食品表示の一元化は食品行政の中で、長く懸案事項になっていました。
なぜなら、食品表示を規制している法律は食品衛生法、JAS法、健康増進法と複数の省庁にまたがり、同じ期限表示が別々の法律で同じように定められていたり、加工食品の定義が異なっていたりしたためです。
しかし、消費者庁が創設され、これらの法律が消費者庁の管轄となったことから。一気に一元化の動きが始まりました。

こうして、平成25年6月に食品表示法が新たに制定され、この平成27年4月1日に施行となりました。

施行に当たって、食品の基準を統一する必要があるとのことから、これまでバラバラだった食品表示基準を見直し、通知等で運用してきたルールも盛り込み、食品表示基準が新たにまとめられました(58本を1本に)。
この基準は3月20日に公布され、3月30日に通知されたという、タイトなスケジュールでした。

食品表示基準に係る説明会資料
資料1:新食品表示制度のタイムスケジュール[PDF:31KB]
http://www.caa.go.jp/foods/pdf/150511_shiryou1.pdf

話題の「機能性食品」制度は、食品表示基準で定められています。

主な変更点はパンフレットを参照

【食品表示基準に関するパンフレット等について】
・新しい食品表示制度<リーフレット> [PDF:1,232KB]
http://www.caa.go.jp/foods/pdf/150331_reaf-newhyouji.pdf


食品表示法の問題対策として、食品表示法のポイントと食品表示基準のポイントに分けて考えると整理しやすいです。

食品表示法

消費者庁HP
ホーム > 食品表示 > 食品表示一元化情報
http://www.caa.go.jp/foods/index18.html
食品表示法
概要[PDF:419KB]
http://www.caa.go.jp/foods/pdf/130621_gaiyo.pdf
この2枚の図でまとめられています

食品表示法(平成二十五年六月二十八日法律第七十号)・・・http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H25/H25HO070.html

食品表示法の基本的なな事項が出題されるなら、法律の最初の3条文、目的・定義・理念がそのまま出てくることになると思います。コピペしてマーカーすると、かなりの量になるので、キーワードだけ抜き出します。

第1条(目的)
何のために作ったのかすべて大事。また、3つの法律が列挙されている(食品衛生法、健康増進法、農林物資の規格化等に関する法律)ので正誤・穴埋めに要注意

第2条(定義)
「食品」とは、医薬品・医薬部外品・再生医療等製品を除き、添加物は含む
「酒類」とは、酒税法 に規定する酒類⇒したがって、酒類に関しては「財務大臣」がでてくる
「食品関連事業者等」

第3条(理念)
表示の適正を確保するための施策は、消費者基本法第二条第一項 に規定する消費者政策の一環

第4条(食品表示基準の策定等)
食品表示基準の策定の根拠条文

第5条(食品表示基準 の遵守) 食品関連事業者等は、食品表示基準 に従った表示がされていない食品の販売をしてはならない。

第6条(指示等)
食品表示基準が守られてなければ、内閣総理大臣、農林水産大臣、財務大臣が行政処分(指示又は命令)できる⇒3つの大臣名、特に財務大臣を要注意
※【追記】指示は内閣総理大臣、農林水産大臣、財務大臣。命令は内閣総理大臣のみ。

第7条(公表)
第6条で指示又は命令したときは事業者名公表しなければならない

第8条(立入検査等)・第9条(センターによる立入検査等)
独立行政法人農林水産消費安全技術センターが立ち入り検査をする⇒農林水産消費安全技術センターの名前を頭のすみにに入れておく

第11条(適格消費者団体の差止請求権)
消費者契約法で追加対象となった(これまでは「消費者契約法」「特定商取引法」「景品表示法」)
※【重要】消費者契約法でも出題される可能性が大きい

第12条(内閣総理大臣等に対する申出)
表示が適正でないとき、何人も、各大臣に措置を求めることができる。⇒過去問でも「何人も」というフレーズは出題あり

第14条(不当景品類及び不当表示防止法 の適用)
ダブルで適用されることがある⇒引っ掛け問題もありかも

第17~23条(罰則)

食品表示基準

この基準は読む気がならないぐらいに分厚いです。

食品表示基準の概要がまとめられています。基本的には従来と同じですが、変更のあったっところは要チェックです。

消費者庁HP
ホーム > 食品表示 > 食品表示一元化情報
http://www.caa.go.jp/foods/index18.html

食品表示基準
食品表示基準の概要[PDF:251KB]
http://www.caa.go.jp/foods/pdf/150331_kijyun-gaiyo.pdf

説明会
食品表示基準に係る説明会について
食品表示基準に係る説明会資料
資料2:新しい食品表示制度について[PDF:662KB]
http://www.caa.go.jp/foods/pdf/150511_shiryou2.pdf

2つのPDFは、制度の主な変更点11個と機能性食品の制度について、説明しています(内容は後者が詳細版)。タイトルを抜粋します。

旧制度からの主な変更点
  1. 加工食品と生鮮食品の区分の統一
    JAS法と食品衛生法において異なる食品の区分について、JAS法の考え方に基づく区分に統一・整理
  2. 製造所固有記号の使用に係るルールの改善(平成28年4月施行)
    ・原則として、同一製品を2以上の工場で製造する場合に限り利用可能
  3. アレルギー表示に係るルールの改善
    (1) 特定加工食品及びその拡大表記を廃止
  4. 栄養成分表示の義務化
    原則として、全ての消費者向けの加工食品及び添加物への栄養成分表示を義務付け
    【義務】エネルギー、たんぱく質、脂質、炭水化物、ナトリウム(「食塩相当量」で表示
    【任意(推奨)】飽和脂肪酸、食物繊維
    【任意(その他)】糖類、糖質、コレステロール、ビタミン・ミネラル類
  5. 栄養強調表示に係るルールの改善
  6. 栄養機能食品に係るルールの変更
  7. 原材料名表示等に係るルールの変更
  8. 販売の用に供する添加物の表示に係るルールの改善
  9. 通知等に規定されている表示ルールの一部を基準に規定
    (1) 安全性の確保の観点から、指導ではなく、表示義務を課すべき表示ルール(フグ食中毒対策の表示及びボツリヌス食中毒対策の表示)
  10. 表示レイアウトの改善
  11. 経過措置期間
    経過措置期間(食品表示基準の施行後、新基準に基づく表示への移行の猶予期間)
    は、加工食品及び添加物の全ての表示について5年生鮮食品の表示については、1年6か月とする。
機能性表示食品制度の創設

1 定義
(1) 名称は機能性表示食品
(2) 疾病に罹患していない者(未成年、妊産婦(妊娠を計画している者を含む。)及び授乳婦を除く。)に対し、機能性関与成分によって健康の維持及び増進に資する特定の保健の目的(疾病リスクの低減に係るものを除く。)が期待できる旨を科学的根拠に基づいて容器包装に表示をする食品。ただし、特別用途食品、栄養機能食品、アルコールを含有する飲料、ナトリウム・糖分等を過剰摂取させる食品は除く。
(3) 当該食品に関する表示の内容、食品関連事業者名及び連絡先等の食品関連事業者に関する基本情報、安全性及び機能性の根拠に関する情報、生産・製造及び品質 の管理に関する情報、健康被害の情報収集体制その他必要な事項を販売日の60 日前までに消費者庁に届け出る。

特記事項
  • 1の加工食品の区分変更は大きい問題で、業界によっては、表示不要だったものが表示義務になったので大きな対策が必要。簡単な撒塩、生干し、乾燥等⇒食品衛生法では表示対象外だったのでアレルギー表示や固有記号は不要だったのが必要になる。
  • 3 のアレルギー表示の拡大表記の廃止とは、たとえば「マヨネーズの場合にたまごを原料に使っているのは誰でも知っているから省略できる」というものでした が、最近はたまごを使わないマヨネーズが販売されていて、「マヨネーズにはたまごが使われていないと思う子どもなど」がたまごを使用している普通のマヨ ネーズを食べてしまう事故を防ぐため、必ずたまごを使っていることを表示することになりました。
  • 4の栄養成分でナトリウム表記が食塩相当量に変更になりました。日本人にはナトリウムよりも食塩のほうが分かりやすいということです。
  • 機 能性食品のポイントは、特定保健用食品(トクホ)は国が認定したお墨付きだったものが、機能性食品では事業者が根拠資料を提出すれば基本的には認められる というもの。トクホで審査に落ちたりしたものがOKになることもあるし、怪しげな論文を資料として出す事業者も出てくるかも。また、消費者は両者の区別が つくほどの知識はないので、国のお墨付きだと思って買ってしまうトラブルも考えられる。この両者の違いは出題ポイントになりうる可能性があります。