相談員を第八条第二項第一号及び第二号に掲げる事務に従事させるものであること。
二 第八条第二項各号に掲げる事務の効率的な実施のために適切な電子情報処理組織その他の設備を備えているものであること。
三 その他第八条第二項各号に掲げる事務を適切に行うために必要なものとして政令で定める基準に適合するものであること。
3 前項の規定により同項の施設又は機関を設置する市町村以外の市町村は、第八条第二項第一号及び第二号に掲げる事務に従事させるため、消費生活相談員を置くよう努めなければならない。
消費者安全法施行令
(都道府県が設置する消費生活センターの基準)
第六条 法第十条第一項第三号の政令で定める基準は、法第八条第一項第二号イ及びロに掲げる事務を一週間につき四日以上行うことができるものであることとする。
(市町村が設置する消費生活センターの基準)
第七条 法第十条第二項第三号の政令で定める基準は、法第八条第二項第一号及び第二号に掲げる事務を一週間につき四日以上行うことができるものであることとする。
2019年度(再試験) 問題1⑧ 消費者安全法・消費生活相談員の資質向上 AB ※重要
⑧ 都道府県及び市町村は、消費者安全法によって、消費生活相談員の適切な処遇や研修の実施等の措置を講じ、消費生活相談員等の人材の確保及び資質の向上を図るよう努めることとされている。
- 相談員に対してきちんと「研修しなさいよ」という条文ができました。これを根拠に消費者庁設置当初に基金で相談員に対する研修バブルがありました。今は予算がないので少なくなりました。
- この問題も前の問題も、相談員なら知っておきなさいという研修問題でもありますね。
- ちなみに、消費者安全法制定当初は「相談員」という表現でしたが、消費生活相談員が法律に位置付けられた平成26年改正で「消費生活相談員」と変更されています。
したがって、問題1⑧は○(正しい文章)です。
消費者安全法
(消費生活相談等の事務に従事する人材の確保等)
第十一条 都道府県及び市町村は、消費生活相談員の適切な処遇、研修の実施、専任の職員の配置及び養成その他の措置を講じ、消費生活相談員その他の第八条第一項各号又は第二項各号に掲げる事務に従事する人材の確保及び資質の向上を図るよう努めるものとする。
指定消費生活相談員も確認しておく
- 指定消費生活相談員は新しい相談員資格制度で誕生しましたので、あわせて確認しておきましょう
- ポイントは「都道府県」の消費生活相談員から指定します。なお、努力義務になっています。
- 要件として『消費生活相談員資格試験に合格(みなし合格は不可)し、通算して5年以上の地方公共団体における消費生活相談に係る実務経験が必要』となっています。※候補者は新試験に合格しなければならないというプレッシャーがあります。
消費者安全法
(指定消費生活相談員)
第十条の四 都道府県知事は、市町村による消費生活相談の事務の実施に関し援助を行うため、試験に合格し、かつ、内閣府令で定める消費生活相談員としての実務の経験を有する都道府県の消費生活相談員の中から、市町村が行う第八条第二項第一号及び第二号に掲げる事務の実施に関し、同条第一項第一号に規定する助言、協力、情報の提供その他の援助を行う者を指定消費生活相談員として指定するよう努めなければならない。
【正答】
⑤→×、⑥→○、⑦→×、⑧→○