2月に29年度試験対策として書いた記事「29年度試験対策 地方消費者行政の充実・強化に向けた今後の支援のあり方」の報告書(概要)が公開されました。

論文試験の行政問題のヒントになりますので、できるだけ目を通しておいてください。28年度試験の論文に丸ごと使える文章もありました。

消費者庁HP

消費者庁ホーム >政策 >政策一覧(消費者庁のしごと) >消費者教育・地方協力 >地方消費者行政の支援に関する業務 >地方消費者行政の充実・強化に向けた今後の支援のあり方等に関する検討会
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地方消費者行政の充実・強化に向けた今後の支援のあり方等に関する検討会報告書(平成29年7月25日)

地方消費者行政の充実・強化に向けた今後の支援のあり方等に関する検討会報告書[PDF:1.2MB]
地方消費者行政の充実・強化に向けた今後の支援のあり方等に関する検討会報告書(概要)[PDF:531KB]

報告書(概要)1枚ものです

報告書のポイントを解説

16ページの報告書ですが、読んでられない、読んでも何が重要かわからない、大事なところだけ知りたいという受験生のために、ポイントを抜粋してコメントをつけました。論文試験の参考にしてください。

ひとことでまとめると、「消費者庁創設以来、国の予算措置により、消費生活センターの設置などの基盤の充実が達成できたけど、29年度で区切りをむかえることになるので、今後は地方が財源確保して地方消費者行政を充実させていくことが大事ですよ」という感じですね。

地方の財源はどんどん細るばかりです。地方の現状としては、消費者行政は予算配分を重点的にするような分野ではないということですね。

報告書には、今まで、消費者行政が充実してきた歴史や役割、これからの消費者問題の課題を示して、地方にがんばってもらい財源確保してもらうための材料がちりばめられています。その材料が、まさしく、論文で求められる、地方消費者行政の役割・あり方・課題になっています。

1ページ はじめに

はじめに
消費生活の「現場」は地方であり、消費者に身近な地方消費者行政の充実・強化は、消費者の安全・安心の確保のために極めて重要な課題である。
消費者庁においては、平成21年度より地方交付税措置の拡充や地方消費者行政活性化基金及び地方消費者行政推進交付金を活用した地方消費者行政の充実・強化に向けた支援を行ってきたところであるが、地方消費者行政推進交付金等による支援は、平成29年度に一つの区切りを迎えることとなっている。
本検討会においては、平成30年度以降の地方消費者行政の充実・強化に向けた今後の支援の在り方等について検討してきた。
本報告書は検討会における計5回の議論の結果として、地方消費者行政の充実・強化に向けた今後の支援の在り方に関する基本的な方向性について考え方をまとめたものである。

この中の『消費生活の「現場」は地方であり、消費者に身近な地方消費者行政の充実・強化は、消費者の安全・安心の確保のために極めて重要な課題である。』というのが論文の序論や結論に使える文章であり、私もテーマ1で「消費者の安全・安心の確保」はキーワードとして使った言葉です。とにかく、「消費者の安全・安心の確保」はどんなテーマになっても使える言葉であり、印象もよいと思いますので必ず頭に入れておいてください。

次の段落で、この報告書の要である「財源」のことがまとめられています。現場の相談員にまで「財源」の話が大事かというと、そこまで必要ではないと思いますが、過去問で基金が出ていますので少し気になります。

平成24年度(本試験)

1.地方消費者行政活性化基金によって地方公共団体の消費者行政の整備が進められていますが、その現状と活性化基金以降の地方消費者行政の充実・強化の課題について、下記の指定語句をすべて使用して論じなさい。なお、文章中の指定語句の箇所には、わかるように必ず下線を引きなさい。
指定語句:相談体制の整備、 連携強化、 自治事務、 国の支援、地域間格差

今回の報告書を類似問題に改題

消費者庁においては、地方交付税措置の拡充や地方消費者行政活性化基金及び地方消費者行政推進交付金を活用した地方消費者行政の充実・強化に向けた支援を行ってきたところであるが、地方消費者行政推進交付金等による支援は、平成29年度に一つの区切りを迎えることとなっている。平成30年度以降の地方消費者行政の充実・強化に向けた今後の支援の在り方等について論じなさい。

ただし、少し難しいかもしれなので、指定語句にヒントとなるキーワードをちりばめることも

1ページ I. 地方消費者行政に係る制度上の枠組みとこれまでの国の取組

地方消費者行政については、昭和43年に制定された消費者保護基本法(昭和43年法律第78号。現在の消費者基本法。)において地方公共団体の消費者行政に関する事務が明文化され、翌年の昭和44年の地方自治法の改正により「消費者の保護」が地方公共団体の事務(いわゆる「固有事務」)として規定された。その後、平成12年の地方自治法の改正により、現在では、地方公共団体における消費者行政に関する事務は「自治事務」として位置付けられている。

この文章の中に上で紹介した24年度過去問の指定語句である「自治事務」が出てきています。

我が国の消費者行政の充実に向けて、「国の消費者行政施策」と「地方消費者行政の充実・強化」は車の両輪として、その役割が期待されてきたところである。

国と地方の関係を表現した1つの側面です。

1ページ (ア) 地方消費者行政の現行法上の位置付け

地方公共団体の消費者行政については、消費者基本法第4条において、地方公共団体の責務として、「消費者の権利の尊重及び自立の支援その他の基本理念にのっとり、国の施策に準じて施策を講ずるとともに、当該地域の社会的、経済的状況に応じた消費者政策を推進する責務を有する。」とされている。
平成21年の消費者庁設立と同時に施行された消費者安全法(平成21年法律第50号)においては、地方公共団体が行うべき具体的な事務として、苦情相談・あっせん、消費者安全の確保のための情報収集及び住民に対する情報提供等が規定されている。さらに、これらの地方消費者行政を行うための基盤として、都道府県には消費生活センターの必置義務規定が、市町村には設置の努力義務規定が定められているところである。また、平成26年の改正消費者安全法においては、都道府県の消費生活相談の役割として、市町村に対する助言、協力、情報提供などの支援、関係機関との調整、市町村同士の共同処理の調整を行うことが追加された。

消費生活センターが、消費者の相談を受けてあっせんするのかという法律的根拠がまとめられています。論文対策にも面接対策にもなる基本ですね。

また、平成24年度に制定された消費者教育の推進に関する法律(平成24年法律第61号)においては、消費者教育の推進に関する施策の策定や実施の責務が規定されているほか、特定商取引に関する法律(昭和51年法律第57号)や不当景品類及び不当表示防止法(昭和37年法律第134号)等の個別の消費者関係法令において、主務大臣の権限に属する事務の一部について、地方公共団体の長が行うことができる規定が設けられており、法執行についても権限を有している。なお、平成26年の不当景品類及び不当表示防止法の改正においては、都道府県の執行体制の強化のため消費者庁長官の権限である措置命令権限及び合理的根拠提出要求権限が、都道府県知事に付与されるなど、地方公共団体における法執行事務は拡大している。

消費者教育に関する施策や特商法や景品表示法に対する地方の権限強化についてまとめられています。

2ページ (イ) 地方交付税措置、地方消費者行政推進交付金による支援等の取組

国の支援としての基金や交付金などの財源措置の経過がまとめられています。国が財源措置を長期にわたり続けるのは『「既存基金への積み増しについては、財政規律の観点から、厳に抑制する」との政府方針を受け』とあるように厳しくなり、これ以上の財政措置については限界が来たのでしょう。

財源措置をするための理由付けとして「先駆的プログラム」という言葉が出てきていますね。

3ページ II. 地方公共団体における現状と課題

地方消費者行政推進交付金等の活用により、全国レベルで見れば、地方公共団体における消費生活センターの設置、消費生活相談員の配置等の消費生活相談体制の整備は相当程度進展してきている。また、消費者教育の推進、消費者安全確保地域協議会等の新たな取組についても進展が見られている。
他方で、地方消費者行政推進交付金等の呼び水効果として期待された地方の消費者行政に係る財源の確保については、伸び悩んでいる。
その背景としては、高齢化や少子化対策経費の増等による地方公共団体における扶助費の増加などにより、自由度の高い財源が限定されていることが考えられる。このため、今後、地方公共団体の財源のみでは現在の消費生活相談体制の維持は困難との指摘もある。このため、国から地方に対する支援と地方の財源の確保の両面から、どのように地方消費者行政の整備・充実をしていくかが大きな課題である。

国の財源によって『地方公共団体における消費生活センターの設置、消費生活相談員の配置等の消費生活相談体制の整備は相当程度進展』という効果が見られたが、今後は地方の財源措置にかかっているということですね。その後に細かい財源の状況がまとめられています。

6ページ (イ) 人員

(イ) 人員
① 行政職員
地方公共団体における消費者行政担当職員の数は、平成28年度は5,230名であり、近年、専任職員の数は減少傾向にある。地方公共団体においては、法執行を担当する専門性の高い職員の不足などの問題点が挙げられる。
② 消費生活相談員
消費者庁設立後、全国的に消費生活相談員の配置・増員が進み、平成21年には2,800名であったものが、平成28年には3,393名に増加した(図表1-4)。
平均報酬額も増加傾向である一方で、いわゆる「雇止め」を行う地方公共団体数が大きく減少するなど、消費生活相談員の処遇は着実に改善している。他方で報酬や資格保有率については、地域間格差が存在している。
消費生活相談業務の複雑化や困難化に対応するためには、消費生活相談員の確保が重要であるが、消費生活相談員の人件費について、地方消費者行政推進交付金に頼られているのが現状であり、今後、地方公共団体の財源の確保がなされなければ、消費生活相談員の確保が難しくなり、消費生活相談に係る行政サービスの水準の維持が困難になるとの指摘がある。
また、担い手確保という観点からは、平成28年4月施行の改正消費者安全法において、消費生活相談員の職や資格試験を法定化し、担い手の質と量の確保を図ってきたが、十分な成果が発現しているという状況とはなっていない。若者が消費生活相談員になろうとしないという課題があり、消費生活相談員を魅力ある職とすることで若者の担い手を確保していくことが重要である。

図表1-4 消費生活相談員の配置状況

平成21年 平成22年 平成23年 平成24年 平成25年 平成26年 平成27年 平成28年
全体 2,800 3,146 3,321 3,391 3,371 3,345 3,367 3,393
うち資格保有 2,140
(76.4%)
2,328
(74.0%)
2,490
(75.0%)
2,569
(75.8%)
2,549
(75.6%)
2,612
(78.1%)
2,659
(79.0%)
2,701
(79.6%)
うち資格未保有 660
(23.6%)
818
(26.0%)
831
(25.0%)
822
(24.2%)
822
(24.4%)
733
(21.9%)
708
(21.0%)
692
(20.4%)

(備考)消費者庁「地方消費者行政の現況(平成28年度)」より作成。

※表は一部修正しました

行政職員としては専門性の高い職員が不足していますが、専門職ではないただの事務職員であれば当然の結果ですね。2-3年で移動すれば育たないですから。兵庫県など専門職を設置している自治体もあります。

相談員の現状についてまとめられています。相談体制の充実に向けて消費生活センターや相談員の数が増えています。若い相談員の担い手の確保が課題とあげられています。行政職員並みの待遇であれば担い手も出るのですが、ワーキングプアでは難しいです。結果的に、40-50代以上の社会貢献を意識した女性相談員や定年退職後の元行政職員などが多くなるのですね。「若い相談員の担い手の確保が課題」というのが就職に有利かもしれません。
そして、特筆すべきは資格身保有の相談員の多さですね。3393人中20.4%の692人というおは驚きです。主にベテラン相談員や資格保有者が少ない地方に多いのかもしれません。
また、資格保有者でも新資格を取得するような流れになっています。「692人に合格してもらわなければならない+新資格を早く取得してほしい」が落ち着かない限り、混沌とした新試験が続くのではと思います。だから、論文は行政問題を選んでください。とばっちりは、一般受験者ですね。

7ページ (ウ) 組織 ① 消費生活センター、消費生活相談窓口

設置状況がまとめられています

10ページ ② 消費者教育の推進体制

一方、成年年齢引下げの議論の進展もあり、若者への消費者教育の充実の必要性が高まっている中で、消費生活センターにおいては消費者教育の拠点としての役割が求められているものの、その機能の充実は十分とは言えず、更なる強化が求められるところである。

国としても重要と考えていることです。若者の消費者トラブルについては、いつ論文試験のテーマに出てきても不思議ではありません。

また、消費者教育の推進にあたっては、2015年にSDGs2(持続可能な開発目標)国連で採択されたこともあり、公正かつ持続可能な社会の形成という課題が、全世界的により一層重要な課題となっており、従来の消費者被害の未然防止という観点からさらに一歩進んだ取組として、フェアトレード商品寄付付き商品の消費を推進する倫理的消費食品ロス削減の推進消費者志向経営の推進といった新たな消費者教育の展開への対応も求められているところである。

「SDGs2」という聞きなれない言葉ですが、択一問題に出る可能性もあるので何となく知っておきましょう。

 

10ページ ③ 消費者安全確保地域協議会、見守りネットワーク

近年、とりわけ高齢者の消費者被害が深刻化している。今後、高齢化がより一層進行することを踏まえると、高齢者の消費者被害に対応するためには、高齢者本人が消費生活センター等に相談することを待っているだけでは、必ずしも十分とはいえず、高齢者の周りにいる人が、高齢者の消費生活上の安全に常に気を配り、何らかの異変を察知した場合には、消費生活センター等の機関に適切につなぐことで、高齢者を地域で見守る体制を構築することが極めて有効である。

ここでも出てきています頻出キーワード2つですね。見守り体制の充実には消費生活センターの更なる設置の促進が必要だと続いています。

11ページ III. 基本的な考え方

消費者行政の推進に当たっては、車の両輪の関係にある国における消費者行政と地方消費者行政の充実・強化を同時に図っていく必要がある。国・地方ともに厳しい財政事情の中で、消費者の安全・安心を確保するためには、国と地方の役割を明確にした上で、国と地方が適切に連携し消費者行政の推進にあたることが重要である。

11ページ (ア) 今後の地方消費者行政の基本的な方向性

消費者の安全・安心を確保するためには、「どこに住んでいても質の高い相談・救済が受けられる」地域体制の整備が肝要であり、この考え方は地方消費者行政における根幹となる。

またもや論文に使える重要な文章です。

今後、消費者の安全・安心を確保するために、これまでに地方消費者行政推進交付金等を通じて整備された地方消費者行政の基盤を維持し、さらなる充実を図るには、地方公共団体において財源を適切に確保し、取り組む必要がある。

地方の課題です

一方で、従来の消費者問題に加え、高齢化・情報化・国際化の進展により、消費者相談が複雑化し、消費者被害が深刻化しており、その予防・解決がより一層困難になっている。例えば、高齢化の進展は、認知能力の低下による被害の深刻化を招くほか、情報化の進展によるサービス(インターネット、SNS、スマートフォン等)が高齢者にも普及することにより、類似のトラブルが全国に広がりやすくなっており、消費者被害の増大も懸念される。また、国による新たな制度の創設および新たな政策の推進に伴い、地方消費者行政において新たな課題に対応する必要があり、消費者行政に携わる職員の役割も大きくなっている。そして、以上のような課題のために、消費者行政が他の行政部門と連携して、また広域的に協力して、問題を解決する必要性も増している。

社会情勢の変化に伴う高齢者の被害について例示されています。高齢者が社会の進展の速さについていけないというのがポイントですね。

このような地方消費者行政において、その中核である消費生活センターは、全国共通番号の消費者ホットラインを平成27年7月より3桁番号化(188)したことで、より身近な消費生活に関する相談を受ける窓口としての役割が大きくなってきているところであり、広域的に活用される情報を広く収集するとともに、消費生活に関連する社会問題や制度変更について、消費者に対して正確かつ分かりやすい情報を提供し、問題に応じて消費者を国や地方公共団体内の他の行政部局へとつなぐ機能も果たしているところである。

いまいち周知されていない「消費者ホットライン」188ですね。

近年も、マイナンバー制度、消費税率の引上げ、電力・ガス自由化などの制度変更や、日本年金機構の個人情報流出に便乗した勧誘等、アダルトビデオ出演強要問題等の社会問題に関する相談に対応するなど、

最近の社会問題です。「アダルトビデオ出演強要問題」が出ているのがすごいですね。若者のトラブルです。契約の無知につけこんで「違約金」が必要と強要されてしまうものです。もしかすると、論文の指定語句等になったりするかもしれませんね。

これに加えて、成年年齢の引下げに関する議論の進展等の社会情勢の変化にも鑑みると、若い世代への消費者教育を重点的に進めるとともに、身近な所で質の高い相談を受けられる消費生活センター及び窓口が設置されていることが重要である。また「誰一人取り残されない」社会の構築を基本理念とするSDGsに対応した取組として、フェアトレード商品の購入など人や社会、環境に配慮した消費行動の促進、高齢者や障害者等を地域全体で見守る仕組みの構築など、新たな課題への対応の必要性も強まっている。今後も社会状況や制度の変化に伴う新たな課題が発生する可能性は高まっており、新たな課題に対しては国が方向性を示した上で、地方公共団体の取組を支援していく必要がある。

「成年年齢の引下げ」と「SDGs」がまた出てきました。

12ページ (イ) 地方公共団体による取組の充実・強化

消費者の安全・安心の確保のためには、身近に専門的な窓口が整備され、消費者事故等の情報収集や消費者教育・啓発事業等を行う消費者行政の拠点が整備されている必要がある。

これも重要な文章です。

13ページ (ウ) 国による支援の考え方

これまで、地方消費者行政の充実・強化に向けて地方消費者行政推進交付金等を通じて地方への財政支援を行ってきた結果、消費生活センターや消費生活相談員の充実・強化などの地方消費者行政の基盤整備がなされてきたところであるが、今後、その体制維持をしつつ、更なる地方消費者行政の充実を目指すためには、地方の財源の確保を促す必要がある。

財源ですね。

特に、高齢化・情報化・国際化の進展や成年年齢の引下げなどにより生ずる新たな消費者問題や国の重要課題については、国が先見的に取組の方向性を示し、それらの課題に取り組もうとする意欲的な地方公共団体に対して支援するとともに、それらの取組が全国各地へ拡大し、継続的に発展するような仕組みを構築する必要がある。

取り組むべき課題です。

13ページ IV. 対応の方向性 (ア) 消費者行政に係る体制整備の充実・強化に向けた財源の確保

13ページ (イ) 消費生活相談員の処遇改善、担い手の確保

消費生活相談員は、「どこに住んでいても質の高い相談・救済を受けることのできる体制」を支える基盤である。

何度も出てくる文章です。

また、改正消費者安全法では、都道府県において市町村の相談事務等に関し助言等を行う「指定消費生活相談員」を指定するよう努力義務が定められたことから、今後はこうした指導的立場へのキャリアパスも想定される。

「指定消費生活相談員」の語句が出てきました。

14ページ (ウ) 他部局、多様な主体との連携、広域連携の活用

消費者問題の解決に向けては、地方消費者行政が、改正消費者安全法に規定された消費者安全確保地域協議会等において、福祉部局を始めとする他部局や警察との連携、弁護士、司法書士等の専門家、適格消費者団体等の多様な主体との連携により、地域の課題解決力を向上させることが求められている。

論文でも多用される「連携」です。

15ページ (エ) 法執行機能の充実・強化

しかし、地方公共団体によっては、担当行政職員の不足等の課題があり、その執行実績には格差が存在するのが現状である。

15ページ (オ) 新たな地方消費者行政の展開に向けた国の支援

今後も国は、高齢化・情報化・国際化を始めとして、社会情勢の変化によって生ずる新たな消費生活に関連する課題や、国による新たな政策の推進・制度変更に伴う課題、そして広域的又は行政分野横断的な連携の必要性に対応するために取り組むべき施策を提示し、それに積極的に取り組む地方公共団体を支援することにより、新たな消費者問題の解決につながる実効的な仕組みを構築する必要がある。

今後のまとめです。

さらに、SDGsへの対応など、これまでの消費者被害の防止からさらに一歩進んだ取組として、倫理的消費や食品ロス削減の推進、消費者志向経営などの新たな消費者行政に向けた取組も求められるところであり、このような新たな課題へと取り組もうとする意欲的な地方公共団体に対して支援することも必要となる。

「SDGs」がまた出てきました。

これらの新たな課題に対応していく上で、消費生活センターや消費生活相談員などの地方消費者行政の基盤の維持・充実が今後も図られる必要があることから、課題への対応状況と併せて、地方消費者行政の基盤の整備状況についても定期的にチェックを行い、国として必要な検討を行っていく必要がある。

最後の文章です。