1. 次の各文章が、正しければ○、誤っていれば×を解答用紙の解答欄に記入(マーク)しなさい。

⑤ 消費者安全法では、消費生活相談員は、登録試験機関の行う消費生活相談員資格試験に合格した者又はこれと同等以上の専門的な知識及び技術を有すると都道府県知事若しくは市町村長が認める者でなければならないと規定されている。

⑥ アメリカのケネディ大統領は、1962(昭和37)年に「消費者の権利保護に関する大統領特別教書」(ケネディ教書)を議会に提出し、「安全への権利」「情報を与えられる権利」「選択をする権利」「連帯する権利」の4項目を「消費者の権利」としてうたった。

⑦ 国民生活の安心や安全を損なう企業不祥事の多くが、事業者内部からの通報を契機として明らかになったことなどから、2004(平成16)年に公益通報者保護法が制定された。

⑧ 国民生活センター越境消費者センター(CCJ)は、韓国消費者院等の海外の消費者相談機関と連携し、日本の消費者と海外の事業者との間の越境取引に関する消費者相談業務を行っている。

解説

問題1⑤ 消費生活相談員の定義(消費者安全法)

⑤ 消費者安全法では、消費生活相談員は、登録試験機関の行う消費生活相談員資格試験に合格した者又はこれと同等以上の専門的な知識及び技術を有すると都道府県知事若しくは市町村長が認める者でなければならないと規

定されている。

これは、ラッキー問題というか、相談員資格の要件はこれですよ、という自覚を促すような問題ですね。都道府県知事のところを「消費者庁長官」にかえるという変な問題にはなりにくいでしょう。ということで、⑤はすべて正解です。

ここで知っておいてほしいことは、後半部分は無資格相談員を救済する裏の意味があるということです。残念ながら試験に合格しない、もしくはずいぶん昔に相談員になったまま資格を取得していない相談員が、新制度でも引き続き相談員を続けることができるように、資格がなくても都道府県知事や市町村が同等ですよと認めた場合は、消費生活相談員として今の仕事を続けることができるようにしたという意味です。この同等と旧3資格保有者のみなし合格制度という救済措置については制度を作るときにかなり議論されました。本来は、もれなく新資格を取るべきでしょうが、全く新しい試験ではなく、従来の資格を併用した形になってしまいましたからね。

消費者安全法・・・http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H21/H21HO050.html

(消費生活相談員の要件等)
第十条の三  消費生活相談員は、内閣総理大臣若しくは内閣総理大臣の登録を受けた法人(以下「登録試験機関」という。)の行う消費生活相談員資格試験に合格した者又はこれと同等以上の専門的な知識及び技術を有すると都道府県知事若しくは市町村長が認める者でなければならない
2  以下省略

問題1⑥ ケネディ大統領の4つの権利

⑥ アメリカのケネディ大統領は、1962(昭和37)年に「消費者の権利保護に関する大統領特別教書」(ケネディ教書)を議会に提出し、「安全への権利」「情報を与えられる権利」「選択をする権利」「連帯する権利」の4項目を「消費者の権利」としてうたった。

定番問題です。昨年も出題されました。一番基本となる4つの権利ですので、今回のように「連帯する権利」というのが明らかに仲間はずれだと分かりますので、簡単だったと思います。
ちなみに、「連帯する権利」は「連帯する責任」が正解であり、CI(国際消費者機構)の「8つの権利と5つの責任」の中の「5つの責任」に含まれてます。
「連帯する」というフレーズは覚えていない人が多いと思いますので素直に考えたらいいと思います。したがって、⑥は不正解です。

あわせて覚えておくべきこと
・ケネディの4つの権利の後、1975年にフォード大統領が5つ目の権利として、「消費者教育を受ける権利」を追加したこと
・CI(国際消費者機構)という言葉と「8つの権利と5つの責任」を正確に覚えなくてもいいですので、なんとなく思い出せる程度に頭に入れておいてください。

【参考】ハンドブック消費者2014

ハンドブック消費者2014」の8-9ページに掲載されていますので、抜粋しておきます。
(消費者庁HP…http://www.caa.go.jp/adjustments/handbook.html

3.ケネディ大統領の4つの権利(1962年)
① 「消費者の利益の保護に関する連邦議会への特別教書」において、以下の4項目を「消費者の権利」(Consumer Rights)として提示。
● 安全への権利
● 情報を与えられる権利
● 選択をする権利
● 意見を聴かれる権利
② 同教書では、
・「消費者の権利」の実現に支障がないようにすることは、連邦政府の責任
・その責任を果たすため、立法及び行政措置をとることが必要
とされている。
③ 上記に基づき、公正包装及びラベル表示法(1966年)、消費者信用保護法(1968年)、消費者製品安全法(1972年)等が制定された。
4.国際消費者機構(CI)の8つの権利と5つの責任(1982年)
① 消費者団体の国際的組織であるCI(Consumers International:国際消費者機構)が、次の8項目を「消費者の権利」として提唱。
● 生活のニーズが保証される権利
● 安全への権利
● 情報を与えられる権利
● 選択をする権利
● 意見を聴かれる権利
● 補償を受ける権利
● 消費者教育を受ける権利
● 健全な環境の中で働き生活する権利
② また、前述の「消費者の権利」とともに、次の5つを「消費者の責任」(Consumer Responsibilities)として提唱。
● 批判的意識を持つ責任
● 主張し行動する責任
● 社会的弱者への配慮責任
● 環境への配慮責任
● 連帯する責任

参考(平成27年度試験 問題1)

① 1962年にケネディ教書で表明された4つの権利は、㋐安全への権利、㋑情報を与えられる権利、㋒選択をする権利、意見を聴かれる権利である。

② 1982年、国際消費者機構(CI)は、消費者の㋐6つの権利と3つの責任を提唱した。具体的には、㋑生活のニーズが保証される権利、㋒批判的意識を持つ責任などである。

問題1⑦ 公益通報者保護法

⑦ 国民生活の安心や安全を損なう企業不祥事の多くが、事業者内部からの通報を契機として明らかになったことなどから、2004(平成16)年に公益通報者保護法が制定された。

ちょっと嫌な暗記問題ですね。問われているのは後半の「2004(平成16)年に公益通報者保護法が制定された」というところです。正誤×選択で下線が引かれていませんが、まあ、前半の「事業者内部からの通報」を「消費者からの通報」に変えているということはないとは思います。念のため。

さて、普通に勉強していれば、前半の説明は後半出てくる「公益通報者保護法」のことだとするのは想像でも分かりますよね。すると、制定されたのが「2004(平成16)年」かどうかです。まず、制定年まで覚えている人はいないでしょう。よほど大きなずれがない限り、制定年は正解だと決め打ちするほうが素直かもしれませんね。この問題は「公益通報者保護法」がどんな法律か知っておくようにという教育的要素があるのかもしれません。ということで、⑦はすべて正解です。

制定年を推測するために制定された背景を知っておくのもいいかもしれません(教科書では大手自動車メーカなど具体的なメーカー名はあまり出ていません)

  • 三菱自動車の欠陥隠し(2002年横浜母子3人死傷事故・山口トラック運転手死亡事故・・・ウィキペディア
  • 雪印食品牛肉偽装事件(2001年、国産牛肉BSE発生により国産牛買取制度で、安価な外国産牛肉を国産と偽り不正買取請求、ちなみに2000年に親会社の雪印乳業が低脂肪乳の大規模食中毒・・・ウィキペディア

「公益通報者保護法」は、ざっくり下記のような法律だというのを読んでおく程度でいいと思います。

公益通報者保護法とは(相模原市HPより引用)

食品の偽装表示や自動車のリコール隠しなど国民の安心や安全を損なうような企業不祥事が続発し、その多くが事業者内部の労働者からの通報を契機として明らかにされました。
この公益のために通報を行ったことを理由として労働者が解雇などの不利益な取扱いを受けることのないよう通報者の保護に関する制度的なルールを明確化するとともに、国民の生命または身体の保護、消費者の利益の擁護等にかかわる法令遵守を確保するために公益通報者保護法が制定されました。
この法律では、労働者が、事業者内部の一定の犯罪行為や法令違反行為について、(1)事業者内部、(2)県や市など法律違反に対して処分ができる行政機関、(3)報道機関や消費者団体などの事業者外部のいずれかに対して、通報先に応じた保護要件を満たした通報を行った場合に、公益通報者に対する解雇の無効、不利益取扱いの禁止、公益通報を受けた事業者や行政機関の取るべき措置などを定めています。

消費者庁HP
ホーム > 消費者制度課 > 公益通報者保護制度
http://www.caa.go.jp/planning/koueki/index.html

あまり見るところはありません。

問題1⑧ 国民生活センター越境消費者センター(CCJ)

⑧ 国民生活センター越境消費者センター(CCJ)は、韓国消費者院等の海外の消費者相談機関と連携し、日本の消費者と海外の事業者との間の越境取引に関する消費者相談業務を行っている。

この問題の裏目的は、相談員なら、このことを知っておきなさいよという教育でしょう。「韓国消費者院」が正しいかどうかは気にする必要はないです。

越境取引に関する消費者相談窓口:国民生活センター越境消費者センター(Cross-border Consumer center Japan:CCJ)
https://ccj.kokusen.go.jp/

当初は一般社団法人ECネットワーク(http://www.ecnetwork.jp/)が、2011年11月から消費者庁から委託を受けて「消費者庁越境消費者センター(CCJ)」を開設しました。
ECネットワークの原田由里さんが消費者庁創設のときの地方消費者行政活性化基金を使った消費者センターのインターネットトラブルの研修講師をしていて、ほぼ全国を回っていました。有名人です。私も何度か研修でお見かけしました。基金が終了してから、ばったり研修はなくなりましたので、なんともいえない研修バブルでした。ECネットワークへの委託は2014年度で終了し、2015年6月から国民生活センターが委託を受けて事業をするようになり現在に至ってます。

海外での取引の相談が消費者からあった場合は、CCJを紹介するというパターンです。覚えておいてください。ということで、⑧はすべて正解です。

【解答】
⑤○、⑥×、⑦○、⑧○