製品事故があった場合の消費生活センターの対応(期間限定公開)

「29年度 2次試験(面接試験)対策のまとめ(会員限定)」の製品事故についての解説について質問がありました

製品事故

通常の聞き取りがありますが、ケガの程度が次のプロセスにも影響します。つまり、30日以上のケガの場合は重大事故という扱いになり、行政も消費者庁に特別な報告が必要になるとともに、事業者は消費者庁に消費生活用製品安全法に基づく重大事故の届出が必要になります。小さな事業者は知らないと思うので、消費者庁に相談するように助言します。
重大事故にならなくとも、NITEへ事故通知をします。それらも含め、事故の発生状況を細かく聞き取る必要があります。
また、誤使用といわれた場合も、誰もが誤使用してしまう製品は欠陥だという視点も忘れてはいけません。(面接体験報告に具体的なやり取りがあります)

質問

「事業者に助言」は、仲介・あっせんに入り事業者とコンタクトをとった場合を想定しての記述でしょうか。
私はセンターに勤務していないのでわからないのですが、通常、センターは消費者からの相談のみを受け付けていると思います。
製品事故に関して消費者から相談があれば、通常の相談と同様にPIOに記録し、その記録が重大製品事故の記録として消費者庁に伝わるという仕組みになっているのではないかと思います。
センターではない行政機関が重大製品事故の情報を入手した場合には、消費者庁の重大製品事故の報告様式に情報を入力して消費者庁に送信する・・ということを行っていると思います。

回答

鋭い質問ですね。教科書的にはほぼ正解ですが、現場はそう単純ではありません。

  • 『「事業者に助言」は、仲介・あっせんに入り事業者とコンタクトをとった場合を想定しての記述でしょうか。』『通常、センターは消費者からの相談のみを受け付けている 』
    ⇒そうです。始まりは消費者からの相談です。あっせんの過程で事業者と話をします。「事業者に助言」は、どちらかというと、重大事故の報告制度を知らない事業者に、国へきちんと報告してもらうための行政指導と思ってください。相談員が説明することもあれば行政職員が説明することもあると思います。ちなみに最初に業者から相談があれば、当然、相談員は対応しませんが、行政指導という形で行政職員が対応することもあります。
  • 『製品事故に関して消費者から相談があれば、通常の相談と同様にPIOに記録し、その記録が重大製品事故の記録として消費者庁に伝わるという仕組みになっているのではないかと思います。』
    ⇒そのとおりです。特に調査の必要のない製品事故は入力したら通知したことになります。しかし、きちんと原因追及してあっせんしなければ消費者は納得しないと思いますので、そう単純にはいきません。また、製品事故については任意ですがセンターからNITEへ報告することになっていますので、報告書を記入するために相談者と事業者から聞き取りする必要があります。
    【NITE製品安全】
    HOME>製品安全>製品事故情報・リコール情報>事故情報収集制度(事業者・自治体向け)
    http://www.nite.go.jp/jiko/jikojohou/shushu/index.html
    重大製品事故と非重大製品事故の2種類の様式があります。私は、相談員と連携しながら年間10件以上は報告書を書いてました。結構大変です。
    「製品事故(重大・非重大)
    (3)提出者:地方公共団体(消費生活センター・消防・警察等を含む。)
    消費生活センター、消防、警察等の機関については、消費者安全法第12条に基づき、消費者庁に通知しなければなりませんが、引き続き、事故情報の調査分析の迅速化等の観点から、NITEに対しても、併せて、情報の提供をお願いいたします。」
  • 『センターではない行政機関が重大製品事故の情報を入手した場合には、消費者庁の重大製品事故の報告様式に情報を入力して消費者庁に送信する』
    ⇒「消費者庁の重大製品事故の報告様式」ではなく、重大事故の報告様式です。
    「重大製品事故・・・消費生活用製品安全法に基づく事業者の報告義務」と「重大事故・・・消費者安全法に基づく行政の報告義務」です。重大事故には重大製品事故や製品以外の事故も含まれます。

製品事故の相談対応はセンターの規模や考え方の違いもあります。1人センターでは限界もあります。私のセンターでは私が商品テスト担当の行政技術職員であり、県の商品テスト担当者もバックアップしてくれましたし、大阪のNITEも近かったので、原因究明や行政指導を含めて、かなり突っ込んだ対応をしていました。ちなみに、行政指導といっても命令等のレベルではなく、調査要望、製品改善要望、消費者対応改善要望などです。中にはリコールにまでなった事例もあります。

これから相談員へ就職を希望される受験生はぜひ参考にしていただきたいですし、現職の相談員も、センターによって対応がさまざまだなあと感じていただければと思います。

なお、私は現場から5年離れているので状況が変わっているかもしれないのでご了承ください。

さらに、私のセンターでは商品テスト担当者が減員になってしまい、ここで紹介した手順はすべてできるわけではなくなってしまいました。特に、相談者の自宅に伺って現場調査することはかなり難しくなったかもしれません。

製品事故、特にケガが伴う事故があった場合の対応手順(理想?)

  1. 製品事故の相談
  2. 相談者からの聞き取り(製品のこと・ケガのこと)
  3. 事業者からの聞き取り(相談員もしくは商品テスト担当者から)
  4. 事故品の調査(現場訪問、持参、事業者の調査を検証)
  5. 原因究明テスト(センター、都道府県、NITE、事業者)
  6. NITEへの報告(通常の事故、重大事故)・・・任意だけど報告
  7. 重大製品事故の場合は事業者が消費者庁へ報告義務(事業者が知らないことが多いので説明)
  8. 重大事故の場合は消費者安全法に基づき行政が消費者庁へ報告
  9. 製品改善等の要望
  10. 相談者への結果報告・あっせん
  11. 国からの公表

↑この内容を詳しく解説したら、新人相談員のための製品事故対応の実務研修になりますね。センターで呼んでくれた行きますよ。