21.次の文章のうち、下線部がすべて正しい場合は○を、下線部のうち誤っている箇所がある場合は、誤っている箇所(1ヵ所)の記号を解答用紙の解答欄に記入(マーク)しなさい。
※誤っている箇所がある場合は、1ヵ所である。
① FX 取引(外国為替証拠金取引)の販売勧誘は㋐金融商品取引法の規制対象になるが、CO2排出権に関するデリバティブ取引は㋑金融商品取引法の規制対象にならない。CO2排出権に関するデリバティブ取引には㋒商品先物取引法が適用される。
② 金融商品取引法により、金融商品取引業者等は、金融商品取引契約の締結又はその勧誘に関して、顧客に対し㋐虚偽のことを告げる行為、㋑不確実な事項について断定的判断を提供し、又は、確実であると誤解させるおそれのあることを告げて契約を締結する行為が禁止されている。
③ 金融商品販売法では、金融商品販売業者等は、重要事項に関し、㋐当該顧客に理解されるために必要な方法及び程度による説明をしなければならず、説明義務に違反したときは、㋑当該業者は顧客に対し損害賠償責任を負う。顧客が重要事項について説明を要しない旨の意思を表明したときは、㋒金融商品販売法上の説明義務を負わない。
④ 2015(平成27)年に施行された商品先物取引法施行規則等の改正により、商品先物取引業者に対する不招請勧誘規制の対象外となる範囲が追加された。具体的には、㋐ハイリスク取引の経験者に対する勧誘、及び、㋑65 歳未満の者であることや年金等生活者でないこと等、一定の要件を満たす者への勧誘である。
⑤ 保険法において、生命保険契約の保険契約者又は被保険者になる者は、㋐保険事故の発生の可能性に関する重要な事項のうち、㋑保険者になる者が告知を求めたものについて、事実の告知をしなければならず、㋒故意又は過失(軽過失を含む)により事実の告知をしなかったときは、保険者は、保険契約を解除することができる。
⑥ 保険の保障内容を見直す方法として、㋐保険の乗換え、契約転換制度、特約付加、追加契約等がある。保険業法では、保険の乗換えの勧誘に際して、保険募集人が保険契約者又は被保険者に対して不利益となるべき事実を告げずに、㋑既に成立している保険契約を消滅させて新たな保険契約の申込みをさせる行為、又は、㋒新たな保険契約の申込みをさせて既に成立している保険契約を消滅させる行為は、禁止されている。
⑦ 2016(平成28)年5月に施行された改正保険業法では、保険会社等に対して、㋐保険加入に際して顧客の意向を把握しなければならないことが規定され、㋑顧客が保険加入の適否を判断するのに必要な情報の提供をしなければならないことが規定された。
⑧ 地震保険は、地震・噴火又はこれらによる津波を㋐直接又は間接の原因とする建物や家財の火災や損壊、埋没、流失による損害を補償する保険であり、㋑火災保険とは別に、単独で加入することができる。
⑨ 保険代理店には、特定の保険会社1社の商品を扱う専属代理店と、複数の保険会社の商品を扱う乗合代理店がある。専属代理店は、㋐特定の保険会社と代理店契約を結び、保険会社から委託を受けて保険募集を行う立場にあり、乗合代理店は、㋑法律上は契約者の代理人という立場にある。
⑩ デリバティブ(派生商品)取引は、大きく分けて、原資産となる金融商品等について、将来売買を行うことをあらかじめ約束する取引である㋐先物取引、将来売買する権利をあらかじめ売買する取引である㋑オプション取引、将来にわたって発生する利息又は通貨を交換する取引である㋒スワップ取引の3種類に分類される。
⑪「フラット35(買取型)」(以下、「フラット35」という。)は、民間金融機関と住宅金融支援機構が提携して実現した㋐長期固定金利の住宅ローンである。住宅金融支援機構は、フラット35 を取り扱っている民間金融機関から住宅ローン(フラット35)債権を買い取り、㋑それを担保とする債券を発行することで長期の資金調達を行う。住宅ローン債権が金融機関から住宅金融支援機構に譲渡されても、㋒融資金利や返済期間などの契約条件に変更は生じない。
⑫ 生命保険の保険料は、契約する年齢が高くなると、若い時期に同様の保障の保険を契約する場合に比べて㋐高くなる。運用環境が悪化し、㋑予定利率が引き下げられると、以降契約する保険の保険料は㋒安くなる。
解説
金融商品関連の問題は難しいです。確かに、相談は多いですが、ここまで知っておかなければならないのかなあ、と思ったりします。
しかも、法律だけでなく、別の大問で出題されたりするので、大問2つになり、試験に占める割合は少なくありません。
過去の事例では、穴埋め問題が多かったので、難しいなりにも得点できることが多かったのですが、「正誤×選択」になると一気に難易度が上がります。
「正誤×選択」では半分以上を目標とします。
穴埋問題のときは、難しい2択であったり、1つ間違うともう1つ間違うなど、落とし穴もあります。
暗記問題が多いですが、一般常識でも推測できる問題もあります。28年度試験でいえば、半分は取ってほしいと思います。
- 28年度 問題25(選択穴埋)5、問題21(正誤×選択)12
- 27年度 問題8(選択穴埋)10、問題20(正誤×選択)10
- 26年度 問題5(選択穴埋)10、問題22(選択穴埋)10
- 25年度 問題6(選択穴埋)10、問題21(選択穴埋)10
難易度(A易、B普通、C難)目標:6問/12問中
- 問題21① 金融商品関連法・対象法 B
- 問題21② 金融商品関連法・勧誘での禁止行為 B
- 問題21③ 金融商品関連法・重要事項の説明 BC
- 問題21④ 金融商品関連法・不招請勧誘規制の改正 BC
- 問題21⑤ 保険・重要事項の告知 B
- 問題21⑥ 保険・保障の見直し AB
- 問題21⑦ 保険・平成28年改正 BC
- 問題21⑧ 保険・地震保険 B
- 問題21⑨ 保険・保険代理店 BC
- 問題21⑩ 金融商品関連法・デリバディブ取引 BC
- 問題21⑪ 金融商品関連法・フラット35 BC
- 問題21⑫ 保険・保険料 A
ポイント
金融商品の法律はよく似た名前なので、なかなか覚えれませんが、どの法律がどんな金融商品が対象となるのかは繰り返し出題されていますので、そのような基本問題はおさえたいところです。でも、覚えれないんですよね。これは仕方がないです。時間がない方は、無理に勉強時間を割かず、ほかの事に費やしてください。
具体的な金融商品は日常生活の中で覚えていくと記憶に残ります。
一般常識で正解が推測されるものもあるので、取りこぼしたくないですね。ただ、28年度のように試験終盤に長文の金融商品関連法「正誤×選択」が12個も出題されると、正常な脳みその状態ではないので、ケアレスミスもしてしまいます。終盤の「正誤×選択」はがんばって気張りましょう。
金融関係の法律は毎年のように改正されています。
その中でも、消費者に対する規制については大事であり、そのような改正は「WEB版国民生活」などでも解説されています。
「問題21④ 金融商品関連法・不招請勧誘規制の改正」は昨年度の法律改正の対策として解説しています。いったん強化された規制が緩められるという業界寄りの法律改正であるという問題が指摘されていた予想問題でした。
ちなみに、この解説を参考までに紹介します。
商品先物取引法施行規則の改正(平成27年6月1日施行)
2015年4月号【No.33】(2015年4月15日発行)
http://www.kokusen.go.jp/wko/data/wko-201504.html商品先物取引の不招請勧誘規制の見直し[PDF形式](384KB)
【執筆者】島 幸明(弁護士)2015年1月、商品先物取引法施行規則(省令)を改正によって商品先物取引の不招請勧誘を広範に許容する内容の制度改正を行われました。 本改正は法律で定められた原則と例外を逆転させるもので多くの問題を有しています。今回はこの改正の内容や問題点等を説明します。ポイント抜粋
平成23年(2011年)1月1日、商品取引所法の改正法として成立した商品先物取引法によって、不招請勧誘の禁止規制が導入
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平成27年(2015年)1月23日付けで改正省令を公表
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この省令の施行時期は、平成27年(2015年) 6月1日詳しくは、WEB版国民生活を読んでください。先日の訪問販売への不招請勧誘導入にも関連します。
この改正については、26年度の消費生活専門相談員資格の更新講座で村千鶴子弁護士が嘆いていました。
結局は、業界、財界、政治家などの問題になるんですよね。
今回の特集を読めば、その構図がありありと浮かびます。不招請勧誘とは
勧誘の要請をしていない顧客に対し、訪問し、または電話をかけて、契約の締結を勧誘すること