今までと同じ「WEB版」で見たい方もおられると思いますので、22年度と同じように作成しました。
ただし、かなり長いページになりますので、ご注意ください。
内容は個別記事と同じです。
なお、各記事のタイトルが上手く整形できていませんがご了承ください。

「解説と解答]をクリックしてください。

23年度 問題1①~④ 相談統計 (正誤で×を選択) その1

1.次の文章のうち、正しいものには○、誤まっているものには×を、解答用紙の解答欄に記入 (マーク) しなさい。また、誤まっているものには、誤まっている箇所 (1ヵ所) の記号も記入 (マーク) しなさい。

①2009年度までに全国の消費生活センターが受け入れ、PIO-NETに登録された消費生活相談の総件数の年度別推移を見ると、2004年度を境に㋐減少傾向を続けている。なかでも、㋑架空請求に関する相談の件数はピーク時に比べ大幅に減少している
②2009年度までにPIO-NETに登録された消費生活相談について、支払い方法別に相談件数の推移を見ると、㋐個別信用購入あっせん取引の相談は減少傾向にあり、㋑クレジットカードを利用した取引の相談が増加傾向にある。
③2009年度までにPIO-NETに登録された消費生活相談について、契約当事者の年代別の割合を時系列で比較すると、契約当事者が30歳未満の割合は2003年度を境に㋐減少している。60歳以上の割合は増加しており、2009年度には㋑全体の約半数を占めている
④2009年度までにPIO-NETに登録された消費生活相談の過去5年間の相談件数の推移を見ると、未公開株、社債、各種ファンド、外国通貨など㋐投資に関する相談が増加する傾向にあり、㋑「劇場型」や「被害回復型」などの手口も出現した。なかでも、未公開株に関する被害は㋒30歳代の給与生活者に被害が集中する特徴がある

【解説と解答】
PIO-NETの統計情報による相談状況の問題です。前年にはありませんでしたが、一般的な相談傾向として考えても十分に解答を導き出すことができます。
基本的には国民生活センターが毎年公表し出版している「消費生活年報2011」(2011年10月発行)に掲載されているものです。出版に先立ち、8月に概要が公表されています。とりあえず、必須情報ですね。なお、年報を購入しなくても公表資料で十分だと思います(もちろん、余裕があれば年報を読んでみてもいいかと思います)。
そして、今回の問題で一番重要なことは、問題となっている統計が最新の2010年度ではなく2009年度が対象となっていることです。
2009年度の公表資料と2010年度の公表資料を抜粋します。

2009年度のPIO-NETにみる消費生活相談の概要[2010年8月4日:公表]

http://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20100804_3.html
この概要は、国民生活センターと消費生活センターを結ぶ「全国消費生活情報ネットワーク・システム(PIO-NET:パイオネット)」によって収集した2009年度の消費生活相談情報をまとめたものである(対象データは、2010年5月末日までに国民生活センターのホストコンピューターに登録された苦情相談)。
当該情報の詳細については、「消費生活年報2010」(2010年10月発行予定)に掲載する予定である。
2009年度のPIO-NETにみる消費生活相談の主な特徴
(1)消費生活相談情報の総件数は、約90万件で減少傾向。
(2)「架空請求」の相談は激減するも、「架空請求」以外の相談は微減にとどまる。
(3)20歳代以下の契約当事者の相談が減少する一方、60歳以上の相談が増えており、契約当事者の高齢化が進んでいる。
(4)「油脂(食用油)」「住宅関連」「株」「四輪自動車」などの相談が増加。
(5)「サラ金・フリーローン」の相談は大きく減少した。
(6)「安全・品質」と「接客対応」に関する相談件数が過去最高に。
(7)「店舗外販売」の件数が減少しているものの、「店舗購入」は増加傾向。
(8)割賦販売法の改正などを背景に「個品割賦」は減少傾向、「総合割賦」は増加傾向。
(9)契約・購入金額、既支払金額ともに総額が減少。
[報告書本文(PDF)] 2009年度のPIO-NETにみる消費生活相談の概要(362KB)
http://www.kokusen.go.jp/pdf/n-20100804_3.pdf

2010年度のPIO-NETにみる消費生活相談の概要[2011年8月25日:公表]

http://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20110825_2.html
この概要は、国民生活センターと消費生活センターを結ぶ「全国消費生活情報ネットワーク・システム(PIO-NET:パイオネット)」によって収集した2010年度の消費生活相談情報をまとめたものである(対象データは、2011年5月末日までに国民生活センターに登録された苦情相談)。
当該情報の詳細については、「消費生活年報2011」(2011年10月発行予定)に掲載する予定である。
2010年度のPIO-NETにみる消費生活相談の主な特徴
(1)消費生活相談情報の総件数は減少するも、架空請求以外の相談は、2004年度以降初めて増加。
(2)東日本大震災関連の相談も約9,000件寄せられた。
(3)70歳以上の相談の割合が大きくなり、相談の高齢化がさらに進む。
(4)「公社債」「ファンド型投資商品」「株」などの投資商品に関する相談が増加。
(5)「アダルト情報サイト」のトラブルが各年代に広がる。
(6)地上デジタル放送への移行に伴い、関連する相談も増加。
(7)「取引」「安全・品質」ともに、情報通信に関連する相談が主流に。
(8)「店舗外販売」の件数が増加、とくに「電話勧誘販売」が件数・割合ともに増加。
(9)契約・購入金額、既支払金額ともに総額が増加、投資商品の影響か。既支払金額は、過去最高に。

[報告書本文] 2010年度のPIO-NETにみる消費生活相談の概要[PDF形式](460KB)
http://www.kokusen.go.jp/pdf/n-20110825_2.pdf


2003年度から2004年度にかけて架空請求はがきが全国にばら撒かれたり、携帯電話に覚えのない請求メールがSMSやEmailを使って送りまくられていた象徴的な年でした。相談時間は5分もあれば終了しますが、相談件数が何倍にも膨れ上がり、通常の相談業務に支障をきたすほどの事態になりました。統計も比較しずらくなったので架空請求と架空請求以外の件数を分けるようになりました。今は形を変えた架空請求がありますが、相談件数は当時の比ではありません。そのような時代背景を体感していたのなら、この設問は分かりやすいと思います。したがって、①はすべて正解です。

(2009年度)
1.相談件数等
(1)相談件数は約90 万件で、減少傾向にある
図1 は、消費生活相談の年度別総件数の推移を示したものである。2009 年度に全国の消費生活センターが受け付け、PIO-NET に登録された消費生活相談情報の総件数は899,433 件であり、前年度より5.3%減少となった。
架空請求の件数自体も年々減少し、2004 年度のピーク時の675,676 件と比べると2009 年度の相談件数は61,089 件で、減少率は91.0%となっている。一方、架空請求以外の相談件数では、2004 年度は1,243,998 件、2009 年度は838,344 件で、減少率は32.6%となっているが、架空請求の減少率に比べればそれほど大きくない。
(2010年度)
1.相談件数等
(1)相談件数は約90 万件、架空請求以外の相談は増加
図1 は、消費生活相談の年度別総件数の推移を示したものである。2010 年度に全国の消費生活センターが受け付け、PIO-NET に登録された消費生活相談情報の総件数は887,972 件であり、架空請求に関する相談が多かった2004 年度以降、2010 年度に至るまで減少を続けている。一方、架空請求を除く相談件数は、2004 年度以降初めて増加した。
2011 年3 月11 日に発生した東日本大震災以後、震災に関連する相談は3 月31 日までで8,864 件寄せられている。この期間における主な相談は、ガソリンや食料品に代表される物資不足や、計画停電による電気に関するものである。
※架空請求と架空請求以外の相談件数を棒グラフにして時系列に作成した表を参照


高齢者に対する次々販売やリフォームなどは個品割賦(今は個別信用購入あっせん契約)によるものが多く、クレジット会社の加盟店管理や過剰与信も問題になり、割賦販売法が改正されたことは勉強をしている方なら当然知っていると思います。したがって、個品割賦は減少傾向にあります。ただし、今は携帯電話の購入が個別信用購入あっせん契約なので今後の増加要因になるかもしれないのですが2009年度なので考えすぎて不正解にしないように注意してください。下線部が契約の種類で減少しているのは確定事実なので、問題の書き方からいって深く考えずに割販法の改正の影響で減少したとしてください。また、下記の概要の解説にもあるとおり、出会い系サイトのポイントをクレジット決済するなど通常のカード払いが増加しています。したがって、②はすべて正解です。

(2009年度)
5.「個品割賦」は引き続き減少するも、他の割賦販売は増加
表6 は支払方法別にみた推移である。全体的にみると、「信用供与無し」が約7 割、信用供与を受けている「販売信用」(クレジット契約)と「借金契約」が合わせて3 割弱となっている。「借金契約」の件数・割合ともに減少したが、これは「サラ金・フリーローン」の相談件数が減少したことなどによるものである。
「販売信用」の内訳をみると「個品割賦」が最も多く約4 割を占めているが、近年減少傾向が続いている。これは、割賦販売法の改正などを背景に、「個品割賦」による「浄水器」等に関する相談が減少したことなどによるものである。
一方、決済代行業者を通じたクレジットカード払いによる「出会い系サイト」の利用に関する相談が増加したことなどにより、「総合割賦」や「翌月一括・ボーナス一括」が件数・割合ともに増加している。
(2010年度)
取り上げられていない(年報には自社割賦が増加したとの解説があります)


2003年度といえば2004年度にかけて激増した架空請求で、若者にも被害が続出しました。その後、架空請求は減少しているので、30歳未満の若者の相談割合が減少すると考えるのは自然です(グラフを見れば一目瞭然ですが)。やはり、被害の中心は高齢者です。ただし、いくらなんでも半数を占めることはありえませんね。すると、①はもれなく正解だと導かれます。このあたりの解答はまじめに考えずに直感でさくっと考えてください。ということで、③は㋑が不正解です。

(2009年度)
1.相談件数等
(2)60 歳以上の相談が増加、契約当事者の高齢化が進む
契約当事者の年代を年度別にみたのが図2 である。
・2009 年度では、30 歳代が最多で18.5%であった。次いで40 歳代が16.5%、70 歳以上が13.6%と続く。
・時系列で割合を比較すると、契約当事者が20 歳代以下の若者の割合は2003 年度をピークに減少している。一方、60 歳以上の高齢者の相談が増えており、2000 年度には相談の16.4%であったが、2009 年度には26.3%を占め、高齢化の傾向にある。
(2010年度)
1.相談件数等
(2)70 歳以上の割合が大きくなり、契約当事者の高齢化が進む
図2 は、契約当事者の年代を年度別に示したものである。
・2010 年度では、30 歳代が最多で16.8%であった。次いで40 歳代が16.1%、70 歳以上が15.4%と続く。
・20 歳代までの割合は減少している一方、70 歳以上の割合が増加傾向にあり、両者の全体に占める割合が初めて逆転した。高齢化の進展に伴い、相談も高齢化傾向にある。


未公開株やロコロンドンなど、あらゆる種類の投資が出現しているのは実感していると思います。手口も劇場型など詐欺的手法が使われています。未公開株に関する被害は30歳代だけでなく、お金を持っていそうな世代に広く被害が発生しています。30歳代に被害が集中するというのは明らかに間違いであると気づくと思います。したがって、④は㋒が不正解となります。明らかに不正解と分かれば残りは正解ということで、さっさとスルーしましょう。

2.商品・役務ごとにみた相談の状況
(1)2009 年度の商品・役務の特徴
③「株」・・・未公開株の電話勧誘が多い「株」が増加以前被害を受けた人が再び狙われる事例も目立つ。
7.主な問題商法
・「電話勧誘販売」は未公開株などの「株」や「分譲マンション」が多く、契約当事者は30 歳以上の各年代で見られる。
解答一覧

①→○、②→○、③→×㋑、④→×㋒

この4つは全部正解しておきたい問題です。

23年度 問題1⑤ 消費者ホットライン (正誤で×を選択) その2

1.次の文章のうち、正しいものには○、誤まっているものには×を、解答用紙の解答欄に記入 (マーク) しなさい。また、誤まっているものには、誤まっている箇所 (1ヵ所) の記号も記入 (マーク) しなさい。

⑤消費者庁は平成22年から「消費者ホットライン」を開始した。これは、㋐全国共通の消費生活相談の電話番号で、この番号にかけると㋑消費者庁の消費生活相談窓口につながり、相談が受けられる仕組みである。

【解説と解答】

現場におられる方なら即答ですね。②が不正解です。現場を知らない方は、どうだったかなと迷うかもしれません。勉強していたとしても実感がわかないかもしれません。
現場では「いまいち」の制度です。消費者庁だと思って電話をかけたのに最寄りの消費者センターだった、とか、消費者庁だと思って相談していたのに、そうでないなら相談しなかった早く言って欲しかった、など苦情も寄せられています。残念ながら、あまり普及していないことも伺えます。
消費者ホットラインは消費者庁につながるのではなく、最寄の消費生活センターにつながります。
ナビダイヤルを採用したことにより、IP電話ではかけられなかったり、着信できなかったりなどの問題が表面化しました。また、ナビダイヤルはフリーダイヤル(無料)ではありませんし、ナビダイヤルを経由せずに直接電話したほうが料金が安かったりします。

消費者庁
http://www.caa.go.jp/
トップ > 地方協力課
7.消費者ホットライン
http://www.caa.go.jp/region/index.html#m04

7.消費者ホットライン

電話番号 0570-064-370(ゼロ・ゴー・ナナ・ゼロ 守ろうよ、みんなを)

全国共通の電話番号から地方自治体が設置している身近な消費生活相談窓口をご案内いたします。
平成22年 1月12日(火)から全国で実施しています。
消費者ホットラインは、消費生活センター等の消費生活相談窓口の存在をご存知ない消費者の方に、お近くの消費生活相談窓口をご案内することにより、消費生活相談の最初の一歩をお手伝いするものです。
土日祝日についても、市区町村や都道府県の消費生活センター等が開所していない場合には、国民生活センターで相談を受け付けるなど、年末年始を除いて原則毎日ご利用いただけます。
消費生活相談でどこに相談してよいか分からない場合には、一人で悩まずに消費者ホットラインをご利用下さい。
消費者ホットラインの概要 http://www.caa.go.jp/region/pdf/100107hotline_3.pdf

解答一覧

⑤→×㋑

23年度 問題1⑥~⑧ 消費者基本法 (正誤で×を選択) その3

1.次の文章のうち、正しいものには○、誤まっているものには×を、解答用紙の解答欄に記入 (マーク) しなさい。また、誤まっているものには、誤まっている箇所 (1ヵ所) の記号も記入 (マーク) しなさい。

⑥消費者基本法は、㋐消費者庁及び消費者委員会の設置された平成21年に消費者保護基本法から改正されたものであり、㋑消費者政策の基本理念および㋒国や地方公共団体、事業者の責務を定めている。
⑦消費者基本法では、㋐消費者の安全が確保されること、㋑商品および役務について自主的かつ合理的な選択の機会が確保されること、㋒消費者の意見が消費者政策に反映されることなどがを定められている。
⑧消費者基本法では、事業者の責務として、㋐消費者の安全および消費者との取引における公正を確保すること、㋑消費者に対し必要な情報を明確かつ平易に提供すること、㋒消費者との取引に際して、消費者の知識、経験および財産の状況等に配慮することを定めている。。

【解説と解答】
消費者基本法の問題ですが、超基本事項の出題で簡単ですので間違えないようにしてください。

消費者基本法は消費者庁の設置より前の平成16年(2004年)に消費者保護基本法を全面改正し名称も変更されています。
消費者の保護から消費者の自立支援に変わっています。その中で、問題文中にもあるとおり、国や地方公共団体、事業者の責務を定めています。
したがって、㋐が不正解となります。即答ですので残り2つはもれなく正解です。


消費者の権利といえば、1962年のケネディの4つの権利です。その後、CI(国際消費者機構)がそれに加えて消費者の8つの権利と5つの責任を提唱しました。これは消費者問題を勉強する人にとっては消費者問題の基本となることです。すべて言えるように覚えてください。
ケネディの4つの権利とは、「安全を求める権利、知らされる権利、選ぶ権利、意見を聞いてもらう権利」であり、消費者基本法の基本理念では後に追加されたものも合わせた8つ全てが明記されています。問題では3つが例示されており、⑦はすべて正解です。

せっかくなので条文から8つを箇条書きにします
(1)国民の消費生活における基本的な需要が満たされ、
(2)その健全な生活環境が確保される中で、
(3)消費者の安全が確保され、
(4)商品及び役務について消費者の自主的かつ合理的な選択の機会が確保され、
(5)消費者に対し必要な情報及び
(6)教育の機会が提供され、
(7)消費者の意見が消費者政策に反映され、
(8)並びに消費者に被害が生じた場合には適切かつ迅速に救済されること
日本語は長いので英語のほうが覚えやすいかもしれません
(CIの消費者の8つの権利)
Basic Needs、Safety、Information、Choice、representation(意見を反映させる権利)、Redress(補償を受ける権利)、Consumer Education、Healthy Envioronment

消費者基本法・・・http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S43/S43HO078.html

(目的)
第一条  この法律は、消費者と事業者との間の情報の質及び量並びに交渉力等の格差にかんがみ、消費者の利益の擁護及び増進に関し、消費者の権利の尊重及びその自立の支援その他の基本理念を定め、国、地方公共団体及び事業者の責務等を明らかにするとともに、その施策の基本となる事項を定めることにより、消費者の利益の擁護及び増進に関する総合的な施策の推進を図り、もつて国民の消費生活の安定及び向上を確保することを目的とする。
(基本理念)
第二条  消費者の利益の擁護及び増進に関する総合的な施策(以下「消費者政策」という。)の推進は、国民の消費生活における基本的な需要が満たされ、その健全な生活環境が確保される中で、消費者の安全が確保され商品及び役務について消費者の自主的かつ合理的な選択の機会が確保され、消費者に対し必要な情報及び教育の機会が提供され、消費者の意見が消費者政策に反映され、並びに消費者に被害が生じた場合には適切かつ迅速に救済されることが消費者の権利であることを尊重するとともに、消費者が自らの利益の擁護及び増進のため自主的かつ合理的に行動することができるよう消費者の自立を支援することを基本として行われなければならない。


事業者の責務は消費者基本法第5条に明記されています。条文を覚えていなくても常識的に考えれば簡単ですね。ということ、⑦はすべて正解です。

(事業者の責務等)
第五条  事業者は、第二条の消費者の権利の尊重及びその自立の支援その他の基本理念にかんがみ、その供給する商品及び役務について、次に掲げる責務を有する。
一  消費者の安全及び消費者との取引における公正を確保すること
二  消費者に対し必要な情報を明確かつ平易に提供すること
三  消費者との取引に際して、消費者の知識、経験及び財産の状況等に配慮すること
四  消費者との間に生じた苦情を適切かつ迅速に処理するために必要な体制の整備等に努め、当該苦情を適切に処理すること。
五  国又は地方公共団体が実施する消費者政策に協力すること。
2  事業者は、その供給する商品及び役務に関し環境の保全に配慮するとともに、当該商品及び役務について品質等を向上させ、その事業活動に関し自らが遵守すべき基準を作成すること等により消費者の信頼を確保するよう努めなければならない。
解答一覧

⑥→×㋐、⑦→○、⑧→○

23年度 問題1⑨⑩ 消費者庁関連法 (正誤で×を選択) その4

1.次の文章のうち、正しいものには○、誤まっているものには×を、解答用紙の解答欄に記入 (マーク) しなさい。また、誤まっているものには、誤まっている箇所 (1ヵ所) の記号も記入 (マーク) しなさい。

⑨消費者庁は、㋐消費者安全法、㋑金融商品取引法、㋒不当景品類及び不当防止表示法(景品表示法)、㋓個人情報の保護に関する法律(個人情報保護法)不当景品類及び不当防止表示法(景品表示法)について所管している。
⑩消費者安全法により、都道府県は㋐消費生活センターを設置しなければならないとされており、㋑市町村は設置するように努めなければならないとされている。また、都道府県は㋒苦情処理委員会も設置しなければならないとされている

【解説と解答】

消費者庁が設置されるにあたって移管された法律が29本あります。この移管により消費者庁に権限を集中させ、司令塔としての役割を担うこととなりました。
この問題は多くの法律が消費者庁に移管されたということがポイントだよと示しているような気がします。29本すべて覚えろとは言いませんが、大体分かると思います。この法律の移管に際しては、消費者庁関連3法のうちの「消費者庁設置法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律」で定められています。
金融商品取引法は金融関係の事業者への規制法であり、所管していません。ちなみに、金融商品の消費者関係の法律である金融商品販売法は消費者庁が所管しています。そのほかの法律は消費者庁が所管であることは分かると思います。
業法の中で、賃金業法・割賦販売法・宅建業法・旅行業法は消費者庁が所管しています(企画立案は共管、登録・免許、検査、処分は各省庁が行うが、消費者庁は処分について勧告権を持ち、そのための検査権限を持つ。また、処分について事前協議を受ける。)
それぞれの法律の移管の移管の理由については法律策定時にいくつか解説されていましたので一つを紹介します。
消費者庁関連3法案のポイントについて
http://www8.cao.go.jp/hyouka/dokuritsu/bunkakai/seikatsu19th/shiryou-s1-1.pdf

したがって、⑨は㋑が不正解です。正解するのは難しいかもしれませんね

消費者庁が所管する法律

不当景品類及び不当表示防止法【公正取引委員会】
農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律(JAS法)【農林水産省】
食品衛生法【厚生労働省】
健康増進法【厚生労働省】
家庭用品品質表示法【経済産業省】
住宅の品質確保の促進等に関する法律【国土交通省】
特定商品等の預託等取引契約に関する法律【経済産業省】
特定商取引に関する法律【経済産業省】
特定電子メールの送信の適正化等に関する法律【総務省】
貸金業法【金融庁】
割賦販売法【経済産業省】
宅地建物取引業法【国土交通省】
旅行業法【国土交通省】
食品安全基本法【内閣府】
消費生活用製品安全法【経済産業省】
有害物質を含有する家庭用品の規制に関する法律【厚生労働省】
国民生活安定緊急措置法【内閣府、物資所管省庁】
消費者基本法【内閣府】
消費者契約法【内閣府】
個人情報の保護に関する法律【内閣府】
無限連鎖講の防止に関する法律【内閣府、警察庁】
電子消費者契約及び電子承諾通知に関する民法の特例に関する法律【内閣府、経済産業省】
金融商品の販売等に関する法律【金融庁】
出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律【金融庁、法務省】
生活関連物資等の買占め及び売惜しみに対する緊急措置に関する法律【内閣府、物資所管省庁】
物価統制令【内閣府、物資所管省庁】
独立行政法人国民生活センター法【内閣府】
製造物責任法【内閣府】
公益通報者保護法【内閣府】

 


消費者安全法の問題です。消費生活センターの設置は都道府県は義務、市町村は努力義務というのは基本中の基本です。なかなか市町村全てに設置とまではいっておらず、そのために地方消費者行政活性化基金(2009-2012年度)を創設して設置を促しています。

消費者安全法・・・http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H21/H21HO050.html

第二節 消費生活センターの設置等
(消費生活センターの設置) ※一部省略しています
第十条  都道府県は、第八条第一項各号に掲げる事務を行うため、次に掲げる要件に該当する施設又は機関を設置しなければならない
2  市町村は、必要に応じ、第八条第二項各号に掲げる事務を行うため、次に掲げる要件に該当する施設又は機関を設置するよう努めなければならない
3  都道府県知事又は市町村長は、第一項又は前項の施設又は機関(以下「消費生活センター」という。)を設置したときは、遅滞なく、その名称及び住所その他内閣府令で定める事項を公示しなければならない。

問題となるのは「苦情処理委員会」ですが、消費者安全法には規定されていませんし、設置しなければならないという法律も見当たらないようです。
消費者基本法では紛争処理について努力規定があります。

消費者基本法・・・http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S43/S43HO078.html

(苦情処理及び紛争解決の促進)
第十九条  地方公共団体は、商品及び役務に関し事業者と消費者との間に生じた苦情が専門的知見に基づいて適切かつ迅速に処理されるようにするため、苦情の処理のあつせん等に努めなければならない。この場合において、都道府県は、市町村(特別区を含む。)との連携を図りつつ、主として高度の専門性又は広域の見地への配慮を必要とする苦情の処理のあつせん等を行うものとするとともに、多様な苦情に柔軟かつ弾力的に対応するよう努めなければならない。
2  国及び都道府県は、商品及び役務に関し事業者と消費者との間に生じた苦情が専門的知見に基づいて適切かつ迅速に処理されるようにするため、人材の確保及び資質の向上その他の必要な施策(都道府県にあつては、前項に規定するものを除く。)を講ずるよう努めなければならない。
3  国及び都道府県は、商品及び役務に関し事業者と消費者との間に生じた紛争が専門的知見に基づいて適切かつ迅速に解決されるようにするために必要な施策を講ずるよう努めなければならない

各都道府県や市町村では条例等により。苦情処理や紛争に関する機能を定めているところが多く、ADR機能を果たしています。
(参考)国民生活センターHP
http://www.kokusen.go.jp/
トップページ > 通報/相談窓口・紛争解決 > ADR(裁判外紛争解決手続)の紹介 > リンク集 > 消費者被害救済委員会等
http://www.kokusen.go.jp/adr/jorei_chiho.html
消費者被害救済委員会等
地方公共団体の消費者被害救済委員会等とその設置根拠となる条例のリンク集です。

したがって、⑩は㋒が不正解です。

解答一覧

⑨→×㋑、⑩→×㋒

問題1は8問以上の正解が欲しいですね。

23年度 問題2 消費者庁 (選択穴埋め)  その1

2.次の文章の[   ]の部分に入れるのに最も適切な語句を、下記の語群の中から選び、解答用紙の解答欄にその番号を記入(マーク)しなさい。なお、同一記号には同一語句が入る。

先に語群をみてみます。

【語 群】

1.悪質事業者情報 2.事業者 3.勧告 4.偽装表示問題 5.建議
6.個人信用情報 7.消費者安全法 8.中国産冷凍ギョウザ事件 9.消費者基本法
10.消費者行政推進会議 11.都道府県知事 12.消費者事故情報 13.消費者政策会議
14.多重債務問題 15.内閣総理大臣 16.消費者行政推進基本計画 17.制限
18.焼き肉ユッケ事件 19.消費者基本計画 20.要求

消費者庁に関する問題です。
消費者庁が創設されるまでに議論された経緯が問題となっています。
その中で、いくつかのポイントとなる事件をからめて問題に仕上げています。
問題自体が勉強になる内容です。
ぜひ何度も復習して消費者庁創設に関する流れをつかんでください。

語群では聞きなれないものもありますが、穴埋方式なので、知らなくても文脈を考えると、自然に埋まっていきます。
比較的簡単なので、時間を使わないようにして、満点を目指してください。

23年度 問題2 消費者庁 (選択穴埋め)  その2

2.次の文章の[   ]の部分に入れるのに最も適切な語句を、下記の語群の中から選び、解答用紙の解答欄にその番号を記入(マーク)しなさい。なお、同一記号には同一語句が入る。

【語 群】

1.悪質事業者情報 2.事業者 3.勧告 4.偽装表示問題 5.建議
6.個人信用情報 7.消費者安全法 8.中国産冷凍ギョウザ事件 9.消費者基本法
10.消費者行政推進会議 11.都道府県知事 12.消費者事故情報 13.消費者政策会議
14.多重債務問題 15.内閣総理大臣 16.消費者行政推進基本計画 17.制限
18.焼き肉ユッケ事件 19.消費者基本計画 20.要求

問題2 (前半部分)[ ア ]~[ オ ]

平成20年度から本格的に開始された消費者庁の創設に向けた議論の過程においては、消費者行政の一元化というスローガンが掲げられ、 [ ア ] が官邸に設けられた。同年6月には、 [ イ ] が閣議決定され、これに基づいて消費者庁の権限等の制度設計が行われた。
まず、消費者政策の企画・立案、他省庁との調整のための権限が消費者庁に与えられた。
また、表示・取引・安全に関する約30の法律が、消費者庁の所管あるいは他省庁との共管とされた。とりわけ、表示に関する法律の多くが消費者庁の所管となった。これは、消費者庁の創設の議論のきっかけの1つが平成19年に頻発した [ ウ ] であったことによる。
他方、安全に関する法律は、基本的に従来の官庁の所管のままにおかれたが、 [ エ ] を消費者庁に一元的に集約して、分析し、素早く対応することを可能とする仕組みが導入された。これは、消費者庁の創設のきっかけの1つが [ オ ] への反省であったことによる。

消費者庁は、消費者被害の発生または拡大の防止のため、自らに執行権限のある法律上の措置を実施するだけではなく、他省庁にのみ執行権限のある法律による措置の実施によって消費者被害の発生や拡大の防止が可能なときは、そのような措置の実施を [ カ ] に基づいて、他省庁に対して [ キ ] することができる。さらに、消費者庁にも他省庁にも重大消費者被害の発生または拡大の防止のための権限のない場合(いわゆる法律のすき間案件)については、 [ ク ] に対して一定の措置をとるべきことの [ ケ ] や命令、譲渡や使用を禁止することができる独自の権限が消費者庁に与えられた。
消費者庁が上記のような権限を適切に行使していないときは、消費者委員会は、消費者被害の発生または拡大の防止のために [ コ ] に対して必要な [ ケ ] をすることができる。

【解説と解答】
5.建議
10.消費者行政推進会議 13.消費者政策会議
16.消費者行政推進基本計画 19.消費者基本計画
8.中国産冷凍ギョウザ事件 18.焼き肉ユッケ事件
1.悪質事業者情報 12.消費者事故情報 6.個人信用情報
4.偽装表示問題 14.多重債務問題
7.消費者安全法 9.消費者基本法
3.勧告 17.制限 20.要求
2.事業者 11.都道府県知事 15.内閣総理大臣
上のように語群を整理すると答えやすいですが、試験中では時間の関係があるので、語群に印を大胆につけて、漏れがないようにしてください。

5つの段落に分けられています。
最初の段落では消費者庁を作る準備段階のことについて書かれています。通常、新たな政策をするときには「会議」が設置されて、何らかの「計画」が決められることになるのは、語群から考えても分かると思います。ということで、 [ ア ]は「10.消費者行政推進会議」 [ イ ]は「16.消費者行政推進基本計画」となります。
特に「消費者行政」と必ず「行政」付きで言葉が出てくるので、迷うことは少ないと思います。

消費者行政推進会議

首相官邸・・・http://www.kantei.go.jp/
トップ>会議等一覧>消費者行政推進会議・・・http://www.kantei.go.jp/jp/singi/shouhisha/konkyo.html
消費者行政推進会議の開催について
平成20年 2月 8日 閣議決定
1.趣旨
各省庁縦割りになっている消費者行政を統一的・一元的に推進するための、強い権限を持つ新組織の在り方を検討し、その組織を消費者を主役とする政府の舵取り役とするため、消費者行政推進会議(以下「会議」という。)を開催する

消費者行政推進会議のHP・・・http://www.kantei.go.jp/jp/singi/shouhisha/
右側のトピックスにあげられています
消費者行政推進基本計画を閣議決定しました[概要(PDF) /本文(PDF) /参考資料(PDF)(平成20年6月27日)

ちなみに、「13.消費者政策会議」は消費者基本法に関係するものであり、「19.消費者基本計画」を策定しています。

消費者政策会議・・・http://www.consumer.go.jp/seisaku/kaigi/seisakukaigi/index.html
平成16年9月
消費者政策会議について
「消費者保護基本法」が36年ぶりに改正され、新たに平成16年6月より「消費者基本法」として施行されています。この法律においては、従来の「消費者保護会議」を「消費者政策会議」として改組し、その機能を強化しています。
消費者政策会議は、消費者基本法に基づき、消費者基本計画の案を作成するほか、消費者政策の推進に関する基本的事項の企画に関して審議にあたります。 また、消費者政策の実施を推進するとともに、その状況を検証し、評価し、監視することとされています。
消費者の窓・・・http://www.consumer.go.jp/

次の段落では、30の法律の所管が消費者庁に移管されることについて説明されていますが、もともと縦割り行政を解消するために行われたことであり、何らかの事件が起こるたびに縦割り行政が問題となります。今回のきっかけの1つとなったのは、頻発と書かれているので、特定の事件ではなく、同じような事件の集合体で、当時、ミートホープ、白い恋人、赤福、吉兆などの表示偽装が続発した問題のことです。したがって、 [ ウ ]は「4.偽装表示問題」が正解となります。もし、「8.中国産冷凍ギョウザ事件」を選択しても、次の段落で気づくと思います。

次の段落は、安全に関する法律の解説です。消費者庁に一元的に集約して分析するといえば、安全→事故となり、事故情報ということで、 [ エ ] は「12.消費者事故情報」が正解となります。そして、今回のきっかけの1つとなったのは、食中毒の事故が迅速に報告されず、情報共有されなかったため被害が拡大して社会問題となったギョウザ事件です。したがって、 [ オ ]は「8.中国産冷凍ギョウザ事件」が正解となります。「18.焼き肉ユッケ事件」は最近の事件なので、この設問には選択の余地がなく正解が出てきます。 [ ウ ] に入れていたとしても、ここで気がつくと思います。
(参考)中国産冷凍ギョウザ事件をご存知でない方のために、論文を紹介します。

生活衛生 Vol. 52 (2008) , No. 4 p.215-220
中国産冷凍ギョウザへの農薬混入事件がもたらしたもの― 分析に携わった立場から ―
http://www.jstage.jst.go.jp/article/seikatsueisei/52/4/215/_pdf/-char/ja/
解答一覧

ア→10、イ→16、ウ→4、エ→12、オ→8

23年度 問題2 消費者庁 (選択穴埋め)  その3

2.次の文章の[   ]の部分に入れるのに最も適切な語句を、下記の語群の中から選び、解答用紙の解答欄にその番号を記入(マーク)しなさい。なお、同一記号には同一語句が入る。

【語 群】

1.悪質事業者情報 2.事業者 3.勧告 4.偽装表示問題 5.建議
6.個人信用情報 7.消費者安全法 8.中国産冷凍ギョウザ事件 9.消費者基本法
10.消費者行政推進会議 11.都道府県知事 12.消費者事故情報 13.消費者政策会議
14.多重債務問題 15.内閣総理大臣 16.消費者行政推進基本計画 17.制限
18.焼き肉ユッケ事件 19.消費者基本計画 20.要求

問題2 (後半部分)[ カ ]~[ コ ]

平成20年度から本格的に開始された消費者庁の創設に向けた議論の過程においては、消費者行政の一元化というスローガンが掲げられ、 [ ア ] が官邸に設けられた。同年6月には、 [ イ ] が閣議決定され、これに基づいて消費者庁の権限等の制度設計が行われた。
まず、消費者政策の企画・立案、他省庁との調整のための権限が消費者庁に与えられた。
また、表示・取引・安全に関する約30の法律が、消費者庁の所管あるいは他省庁との共管とされた。とりわけ、表示に関する法律の多くが消費者庁の所管となった。これは、消費者庁の創設の議論のきっかけの1つが平成19年に頻発した [ ウ ] であったことによる。
他方、安全に関する法律は、基本的に従来の官庁の所管のままにおかれたが、 [ エ ] を消費者庁に一元的に集約して、分析し、素早く対応することを可能とする仕組みが導入された。これは、消費者庁の創設のきっかけの1つが [ オ ] への反省であったことによる。

消費者庁は、消費者被害の発生または拡大の防止のため、自らに執行権限のある法律上の措置を実施するだけではなく、他省庁にのみ執行権限のある法律による措置の実施によって消費者被害の発生や拡大の防止が可能なときは、そのような措置の実施を [ カ ] に基づいて、他省庁に対して [ キ ] することができる。さらに、消費者庁にも他省庁にも重大消費者被害の発生または拡大の防止のための権限のない場合(いわゆる法律のすき間案件)については、 [ ク ] に対して一定の措置をとるべきことの [ ケ ] や命令、譲渡や使用を禁止することができる独自の権限が消費者庁に与えられた。
消費者庁が上記のような権限を適切に行使していないときは、消費者委員会は、消費者被害の発生または拡大の防止のために [ コ ] に対して必要な [ ケ ] をすることができる。

【解説と解答】
5.建議
10.消費者行政推進会議 13.消費者政策会議
16.消費者行政推進基本計画 19.消費者基本計画
8.中国産冷凍ギョウザ事件 18.焼き肉ユッケ事件
1.悪質事業者情報 12.消費者事故情報 6.個人信用情報
4.偽装表示問題 14.多重債務問題
7.消費者安全法 9.消費者基本法
3.勧告 17.制限 20.要求
2.事業者 11.都道府県知事 15.内閣総理大臣
上のように語群を整理すると答えやすいですが、試験中では時間の関係があるので、語群に印を大胆につけて、漏れがないようにしてください。

後半は「消費者被害の発生又は拡大の防止のための措置」について説明されています。
これらの措置の実施を定めている法律は説明するまでもなく消費者安全法ですね。したがって、 [ カ ] は「7.消費者安全法」が正解です。
そして、自らの所管する法律による措置だけでなく、他省庁の所管する法律の措置が必要な場合には、消費者安全法16条に基づき、当該措置の速やかな実施を求めることができます。16条の表題が(他の法律の規定に基づく措置の実施に関する要求)となっています。ということで、 [ キ ]は「20.要求」が正解となります。「3.勧告」ほどのきついやり方ではないですね。「3.勧告」は別の問題の答えになるので間違えても気づくと思います。

次は、消費者安全法の目玉となっているものです。消費者庁にも他省庁にも権限がない「すき間事案」を消費者庁の権限とすることを定めています。
このすき間案件に対する措置については、消費者安全法第17条(事業者に対する勧告及び命令)と18条(譲渡等の禁止又は制限)に事業者に対しての措置が定められています。したがって、 [ ク ]は「2.事業者」が正解で、 [ ケ ]は「3.勧告」が正解となります。「3.勧告」「17.制限」「20.要求」は冷静に考えたら言葉の言い回しからも、うまく当てはめることができると思います。

最後の段落では、消費者委員会の役割に関する問題で、消費者安全法20条に規定されています。20条の表題は(消費者委員会の勧告等)となっており、条文に「内閣総理大臣に対し消費者被害の発生又は拡大の防止に関し必要な勧告をすることができる」とされています。したがって、[ コ ] は「15.内閣総理大臣」が正解となります。最後の [ ケ ]は先ほども出てきた「3.勧告」ですね。

消費者安全法・・・http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H21/H21HO050.html

第五章 消費者被害の発生又は拡大の防止のための措置

(他の法律の規定に基づく措置の実施に関する要求)
第十六条  内閣総理大臣は、第十二条第一項又は第二項の規定による通知を受けた場合その他消費者事故等の発生に関する情報を得た場合において、消費者被害の発生又は拡大の防止を図るために実施し得る他の法律の規定に基づく措置があり、かつ、消費者被害の発生又は拡大の防止を図るため、当該措置が速やかに実施されることが必要であると認めるときは、当該措置の実施に関する事務を所掌する大臣に対し、当該措置の速やかな実施を求めることができる。
2  内閣総理大臣は、前項の規定により同項の措置の速やかな実施を求めたときは、同項の大臣に対し、その措置の実施状況について報告を求めることができる。

(事業者に対する勧告及び命令)
第十七条  内閣総理大臣は、商品等又は役務が消費安全性を欠くことにより重大事故等が発生した場合(当該重大事故等による被害の拡大又は当該重大事故等とその原因を同じくする重大事故等の発生(以下「重大消費者被害の発生又は拡大」という。)の防止を図るために実施し得る他の法律の規定に基づく措置がある場合を除く。)において、重大消費者被害の発生又は拡大の防止を図るため必要があると認めるときは、当該商品等(当該商品等が消費安全性を欠く原因となった部品、製造方法その他の事項を共通にする商品等を含む。以下この項において同じ。)又は役務を供給し、提供し、又は利用に供する事業者に対し、当該商品等又は役務につき、必要な点検、修理、改造、安全な使用方法の表示、役務の提供の方法の改善その他の必要な措置をとるべき旨を勧告することができる。
2  内閣総理大臣は、前項の規定による勧告を受けた事業者が、正当な理由がなくてその勧告に係る措置をとらなかった場合において、重大消費者被害の発生又は拡大の防止を図るため特に必要があると認めるときは、当該事業者に対し、その勧告に係る措置をとるべきことを命ずることができる。
3  内閣総理大臣は、重大消費者被害の発生又は拡大の防止を図るために他の法律の規定に基づく措置が実施し得るに至ったことその他の事由により前項の命令の必要がなくなったと認めるときは、同項の規定による命令を変更し、又は取り消すものとする。
4  内閣総理大臣は、第二項の規定による命令をしようとするとき又は前項の規定による命令の変更若しくは取消しをしようとするときは、あらかじめ、消費者委員会の意見を聴かなければならない。
5  内閣総理大臣は、第二項の規定による命令をしたとき又は第三項の規定による命令の変更若しくは取消しをしたときは、その旨を公表しなければならない。

(譲渡等の禁止又は制限)
第十八条  内閣総理大臣は、商品等が消費安全性を欠くことにより重大事故等が発生し、かつ、当該重大事故等による被害が拡大し、又は当該重大事故等とその原因を同じくする重大事故等が発生する急迫した危険がある場合(重大消費者被害の発生又は拡大の防止を図るために実施し得る他の法律の規定に基づく措置がある場合を除く。)において、重大消費者被害の発生又は拡大を防止するため特に必要があると認めるときは、必要な限度において、六月以内の期間を定めて、当該商品等(当該商品等が消費安全性を欠く原因となった部品、製造方法その他の事項を共通にする商品等を含む。)を事業として又は事業のために譲渡し、引き渡し、又は役務に使用することを禁止し、又は制限することができる。
2  内閣総理大臣は、重大消費者被害の発生又は拡大の防止を図るために他の法律の規定に基づく措置が実施し得るに至ったことその他の事由により前項の禁止又は制限の必要がなくなったと認めるときは、同項の規定による禁止又は制限の全部又は一部を解除するものとする。
3  内閣総理大臣は、第一項の規定による禁止若しくは制限をしようとするとき又は前項の規定による禁止若しくは制限の全部若しくは一部の解除をしようとするときは、あらかじめ、消費者委員会の意見を聴かなければならない。
4  第一項の規定による禁止若しくは制限又は第二項の規定による禁止若しくは制限の全部若しくは一部の解除は、内閣府令で定めるところにより、官報に告示して行う。

(回収等の命令)
第十九条  内閣総理大臣は、事業者が前条第一項の規定による禁止又は制限に違反した場合においては、当該事業者に対し、禁止又は制限に違反して譲渡し、又は引き渡した商品又は製品の回収を図ることその他当該商品等による重大消費者被害の発生又は拡大を防止するため必要な措置をとるべきことを命ずることができる。

(消費者委員会の勧告等)
第二十条  消費者委員会は、消費者、事業者、関係行政機関の長その他の者から得た情報その他の消費者事故等に関する情報を踏まえて必要があると認めるときは、内閣総理大臣に対し消費者被害の発生又は拡大の防止に関し必要な勧告をすることができる。
2  消費者委員会は、前項の規定により勧告をしたときは、内閣総理大臣に対し、その勧告に基づき講じた措置について報告を求めることができる。

解答一覧

カ→7、キ→20、ク→2、ケ→3、コ→15

正直言って、問題2はラッキー問題かもしれません。全問正解を目指してください。

23年度 問題3①~⑤ 環境問題 (正誤で×を選択) その1

3.次の文章のうち、正しいものには○、誤まっているものには×を、解答用紙の解答欄に記入 (マーク) しなさい。また、誤まっているものには、誤まっている箇所 (1ヵ所) の記号も記入 (マーク) しなさい。

①「京都議定書」において、日本を含む先進各国の温室効果ガス削減数値目標は、㋐1990年を基準年として㋑一律6%に設定されている
②平成11年の産業構造審議会における報告書「循環型経済システムの構築に向けて」の中で、いわゆる「3R]への取り組みの必要性が提言され、現在では、企業やNPO法人、学校等の活動でその取り組みがみられる。この「3R」とは、㋐リバース(Rebirth)、㋑リユース(Reuse)、㋒リサイクル(Recycle)のことである。
③循環型社会形成推進基本法では、環境基本法の理念に則り、循環型社会の形成について基本原則を定めているほか、㋐国、地方公共団体および事業者の責務を明確にしている。その一方で、㋑国民の責務については明確にしていない
④環境省より発表されている一般廃棄物処理事業実態調査の結果(平成21年度)によれば、平成21年度までの全国のゴミ総排出量は、㋐近年減少傾向にある。また、ゴミの排出量を排出形態別で見ると、㋑生活系ゴミが総排出量の半分以上を占めている
⑤家電リサイクル法では、消費者は特定家庭用機器廃棄物を排出する場合、当該特定家庭用機器廃棄物の再商品化等が確実に実施されるよう、㋐小売業者等に適切に引き渡し、その求めに応じ、㋑運搬や再商品化費用を支払うことにより協力しなければならないと定めている。

【解説と解答】
問題2は環境問題です。この種の問題は「暗記物」のパターンが多いですね。学生ではないので暗記力が落ちてきますが、常識力で補うようにしましょう


地球環境問題といえば、1997年のCOP3京都会議。定番の環境問題である「京都議定書」ですね。毎年、会議が開催されるごとに目標をどうするのか世界中でもめています。15年も前のことなので私もすっかり忘れてしまいましたが、いまだに話題になるほど強力な会議でした。目標は3%だったか6%だったか。完全に暗記物ですね。試験勉強しているのであれば「環境問題」には必ず必須知識になっているでしょう。そういえば、「チーム・マイナス6%」というキャンペーンに登録すれば、割引を受けられるので登録したような覚えがあります。このような自分の生活の断片から解答を導き出すことをできるのが常識力ですね。と思って「○」と考えたのですが落とし穴がありました。日本の数字が問題というのではなく、「一律」というところが問題で、実は国によって削減目標が異なるのです。というわけで、①は㋑が不正解です。最近の話だったら記憶にありますが昔の話は忘れてしまいました。ちなみに、2009年に鳩山政権が「チャレンジ25」という国民運動を開始しました。

ウィキペディア 京都議定書・・・http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BA%AC%E9%83%BD%E8%AD%B0%E5%AE%9A%E6%9B%B8

92% (-8%) - オーストリア、ベルギー、ブルガリア、チェコ、デンマーク、エストニア、フィンランド、フランス、ドイツ、ギリシャ、アイルランド、イタリア、ラトビア、リヒテンシュタイン、リトアニア、ルクセンブルク、モナコ、オランダ、ポルトガル、ルーマニア、スロバキア、スロベニア、スペイン、スウェーデン、スイス、イギリス、(欧州連合15か国)
93% (-7%) - アメリカ合衆国(離脱)
94% (-6%) - カナダ(離脱)、ハンガリー、日本、ポーランド
95% (-5%) - クロアチア
100% (±0%) - ニュージーランド、ロシア、ウクライナ
101% (+1%) - ノルウェー
108% (+8%) - オーストラリア
110% (+10%) - アイスランド


平成11年の産業構造審議会における報告書「循環型経済システムの構築に向けて」という問題を読んだとたん、頭がくらくらしそうですが、これを知らなくても全く問題はありません。要は、その次にでてくる「3R]とは何かという基本問題です。「3R]とは、リデュース(Reduse)・リユース(Reuse)・リサイクル(Recycle)のことですね。リデュース(Reduse)は覚えにくいですが、ゴミを減らす・排出抑制のことです。リバース(Rebirth)は笑ってしまいますね。残り2つが有名なので知らなくても分かるのではないでしょうか。ということで、②は㋐が不正解となります。


循環型社会形成推進基本法では、環境基本法の理念に則り、循環型社会の形成について基本原則を定めている、という問題も②と同じように頭がくらくらしてきますが、問題の本質は簡単で、この法律を知っていようが知っていまいが、消費者基本法と同じ考えでいけます。すなわち、権利と義務です。やっぱり、国民には責務があるというのが最近の法律の流れですね。そう考えると、常識力で持って、③は㋑が不正解となります。

④この問題も「環境省より発表されている一般廃棄物処理事業実態調査の結果(平成21年度)」という統計資料からの問題ですが、読んでいなくても、というか誰も読んでいないとは思いますが、事業系ごみは減少し、家庭系ゴミを減らすことが課題であるという一般論を素直に用いるのがいいと思います。ということで、④はすべて正解です。


家電リサイクル法はよく知られていますが「特定家庭用機器廃棄物」って何?という感じですね。あまり気にする必要はありません。実は「家電リサイクル法」は通称名で正式には「特定家庭用機器再商品化法」なのです。したがって、「特定家庭用機器」はリサイクルすることに決まっている家電品であるということが理解できると思います。対象となる電化製品について出題されますので、追加分等をよく確認しておいてください。まあ、そんな細かいことは知らなくても、こお問題は特にチェックする必要もなく、よく知られていることが書かれています。ということで、⑤はすべて正解です。

特定家庭用機器再商品化法・・・http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H10/H10HO097.html
(目的)
第一条  この法律は、特定家庭用機器の小売業者及び製造業者等による特定家庭用機器廃棄物の収集及び運搬並びに再商品化等に関し、これを適正かつ円滑に実施するための措置を講ずることにより、廃棄物の減量及び再生資源の十分な利用等を通じて、廃棄物の適正な処理及び資源の有効な利用の確保を図り、もって生活環境の保全及び国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする。
(事業者及び消費者の責務)
第六条  事業者及び消費者は、特定家庭用機器をなるべく長期間使用することにより、特定家庭用機器廃棄物の排出を抑制するよう努めるとともに、特定家庭用機器廃棄物を排出する場合にあっては、当該特定家庭用機器廃棄物の再商品化等が確実に実施されるよう、特定家庭用機器廃棄物の収集若しくは運搬をする者又は再商品化等をする者に適切に引き渡しその求めに応じ料金の支払に応じることにより、これらの者がこの法律の目的を達成するために行う措置に協力しなければならない
特定家庭用機器再商品化法施行令・・・http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H10/H10SE378.html
(特定家庭用機器)
第一条  特定家庭用機器再商品化法 (以下「法」という。)第二条第四項 の政令で定める機械器具は、次のとおりとする。
一  ユニット形エアコンディショナー(ウィンド形エアコンディショナー又は室内ユニットが壁掛け形若しくは床置き形であるセパレート形エアコンディショナーに限る。)
二  テレビジョン受信機のうち、次に掲げるもの
イ ブラウン管式のもの
ロ 液晶式のもの(電源として一次電池又は蓄電池を使用しないものに限り、建築物に組み込むことができるように設計したものを除く。)及びプラズマ式のもの
三  電気冷蔵庫及び電気冷凍庫
四  電気洗濯機及び衣類乾燥機
2001年4月1日 - 家電リサイクル法、施行
2004年4月1日 - 冷凍庫を追加
2009年4月1日 - 薄型テレビ(液晶テレビ・プラズマテレビ)と衣類乾燥機を追加
解答一覧

①→×㋑、②→㋐、③→×㋑、④→○、⑤→○

①に引っ掛けがありますが、ほかは特に難しくはありません。

23年度 問題4① 経済用語 (選択穴埋め)  その1

4.次の文章の[   ]の部分に入れるのに最も適切な語句を、下記の語群の中から選び、解答用紙の解答欄にその番号を記入(マーク)しなさい。なお、同一記号には同一語句が入る。

【語 群】

1.電力料金 2.買いだめ 3.原油価格 4.百貨店 5.円高 6.加工食品
7.小さい 8.買い控え 9.スーパー 10.需要 11.所得 12.供給
13.サービス 14.大きい 15.コンビニエンスストア 16.円安

問題2 (前半部分)[ ア ]~[ カ ]

①平成23年3月11日の東日本大震災・原発事故の発生のあと、首都圏等でペットボトル入り飲料水などが小売店の棚からなくなってしまう状況が生じた。これは大震災による物流の滞りや、購入できないかもしれないという不安からの消費者の [ ア ]が起こったため、通常に比べて [ イ ]がかなり増加したことが原因と考えられる。また、ガソリンについてはなかなか購入できない状況がみられたほか、 [ ウ ]の高騰もあって価格が上昇した。もともとガソリンは短期的には [ イ ]の価格弾力性が [ エ ] のため、 [ オ ] の減少で価格上昇が起きやすい。なお、為替レートが [ カ ]になると、輸入価格の上昇は緩和されることになる。

②経済産業省が発表した平成23年3月の商業販売統計(確報)によれば、業態別に見ると [ キ ] の販売額が前年同月比15.4%の大幅減少、[ ク ] の販売額も前年同月比1.2%の現象となった。これに対し、 [ ケ ] の販売額は前年同月比で9.1%の増加となった。これは [ ケ ] では非食品の販売額が前年同月比2割以上の増加になったほか、 [ コ ] の販売額が4.2%増加したことによる。

【解説と解答】

原発事故をからめた経済の問題です。といっても、常識的に考えれば回答が出てきます。大きい小さいなどの選択肢は冷静に考えましょう。
[ ア ]は「2.買いだめ」が、 [ イ ]が「10.需要」が、 [ ウ ]が「3.原油価格」正解であるのはいうまでもありませんね。
ここで「価格弾力性」という経済用語が出てきますが、日常的には聞かないものの試験には良く出る言葉ですので、何となく意味は分かると思いますが、この機会に再確認してください。
22年度試験の問題4の④でも出題されています(https://soudanshiken.com/room2012/20110318/70.html

需要の価格弾力性

価格弾力性とは、価格の変動によって、ある製品の需要や供給が変化する度合いを示す数値。
需要の価格弾力性の場合は、需要の変化率/価格の変化率の絶対値で表される。
例えば、ある製品の価格を10%値上げしたときに、需要が5%減少したとすると、この場合の価格弾力性は、5%/10%=0.5となる。
この値が1より大きいと「弾力性が大きい」といい、1より小さいと「弾力性が小さい」という。
価格弾力性が小さい場合は、価格を変更してもほとんど需要は変化しないが、価格弾力性が大きいと、価格が変わると需要が大きく変化する。
通常、コメや野菜などの生活必需品は価格弾力性が小さく、宝飾品などの贅沢品は価格弾力性が大きいといわれる。

ガソリンは価格の生活必需品ですので、 [ エ ] は「7.小さい」が正解となります。そして品薄=供給の減少になれば値上がりしますので、 [ オ ] は「12.供給」が正解となります。
また、輸入品の価格が抑えられる=安くなるのは、まさしく今の日本の現状であり、 [ カ ]は「5.円高」が正解となります。
価格弾力性以外の部分は常識的に考えれば簡単ですので少なくとも6問中5問以上の正解を目指してください。

解答一覧

ア→2、イ→10、ウ→3、エ→7、オ→12、カ→5

23年度 問題4② 経済用語 (選択穴埋め)  その2

4.次の文章の[   ]の部分に入れるのに最も適切な語句を、下記の語群の中から選び、解答用紙の解答欄にその番号を記入(マーク)しなさい。なお、同一記号には同一語句が入る。

【語 群】

1.電力料金 2.買いだめ 3.原油価格 4.百貨店 5.円高 6.加工食品
7.小さい 8.買い控え 9.スーパー 10.需要 11.所得 12.供給
13.サービス 14.大きい 15.コンビニエンスストア 16.円安

問題2 (前半部分)[ キ ]~[ コ ]

②経済産業省が発表した平成23年3月の商業販売統計(確報)によれば、業態別に見ると [ キ ] の販売額が前年同月比15.4%の大幅減少、[ ク ] の販売額も前年同月比1.2%の減少となった。これに対し、 [ ケ ] の販売額は前年同月比で9.1%の増加となった。これは [ ケ ] では非食品の販売額が前年同月比2割以上の増加になったほか、 [ コ ] の販売額が4.2%増加したことによる。

【解説と解答】

経済産業省が発表した平成23年3月の商業販売統計(確報)、そんなの知らないです。したがって、推測、常識で問題を考えます。
要するに、どこの業態の販売額が増減したかというのを、平成23年3月時点で考えたらいいわけです。
業態となれば、選択肢としては、「4.百貨店」「9.スーパー」「15.コンビニエンスストア」からの三択埋め込みですので1個間違えると2個以上間違えることになりますので慎重に選択してください。
[ キ ] の販売額が前年同月比15.4%の大幅減少
[ ク ] の販売額も前年同月比1.2%の減少
[ ケ ] の販売額は前年同月比で9.1%の増加→要因・・・非食品の販売額が前年同月比2割以上の増加になったほか、 [ コ ] の販売額が4.2%増加した
ニュース等でも聞いたことがあるかもしれませんが、素直に、「百貨店苦戦」「コンビニ好調」でいいのではないかと思います。
特にコンビニでは、「なか食」である惣菜やおかずや弁当も好調ですし、何よりも「たばこ」などの非食品が相変わらず好調です。
というニュースはよく耳にします。
ということで、[ キ ] は「4.百貨店」が、[ ク ]は「9.スーパー」が、 [ ケ ] は「15.コンビニエンスストア」が正解となります。
また、[ コ ] は「6.加工食品」が正解となります。コはこれしか選択肢はないですね、と思ってたら統計には「サービス」の売り上げというのもありました。

それでは、商業販売額の動向についての実際の統計を見て見ましょう。
経済産業省 HP
http://www.meti.go.jp/
商業動態統計調査
>>経済産業省ホーム>>利用目的から調べる[統計]>>統計>>商業動態統計調査
http://www.meti.go.jp/statistics/tyo/syoudou/index.html・・・最新統計
>>経済産業省ホーム>>利用目的から調べる[統計]>>統計>>商業動態統計調査>>統計表一覧>>確報
http://www.meti.go.jp/statistics/tyo/syoudou/result/kakuho_2.html・・・過去統計

商業販売統計月報(平成23年3月分)

経済産業省経済産業政策局調査統計部
http://www.meti.go.jp/statistics/tyo/syoudou/result/pdf/h2skall3.pdf

3.大型小売店販売額の動向
(1) 大型小売店の動向
平成23年3月の大型小売店販売額は1兆5115億円、前年同月比でみると、▲6.5%の減少となった。百貨店は5002億円、同▲15.4%の減少スーパーは1兆113億円、同▲1.2%の減少となった。
商品別にみると、衣料品は同▲20.7%の減少、飲食料品は同0.5%の増加、その他は同▲5.5%の減少となった。
なお、大型小売店の季節調整済前月比は、▲8.1%の減少となった。百貨店は同▲14.1%の減少、スーパーは同▲3.8%の減少となった。

4.コンビニエンスストアの動向
平成23年3月のコンビニエンスストアの商品販売額及びサービス売上高は、7116億円、前年同月比9.1%の増加となった。
これを商品別にみると、ファーストフード及び日配食品が2240億円、同1.8%の増加、加工食品が2021億円、同4.2%の増加非食品が2574億円、同22.2%の増加となったため、商品販売額は6835億円、同9.4%の増加となった。また、サービス売上高は281億円、同0.7%の増加となった。

解答一覧

キ→4、ク→9、ケ→15、コ→6

問題4は9問以上はとりたいです。

23年度 問題5① 金融用語 (選択穴埋め)  その1

5.次の文章の[   ]の部分に入れるのに最も適切な語句を、下記の語群の中から選び、解答用紙の解答欄にその番号を記入(マーク)しなさい。なお、同一記号には同一語句が入る。

【語 群】

1.為替 2.下落 3.ランキング 4.1000 5.債券 6.通貨 7.株式 8.利息
9.格付け 10.配当 11.出資金 12.自己資本比率 13.ペイ・レシオ 14.上昇 15.2000 16.総資産利益率
17.コマーシャルペーパー 18.投資信託 19.証拠金取引 20.ソルベンシーマージン比率

定番中の定番の金融用語の基本です。穴埋といっても選択なので難易度は高くありません。普段から新聞を読んだり、ニュースを見てください。
金融関係の情報に慣れ親しむためのテレビ番組として、テレビ東京系列のワールドビジネスサテライト(WBS)をおすすめします。
http://www.tv-tokyo.co.jp/wbs/
また、金融用語を解説するHPはいくつかありますが、私が参考にしたHPを紹介します。
金融大学・・・http://www.findai.com/
金融大学 > 金融用語辞典・・・http://www.findai.com/yogo/index.html

① 金融機関の信用力を見るための指標にはいくつか種類があるが、代表的なものとして[ ア ]がある。[ ア ]は、例えばAAAやAAといった形で債務支払い能力を記号で表したものである。また、保険会社の保険金支払い能力を見るための指標として[ イ ] がある。[ イ ]は、200%を超えることが健全性の目安とされている。これに対し、銀行経営の安全性の指標として[ ウ ]がある。[ ウ ]は国際的な業務を行う銀行では8%以上が必要とされている。
② あらゆる金融商品の中で満期における元本の安全性が保証されているとするものに、元本[ エ ]万円までの一定の銀行預金と国債がある。国債は価格が変動するため、満期償還以前に売却した場合、売却損が出ることもある。また、国債は価格が下がると利回りは[ オ ]するという特徴を持っている。元本の安全性が保証されていない金融商品は投資型金融商品といわれるが、その代表的な例は[ カ ]や[ キ ]である。[ カ ]は企業にとって返済義務のない資金調達手段でもあり、企業業績が[ オ ]すると予想されるとき、その価格は[ オ ]する傾向にある。[ カ ]を保有していれば、企業利益が増加した場合、利益還元としての[ ク ]も増加する傾向にある。[ キ ]は様々な投資家から資金を集め、それを[ カ ]や[ ケ ]などに投資し、運用成果を分配金や値上がり益という形で投資家に配分する仕組みを持った商品である。投資対象となる[ ケ ]には、企業が発行するものや国が発行するもの、外国政府が発行するものなどがある。投資型金融商品の中には外国の[ カ ]や[ ケ ]に投資する商品もあるが、このような商品には[ コ ]リスクが存在する。[ コ ]リスクは外貨預金にも存在するリスクであり、一般的には円高になると元本に損失が発生する。

【解説と解答】


「金融機関の信用力を見るための指標」です。非常に簡単ですので取りこぼしが内容にしてください。
債務支払い能力「AAAやAA」→[ ア ]は「9.格付け」が正解
健全性の目安「200%を超える」→[ イ ]は「20.ソルベンシーマージン比率」が正解
銀行経営の安全性の指標「8%以上」→[ ウ ]は「12.自己資本比率」が正解


金融商品の性質についての問題です。特に「上昇」と「下落」という相反する選択肢があるので混乱しないように落ち着いてください。ただ、重複穴埋になっているので矛盾が出ないように考えたら楽だと思います。
銀行預金
元本保証の銀行預金は2005年に開始された「ペイオフ」ですね。若い人はなじみがないかもしれませんが、30代以上の方は様々に報道されたのでご存知だと思います。ペイオフは、金融機関が破たんした場合に、元本1000万円とその利子を限度額として預金者に払い戻す保護制度です。
したがって、[ エ ]は「4.1000」が正解です。
預金保険制度・・・http://www.findai.com/yogo/0145.htm
国債
国債の価格と利回りの関係は即答しにくいかもしれませんので実例で考えると分かりやすいかもしれません。
国債には「利付債」と「割引債」がありますが、「割引債」で考えてみます。
国債は満期日になると額面どおりの額が償還されます。
1000円で購入し1000円が償還→利益なし(利回り0%)
900円で購入し1000円で償還→利益100円(利回り約11%)
価格が下がると利回りが上昇する
ということで、[ オ ]は「14.上昇」が正解です。
国債・・・http://www.findai.com/yogo/0313.htm

その他の語群に出てくる金融商品は、5.債券 6.通貨 7.株式 18.投資信託 19.証拠金取引です。
解説するほどでもあるませんが念のため。
投資型金融商品・・・[ カ ]や[ キ ]
[ カ ]
企業にとって返済義務のない資金調達手段
企業業績が[ オ ]すると予想されるとき、その価格は[ オ ]する
企業利益が増加した場合、利益還元としての[ ク ]も増加する
企業の資金調達種さんとして「株式」と「社債」が思い浮かびますね。社債は償還期限がありますので、株式であれば市場で売買され直接企業が資金を返済しなければならないということ払いません。企業業績が上がれば価格も上がる。そして、株主には利益還元の配当がある。
ということで、[ カ ]は「7.株式」[ ク ]は「10.配当」が正解です。
[ キ ]
様々な投資家から資金を集め、それを[ カ ]や[ ケ ]などに投資し、運用成果を分配金や値上がり益そして、という形で投資家に配分する仕組み
思い浮かぶのはこれだけですので、[ キ ]は「18.投資信託」が正解です。
投資先は[ カ ]=株式や[ ケ ]=「企業が発行するものや国が発行するもの、外国政府が発行するものなどがある」ということで、[ ケ ]は「5.債券」が正解です。
外国の[ カ ]=株式、[ ケ ]=債券、外貨預金に存在し、円高になると元本に損失が発生するリスクといえば、為替リスクなので、[ コ ]は「1.為替」が正解です。

ちなみに語群でスルーした「13.ペイ・レシオ」「16.総資産利益率」「17.コマーシャルペーパー」は、スルーしても影響はありませんでしたが、勉強のために解説します。

「13.ペイ・レシオ」

?ですね。支払いの割合?
FFOペイアウトレシオ (えふえふおーぺいあうとれしお)
投資家への分配金は会計上の利益をもとに計算されますが、会計上の利益と本業によって得られる利益との間には差異が生じます(FFO参照)。FFOペイアウトレシオとは、本業によって得られる利益を分配した場合(1口あたりFFO)からみて、実際に支払われている(会計上の)分配金がどの程度なのかを見るための指標です。

「16.総資産利益率」

http://www.exbuzzwords.com/static/keyword_561.html
総資産利益率とは、ROAと同意義。計算式: ROA(%) = 当期純利益 ÷ 総資産 × 100
ROAとは、収益性を示す一指標で、総資産に対する利益率を示す指標。保有する資産をどれだけ有効活用しているのかを示す指標となる。製造業など固定資産の多い業種の分析に適した財務指標で、資産の有効活用度を測ることができる。

「17.コマーシャルペーパー」

http://www.exbuzzwords.com/main/keyword.asp?main_key=1283
コマーシャルペーパーとは、企業が事業に必要な短期の資金調達を行うために発行する無担保の約束手形のことを言う。
CPと略される。割引方式で発行され、公開市場で取引される。そのため優良企業しか発行できないとされている。

「19.証拠金取引」

http://www.findai.com/yogo/0269.htm
証拠金制度は、取引所に一定の証拠金を差し入れるだけで売買を行えるという制度です。先物取引の履行(りこう)の安全性を図るために導入しています。
証拠金は、予約金額の3%前後用意すれば、取引することができます。少ない金額で大きな取引が行えます。これを、レバレッジ(てこの原理)効果と呼んでいます。
外国為替証拠金(FX)やオプション取引などハイリスクハイリターンで有名ですね。

解答一覧

ア→9、イ→20、ウ→12、エ→4、オ→14、カ→7、キ→18、ク→10、ケ→5、コ→1

特に難しくないので、全問正解で点数を稼いでください。

23年度 問題6① 食品 (正誤で×を選択) その1

6.次の文章のうち、正しいものには○、誤まっているものには×を、解答用紙の解答欄に記入 (マーク) しなさい。また、誤まっているものには、誤まっている箇所 (1ヵ所) の記号も記入 (マーク) しなさい。

① 農薬の残留基準は㋐最大無毒性量(NOAEL)を安全係数で割って設定される㋑1日耐容摂取量(TDI)を下回るよう定められている

【解説と解答】
23年度はこのあたりからの問題から苦しくなってくると思います。
経済や金融の専門用語は、何となく予想がつくものが多いのですが、食品の専門用語は定義が法律で定められたりするものが多く、常識力や予想、なんとなくといった感覚で解答を導き出せるものが少なく、難易度は高めです。常識力で解ける問題は取りこぼしがないように、また、食品の専門用語はある程度テキストや資料で覚えていかなければならないので、それなりに勉強してください。深くはないですが範囲が広いですので、自分ができるバランスをみながら勉強してください。あとは、法律が変わったりして、対象品目が増えたりした場合には、出題される可能性が高いですのでチェックしておいてください。


私にとってはいきなり難問です。農薬の基準に関する問題は頻出ですが、「ポジティブリスト」等は知っていますが、安全基準を導き出すための用語は覚えていません。「TDI]ぐらいだったら頭のすみにはありそうな気がしますが、感で答えるしかないですね。すらっと正解が出る受験生は素晴らしいです。今回の問題は次回は出ないと思いますが、今後のために調べてみます。

最大無毒性量(NOAEL)

無毒性量(NOAEL:Non Observed Adverse Effect Level)
無毒性量(NOAEL)とは、ある物質について何段階かの異なる投与量を用いて毒性試験を行ったとき、有害な影響が観察されなかった最大の投与量のことです。通常は、さまざまな動物試験で得られた個々の無毒性量の中で最も小さい値をその物質の無毒性量とし、1日当たり体重1㎏当たりの物質量(mg/kg 体重/日)で表されます。

1日耐容摂取量(TDI)

耐容一日摂取量(TDI:Tolerable Daily Intake)
耐容一日摂取量(TDI)とは、環境汚染物質等の非意図的に混入する物質について、人が生涯にわたって毎日摂取し続けたとしても、健康への悪影響がないと推定される1日当たりの摂取量のことです。
通常、1日当たり体重1kg当たりの物質量(mg/kg 体重/日)で表されます。TDIは、重金属等に関する指標として用いられます。

安全係数

安全係数
安全係数(Safety Factor)とは、ある物質について、許容一日摂取量(ADI)耐容一日摂取量(TDI)等を設定する際、無毒性量に対して、さらに安全性を考慮するために用いる係数です。無毒性量を安全係数で割ることで許容一日摂取量や耐容一日摂取量を求めることができます。
動物実験のデータを用いてヒトへの毒性を推定する場合、通常、動物とヒトとの種の差として「10倍」、さらにヒトとヒトとの間の個体差として「10倍」の安全率を見込み、それらをかけ合わせた「100倍」を安全係数として用いています。不確実係数(UF:Uncertainty Factor)ともいいます。

許容一日摂取量(ADI:Acceptable Daily Intake)

許容一日摂取量(ADI)とは、ある物質について、人が生涯その物質を毎日摂取し続けたとしても、健康への悪影響がないと推定される1日当たりの摂取量のことです。
通常、1日当たり体重1kg当たりの物質量(mg/kg 体重/日)で表されます。ADIは、食品添加物や農薬等、食品の生産過程で意図的に使用されるものの安全性指標として用いられます。

急性参照用量(ARfD:Acute Reference Dose)

急性参照用量とは、人が食品や飲料水を介して、ある特定の化学物質を摂取した場合の急性影響を考慮するための指標です。人の24時間またはそれより短期間の経口摂取により健康への悪影響を示さないと推定される体重1kg当たりの摂取量(mg/kg 体重)で表されます。

農薬についての1日摂取量はTDIではなくてADIということになります。したがって、①は㋑が不正解です。難問かもしれません。

役に立つ薬の情報~専門薬学>生化学Ⅰ>毒性評価

http://kusuri-jouhou.com/creature1/toxicity.html
NOAEL、NOEL
化学物質がいかなる有害作用を引き起こさない最大投与量をNOAELという。ED50では一群の半分で作用する量であるが、NOAELでは一群すべてに作用しない量である。また、医薬品などの薬理作用を有する化学物質も含める場合はNOELを使用する。
ADI、TDI
食品添加物や農薬などに対し、ヒトが毎日そして一生摂取してもいかなる悪影響を及ぼさない一日量をADIをいう。
それに対し、環境汚染物質などヒトに対して全く無益なものに対し、ヒトが毎日そして一生摂取してもいかなる悪影響を及ぼさない一日量をTDIをいう。
NOAELとADIの関係
ADIはNOAELを1/100した数値である。
動物とヒトでは種差があるため、この種差の量を考慮しなければならない。そのため、NOAELから1/10の量を取る必要がある。
また、アルコールに強い人もいれば弱い人がいるように、それぞれ個体差があるはずである。全てのヒトに対して影響がないようにしなければならないので、ここで化学物質の影響を受けやすい人に基準を合わせないといけない。そのため、個体差を考慮してここでもNOAELから1/10の量を取る必要がある。

実は専門用語の解説は厚生労働省が作成している「食品関係用語集」から引用しました。
十数年前にはすでに存在しており、当時私も参考にしたものです。今でも改訂されながら公表されており、衛生関係の行政機関にも専門用語の解説として引用されているのでお墨付きの用語集です。
今回の問題は「食品関係用語集」のなかの「リスク評価」という項目を参照しました。この項目には5つの用語が解説されており、今回の問題に出てきた3つに加えて、「許容一日摂取量(ADI:Acceptable Daily Intake)」「急性参照用量(ARfD:Acute Reference Dose)」があげられているので、「リスク評価」の用語で最低限覚えておけばいいのは、この5つということになるのかもしれませんね。

厚生労働省
http://www.mhlw.go.jp/
ホーム > 政策について > 分野別の政策一覧 > 健康・医療 > 食品
一番下の「政策分野関連情報」から
http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/
食品安全情報
食品関係用語集
http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/iyaku/syoku-anzen/glossary.html
さらに詳しい用語解説集がリンクされています

ホーム > 用語集
用語集
http://www.fsc.go.jp/yougoshu.html

食品の安全性に関する用語集(第4版)[PDF]

この用語集は、食品の安全性に関する基本的な用語等について専門的な知識を持たない方にも分かりやすい平易な言葉で解説したものです。
今までご利用頂いた改訂版追補の表現を見直し、用語の追加を行うなど内容を刷新し、この度第4版を作成しましたのでご活用ください。

食品の安全性に関する用語集(第4版)平成20年10月
食品安全委員会
http://www.fsc.go.jp/yougoshu_fsc.pdf

解答一覧

①→×㋑

23年度 問題6② 食品 (正誤で×を選択) その2

6.次の文章のうち、正しいものには○、誤まっているものには×を、解答用紙の解答欄に記入 (マーク) しなさい。また、誤まっているものには、誤まっている箇所 (1ヵ所) の記号も記入 (マーク) しなさい。

② ㋐「砂糖不使用」、㋑「無糖」、㋒「ノンシュガー」という表示は、いずれも糖類を含まない旨の強調表示に該当するため、糖類を含まない旨の強調表示基準を満たす必要がある。

【解説と解答】

この問題は知識問題です。強調表示は頻出の知識ですので覚えていない場合は今一度チェックしておいてください。
強調表示は健康増進法に基づく栄養表示制度に定められています。
健康増進法は以前は栄養改善法という名称でした。
具体的な運用については、平成8年に「栄養表示基準の取扱い」という通知が出されています。

消費者庁
ホーム > 食品表示課 > 健康や栄養に関する表示の制度について
http://www.caa.go.jp/foods/index4.html#m05

栄養表示基準等の取扱いについて(平成8年5月23日衛新第46号)

http://www.caa.go.jp/foods/pdf/syokuhin345.pdf
6 適切な摂取ができる旨の表示について
(1) 法第31条第2項第3号に規定する適切な摂取ができる旨の表示とは、含まない旨の表示、低い旨の表示及び低減された旨の表示をいうものであること。
(2) 含まない旨の表示とは、「無」、「ゼロ」、「ノン」その他これに類する表示をいうものであり、「不使用」、「無添加」は該当しないものであること(栄養表示基準第8条第1項)。
(3) 含まない旨の表示をする場合は、別表第2の分析方法による栄養成分量又は熱量が別紙2の表の第1欄の基準値に満たないこと(栄養表示基準第8条第1項及び第2項)。
(4) 「ノンシュガー」、「シュガーレス」という表示は、糖類に係る含まない旨の表示の基準が適用されるものであること(栄養表示基準第8条)。
(5) 「砂糖不使用」の表示については、強調表示基準は適用されないものであること。ただし、砂糖の表示は栄養成分に関する表示には該当するので、一般表示事項の表示は必要であり、その際、表示栄養成分量としてはショ糖の量を記載すること。

栄養表示制度とは

http://www.caa.go.jp/foods/pdf/syokuhin829.pdf
健康増進法第31条第1項に基づき、販売する食品について、邦文により栄養成分、熱量について表示を行う場合には、その栄養成分・熱量だけでなく、国民の栄養摂取の状況からみて重要な栄養成分・熱量についても表示することが義務付けられているほか、その表示が一定の基準を満たすことを義務づけた制度です。
以下の基準等が、栄養表示基準により定められています。
(3)強調表示の基準
たんぱく質、食物繊維等について「高」、「含有」等を表示する場合や、熱量、脂質等について「無」、「低」等を表示する場合に満たしていなければならない基準(基準値については、次の表のとおりです)
強調表示の基準 (含まない旨、低い旨、低減された旨の表示)
[第1欄]
含まない旨[無、ゼロ、ノン等]の表示は次の基準値に満たないこと
この基準より数値が小さい場合、「0」と表示することが可能
0.5 g(0.5 g)
食品100g当たり ( )内は、一般に飲用に供する液状の食品100 ml当たりの場合
[第2欄]
低い旨[低、ひかえめ、少、ライト、ダイエット等]の表示は次の基準値以下であること
低減された旨の表示をする場合は、次のいずれかの基準値以上低減していること
5 g(2.5 g)
食品100g当たり ( )内は、一般に飲用に供する液状の食品 100ml当たりの場合

ということで、②は㋐が不正解となります。
知らない場合は、砂糖不使用という言葉だけ、他に比べて違和感があるということで考えてもいいかもしれません。
今回の問題は「含まない旨」の表示でしたが、「低い旨」の表示についてもチェックが必要ですね。

解答一覧

②→×㋐

23年度 問題6③④ 食品 (正誤で×を選択) その3

6.次の文章のうち、正しいものには○、誤まっているものには×を、解答用紙の解答欄に記入 (マーク) しなさい。また、誤まっているものには、誤まっている箇所 (1ヵ所) の記号も記入 (マーク) しなさい。

③ 遺伝子組換え原材料を使っていても、組み換えられたDNAあるいはこれによって生じたたん白質が加工工程で除去・分解され、広く認められた最新の検出技術によっても検出が不可能とされている加工食品については、遺伝子組換えに関する表示が免除される。その例には㋐しょうゆや㋑コーンスターチ、㋒大豆油(高オレイン酸遺伝子組換えを除く)がある。
④ 加工食品品質表示基準が平成23年3月に改正され、原料原産地表示を要する食品群は、新たに㋐「こんぶ巻」、「黒糖及び黒糖加工品」が加わり、22食品群となった。㋑さとうきびを絞ってそのまま固めたもののほかは「黒糖」と表示できないため、㋒消費者庁は「黒糖」と「黒砂糖」は同義ではない旨を明確化した

【解説と解答】


遺伝子組み換え食品も知識力が必要になります。
消費者庁
ホーム > 食品表示 > 食品表示Q&A・ガイドライン等
食品添加物
食品表示に関するパンフレット・Q&A・ガイドライン等
Q&A
関係府省共通
食品表示に関する共通Q&A(第3集:遺伝子組み換え食品に関する表示について)
http://www.caa.go.jp/foods/pdf/syokuhin244.pdf

食品表示に関する共通Q&A(第3集:遺伝子組み換え食品に関する表示について)

4 表示ルールの主なポイントは次のとおりです。
① 義務表示
従来のものと組成、栄養価等が同等である遺伝子組換え農産物及びこれを原材料とする加工食品であって、加工工程後も組み換えられたDNA又はこれによって生じたたん白質が、ひろく認められた最新の検出技術によってその検出が可能とされているものについては、「遺伝子組換えである」旨又は「遺伝子組換え不分別である旨」の表示が義務付けられています。
② 任意表示
油やしょう油などの加工食品油やしょう油など、組み換えられたDNA及びこれによって生じたたん白質が加工工程で除去・分解され、ひろく認められた最新の検出技術によってもその検出が不可能とされている加工食品については、遺伝子組換えに関する表示義務はありません。これは、非遺伝子組換え農産物から製造した油やしょう油と科学的に品質上の差異がないためです。ただし、任意で表示することは可能です。
イ非遺伝子組換え農産物及びこれを原材料とする加工食品分別生産流通管理が行われた非遺伝子組換え農産物及びこれを原材料とする加工食品については、遺伝子組換えに関する表示義務はありません。ただし、任意で「遺伝子組換えでない」旨の表示をすることができます。
高オレイン酸遺伝子組換え大豆等の表示
従来のものと組成、栄養価等が著しく異なる遺伝子組換え農産物(高オレイン酸遺伝子組換え大豆等)及びこれを原材料とする加工食品については、JAS法に基づき、「高オレイン酸遺伝子組換え」である旨又は「高オレイン酸遺伝子組換えのものを混合」したものである旨の表示が義務付けられています。これは、組み換えられたDNAやたん白質が検出不可能であっても、オレイン酸等を分析することで品質上の差を把握することができるためです。
⑥ 「主な原材料」
遺伝子組換え農産物が主な原材料(原材料の上位3位以内で、かつ、全重量の5%以上を占める)でない場合は表示義務はありません。

ということで、この問題の対象となっている「しょうゆ」や「大豆油(高オレイン酸遺伝子組換えを除く)」は任意表示です。ただし、大豆油でも「高オレイン酸遺伝子組換え」は表示が必要です。設問では「除く」となっているので任意表示になります。コーンスターチは対象にはなっていません。したがって、③は㋑が不正解となります。


加工食品品質表示基準の改正も頻出の知識問題です。
消費者庁HP
ホーム > 食品表示 > 食品表示Q&A・ガイドライン等
http://www.caa.go.jp/jas/hyoji/qa.html#m02
食品添加物
食品表示に関するパンフレット・Q&A・ガイドライン等
Q&A
加工食品
加工食品品質表示基準Q&A(原料原産地表示)(PDF:615KB)
※主な改正内容
「Ⅰ 制度全般」の(全般-10)を改正(17ページ)
「Ⅱ 義務表示対象品目」の(品目-3)、「8 黒糖及び黒糖加工品」及び「18 こんぶ巻」を追加(20、39~42、68~70ページ)

加工食品品質表示基準改正(原料原産地表示等)に関するQ&A

平成23年3月一部改正
http://www.caa.go.jp/jas/hyoji/pdf/qa_f.pdf

18ページ
(品目─3)平成23年3月に原料原産地表示の対象とされた加工食品はどのようなものですか。
(答)加工食品品質表示基準別表2の8に「黒糖及び黒糖加工品」を、18に「こんぶ巻」を追加しました。

39ページ
8 黒糖及び黒糖加工品
(範囲)
1 原料原産地表示の対象となる黒糖とは、さとうきびの搾り汁に中和、沈殿等による不純物の除去を行い、煮沸による濃縮を行った後、糖みつ分の分離等の加工を行わずに、冷却して製造した砂糖で、固形又は粉末状のものをいい、黒砂糖と同じものです。
一方、濃縮したさとうきびの搾り汁から糖みつを分離して結晶化した粗糖と糖みつ等を原料としたもの等は、黒糖とは認められないので、原料原産地表示の対象に含まれません。

黒糖等の表示の適正化について

平成23年3月30日
消費者庁
http://www.caa.go.jp/foods/pdf/syokuhin547.pdf
消費者庁においては、黒糖や黒砂糖の表示の適正化を図るため、本日、JAS法の解釈通知である「食品表示に関するQ&A」を改正し、黒糖と黒砂糖は同義である旨を明確にしましたので、お知らせ致します。

ということで、④は㋒が不正解です。

(参考)
農林水産省HP
ホーム > 組織・政策 > 消費・安全 > 食品表示とJAS規格 > 食品表示について > 品質表示基準一覧
品質表示基準一覧
http://www.maff.go.jp/j/jas/hyoji/kijun_itiran.html
加工食品品質表示基準(PDF:201KB)
http://www.maff.go.jp/j/jas/hyoji/pdf/kijun_kakou_h230930.pdf

解答一覧

③→×㋑、④→×㋒、⑤→○

23年度 問題6⑤⑥ 食品 (正誤で×を選択) その4

6.次の文章のうち、正しいものには○、誤まっているものには×を、解答用紙の解答欄に記入 (マーク) しなさい。また、誤まっているものには、誤まっている箇所 (1ヵ所) の記号も記入 (マーク) しなさい。

⑤ 腸管出血性大腸菌の㋐潜伏期間は比較的長く、㋑ごくわずかの菌数でも血便を含む下痢などを発症することがある。原因としては、㋒肉やレバーの生食や加熱不足が多い
⑥ 「いわゆる健康食品」は「「いわゆる健康食品」摂取量及び摂取方法等の表示に関する指針」において㋐1日当たりの摂取目安量、㋑摂取上の注意事項、㋒バランスの取れた食生活の普及啓発を図る文言などについての表示が規定されている。

【解説と解答】

食中毒に関する一般知識です。
食中毒というのは食事をしてすぐに症状が出るのではなく潜伏期間を経て発症します。しかし、一般の消費者は直前の食事が原因だと思っているのが現実です。
魚介類が原因となる「腸炎ビブリオ」では早ければ6時間後ぐらいから、病原性大腸菌やカンピロバクターなどは5日以上後に発症することもあります。
保健所は1週間程度の喫食状況を調査します。
食中毒に関する相談があったときには、基本的には医療機関への受診や保健所への相談をすすめますが、このような予備知識を相談者に助言しておくことで、相談者も冷静になって次のステップへ進めます。無関係の食品を原因と思い込み、店舗ともめている場合もあるので冷静な対応が必要です。
相談員としても最低限の知識は必要ですね。

代表的な食中毒の原因物質として
細菌(腸炎ビブリオ・サルモネラ・カンピロバクター・病原性大腸菌)、ウイルス(ノロウイルス)、自然毒(きのこ・フグ)、化学物質(ヒスタミン)
は、潜伏機関・症状・原因物質などをチェックしておく必要があるでしょう。

横須賀市HP
ホーム > くらし・環境 > 生活衛生・食の安全 > 食中毒 > おもな食中毒微生物一覧
おもな食中毒微生物一覧
http://www.city.yokosuka.kanagawa.jp/3140/hosei/ss_info/kin_ichiran.html

腸管出血性大腸菌O157

特徴・・・肉の絵主に牛の大腸に生息しており、糞とともに排出され、水や食品を汚染する場合がある。O157に汚染された水や食品を口にすることから感染が起こる。
感染力が非常に強く、食品にごく少量付いても感染する。毒性が非常に強く、食中毒の中でも最も重い症状が現れる。人の大腸で増殖するときに「ベロ毒素」を放出して、出血性の下痢を起こすことがある。
老人、乳幼児、免疫力の低下している人では死者や重症患者を出す恐れがある。
主な感染源・・・加熱不足の食肉、レバーや肉の生食、汚染された手指や水、食品などからの二次汚染
潜伏時間・・・4~8日と長い
主な症状・・・激しい腹痛、水様性の下痢、血便
予防のポイント・・・加熱に弱いため、75℃以上1分間以上の加熱を行えば死滅する。食材は十分に洗い、十分な加熱調理を行う。

※自治体のHPのほうが上手くまとまっていますので、お住まいの自治体を検索してみてははどうでしょうか。

厚生労働省HP
ホーム > 政策について > 分野別の政策一覧 > 健康・医療 > 食品 > 食中毒
3 病因物質別の情報
http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/syokuchu/index.html

もちろん、この問題はユッケによる食中毒事件を意識していますね。
ということで、⑤はすべて正解です。


健康食品も消費者問題では最重要部類に入ります。
相談現場では効果に関することや、大げさな表示、返品に関する相談が中心になってきますので、「健康食品とは何か」について細かく深い知識は必要ないかもしれませんが、食品に関する知識としては重要です。

厚生労働省HP
ホーム > 政策について > 分野別の政策一覧 > 健康・医療 > 食品 >「健康食品」のホームページ
http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/hokenkinou/index.html
健康食品の安全性に関する情報等(関係法令等)
http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/iyaku/syoku-anzen/hokenkinou/kankeihourei.html

「いわゆる健康食品」の摂取量及び摂取方法等の表示に関する指針について

http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/iyaku/syoku-anzen/hokenkinou/dl/14.pdf
平成17年2月28日
厚生労働省医薬食品局食品安全部長

2 表示事項
「いわゆる健康食品」は、食品衛生法(昭和22年法律第233号)等の法令で表示することが定められている事項の他、次に掲げる事項を表示すべきであること。
(1) 一日当たりの摂取目安量
当該食品が含有する成分に応じ、安全性試験データ、通常の食生活における当該食品の摂取量等科学的根拠に基づき設定すること。安全性試験データを根拠に設定する場合は、当該食品が含有する成分と同一の成分が他の食品によっても摂取され許容量を超えることがないよう、また、摂取者の個人差等を考慮した十分な安全率を見込むこと。
なお、当該成分が経口摂取の医薬品として用いられることがあるものについては、原則として医薬品として用いられる量を超えないように設定すること。
(2) 通常の形態及び方法によって摂取されないものにあっては、摂取の方法当該食品の形状、成分、消化吸収性等の食品特性を考慮し、適切な方法を表示すること。
(3) 摂取をする上での注意事項
過剰摂取等による健康被害の発生が知られているもの又はそのおそれがあるものは、その旨を表示すること。ただし、「過剰に摂取することにより健康に障害を与え
ることがありますが、一過性ですので心配はありません」等の表示はしないこと。
また、医薬品等との相互作用や特定の疾患がある人への注意が必要なものについては、その旨を表示すること。
(4)バランスの取れた食生活の普及啓発を図る文言
バランスの取れた食生活に関する普及啓発を図るため、「食生活は、主食、主菜、副菜を基本に、食事のバランスを。」と表示すること。

まあ、この指針を読んでいる人はあまりいないと思います。問題を読んでも違和感がないので、常識力ですべて正解としましょう作戦でいきましょう。
ということで、指針に書かれているとおり、⑥はすべて正解です。
(参考)厚生労働省HP
「健康食品」のホームページ の「健康食品」の安全性に関する情報等からリンクしている「健康食品」の安全性・有効性情報(https://hfnet.nih.go.jp/は健康食品に関する科学的なデータがまとめられているので、成分に関する情報を公式に消費者に伝えることができます。

解答一覧

⑤→○、⑥→○

23年度 問題6⑦⑧ 食品 (正誤で×を選択) その5

6.次の文章のうち、正しいものには○、誤まっているものには×を、解答用紙の解答欄に記入 (マーク) しなさい。また、誤まっているものには、誤まっている箇所 (1ヵ所) の記号も記入 (マーク) しなさい。

⑦ 特定原材料には、アレルギーの㋐症例数が多い「小麦」、「乳」、「卵」、「えび」、「かに」と㋑症状が重篤な「そば」、「落花生」がある。㋒原材料に使わなくても混入する場合は「入っているかもしれません」と表示しなければならない
⑧ 有機JASマークは㋐化学肥料や農薬を一切使わない農産物にのみ付けられる。規格に適合した生産かどうかは㋑登録認定機関が検査する。㋒このマークがない農産物に、「オーガニック」の表示を付すと法律違反になる

【解説と解答】

アレルギー表示に関する必須の知識問題です。
受験生はしっかり覚えておきましょう。
これも、対象項目の追加があった場合は頻出になります。

「特定原材料」
えび、かに、小麦、そば、卵、乳、落花生の7品目
「特定原材料に準ずるもの」
あわび、いか、いくら、オレンジ、キウイフルーツ、牛肉、くるみ、さけ、さば、大豆、鶏肉、バナナ、豚肉、まつたけ、もも、やまいも、りんご、ゼラチンの18品目

消費者庁HP
ホーム > 食品表示課 > アレルギー表示に関する情報
http://www.caa.go.jp/foods/index8.html
このページにアレルギーに関する資料がまとめられています。
アレルギー表示について
アレルギー表示とは[PDF:282KB]・・・1枚物で分かりやすくまとめた図がります。今回の問題もすべてカバーされています。
http://www.caa.go.jp/foods/pdf/syokuhin425.pdf

特定原材料等
省令(表示義務)
卵、乳、小麦、えび、かに・・・発症件数が多い
そば、落花生・・・症状が重篤であり生命に関わるため特に留意が必要なもの(症状が重篤な割合が多いもの等)
通知(任意表示)表示を奨励
あわび、いか、いくら、オレンジ、キウイフルーツ、牛肉、くるみ、さけ、さば、大豆、鶏肉、バナナ、豚肉、まつたけ、もも、やまいも、りんご、ゼラチン・・・過去に一定の頻度で発症件数が報告されたもの表示の主なルール
【代替標記】アレルギー物質を含むことが容易に判別できる食品は、アレルギー表示を省略することができます。
(例:マヨネーズ(卵)→マヨネーズ、オムレツ(卵)→オムレツ、バター(乳)→バター、チーズ(乳)→チーズ、アイスクリーム(乳)→アイスクリーム)
【可能性表示の禁止】
「入っているかもしれない」といった可能性表示は認められていません。
【使用していない旨の表示の促進】
通常は特定原材料等を使用する食品を、使用しないで製造した場合には、アレルギー患者の商品選択に資するため、「使用していない」旨の表示を勧めています。(例:このケーキには、卵、小麦を使っていません)

したがって、「入っているかもしれません」という表示はできないので⑦は㋒が不正解となります。

(参考)
アレルギー表示に関する通知
アレルギー物質を含む食品に関するQ&A[PDF:413KB]
http://www.caa.go.jp/foods/pdf/syokuhin12.pdf
このQ&Aに必要な情報が網羅されています。そこからいくつか抜粋します。

A-1
食物の摂取による「アレルギー」とはどのようなものですか。
A-2
アレルギー物質を含む食品にはどのようなものがありますか。
実際のアレルギー発症数、重篤度等に差異があるため、省令で法令上表示を義務付けるものと、通知で表示を奨励するものとに分けているところです。
省令で定められる品目に、えび、かに、小麦、そば、卵、乳、落花生の7品目(以下「特定原材料」という)が挙げられ、通知で表示を奨励する品目に、あわび、いか、いくら、オレンジ、キウイフルーツ、牛肉、くるみ、さけ、さば、大豆、鶏肉、バナナ、豚肉、まつたけ、もも、やまいも、りんご、ゼラチンの18品目(以下「特定原材料に準ずるもの」という。)が挙げられています。
B-3
特定原材料等はどのように決められているのですか。
※これまでに行われた特定原材料等の見直し
平成16年度:特定原材料に準ずるものに「バナナ」を追加
平成20年度:特定原材料に「えび」、「かに」を追加
B-5-①
特定原材料を微量に含む場合にも表示する必要がありますか。
食物アレルギーは、人によっては舐める程度でアナフィラキシー症状が誘発されるなど、ごく微量のアレルギー物質によって発症することがあります。よってアレルギー物質を常に含む食品にあっては、原材料としての使用の意図の有無に関わらず当該原材料を含む旨を表示する必要があります


有機JASマークも頻出問題です。
ポイントとしては、「どのような場合にマークをつけることができるのか」とあくまでも「任意表示」であることです。
任意表示といっても、付加価値の表示ですので、通常の価格より割高で売れるので、偽装表示が散見されます。

有機JASというだけあって、農林水産省所管のJAS法に関する制度です。
農林水産省HP
ホーム > 組織・政策 > 消費・安全 > 食品表示とJAS規格 > JAS規格について > 有機食品の検査認証制度
http://www.maff.go.jp/j/jas/jas_kikaku/yuuki.html

有機食品の検査認証制度

有機食品のJAS規格に適合した生産が行われていることを登録認定機関が検査し、その結果、認定された事業者のみが有機JASマークを貼ることができます。
この「有機JASマーク」がない農産物と農産物加工食品に、「有機」、「オーガニック」などの名称の表示や、これと紛らわしい表示を付すことは法律で禁止されています。

有機食品等の検査認証制度全体について
有機食品の検査認証制度について(PDF:350KB)
http://www.maff.go.jp/j/jas/jas_kikaku/pdf/yuuki_yokogami.pdf

パンフレットがわかりやすいかもしれません
ホーム > 組織・政策 > 消費・安全 > 食品表示とJAS規格 > JAS規格について > JAS規格に関するパンフレット
http://www.maff.go.jp/j/jas/jas_kikaku/pamph.html
ご存じですか?有機食品の検査認証制度 (PDF:1,288KB)
http://www.maff.go.jp/j/jas/jas_kikaku/pdf/yuuki_pamph_b.pdf
「農薬や化学合成肥料は使用しないのが原則。やむをえない場合、リスト化されたもののみ使用が可能です。」となっています。
できる限り、農薬や化学肥料などの化学物質に頼らないということですので、「一切」使わないということはありません。したがって、⑧は㋐が不正解となります。

解答一覧

⑦→×㋒、⑧→×㋐

23年度 問題6⑨⑩ 食品 (正誤で×を選択) その6

6.次の文章のうち、正しいものには○、誤まっているものには×を、解答用紙の解答欄に記入 (マーク) しなさい。また、誤まっているものには、誤まっている箇所 (1ヵ所) の記号も記入 (マーク) しなさい。

⑨ ビタミンCは、㋐酸化防止剤として使用すると食品添加物としての表示が必要だが、㋑栄養強化の目的で使用する場合には食品添加物としての表示は省略できるとされている。
⑩ 葉酸を含む栄養機能食品は、㋐国への許可申請や届出は必要なく企業の責任で「二分脊椎などの神経管閉鎖障害を持つ子どもが生まれるリスクを低減するかもしれません。」と表示できる。なお、㋒1日の摂取目安量を守るなどの注意喚起表示も必要である

【解説と解答】

食品添加物に関しての一般ルールを確認しておいてください。
ビタミンCの表示は、飲み物で「酸化防止剤(ビタミンC)」として原材料名の欄で目にしたことがあると思います。
「L-アスコルビン酸」になっている場合もありますが、「ビタミンC」のことです。
表示が省略できる場合についての設問があるので、やはり知識力が必要です。
食品添加物の一般的な表示ルールについて消費者庁のページでまとめられています。
消費者庁
ホーム > 食品表示課 > 食品添加物表示に関する情報
http://www.caa.go.jp/foods/index11.html
食品添加物表示について
食品添加物表示について[PDF:213KB]
http://www.caa.go.jp/foods/pdf/syokuhin496.pdf

添加物表示について

原則
使用した全ての食品添加物を「物質名」(名称別名、簡略名、類別名も可)で食品に表示する

添加物表示の例外
一括名で表示可・・・イーストフード、ガムベース、かんすい、酵素、光沢剤、香料、酸味料、調味料、豆腐用凝固剤、苦味料、乳化剤、pH調整剤、膨脹剤、軟化剤
→複数の組合せで効果を発揮することが多く、個々の成分まで全てを表示する必要性が低いと考えられる添加物や、食品中にも常在する成分であるため、一括名で表示しても、表示の目的を達成できるために認められている。ただし、通知において列挙した添加物を、示した定義にかなう用途で用いた場合に限る。
例:飲み下さないガムベース、通常は多くの組み合わせで使用され添加量が微量である香料、アミノ酸のように食品中にも常在成分として存在するもの等
用途名も併記・・・甘味料、着色料、保存料、増粘剤、酸化防止剤、発色剤、漂白剤、防かび剤
→消費者の関心が高い添加物について、使用目的や効果を表示することで、消費者の理解を得やすいと考えられるものは、用途名を併記する。
例:甘味料(サッカリンNa)、着色料(赤色3号)、保存料(ソルビン酸)
表示免除
加工助剤、キャリーオーバー、栄養強化剤
→最終食品に残存していない食品添加物や、残存してもその量が少ないため最終食品に効果を発揮せず、期待もされていない食品添加物については、表示が免除される。

ということで、⑨はすべて正解です。


いわゆる「健康食品」といわれるものの制度について確認しておく必要があります。
厚生労働省
ホーム > 政策について > 分野別の政策一覧 > 健康・医療 > 食品 >「健康食品」のホームページ
http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/hokenkinou/index.html

「健康食品」とは
健康食品と呼ばれるものについては、法律上の定義は無く、広く健康の保持増進に資する食品として販売・利用されるもの全般を指しているものです。
そのうち、国の制度としては、国が定めた安全性や有効性に関する基準等を満たした「保健機能食品制度」があります。
保健機能食品制度は、いわゆる健康食品のうち、一定の条件を満たした食品を「保健機能食品」と称することを認める表示の制度です。
「保健機能食品」=「特定保健用食品(個別許可型)」+「栄養機能食品(規格基準型)」

栄養機能食品で「葉酸」は頻出問題です。

消費者庁HP
ホーム > 食品表示課 > 健康や栄養に関する表示の制度について
http://www.caa.go.jp/foods/index4.html#m04

健康や栄養に関する表示の制度について

食品において健康や栄養に関する表示を行える制度は、以下の通りです。
・栄養成分表示・・・栄養成分の量や熱量等の表示をする場合の基準(健康増進法第31条)
栄養機能食品・・・規格基準に適合すれば許可申請や届出等は不要(健康増進法第31条)
・特定保健用食品(トクホ)・・・許可制(健康増進法第26条)
・特別用途食品・・・許可制(健康増進法第26条)
・虚偽・誇大広告等の禁止・・・健康の保持増進の効果等に関する虚偽又は誇大な広告の禁止(健康増進法第32条の2)

栄養機能食品とは

栄養成分(ビタミン・ミネラル)の補給のために利用される食品で、栄養成分の機能を表示するものをいいます。

栄養機能食品制度について
栄養機能食品は、栄養成分の機能の表示をして販売される食品です。栄養機能食品として販売するためには、一日当たりの摂取目安量に含まれる当該栄養成分量が定められた上・下限値の範囲内にある必要があるほか、栄養機能表示だけでなく注意喚起表示等も表示する必要があります

表示に当たっての留意点
栄養機能食品の表示に当たっては、法令で表示が義務づけられている事項及び表示が禁止されている事項に注意してください。
特に留意が必要なものは以下のとおりです。
・栄養機能食品の規格基準が定められている栄養成分以外の成分の機能の表示や特定の保健の用途の表示をしてはならないこと
(例)ダイエットできます、疲れ目の方に
・「栄養機能食品(ビタミンC)」等、栄養機能表示をする栄養成分の名称を「栄養機能食品」の表示に続けて表示すること
・消費者庁長官が個別に審査等をしているかのような表示をしないこと
(例)消費者庁長官認定規格基準適合

葉酸

1日当たりの摂取目安量に含まれる栄養成分量
下限値60 μg
上限値200 μg
栄養機能表示
葉酸は、赤血球の形成を助ける栄養素です。
葉酸は、胎児の正常な発育に寄与する栄養素です。
注意喚起表示
本品は、多量摂取により疾病が治癒したり、より健康が増進するものではありません。1日の摂取目安量を守ってください。
葉酸は、胎児の正常な発育に寄与する栄養素ですが、多量摂取により胎児の発育が良くなるものではありません。

一方、栄養機能食品と同時に覚えておかなければならないのが、特定保健用食品です

ホーム > 食品表示課 > 健康や栄養に関する表示の制度について
http://www.caa.go.jp/foods/index4.html#m04
特定保健用食品(トクホ) 許可制(健康増進法第26条)
特定保健用食品とは[PDF:140KB]
http://www.caa.go.jp/foods/pdf/syokuhin86.pdf

特定保健用食品

からだの生理学的機能などに影響を与える保健機能成分を含む食品で、血圧、血中のコレステロールなどを正常に保つことを助けたり、おなかの調子を整えたりするのに役立つ、などの特定の保健の用途に資する旨を表示するものをいいます。

特定保健用食品制度について
特定保健用食品(条件付き特定保健用食品を含む。)は、食品の持つ特定の保健の用途を表示して販売される食品です。特定保健用食品として販売するためには、製品ごとに食品の有効性や安全性について審査を受け、表示について国の許可を受ける必要があります。特定保健用食品及び条件付き特定保健用食品には、許可マークが付されています。

特定保健用食品の区分
特定保健用食品
健康増進法第26条第1項の許可又は同法第29条第1項の承認を受けて、食生活において特定の保健の目的で摂取をする者に対し、その摂取により当該保健の目的が期待できる旨の表示をする食品
・特定保健用食品(疾病リスク低減表示)
関与成分の疾病リスク低減効果が医学的・栄養学的に確立されている場合、疾病リスク低減表示を認める特定保健用食品
・特定保健用食品(規格基準型)
特定保健用食品としての許可実績が十分であるなど科学的根拠が蓄積されている関与成分について規格基準を定め、消費者委員会の個別審査なく、事務局において規格基準に適合するか否かの審査を行い許可する特定保健用食品
・条件付特定保健用食品
特定保健用食品の審査で要求している有効性の科学的根拠のレベルには届かないものの、一定の有効性が確認される食品を、限定的な科学的根拠である旨の表示をすることを条件として、許可対象と認める。許可表示:「○○を含んでおり、根拠は必ずしも確立されていませんが、△△に適している可能性がある食品です。」

疾病リスク低減表示について

疾病リスク低減表示を認めるもの

カルシウム(食品添加物公定書等に定められたもの又は食品等として人が摂取してきた経験が十分に存在するものに由来するもの)
1日摂取目安量:300mg~700mg
(特定の保健の用途に係る表示)この食品はカルシウムを豊富に含みます。日頃の運動と適切な量のカルシウムを含む健康的な食事は、若い女性が健全な骨の健康を維持し、歳をとってからの骨粗鬆症になるリスクを低減するかもしれません。
(摂取をする上での注意事項)一般に疾病は様々な要因に起因するものであり、カルシウムを過剰に摂取しても骨粗鬆症になるリスクがなくなるわけではありません。

葉酸(プテロイルモノグルタミン酸)
1日摂取目安量:400μg~1000μg
(特定の保健の用途に係る表示)この食品は葉酸を豊富に含みます。適切な量の葉酸を含む健康的な食事は、女性にとって、二分脊椎などの神経管閉鎖障害を持つ子どもが生まれるリスクを低減するかもしれません
(摂取をする上での注意事項)一般に疾病は様々な要因に起因するものであり、葉酸を過剰に摂取しても神経管閉鎖障害を持つ子どもが生まれるリスクがなくなるわけではありません。

同じ葉酸でもトクホになるものと栄養機能食品になるものがあります。問題のリスク低減表示はトクホのものです。したがって、⑩は㋑が不正解です。

解答一覧

⑨→○、⑩→×㋑

食品に関する問題は細かい知識が問われるので、どちらかというと難問です。6-7割を目標にしましょう。

23年度 問題7① 薬事法 (選択穴埋め)  その1

7.次の文章の[ ]の部分に入れるのに最も適切な語句を、下記の語群の中から選び、解答用紙の解答欄にその番号を記入(マーク)しなさい。なお、同一記号には同一語句が入る。

【語 群】

1.登録販売者 2.そば 3.薬剤師 4.販売管理者 5.2分類
6.医師 7.3分類 8.厚生労働省 9.小麦 10.医薬品医療機器総合機構

平成21年に改正薬事法が施行され、一般用医薬品はリスクの程度に応じて[ ア ]に分けられ販売方法も規定された。そのうち第1類のものは[ イ ]が書面によって説明したうえで販売することとなっている。第2類等は新たな専門家である[ ウ ]がいる一定の店舗であれば購入できる。
医薬品については、適切に服用したにもかかわらず、副作用によって一定レベル以上の健康被害が生じた場合には、[ エ ]に申請し、判定を受けたのち、救済が受けられる制度がある。
最近、[ オ ]加水分解物含有の石鹸は一定期間の使用で、場合により運動誘発性の[ オ ]アレルギーを発症し、アナフィラキシーを起こすことがわかり、被害者が多数出て回収となった。

【解説と解答】

改正薬事法の基礎的な問題に、多くの被害者を出した「茶のしずく」石鹸によるアレルギーの問題をからめています。
改正薬事法は、平成21年に大きく改正され、社会に与えるインパクトも相当大きなものになりました。
実生活でも、ドラッグストアやコンビニで医薬品が販売されているのは肌で感じていると思います。
覚えなければならないことは限られていますので取りこぼしがないようにしましょう。

語群を分けてみます。
5.2分類 7.3分類
1.登録販売者 3.薬剤師 4.販売管理者 6.医師
8.厚生労働省 10.医薬品医療機器総合機構
2.そば 9.小麦
5問中4問は鉄板ですね。

厚生労働省HP
ホーム > 政策について > 分野別の政策一覧 > 健康・医療 > 医薬品・医療機器 > 一般用医薬品販売制度
http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iyakuhin/ippanyou/index.html
薬事法の一部を改正する法律の概要[127KB]
http://www.mhlw.go.jp/bunya/iyakuhin/ippanyou/pdf/kaiseiyakuji.pdf

1.リスクの程度に応じた情報提供と相談体制の整備
(1) リスクの程度に応じた一般用医薬品の分類
【現行】リスクの程度にかかわらず情報提供について一律の扱い
【新制度】リスクの程度に応じて3グループに分類し、情報提供を重点化
第一類医薬品:特にリスクが高いもの
第二類医薬品:リスクが比較的高いもの
第三類医薬品:リスクが比較的低いもの
(2) リスクの程度に応じた情報提供
医薬品のリスク分類(対応する専門家)
第一類医薬品(薬剤師)
第二類医薬品・第三類医薬品(薬剤師又は登録販売者)2.医薬品の販売に従事する専門家
一般用医薬品の販売を担うため、薬剤師とは別の新たな専門家の仕組みを設ける(都道府県試験)
• 試験については、販売に即した内容、すなわち、医薬品の種類(例えば、かぜ薬、整腸薬等)ごとに、主要な成分について、効能・効果、副作用など大まかな内容を理解しているかを確認する、実務的な試験内容とする
• 一般用医薬品の販売に関しては、薬剤師又は登録販売者の配置が求められる
・販売可能な一般用医薬品・・・薬剤師は全ての医薬品、登録販売者は第一類医薬品を除く医薬品

というわけで、[ ア ]は「7.3分類」が、[ イ ]は「3.薬剤師」が、[ ウ ]は「1.登録販売者」が正解です。
知らなくても分かると思います。

次に[ エ ]は改正薬事法とは関係なく、昔からある医薬品による事故の救済制度です。
この救済制度の原資となるものは国から拠出されているのではなく、医薬品メーカーが拠出しているものです。
したがって、[ エ ]は「10.医薬品医療機器総合機構」が正解です。
医薬品医療機器総合機構HP
ホーム > 健康被害救済制度 > 医薬品副作用被害救済制度
http://www.pmda.go.jp/kenkouhigai/help.html

医薬品副作用被害救済制度
http://www.pmda.go.jp/

医薬品副作用被害救済制度

医薬品の副作用による被害の救済
医薬品は、人の健康の保持増進に欠かせないものですが、有効性と安全性のバランスの上に成り立っているという特殊性から、使用に当たって万全の注意を払ってもなお副作用の発生を防止できない場合があります。このため、医薬品(病院・診療所で投薬されたものの他、薬局で購入したものも含みます。)を適正に使用したにもかかわらず副作用による一定の健康被害が生じた場合に、医療費等の給付を行い、これにより被害者の救済を図ろうというのが、この医薬品副作用被害救済制度です。この医療費等の給付に必要な費用は、許可医薬品製造販売業者から納付される拠出金が原資となっています。

最後は「茶のしずく」ですね。大きくニュースになったのでご存知かと思います。また、アナフィラキシーという言葉も覚えておいてください。
ということで、[ オ ]は「9.小麦」が正解です。

国民生活センターHP
http://www.kokusen.go.jp/ncac_index.html
トップページ > 注目情報 > 発表情報 >
小麦加水分解物を含有する「旧茶のしずく石鹸」(2010年12月7日以前の販売分)による危害状況について-アナフィラキシーを発症したケースも-[2011年9月7日:更新][2011年7月14日:公表]
http://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20110714_1.html
小麦加水分解物を含有する「旧茶のしずく石鹸」(2010年12月7日以前の販売分)7月14日公表後の危害状況について[2011年9月8日:公表]
http://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20110908_5.html

アナフィラキシー

アレルギー反応により、蕁麻疹などの皮膚症状、腹痛や嘔吐などの消化器症状、ゼーゼー、息苦しさなどの呼吸器症状が、複数同時にかつ急激に出現した状態をアナフィラキシーという。その中でも、血圧が低下し意識レベルの低下や脱力を来すような場合を特にアナフィラキシーショックと呼び、直ちに対応しないと生命にかかわる重篤な状態を意味する。
「平成23 年3 月 厚生労働省 保育所におけるアレルギー対応ガイドライン」より

解答一覧

ア→7、イ→3、ウ→1、エ→10、オ→9

4問以上は正解したいところです。

23年度 問題8 クリーニング (正誤で×を選択) その1

問題8はクリーニングに関する正誤問題です。

22年度の解説から抜粋

問題8はクリーニングに関する正誤問題が10問出題されています。
同じ分野の問題が2問づつ出題されています。
①②クリーニング業法
③④表示
⑤⑥クリーニング方法
⑦⑧試験方法
⑨⑩クリーニング事故賠償基準

クリーニングの苦情は消費生活センターでは定番のものとなっており必須知識です。
試験問題は、実務的な問題も多く、現場にいなければ答えることができないので厳しいかもしれません。
知識だけでクリアするのは難しい面もありますがポイントとなる部分は押さえておきたいです。
ポイント
・クリーニング業法
・平成16年のクリーニング業法の改正
・クリーニング事故賠償基準
・家庭用品品質表示法(洗濯絵表示)
・クリーニング方法(ランドリー、ドライクリーニング、ウェットクリーニング)
・事故原因の追究のための試験(JIS)と評価法のおおまかなもの(特に染色堅ろう度という言葉は実務上でも頻出)

23年度のクリーニングの問題の分類分け

①②クリーニング業法
③④表示(家庭用品品質表示法)
⑤⑥⑦クリーニング方法
⑧繊維の基礎知識
⑨⑩クリーニング事故賠償基準

ということで基本的には同じ傾向です。したがって勉強方法も同じになります。
ただし、22年度の⑦⑧や23年度の⑧などは少し繊維の基礎知識が必要な問題です。
繊維の基礎知識はTES(繊維製品品質管理士)という資格試験に必要な知識に網羅されており、繊維や服飾系の大学のカリキュラムの中にあるようなものであると考えていただくと分かると思います。
常識力では正解を導き出せないかもしれませんので、ほかの問題で取りこぼしがないようにしてください。
といいつつも、今回のクリーニングの問題は少し難易度が高いと思われます。5割以上の正解を目指しましょう。

クリーニングに関する問題はレベルに差が出ると思われます。
現場経験の豊富な方が断然有利です。

22年度の問題解説も必ずチェックしておいてください。

クリーニング
その1その2その3その4その5その6

23年度 問題8①② クリーニング (正誤で×を選択) その2

8.次の文章のうち、正しいものには○、誤まっているものには×を、解答用紙の解答欄に記入 (マーク) しなさい。また、誤まっているものには、誤まっている箇所 (1ヵ所) の記号も記入 (マーク) しなさい。

① クリーニング業法では、利用者に対する説明義務等として、㋐クリーニング料金の根拠となる標準的な洗たく物の処理方法を明示しなければならないこと、㋑洗たく物の処理方法等について説明するよう努めなければならないこと、㋒苦情の申出先を明示しなければならないことを定めている。
② クリーニング業法では、クリーニング業を㋐溶剤または洗剤を使用して、衣類その他の繊維製品または皮革製品を原型のまま洗たくすることを営業とすることと定義しており、クリーニング所を㋑洗たく物の処理または受取および引渡しのための営業者の施設と定義している。㋒クリーニング所を開設しないで、車両を店舗として用いて洗たく物の受取および引渡しをする営業形態はクリーニング業者には該当しないと判断されている。

【解説と解答】
2問はどちらも基本的なクリーニング業法の問題です。どちらも、平成16年のクリーニング業法の改正がからんでいます。

利用者への説明義務としては、クリーニング業法第三条の二に定められているとおり、「洗たくの処理方法」と「苦情の申し出先の明示」の2つです。これらは平成16年のクリーニング業法の改正で定められました。常識的に考えても、法律で料金のことまで突っ込んでいることはないと考えてもいいです。
ただし、標準営業約款に細かい規定がされている可能性はありますが、約款は自主基準のようなものですので全体に及ぶものではありません。ちなみに、約款では(役務の内容の表示の適正化に関する事項)と(施設又は設備の表示の適正化に関する事項)がありますが、料金に関する規定はないようです。
ということで、①は㋐が不正解です。


㋐と㋑はクリーニング業法の条文の定義そのままです。そして、㋒は平成16年のクリーニング業法の改正で「無店舗取次店の営業者の届出」義務が規定されました。したがって、②は㋒が不正解です。

厚生労働省のHP
改正クリーニング業法の概要 http://www.mhlw.go.jp/topics/2004/09/tp0930-1.html
必ずリンク先のページを熟読しておいてください。

クリーニング業法
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S25/S25HO207.html
(目的)
第一条  この法律は、クリーニング業に対して、公衆衛生等の見地から必要な指導及び取締りを行い、もつてその経営を公共の福祉に適合させるとともに、利用者の利益の擁護を図ることを目的とする。
(定義)
第二条  この法律で「クリーニング業」とは溶剤又は洗剤を使用して、衣類その他の繊維製品又は皮革製品を原型のまま洗たくすること(繊維製品を使用させるために貸与し、その使用済み後はこれを回収して洗たくし、さらにこれを貸与することを繰り返して行なうことを含む。)を営業とすることをいう。
2  この法律で「営業者」とはクリーニング業を営む者(洗たくをしないで洗たく物の受取及び引渡しをすることを営業とする者を含む。)をいう。
3  この法律で「クリーニング師」とは、第六条に規定する免許を受けた者をいう。
4  この法律で「クリーニング所」とは洗たく物の処理又は受取及び引渡しのための営業者の施設をいう
(利用者に対する説明義務等)
第三条の二  営業者は、洗濯物の受取及び引渡しをしようとするときは、あらかじめ、利用者に対し、洗濯物の処理方法等について説明するよう努めなければならない。
2  営業者は、洗濯物の受取及び引渡しをするに際しては、厚生労働省令で定めるところにより、利用者に対し、苦情の申出先を明示しなければならない。
(営業者の届出)
第五条  クリーニング所を開設しようとする者は、厚生労働省令の定めるところにより、クリーニング所の位置、構造設備及び従事者数並びにクリーニング師の氏名その他必要な事項をあらかじめ都道府県知事に届け出なければならない。
2  クリーニング所を開設しないで洗濯物の受取及び引渡しをすることを営業としようとする者は、厚生労働省令の定めるところにより、営業方法、従事者数その他必要な事項をあらかじめ都道府県知事に届け出なければならない。
3  前二項の規定により届け出た事項に変更を生じたとき、又はクリーニング所若しくは前項の営業を廃止したときは、営業者は、厚生労働省令の定めるところにより、速やかに都道府県知事に届け出なければならない。クリーニング業法施行規則
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S25/S25F03601000035.html
(苦情の申出先の明示)
第一条の二  法第三条の二第二項 の規定による苦情の申出先の明示については、次に掲げる方法によるものとする。
一  クリーニング所においては、苦情の申出先となるクリーニング所の名称、所在地及び電話番号を店頭に掲示しておくとともに、洗たく物の受取及び引渡しをしようとする際に、当該掲示事項を記載した書面を配布する。
二  クリーニング所を開設しないで洗たく物の受取及び引渡しをすることを営業としようとする車両を用いた店舗(以下「無店舗取次店」という。)においては、苦情の申出先となるクリーニング所又は無店舗取次店の名称、クリーニング所の所在地又は車両の保管場所並びに電話番号を記載した書面を配布する。
クリーニング業に関する標準営業約款規程集

http://www.seiei.or.jp/pdf2/cl_kitei.pdf
(役務の内容の表示の適正化に関する事項)
第 3 条 営業者及び営業者の登録に係る取次所を営む者(以下「営業者等」という。)は、提供する役務の内容(取次所にあっては、クリーニング所において行われる役務の内容を含む。)について、次の各号に定めるところに従い表示するものとする。
(1) 提供する役務の種別
提供する役務の種別を、次の区分により表示するものとする。
ア ランドリー(仕上方法を含む。)
イ ドライクリーニング(仕上方法を含む。)
ウ ウェットクリーニング(仕上方法を含む。)
エ 特殊クリーニング
(2) 従事者の氏名
次に掲げる従事者の氏名を、アについては必ず表示し、イ及びウについては該当する者がいる場合は表示することができるものとする。
ア クリーニング師
イ クリーニング業法による研修及び講習修了者
ウ その他全国生活衛生営業指導センター(以下「全国指導センター」という。)が別途定める要件を備えた者。
2 営業者等は、前項第1号に掲げる役務を提供するに当たっては、全国指導センターが別途定めるクリーニング処理基準に従うものとする。
3 営業者等は、その他役務の内容の表示を行うに当たっては、「最高」、「完ぺき」その他最高級の又は絶対的な意味を表す用語を用いてはならない。

解答一覧

①→×㋐、②→×㋒

23年度 問題8③④ クリーニング (正誤で×を選択) その3

8.次の文章のうち、正しいものには○、誤まっているものには×を、解答用紙の解答欄に記入 (マーク) しなさい。また、誤まっているものには、誤まっている箇所 (1ヵ所) の記号も記入 (マーク) しなさい。

③ 家庭用品品質表示法の繊維製品品質表示規程で繊維製品の品質に関し表示すべき事項とされているのは、㋐繊維の組成、家庭洗濯等取扱い方法、はっ水性、収縮率の4種類で、このうち㋑繊維の組成は、政令で定めた繊維製品のすべてに表示すべき事項となっている。また、表示に使用する㋒繊維の名称を示す用語には、指定用語を使用しなければならないことになっている
④ 家庭用品品質表示法の繊維製品品質表示規程により、㋐家庭における洗い方、塩素漂白の可否、アイロンの掛け方、ドライクリーニング、絞り方、干し方、タンブラー乾燥については、㋑取扱い絵表示を用いて、㋒日本工業規格(JIS)に規定するところにより表示することになっている。

【解説と解答】
22年度の解説を一部加筆し、そのまま今回の解説に使いまわしします。
③は、繊維の組成、家庭洗濯等取扱い方法、はっ水性、の3種類で収縮率は不要です。したがって、①は㋐が不正解となります。
④は知らないとしても、家庭洗濯に関する規定に商業洗濯で使われる「タンブラー乾燥」が入っているのは不自然だと考えれば予想がつきます。ということで、④は㋐が不正解となります。

く条文を参照してください。

消費者庁のHP
トップ > 家庭用品品質表示法 > 施行令・規則 > 繊維製品品質表示規程
家庭用品品質表示法の繊維製品品質表示規程
http://www.caa.go.jp/hinpyo/law/law_04.html

繊維製品品質表示規程
(改正日:H21.8.28/施行日:H22.9.1)
(表示事項)
第一条 繊維製品の品質に関し表示すべき事項は、別表第一の上欄に掲げる繊維製品について、それぞれ同表の下欄に掲げる事項とする。
(定義)
第二条 ・・・・・
(遵守事項)
第三条 第一条に規定する表示事項の表示に際して、製造業者、販売業者又は表示業者(以下「表示者」という。)は、その品質を適正に表示するような方法を用いることとし、輸出すべき繊維製品に表示する場合を除き、特に次の事項を遵守するものとする。
一 繊維の組成の表示については、・・・・・・。
二 家庭における洗い方塩素漂白の可否アイロンの掛け方ドライクリーニング絞り方及び干し方に関する取扱い方法(以下「家庭洗濯等取扱い方法」という。)の表示については、取扱い絵表示を用いて、日本工業規格L0217の4.1及び4.3に規定するところにより表示すること。この場合において、・・・・・・。
三 はっ水性を表示する場合は、「はっ水(水をはじきやすい)」又は「撥水(水をはじきやすい)」の用語を用いて表示すること。
四 ・・・・・
五 第一号から第三号まで、第五条(第五号を除く。)、第七条の二の規定による表示は、次条に規定する場合を除き、表示者の氏名又は名称及び住所又は電話番号を付記して、需要者の見やすい箇所に見やすいように表示することとし、・・・・・と。
(指定用語)
第六条 表示に際し繊維の名称を示す用語には、別表第五の上欄に掲げる繊維に応じそれぞれ下欄に掲げる指定用語を使用しなければならない。ただし、種類が不明である繊維については「その他繊維」又は「その他」の用語を指定用語に代えて使用することとし、組成繊維中における混用率が5パーセント未満の繊維については「その他繊維」又は「その他」の用語を指定用語に代えて使用することができる。
2 前項の指定用語には、商標以外の用語を付記してはならない。ただし、別表第四第一号及び別表第六に定めるところにより付記する場合は、この限りでない。
3 前項本文の規定に基づき商標を付記する場合は、その商標に括弧を付することとする。
※条文が長いので一部省略していますので、各自で確認しておいてください。

簡単にまとめると
品質に関し表示すべき事項
①繊維の組成
②家庭洗濯等取扱い方法→取扱い絵表示
③はっ水性(表示をする場合は基準を満たすこと)
これらを表示者の氏名又は名称及び住所又は電話番号を付記して、需要者の見やすい箇所に見やすいように表示すること

解答一覧

③→×㋐、④→×㋐

23年度 問題8⑤⑥ クリーニング (正誤で×を選択) その4

8.次の文章のうち、正しいものには○、誤まっているものには×を、解答用紙の解答欄に記入 (マーク) しなさい。また、誤まっているものには、誤まっている箇所 (1ヵ所) の記号も記入 (マーク) しなさい。

⑤ テトラクロロエチレンは、㋐ドライクリーニングに用いられている有機溶剤の一種で、㋑同じくドライクリーニングに用いられる石油系溶剤と比べると油脂を溶解する作用が強いため、㋒ポリウレタン樹脂を使用した合成皮革製品の洗浄には適さない
⑥ ランドリーは、㋐クリーニングで行われている水洗いの一種で、㋑温水を使用して洗たくをすることから、㋒ドライクリーニングで残留する水溶性汚れの除去を主な目的に行われることが多い

【解説と解答】
クリーニング方法についての基本問題です。ランドリー、ウエット、ドライの3種類の違いをしっかり覚えておいてください。
ドライは有機溶剤を使用し、石油系や塩素系(テトラクロロエチレン・パークロロエチレン)、フッ素などがあります。
ドライについては石油系と塩素系の違いも覚えておいてください。

水洗い(ランドリー・ウエット)は汗などの水溶性の汚れは落ちやすく、皮脂などの油性の汚れは落ちにくいです。
ドライは、その逆となります。
つまり、水溶性の汚れは水で落とし、油性の汚れは油で落とすという原則です。

といえは、該当する汚れを落とすために単純に汚れに応じたクリーニングをすればよいということにはいかないのです。
そこには衣料品の「素材」の問題が出てくるのです。
みんさんご存知かと思いますが、ウールのセーターを水洗いすれば縮んでしまいますよね。表示には水洗い×のドライ表示があると思います。
ドライは水を使わないので縮むことがないのです。
それでも、水溶性の汚れを落としたいときに「ウェットクリーニング」をするのです。
ウェットはランドリーのように激しく洗うのではなく、低温の水を使って付け置き洗いのようにやさしく洗ってできるだけダメージを与えないように洗います。
家庭の洗濯機でもドライのものが洗えるコースがありますが似たような方法です。
なお、ランドリーは水洗いといっても実際はお湯で洗います。
素材に問題がなければ、水洗いとドライの両方で水溶性の汚れと油性の汚れを落とすW洗いという方法もあります。
ウエットはW洗いのようなもので、ドライで残った水溶性の汚れを何とか水で落とそうというものです。

多くの素材がドライで洗うことができるのですが、ドライに適さない素材というのは、単純に油に弱いものと考えていただいたらいいと思います。
色落ちに関しては、水溶性の染料はOKですが、顔料などはダメです。
樹脂で接着している衣料品やポリウレタンなどの樹脂系の衣料品も、新しいうちはドライでも大丈夫ですが2年程度の時間が経過すると樹脂自体がが劣化し、ドライで薄利や風合い変化などが発生します。特に塩素系ドライ溶剤は石油系溶剤に比べて脱脂力が大きいため、そのような素材には適さず、ドライであれば石油系を選択しますが、それでもリスクは高いと思います。水洗い×のドライ表示でも、ドライせずに水洗いをするという選択肢も商業クリーニングでは重要です。

⑤はドライ溶剤の問題です。
テトラクロロエチレン(パークロロエチレン)はドライ用の有機溶剤で、石油系よりも脱脂力は大きく洗浄力にすぐれていますが、樹脂形の素材には弱く風合い変化も起こしやすいので、ポリウレタン樹脂を使用した衣料品をドライするときには石油系を選択します。したがって、⑤はすべて正解です。

⑥はランドリーについての問題です。
ランドリーは温水を使用して水洗いします。ドライで残留する水溶性の汚れを落とすことを目的に行われるのはウエットクリーニングです。したがって、⑥は㋒が不正解となります。

解答一覧

⑤→○、⑥→×㋒

23年度 問題8⑦⑧ クリーニング (正誤で×を選択) その5

8.次の文章のうち、正しいものには○、誤まっているものには×を、解答用紙の解答欄に記入 (マーク) しなさい。また、誤まっているものには、誤まっている箇所 (1ヵ所) の記号も記入 (マーク) しなさい。

⑦ 洗たくしたワイシャツを乾燥せずに濡れたままプレス仕上げする方法を㋐商業クリーニングでは「濡れ掛けプレス」と呼んでおり、㋑衿やカフスなどの寸法変化がなく、㋒仕上げと乾燥が1つの工程で終了することなどの利点がある
⑧ 分散染料は、㋐綿や麻などセルロース系繊維用の染料として一般的に使用されている。この分散染料には㋑熱によって昇華しやすくなる性質があり、㋒クリーニングでプレス機を使用することは分散染料を昇華させる一因になる

【解説と解答】

「濡れ掛けプレス」は読んで字の如し、クリーニングでまだ乾いていない濡れた状態のまま、プレス(アイロン)をして乾かすと同時にアイロンがけすることです。
ワイシャツをマネキンのような人体模型に服を着せて曲線の大きなアイロンのような鉄板を周りからいくつか押し当てて機械で一気に乾かしプレスするというのをイメージしたらいいと思います。安価でのオートメーション作業ですね。もちろん、コストをかけて手でアイロン作業するという方法もあります。
濡れた衣料品をプレスの熱で乾かし、アイロンがけも行うという、仕上げと乾燥の工程が同時に終了することができます。
しかも、引き続き、折りたたみ、包装までしてしまう機械もあります。

ただし、濡れた上体でアイロンを押し当てるので、色泣きという、染料が周りににじみ出てしまうトラブルがあります。また、熱をかけるので素材によっては、縮む可能性もあります。したがって、寸法変化も起こる可能性があります。ということで、⑦は㋑が不正解となります。

⑧は染料の問題で基本とはいえ難しいかもしれません。
染色は素材によって適した方法があります。
少なくとも直接染料、反応染料、酸性染料、分散染料の4つは覚えておいたほうがいいと思います。
直接染料は、その名前のとおり染料の中に直接つけて染色します。したがって、染料がしみやすい綿などのセルロース系の染色に使用しますが、染色堅ろう度(染料を保持する力)が低い=水洗いするたびに落ちていきやすいので最近はあまり使用されていません。
反応染料は、直接染料に変わり使用されています。アルカリ性の染色液の中で化学反応によりセルロースの水酸基と染料とが化学結合(エーテル結合)により、染着し、強固に染色されるので染色堅ろう度も強くなります。
酸性染料は、アルカリに弱く、酸に強いウールなどの動物性の繊維に直接染める方法です。
分散染料は、その名のとおり染料が染まりにくいので繊維の中に染料を分散させて最後に熱で固定させる染色とイメージしていただいたらいいと思います。染まりにくい繊維といえば、主に疎水性のポリエステルなどの合成繊維と考えていただいたらいいと思います。
正確ではないかも知れませんが、ざっくり、説明しました。

分散染料の問題となっていますが、分散染料は染まりやすいセルロース系の繊維ではなく、染まりにくい合成繊維に使われ、熱で無理やり染着させるので、熱をかけると緩い状態に戻り、昇華(気化・蒸発)してしまいます。したがって、⑧は㋐が不正解です。
知らなくても予想できるかもしれません。イとウは同じことを言っているので両方間違いとはならないのでアが正解かどうかを考えればよく、綿の服もアイロンをかけることを考えれば、綿のことをいっているのではないなあということで、アが不正解だと予想できます。

解答一覧

⑦→×㋑、⑧→×㋐

23年度 問題8⑨⑩ クリーニング (正誤で×を選択) その6

8.次の文章のうち、正しいものには○、誤まっているものには×を、解答用紙の解答欄に記入 (マーク) しなさい。また、誤まっているものには、誤まっている箇所 (1ヵ所) の記号も記入 (マーク) しなさい。

⑨ クリーニング事故賠償基準では、㋐洗たく物について事故が発生した場合、クリーニング業者はその責任があるかどうかにかかわらず、被害者に対して補償することとなっているが、㋑クリーニング業者が、事故の原因の一部が他の者の過失に基づくことを証明したときは、賠償額の支払いを免れることができ、㋒事故の責任を負うべき者が、倒産等の事情により、その者に対する求償が事実上不可能であることをクリーニング業者が証明したときは、賠償額の一部をカットすることができるとされている。
⑩ クリーニング事故賠償基準による賠償額の算定に関する基本方式は、㋐洗たく物が着用に耐えないとして、クリーニング業者が品物を引き取る場合の賠償額を算定する方式を示したものである。背広上下など、2点以上を一対としなければその着用が著しく困難な物品を一対としてクリーニングに出した場合、㋑その一部にのみ損害が生じたときであっても、一対のもの全体を考慮して賠償額を算定することとなっている。

【解説と解答】
22年度の解説を流用します。
22年度分と合わせて参照してください。
「クリーニング事故賠償基準」は一般の人は知らないと思います。しかし、消費者センターでは最重要な基準で、現場で知らなければ話になりません。現職受験者には日常用語ですが、それ以外の人にとっては難しいかもしれません。
クリーニングの苦情は多く、紛失や事故にあったときに、誰がどのような基準で弁償するかが定められています。
昔は民法の損害賠償でしか弁償してもらう手段がなかったのですが、それは手間がかかるので、国と業界が作った自主基準が「クリーニング事故賠償基準」です。自主基準でありながら、基本ルールとして扱われています。
基本的には組合に加入しているクリーニング店の自主基準ですが、未加盟のクリーニング店でも準用しています。

クリーニング事故賠償基準
(定 義)
第 2 条 この賠償基準において使用する用語は、つぎの定義にしたがうものとする。
(2) 「賠償額」とは、客が洗たく物の滅失破損により直接に受けた損害に対する賠償金をいう。
(5) 「補償割合」とは、洗たく物についての客の使用期間、使用頻度、保管状況、いたみ具合等による物品の価値の低下を考慮して、賠償額を調整するための基準であって、物品の再取得価格に対するパーセンテージをもって表示された割合をいう。
(過失の推定)
第3 条
洗たく物について事故が発生した場合は、その原因がクリーニング業務にあるかどうかを問わず、クリーニング業者が被害者に対して補償する。ただし、クリーニング業者がもっぱら他の者の過失により事故が発生したことを証明したときは、本基準による賠償額の支払いを免れる。
(賠償額の減縮)
第 6 条
クリーニング業者が、事故の原因の一部が他の者の過失にもとづくことを証明したときは、その者に対して求償することができるにとどまり、被害者に対しては本基準による賠償額の支払いを免れることができない。ただし、被害者の過失が事故の一因であることまたは事故の原因について責任を負うべき者が、倒産し、若しくはその事業所を外国に置いている等の事情により、その者に対する求償が事実上不可能なことをクリーニング業者が証明した時は、賠償額の一部をカットすることができる
2 クリーニング業者が賠償金の支払いと同時に事故物品を被害者に引き渡すときは、被害者の同意を得て賠償額の一部をカットすることができる。
3 クリーニング業者が洗たく物を受け取った日より90日を過ぎても仕事の完成した洗たく物を客が受け取らず、かつ、これについて客の側に責任があるときは、クリーニング業者は受け取りの遅延によって生じた損害についてはその賠償責任を免れる。
クリーニング事故賠償基準運用マニュアル

http://www.oc929.net/library/houki/unyo.html
1 目 的
クリーニングにおけるクレームは、複雑多岐にわたるため、あらゆる場合に適合する賠償基準を作成するとすれば、基準自体が複雑かつ膨大になるため賠償基準ではその大綱を示すにとどめている。
そこで、この運用マニュアルは、賠償基準を適用するための細目を定め、賠償基準の解釈のしかたや適用方法を解説することを主目的とし、あわせて賠償基準を適用する場合のモデルを示して、その円滑な運用をはかることを目的とする。
4 基準第4条について
(1)この規定は、洗たく物が着用に耐えないとして、クリーニング業者が品物を引き取る場合(全損またはみなし全損)の賠償額を算定する方式を示したものである
事故の程度が軽く、品物は客が引き取り、引き続き使用するが、品物の価値が減じた場合(部分損)には、その損害の割合を判定し、これを上記方式により算定した額に乗じて賠償額を決定する。
(2)賠償額算定の特例
背広上下など、2点以上を一対としなければその着用が著しく困難な物品については、その一部について損害が生じたときは、一対のもの全体を考慮して賠償額を算定する
ただし、客が一対のもののうち、1点だけをクリーニングに出した場合に、クリーニング業者がこれを知らなかったときは、その1点だけについて賠償額を算定することができる。

⑨は事故発生時の責任の一部がほかのものの過失にあるときの賠償額の支払いの一部減額についての問題で、賠償基準の第6条が該当します。
まず、第3条により、クリーニング業者の責任の有無を問わず、クリーニング店が賠償責任を負うという基本原則です。
そして、その原因が「もっぱら」他の物に責任があると証明したときは、第3条により賠償額の支払いをのがれることができます
ただし、その原因の「一部」が他の物に責任があると証明したときは、一部の支払いをのがれることができるとはならず、第6条により、被害者には全額支払う必要があるが、一部をその者に請求することができるとなっています。
すなわちクリーニング店が自分の責任ではない部分を責任の一部がある他の者と交渉することになり、交渉が上手くいけば一部を取り戻すことができるし、うまくいかなければ全額賠償しなければならないことになります。
ただ、現場ではなかなか上手くまとまらないのが現実です。
なお、倒産等で請求できない場合は一部カットすることができると定められています。
ということで、⑨は㋑が不正解です。

⑩は「クリーニング事故賠償基準運用マニュアル」にかかれている文章そのままですが、さすがに、一般の方はマニュアルの存在までは知らないと思います。
まあ、常識力でいけると思います。
「着用に耐えない」の解釈が焦点になります。すなわち、通常のクリーニングでおこる消耗的なことで、結果として「許容範囲」であれば問題がないということです。ただし、現場では、許容範囲かどうかという基準が消費者と事業者との間でギャップがありトラブルが大きくなります。基本的には消費者はクリーニングすれば新品と同じ状態に戻るという思いがあるからです。
また、上下物であれば当然セットで賠償されるものです。ただし、上下物だとは認識できなかった場合はのがれることができます。
ということで、⑩はすべて正解です。

クリーニング賠償基準は直接国のHPには掲載されていないようですが、各都道府県や組合などのHPに掲載されています。
東京都クリーニング生活衛生同業組合
東京都クリーニング生活衛生同業組合「クリーニング事故賠償基準」
http://www.tokyo929.or.jp/misc/post_2.php
「クリーニング事故賠償基準」全文
http://www.tokyo929.or.jp/pdf/cleaningjikorule.pdf

大阪府クリーニング生活衛生同業組合

http://www.oc929.net/
資料室>クリーニングに関する法律等
クリーニング事故賠償基準
http://www.oc929.net/library/houki/baisyo.html
クリーニング事故賠償基準運用マニュアル
http://www.oc929.net/library/houki/unyo.html

解答一覧

⑨→×㋑、⑩→○

23年度 問題9 民法 (正誤で×を選択) その1

いよいよ相談員試験らしく法律問題に突入しました。
まずは民法です。

23年度の民法の試験問題
①契約の意思表示(錯誤)
②行為能力の制限(未成年者)
③私法上の規定(強行規定と任意規定)
④契約の意思表示(代理)
⑤時効
⑥約款
⑦取締規定
⑧債務不履行(損害賠償の予定条項)
⑨瑕疵担保責任
⑩判例(敷金返還訴訟)

こうやって並べると、民法の中でも消費者契約に関する基本的なものばかりですね。
すなわち、民法では勉強すべき範囲やポイントは限られているということです。

では何を勉強すればよいかということですが、できるだけ効率に勉強したい場合は、毎年5月に発売される「消費生活アドバイザー受験合格対策」の中の法律知識の民法を含めた法律の一般的な解説がされている最初の10ページ程度に絞って、そこから知識を広げていくという方法です。過去問と比べて説明されていない分野は個別に調べていくことになります。
民法は勉強し始めてもきりがなく、どこから手をつけていいのかわからないことがあります。
この本は勉強が終わった後の復習確認にも使用できます。

また、過去に紹介している参考書類をもう一度紹介しておきます。
「参考書2012」のページにまとめています
https://soudanshiken.com/room2012/book-sankou2012

①ポイントまとめタイプ
「消費生活アドバイザー受験合格対策」(amazonへ)
②消費者法全般を少ないボリュームで分かりやすく網羅解説
「18歳から考える消費者と法」(amazonへ)
③民法の条文の解説
「口語民法補訂4版」(amazonへ)

特に相談員試験を何から手をつけていけばいいのか分からない初心者(?)の人は、とりあえず、②「18歳から考える消費者と法」を読み込めば全体像が分かると思います。1日に2-3時間で1週間もあれば読めると思います。説明も初心者向けで分かりやすいです。

23年度 問題9①②③ 民法 (正誤で×を選択) その2

9.次の文章のうち、正しいものには○、誤まっているものには×を、解答用紙の解答欄に記入 (マーク) しなさい。また、誤まっているものには、誤まっている箇所 (1ヵ所) の記号も記入 (マーク) しなさい。

① 契約は、当事者の意思表示の合致によって成立する。しかし、㋐法律行為の要素に錯誤があった場合はその意思表示は無効であり、表意者のみならず、相手方や第三者もその無効を主張することができると解されている。錯誤による意思表示をしたことにつき、㋑表意者に重大な過失があったときは、無効の主
張は原則としてできないが、㋒インターネットでの注文などの場合については、特別法によって特例がおかれている
② 民法は、行為能力の制度を設けつつ、㋐制限行為能力者の保護を図っている。例えば、18歳の未成年者が車を購入する契約をした場合において、未成年者がその契約につき㋑法定代理人の同意を得ていなかったときは、未成年者本人や法定代理人はその契約を取り消すことができる。成年被後見人が車を購入す
る契約をした場合、㋒後見人の同意を得ていたか否かにかかわらず、成年被後見人本人または後見人はその契約を取り消すことができる。
③ 私法上の規定の中には、㋐強行規定と任意規定がある。契約の当事者が、㋑強行規定に反する内容の特約を設けた場合、その特約は無効とされる。例えば、㋒民法第96条の詐欺または強迫による意思表示の取消しに関する規定を排除する旨の特約は無効である

【解説と解答】

民法の錯誤無効に関する問題です。錯誤無効は現場でも頻繁に使いますし、消費者の行為や事業者の表示などが錯誤に該当するかどうかについての判断も現場でして行くことになるので民法の中でも最重要分野です。
基本原則となる民法の条文を確認します。

民法・・・http://law.e-gov.go.jp/htmldata/M29/M29HO089.html

(錯誤)
第九十五条  意思表示は、法律行為の要素に錯誤があったときは、無効とする。ただし、表意者に重大な過失があったときは、表意者は、自らその無効を主張することができない

意思表示というのは表示した者に帰属するものであり、錯誤があったとしても、それを主張するかどうかは表示者の自由であり、主張せず、受け入れることには何ら問題はありません。したがって、相手方や第3者が存在する錯誤を主張しても表意者が主張しないのなら無効になることはありません。日常生活でもよくあることですので、判断に迷いますが、①は㋐が不正解と考えたらいいです。
インターネットでの注文に関する特別法といえば、ご存知「電子消費者契約法」ですね。

電子消費者契約及び電子承諾通知に関する民法の特例に関する法律・・・http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H13/H13HO095.html

(電子消費者契約に関する民法 の特例)
第三条  民法第九十五条 ただし書の規定は、消費者が行う電子消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示について、その電子消費者契約の要素に錯誤があった場合であって、当該錯誤が次のいずれかに該当するときは、適用しない。ただし、当該電子消費者契約の相手方である事業者(その委託を受けた者を含む。以下同じ。)が、当該申込み又はその承諾の意思表示に際して、電磁的方法によりその映像面を介して、その消費者の申込み若しくはその承諾の意思表示を行う意思の有無について確認を求める措置を講じた場合又はその消費者から当該事業者に対して当該措置を講ずる必要がない旨の意思の表明があった場合は、この限りでない。
一  消費者がその使用する電子計算機を用いて送信した時に当該事業者との間で電子消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示を行う意思がなかったとき。
二  消費者がその使用する電子計算機を用いて送信した時に当該電子消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示と異なる内容の意思表示を行う意思があったとき。


制限行為能力者とは、ものごとを判断する能力が不足している人のことで、法律によって保護されています。
民法第20条に「制限行為能力者(未成年者、成年被後見人、被保佐人及び第十七条第一項の審判を受けた被補助人をいう。以下同じ。)」という表現があります。
制限行為能力者には、この4類型があり、それぞれの類型によって、保護される内容(レベル)が異なっていますので、その違いをしっかり覚えておくことが重要です。

未成年者に法律行為は、第5条3で規定されている「お小遣いの範囲(法定代理人が目的を定めて処分を許した財産は、その目的の範囲内において、未成年者が自由に処分することができる)」であれば取消できませんが、車はお小遣いの範囲を超えているので法定代理人の同意がなければ取り消しできます。
また、成年被後見人は日常生活に関する行為は取り消しできませんが、車の購入は日常生活とは言えませんので、条文どおり取消できます。もちろん、同意があったとしても取消することができます。ただし、成年被後見人の法定代理人が行った法律行為は取消することができません。
問題の、「後見人の同意を得ていたか否かにかかわらず」で、「同意を得ていた」ら取消できないように感じるかもしれませんが、取り消しできるのです。
したがって、②はすべて正解となります。

なお、被保佐人については制限行為が第13条に列挙されています。
被補助人についてはあらかじめ制限する行為を選択しておくことになります。
注意しておかなければならないことは、制限行為能力者が詐欺的な手段を使ったときは取消できないということです。
これらの違いはポイントとなるのでしっかり勉強しておいてください。

(未成年者の法律行為)
第五条  未成年者が法律行為をするには、その法定代理人の同意を得なければならない。ただし、単に権利を得、又は義務を免れる法律行為については、この限りでない。
2  前項の規定に反する法律行為は、取り消すことができる。
3  第一項の規定にかかわらず、法定代理人が目的を定めて処分を許した財産は、その目的の範囲内において、未成年者が自由に処分することができる。目的を定めないで処分を許した財産を処分するときも、同様とする。
(成年被後見人の法律行為)
第九条  成年被後見人の法律行為は、取り消すことができる。ただし、日用品の購入その他日常生活に関する行為については、この限りでない。
(制限行為能力者の詐術)
第二十一条  制限行為能力者が行為能力者であることを信じさせるため詐術を用いたときは、その行為を取り消すことができない。


強行規定は相談現場でも重要です。強行規定と任意規定はしっかり覚えておきましょう。
22年度の解説を引用します。

強行規定と任意規定(消費生活アドバイザー受験合格対策より)
強行規定・・・当事者の意思にかかわらず適用されるのが強行規定で、社会秩序に関するものに多い。消費者契約法や、特定商取引法の行政規制・クーリングオフ規定等は強行規定である。強行規定に反する特約は無効
任意規定・・・当事者の特約が優先されるのが任意規定で、債券法に多くみられる。

本来、契約とはお互いの合意に基づくものです。クーリングオフは契約は成立しているのに無条件で解約できるという契約の原則とは異なるルールであり、強行規定といいます。したがって、クーリングオフは3日間とする、クーリングオフは無効である、などの契約の特約を設けたとしても無効になります。強行規定とは非常に力のあるものです。
任意規定をもう少し詳しく解説すると、当事者に特約がなければ、普通に民法の規定に従うというものです。一般的な民法の規定ではない特約を設けたかったら、あらかじめ特約を設けておきます。そうすとと、この特約が優先されます。ただし、優先されるだけであって、常に有効とされるわけではありません。

今回の問題でに出てくる96条の「詐欺又は強迫による意思表示は、取り消すことができる」という規定を特約で排除することは当然許されないことは常識的に分かると思います。
したがって、③はすべて正解です。

(詐欺又は強迫)
第九十六条  詐欺又は強迫による意思表示は、取り消すことができる。
2  相手方に対する意思表示について第三者が詐欺を行った場合においては、相手方がその事実を知っていたときに限り、その意思表示を取り消すことができる。
3  前二項の規定による詐欺による意思表示の取消しは、善意の第三者に対抗することができない。
解答一覧

①→×㋐、②→○、③→○

23年度 問題9④⑤⑥ 民法 (正誤で×を選択) その3

9.次の文章のうち、正しいものには○、誤まっているものには×を、解答用紙の解答欄に記入 (マーク) しなさい。また、誤まっているものには、誤まっている箇所 (1ヵ所) の記号も記入 (マーク) しなさい。

④ 契約の㋐意思表示は、本人に代わって他の人が行うこともできる。代理によって本人に効果を帰属させるためには、その代理行為をする者に代理権があることが必要である。その代理権が㋑本人の意思によって与えられる場合を任意代理といい、㋒本人の意思によるのではなく、法律の規定または法律の定める手続によって与えられる場合を法定代理という。
⑤ 債権は、権利を行使することができるときから一定期間経過すると、時効により消滅する。㋐債権の一般的時効期間は10年とされているが、商事債権については5年とされている。また、不法行為による損害賠償請求権については、㋑民法第724条により被害者またはその法定代理人が損害および加害者を知ったときから2年間行使しないときは時効によって消滅し、さらに、不法行為のときから20年を経過したときも、同様に消滅すると規定している。この20年の期間は㋒除斥期間と解されている。
⑥ 多数取引の画一的処理のため、あらかじめ定型化された契約条項を一般に約款という。㋐消費者契約においては約款が用いられることが多いが、事業者間契約においても約款が用いられることがある。約款が当事者を拘束するための要件および法的根拠については議論があるが、判例には、保険契約における約款に関して、㋑「約款による」との顧客の意思が推定されるとしたものがある。㋒消費者契約法は、消費者契約における契約条項のうち約款の不当条項のみを対象にして、不当条項規制の規定を設けている

【解説と解答】

いきなり「意思表示」に下線が引かれていますが、民法上の意思表示とは「法律効果が発生するという効果意思を、他人に知らせたいという表示意思を持って、外部に表示する表示行為を行うこと」です。ウィキペディアが参考になります(意思表示)。
代理行為による法律行為は民法第3節99条から118条に規定されています。それだけ重要ということでしょうね。
代理権には、本人から代理権が与えられる任意代理というのと法律の規定による法定代理の2種類があります。
任意代理は、例えば、「この本を買ってきて」と1000円渡してお願いするようなイメージを考えていただいたら分かりやすいです。
法定代理は、未成年者の契約を親権者がしたり、相続財産の管理人のように裁判所から選任されたりする場合などです。
ともに、代理人がした行為は本人がした行為となります。ただし、代理行為の瑕疵や制限などトラブル回避のための複雑な規定があります。
ということで、④はすべて正解です。


時効です。覚えるしかないです。時効の期間については民法ゆるめ、特別法きつめ、となっていますので、同じ時効でも適用する法律により時効の期間が変わってきますので、その違いをしっかり覚えておいてください。

民法・・・http://law.e-gov.go.jp/htmldata/M29/M29HO089.html

(債権等の消滅時効)
第百六十七条  債権は、十年間行使しないときは、消滅する。
2  債権又は所有権以外の財産権は、二十年間行使しないときは、消滅する。

口語民法にも分かりやすい解説と表が掲載されていますが、債権の10年時効には多くの例外があります。
そのなかでも、商行為から生じた債権は原則として5年(商法522条)となります。
問題にある民法724条による不法行為のの損害賠償請求は条文にあるとおり、3年です。また、不法行為から20年経過したときに時効になりますが、この20年を「除斥期間」といいます。除斥期間は民法の条文上には出てきません。除斥期間は消滅時効と対比されることがあり、実は難解な問題点となっているようです。
除斥期間の起算点は権利の発生日で期間が中断されることなく固定されており、裁判所が判断することができます。
ということで、知ったときから2年ではなく3年となるので、⑤は㋑が不正解となります。
細かい期間を問題にするとは意地悪ですね。

(不法行為による損害賠償請求権の期間の制限)
第七百二十四条  不法行為による損害賠償の請求権は、被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から三年間行使しないときは、時効によって消滅する。不法行為の時から二十年を経過したときも、同様とする。
覚えておくべき時効(消費生活アドバイザー受験合格対策より)

製造物責任・・・損害および加害者を知ったときから3年または引き渡した時から10年
不法行為責任・・・損害および加害者を知ったときから3年または不法行為が行われた時から20年
債務不履行責任・・・知った時から10年
瑕疵担保責任・・・知った時から1年


約款についての問題です。約款の定義としては問題文中にもあるとおり、「多数取引の画一的処理のため、あらかじめ定型化された契約条項」です。
約款といえば具体的にどんな契約をイメージしますか?
保険契約、通信契約、電気ガス契約、旅行契約など多数あります。私たちは日常的に約款を使用しています。
そもそも約款を使用しないとなると、事業者が契約するに際して、任意規定として、契約者と細かいところまで合意して契約しなければならず事実上不可能です。
そこで統一的な約款を作成しています。
便利な反面、こっそり不利益となる条項が書かれている場合もあります。
そのような背景から相談現場でも約款を確認するという場面は頻繁です。
さて、このような約款は事業者と消費者だけでなく、事業者と事業者でも日常的に契約されていることは分かりますよね。
この問題で判例として保険契約が例に出されています。22年度の試験もほぼ同じ内容でした。
約款の法的拘束力を認める場合の根拠について議論がありますが、判例では、「意思推定説(当事者が約款によらない旨の意思表示をせずに契約したときは、その約款による意思で契約したと推定すべきである)」との立場で、「大正4年」のものが踏襲されています。
また、ウの出題する意味が不明確ですが、消費者契約法では約款の「契約条項のうち約款の不当条項のみを対象」とありますが、「不当条項」だけでなく「契約 事項に錯誤があれば無効を主張できるのでは、と解釈して間違いとします。もともと、「のみを対象」という出題方式は間違っていることが多いですね。
というわけで、⑥は㋒が不正解だと思います。

消費者契約法と約款についての係争中の裁判があり注目です。

「保険料の払込猶予期間内に保険料の払込がないときは保険契約が失効する旨の保険約款は、消費者契約法10条の規定に照らして、その効力を生じない。」とした係争で平成21年9月に高裁で判決「約款は消費者の利益を一方的に害しており、消費者契約法に反する」として約款を無効と判断。
判決などによると、男性は04年8月と05年3月、2件の生命保険契約を締結し、月額計約1万6千円の保険料を支払っていたが、07年1月分を、猶予期限の2月末時点までに支払えず、契約が失効した。
裁判長は「意に反して契約が終了した場合の契約者の不利益の度合いは極めて大きい」と指摘。「信義誠実の原則に反して消費者の利益を一方的に害する」
とした。
(ただし、平成24年3月に最高裁で、「差し戻し」の判決が出ています。)

 

解答一覧

④→○、⑤→×㋑、⑥→×㋒

23年度 問題9⑦⑧⑨ 民法 (正誤で×を選択) その4

9.次の文章のうち、正しいものには○、誤まっているものには×を、解答用紙の解答欄に記入 (マーク) しなさい。また、誤まっているものには、誤まっている箇所 (1ヵ所) の記号も記入 (マーク) しなさい。

⑦ 取締規定とは、行政上の取締目的に基づき一定の行為を㋐禁止しまたは義務付けることなどを定める規定をいう。取締規定に反する契約がなされた場合、㋑その契約は無効とされ、㋒その違反者には行政処分等の制裁が科されるのが通例である。
⑧ 民法によれば、㋐当事者は債務の不履行について損害賠償の額を予定する特約を設けることができ、その場合、裁判所はその額を増減することはできないとされているが、消費者契約法第9条は、消費者の利益擁護の見地から、事業者が消費者に請求する場合に限って、損害賠償額の予定条項について効力を制限する規定をおいている。これによれば、㋑ホテルのキャンセル料を定めた条項は、そのキャンセル料が平均的な損害の額を超える限度で同条により無効とされ、また、㋒貸衣装の返却が遅れた場合の延滞料条項も、その延滞料が平均的な損害の額を超える限度で同条により無効とされる
⑨ 特定の目的物の売買において、その給付された目的物に瑕疵(かし)があり、その瑕疵が「隠れた」瑕疵、㋐すなわち売主から買主に告げられていない瑕疵であったときは、買主は、民法の瑕疵担保責任の規定に基づいて、㋑売主の過失の有無を問わず、売主に対して損害賠償の請求をすることができ、その瑕疵のために契約をした目的を達することができないときは、契約を解除することもできる。㋒これらの権利は、買主が瑕疵を知ったときから1年以内に行使しなければならない

【解説と解答】

「取締規定」の定義は取締という文言からも想像がつくように行政上の取締で設問にあるとおりの説明です。
問題となるのは違反する行為がされたときにその効力は有効であるかどうかという話です。
身近なもので考えてください。
飲食店が無許可営業であった場合はもちろん「取締規定」に違反することになり行政的な罰則を受けることになりますが、では、その飲食店で飲食したという 「売買契約」そのものも無効となるのでしょうか?無効にはならないですね。民法では契約は自由に行えます。売買契約と取締規定は別個のものと考えてくださ い。
ただし、公序良俗(民法90条)に違反する場合は、「法律行為」も無効になるという例外があります。たとえば、違法な薬物を販売すれば取締規定に違反しますが売買契約も公序良俗により違法となるというのを想像していただければ分かりやすいと思います。
すると、普通の売買契約においても基本的には同じ考え方であるので、取締規定に反する契約がなされた場合は、行政的な罰則が適用されるが、契約自体は無効とはなりません。したがって、⑦は㋑が不正解です。


民法
第二節 債権の効力
第一款 債務不履行の責任等(第四百十二条―第四百二十二条)
に債務不履行が規定されています

民法・・・http://law.e-gov.go.jp/htmldata/M29/M29HO089.html

(賠償額の予定)
第四百二十条  当事者は、債務の不履行について損害賠償の額を予定することができる。この場合において、裁判所は、その額を増減することができない
2  賠償額の予定は、履行の請求又は解除権の行使を妨げない。
3  違約金は、賠償額の予定と推定する。

消費者契約法の不当条項で損害賠償額が平均的な損害を超える場合は無効であるというのはご存知だと思います。
設問では2つの事例があり、無効であるかどうか判断されることになります。民法といいながら消費者契約法の問題になっていますね。
「ホテルのキャンセル料の条項」と「貸衣装の延滞料の条項」です。
実は両方無効になると思いましたが、違っており、悩みました。
22年度の問題でも「レストランのキャンセル料条項やビデオレンタル延滞料は、同条の規制対象からはずされている」の解説の一部が間違っていました。
ホテルのキャンセル料は「平均的な損害を超える場合は無効である」で正解だと思います。
実は、貸衣装の延滞料はビデオの延滞料で判例があるように、不当条項の中の「平均的損害」という考え方ではなく、延滞料が「金銭債務の遅延損害金の年利14.6パーセントを超える分」は無効であるという考え、もしくは、暴利をむさぼるのは消費者の利益を一方的に害するという考え方でいいと思います。
すなわち、ホテルのキャンセル料が平均的損害を超える場合は消費者契約法9条1が該当しますが、貸衣装の延滞料の場合は14.6%を超える部分は消費者契約法9条2または10条に該当します。
したがって、⑧は㋒が不正解となります。

消費者契約法・・・http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H12/H12HO061.html

(消費者が支払う損害賠償の額を予定する条項等の無効)
第九条  次の各号に掲げる消費者契約の条項は、当該各号に定める部分について、無効とする。
一  当該消費者契約の解除に伴う損害賠償の額を予定し、又は違約金を定める条項であって、これらを合算した額が、当該条項において設定された解除の事由、時期等の区分に応じ、当該消費者契約と同種の消費者契約の解除に伴い当該事業者に生ずべき平均的な損害の額を超えるもの 当該超える部分
二  当該消費者契約に基づき支払うべき金銭の全部又は一部を消費者が支払期日(支払回数が二以上である場合には、それぞれの支払期日。以下この号において同じ。)までに支払わない場合における損害賠償の額を予定し、又は違約金を定める条項であって、これらを合算した額が、支払期日の翌日からその支払をする日までの期間について、その日数に応じ、当該支払期日に支払うべき額から当該支払期日に支払うべき額のうち既に支払われた額を控除した額に年十四・六パーセントの割合を乗じて計算した額を超えるもの 当該超える部分

(消費者の利益を一方的に害する条項の無効)
第十条  民法 、商法 (明治三十二年法律第四十八号)その他の法律の公の秩序に関しない規定の適用による場合に比し、消費者の権利を制限し、又は消費者の義務を加重する消費者契約の条項であって、民法第一条第二項 に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するものは、無効とする。

なお、貸衣装やビデオの損害額の上限は無限に延滞料が加算されるのではなく新品の購入費用になります。購入価格を超える延滞料金は消費者契約法10条に違反すると考えます。
(参考)東京都港区のHPに分かりやすく解説されています。
ホーム > 暮らし・手続き > 消費生活 > 消費者契約法が適用された具体的な事例
http://www.city.minato.tokyo.jp/shouhisha/kurashi/shohi/jire.html

⑨は瑕疵担保責任の問題です。
イとウについては正解であることは分かりますよね。
アの設問がいまいち分かりにくいですね。
「隠れた瑕疵」の意味が単純に「売主から買主に告げられていない瑕疵」であっているのかどうかでということだとすると、正解のような気がしますが、解答では不正解になっています。悩む。
本来、「隠れた瑕疵」は契約時に買主が知らなかった瑕疵のことであり、その瑕疵については売主が知ってても知らなくても対象となるので、「売主から買主に告げられていない瑕疵」は「売主が瑕疵を知っていて買主に告げていない」と限定解釈したうえで、「隠れた瑕疵」はそれだけではなく、「売主が知らなかったために買主に告げていない」瑕疵についても対象となるので、「売主が瑕疵を知っていて買主に告げていない」だけではないので不正解である、としか考えられません。
分かりませんが、そういう意味で考えて⑨は㋐が不正解としておきます。

民法

(売主の瑕疵担保責任)
第五百七十条  売買の目的物に隠れた瑕疵があったときは、第五百六十六条の規定を準用する。ただし、強制競売の場合は、この限りでない。

(地上権等がある場合等における売主の担保責任)
第五百六十六条  売買の目的物が地上権、永小作権、地役権、留置権又は質権の目的である場合において、買主がこれを知らず、かつ、そのために契約をした目的を達することができないときは、買主は、契約の解除をすることができる。この場合において、契約の解除をすることができないときは、損害賠償の請求のみをすることができる
2  前項の規定は、売買の目的である不動産のために存すると称した地役権が存しなかった場合及びその不動産について登記をした賃貸借があった場合について準用する。
3  前二項の場合において、契約の解除又は損害賠償の請求は、買主が事実を知った時から一年以内にしなければならない。

解答一覧

⑦→×㋑、⑧→×㋒、⑨→×㋐

23年度 問題9⑩ 民法 (正誤で×を選択) その5

9.次の文章のうち、正しいものには○、誤まっているものには×を、解答用紙の解答欄に記入 (マーク) しなさい。また、誤まっているものには、誤まっている箇所 (1ヵ所) の記号も記入 (マーク) しなさい。

⑩ 賃貸借契約における敷金返還請求訴訟において、判例は、㋐通常損耗等の補修費用については、賃料に含ませるなどしてその回収が図られているのが通常であるとし、㋑賃借人に通常損耗についての原状回復義務を負わせるのは、賃借人に予期しない特別の負担を課すことになるから、賃借人に通常損耗についての原状回復義務が認められるためには、㋒賃借人が補修費用を負担することになる通常損耗の範囲が契約書に具体的に明記されているか、その他の方法でその旨の特約が明確に合意されていることが必要だとしている。

【解説と解答】
⑩あらゆる場面で登場する原状回復費用に関する「敷金返還請求訴訟」ですね。当然ながら知っているべき裁判例であり、現場でもこの判例や国土交通省が作成した「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」をもとに助言しています。
国土交通省HP
http://www.mlit.go.jp/
ホーム >> 政策・仕事 >> 住宅・建築 >> 住宅
http://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/
主な施策>主な取り組み>「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」について
http://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/torikumi/genzyokaifuku.htm
■「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」(再改訂版)本文

原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改訂版)平成23年8月国土交通省住宅局

http://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/torikumi/honbun2.pdf
(P.6~7)
特に、最高裁判例では、「建物の賃貸借においては、賃借人が社会通念上通常の使用をした場合に生ずる賃借物件の劣化又は価値の減少を意味する通常損耗に係る投下資本の減価の回収は、通常、減価償却費や修繕費等の必要経費分を賃料の中に含ませてその支払を受けることにより行われている。そうすると、建物の賃借人にその賃貸借において生ずる通常損耗及び経年変化についての原状回復義務を負わせるのは、賃借人に予期しない特別の負担を課すことになるから、賃借人に同義務が認められるためには、少なくとも、賃借人が補修費用を負担することになる通常損耗及び経年変化の範囲が賃貸借契約書の条項自体に具体的に明記されているか、仮に賃貸借契約書では明らかでない場合には、賃貸人が口頭により説明し、賃借人がその旨を明確に認識し、それを合意の内容としたものと認められるなど、その旨の通常損耗補修特約が明確に合意されていることが必要であると解するのが相当である」との判断が示されている。

したがって、⑩はすべて正解です。

解答一覧

⑩→○

思考回路が止まってしまう民法ですが、5割以上は正解できるように集中しましょう。

23年度 問題10①②③ 消費者関連法 (正誤で×を選択) その1

10.次の文章のうち、正しいものには○、誤まっているものには×を、解答用紙の解答欄に記入 (マーク) しなさい。また、誤まっているものには、誤まっている箇所 (1ヵ所) の記号も記入 (マーク) しなさい。

① 貴金属の買取業者が消費者の自宅を訪れ、貴金属のアクセサリーを買い取るから見せるよう長時間居座り強引に迫ったので、断り切れず手持ちのアクセサリーの買取りに応じてしまった。この場合、㋐特定商取引法の政令指定商品制が廃止されたので「訪問販売」には該当するが、㋑クーリング・オフの適用は困難である。㋒消費者契約法第4条による取消しは適用の可能性がある
② 有料老人ホームの入居契約については、㋐前払金の保全措置は法制化されており、㋑入居日から一定期間内の解約申出について短期解約特例制度が法制化されたが、㋒標準約款は法制化されていない
③ 融資を受ける際に保証人を自分で探せない個人のために、手数料を取って保証人を紹介する事業者(保証人紹介業者)は、㋐貸金業法によって登録を義務付けられてはおらず、㋑紹介した保証人が保証債務を履行しない場合、当然に連帯保証債務を負うものではなく、㋒契約時の書面交付義務も負わない

【解説と解答】

深刻な消費者問題になっている訪問買取トラブルはご存知だと思います。事業者が商品を販売する訪問販売ではなく、訪問購入となるので、特定商取引法の6つの対象類型には該当しません。したがって、クーリングオフもできないのは当然です。
しかし、訪問購入時に誤認させるような説明や不退去(困惑)などがあれば消費者契約法第4条でで取消を主張できるのは一般的な取引に共通しているものといえます。したがって、①は㋐が不正解です。

ただし、訪問買取を特定商取引法の7つ目の対象類型に新たに指定されることが、この3月に閣議決定されました。施行日は決まってなかったように思いますが、次回の試験問題には必須ですね。とはいいながら、施行された頃には悪質な訪問買取業者の手口はなくなっていると思います。契約書面の交付なんて面倒でやってられませんよね。新たな手口を模索しているでしょう。
消費者庁HP
http://www.caa.go.jp/
ホーム > 組織・制度について > 国会提出法案
http://www.caa.go.jp/soshiki/houan/index.html
第180回国会(常会)提出法案
平成24年3月2日 特定商取引に関する法律の一部を改正する法律案 概要[PDF:205 KB]
http://www.caa.go.jp/soshiki/houan/pdf/120302_1.pdf

特定商取引に関する法律の一部を改正する法律案のポイント

貴金属等の訪問購入に関する商取引を公正なものとし、消費者被害を未然に防止するため、訪問購入業者に対する規制を設けるとともに、売主による一定期間内の解約を認める等の所要の措置を講ずる。

2.法律案の概要
特定商取引法を一部改正し、現行の6つの商取引類型に、7番目の商取引類型として「訪問購入」を追加
(1)規制対象物品
訪問購入に係るトラブルの実態上、政令で対象を指定(指定物品制)
(2)訪問購入業者に対する不当な勧誘行為等の規制
① 勧誘目的等の明示義務
② 再勧誘の禁止
③ 不実告知・事実不告知を伴う勧誘等の禁止
④ 勧誘等の際に人を威迫、困惑させる行為の禁止 等
(3)書面の交付
物品の種類 / 購入価格 / 売買契約の申込みの撤回・解除に関する事項 /
物品の引渡しの拒絶に関する事項 等を記載して交付する義務
(4)クーリング・オフ
①法定書面交付日から8日間は、売主からの売買契約の申込みの撤回・解除が可能
②クーリング・オフ期間中は、売主は物品の引渡しを拒絶することが可能
③売主は購入業者から引渡しを受けた第三者に対する物品の所有権の主張が可能(第三者が善意無過失の場合を除く。)


(参考)国民生活センター公表資料

有料老人ホームをめぐる消費者トラブルが増加-相談の傾向と消費者へのアドバイス- (2011年3月30日)

http://www.kokusen.go.jp/pdf/n-20110330_1.pdf
3.消費者へのアドバイス(<参考資料>参照)
(1)契約する前には入居一時金などの費用について十分説明を受け確認する
施設やサービスの利用に必要な費用に関して、契約・申込みをする前に、入居時に必要な費用、入居後毎月必要な費用、退去時の費用などそれぞれの時点に必要な費用について、事業者から十分に説明を受け確認する。
特に、消費生活センター等に寄せられるトラブルの事例として、入居一時金等の返還や原状回復費用の請求など、退去時や解約時における返金や精算に関するものが目立つことから、これらについて十分に確認する必要がある。
このうち、入居一時金等については、退去する際に返還がされるのか、償却はいつの時点からされるか、初期償却の割合(入居期間にかかわらず返金されない金額の割合)や償却期間(経過すると一時金が全額償却され戻らない期間)を確認し、退去や解約した場合の返金額について不明な点をなくし、納得するまで十分検討したうえで契約する注12。
また、前払金の保全措置注13 が講じられていることと保全措置の内容、短期解約特例制度が設けられていることについても契約書などで確認する。特に入居一時金等が高額なケースでは、トラブルの未然防止のために、これらの規定が契約書等に盛り込まれていることが重要となる。

注12 「有料老人ホーム設置運営標準指導指針」では、「一時金(入居時に老人福祉法第29 条第5 項に規定する前払金として一括して受領する利用料)の償却年数は平均余命を勘案し決められていること」とされており、また「一時金のうち返還対象とならない部分の割合が適切であること」とされている。
注13 家賃や入居一時金等の名目で前払金として一括で受領する場合、当該前払金の算定の基礎を書面で明示し、かつ当該前払金について必要な保全措置を講ずることが義務付けられている(原則として平成18 年4 月1 日以降に届け出た有料老人ホームに適用)(老人福祉法第29 条第6 項)。

短期解約特例制度とは、2006年7月以降の契約について、有料老人ホームに入居してから90日以内に退去あるいは契約解除をする場合、入居一時金など前払い金が全額返還されるシステムのことです。
老人ホームに関する標準約款は定められていないと思います。
ということで、②はすべて正解です。


社会問題となった「保証人紹介ビジネス」です。
このビジネスは、保証人を紹介するだけであり、対象となる保証の契約には業者は全く出てこない、すなわち、個人の契約書の保証人には業者名ではなく紹介された保証人が記載されることになるため、紹介事業者名はまったく出てきません。したがって、保証人が保証債務を履行しない場合は事業者が連帯責任を負うこともありませんし、貸金業にも当たらないし、契約書を作成するかどうかも任意です。
ということで、③はすべて正解です。
(参考)国民生活センター公表資料

「借金をするとき、家を借りるとき、就職するとき・・・保証人紹介ビジネスのトラブルにご注意!」(H22.5.26)[PDF]

http://www.kokusen.go.jp/pdf/n-20100526_2.pdf
1.保証人紹介ビジネスとは
保証人が必要とされる場面は様々あるが、自分で保証人を探すことができない消費者へ保証人を紹介し、その手数料等を得ることを目的とする事業者を保証人紹介業者という。紹介業者は、保証人が必要な消費者同士を相互に保証人として紹介したり、債務は紹介業者が負担するとうたって保証人として名義を貸してくれる消費者を募集し、報酬として一定の名義登録料を支払い、その名義登録した消費者を保証人として紹介するなどしている。「保証人が必要な消費者」同士を結びつけたり、紹介業者が債務を負担するとうたって「保証人として名義登録をした消費者」と「保証人が必要な消費者」を結びつける等、実質的には保証人といえない消費者が保証人として紹介されるところに特徴がある。
4.消費生活相談からみた問題点
(3)他人の債務を負担させられる
紹介業者は、保証人を募集する際に「消費者は全く金銭的負担を負わない」旨や「折半となる」旨を説明しているが、実際には債権者と保証人間の保証契約に紹介業者は一切かかわっていない。つまり、債権者と紹介業者に契約関係がない以上、紹介業者は債権者との関係では何らの責任も負担しない。債権者から請求を受けた消費者は、債務負担を免れないことになる。このように、保証人紹介サービスは多くの問題点を抱えているが、保証人紹介サービスの利用を考える消費者はあとを絶たず、トラブルに巻き込まれてしまう結果を招いている。事業者への法規制や監督官庁が存在しない現状においては、保証人紹介ビジネスに代わるなんらかの社会的制度の整備が望まれる。
5.消費者へのアドバイス
(3) 保証人としての名義登録は絶対にしない
ただ単に名義を貸すつもりであっても、他人の保証人になることは、債権者との関係では自分に支払い義務が生じる。保証人紹介業者が代位弁済するので債務は負わないとうたっていても、他人の保証人になることは、金銭的に大きな負担を伴うことになるので、絶対に紹介業者へ保証人としての名義登録はしないこと。

解答一覧

①→×㋐、②→○、③→○

23年度 問題10④⑤ 消費者関連法 (正誤で×を選択) その2

10.次の文章のうち、正しいものには○、誤まっているものには×を、解答用紙の解答欄に記入 (マーク) しなさい。また、誤まっているものには、誤まっている箇所 (1ヵ所) の記号も記入 (マーク) しなさい。

④ 医師が行う脂肪吸引やシミ取りなどの美容医療サービス契約は、㋐特定商取引法の「特定継続的役務提供」に該当しないが、㋑キャッチセールスの方法で呼び止められて同行して契約すれば「訪問販売」に該当し、㋒インターネットの広告を見てクリニックに行って契約したときは「通信販売」に該当する
⑤ いわゆるクレジットカードのショッピング枠の現金化は、㋐景品表示法の景品には該当しないと解されているが、㋑カード会員規約に違反する行為であり、㋒購入代金額と受取金額との差額を金利と考えれば、実質的には高金利貸付けの可能性がある

【解説と解答】

「医師が行う」というのがポイントで、医師が行う医療行為は特商法の継続的役務の「エステ」には該当しないと考えられています。ただし、医師が行うかどうか不明確な美容医療サービスは特商法の対象とすべきといわれています。
キャッチセールスの場合は単純に特商法の対象となると考えればいいです。
通信販売は、ネットや電話、郵便などの方法で申し込みをする遠隔地間取引のことですので、ネットの広告を見てクリニックに行った場合は「通信販売」にはなりません。
したがって、④は㋒が不正解です。アとイで悩む前にウが明らかに間違いなので、さっさと正解を選んで次に進みましょう。

特定商取引に関する法律の解説(逐条解説) P.229
http://www.no-trouble.go.jp/#1259300931251
(4) 政令第12 条で定める特定継続的役務は、以下の6役務である。
① 人の皮膚を清潔にし若しくは美化し、体型を整え、又は体重を減ずるための施術を行うこと。
いわゆる「エステティックサロン」の役務等である。美顔や脱毛、体型補正、痩身のための施術を行うことを指す。
単にリラックスのために音楽を聴かせるとか、お香を焚くものについては「施術」には当たらないと考えられる。
また、いわゆる増毛、植毛の類は、通常「人の皮膚を清潔にし若しくは美化し」には当たらないと考えられる。


クレジットカードのショッピング枠を現金化する方法は、大きく分けて「買取屋による方式」と「キャッシュバック付商品の販売による方式」の2 種類があります。
買い取り方式は、従来からある方法で、クレジットカードで購入した家電品や指輪などを、単純に買い取る方式です。当然買い取り金額は低くなります。商品の受け渡しをしないこともあります。新幹線の回数券もこれに該当します。
そして、キャッシュバック方式は、価値が不明の商品を購入すれば、同時にキャッシュバックを受けることができるとするものです。このキャッシュバック方式が急増しています。「キャッシュバック方式は景品表示法に違反しない合法なもの」「景品表示法を遵守しています。」と広告する業者もありますが、現金化は景品表示法の景品に該当しないに過ぎず、景品表示法に該当するかどうかの問題以前に、「クレジットカード現金化」はクレジットカード契約に違反する取引です。
とはいえ、カード規約に違反することが消費者に分かりやすく説明されていない問題もあることから、業界へは要望等も出しているところです。
そして、問題文中にあるとおり、購入代金額と受取金額との差額を金利と考えれば、実質的には高金利貸付けの可能性があります。
ということで、⑤はすべて正解です。特に難しくないと思います。
(参考)
国民生活センター公表資料

「借金をするとき、家を借りるとき、就職するとき・・・保証人紹介ビジネスのトラブルにご注意!」(H22.5.26)

http://www.kokusen.go.jp/pdf/n-20100407_2.pdf
4.消費生活相談からみた現金化の危険性と問題点
(1)クレジットカード契約違反行為である
「クレジットカードの現金化」はクレジットカード契約に違反する行為であり、クレジット業界で禁止している行為である。「クレジットカード現金化」を利用すると、消費者は退会処分等になることもあり、退会処分になった場合には一度に利用金額を支払わねばならない等のおそれがある。
また、「クレジットカード現金化」が不正な利用方法であることを知りながら利用した場合、消費者自身も詐欺罪(刑法第246 条)等に抵触する可能性がある。

今回の5問ですが、実は、消費者庁のHPに掲載されている「設け話に注意!」というページで紹介されている8つに事例のうちの2つに該当します。
題文作成当時も同じだったかどうかは不明ですが、最新の事例としてチェックしておくことも重要だと思います。
消費者庁HP
ホーム > 消費者情報課 > 儲け話に注意!
http://www.caa.go.jp/information/kashikin.html

消費生活情報

・「保証人紹介ビジネス」の悪用
・クレジットカードのショッピング枠の現金化
・ドロップシッピング
・情報商材
・携帯電話契約の名義貸し
・換金性の乏しい外国通貨の取引に要注意
・「金貨の"即"現金化」の取引に要注意
・悪質な「有料メール交換サイト」に要注意

解答一覧

④→×㋒、⑤→○

問題10は②が難しいかもしれませんが4問以上の正解を目指してください。

23年度 問題11 訴訟 (選択穴埋) その1

11.次の文章の[   ]の部分に入れるのに最も適切な語句を、下記の語群の中から選び、解答用紙の解答欄にその番号を記入(マーク)しなさい。なお、同一記号には同一語句が入る。

【語 群】

1.簡易裁判所 2.主要な事実 3.任意的 4.判決 5.調停 6.土地管轄  7.訴訟指揮権
8.依頼者 9.職権探知主義 10.あっせん 11.客観的な事実 12.了承 13.処分権主義
14.適正手続の保障 15.職分管轄 16.地方裁判所 17.決定 18.敗訴者 19.自白 20.強制的

語群をグループ分けします
1.簡易裁判所 16.地方裁判所
2.主要な事実 11.客観的な事実
3.任意的 20.強制的
9.職権探知主義 13.処分権主義
8.依頼者 18.敗訴者
5.調停 10.あっせん
6.土地管轄 15.職分管轄
12.了承 19.自白
4.判決 17.決定
7.訴訟指揮権
14.適正手続の保障

訴訟に関する問題は必ず出題されますが、問題は本当に基本的なレベルです。
試験問題も重複する設問が多く、ポイントは限られています。
22年度の解説もあわせて参考にしてください。

なお、22年度の解説に書いたことを再掲します。

基本的なことが問われていますが、広い範囲なので、きっちり整理しておく必要があります。
相談現場では、消費者センターであっせんできないものは専門の法律相談への紹介から民事調停、民事訴訟へと発展します。
したがって、訴訟に関する知識はそれほど重要ではありません。
しかし、相談員としての基礎知識という面では重要ではないかと思います。
すべて、理屈があって、基本原理に従います。
一番の参考書は、訴訟に関する講習会の資料だと思います。
何らかの講習会に参加するのが一番だと思います。
私もそれで勉強しましたので、紹介できる資料を知りませんし、調べていません。申し訳ありません。
過去問を参考に知識を膨らませてはどうでしょうか。

23年度 問題11 訴訟 (選択穴埋) その2

11.次の文章の[   ]の部分に入れるのに最も適切な語句を、下記の語群の中から選び、解答用紙の解答欄にその番号を記入(マーク)しなさい。なお、同一記号には同一語句が入る。

【語 群】

1.簡易裁判所 2.主要な事実 3.任意的 4.判決 5.調停 6.土地管轄  7.訴訟指揮権
8.依頼者 9.職権探知主義 10.あっせん 11.客観的な事実 12.了承 13.処分権主義
14.適正手続の保障 15.職分管轄 16.地方裁判所 17.決定 18.敗訴者 19.自白 20.強制的

問題11 (前半部分)[ ア ]~[ オ ]

貸金返還請求、交通事故による損害賠償請求等の民事の紛争は、訴訟、仲裁、[ ア ]、和解(示談)、という手続によって解決することができる。[ ア ]では、相手方の[ ア ]期日への正当な理由がない不出頭に対しては過料の制裁があるものの、欠席者があると手続は進行しないうえ、相手方には合意するか否かの自由がある。これに対し、民事訴訟は[ イ ]な手続であり、被告とされた者は、被告となることを拒絶することはできず、第1回口頭弁論期日に答弁書を提出せずに欠席すると、原告の主張を[ ウ ]したものとみなされ、敗訴判決を受けることがある。2回目以降の期日を欠席したときにも手続を進められてしまうこともある。
[ ア ]の申立て・訴訟の提起は、原則として被告の住所地を管轄する裁判所に対して行う。これを[ エ ]という。
高度な法的専門性を要求される民事訴訟においても、必ずしも弁護士等の訴訟代理人に事件の処理を委任しなければならないということはなく、弁護士報酬が原則[ オ ]の負担となるものでもない。

【解説と解答】

語群をグループ分けします
1.簡易裁判所 16.地方裁判所
2.主要な事実 11.客観的な事実
3.任意的 20.強制的
9.職権探知主義 13.処分権主義
8.依頼者 18.敗訴者
5.調停 10.あっせん
6.土地管轄 15.職分管轄
12.了承 19.自白
4.判決 17.決定
7.訴訟指揮権
14.適正手続の保障

民事紛争の解決方法には「裁判による解決」と「話し合いによる解決」とがあります。
「話し合いによる解決」には、
①「私法上(民法上)の和解」・・・民法上の和解契約(民法695・696条)、ADRもこの一種、示談ともいう、、裁判所は関与しない、合意の内容を強制するためには裁判上の和解が必要
②「裁判上の和解」・・・裁判官の前で当事者双方が合意する。内容が調書に記載されると確定判決と同じ効果がある、裁判所が関与する、訴え提起前の和解と訴訟上の和解がある
③「調停」・・・当事者が裁判所で話し合って合意し自主的に実行する。自主的にといっても調停委員会によって行われ、合意内容が調停長所に記載されると判決と同じ効果がある。

民法・・・http://law.e-gov.go.jp/htmldata/M29/M29HO089.html

第十四節 和解
(和解)
第六百九十五条  和解は、当事者が互いに譲歩をしてその間に存する争いをやめることを約することによって、その効力を生ずる。
(和解の効力)
第六百九十六条  当事者の一方が和解によって争いの目的である権利を有するものと認められ、又は相手方がこれを有しないものと認められた場合において、その当事者の一方が従来その権利を有していなかった旨の確証又は相手方がこれを有していた旨の確証が得られたときは、その権利は、和解によってその当事者の一方に移転し、又は消滅したものとする。

民事紛争の種類には裁判による解決と話し合いによる解決があります。話し合いには和解と調停があります。仲裁は第三者によるADRの一種です。
したがって、[ ア ]は「5.調停」となります。「10.あっせん」は和解の一種です。
話し合いには応じるかどうかは自由(任意)となっていますが、調停とは違い、裁判の場合は応じるべき強制力があります。もっとも、無視して裁判に応じないという選択肢もありますが、口頭弁論に答弁書を出さないなど何もしなければ自白したものとみなされ、相手側の訴えがそのまま認められ確定判決が出されてしまいます。一旦確定すれば後から覆すことは出来ません。ちなみに、事実に争いがないときに、何も言わなかったら「自白」となりますが、自ら相手の言い分を認めた場合は「認諾」といいます。
ということで、[ イ ]は「20.強制的」が、[ ウ ]は「19.自白」となります。

調停の訴えは被告の住所地を管轄する裁判所で行います。
語群の中で該当しそうなのは1つだけですので、[ エ ]は「6.土地管轄」となります。
管轄とは裁判所に対する裁判権の分配のことをいいます。法廷管轄(職分管轄・事物管轄)や裁判所の担当区域を定めた土地管轄、合意管轄などがあります。
ちなみに、「15.職分管轄」というのは、第一審はこの裁判所というように、どの裁判所にどんな種類の裁判を割り当てて役割を持たせるかということをいいます。

民事調停法・・・http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S26/S26HO222.html

(管轄)
第三条  調停事件は、特別の定がある場合を除いて、相手方の住所、居所、営業所若しくは事務所の所在地を管轄する簡易裁判所又は当事者が合意で定める地方裁判所若しくは簡易裁判所の管轄とする。

次の設問の段落だけ問題の流れからはみ出ており、問題の趣旨が分かりにくいです。
裁判では必ず弁護士に依頼しなければならないということはありませんが、高度に法的専門性を要求される民事訴訟では専門家の必要性は不可欠です。弁護士費用を用意することができない人には公的扶助制度があります。
また、敗訴すると裁判に要した費用を負担することになりますが、相手方の弁 護士報酬費用までは含まれておりません。
ただし、2004年3月に「敗訴した場合の弁護士報酬は敗訴者負担」が国レベルで検討され、法案が提出されましたが、医療事故のように敗 訴した場合の負担が大きくなれば、訴えることに萎縮してしまうことにもなりかねず、強い反対により導入されませんでした。
ということで、[ オ ]は「18.敗訴者」となります。

解答一覧

ア→5、イ→20、ウ→19、エ→6、オ→18

23年度 問題11 訴訟 (選択穴埋) その3

11.次の文章の[   ]の部分に入れるのに最も適切な語句を、下記の語群の中から選び、解答用紙の解答欄にその番号を記入(マーク)しなさい。なお、同一記号には同一語句が入る。

【語 群】

1.簡易裁判所 2.主要な事実 3.任意的 4.判決 5.調停 6.土地管轄  7.訴訟指揮権
8.依頼者 9.職権探知主義 10.あっせん 11.客観的な事実 12.了承 13.処分権主義
14.適正手続の保障 15.職分管轄 16.地方裁判所 17.決定 18.敗訴者 19.自白 20.強制的

問題11 (後半部分)[ カ ]~[ コ ]

民事訴訟では、原告が申し立てた範囲内で審理が行われ、判決がなされるが、これを[ カ ]という。訴えの取下げ、請求の放棄・認諾、訴訟上の和解も[ カ ]の現れであるといえる。審理にあたっては、争いの内容の中心である[ キ ]について、当事者が主張しなければ裁判所は判決の基礎とすることはできない。これに対し、裁判所が探し出してくれることになっている方式もあり、これを[ ク ]という。
[ ア ]調書に記載された約束の内容や[ ケ ]で命じられた内容が任意に履行されないときには、強制執行することができる。当事者は、確定した[ ケ ]の内容を再び争うことはできなくなる。
少額訴訟は、60万円以下の金銭の支払いを目的とする訴訟につき[ コ ]で行われるが、裁量により[ ケ ]で分割払いや支払猶予を命じることができるため、履行の確保がなされやすい。

【解説と解答】

語群をグループ分けします
1.簡易裁判所 16.地方裁判所
2.主要な事実 11.客観的な事実
3.任意的 20.強制的
9.職権探知主義 13.処分権主義
8.依頼者 18.敗訴者
5.調停 10.あっせん
6.土地管轄 15.職分管轄
12.了承 19.自白
4.判決 17.決定
7.訴訟指揮権
14.適正手続の保障

訴訟を起こすか否か、どのような訴訟を起こすか、訴えを取り下げるか、和解するかなどは自分で決めることになります。これを専門用語で「処分権主義」といいます。

裁判では当事者が申し立てない事項について判決を出すことはできません。申し立てた範囲内で審理が行われ判決が出されます。これを専門用語で「弁論主義」といいます。
弁論主義とは
・自分に有利な事実は自分の側で主張する
・自白には拘束力がある(自分に不利内容を認めてしまうと後から簡単にはひっくり返すことができない)
・自分に有利な証拠は自分の側でだす

ということで、[ カ ] は「13.処分権主義」が正解となります。

弁論主義により、裁判の基礎となる訴訟資料(事実と証拠)の提出は当事者が行いますが、弁論主義が適用される事実は、法律効果の判断に直接必要な事実である「主要な事実」に限られます。
一般的に、一定の法律効果が発生するために必要な具体的事実を要件事実といい、民事訴訟では主要事実が該当します。
ということで、[ キ ] は「2.主要な事実」が正解となります。

弁論主義では証拠の提出は当事者の責任とされていますが、裁判所が判決を下すために職務の一環として事実関係の審査をすることがあり(職権証拠調べ)、これを「職権探知主義」といいます。したがって、[ ク ] は「9.職権探知主義」が正解となります。

調停で合意が成立し、調停調書に記載されれば裁判上の和解と同一の効力が認められますすなわち、確定判決と同一の効力を持つということになります。したがって、強制執行をすることもできます。
ということで、[ ケ ]は「4.判決」が正解となります。

最後に少額訴訟です。
少額訴訟は、少額の金銭の支払いを目的とする訴訟について、主として、一般市民が迅速に解決するための制度で、簡易裁判所の管轄です。
少額訴訟は、当初30万円以下が対象でしたが、平成15年に60万円以下に改正されました。
ということで、[ コ ]は「1.簡易裁判所」が正解となります。
また、判決で分割払いや支払猶予を目汁ことが民事訴訟法第375条により可能となります。

民事訴訟法・・・http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H08/H08HO109.html

第六編 少額訴訟に関する特則
(少額訴訟の要件等)
第三百六十八条  簡易裁判所においては、訴訟の目的の価額が六十万円以下の金銭の支払の請求を目的とする訴えについて、少額訴訟による審理及び裁判を求めることができる。ただし、同一の簡易裁判所において同一の年に最高裁判所規則で定める回数を超えてこれを求めることができない。
2  少額訴訟による審理及び裁判を求める旨の申述は、訴えの提起の際にしなければならない。
3  前項の申述をするには、当該訴えを提起する簡易裁判所においてその年に少額訴訟による審理及び裁判を求めた回数を届け出なければならない。
(反訴の禁止)
第三百六十九条  少額訴訟においては、反訴を提起することができない。
(一期日審理の原則)
第三百七十条  少額訴訟においては、特別の事情がある場合を除き、最初にすべき口頭弁論の期日において、審理を完了しなければならない。
2  当事者は、前項の期日前又はその期日において、すべての攻撃又は防御の方法を提出しなければならない。ただし、口頭弁論が続行されたときは、この限りでない。
判決による支払の猶予
第三百七十五条  裁判所は、請求を認容する判決をする場合において、被告の資力その他の事情を考慮して特に必要があると認めるときは、判決の言渡しの日から三年を超えない範囲内において、認容する請求に係る金銭の支払について、その時期の定め若しくは分割払の定めをし、又はこれと併せて、その時期の定めに従い支払をしたとき、若しくはその分割払の定めによる期限の利益を次項の規定による定めにより失うことなく支払をしたときは訴え提起後の遅延損害金の支払義務を免除する旨の定めをすることができる。
2  前項の分割払の定めをするときは、被告が支払を怠った場合における期限の利益の喪失についての定めをしなければならない。
3  前二項の規定による定めに関する裁判に対しては、不服を申し立てることができない。

解答一覧

カ→13、キ→2、ク→9、ケ→4、コ→1

訴訟特有の専門用語があり、覚えるしかないですが、そんなに多くはないので一通り勉強してください。
22年度の正誤問題に比べて穴埋ですので分かりやすいです。
8割以上の正解を目指しましょう。

23年度 問題12①② 消費者契約法 (正誤で×を選択) その1

12.次の文章のうち、正しいものには○、誤まっているものには×を、解答用紙の解答欄に記入 (マーク) しなさい。また、誤まっているものには、誤まっている箇所 (1ヵ所) の記号も記入 (マーク) しなさい。

① 消費者契約法は、㋐消費者と事業者との間の情報の質および量ならびに交渉力の格差にかんがみ、㋑事業者に一定の不当な勧誘行為があったことを要件として消費者に取消権を与え、㋒消費者の利益を不当に害することとなる一定の条項を無効としている
② ㋐株式会社、㋑PTA、㋒税理士個人は、常に消費者契約法第2条の「事業者」にあたる。

【解説と解答】

消費者契約法・・・http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H12/H12HO061.html

(目的)
第一条  この法律は、消費者と事業者との間の情報の質及び量並びに交渉力の格差にかんがみ事業者の一定の行為により消費者が誤認し、又は困惑した場合について契約の申込み又はその承諾の意思表示を取り消すことができることとするとともに、事業者の損害賠償の責任を免除する条項その他の消費者の利益を不当に害することとなる条項の全部又は一部を無効とするほか、消費者の被害の発生又は拡大を防止するため適格消費者団体が事業者等に対し差止請求をすることができることとすることにより、消費者の利益の擁護を図り、もって国民生活の安定向上と国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする。

第四章 雑則
(適用除外)
第四十八条  この法律の規定は、労働契約については、適用しない

消費者契約法の条文を参照してください。
設問では一定の不当な勧誘行為となっていますが、これは、他の条文でも、「消費者契約の締結について勧誘をするに際し」となっていますので、素直に正解と考えてください。あとは、ほぼ条文どおりです。
したがって、①はすべて正解です。


22年度の解説をそのまま使わせていただきます。税理士ではなく、わざわざ税理士個人と書かれていますね。基本として、会社であろうがPTAであろうが、団体は除かれます。逐条解説のとおり、個人事業者については、「事業者」として契約の当事者となる場合も、「消費者」として契約の当事者となる場合もある
ということで、②は㋒が不正解となります。

消費者契約法・・・http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H12/H12HO061.html

(定義)
第二条  この法律において「消費者」とは、個人(事業として又は事業のために契約の当事者となる場合におけるものを除く。)をいう。
2  この法律(第四十三条第二項第二号を除く。)において「事業者」とは、法人その他の団体及び事業として又は事業のために契約の当事者となる場合における個人をいう。
3  この法律において「消費者契約」とは、消費者と事業者との間で締結される契約をいう。
4  この法律において「適格消費者団体」とは、不特定かつ多数の消費者の利益のためにこの法律の規定による差止請求権を行使するのに必要な適格性を有する法人である消費者団体(消費者基本法 (昭和四十三年法律第七十八号)第八条 の消費者団体をいう。以下同じ。)として第十三条の定めるところにより内閣総理大臣の認定を受けた者をいう。

逐条解説より・・・ひとつ古いバージョンですhttp://www.consumer.go.jp/kankeihourei/keiyaku/chikujou/file/keiyakuhou2.pdf

「事業」とは、「一定の目的をもってなされる同種の行為の反復継続的遂行」であるが、営利の要素は必要でなく、営利の目的をもってなされるかどうかを問わない。また、公益・非公益を問わず反復継続して行われる同種の行為が含まれ、さらには「自由職業(専門的職業)」の概念も含まれるものと考えられる。
なお、労働契約(雇用主に対して、従業員が労務の提供に服することを約する契約)に基づく労働は、自己の危険と計算によらず他人の指揮命令に服するものであり、自己の危険と計算とにおいて独立的に行われるものである「事業」という概念にはあたらないと考えられる。

事業を行っていない個人については、本法において当然に「事業のためにでもなく、事業としてでもなく」契約の当事者となる「消費者」と考えられるが、個人事業者については、「事業者」として契約の当事者となる場合も、「消費者」として契約の当事者となる場合もある。したがって、本法においては個人事業者が「事業のためにでもなく、又は事業としてでもなく」契約の当事者となる場合には「消費者」として取り扱うことが妥当である。
例えば、個人事業者が当該事業のためにパソコンを購入したが、同時に個人の趣味として同パソコンを使用するというように、「事業のために」契約の当事者となるか、それとも「事業のためではない目的のために」契約の当事者になるかの判断を一概に決めることができない場合がある。その場合については、個々

解答一覧

①→○、②→×㋒

23年度 問題12③④⑤⑥ 消費者契約法 (正誤で×を選択) その2

12.次の文章のうち、正しいものには○、誤まっているものには×を、解答用紙の解答欄に記入 (マーク) しなさい。また、誤まっているものには、誤まっている箇所 (1ヵ所) の記号も記入 (マーク) しなさい。

③ 消費者契約法は、事業者の主観的認識に関係なく、㋐不実告知、㋑断定的判断の提供、㋒不利益事実の不告知をいずれも消費者が意思表示を取り消すことができる事由としている。
④ 事業者が、㋐消費者契約法第4条第1項1号の不実告知や、同法第4条第3項1号の不退去をしたら消費者は意思表示を取り消すことができる場合がある。その場合、㋑不実告知では消費者側の事情が問題となるが、㋒不退去では消費者側の事情は問題とならない
⑤ 消費者契約法第4条第3項2号の「退去させない」とは、㋐物理的な手段だけでなく、心理的なものでもよく、㋑必ずしも拘束時間が長時間にわたる必要もない。しかし、㋒一定の場所からの脱出を困難にさせる必要がある
⑥ 消費者契約法第4条の取消権は、㋐誤認に気がついたときや困惑から脱したときから6カ月、または㋑契約締結の日から5年間の行使期間の制限があり、㋒この期間は民法よりも短縮されている

【解説と解答】

消費者契約法・・・http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H12/H12HO061.html

(消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示の取消し)
第四条  消費者は、事業者が消費者契約の締結について勧誘をするに際し、当該消費者に対して次の各号に掲げる行為をしたことにより当該各号に定める誤認をし、それによって当該消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示をしたときは、これを取り消すことができる。
一  重要事項について事実と異なることを告げること。 当該告げられた内容が事実であるとの誤認
二  物品、権利、役務その他の当該消費者契約の目的となるものに関し、将来におけるその価額、将来において当該消費者が受け取るべき金額その他の将来における変動が不確実な事項につき断定的判断を提供すること。 当該提供された断定的判断の内容が確実であるとの誤認
2  消費者は、事業者が消費者契約の締結について勧誘をするに際し、当該消費者に対してある重要事項又は当該重要事項に関連する事項について当該消費者の利益となる旨を告げ、かつ、当該重要事項について当該消費者の不利益となる事実(当該告知により当該事実が存在しないと消費者が通常考えるべきものに限る。)を故意に告げなかったことにより、当該事実が存在しないとの誤認をし、それによって当該消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示をしたときは、これを取り消すことができる。ただし、当該事業者が当該消費者に対し当該事実を告げようとしたにもかかわらず、当該消費者がこれを拒んだときは、この限りでない。
3  消費者は、事業者が消費者契約の締結について勧誘をするに際し、当該消費者に対して次に掲げる行為をしたことにより困惑し、それによって当該消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示をしたときは、これを取り消すことができる。
一  当該事業者に対し、当該消費者が、その住居又はその業務を行っている場所から退去すべき旨の意思を示したにもかかわらず、それらの場所から退去しないこと。
二  当該事業者が当該消費者契約の締結について勧誘をしている場所から当該消費者が退去する旨の意思を示したにもかかわらず、その場所から当該消費者を退去させないこと。

第4条に取り消しができる対象が大きく分類して3つ列挙されています。
(1)4条第1項→誤認・・・不実告知、断定的判断の提供
(2)4条第2項→誤認・・・不利益事実の不告知 ※「ただし書き」あり
(3)4条第3項→困惑・・・不退去、退去妨害(監禁)

すると、この設問はすべて正解のように思えますが、少し落とし穴があって、「事業者の主観的認識に関係なく」という前提があります。
すなわち、「事業者が意識してようが意識してなかろうが」と言い換えると、第2号にだけ、ただし書きが書かれています。
ただし、当該事業者が当該消費者に対し当該事実を告げようとしたにもかかわらず、当該消費者がこれを拒んだときは、この限りでない。」
この例外規定は事業者が証明する必要があります
ということで、③は㋒が不正解となります。


③と同じような問題です。
不実告知は消費者側の事情に関係なく、「不実告知」という事実さえあればいいことになります。
不退去の場合は「退去すべき旨の意思を示したにもかかわらず」という消費者側の事情が前提となっています。
したがって、④は㋒が不正解となります。
もちろん、「不利益事実の不告知」の場合は消費者側が説明を阻んだときには「ただし書き」により取り消しできなくなることがあるのは問題③と同じです。


退去妨害(監禁)の解釈に関する問題です。逐条解説を参考にしてください。

逐条解説より・・・ひとつ古いバージョンですhttp://www.consumer.go.jp/kankeihourei/keiyaku/chikujou/file/keiyakuhou2.pdf

62ページ
(1)-2 監禁
① 「当該事業者が当該消費者契約の締結について勧誘をしている場所から当該消費者が退去する旨の意思を示したにもかかわらず」
「当該事業者が当該消費者契約の締結について勧誘をしている場所」については、当該事業者が勧誘(第4条第1項、第2項の解説を参照のこと)をしている場所であれば、どのような種類の場所であってもよい。
表示した場合(例えば「帰ります」「ここから出してください」と告知した場合)をいう。これを間接的に表示した場合については、例えば以下のア~ウのようなケ
ースであれば、直接的に表示した場合と同様の要保護性が消費者に認められ、相手方である事業者にも明確に意思が伝わることから、社会通念上「退去する旨の意思を示した」とみなすことが可能であると考えられる。
ア時間的な余裕がない旨を消費者が告知した場合
例:「時間がありませんので」「これから別の場所に用事がある」と消費者が告知した場合
イ当該消費者契約を締結しない旨を消費者が明確に告知した場合
例:「要らない」「結構です」「お断りします」と消費者が告知した場合ウ口頭以外の手段により消費者が意思を表示した場合
例:消費者が帰ろうとして部屋の出口に向かった場合
手振り身振りで「契約を締結しない」という動作をしながら、消費者がイスから立ち上がった場合
② 「その場所から当該消費者を退去させないこと」
「その場所」とは、「当該事業者が当該消費者契約の締結について勧誘をしている場所」を受ける。
「・・・から当該消費者を退去させないこと」とは、物理的な方法であるか心理的な方法であるかを問わず、消費者の一定の場所からの脱出を不可能もしくは著しく困難にする行為をいう。拘束時間の長短を問わない

ということで、⑤はすべて正解です。


取消権の時効についての問題です。
一般法(民法)に比べて特別法(消費者契約法)は消費者の権限が強く取消の要件が緩くなっています。そのため、権利を行使できる期間が少なくなっています。
民法の問題でも頻出です。
ちなみに逐条解説でも表になっています。
したがって、⑥はすべて正解です。

逐条解説より・・・ひとつ古いバージョンですhttp://www.consumer.go.jp/kankeihourei/keiyaku/chikujou/file/keiyakuhou2.pdf

57ページ
民法の詐欺と本法の「誤認」類型(第4条第1項・第2項)との比較について本法は、消費者と事業者との間の情報の格差が消費者契約(消費者と事業者との間で締結される契約)のトラブルの背景になっていることが少なくないことを前提として、消費者契約の締結に係る意思表示の取消しについては、民法の詐欺が成立するための厳格な要件を緩和するとともに、抽象的な要件を具体化・明確化したものである。
これによって消費者の立証負担を軽くし、消費者が事業者の不適切な勧誘行為に影響されて締結した契約から離脱することを容易にすることが可能となる。
民法の詐欺(第96条)・・・行為時から20年、追認可能時から5年
本法の「誤認」類型(第4条第1項・第2項)・・・追認可能時から6か月、契約締結時から5年

解答一覧

③→×㋒、④→×㋒、⑤→○、⑥→○

23年度 問題12⑦⑧⑨ 消費者契約法 (正誤で×を選択) その3

12.次の文章のうち、正しいものには○、誤まっているものには×を、解答用紙の解答欄に記入 (マーク) しなさい。また、誤まっているものには、誤まっている箇所 (1ヵ所) の記号も記入 (マーク) しなさい。

⑦ いわゆる学納金訴訟最高裁判決において、入学辞退をした場合の学納金不返還特約は、消費者契約法第9条によって、㋐授業料部分のみならず、入学金部分についても無効とされた。また、消費者が返金を求めるには、㋑原則として3月31日までに入学の辞退を申し出る必要があるとされた。
⑧ 不退去による取消しの場合の「当該消費者が、その住居又はその業務を行っている場所から退去すべき旨の意思を示した」とは、明確に「帰ってくれ」と伝える場合だけでなく、㋐消費者が「時間がありませんから」などと時間の余裕がないことを伝えている場合、㋑「要りません」など契約を結ばない趣旨を消費者が明確に伝えている場合、㋒身振りで帰ってくれという意思を示した場合も含まれる。
⑨ 建物賃貸借契約における敷引特約は、㋐当該建物に生ずる通常損耗等の補修費用として通常想定される額、賃料の額、礼金等他の一時金の授受の有無およびその額等に照らし、㋑敷引金の額が高額に過ぎると評価すべきものである場合には、㋒当該賃料が近傍同種の建物の賃料相場に比して大幅に低額であるなど特段の事情のない限り、信義則に反して消費者である賃借人の利益を一方的に害するものであって、消費者契約法第10条により無効となるとする最高裁判決がある。

【解説と解答】

「学納金訴訟最高裁判決」は消費者契約法の歴史上の重大事件のひとつです。
実務的にも活用されていますし、「平均的損害」についての考え方も明確になっています。
また、2次試験の面接でも出題されることがあります。
絶対に理解しておいてください。

国民生活センターHP
トップページ > 相談事例・判例 > 消費者問題の判例集 > 大学に対する入学辞退者による学納金返還請求
http://www.kokusen.go.jp/hanrei/data/200706.html

大学に対する入学辞退者による学納金返還請求[2007年6月:公表]

 本件は、大学に合格し入学手続きをしたが結局入学を辞退した者が、入学金および授業料の返還を大学側に求めた事案である。判決は、入学金は入学し得る地位を取得する対価であり返還を要しないが、授業料は返還を要するとした。また、入学を辞退しても授業料を返還しないというのは損害賠償額の予定または違約金の定めの性質を有するが、この点、消費者契約法9条1号が適用され、学生が当該大学に入学することが客観的に高い蓋然(がいぜん)性をもって予測される時点よりも前の時期における在学契約の解除については、原則として大学に生ずべき平均的損害は存在せず、授業料の全額を返還すべきであると認定した。(最高裁判所平成18年11月27日判決)

理由
1 在学契約
在学契約は、有償双務契約としての性質を有する私法上の無名契約であり、特段の事情がない限り、学生が入学手続き期間内に学生納付金の納付を含む入学手続きを完了することによって成立する。ただし、学生の身分を取得するのは、入学時期、通常は入学年度の4月1日である
2 入学金
入学金は、学生が当該大学に入学し得る地位を取得するための対価としての性格を有し、また、合格者を学生として受け入れるための事務手続き等に要する費用にも充てられるものである。そのため、入学金については、その納付により入学し得る地位を取得したのであり、その後に在学契約が解除されても、大学は返還義務を負う理由はない。
3 在学契約の解除
入学辞退は在学契約の解除の意思表示であり、辞退を書面によるべき旨が要項で定められていても、書面によらなければならないものではない。そして、入学式に無断で欠席した場合には、入学を辞退したものとみなすという記載がある場合には、学生が無断で入学式を欠席することは、黙示の在学契約の解除の意思表示をしたものと解するのが相当である。
4 授業料の不返還特約
消費者契約法は在学契約にも適用される。入学辞退の場合の授業料の不返還特約は損害賠償額の予定または違約金の定めである。消費者契約法9条1号により、不返還特約は平均的損害を超えて無効であると主張する学生側がその主張立証責任を負う。そして、学生が当該大学に入学することが客観的にも高い蓋然性をもって予測される時点よりも前の時期における解除については、原則として、当該大学に生ずべき平均的損害は存せず、支払った授業料などは全額が平均的損害を超えることになる。これに対して、解除がこの時点以後のものである場合には、学生が納付した初年度に納付すべき授業料等および諸会費等について、平均的損害を超える部分は存しない。この時期は原則として4月1日であるが、入学式を無断欠席することにより入学しなかったものと取り扱っている場合には、学生が入学式に無断欠席して黙示に解除をすることは予測の範囲内であり、その翌日が客観的に高い蓋然性をもって入学が予測されることになるというべきである。

すなわち、入学金は返還しないが、授業料は3月31日までに入学辞退を申し出れば返還されます。
(入学後に辞退した場合についての判例もあります)
したがって、⑦は㋐が不正解です。


⑤の設問が「退去妨害(監禁)」でしたが、⑧の設問は「不退去」です。
逐条解説のとおりです。
したがって、⑧はすべて正解です。

逐条解説より・・・ひとつ古いバージョンですhttp://www.consumer.go.jp/kankeihourei/keiyaku/chikujou/file/keiyakuhou2.pdf

60ページ
(1)-1 不退去
① 「当該事業者に対し、当該消費者が、その住居又はその業務を行っている場所から退去すべき旨の意思を示したにもかかわらず」
「その住居又はその業務を行っている場所」とは、当該消費者がその公私にわたる生活に用いている家屋等の場所をいう。このうち「その(=当該消費者の)住
居」とは、当該消費者が居住して日常生活を送っている家屋をいう。また「その(=当該消費者の)業務を行っている場所」とは、当該消費者が自ら業を行ってい
る場合、労務を提供している場合を問わず、当該消費者が労働している場所をいう。
「退去すべき旨の意思を示した」とは、基本的には、退去すべき旨の意思を直接的に表示した場合(例えば、「帰ってくれ」「お引き取りください」と告知した場
合)をいう。これを間接的に表示した場合については、例えば以下のア~ウのようなケースであれば、直接的に表示した場合と同様の要保護性が消費者に認められ、相手方である事業者にも明確に意思が伝わることから、社会通念上「退去すべき旨の意思を示した」とみなすことが可能であると考えられる。
ア時間的な余裕がない旨を消費者が告知した場合
例:「時間がありませんので」「いま取り込み中です」「これから出かけます」と消費者が告知した場合
イ当該消費者契約を締結しない旨を消費者が明確に告知した場合
例:「要らない」「結構です」「お断りします」と消費者が告知した場合
ウ口頭以外の手段により消費者が意思を表示した場合
例: 消費者が、手振り身振りで「帰ってくれ」「契約を締結しない」という動作をした場合
② 「それらの場所から退去しないこと」
「それらの場所」とは、「その住居又はその業務を行っている場所」を受ける。
「・・・から退去しないこと」については、滞留時間の長短を問わない。


「建物賃貸借契約における敷引特約」ですが、「通常使用分の原状回復費用」などとともに、様々な判例が出ており、⑦の「学納金訴訟最高裁判決」に並ぶ重要な分野ですので、必須事項となります。
敷引き特約の効力に関する裁判例は下級審で様々に示されていましたが、平成23年3月に初めて最高裁で、敷引き特約が消費者契約法第10条により無効となるか否か判断されました。今回の問題は、この判例が出題されたものです。
問題文は判決要旨そのままです。
したがって、⑨はすべて正解です。
最高裁判所
http://www.courts.go.jp/
判例検索

敷金返還等請求事件 平成23年03月24日

裁判要旨
1 消費者契約である居住用建物の賃貸借契約に付されたいわゆる敷引特約は,信義則に反して賃借人の利益を一方的に害するものであると直ちにいうことはできないが,賃借人が社会通念上通常の使用をした場合に生ずる損耗や経年により自然に生ずる損耗の補修費用として通常想定される額,賃料の額,礼金等他の一時金の授受の有無及びその額等に照らし敷引金の額が高額に過ぎると評価すべきものであるときは当該賃料が近傍同種の建物の賃料相場に比して大幅に低額であるなど特段の事情のない限り信義則に反して消費者である賃借人の利益を一方的に害するものであって,消費者契約法10条により無効となる
2 消費者契約である居住用建物の賃貸借契約に付されたいわゆる敷引特約は,賃貸借契約締結から明渡しまでの経過期間に応じて18万円ないし34万円のいわゆる敷引金を保証金から控除するというもので,上記敷引金の額が賃料月額の2倍弱ないし3.5倍強にとどまっていること,賃借人が,上記賃貸借契約が更新される場合に1か月分の賃料相当額の更新料の支払義務を負うほかには,礼金等の一時金を支払う義務を負っていないことなど判示の事実関係の下では,上記敷引金の額が高額に過ぎると評価することはできず,消費者契約法10条により無効であるということはできない。

解答一覧

⑦→×㋐、⑧→○、⑨→○

23年度 問題12⑩ 消費者契約法 (正誤で×を選択) その4

12.次の文章のうち、正しいものには○、誤まっているものには×を、解答用紙の解答欄に記入 (マーク) しなさい。また、誤まっているものには、誤まっている箇所 (1ヵ所) の記号も記入 (マーク) しなさい。

⑩ 消費者契約法に規定されている消費者団体訴訟制度によれば、適格消費者団体は、消費者被害の発生または拡大を防止するため、㋐同法に規定された事業者の一定の行為に対し、差止請求ができ、さらに㋑損害賠償請求もできる。また、㋒景品表示法と特定商取引法に規定された一定の行為に対しても差止請求 ができる

【解説と解答】

差止請求に関しては押さえておかなければならないポイントがあります。
(1)適格消費者団体について
(2)2008 年(平成20 年)改正により、景品表示法と特定商取引法が差止請求の対象に追加
(3)他の適格消費者団体を当事者とする差止請求に係る訴訟等につき既に確定判決等が存する場合において、請求の内容及び相手方が同一である場合はすることができない・・・(差止請求の制限)第十二条の二
(4)差止請求はできるが損害賠償請求はできない
ということで、⑩は㋑が不正解です。

消費者契約法・・・http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H12/H12HO061.html

(差止請求権)
第十二条  適格消費者団体は、事業者、受託者等又は事業者の代理人若しくは受託者等の代理人(以下「事業者等」と総称する。)が、消費者契約の締結について勧誘をするに際し、不特定かつ多数の消費者に対して第四条第一項から第三項までに規定する行為(同条第二項に規定する行為にあっては、同項ただし書の場合に該当するものを除く。次項において同じ。)を現に行い又は行うおそれがあるときは、その事業者等に対し、当該行為の停止若しくは予防又は当該行為に供した物の廃棄若しくは除去その他の当該行為の停止若しくは予防に必要な措置をとることを請求することができる。ただし、民法 及び商法 以外の他の法律の規定によれば当該行為を理由として当該消費者契約を取り消すことができないときは、この限りでない。
2  適格消費者団体は、次の各号に掲げる者が、消費者契約の締結について勧誘をするに際し、不特定かつ多数の消費者に対して第四条第一項から第三項までに規定する行為を現に行い又は行うおそれがあるときは、当該各号に定める者に対し、当該各号に掲げる者に対する是正の指示又は教唆の停止その他の当該行為の停止又は予防に必要な措置をとることを請求することができる。この場合においては、前項ただし書の規定を準用する。
一  受託者等 当該受託者等に対して委託(二以上の段階にわたる委託を含む。)をした事業者又は他の受託者等
二  事業者の代理人又は受託者等の代理人 当該代理人を自己の代理人とする事業者若しくは受託者等又はこれらの他の代理人
3  適格消費者団体は、事業者又はその代理人が、消費者契約を締結するに際し、不特定かつ多数の消費者との間で第八条から第十条までに規定する消費者契約の条項(第八条第一項第五号に掲げる消費者契約の条項にあっては、同条第二項各号に掲げる場合に該当するものを除く。次項において同じ。)を含む消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示を現に行い又は行うおそれがあるときは、その事業者又はその代理人に対し、当該行為の停止若しくは予防又は当該行為に供した物の廃棄若しくは除去その他の当該行為の停止若しくは予防に必要な措置をとることを請求することができる。ただし、民法 及び商法 以外の他の法律の規定によれば当該消費者契約の条項が無効とされないときは、この限りでない。
4  適格消費者団体は、事業者の代理人が、消費者契約を締結するに際し、不特定かつ多数の消費者との間で第八条から第十条までに規定する消費者契約の条項を含む消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示を現に行い又は行うおそれがあるときは、当該代理人を自己の代理人とする事業者又は他の代理人に対し、当該代理人に対する是正の指示又は教唆の停止その他の当該行為の停止又は予防に必要な措置をとることを請求することができる。この場合においては、前項ただし書の規定を準用する。

差し止め請求の対象となるのは、消費者契約法の不当な勧誘行為(第4条第1項第2項第3項)および不当な契約条項(第8条第9条第10条)です。
第4条
第1項・・・誤認(不実告知・断定的判断の提供)、第2項・・・不利益事実の不告知、第3項・・・困惑(不退去・退去妨害)
第8条・・・事業者の損害賠償の責任を免除する条項の無効
第9条・・・消費者が支払う損害賠償の額を予定する条項等の無効
第10条・・・消費者の利益を一方的に害する条項の無効

また、2008 年(平成20 年)改正により、景品表示法と特定商取引法が差止請求の対象に追加されました。それぞれの法律に条文があります。

不当景品類及び不当表示防止法
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S37/S37HO134.html
(適格消費者団体の差止請求権)
第十条  消費者契約法(平成十二年法律第六十一号)第二条第四項に規定する適格消費者団体は、事業者が、不特定かつ多数の一般消費者に対して次の各号に掲げる行為を現に行い又は行うおそれがあるときは、当該事業者に対し、当該行為の停止若しくは予防又は当該行為が当該各号に規定する表示をしたものである旨の周知その他の当該行為の停止若しくは予防に必要な措置をとることを請求することができる。
一  商品又は役務の品質、規格その他の内容について、実際のもの又は当該事業者と同種若しくは類似の商品若しくは役務を供給している他の事業者に係るものよりも著しく優良であると誤認される表示をすること。
二  商品又は役務の価格その他の取引条件について、実際のもの又は当該事業者と同種若しくは類似の商品若しくは役務を供給している他の事業者に係るものよりも取引の相手方に著しく有利であると誤認される表示をすること。
特定商取引に関する法律
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S51/S51HO057.html
第五章の二 差止請求権(第五十八条の四から第五十八条の十)
条文は省略します
解答一覧

⑩→×㋑

基本的な問題ばかりですが、引っ掛け的な細かい設問があるので、思ったよりも難しいかもしれません。考えれば考えるほど時間がかかって、あせってしまうおそれもありますので、実力を出し切れるとは限らないので、そのあたりも考慮しておいてください。
6割以上を目標に上積みしてください。

23年度 問題13 住宅の損害賠償 (選択穴埋) その1

13.次の文章の[   ]の部分に入れるのに最も適切な語句を、下記の語群の中から選び、解答用紙の解答欄にその番号を記入(マーク)しなさい。なお、同一記号には同一語句が入る。

【語 群】

1.契約解除 2.慰謝料 3.懲罰的賠償 4. 売買契約 5.工作物責任 6.説明責任 7.請負契約
8.20年間 9.相当因果関係 10.10年間 11.不動産媒介契約 12.不法行為責任
13.事実的因果関係 14.雨水の浸入を防止する部分 15.宅地建物取引業法
16.委任契約 17.瑕疵担保責任 18.建替費用相当額の損害賠償請求
19.耐火性能に関する部分 20.住宅の品質確保の促進等に関する法律

問題13 [ ア ]~[ イ ]

住宅を取得する契約には、大別して、マンションや建売住宅を購入する[ ア ]と注文住宅を建築する[ イ ]とがある。取得した住宅に欠陥があったときは、被害者は、直接の契約当事者である売主や工事請負人に対して、契約上の責任である[ ウ ]に基づき、修補請求や損害賠償請求ができる。建売住宅を購入した場合のように、買主と建築工事を行った施工業者との間に直接契約関係がない場合でも、買主は[ エ ]を追及することによって、直接施工業者に損害賠償を請求できる。このように[ エ ]は、直接契約関係がなくても追及できるので、買主と直接設計監理契約を締結していない設計者や監理者などを相手方とする場合の請求の根拠とすることができる。
損害賠償請求が認められる損害の範囲は、[ オ ]の範囲内の損害であるとされている。裁判例で認められているのは、補修費用のほか、補修期間中引越が必要ならば引越費用と仮住居費用、建築士の調査費用などである。被害の程度にもよるが、被害者の精神的苦痛を理由に[ カ ]を認めた裁判例も少なくない。注文住宅が新築されて注文主に引き渡されたが、欠陥の程度が著しく、技術的、経済的にみても、建て替えるほかはないと認められるときは、[ キ ]が認められるとするのが最高裁の判例である。
このような住宅の[ ウ ]に基づく損害賠償請求については、民法上の時効や除斥期間による権利行使の期間制限があり、また契約上短縮の特約がなされていることも多い。しかし、消費者保護の見地から、[ ク ]という法律によって、新築物件の瑕疵のうち、構造耐力上主要な部分と[ ケ ]については、引渡し後[ コ ]の[ ウ ]が義務付けられた。

【解説と解答】

語群をグループ分けします
1.契約解除 2.慰謝料 3.懲罰的賠償 18.建替費用相当額の損害賠償請求
4.売買契約 7.請負契約 11.不動産媒介契約 16.委任契約
5.工作物責任 6.説明責任 12.不法行為責任 17.瑕疵担保責任
8.20年間 10.10年間
9.相当因果関係 13.事実的因果関係
14.雨水の浸入を防止する部分 19.耐火性能に関する部分
15.宅地建物取引業法 20.住宅の品質確保の促進等に関する法律

この問題には、そもそも「契約」とは何か?という要素が含まれていると思います。
実は民法には第3編「債権」の中の第2章「契約」に13種の典型的タイプの契約(典型契約)が定められています。
民法は、これらの典型契約のそれぞれについて、どのような契約なのかの定義や具体的な権利義務(債権債務)の関係を定めています。
ただ、現在では特別法によってだいぶ改められており、新しい型の契約が定型化されたり、重要性を失っている契約もあります。
参考書として紹介している「口語民法」に分かりやすく解説されています。

民法・・・http://law.e-gov.go.jp/htmldata/M29/M29HO089.html

  第二章 契約
第一節 総則
第一款 契約の成立(第五百二十一条―第五百三十二条)
第二款 契約の効力(第五百三十三条―第五百三十九条)
第三款 契約の解除(第五百四十条―第五百四十八条)
第二節 贈与(第五百四十九条―第五百五十四条)
第三節 売買
(売買)
第五百五十五条  売買は、当事者の一方がある財産権を相手方に移転することを約し、相手方がこれに対してその代金を支払うことを約することによって、その効力を生ずる。
第一款 総則(第五百五十五条―第五百五十九条)
第二款 売買の効力(第五百六十条―第五百七十八条)
第三款 買戻し(第五百七十九条―第五百八十五条)
第四節 交換(第五百八十六条)
第五節 消費貸借(第五百八十七条―第五百九十二条)
第六節 使用貸借(第五百九十三条―第六百条)
第七節 賃貸借
第一款 総則(第六百一条―第六百四条)
第二款 賃貸借の効力(第六百五条―第六百十六条)
第三款 賃貸借の終了(第六百十七条―第六百二十二条)
第八節 雇用(第六百二十三条―第六百三十一条)
第九節 請負(第六百三十二条―第六百四十二条)
(請負)
第六百三十二条  請負は、当事者の一方がある仕事を完成することを約し、相手方がその仕事の結果に対してその報酬を支払うことを約することによって、その効力を生ずる。
第十節 委任(第六百四十三条―第六百五十六条)
(委任)
第六百四十三条  委任は、当事者の一方が法律行為をすることを相手方に委託し、相手方がこれを承諾することによって、その効力を生ずる。
(準委任)
第六百五十六条  この節の規定は、法律行為でない事務の委託について準用する。
第十一節 寄託(第六百五十七条―第六百六十六条)
第十二節 組合(第六百六十七条―第六百八十八条)
第十三節 終身定期金(第六百八十九条―第六百九十四条)
第十四節 和解(第六百九十五条・第六百九十六条)

「建売住宅を購入」ということですので単純に「売り買い」の契約です。したがって、[ ア ]は「4.売買契約」となります。
「注文住宅を建築する」場合は、「住宅を建てる」という仕事をしてもらう契約になります。したがって、[ イ ]は「7.請負契約」となります。
なお、「11.不動産媒介契約」ですが、「代理」は法律行為の事務の委託となり「民法での委任契約」になりますが、「媒介」は法律行為ではない事務の委託となり「民法での準委任契約」に該当するというのが一般的な考えです。
ちなみに、その直後の問題文に、「売主や工事請負人に対して」とかかれているので、売買契約・請負契約であるという答が書いているようなものです。

解答一覧

ア→4、イ→7

23年度 問題13 住宅の損害賠償 (選択穴埋) その2

13.次の文章の[   ]の部分に入れるのに最も適切な語句を、下記の語群の中から選び、解答用紙の解答欄にその番号を記入(マーク)しなさい。なお、同一記号には同一語句が入る。

【語 群】

1.契約解除 2.慰謝料 3.懲罰的賠償 4. 売買契約 5.工作物責任 6.説明責任 7.請負契約
8.20年間 9.相当因果関係 10.10年間 11.不動産媒介契約 12.不法行為責任
13.事実的因果関係 14.雨水の浸入を防止する部分 15.宅地建物取引業法
16.委任契約 17.瑕疵担保責任 18.建替費用相当額の損害賠償請求
19.耐火性能に関する部分 20.住宅の品質確保の促進等に関する法律

問題13 [ ウ ]~[ エ ]

住宅を取得する契約には、大別して、マンションや建売住宅を購入する[ ア ]と注文住宅を建築する[ イ ]とがある。取得した住宅に欠陥があったときは、被害者は、直接の契約当事者である売主や工事請負人に対して、契約上の責任である[ ウ ]に基づき、修補請求や損害賠償請求ができる。建売住宅を購入した場合のように、買主と建築工事を行った施工業者との間に直接契約関係がない場合でも、買主は[ エ ]を追及することによって、直接施工業者に損害賠償を請求できる。このように[ エ ]は、直接契約関係がなくても追及できるので、買主と直接設計監理契約を締結していない設計者や監理者などを相手方とする場合の請求の根拠とすることができる。

損害賠償請求が認められる損害の範囲は、[ オ ]の範囲内の損害であるとされている。裁判例で認められているのは、補修費用のほか、補修期間中引越が必要ならば引越費用と仮住居費用、建築士の調査費用などである。被害の程度にもよるが、被害者の精神的苦痛を理由に[ カ ]を認めた裁判例も少なくない。注文住宅が新築されて注文主に引き渡されたが、欠陥の程度が著しく、技術的、経済的にみても、建て替えるほかはないと認められるときは、[ キ ]が認められるとするのが最高裁の判例である。

このような住宅の[ ウ ]に基づく損害賠償請求については、民法上の時効や除斥期間による権利行使の期間制限があり、また契約上短縮の特約がなされていることも多い。しかし、消費者保護の見地から、[ ク ]という法律によって、新築物件の瑕疵のうち、構造耐力上主要な部分と[ ケ ]については、引渡し後[ コ ]の[ ウ ]が義務付けられた。

【解説と解答】

語群をグループ分けします
1.契約解除 2.慰謝料 3.懲罰的賠償 18.建替費用相当額の損害賠償請求
4.売買契約 7.請負契約 11.不動産媒介契約 16.委任契約
5.工作物責任 6.説明責任 12.不法行為責任 17.瑕疵担保責任
8.20年間 10.10年間
9.相当因果関係 13.事実的因果関係
14.雨水の浸入を防止する部分 19.耐火性能に関する部分
15.宅地建物取引業法 20.住宅の品質確保の促進等に関する法律

(売主の瑕疵担保責任)
第五百七十条  売買の目的物に隠れた瑕疵があったときは、第五百六十六条の規定を準用する。ただし、強制競売の場合は、この限りでない。

(請負人の担保責任)
第六百三十四条  仕事の目的物に瑕疵があるときは、注文者は、請負人に対し、相当の期間を定めて、その瑕疵の修補を請求することができる。ただし、瑕疵が重要でない場合において、その修補に過分の費用を要するときは、この限りでない。
2  注文者は、瑕疵の修補に代えて、又はその修補とともに、損害賠償の請求をすることができる。この場合においては、第五百三十三条の規定を準用する。

(抵当権等がある場合における売主の担保責任)
第五百六十七条  売買の目的である不動産について存した先取特権又は抵当権の行使により買主がその所有権を失ったときは、買主は、契約の解除をすることができる。
2  買主は、費用を支出してその所有権を保存したときは、売主に対し、その費用の償還を請求することができる。
3  前二項の場合において、買主は、損害を受けたときは、その賠償を請求することができる。

(不法行為による損害賠償)
第七百九条  故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。

住宅に欠陥があった場合には、契約上の責任ということで、責任の語群から選びますが、欠陥は専門用語で「瑕疵」といいます。普通の人は知らない言葉です。
ということで、[ ウ ]は「 17.瑕疵担保責任」となります。

次の問いは答えにくいですが、「責任」の語群から選ぶので簡単です。
直接的に責任を問う相手がいない場合、すなわち売買契約では購入者と建売販売業者と住宅を建てた業者という三角関係があり、購入者と建築業者とは直接的に契約関係はありませんが、欠陥(瑕疵)のある建物を建てたという責任があり、それは「法律上保護される利益を侵害した」ということで、「不法行為」を追求できる可能性があります。ということで、[ エ ]は「12.不法行為責任」となります。

解答一覧

ウ→17、エ→12

23年度 問題13 住宅の損害賠償 (選択穴埋) その3

13.次の文章の[   ]の部分に入れるのに最も適切な語句を、下記の語群の中から選び、解答用紙の解答欄にその番号を記入(マーク)しなさい。なお、同一記号には同一語句が入る。

【語 群】

1.契約解除 2.慰謝料 3.懲罰的賠償 4. 売買契約 5.工作物責任 6.説明責任 7.請負契約
8.20年間 9.相当因果関係 10.10年間 11.不動産媒介契約 12.不法行為責任
13.事実的因果関係 14.雨水の浸入を防止する部分 15.宅地建物取引業法
16.委任契約 17.瑕疵担保責任 18.建替費用相当額の損害賠償請求
19.耐火性能に関する部分 20.住宅の品質確保の促進等に関する法律

問題13 [ オ ]~[ キ ]

住宅を取得する契約には、大別して、マンションや建売住宅を購入する[ ア ]と注文住宅を建築する[ イ ]とがある。取得した住宅に欠陥があったときは、被害者は、直接の契約当事者である売主や工事請負人に対して、契約上の責任である[ ウ ]に基づき、修補請求や損害賠償請求ができる。建売住宅を購入した場合のように、買主と建築工事を行った施工業者との間に直接契約関係がない場合でも、買主は[ エ ]を追及することによって、直接施工業者に損害賠償を請求できる。このように[ エ ]は、直接契約関係がなくても追及できるので、買主と直接設計監理契約を締結していない設計者や監理者などを相手方とする場合の請求の根拠とすることができる。

損害賠償請求が認められる損害の範囲は、[ オ ]の範囲内の損害であるとされている。裁判例で認められているのは、補修費用のほか、補修期間中引越が必要ならば引越費用と仮住居費用、建築士の調査費用などである。被害の程度にもよるが、被害者の精神的苦痛を理由に[ カ ]を認めた裁判例も少なくない。注文住宅が新築されて注文主に引き渡されたが、欠陥の程度が著しく、技術的、経済的にみても、建て替えるほかはないと認められるときは、[ キ ]が認められるとするのが最高裁の判例である。

このような住宅の[ ウ ]に基づく損害賠償請求については、民法上の時効や除斥期間による権利行使の期間制限があり、また契約上短縮の特約がなされていることも多い。しかし、消費者保護の見地から、[ ク ]という法律によって、新築物件の瑕疵のうち、構造耐力上主要な部分と[ ケ ]については、引渡し後[ コ ]の[ ウ ]が義務付けられた。

【解説と解答】

語群をグループ分けします
1.契約解除 2.慰謝料 3.懲罰的賠償 18.建替費用相当額の損害賠償請求
4.売買契約 7.請負契約 11.不動産媒介契約 16.委任契約
5.工作物責任 6.説明責任 12.不法行為責任 17.瑕疵担保責任
8.20年間 10.10年間
9.相当因果関係 13.事実的因果関係
14.雨水の浸入を防止する部分 19.耐火性能に関する部分
15.宅地建物取引業法 20.住宅の品質確保の促進等に関する法律

建物の欠陥に関する損害賠償は、民法の世界でも昔から議論され、様々な説が唱えられています。また、判例も多く出ていますので、かなり整理されてきたのではないでしょうか。

欠陥住宅に限らず、一般論としての損害賠償請求における損害の範囲は、民法416条に債務不履行の損害賠償の範囲につて定められており、他の損害賠償にも準用されます。
条文中の「通常生ずべき損害の賠償」が、損害の範囲となり、この「通常発生する範囲内の損害」のことを「相当因果関係にある損害」といいます(口語民法より)
ということで、[ オ ]は「9.相当因果関係」が正解です。

民法・・・http://law.e-gov.go.jp/htmldata/M29/M29HO089.html

(債務不履行による損害賠償)
第四百十五条  債務者がその債務の本旨に従った履行をしないときは、債権者は、これによって生じた損害の賠償を請求することができる。債務者の責めに帰すべき事由によって履行をすることができなくなったときも、同様とする。

(損害賠償の範囲)
第四百十六条  債務の不履行に対する損害賠償の請求は、これによって通常生ずべき損害の賠償をさせることをその目的とする。
2  特別の事情によって生じた損害であっても、当事者がその事情を予見し、又は予見することができたときは、債権者は、その賠償を請求することができる。

「被害者の精神的苦痛」とくれば、素直に「慰謝料」となります。
したがって、[ カ ]は 「2.慰謝料」が正解です。
ただし、覚えておかなければならないのは裁判では財産的被害は財産的価値が回復されればよい、ということで、原則として慰謝料は認められていません。
しかし、欠陥住宅被害にあった場合、生活の本拠が脅かされるため、財産的被害だけでなく、精神的にも多大な負担を負ってしまうことがあるということで、最近の判例では慰謝料を認めることも多くなってきました。欠陥住宅による慰謝料請求の裁判例を研究してまとめてりる論文などもあります。
また、民法では「慰謝料」は民法710条の不法行為に規定されており財産以外の損害に対する賠償ということで「精神的苦痛による慰謝料」もここに含まれます。なお、慰謝料については債務不履行によるものも認められるのが通説ですが直接の条文にはなく、710条に絡めて慰謝料を請求することになります。
慰謝料を請求できる場合は「不法行為」と「債務不履行」と覚えておいたらいいと思います。

民法635条は請負契約の目的物に瑕疵があり、契約の目的を達することができない場合は「契約を解除」することができる。
というのもです。しかし、この条文には「ただし書き」があって、建築その他の土地の工作物については除外されています。なぜなら、住宅の一部に欠陥があったとしても、利用価値はあるのに建て替えすることは請負人に過酷で社会経済的な損失も大きいということになっています。
といっても、あまりにもひどい欠陥の場合には建て替えしか選択肢がなく、その場合には建て替え費用相当額が賠償されるという判例が出ています。
ということで、[ キ ]は 「18.建替費用相当額の損害賠償請求」が正解です。

最高裁判所・判例

http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=76100&hanreiKbn=02
損害賠償請求事件(平成14年09月24日・最高裁判所第三小法廷)
判示事項・・・
建築請負の仕事の目的物である建物に重大な瑕疵があるためにこれを建て替えざるを得ない場合に注文者が請負人に対し建物の建て替えに要する費用相当額の損害賠償を請求することの可否
裁判要旨・・・
建築請負の仕事の目的物である建物に重大な瑕疵があるためにこれを建て替えざるを得ない場合には,注文者は,請負人に対し,建物の建て替えに要する費用相当額の損害賠償を請求することができる。
参照法条・・・
民法634条2項,民法635条

民法・・・http://law.e-gov.go.jp/htmldata/M29/M29HO089.html

(売主の瑕疵担保責任)
第五百七十条  売買の目的物に隠れた瑕疵があったときは、第五百六十六条の規定を準用する。ただし、強制競売の場合は、この限りでない。
(請負人の担保責任)
第六百三十四条  仕事の目的物に瑕疵があるときは、注文者は、請負人に対し、相当の期間を定めて、その瑕疵の修補を請求することができる。ただし、瑕疵が重要でない場合において、その修補に過分の費用を要するときは、この限りでない。
2  注文者は、瑕疵の修補に代えて、又はその修補とともに、損害賠償の請求をすることができる。この場合においては、第五百三十三条の規定を準用する。
第六百三十五条  仕事の目的物に瑕疵があり、そのために契約をした目的を達することができないときは、注文者は、契約の解除をすることができる。ただし、建物その他の土地の工作物については、この限りでない。
(不法行為による損害賠償)
第七百九条  故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。

解答一覧

オ→9、カ→2、キ→18

23年度 問題13 住宅の損害賠償 (選択穴埋) その4

13.次の文章の[   ]の部分に入れるのに最も適切な語句を、下記の語群の中から選び、解答用紙の解答欄にその番号を記入(マーク)しなさい。なお、同一記号には同一語句が入る。

【語 群】

1.契約解除 2.慰謝料 3.懲罰的賠償 4. 売買契約 5.工作物責任 6.説明責任 7.請負契約
8.20年間 9.相当因果関係 10.10年間 11.不動産媒介契約 12.不法行為責任
13.事実的因果関係 14.雨水の浸入を防止する部分 15.宅地建物取引業法
16.委任契約 17.瑕疵担保責任 18.建替費用相当額の損害賠償請求
19.耐火性能に関する部分 20.住宅の品質確保の促進等に関する法律

問題13 [ ク ]~[ コ ]

住宅を取得する契約には、大別して、マンションや建売住宅を購入する[ ア ]と注文住宅を建築する[ イ ]とがある。取得した住宅に欠陥があったときは、被害者は、直接の契約当事者である売主や工事請負人に対して、契約上の責任である[ ウ ]に基づき、修補請求や損害賠償請求ができる。建売住宅を購入した場合のように、買主と建築工事を行った施工業者との間に直接契約関係がない場合でも、買主は[ エ ]を追及することによって、直接施工業者に損害賠償を請求できる。このように[ エ ]は、直接契約関係がなくても追及できるので、買主と直接設計監理契約を締結していない設計者や監理者などを相手方とする場合の請求の根拠とすることができる。

損害賠償請求が認められる損害の範囲は、[ オ ]の範囲内の損害であるとされている。裁判例で認められているのは、補修費用のほか、補修期間中引越が必要ならば引越費用と仮住居費用、建築士の調査費用などである。被害の程度にもよるが、被害者の精神的苦痛を理由に[ カ ]を認めた裁判例も少なくない。注文住宅が新築されて注文主に引き渡されたが、欠陥の程度が著しく、技術的、経済的にみても、建て替えるほかはないと認められるときは、[ キ ]が認められるとするのが最高裁の判例である。

このような住宅の[ ウ ]に基づく損害賠償請求については、民法上の時効や除斥期間による権利行使の期間制限があり、また契約上短縮の特約がなされていることも多い。しかし、消費者保護の見地から、[ ク ]という法律によって、新築物件の瑕疵のうち、構造耐力上主要な部分と[ ケ ]については、引渡し後[ コ ]の[ ウ ]が義務付けられた。

【解説と解答】

語群をグループ分けします
1.契約解除 2.慰謝料 3.懲罰的賠償 18.建替費用相当額の損害賠償請求
4.売買契約 7.請負契約 11.不動産媒介契約 16.委任契約
5.工作物責任 6.説明責任 12.不法行為責任 17.瑕疵担保責任
8.20年間 10.10年間
9.相当因果関係 13.事実的因果関係
14.雨水の浸入を防止する部分 19.耐火性能に関する部分
15.宅地建物取引業法 20.住宅の品質確保の促進等に関する法律

あまり知られていないかもしれませんが、「住宅品質確保法」「住宅性能評価」について、消費者センターには多くの種類のリーフレットが置かれています。
それだけ、国は広報に力を入れているのではないかと思います。
ただ、住宅を買う当事者にとっては重大事項かもしれませんが、縁のない人には知らない世界です。
勉強して知っておくしかないでしょう。

国土交通省HP
ホーム >> 政策・仕事 >> 住宅・建築 >> 住宅 >> 住宅の品質確保の促進等に関する法律
http://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk4_000016.html
概要
『法律・制度全般』
法律の概要(平成19年10月1日改訂版)
http://www.mlit.go.jp/common/000052921.pdf

1.背景
■住宅取得者にとっての問題
④新築住宅の取得の際に、契約書において暇疵担保期間が1~2 年などとなっているため、その後に暇疵が明らかになって、無償修繕等が要求できない
■住宅供給者にとっての問題
④新築住宅の取得の際に、10 年を超える長期の保証契約(暇疵担保期間の設定)を行うことができないとされてきた

2.骨子
■瑕疵担保責任の特例
①新築住宅の取得契約(請負・売買売買)において、基本構造部分(柱・梁など住宅の構造耐力上主要な部分等)の暇疵担保責任(修補請求権等)を 10年間義務付ける。
②新築住宅の取得契約(請負・売買売買)において、基本構造部分以外も含めた暇疵担保責任の20年までの伸長も可能にする。

4.新築住宅に係る瑕疵担保責任の特例
①対象となる部分
・構造体力上主要な部分
住宅の基礎、基礎ぐい、壁、柱、小屋組、土台、斜材、床版、屋根版、横架材のうち、当該住宅の自重若しくは積載荷重、積雪、風圧、土圧若しくは水圧又は地震その他の震動若しくは衝撃を支える部分(建築基準法施行令第l条第l項第3号と同様の内容)
・雨水の浸入を防止する部分
① 住宅の屋根又は外壁
② 住宅の屋根又は外壁の開口部に設ける戸、わくその他の建具
③ 雨水を排除するため住宅に設ける排水管のうち、当該住宅の屋根若しくは外壁
の内部又は屋内にある部分
②請求できる内容
・修補請求(民法上売買契約には明文なし)
・損害賠償請求
・解除(解除は売買契約のみで、修補不能な場合に限る。)
③瑕疵担保機関
完成引渡しから 10 年間義務化
※これらに反し住宅取得者に不利な特約は無効

住宅の品質確保の促進等に関する法律

第七章 瑕疵担保責任の特例
(住宅の新築工事の請負人の瑕疵担保責任の特例)
第九十四条  住宅を新築する建設工事の請負契約(以下「住宅新築請負契約」という。)においては、請負人は、注文者に引き渡した時から十年間、住宅のうち構造耐力上主要な部分又は雨水の浸入を防止する部分として政令で定めるもの(次条において「住宅の構造耐力上主要な部分等」という。)の瑕疵(構造耐力又は雨水の浸入に影響のないものを除く。次条において同じ。)について、民法 (明治二十九年法律第八十九号)第六百三十四条第一項 及び第二項 前段に規定する担保の責任を負う。
2  前項の規定に反する特約で注文者に不利なものは、無効とする。
3  第一項の場合における民法第六百三十八条第二項 の規定の適用については、同項 中「前項」とあるのは、「住宅の品質確保の促進等に関する法律第九十四条第一項」とする。

(新築住宅の売主の瑕疵担保責任の特例)
第九十五条  新築住宅の売買契約においては、売主は、買主に引き渡した時(当該新築住宅が住宅新築請負契約に基づき請負人から当該売主に引き渡されたものである場合にあっては、その引渡しの時)から十年間、住宅の構造耐力上主要な部分等の隠れた瑕疵について、民法第五百七十条 において準用する同法第五百六十六条第一項 並びに同法第六百三十四条第一項 及び第二項 前段に規定する担保の責任を負う。この場合において、同条第一項 及び第二項 前段中「注文者」とあるのは「買主」と、同条第一項 中「請負人」とあるのは「売主」とする。
2  前項の規定に反する特約で買主に不利なものは、無効とする。
3  第一項の場合における民法第五百六十六条第三項 の規定の適用については、同項 中「前二項」とあるのは「住宅の品質確保の促進等に関する法律第九十五条第一項」と、「又は」とあるのは「、瑕疵修補又は」とする。

(一時使用目的の住宅の適用除外)
第九十六条  前二条の規定は、一時使用のため建設されたことが明らかな住宅については、適用しない。

(瑕疵担保責任の期間の伸長等の特例)
第九十七条  住宅新築請負契約又は新築住宅の売買契約においては、請負人が第九十四条第一項に規定する瑕疵その他の住宅の瑕疵について同項に規定する担保の責任を負うべき期間又は売主が第九十五条第一項に規定する瑕疵その他の住宅の隠れた瑕疵について同項に規定する担保の責任を負うべき期間は、注文者又は買主に引き渡した時から二十年以内とすることができる。

ということで、法律の名前を問う[ ク ]は「20.住宅の品質確保の促進等に関する法律」が正解です。
そして、10年保証となる部分についての設問も、[ ケ ]が「14.雨水の浸入を防止する部分」[ コ ]が「10.10年間」が正解となります。

解答一覧

ク→20、ケ→14、コ→10

問題13は何もない状態でとくのは難しいかもしれませんが、語群からの選択方式で、しかも語群の分類分けから考えると正解が出しやすく、常識的なところでも輪kるので知識がなくても点数が取れます。8割以上は正解して点数を稼ぎましょう。

23年度 問題14 特定商取引法 (正誤で×を選択) その1

22年度に書いた記事を再掲します。
勉強方法が分からない場合は消費生活安全ガイドのHPをしっかり読み込んでください

特定商取引法は相談員にとって、メインとなる法律です。
したがって、条文をしっかり知っていることとと、細かい解釈も知っていることが必須となります。
試験問題も具体的な事例についての解釈が出題されており、どれも基本的なものです。参考書としての逐条解説は相談現場でも必須のものです。
逐条解説を精読すればいいのですが、なかなかこれに時間をかけるのも大変ですので、基本的な事項は理解しておきましょう。
特に、消費者被害にあわせて、法律が改正されていく歴史がありますので、その歴史を知ることが、消費者問題の歴史を知ることにもなります。書籍等をお持ちでない場合は参照HPを紹介しておきます。

消費生活安全ガイド
http://www.no-trouble.go.jp/
特定商取引法の条文
http://www.no-trouble.go.jp/#1400000
平成20年法律改正に関する情報(改正法テキスト)
http://www.no-trouble.go.jp/page?type=gallery&id=1251714214636

特定商取引に関する法律
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S51/S51HO057.html

法律解釈は逐条解説を参考にしてください。
特定商取引に関する法律・解説(平成21年版)
http://www.no-trouble.go.jp/#1259300931251

23年度 問題14①② 特定商取引法 (正誤で×を選択) その2

14.次の文章のうち、正しいものには○、誤まっているものには×を、解答用紙の解答欄に記入 (マーク) しなさい。また、誤まっているものには、誤まっている箇所 (1ヵ所) の記号も記入 (マーク) しなさい。

① 特定商取引法(以下、特商法という。)における「通信販売」とは、販売業者等が所定の方法により売買契約等の申込みを受けて行う㋐商品もしくは指定権利の販売または役務の提供であって、電話勧誘販売に該当しないものを意味する。インターネット上の取引も、省令第2条の定める㋑「情報処理の用に供する機器を利用する方法」で申込みを行う取引である。個人がネットオークションを通じて自己所有の商品を販売する場合も、㋒その多寡にかかわらず常に通信販売に該当することになる。
② 連鎖販売業における統括者または勧誘者は、店舗等によらないで連鎖販売業を行う個人との契約の締結について勧誘するに際し、商品の種類・性能や特定負担などについて㋐故意に事実を告げず、または不実のことを告げる行為をしてはならないとされるが、一般連鎖販売業者については、㋑故意に事実を告げないことについての禁止規定はない。これに対し、連鎖販売取引についての契約を締結させるため、人を威迫して困惑させることは㋒統括者・勧誘者のみならず一般連鎖販売業者についても禁止されている

【解説と解答】
いよいよメインの特商法の問題がやってきました。まず、問題文が長いです。読む気がなくなってしまいます。
しかし、意外にも、明らかに不正解と思われるものが含まれていることが少なくないです。すると、ほかの部分が正解かどうか分からなくても、正解を導き出すことができます。
短時間の間にれを判断するセンスがあれば意外に点数を取ることができます。単純なYES/NO形式の設問も少なくありません。
試験時間の半ばを過ぎた時間帯に集中です。


明らかに間違いが含まれています。簡単ですね。
インターネットオークションの個人間取引は通信販売ではありません。
それに気づけば、即答で、㋒が不正解と分かります。
あとの2つは覚えにくいですが条文に出てきます
ちなみに、オークションといっても出品者が事業者であれば通信販売になります。
また、個人であっても販売業者に該当する条件を満たせば事業者になります。
逆説的に考えた方がわかりやすいかもしれません。
ネットでの商品購入は原則として通信販売になるが、個人が掲示板やオークションサイトで所有する物品を廉価で譲渡するのみで反復継続性がなければ、個人間取引で事業者には当たらない、ということです(逐条解説参照)。

特定商取引に関する法律・・・http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S51/S51HO057.html

(定義)
第二条  この章及び第五十八条の四第一項において「訪問販売」とは、次に掲げるものをいう。

2  この章及び第五十八条の五において「通信販売」とは、販売業者又は役務提供事業者が郵便その他の主務省令で定める方法(以下「郵便等」という。)により売買契約又は役務提供契約の申込みを受けて行う商品若しくは指定権利の販売又は役務の提供であつて電話勧誘販売に該当しないものをいう。

特定商取引に関する法律・解説(平成21年版)・・・http://www.no-trouble.go.jp/#1259300931251

2 第2項は、「通信販売」の定義規定である。
(1) 「郵便その他の主務省令で定める方法」
これは、通常、遠隔地者間において契約の申込みが行われる方法を捉えたものであり、省令第2条では、次のとおり定めている。
① 郵便又は信書便
② 電話機、ファクシミリ装置その他の通信機器又は情報処理の用に供する機器を利用する方法
③ 電報
④ 預金又は貯金の口座に対する払込み
「郵便」とは、郵便法(昭和22 年法律第165 号)に規定される「郵便」のことで、これには通常の封書、葉書のほか、現金書留等も含まれる。また、小切手や郵便為替を、書留等の郵便により送付する場合も当然本項の「郵便」に該当する。
「信書便」とは、民間事業者による信書の送達に関する法律(平成14 年法律第99号)第2条第6項に規定する一般信書便事業者若しくは同条第9項に規定する特定信書便事業者による同条第2項に規定する「信書便」のことである。

また、「情報処理の用に供する機器」とはパーソナルコンピューター等であり、パソコン通信やインターネット等により申込みを行うものがこれに当たる。この場合、例えば電子掲示板等において単に自己が所有する物品を廉価で譲渡する旨表示するのみである等反復継続性が認められない広告をした者は本項にいう「販売業者」に該当しないが、例えばインターネット・オークションにおいて新品の同一商品を数ヶ月にわたって多数出品する広告を行う等、営利の意思をもって反復継続して取引を行う意思が広告より客観的に認められる限りにおいては、当該広告をした者は個人であるか法人であるかを問わず「販売業者」に該当する。
なお、インターネット・オークションにおける出品者が「販売業者」に該当するかどうかの考え方については、「インターネット・オークションにおける『販売業者』に係るガイドライン」を参照されたい。

インターネット・オークションにおける『販売業者』に係るガイドライン
http://www.meti.go.jp/policy/economy/consumer/consumer/tokutei/pdf/auctionguideline.pdf


統括者、勧誘者、一般連鎖販売業者と3つの主体があるのでややこしいですが、「統括者、勧誘者」と「一般連鎖販売業者」とに大きく分けられます。
基本的に「統括者、勧誘者」が一番悪質だということで、そそのかされてなった「一般連鎖販売業者」はゆるくなっているということでしょうね。
条文にもあるとおり、前者は不実告知のほかに、「故意に事実を告げず」がプラスされています。
なぜそうなるのかは逐条解説を読んでもわかりにくいですが、事実の不告知はその事実をもって違反とはならず、「故意に」なされた場合に違反となり、「一般連鎖販売業者」は他の部分も含め、そこまでの責任は課されていない(一種の被害者かもしれない)ということかもしれませんね。
ということで、②はすべて正解です。

特定商取引に関する法律・・・http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S51/S51HO057.html

第三章 連鎖販売取引
(禁止行為)
第三十四条  統括者又は勧誘者は、その統括者の統括する一連の連鎖販売業に係る連鎖販売取引についての契約(その連鎖販売業に係る商品の販売若しくはそのあつせん又は役務の提供若しくはそのあつせんを店舗その他これに類似する設備(以下「店舗等」という。)によらないで行う個人との契約に限る。以下この条において同じ。)の締結について勧誘をするに際し、又はその連鎖販売業に係る連鎖販売取引についての契約の解除を妨げるため、次の事項につき、故意に事実を告げず、又は不実のことを告げる行為をしてはならない
一  商品(施設を利用し及び役務の提供を受ける権利を除く。)の種類及びその性能若しくは品質又は施設を利用し若しくは役務の提供を受ける権利若しくは役務の種類及びこれらの内容その他これらに類するものとして主務省令で定める事項
二  当該連鎖販売取引に伴う特定負担に関する事項
三  当該契約の解除に関する事項(第四十条第一項から第三項まで及び第四十条の二第一項から第五項までの規定に関する事項を含む。)
四  その連鎖販売業に係る特定利益に関する事項
五  前各号に掲げるもののほか、その連鎖販売業に関する事項であつて、連鎖販売取引の相手方の判断に影響を及ぼすこととなる重要なもの
2  一般連鎖販売業者は、その統括者の統括する一連の連鎖販売業に係る連鎖販売取引についての契約の締結について勧誘をするに際し、又はその連鎖販売業に係る連鎖販売取引についての契約の解除を妨げるため、前項各号の事項につき、不実のことを告げる行為をしてはならない
3  統括者、勧誘者又は一般連鎖販売業者は、その統括者の統括する一連の連鎖販売業に係る連鎖販売取引についての契約を締結させ、又はその連鎖販売業に係る連鎖販売取引についての契約の解除を妨げるため、人を威迫して困惑させてはならない
4  統括者、勧誘者又は一般連鎖販売業者は、特定負担を伴う取引についての契約の締結について勧誘をするためのものであることを告げずに営業所、代理店その他の主務省令で定める場所以外の場所において呼び止めて同行させることその他政令で定める方法により誘引した者に対し、公衆の出入りする場所以外の場所において、当該契約の締結について勧誘をしてはならない。

解答一覧

①→×㋒、②→○

23年度 問題14③ 特定商取引法 (正誤で×を選択) その3

14.次の文章のうち、正しいものには○、誤まっているものには×を、解答用紙の解答欄に記入 (マーク) しなさい。また、誤まっているものには、誤まっている箇所 (1ヵ所) の記号も記入 (マーク) しなさい。

③ 一週間にわたりホテルの会場を利用して呉服の展示会販売を行う事業者と展示会場で呉服の購入契約を締結した場合において、㋐パーティーへの招待のように告げながら、パンフレットに極めて小さな文字で「新作商品をお勧めする即売会があります」と記載したのみであったような場合や、㋑販売員が消費者に強引に商品を使用させて勧誘した場合、㋒勧誘に際して、消費者の履き物を隠すことなどによりその場からの消費者の退出を妨害した場合などは、いずれも、商品を陳列し、消費者が自由に商品を選択できる状態だったとはいえないため、その契約はいわゆる店舗外取引として訪問販売に該当する。

【解説と解答】

まず、訪問販売の定義を知ることが重要であり、現場でも、その契約が訪問販売に該当するかどうかで対応方針が大きく異なってきますのでおさえるべき事項です。
特に、今回の問題のような展示会販売はトラブルも多く、まず、訪問販売に該当するかどうかを判断することから始まります。

最初に「1週間にわたりホテルの会場を利用して呉服の展示会販売を行う」行為が訪問販売に該当するか、単なる販売店での店舗購入に該当するかどうかです。
訪問販売であれば、書面交付やクーリングオフなど特商法の規制を受けることになります。

特商法の定義では、第1号は店舗外契約、すなわち自宅への訪問やキャッチでファミレスで契約など単純に考えていただけたらいいと思います。第2号はアポイントメントセールスやキャッチセールスなどで、様々な方法により勧誘し、事業者の営業所へ連れてきて契約することをいいます。

現場では展示会や健康食品のSF商法での契約トラブルの場合、まず営業日数を確認します。1日や2日だと店舗とはみなされないので第1号に該当し訪問販売となりますのでクーリングオフが可能です。営業期間が長くなれば店舗ということになり、第2号の勧誘方法を検討することになります。

では、「営業所等に該当するかどうか」を検討します。単純には1週間の営業は固定店舗とみなされるので訪問販売にならないので勧誘方法や販売方法の検討をしていくことになりますが、営業所の定義に合致しているかどうかを検討します。
施行規則では、「一定の期間にわたり、商品を陳列し、当該商品を販売する場所であつて、店舗に類するもの」は営業所に該当するので、第1号の訪問販売は適用されません。一定の期間というのは2-3日以上のことであり、ホテル等は店舗に類するものとなります。ただし、「商品を陳列し」とは「消費者が自由に商品を選択できる状態にある」ということが前提になっており、これが満たされないと営業所等に該当しないとなります。その条件が逐条解説で例示されています。

○ 販売員が消費者を取り囲んだり、消費者に強引に商品を使用させ、あるいはその一部を費消させて勧誘すること
○ 高額商品等の特定の商品についてのみ繰り返し勧誘するなど、陳列された商品を自由に選ばせることなく勧誘すること
勧誘に際して、消費者の履物を隠すことなどによりその場からの消費者の退出を妨げること

ということで、設問のイとウはこの条件に該当するため第1号の訪問販売となります。

ではアはどうなるのかというと、1週間の営業ということで通常の固定店舗とみなされます。そこで検討するのが、「勧誘方法」に関するものであり、販売目的を隠して特定の場所への来訪を要請した場合は、特商法のアポイントメントセールス等となり、第2号の訪問販売に該当します。今回の設問では小さい文字でありながら「販売目的」を表示しているので、「隠して」と断言できるかどうかですが、これについても逐条解説に説明があります。

「また、パー ティーや食事会等への招待のように告げながら、パンフレット等に消費者の目に留まらないような小さい文字で「新作商品をお勧めする即売会があります。」と 記載するなど、実質的に販売する意図が示されているとは言えない場合は、当該商品について勧誘する意図を告げたことにはならない。」

ということで、アは販売目的を隠していることになるのでアポイントメントセールス等に該当する第2号の訪問販売となります。
要するに、販売目的を示す条件を無理やり満たしていても、消費者が販売目的であることを認識できているのかを争点として交渉していく余地があるということです。

ところが、この設問はアイウが「いずれも、商品を陳列し、消費者が自由に商品を選択できる状態だったとはいえないため、その契約はいわゆる店舗外取引として訪問販売に該当する」かどうか、すなわち第1号に該当する訪問販売かどうかを問われているので、イとウは第1号ですが、アは第2号となります。
したがって、③は㋐が不正解となります。
引っ掛け問題的で嫌ですね。
反面、問題の意図が分かっていると中身を検討することなくアが不正解と導き出すことも可能です。

特定商取引に関する法律・・・http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S51/S51HO057.html

(定義)
第二条  この章及び第五十八条の四第一項において「訪問販売」とは、次に掲げるものをいう。
一  販売業者又は役務の提供の事業を営む者(以下「役務提供事業者」という。)が営業所、代理店その他の主務省令で定める場所(以下「営業所等」という。)以外の場所において、売買契約の申込みを受け、若しくは売買契約を締結して行う商品若しくは指定権利の販売又は役務を有償で提供する契約(以下「役務提供契約」という。)の申込みを受け、若しくは役務提供契約を締結して行う役務の提供
二  販売業者又は役務提供事業者が、営業所等において、営業所等以外の場所において呼び止めて営業所等に同行させた者その他政令で定める方法により誘引した者(以下「特定顧客」という。)から売買契約の申込みを受け、若しくは特定顧客と売買契約を締結して行う商品若しくは指定権利の販売又は特定顧客から役務提供契約の申込みを受け、若しくは特定顧客と役務提供契約を締結して行う役務の提供

特定商取引に関する法律施行規則・・・http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S51/S51F03801000089.html

(営業所等)
第一条  特定商取引に関する法律 (以下「法」という。)第二条第一項第一号 の経済産業省令で定める場所は、次の各号に掲げるものとする。
一  営業所
二  代理店
三  露店、屋台店その他これらに類する店
四  前三号に掲げるもののほか、一定の期間にわたり、商品を陳列し、当該商品を販売する場所であつて、店舗に類するもの
五  自動販売機その他の設備であつて、当該設備により売買契約又は役務提供契約の締結が行われるものが設置されている場所

特定商取引に関する法律施行令・・・http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S51/S51SE295.html

(特定顧客の誘引方法)第一条  特定商取引に関する法律 (以下「法」という。)第二条第一項第二号 の政令で定める方法は、次のいずれかに該当する方法とする。
一  電話、郵便、民間事業者による信書の送達に関する法律 (平成十四年法律第九十九号)第二条第六項 に規定する一般信書便事業者若しくは同条第九項 に規定する特定信書便事業者による同条第二項 に規定する信書便(以下「信書便」という。)、電報、ファクシミリ装置を用いて送信する方法若しくは法第十二条の三第一項 に規定する電磁的方法(以下「電磁的方法」という。)により、若しくはビラ若しくはパンフレットを配布し若しくは拡声器で住居の外から呼び掛けることにより、又は住居を訪問して、当該売買契約又は役務提供契約の締結について勧誘をするためのものであることを告げずに営業所その他特定の場所への来訪を要請すること
二  電話、郵便、信書便、電報、ファクシミリ装置を用いて送信する方法若しくは電磁的方法により、又は住居を訪問して、他の者に比して著しく有利な条件で当該売買契約又は役務提供契約を締結することができる旨を告げ、営業所その他特定の場所への来訪を要請すること(当該要請の日前に当該販売又は役務の提供の事業に関して取引のあつた者に対して要請する場合を除く。)。

特定商取引に関する法律・解説(平成21年版)・・・http://www.no-trouble.go.jp/#1259300931251

(1) 本法では、①通常の店舗等以外の場所で行われる商品等の販売又は役務の提供及び②特定の方法により誘引した顧客に対する通常の店舗等で行われる商品等の販売又は役務の提供を「訪問販売」として広く対象とすることとした。

(注3) 省令第1条第4号では「一定の期間にわたり、商品を陳列し、当該商品を販売する場所であつて、店舗に類するもの」を通常の店舗とみなしうる場所として規
定している。①「一定の期間」とは、通常最低2、3日以上を指し、半日や1日で次の場所に移動するようなものは含まれないが、例えば1週間に1日だけ一定場所で定期的に販売するようなものは、場合によってはこれに該当することもあろう。②「陳列し」とは、消費者が自由に商品を選択できる状態でなければならない。③「店舗に類するもの」とは、店舗に類似する販売のための施設を有している場所であり、具体的には、常設展示場、しばしば展示販売が行われる公会堂、集会場等の公共施設、ホテル、体育館等が該当する。これらの場所以外の場所で行われる販売すなわち住居訪問販売、職場訪問販売、路上でのキャッチセールス等は、すべて本法の訪問販売に該当する。この際、上記3要件はすべて充足されていなければならないのは当然である。例えば、2、3日以上の期間にわたって商品を陳列し、販売のための固定的施設を備えている場所において、主に事業者が指名した者等特定の者のみが入場して販売が行われる事例が見られるが、①や③の要件を形式的に満たしている場合であっても、例えば次に掲げるような手法等により、消費者が自由意思で契約締結を断ることが客観的に見て困難な状況の下で販売が行われているときには、消費者が自由に商品を選択できる状態にあるとは言えず、②の要件を欠くこととなるため、そのような場所は本号にいう「店舗に類する場所」に該当しない。
○ 販売員が消費者を取り囲んだり、消費者に強引に商品を使用させ、あるいはその一部を費消させて勧誘すること
○ 高額商品等の特定の商品についてのみ繰り返し勧誘するなど、陳列された商品を自由に選ばせることなく勧誘すること
○ 勧誘に際して、消費者の履物を隠すことなどによりその場からの消費者の退出を妨げること

(3) 第2号はいわゆるキャッチセールス等を「訪問販売」の定義に含めたものである。
ロ「その他政令で定める方法」についてはいわゆるアポイントメントセールス等の誘引方法を次の通り政令第1条で規定している。アポイントメントセールス等の誘引方法を政令委任としたのは、その実態が多様であり、また今後の誘引方法の変化に機動的に対処し得るようにするためである。
① 電話、郵便、信書便、電報、ファクシミリ若しくは電子メールにより、若しくはビラ若しくはパンフレットを配布し若しくは拡声器で住居の外から呼び掛けることにより、又は住居を訪問して、当該売買契約又は役務提供契約の締結について勧誘をするためのものであることを告げずに営業所その他特定の場所への来訪を要請すること。
② 電話、郵便、信書便、電報、ファクシミリ若しくは電子メールにより、又は住居を訪問して、他の者に比して著しく有利な条件で当該売買契約又は役務提供契約を締結することができる旨を告げ、営業所その他特定の場所への来訪を要請すること(当該要請の日前に当該販売又は役務の提供の事業に関して取引のあった者に対して要請する場合を除く。)。
①は、業者が販売意図を明らかにしないで消費者を呼び出す場合について規定したものである。例えば、「あなたは選ばれたので○○を取りに来てください」と告げる場合や、本来の販売の目的たる商品等以外のものを告げて呼び出す場合が本号に該当することになる。なお、勧誘の対象となる商品等について、自らそれを扱う販売業者等であることを告げたからといって、必ずしも当該商品について勧誘する意図を告げたものと解されるわけではない。例えば、こうした場合であっても、「見るだけでいいから。」と告げるなど販売意図を否定しているときや、着物の着付け教室と同会場で着物の即売会が行われる場合において、実際には着物を購入しなければ講習自体も受けられないにもかかわらず、着付け教室のみの参加が可能であるように表示するなどしているときには、当該商品について勧誘する意図を告げたことにはならない。また、パーティーや食事会等への招待のように告げながら、パンフレット等に消費者の目に留まらないような小さい文字で「新作商品をお勧めする即売会があります。」と記載するなど、実質的に販売する意図が示されているとは言えない場合は、当該商品について勧誘する意図を告げたことにはならない。なお、ビラ、パンフレット及び拡声器については、「商品を無料で配布する」等告げて行ういわゆるSF商法として行われるものを念頭においたものである。

解答一覧

③→×㋐

23年度 問題14④⑤⑥ 特定商取引法 (正誤で×を選択) その4

14.次の文章のうち、正しいものには○、誤まっているものには×を、解答用紙の解答欄に記入 (マーク) しなさい。また、誤まっているものには、誤まっている箇所 (1ヵ所) の記号も記入 (マーク) しなさい。

④ 折り込みチラシを見て外壁塗装工事契約(工事金額100万円)を締結しようと決意した消費者が、その事業者に電話をかけて自宅で契約を締結した場合、その事業者には特商法に基づく㋐書面交付義務はなく、契約から2日たった時点であっても消費者は㋑クーリング・オフはできない。また、事業者が突然自宅を訪れて、見積書を作成するとともに消費者の方から後日電話をさせる約束をとりつけ、消費者がこの約束に基づいて電話をし、事業者に来訪を要請して、その電話に基づく事業者の来訪時に自宅で外壁塗装工事契約を締結した場合にも、消費者は㋒クーリング・オフができない
⑤ 生活保護者向けのいわゆる無料低額宿泊所の利用サービス等の提供を行っている事業者が、公園で路上生活をしている人に声をかけ、その場で無料低額宿泊所の利用に関する契約を締結した場合、㋐「指定役務制」が廃止された特商法改正後においては㋑クーリング・オフ規定が適用される可能性がある。事業者が公園で声をかけたのち、利用者を事業者の事務所に同行させて事務所で契約を締結した場合、㋒クーリング・オフができる余地はない
⑥ 「高収入を得られる仕事を紹介する」との広告を見て、その事業者と軽貨物運送の代理店契約を締結するとともに、運送の仕事に必要であると言われて、その事業者と軽自動車の購入契約を締結した個人は、法定書面交付日から㋐20日以内であればこれらの契約を㋑クーリング・オフできるのが原則である。しかし、その個人が貨物軽自動車運送事業の経営届出を行い、その際届出書に営業所の住所を記載していた場合には、実際にはその住所で実質的な事業を行っていなかったとしても㋒クーリング・オフはできない

【解説と解答】

訪問販売は消費者が冷静に考える余地がないうちに契約させてしまう不意打ち性がに問題があるので特商法で規制されています。
したがって、店舗に赴き商品を購入したが「サイズが合わなかった、人に贈ったが気に入らなかった、心変わりした」などの理由でクーリングオフしたいといってもできないのは当然で、店舗との自主交渉になります。しかし、現場ではこの手の相談が多く、なぜできないのだ、消費者センターは消費者の味方じゃないのか、税金泥棒、などと非難を浴びます。不意打ち性をしっかり理解しておいてください。

法26条の適用除外に関する問題になります。

設問の、チラシを見て商品を決めて業者を呼んで契約すれば、消費者がじっくり考えて決めたことなので不意打ち性はなく訪問販売には該当しません。
したがって、特商法に基づく書面交付義務もなく、クーリングオフもできません。ただし、通常の契約書を取り交わすことは民法上のトラブルを回避するためにも義務ではありませんが必要と考えた方がいいと思います。

後半の部分の解釈が難しいです。
突然の訪問で見積書は作成して、後日の来訪で契約した、ということですが、明確に買う意思をもって来訪要請していたのであれば適用除外になりますが、設問では、「消費者の方から後日電話をさせる約束をとりつけ」とあります。つまり、明確に買う意思がなくても電話するように業者に言われていたと解釈し、その電話で訪問することを約束したと考えれば、特商法が適用されると考え、クーリングオフが可能です。例えば、買うか買わないかを電話してほしいといわれていて、契約しない旨返答したのに説得されて再訪問にいたり契約してしまったなど。
したがって、④は㋒が不正解です。
なんだかスッキリしませんが、答がそうなので、こう解釈しました。

さて、このチラシを見て業者を呼ぶというのは特商法が適用される場合もあるので覚えておく必要があります。
商品等についての単なる問合せ又は資料の郵送の依頼等を行った際に、販売業者等より訪問して説明をしたい旨の申出があり、これを消費者が承諾した場合は、消費者から「請求」を行ったとは言えないため、本号には該当しない。」

特定商取引に関する法律・・・http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S51/S51HO057.html

第五節 雑則
(適用除外)
第二十六条
5  第四条から第十条までの規定は、次の訪問販売については、適用しない。
一  その住居において売買契約若しくは役務提供契約の申込みをし又は売買契約若しくは役務提供契約を締結することを請求した者に対して行う訪問販売

特定商取引に関する法律・解説(平成21年版)・・・http://www.no-trouble.go.jp/#1259300931251

142-143ページ
5 第5項は、①本法の訪問販売に対する規制がもっぱら押し付け販売的なものから消費者を保護することに目的があること、②したがって、日常生活において支障なく行われている同様の形態の取引についてまで規制を及ぼすことは本意ではなく、またそれによってこれらの取引に無用の混乱を生ぜしめることは避けるべきこと等から、これらの取引を訪問販売についての規定の適用対象から除外することとしたものである(ただし法第3条及び第3条の2は適用される。)。
(1) 第1号は、販売業者等が自らの意思に基づき住居を訪問して販売を行うのではなく、消費者の「請求」に応じて行うその住居における販売等を適用除外とするものである。
イ「売買契約若しくは役務提供契約の申込みをし又は売買契約若しくは役務提供契
約を締結することを請求した者」売買契約又は役務提供契約の申込みは承諾の主体の如何を問わない。要は、取引行為をすることを請求した者の意である。
このような場合は、例えば商品の売買にあたっては、
・購入者側に訪問販売の方法によって商品を購入する意思があらかじめあること
・購入者と販売業者との間に取引関係があること
が通例であるため、本法の趣旨に照らして本法を適用する必要がないと考えられる
(ただし法第3条及び第3条の2は適用される。)。購入者が、「○○を購入するから来訪されたい」等、「契約の申込み」又は「契約の締結」を明確に表示した場合、その他取引行為を行いたい旨の明確な意思表示をした場合、「請求した者」に当たる。
しかし、商品等についての単なる問合せ又は資料の郵送の依頼等を行った際に、販売業者等より訪問して説明をしたい旨の申出があり、これを消費者が承諾した場合は、消費者から「請求」を行ったとは言えないため、本号には該当しない。
また、販売業者等の方から電話をかけ、事前にアポイントメントを取って訪問する場合も同様に本号には該当しない。


この問題は「無料低額宿泊所の利用サービス等の提供」という題材が混乱を招く気がしますが、単なる役務のキャッチセールスと考えるのが素直です。
平成20年度の特商法の改正で指定商品制・指定役務制が撤廃されてすべての商品・役務が規制対象となりました。

公園で声をかけて契約した場合は訪問販売の「第2条第1項の営業所以外の場所での契約」に当たりますし、公園で声をかけて事業者の事務所に同行させて契約した場合は「第2条第2項の営業所での契約」に該当します。
したがって、⑤は㋒が不正解です。単純素直に考えましょう。


消費生活安心ガイドより
業務提供誘引販売取引・・・「仕事を提供するので収入が得られる」という口実で消費者を誘引し、仕事に必要であるとして、商品等を売って金銭負担を負わせる取引のこと。

クーリングオフは20日間ですのでアとイは正解であることの説明は不要ですよね。

さて、問題は「軽貨物運送の代理店契約」ということです。
単純な内職商法と違い、契約と同時に運送業の営業届けを出していることもあり、業者はあくまで事業所等で業務を行っている者との契約であるとして、特定商取引法のクーリング・オフや取消権のルールは適用にならないと主張します。しかし、営業の届出をしていても、実質のある事業を行っていない場合は事業所等に当たらず、特商法の適用対象となります。
したがって、⑥は㋒が不正解です。

国民生活センターHP
トップページ > 注目情報 > 発表情報 > 「独立開業で高収入?」軽貨物運送の代理店契約に関する相談が再び増加!-支払いできず、多重債務に陥るケースも-
[2010年9月1日:公表]
http://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20100901_3.html

[報告書本文(PDF)] 「独立開業で高収入?」軽貨物運送の代理店契約に関する相談が再び増加!-支払いできず、多重債務に陥るケースも-(245KB)

http://www.kokusen.go.jp/pdf/n-20100901_3.pdf
本トラブルの相談者の多くは個人事業者という形で代理店契約をしているが、代理店を募る業者と比べ、運送業に関する情報や知識の量に大きな格差がある。このような者に対して、正確な情報等を提供することなく、収入が得られることを強調して高額な商品を契約させれば、当然、前述したようなトラブルとなる。トラブルを防止するため、特定商取引に関する法律(以下、特定商取引法という。)では、業務提供誘引販売取引という取引形態を定め、契約者を保護する目的で様々な規定を設けている(注1)。特に、上記取引に該当し、「業務を事業所等によらないで行う者」が契約する場合には、クーリング・オフ等の契約者を保護する規定がある。
軽貨物運送の仕事をするためには、貨物軽自動車運送事業の経営届出をする必要があり、この届出書には営業所の住所等を記載することになる。届出等の手続きをしていても、これに対応した実質のある事業を行っていない場合は、クーリング・オフ等の規定が適用される(注2)が、代理店を募る業者の中には、あくまで“事業所を構えて業務を行う者”との契約だと主張し、クーリング・オフ等に全く応じず、解決困難となることが多い。

(注2)「特定商取引法に関する法律等の施行について」(平成21年8月6日付)によると、『「事業所等」とは、当該業務を行うことを目的とし、相当程度の永続性を有する施設を意味する。例えば、自宅とは別に、店舗や事業専用の場所を構えて、そこで永続的に業務を行う場合や、関係する業規制法上の許可や届出等の適正
な手続きをした上でこれに対応した実質のある事業を行っているような場合については、一般的にこの「事業所等」に該当するものと考えられ、このような場所で業務を行う個人は、通常、これら条項の適用の対象外となる。』とされている。(消費者庁取引・物価対策課、経済産業省商務情報政策局消費経済政策課編「特定商取引に関する法律の解説」参照)

特定商取引に関する法律・解説(平成21年版)・・・http://www.no-trouble.go.jp/#1259300931251

277ページ

1 第1項
(1) 「その業務提供誘引販売業に関して提供され、又はあつせんされる業務を事業所等によらないで行う個人」
本条、第55 条、第56 条第1項第2号及び第3号並びに第58 条から第58 条の3までの規定は、事業所等によらないで業務を行う個人を相手方とするものに適用を限定している。法人及び事業所等を構えて業務を行う個人は、一般的に商取引に習熟したものと考えられ、これら条項による保護の対象とするまでの必要がないものと考えられることから、適用から除外したものである。
また、事業所等を有していても、在宅ワーク等の業務を当該事業所で行わない場合、例えば、店舗を構えてある分野の事業を行っている個人事業主がその分野と無関係の業務として在宅ワークを行うような場合には、本法の適用の対象となる。
ここでの「事業所等」とは、当該業務を行うことを目的とし、相当程度の永続性を有する施設を意味する。例えば、自宅とは別に、店舗や事業専用の場所を構えて、そこで永続的に業務を行う場合や、関係する業規制法上の許可や届出等の適正な手続をした上でこれに対応した実質のある事業を行っているような場合については、一般的にこの「事業所等」に該当するものと考えられ、このような場所で業務を行う個人は、通常、これら条項の適用の対象外となる。
一方、例えば、自宅の一室に私用のために置いているパソコンを使って業務を行うような場合には、一般的には「事業所等」には当たらず、このように自宅で業務を行う個人は本法の適用の対象となる。
なお、個人が業務提供誘引販売業を行う者との間で「代理店契約」を締結する場合もあると考えられるが、本法の適用の対象となるかどうかは、業務の提供についての契約の名称や形式によって決まるものではなく、個人が「事業所等」により業務を行っているかどうかという実態によって判断されるものである。

解答一覧

④→×㋒、⑤→×㋒、⑥→×㋒

23年度 問題14⑦⑧ 特定商取引法 (正誤で×を選択) その5

14.次の文章のうち、正しいものには○、誤まっているものには×を、解答用紙の解答欄に記入 (マーク) しなさい。また、誤まっているものには、誤まっている箇所 (1ヵ所) の記号も記入 (マーク) しなさい。

⑦ 宅地建物取引業法上の宅地建物取引業者が消費者に突然電話をして投資用マンションの勧誘を行い、後日、自宅に赴いて売買契約を締結した場合、消費者は㋐特商法に基づくクーリング・オフはできないが、事業者には㋑同法に基づく書面交付義務はある。宅地建物取引業の登録をしていない不動産業者が同様の勧誘を行った場合には、消費者は㋒特商法に基づくクーリング・オフができる余地がある
⑧ 高校を卒業した浪人生のみを対象とした学力の教授を内容とする契約は、㋐特定継続的役務提供にはあたらない。これに対し、浪人生と高校生が混ざったクラスを対象とする学力の教授を内容とする契約は、㋑特定継続的役務提供にあたり得る。この場合、受講者が支払う金額は㋒5万円を超える必要がある。クーリング・オフ期間は㋓8日間である。

【解説と解答】

適用除外の問題です。
基本的な適用除外事項として、他の法律で同様の規制がある場合は、そちらの法律が適用されます。代表的な法律が26条に列挙されており、そのなかに宅建業法も含まれます。したがって、特商法に基づくクーリングオフはできませんし、特商法に基づく書面交付義務もありませんが、宅建業法37条による書面交付義務があります。

宅地建物取引業の登録をしていない不動産業者の場合は宅建業法が適用されませんので、一般的な法律、すなわち、特商法や消費者契約法が適用されることになります。したがって、電話のアポイントメントセールスでの訪問販売による契約となるので、規制事項が守られていない場合はクーリングオフが可能です。
ということで、⑦は㋑が不正解です。

特定商取引に関する法律・・・http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S51/S51HO057.html

第五節 雑則
(適用除外)
第二十六条
八  次に掲げる販売又は役務の提供
イ 金融商品取引法 (昭和二十三年法律第二十五号)第二条第九項 に規定する金融商品取引業者が行う同条第八項 に規定する商品の販売又は役務の提供、同条第十二項 に規定する金融商品仲介業者が行う同条第十一項 に規定する役務の提供、同項 に規定する登録金融機関が行う同法第三十三条の五第一項第三号 に規定する商品の販売又は役務の提供、同法第七十九条の十 に規定する認定投資者保護団体が行う同法第七十九条の七第一項 に規定する役務の提供及び同法第二条第三十項 に規定する証券金融会社が行う同法第百五十六条の二十四第一項 又は第百五十六条の二十七第一項 に規定する役務の提供
ロ 宅地建物取引業法 (昭和二十七年法律第百七十六号)第二条第三号 に規定する宅地建物取引業者(信託会社又は金融機関の信託業務の兼営等に関する法律 (昭和十八年法律第四十三号)第一条第一項 の認可を受けた金融機関であつて、宅地建物取引業法第二条第二号 に規定する宅地建物取引業を営むものを含む。)が行う宅地建物取引業法第二条第二号 に規定する商品の販売又は役務の提供
ハ 旅行業法 (昭和二十七年法律第二百三十九号)第六条の四第一項 に規定する旅行業者及び同条第三項 に規定する旅行業者代理業者が行う同法第二条第三項 に規定する役務の提供
ニ イからハまでに掲げるもののほか、他の法律の規定によつて訪問販売、通信販売又は電話勧誘販売における商品若しくは指定権利の売買契約又は役務提供契約について、その勧誘若しくは広告の相手方、その申込みをした者又は購入者若しくは役務の提供を受ける者の利益を保護することができると認められる販売又は役務の提供として政令で定めるもの

参考までに、不動産の場合、一般的に宅建業法に基づく売買契約書に契約の解除について定められていますので、契約に基づいての「解除」になります。定めのあるときは書くことになっていますので、もし契約書に書かれていない場合は、民法557条の規定を適用することになるかもしれないので、不動産の解約手付けや債務不履行については法律解釈でもっと深い部分があります。

宅地建物取引業・・・http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S27/S27HO176.html

(用語の定義)
第二条  この法律において次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号の定めるところによる。
二  宅地建物取引業 宅地若しくは建物(建物の一部を含む。以下同じ。)の売買若しくは交換又は宅地若しくは建物の売買、交換若しくは貸借の代理若しくは媒介をする行為で業として行なうものをいう。

(書面の交付)
第三十七条  宅地建物取引業者は、宅地又は建物の売買又は交換に関し、自ら当事者として契約を締結したときはその相手方に、当事者を代理して契約を締結したときはその相手方及び代理を依頼した者に、その媒介により契約が成立したときは当該契約の各当事者に、遅滞なく、次に掲げる事項を記載した書面を交付しなければならない
一  当事者の氏名(法人にあつては、その名称)及び住所
二  当該宅地の所在、地番その他当該宅地を特定するために必要な表示又は当該建物の所在、種類、構造その他当該建物を特定するために必要な表示
三  代金又は交換差金の額並びにその支払の時期及び方法
四  宅地又は建物の引渡しの時期
五  移転登記の申請の時期
六  代金及び交換差金以外の金銭の授受に関する定めがあるときは、その額並びに当該金銭の授受の時期及び目的
七  契約の解除に関する定めがあるときは、その内容
八  損害賠償額の予定又は違約金に関する定めがあるときは、その内容
九  代金又は交換差金についての金銭の貸借のあつせんに関する定めがある場合においては、当該あつせんに係る金銭の貸借が成立しないときの措置
十  天災その他不可抗力による損害の負担に関する定めがあるときは、その内容
十一  当該宅地若しくは建物の瑕疵を担保すべき責任又は当該責任の履行に関して講ずべき保証保険契約の締結その他の措置についての定めがあるときは、その内容
十二  当該宅地又は建物に係る租税その他の公課の負担に関する定めがあるときは、その内容
2  宅地建物取引業者は、宅地又は建物の貸借に関し、当事者を代理して契約を締結したときはその相手方及び代理を依頼した者に、その媒介により契約が成立したときは当該契約の各当事者に、次に掲げる事項を記載した書面を交付しなければならない。
一  前項第一号、第二号、第四号、第七号、第八号及び第十号に掲げる事項
二  借賃の額並びにその支払の時期及び方法
三  借賃以外の金銭の授受に関する定めがあるときは、その額並びに当該金銭の授受の時期及び目的
3  宅地建物取引業者は、前二項の規定により交付すべき書面を作成したときは、取引主任者をして、当該書面に記名押印させなければならない。

この設問の背景として、投資用不動産の強引な電話勧誘が社会問題になったという事件が関係しています。
従来は、宅建業者でなければ特商法により再勧誘の禁止がいえますが、宅建業者の場合、宅建業法に再勧誘の禁止について明確な規定がありませんでしたが、平成23年10月に法律の改正があり、再勧誘の禁止が明文化されました。

宅地建物取引業法施行規則の一部改正について 平成23年8月31日

http://www.mlit.go.jp/report/press/totikensangyo16_hh_000060.html
「規制・制度改革に関する方針について」(平成23年4月8日閣議決定)等を踏まえ、宅地建物取引業法施行規則(昭和32年建設省令第12号)の一部について、所要の改正を行いましたのでお知らせいたします。◆悪質な勧誘行為の禁止
宅地建物取引業法(昭和27年法律第176号)第47条の2第3項に基づき、同法施行規則第16条の12において、宅地建物取引業者等の勧誘行為について、相手方等を困惑させることが禁止されていますが、今般、宅地建物取引に係る悪質な勧誘行為の実態調査の結果を踏まえ、以下の事項を明文化する等の改正を行いました。
・勧誘に先だって宅地建物取引業者の商号又は名称、勧誘を行う者の氏名、勧誘をする目的である旨を告げずに、勧誘を行うことを禁止
・相手方が契約を締結しない旨の意思(勧誘を引き続き受けることを希望しない旨の意思を含む。)を表示したにもかかわらず、勧誘を継続することを禁止
・迷惑を覚えさせるような時間の電話又は訪問による勧誘を禁止
◆スケジュール
公布  平成23年8月31日
施行  平成23年10月1日


特商法の特定継続的役務に関する定義の基本です。
浪人生だけは対象外です。浪人生と現役生が混ざっている場合は対象となります。特定継続的役務には期間と金額が決まっており、金額は一律5万円を超えるものですが、期間は異なっており、今回の「いわゆる学習塾は」は2ヶ月を超えるものとなっています(エステだけが1ヶ月で他は2ヶ月)。また、クーリングオフの期間は8日間です。
ということで、⑧はすべて正解です。

特定商取引に関する法律・解説(平成21年版)・・・http://www.no-trouble.go.jp/#1259300931251

264ページ
④ 入学試験に備えるため又は学校教育の補習のための学校教育法第1条に規定する学校(大学及び幼稚園を除く。)の児童、生徒又は学生を対象とした学力の教授(役務提供事業者の事業所その他の役務提供事業者が当該役務提供のために用意する場所において提供されるものに限る。)
いわゆる学習塾の役務である。中学校、高等学校、大学、専修学校、各種学校等の入学試験に備えるため、又は小学校、中学校、高等学校の学校教育の補習のための学力の教授であって、小学生、中学生、高校生等を対象としていわゆる学習塾等において提供されるものである。
本項の役務は、小学生、中学生、高校生等を対象としたものに限られ、したがってもっぱらいわゆる浪人生等こうした児童、生徒又は学生以外の者のみを対象とした役務は除外される。(ただし、これら双方を対象とする役務については、全体としてここに掲げる役務に該当する。)

特定商取引に関する法律施行令・・・http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S51/S51SE295.html

(特定継続的役務提供の期間及び金額)
第十一条  法第四十一条第一項第一号 の政令で定める期間は、別表第四の第一欄に掲げる特定継続的役務ごとに同表の第二欄に掲げる期間とする。
2  法第四十一条第一項第一号 の政令で定める金額は、五万円とする。

解答一覧

⑦→×㋑、⑧→○

23年度 問題14⑨⑩ 特定商取引法 (正誤で×を選択) その6

14.次の文章のうち、正しいものには○、誤まっているものには×を、解答用紙の解答欄に記入 (マーク) しなさい。また、誤まっているものには、誤まっている箇所 (1ヵ所) の記号も記入 (マーク) しなさい。

⑨ 従来、ある商品について過量に至らない量の商品を購入していたところ、今回、訪問販売の方法による新たな同種商品の購入によって、従来の量と合わせると過量な購入量となる場合には、新たに行った購入契約の販売業者がそのことを認識していれば、㋐新たに行った購入契約の解除のみならず、それまでの購入契約も解除できる。また、新たな購入契約の時点で既に過量な同種商品を購入していた場合には、新たに行った購入契約の販売業者がそのことを認識していれば、新たな購入契約単独では過量とならなかったとしても、㋑新たな購入契約を過量販売解除することができる。過量販売解除権の除斥期間は㋒1年であるため、それより前の契約については解除することができない。
⑩ ある日突然事業者が消費者に電話をかけて学習教材の購入について勧誘を行い、消費者が郵送でその契約の申込みを行った場合は、特商法上の㋐電話勧誘販売に該当する。この場合、勧誘が電話ではなく郵送のカタログによる場合には、㋑通信販売に該当することになる。また、電話による勧誘後、当該事業者から消費者の自宅に赴いてその場で契約を締結した場合には㋒訪問販売に該当することになる。

【解説と解答】

次々販売・過量販売に関する規制です。
その量を超えた分についてのみ契約の解除ができます。過去の分もまとめてとはなりません。ただし、過去の分について書面不備などの違反があれば解除の余地はあります。

設問がだらだらしていて分かりにくいですが、過去の分も解除できるとした㋐が明らかに間違いなので、時間の限られた試験では、その部分に気づいてさっさと先に進みましょう。
ということで、⑨は㋐が不正解です。

特定商取引に関する法律・・・http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S51/S51HO057.html

(通常必要とされる分量を著しく超える商品の売買契約等の申込みの撤回等)
第九条の二  申込者等は、次に掲げる契約に該当する売買契約若しくは役務提供契約の申込みの撤回又は売買契約若しくは役務提供契約の解除(以下この条において「申込みの撤回等」という。)を行うことができる。ただし、申込者等に当該契約の締結を必要とする特別の事情があつたときは、この限りでない。
一  その日常生活において通常必要とされる分量を著しく超える商品若しくは指定権利の売買契約又はその日常生活において通常必要とされる回数、期間若しくは分量を著しく超えて役務の提供を受ける役務提供契約
二  当該販売業者又は役務提供事業者が、当該売買契約若しくは役務提供契約に基づく債務を履行することにより申込者等にとつて当該売買契約に係る商品若しくは指定権利と同種の商品若しくは指定権利の分量がその日常生活において通常必要とされる分量を著しく超えることとなること若しくは当該役務提供契約に係る役務と同種の役務の提供を受ける回数若しくは期間若しくはその分量がその日常生活において通常必要とされる回数、期間若しくは分量を著しく超えることとなることを知り、又は申込者等にとつて当該売買契約に係る商品若しくは指定権利と同種の商品若しくは指定権利の分量がその日常生活において通常必要とされる分量を既に著しく超えていること若しくは当該役務提供契約に係る役務と同種の役務の提供を受ける回数若しくは期間若しくはその分量がその日常生活において通常必要とされる回数、期間若しくは分量を既に著しく超えていることを知りながら、申込みを受け、又は締結した売買契約又は役務提供契約
2  前項の規定による権利は、当該売買契約又は当該役務提供契約の締結の時から一年以内に行使しなければならない。
3  前条第三項から第八項までの規定は、第一項の規定による申込みの撤回等について準用する。この場合において、同条第八項中「前各項」とあるのは、「次条第一項及び第二項並びに同条第三項において準用する第三項から前項まで」と読み替えるものとする。

特定商取引に関する法律・解説(平成21年版)・・・http://www.no-trouble.go.jp/#1259300931251

1 第1項は、いわゆる「過量販売」「次々販売」が行われた場合の契約の解除等について規定している。
(1) 「その日常生活において通常必要とされる分量を著しく超える商品若しくは指定権利の売買契約又はその日常生活において通常必要とされる回数、期間若しくは分量を著しく超えて役務の提供を受ける役務提供契約」
この要件は、訪問販売事業者が、その販売する商品等に関し、当該商品等の性質、機能や相手方消費者の世帯構成人数等の個別の事情にかんがみ、個別の消費者にとって社会通念上必要とされる通常量を著しく超えた販売行為等を行う場合を定めたものである。本規定により、被害者は上記外形的要件(例えば、一人暮らしの高齢者が布団10枚以上を購入させられたこと等)を立証することで解除を主張できることになるため、立証負担が軽減されることになる。なお、「通常必要とされる分量を著しく超える」などに当たるかどうかは、事前に一定の基準を定めることは困難であり、個別の事案ごとに判断されることとなる。
① 第1号では、事業者の一回の販売行為等による販売量等が通常必要とされる分量等を著しく超えた契約である場合を定めている。
② 第2号では、過去の消費者の購入の累積から、ある事業者の販売行為等が結果的に通常必要とされる分量等を著しく超える契約になること、あるいは既にそのような量を超えた保有状況の消費者であることを知りつつ販売等を行う場合を定めている。この場合、事業者が過去の消費者の購入実績(同種の商品等の保有状況)を把握できるとは限らないことにかんがみ、それらを把握しつつ、自身の販売行為等の結果が累積的に上記通常必要とされる量を著しく超えることとなる、あるいは既に著しく超えている事情を知りながら販売等を行ったという行為の悪意性が、要件として付加されているものである。なお、この「知りながら」の要件は消費者が立証する必要がある。


特商法の定義に関する基本問題です。
特に難しいことはないと思います。
ということで、⑩はすべて正解です。

特定商取引に関する法律・・・http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S51/S51HO057.html

第二章 訪問販売、通信販売及び電話勧誘販売
第一節 定義
(定義)
第二条  この章及び第五十八条の四第一項において「訪問販売」とは、次に掲げるものをいう。
一  販売業者又は役務の提供の事業を営む者(以下「役務提供事業者」という。)が営業所、代理店その他の主務省令で定める場所(以下「営業所等」という。)以外の場所において、売買契約の申込みを受け、若しくは売買契約を締結して行う商品若しくは指定権利の販売又は役務を有償で提供する契約(以下「役務提供契約」という。)の申込みを受け、若しくは役務提供契約を締結して行う役務の提供
二  販売業者又は役務提供事業者が、営業所等において、営業所等以外の場所において呼び止めて営業所等に同行させた者その他政令で定める方法により誘引した者(以下「特定顧客」という。)から売買契約の申込みを受け、若しくは特定顧客と売買契約を締結して行う商品若しくは指定権利の販売又は特定顧客から役務提供契約の申込みを受け、若しくは特定顧客と役務提供契約を締結して行う役務の提供
2  この章及び第五十八条の五において「通信販売」とは、販売業者又は役務提供事業者が郵便その他の主務省令で定める方法(以下「郵便等」という。)により売買契約又は役務提供契約の申込みを受けて行う商品若しくは指定権利の販売又は役務の提供であつて電話勧誘販売に該当しないものをいう。
3  この章及び第五十八条の六第一項において「電話勧誘販売」とは、販売業者又は役務提供事業者が、電話をかけ又は政令で定める方法により電話をかけさせ、その電話において行う売買契約又は役務提供契約の締結についての勧誘(以下「電話勧誘行為」という。)により、その相手方(以下「電話勧誘顧客」という。)から当該売買契約の申込みを郵便等により受け、若しくは電話勧誘顧客と当該売買契約を郵便等により締結して行う商品若しくは指定権利の販売又は電話勧誘顧客から当該役務提供契約の申込みを郵便等により受け、若しくは電話勧誘顧客と当該役務提供契約を郵便等により締結して行う役務の提供をいう。
4  この章並びに第五十八条の五及び第六十七条第一項において「指定権利」とは、施設を利用し又は役務の提供を受ける権利のうち国民の日常生活に係る取引において販売されるものであつて政令で定めるものをいう。 。

解答一覧

⑨→×㋐、⑩→○

メインの法律だけに、設問を読むだけでしんどくなってしまいます。集中して単純ミスのないようにがんばりましょう。
6割以上を目標にしましょう。

23年度 問題15 割賦販売法 (正誤で×を選択) その1

「割賦販売法」、略して「割販法」です。
クレジットに関する法律です。
クレジットといっても、さまざまな分類パターンがあります。
特に、特商法が2009年に改正されたときに、割販法も同時に改正されており、しかも、これが非常に重要な改正になっています。
それ以後については大きな変化はありません。
所管は経済産業省になります。
現場では、実際に割販法に基づいてあっせんするという機会はあまりないように感じます。
ただし、最近は携帯電話の購入が実質0円といいながら、個別信用購入あっせん契約になっています。
毎月の電話料金を滞納してしまうと、携帯電話機の割賦購入の支払を延滞したことになり、記録され、家のローンが組めなくなるような不利益を受けてしまうこともありうるのが怖いところです。
消費者の多くが今までに縁のなかった割賦購入を知らない?うちに利用しているという事実があります。
一度、携帯電話の契約書を確認してみてはどうでしょうか。
もちろん、携帯電話のカタログにも説明されています。

割販法では、個別信用購入あっせん、マンスリークリア、クーリングオフ(特商法との連動)などはポイントです。
また、定義についてもややこしいですが理解しておいてください。

割賦販売法(経済産業省HP)
http://www.meti.go.jp/policy/economy/consumer/credit/11kappuhanbaihou.htm
割賦販売法関係資料
http://www.meti.go.jp/policy/economy/consumer/credit/112kappuhanbaihoukankeishiryou.htm

割賦販売法
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S36/S36HO159.html
割賦販売法施行規則
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S36/S36F03801000095.html

割賦販売法の逐条解説は、HP等に掲載されていませんので、各種参考資料を見るか、必要な場合は別途購入してください。
改正割賦販売法の概要・・・このまとめが結構役に立ちます。
http://www.meti.go.jp/policy/economy/consumer/credit/pdf/112-1kaiseikappanhousetumeisiryou.pdf

23年度 問題15①② 割賦販売法 (正誤で×を選択) その2

15.次の文章のうち、正しいものには○、誤まっているものには×を、解答用紙の解答欄に記入 (マーク) しなさい。また、誤まっているものには、誤まっている箇所 (1ヵ所) の記号も記入 (マーク) しなさい。

① 消費者がエステティックサロンに出向いて、期間3カ月、代金25万円の痩身施術の契約を個別信用購入あっせん(個別クレジット)契約を利用して締結した事案について、㋐契約書面交付義務はエステティック業者と個別クレジット業者の両方が負うが、㋑痩身施術契約について不実の告知により取消しができる場合でも、個別クレジット契約は取消しができない。㋒個別クレジット契約について、抗弁の対抗を主張できるにとどまる場合には、割賦販売法上の既払金返還請求までは認められない
② インターネットの出会い系サイトを利用して代金4万円をクレジットカードで決済したが、出会い系サイト業者による詐欺であることが後日判明した。この場合、割賦販売法によれば㋐マンスリークリア方式を利用したときは抗弁の対抗はできない。㋑リボルビング方式を利用した場合は割賦販売法の適用を受けることになるが、㋒リボルビング方式を利用したときでも、決済代行業者が介在するなど、クレジットカード会社と出会い系サイト業者とが直接加盟店契約を結んでいない場合には抗弁の対抗規定の適用がない

【解説と解答】
難解な割賦販売法になりました。問題自体を読み込むのがしんどいです。深読みせずに直感的に答えた方が楽かもしれません。ただし、ある程度の基本が分かってのことです。なお、割賦販売法は条文も長く複雑ですので解説は簡素化します。


キーワードがたくさん出てきます。
書面交付義務、不実告知による取消、抗弁、既払い金返還請求

まず、エステの契約が特商法の特定継続的役務に該当することを確認します。要件は期間が「1ヶ月を超えるもの」「5万円を超えるもの」なので満たしていますので、当然、特商法の適用を受けるので書面交付義務があります。個別信用購入あっせん契約についても、割販法「第三十五条の三の九」により書面交付義務があります。

不実告知があった場合は、特商法にもとづく契約の取消ができますが、個別クレジット契約についても「第三十五条の三の十」で取消ができます

抗弁権の主張は今後を含む今現在の請求(未払い金のこと)について待ってもらう(支払保留)制度ですので、まだ抗弁の結果も出ていませんし、単に抗弁を主張するだけの場合は既払金返還請求までには至っていないことになります。既払金返還請求はクーリングオフによる契約の取消が認められた場合に返還されます。

したがって、㋑が不正解となります。明らかに㋑が不正解なので他の部分は悩まずスルーして次の問題に進みましょう。

割賦販売法・・・http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S36/S36HO159.html

(個別信用購入あつせん業者による書面の交付)
第三十五条の三の九  個別信用購入あつせん業者は、次に掲げる個別信用購入あつせん関係販売契約又は個別信用購入あつせん関係役務提供契約に係る個別信用購入あつせん関係受領契約の申込みを受けたときは、遅滞なく、経済産業省令・内閣府令で定めるところにより、当該契約に関する次項各号の事項を記載した書面を当該申込みをした者に交付しなければならない。

(個別信用購入あつせん関係受領契約の申込みの撤回等)
第三十五条の三の十~

(個別信用購入あつせん業者に対する抗弁)
第三十五条の三の十九  購入者又は役務の提供を受ける者は、個別信用購入あつせん関係販売契約又は個別信用購入あつせん関係役務提供契約に係る第三十五条の三の八第三号の支払分の支払の請求を受けたときは、当該契約に係る個別信用購入あつせん関係販売業者又は個別信用購入あつせん関係役務提供事業者に対して生じている事由をもつて、当該支払の請求をする個別信用購入あつせん業者に対抗することができる。
2  前項の規定に反する特約であつて購入者又は役務の提供を受ける者に不利なものは、無効とする。
3  第一項の規定による対抗をする購入者又は役務の提供を受ける者は、その対抗を受けた個別信用購入あつせん業者からその対抗に係る同項の事由の内容を記載した書面の提出を求められたときは、その書面を提出するよう努めなければならない。
4  前三項の規定は、第一項の支払分の支払であつて政令で定める金額に満たない支払総額に係るものについては、適用しない。


出会い系サイトのクレジット1回払い契約のことです。この種のトラブルは非常に多くあっせんも苦労します。
一番のポイントは、1回払いのカード決済はマンスリークリアと呼ばれ、割賦販売法の対象外となっています。したがって、割販法による抗弁の主張はできません。ただし、相談現場では、とにかく抗弁を出すように助言することも少なくありません。問題のある支払であることの意思表示が大切です。

ちなみに、この支払方式は包括信用購入あっせん(包括クレジット)となります。
クレジットの支払い方法は、一括払い・分割払い・リボ払いの3種類ありますが、信用購入の対象となるのは契約時から2ヶ月を超えない範囲で支払うマンスリークリアを除くものとなっており、1回払いでも、例えば半年後のボーナス一括は対象となります。
裏技としては翌月1回払いの引き落としが終わる前にリボ払いへ変更する(後リボ)と、割販法の規制対象となるという法律の想定外の使い方もあります。

なお、、決済代行業者が間に入っていようが、消費者とカード会社の話なので関係あません。単純に支払い方法だけについて考えたらいいです。
したがって、㋒が不正解となります。

解答一覧

①→×㋑、②→×㋒

23年度 問題15③④ 割賦販売法 (正誤で×を選択) その3

15.次の文章のうち、正しいものには○、誤まっているものには×を、解答用紙の解答欄に記入 (マーク) しなさい。また、誤まっているものには、誤まっている箇所 (1ヵ所) の記号も記入 (マーク) しなさい。

③ インターネットで商品を購入し代金を決済する場合、あらかじめクレジットカードを発行する方式ではなく、番号やパスワードを決めておいて利用限度額の範囲内で代金後払いの決済をする方式は、㋐支払日が2カ月を超える後払いであっても抗弁の対抗規定の適用はないが、㋑リボルビング方式の場合、原則として、利用限度額を増額するときは指定信用情報機関を利用した支払可能見込額調査をする義務が発生し、㋒販売業者に対する苦情が多発したときは加盟店調査義務が発生する
④ クレジットカードを利用して商品を購入する際、商品購入時はマンスリークリア方式を利用して決済することとし、後日、消費者から申告してリボルビング方式に変更できるカードの場合、㋐マンスリークリア方式のままであれば抗弁の対抗規定の適用はないが、㋑後からリボルビング方式を選択できるカードの利用を認めていた以上、消費者の申告により、支払い方法がリボルビング方式に変更された段階で同法の適用を受け、抗弁の対抗が主張できることとなる。カード会社は㋒このようなクレジットカードについて、支払可能見込額の調査義務はカード発行時に履行しておかなければならない

【解説と解答】

「インターネットで商品を購入し代金を決済する場合、あらかじめクレジットカードを発行する方式ではなく、番号やパスワードを決めておいて利用限度額の範囲内で代金後払いの決済をする方式」というのは「カードレス取引」のことで平成12年の改正で規制の対象となりました。
通常の対面取引ではカードを提示して購入することになりますが、ネット取引ではカードを提示することができません。せいぜいカードを見ながらカード番号や期限などを入力することになります。それではカード自体をなくしても同じではないかということで、単にIDやパスワードを付与して、ネットの取引画面に入力すれば購入できるという形態がでてきたので平成12年に規制対象となり、割販法を適用することになりました。従来は「カードその他の物」として有体物の交付が前提であったため、番号だけの無体物は対象外でした。カードの番号を入力する場合はカードの交付が前提であるためもともと規制対象でした。

割販法第2条の定義に「カード等」と表現されています。
逐条解説38-39ページには詳しく解説されていますが一部抜粋します

3 「カード等」とは、「カードその他の物」(クレジットカード等の有体物)と「番号、記号その他の符号」(ID番号、パスワード等の無体物)の双方を含む概念である。
なお、従来、有体物たる「カード等」を念頭に置いて用いていた「交付」「提示」については、無体物たる「番号、記号その他の符号」に対応する表現として「付与」「通知」を用いている。

割販法では「カード等」という表現が、「割賦販売」「ローン提携販売」「包括信用購入あっせん」で使用されています。

この設問は割販法のクレジットカード=「包括信用購入あっせん」と同じになると考えればいいと思います。
すなわち、マンスリー方式では割販法の適用を受けないため抗弁の主張はできないが支払日が2ヶ月を超える後払い(ボーナス1回払いでも)は割販法の適用になり抗弁を主張でき、リボ払いは割販法の適用を受けるので「包括信用購入あっせん」の場合は原則として支払可能見込額の調査義務が生じ、加盟店調査義務も発生します。
したがって、マンスリークリアにはならないので③は㋐が不正解となります。

割賦販売法・・・http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S36/S36HO159.html

(定義)
第二条  この法律において「割賦販売」とは、次に掲げるものをいう。
二  それを提示し若しくは通知して、又はそれと引換えに、商品若しくは権利を購入し、又は有償で役務の提供を受けることができるカードその他の物又は番号、記号その他の符号(以下この項及び次項、次条並びに第二十九条の二において「カード等」という。)をこれにより
2  この法律において「ローン提携販売」とは、次に掲げるものをいう。
一  カード等を利用者に交付し又は付与し、当該利用者がそのカード等を提示し若しくは通知して、
3  この法律において「包括信用購入あつせん」とは、次に掲げるものをいう。
一  それを提示し若しくは通知して、又はそれと引換えに、特定の販売業者から商品若しくは権利を購入し、又は特定の役務提供事業者から有償で役務の提供を受けることができるカードその他の物又は番号、記号その他の符号(以下この項及び次項、第三十条から第三十条の二の三まで、第三十四条並びに第三十五条の十六において「カード等」という。)をこれにより
4  この法律において「個別信用購入あつせん」とは、カード等を利用することなく、

(包括支払可能見込額の調査)
第三十条の二  包括信用購入あつせん業者は、包括信用購入あつせんをするためカード等を利用者(個人である利用者に限る。以下この条、次条及び第三節において同じ。)に交付し若しくは付与しようとする場合又は利用者に交付し若しくは付与したカード等についてそれに係る極度額(包括信用購入あつせんに係る購入又は受領の方法により商品若しくは権利を購入し、又は役務を受領することができる額の上限であつて、あらかじめ定められたものをいう。以下同じ。)を増額しようとする場合には、その交付若しくは付与又はその増額に先立つて、経済産業省令・内閣府令で定めるところにより、年収、預貯金、信用購入あつせん(包括信用購入あつせん及び個別信用購入あつせんをいう。以下同じ。)に係る債務の支払の状況、借入れの状況その他の当該利用者の包括支払可能見込額を算定するために必要な事項として経済産業省令・内閣府令で定めるものを調査しなければならない。ただし、当該利用者の保護に支障を生ずることがない場合として経済産業省令・内閣府令で定める場合は、この限りでない。

(業務の運営に関する措置)
第三十条の五の二  包括信用購入あつせん業者は、利用者又は購入者若しくは役務の提供を受ける者の利益の保護を図るため、経済産業省令・内閣府令で定めるところにより、その包括信用購入あつせんの業務に関して取得した利用者又は購入者若しくは役務の提供を受ける者に関する情報の適正な取扱い、その包括信用購入あつせんの業務を第三者に委託する場合における当該業務の適確な遂行及びその利用者又は購入者若しくは役務の提供を受ける者からの苦情の適切かつ迅速な処理のために必要な措置を講じなければならない。


マンスリークリアを後リボに変更する方法で、②で少し触れた問題です。

ちなみに、この支払方式は包括信用購入あっせん(包括クレジット)となります。
クレジットの支払い方法は、一括払い・分割払い・リボ払いの3種類ありますが、信用購入の対象となるのは契約時から2ヶ月を超えない範囲で支払うマンスリークリアを除くものとなっており、1回払いでも、例えば半年後のボーナス一括は対象となります。
裏技としては翌月1回払いの引き落としが終わる前にリボ払いへ変更する(後リボ)と、割販法の規制対象となるという法律の想定外の使い方もあります。

ということで、設問に書かれているとおりですので、④はすべて正解です。

解答一覧

③→×㋐、④→○

23年度 問題15⑤⑥ 割賦販売法 (正誤で×を選択) その4

15.次の文章のうち、正しいものには○、誤まっているものには×を、解答用紙の解答欄に記入 (マーク) しなさい。また、誤まっているものには、誤まっている箇所 (1ヵ所) の記号も記入 (マーク) しなさい。

⑤ 訪問販売の方法により商品を購入し、代金はカード等を発行せずに、金銭消費貸借形式の申込書を利用して2カ月を超える分割後払いとした。支払条件の協議や消費貸借契約の申込書の作成を販売業者が窓口となって商品の販売契約と一体的に進める場合は、㋐割賦販売法上の抗弁の対抗規定の適用を受ける取引であり、与信業者は、㋑貸金業法上の登録とは別に割賦販売法上の登録をする必要があり、㋒販売方法につき同法により調査義務を負う
⑥ 包括信用購入あっせん(包括クレジット)契約を利用して支払日が2カ月を超える後払いで商品を購入したところ、販売業者に債務不履行があったので抗弁の対抗を主張したい。この場合、㋐購入者が営業のためにもしくは営業として契約を締結したものであるときは認められず、㋑インターネットにより、自分からアクセスして商品を購入したときも認められず、㋒取引対象が不動産の場合も認められない

【解説と解答】

「訪問販売の方法により商品を購入し、代金はカード等を発行せずに、金銭消費貸借形式の申込書を利用して2カ月を超える分割後払いとした」という契約方式が「個別方式のローン提携販売」ということになりますが、平成20年度改正でカードを交付しない「個別方式のローン提携販売」は「ローン提携販売」から削除され、「個別信用購入あせん」で規制強化することになりました。したがって、この契約方式は、「個別信用購入あっせん」となります。
ただし、通常の「個別信用購入あっせん」はクレジット会社が代金を販売業者に支払い、購入者はクレジット会社に分割払いします。
それに対して、「金銭消費貸借形式」は、購入者が貸金業者から代金を借りて購入者が販売業者に全額支払い、購入者は貸金業者に分割返済します。
この場合、購入者が借りたお金が本当に目的物を買う代金にあてられるのかという問題も含め割販法に該当するのか議論は分かれていますが、「個別信用購入あっせん」に該当すると考えられています。この「金銭消費貸借形式」は問題も多くありもっと複雑なもので議論が続いています。

該当するとなると割販法に規制を受けるので、抗弁も主張できますし、割販業者としての登録も必要ですし、調査義務も負います。
したがって、⑤はすべて正解です。

割賦販売法・・・http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S36/S36HO159.html

(定義)
第二条
2  この法律において「ローン提携販売」とは、次に掲げるものをいう。
一  カード等を利用者に交付し又は付与し、

(個別支払可能見込額の調査)
第三十五条の三の三

(個別信用購入あつせん業者の登録)
第三十五条の三の二十三  個別信用購入あつせんは、経済産業省に備える個別信用購入あつせん業者登録簿に登録を受けた法人(以下「登録個別信用購入あつせん業者」という。)でなければ、業として営んではならない。ただし、第三十五条の三の六十第二項第四号の団体については、この限りでない。

(個別信用購入あつせん業者に対する抗弁)
第三十五条の三の十九

(業務の運営に関する措置)
第三十五条の三の二十  個別信用購入あつせん業者は、購入者又は役務の提供を受ける者の利益の保護を図るため、経済産業省令・内閣府令で定めるところにより、その個別信用購入あつせんの業務に関して取得した購入者又は役務の提供を受ける者に関する情報の適正な取扱い、その個別信用購入あつせんの業務を第三者に委託する場合における当該業務の適確な遂行、その購入者又は役務の提供を受ける者の知識、経験、財産の状況及び個別信用購入あつせん関係受領契約を締結する目的に照らして適切な業務の実施並びにその購入者又は役務の提供を受ける者からの苦情の適切かつ迅速な処理のために必要な措置を講じなければならない。


適用除外の設問です。
条文にもあるとおり、営業の場合、不動産取引の場合、適用除外となります。
設問にある「自分でネットにアクセスして購入」は通常の購入形態ですので割販法の適用を受けます。
したがって、⑥は㋑が不正解です。
特商法にも適用除外はありましたが、同じようなイメージで考えると知らなくても答が出そうですね。
この問題をきっかけに適用除外について知っておいてください。

割賦販売法・・・http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S36/S36HO159.html

第三十五条の三の六十  この章の規定は、次の包括信用購入あつせん及び包括信用購入あつせんに係る販売又は提供の方法による販売又は提供については、適用しない。
一  商品若しくは指定権利を販売する契約又は役務を提供する契約(連鎖販売個人契約及び業務提供誘引販売個人契約に係るものを除く。)であつて、当該契約の申込みをした者が営業のために若しくは営業として締結するもの又は購入者若しくは役務の提供を受ける者が営業のために若しくは営業として締結するものに係る包括信用購入あつせん及び包括信用購入あつせんに係る販売又は提供の方法による販売又は提供
六  不動産を販売する契約に係る包括信用購入あつせん及び包括信用購入あつせんに係る販売又は提供の方法による販売又は提供
2  この章の規定は、次の個別信用購入あつせん及び個別信用購入あつせんに係る販売又は提供の方法による販売又は提供については、適用しない。

解答一覧

⑤→○、⑥→×㋑

23年度 問題15⑦⑧ 割賦販売法 (正誤で×を選択) その5

15.次の文章のうち、正しいものには○、誤まっているものには×を、解答用紙の解答欄に記入 (マーク) しなさい。また、誤まっているものには、誤まっている箇所 (1ヵ所) の記号も記入 (マーク) しなさい。

⑦ 個別信用購入あっせん(個別クレジット)契約を利用して訪問販売の方法により商品を購入する場合、㋐販売業者は割賦販売法により契約書面交付義務を負い、㋑個別クレジット業者は消費者から個別クレジット契約の申込みを受けたときに申込書面の交付義務を負い、㋒別クレジット業者は与信審査を承認したのちに契約書面交付義務を負う
⑧ 信用購入あっせん(クレジット)契約における抗弁の対抗は、㋐店舗販売でクレジットカードを利用したときでも適用され、㋑契約締結後に発生した販売業者の債務不履行を理由とする契約解除でも抗弁事由となり、㋒クレジット契約書面に記載されていない販売業者との特約でも抗弁事由となる

【解説と解答】

「個別信用購入あっせん契約」の書面交付に関する設問ですが、深読みせずに素直に回答しましょう。
条文にあるとおり、⑦はすべて正解です。

割賦販売法・・・http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S36/S36HO159.html

(個別信用購入あつせん関係販売業者等による書面の交付
第三十五条の三の八  個別信用購入あつせん関係販売業者又は個別信用購入あつせん関係役務提供事業者は、個別信用購入あつせん関係販売契約又は個別信用購入あつせん関係役務提供契約を締結したときは、遅滞なく、経済産業省令・内閣府令で定めるところにより、当該契約に関する次の事項を記載した書面を購入者又は役務の提供を受ける者に交付しなければならない。

(個別信用購入あつせん業者による書面の交付
第三十五条の三の九  個別信用購入あつせん業者は、次に掲げる個別信用購入あつせん関係販売契約又は個別信用購入あつせん関係役務提供契約に係る個別信用購入あつせん関係受領契約の申込みを受けたときは、遅滞なく、経済産業省令・内閣府令で定めるところにより、当該契約に関する次項各号の事項を記載した書面を当該申込みをした者に交付しなければならない。

3  個別信用購入あつせん業者は、次に掲げる個別信用購入あつせん関係販売契約又は個別信用購入あつせん関係役務提供契約に係る個別信用購入あつせん関係受領契約を締結したときは、遅滞なく、経済産業省令・内閣府令で定めるところにより、当該契約に関する次項各号の事項を記載した書面を購入者又は役務の提供を受ける者に交付しなければならない。


信用購入あっせん契約の抗弁について設問です。
信用購入あっせんという書き方なので「包括」と「個別」の両方を含むものと考えます。

店舗販売であろうがクレジット契約したものは抗弁の対象となります。ただし、マンスリークリアに関しては、そもそも「信用購入あっせん」に該当しないことをお忘れなく。
素直に、「信用購入あっせん」で生じた関係業者とのトラブルに関してはすべて「抗弁できる」と考えたらいいと思います。
したがって、⑧はずべて正解です。

割賦販売法・・・http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S36/S36HO159.html

(包括信用購入あつせん業者に対する抗弁)
第三十条の四  購入者又は役務の提供を受ける者は、第二条第三項第一号に規定する包括信用購入あつせんに係る購入又は受領の方法により購入した商品若しくは指定権利又は受領する役務に係る第三十条の二の三第一項第二号の支払分の支払の請求を受けたときは、当該商品若しくは当該指定権利の販売につきそれを販売した包括信用購入あつせん関係販売業者又は当該役務の提供につきそれを提供する包括信用購入あつせん関係役務提供事業者に対して生じている事由をもつて、当該支払の請求をする包括信用購入あつせん業者に対抗することができる。
2  前項の規定に反する特約であつて購入者又は役務の提供を受ける者に不利なものは、無効とする。

(個別信用購入あつせん業者に対する抗弁)
第三十五条の三の十九  購入者又は役務の提供を受ける者は、個別信用購入あつせん関係販売契約又は個別信用購入あつせん関係役務提供契約に係る第三十五条の三の八第三号の支払分の支払の請求を受けたときは、当該契約に係る個別信用購入あつせん関係販売業者又は個別信用購入あつせん関係役務提供事業者に対して生じている事由をもつて、当該支払の請求をする個別信用購入あつせん業者に対抗することができる。
2  前項の規定に反する特約であつて購入者又は役務の提供を受ける者に不利なものは、無効とする。

解答一覧

⑦→○、⑧→○

23年度 問題15⑨⑩ 割賦販売法 (正誤で×を選択) その6

15.次の文章のうち、正しいものには○、誤まっているものには×を、解答用紙の解答欄に記入 (マーク) しなさい。また、誤まっているものには、誤まっている箇所 (1ヵ所) の記号も記入 (マーク) しなさい。

⑨ 個別信用購入あっせん(個別クレジット)契約を利用して訪問販売の方法で商品を購入した場合、㋐クーリング・オフを行使するときは販売業者に対して通知書を発信すれば、個別クレジット業者にも通知したのと同じ効果が認められ、㋑販売契約を商品の品質に関する不実の告知により取消しできるときは、個別クレジット契約も不実の告知により取消しができ、㋒販売契約について過量販売解除ができるときは個別クレジット契約も過量販売解除が可能である
⑩ 個別信用購入あっせん(個別クレジット)契約を利用して店舗販売の方法で商品を購入した。この場合、販売業者の退去妨害により消費者が困惑して契約を締結したときは、消費者契約法により販売契約を取り消したうえで、㋐割賦販売法の抗弁の対抗を適用して未払金の支払いを拒絶し得るほか、㋑消費者契約法第5条を活用して個別クレジット契約の取消しを主張することができ、さらに㋒割賦販売法上の与信審査時における調査義務違反が問われ得る

【解説と解答】

重要な特商法のクーリングオフとの連動です。
特商法と割販法それぞれにクーリングオフの規程がありますが、クーリングオフする順番を間違えるととんでもないことになりますので、現場でも注意が必要です。
なお、割販法のクーリングオフは、「個別信用購入あっせん」にのみ規定されています。
また、対象となる取引は特定商取引法の5類型(訪問販売、電話勧誘販売、連鎖販売取引、特定継続的役務提供取引、業務提供誘引販売取引)の取引となっています。

「第三十五条の三の十」は割販法の取消をすれば特商法の契約を撤回したこととみなすという規定です。
ただし、現に効力を有する契約とされており、特商法のクーリングオフを割販法のクーリングオフに先立ち取り消してしまうと、現に効力を有する契約とはなりません。
すると、既払い金の返還規定がなくなってしまうため、取り返すのが困難になる場合があります。
この部分はとても重要で、逐条解説でも相当量のページを割いているので、細かい説明は省略します。

クーリングオフのみなし規定は、クレジット会社に通知した場合に、販売業者にも通知したことになり、その反対はありません。
したがって、⑨は㋐が不正解です。

条文も長く読んでられませんが、一部簡単に抜粋しておきます。

「第三十五条の三の十」は訪問販売、電話勧誘販売に関するクーリングオフ
「第三十五条の三の十一」は連鎖販売取引、特定継続的役務提供取引、業務提供誘引販売取引に関するクーリングオフ
「第三十五条の三の十二」は訪問販売の過量販売に関するクーリングオフ
「第三十五条の三の十三」は訪問販売のクーリングオフの既払金返還規定
「第三十五条の三の十四」は連鎖販売のクーリングオフの既払金返還規定
「第三十五条の三の十五」は特定継続的役務提のクーリングオフの既払金返還規定
「第三十五条の三の十六」は訪業務提供誘引販売のクーリングオフの既払金返還規定

割賦販売法・・・http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S36/S36HO159.html

(個別信用購入あつせん関係受領契約の申込みの撤回等)
第三十五条の三の十  次の各号に掲げる場合において、当該各号に定める者(以下この条において「申込者等」という。)は、書面により、申込みの撤回等(次の各号の個別信用購入あつせん関係販売契約若しくは個別信用購入あつせん関係役務提供契約に係る個別信用購入あつせん関係受領契約の申込みの撤回又は次の各号の個別信用購入あつせん関係販売契約若しくは個別信用購入あつせん関係役務提供契約に係る個別信用購入あつせん関係受領契約の解除をいう。以下この条において同じ。)を行うことができる。ただし、前条第三項の書面を受領した日(その日前に同条第一項の書面を受領した場合にあつては、当該書面を受領した日)から起算して八日を経過したとき(申込者等が、個別信用購入あつせん関係販売業者若しくは個別信用購入あつせん関係役務提供事業者若しくは個別信用購入あつせん業者が個別信用購入あつせん関係販売契約若しくは個別信用購入あつせん関係役務提供契約に係る個別信用購入あつせん関係受領契約の締結について勧誘をするに際し、若しくは申込みの撤回等を妨げるため、申込みの撤回等に関する事項につき不実のことを告げる行為をしたことにより当該告げられた内容が事実であるとの誤認をし、又は個別信用購入あつせん関係販売業者若しくは個別信用購入あつせん関係役務提供事業者若しくは個別信用購入あつせん業者が個別信用購入あつせん関係販売契約若しくは個別信用購入あつせん関係役務提供契約に係る個別信用購入あつせん関係受領契約を締結させ、若しくは申込みの撤回等を妨げるため、威迫したことにより困惑し、これらによつて当該期間を経過するまでに申込みの撤回等を行わなかつた場合には、当該申込者等が、当該個別信用購入あつせん関係販売業者若しくは当該個別信用購入あつせん関係役務提供事業者又は当該個別信用購入あつせん業者が経済産業省令・内閣府令で定めるところにより申込みの撤回等を行うことができる旨を記載して交付した書面を受領した日から起算して八日を経過したとき)は、この限りでない。

5  申込者等が申込みの撤回等を行つた場合には、当該申込みの撤回等に係る第一項本文の書面を発する時において現に効力を有する個別信用購入あつせん関係販売契約若しくは個別信用購入あつせん関係役務提供契約の申込み又は個別信用購入あつせん関係販売契約若しくは個別信用購入あつせん関係役務提供契約は、当該申込者等が当該書面を発した時に、撤回されたものとみなし、又は解除されたものとみなす。ただし、当該申込者等が当該書面において反対の意思を表示しているときは、この限りでない。

(通常必要とされる分量を著しく超える商品の販売契約等に係る個別信用購入あつせん関係受領契約の申込みの撤回等)
第三十五条の三の十二  第三十五条の三の十第一項第一号、第二号、第四号又は第五号に掲げる場合において、当該各号に定める者(以下この条において「申込者等」という。)は、当該各号の個別信用購入あつせん関係販売契約又は個別信用購入あつせん関係役務提供契約であつて特定商取引に関する法律第九条の二第一項 各号に掲げる契約に該当するもの(以下この条において「特定契約」という。)に係る個別信用購入あつせん関係受領契約の申込みの撤回又は特定契約に係る個別信用購入あつせん関係受領契約の解除(以下この条において「申込みの撤回等」という。)を行うことができる。ただし、申込者等に当該特定契約の締結を必要とする特別の事情があつたときは、この限りでない。

(個別信用購入あつせん関係受領契約の申込み又はその承諾の意思表示の取消し)
第三十五条の三の十三  購入者又は役務の提供を受ける者は、個別信用購入あつせん関係販売業者又は個別信用購入あつせん関係役務提供事業者が訪問販売に係る個別信用購入あつせん関係販売契約若しくは個別信用購入あつせん関係役務提供契約に係る個別信用購入あつせん関係受領契約又は電話勧誘販売に係る個別信用購入あつせん関係販売契約若しくは個別信用購入あつせん関係役務提供契約に係る個別信用購入あつせん関係受領契約の締結について勧誘をするに際し、次に掲げる事項につき不実のことを告げる行為をしたことにより当該告げられた内容が事実であるとの誤認をし、又は第一号から第五号までに掲げる事項につき故意に事実を告げない行為をしたことにより当該事実が存在しないとの誤認をし、これらによつて当該契約の申込み又はその承諾の意思表示をしたときは、これを取り消すことができる。
2  購入者又は役務の提供を受ける者が前項の規定により個別信用購入あつせん関係販売契約又は個別信用購入あつせん関係役務提供契約に係る個別信用購入あつせん関係受領契約の申込み又はその承諾の意思表示を取り消し、かつ、当該個別信用購入あつせん関係販売契約又は当該個別信用購入あつせん関係役務提供契約が取消しその他の事由により初めから無効である場合には、当該個別信用購入あつせん業者は、当該購入者又は当該役務の提供を受ける者に対し、個別信用購入あつせん関係販売業者又は個別信用購入あつせん関係役務提供事業者に対して交付をした商品若しくは指定権利の代金又は役務の対価の全部又は一部に相当する金額の支払を請求することができない
3  前項の場合において、個別信用購入あつせん関係販売業者又は個別信用購入あつせん関係役務提供事業者は、個別信用購入あつせん業者に対し、当該交付を受けた商品若しくは指定権利の代金又は役務の対価の全部又は一部に相当する金額を返還しなければならない
4  第二項の場合において、購入者又は役務の提供を受ける者は、個別信用購入あつせん関係受領契約に関連して個別信用購入あつせん業者に対して金銭を支払つているときは、その返還を請求することができる

第三十五条の三の十三
割販法に基づき取消した場合
2.クレジット会社は購入者に対し支払い請求ができない。
3.販売業者はクレジット会社に対し返金しなければならない
4.購入者はクレジット会社に対して既払い金の返還を請求できる
というロジックになっています。


店舗販売、個別信用購入あっせん、販売業者の退去妨害(困惑、消費者契約法第4条3)
ということですね。買うまで帰してくれないという絵画商法を思い浮かべてしまいました。

まず、個別信用購入あっせん契約なので、抗弁権は主張できます。

消費者契約法第5条は契約に第3者が介在していた場合に第3者が悪さをすれば責任をとりなさいよという条文だと思います。
第3者である販売業者が消費者契約法第4条の困惑により契約が取り消しになったのだからクレジット契約も取り消しなさいと主張するイメージでしょうか。

消費者契約法・・・http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H12/H12HO061.html

(媒介の委託を受けた第三者及び代理人)
第五条  前条の規定は、事業者が第三者に対し、当該事業者と消費者との間における消費者契約の締結について媒介をすることの委託(以下この項において単に「委託」という。)をし、当該委託を受けた第三者(その第三者から委託(二以上の段階にわたる委託を含む。)を受けた者を含む。以下「受託者等」という。)が消費者に対して同条第一項から第三項までに規定する行為をした場合について準用する。この場合において、同条第二項ただし書中「当該事業者」とあるのは、「当該事業者又は次条第一項に規定する受託者等」と読み替えるものとする。
2  消費者契約の締結に係る消費者の代理人(復代理人(二以上の段階にわたり復代理人として選任された者を含む。)を含む。以下同じ。)、事業者の代理人及び受託者等の代理人は、前条第一項から第三項まで(前項において準用する場合を含む。次条及び第七条において同じ。)の規定の適用については、それぞれ消費者、事業者及び受託者等とみなす。

「割賦販売法上の与信審査時における調査義務」、すなわち、「クレジット会社はクレジットの申し込みがあれば申込者に対し、必ず申し込みの確認をします」が、この調査は法第三十五条の三の五にもあるとおり特商法5類型に限られるので、契約形態がこの特商法5類型に該当しない単なる店舗購入であれば、この調査自体が義務となっていません。この設問は「店舗販売の方法で」と書かれているので訪問販売などの特商法5類型に該当しないと考えます。したがって、誤認であろうが困惑したであろうが割賦販売法でのクレジット会社の調査義務違反は問われません。したがって、⑩は㋒が不正解です。
もっとも、特商法5類型に該当しなくても誤認や困惑があれば販売業者は消費者契約法上の違反を問われます(契約の取り消しになったとしても、精算に手間取る場合があります)。
なお、路上でキャッチされて絵画を購入してしまったり、アポイントメントセールスで購入したりした場合などの特商法5類型の場合は、困惑で契約したことが分かった場合はきちんと調査していなかったということで調査義務違反を問われ得るということです。

(個別信用購入あつせん関係販売契約等の勧誘に係る調査)
第三十五条の三の五  個別信用購入あつせん業者は、次の各号のいずれかに該当する契約(第三十五条の三の七において「特定契約」という。)であつて、個別信用購入あつせんに 係る販売の方法により商品若しくは指定権利を販売する契約(以下「個別信用購入あつせん関係販売契約」という。)又は個別信用購入あつせんに係る提供の方 法により役務を提供する契約(以下「個別信用購入あつせん関係役務提供契約」という。)に該当するものに係る個別信用購入あつせん関係受領契約を締結しよ うとする場合には、その契約の締結に先立つて、経済産業省令・内閣府令で定めるところにより、個別信用購入あつせん関係販売業者又は個別信用購入あつせん 関係役務提供事業者による同条各号のいずれかに該当する行為の有無に関する事項であつて経済産業省令・内閣府令で定める事項を調査しなければならない。
一  特定商取引に関する法律第二条第一項 に規定する訪問販売(以下「訪問販売」という。)に係る契約
二  特定商取引に関する法律第二条第三項 に規定する電話勧誘販売(以下「電話勧誘販売」という。)に係る契約
三  連鎖販売個人契約のうち特定商品販売等契約を除いたもの(以下「特定連鎖販売個人契約」という。)
四  特定商取引に関する法律第四十一条第一項第一号 に規定する特定継続的役務提供契約又は同項第二号 に規定する特定権利販売契約(以下「特定継続的役務提供等契約」という。)
五  業務提供誘引販売個人契約
2  個別信用購入あつせん業者は、経済産業省令・内閣府令で定めるところにより、前項の規定による調査に関する記録を作成し、これを保存しなければならない。(調査の協力)
第三十五条の三の六  個別信用購入あつせん関係販売業者及び個別信用購入あつせん関係役務提供事業者は、前条第一項の規定による調査に協力するよう努めなければならない。(個別信用購入あつせん関係受領契約の申込みの承諾等の禁止)
第三十五条の三の七  個別信用購入あつせん業者は、第三十五条の三の五第一項の規定による調査その他の方法により知つた事項からみて、個別信用購入あつせん関係販売業者又は 個別信用購入あつせん関係役務提供事業者が特定契約に係る個別信用購入あつせん関係販売契約又は個別信用購入あつせん関係役務提供契約の申込み又は締結の 勧誘をするに際し、次の各号のいずれかに該当する行為をしたと認めるときは、当該勧誘の相手方に対し当該個別信用購入あつせん関係販売契約若しくは当該個 別信用購入あつせん関係役務提供契約に係る個別信用購入あつせん関係受領契約の申込みをし、又は当該勧誘の相手方から受けた当該個別信用購入あつせん関係 販売契約若しくは当該個別信用購入あつせん関係役務提供契約に係る個別信用購入あつせん関係受領契約の申込みを承諾してはならない。ただし、当該勧誘の相 手方が当該個別信用購入あつせん関係販売契約又は当該個別信用購入あつせん関係役務提供契約の締結を必要とする特別の事情があることを確認した場合その他 当該勧誘の相手方の利益の保護に欠け、又は欠けることとなるおそれがないと認めるときは、この限りでない。
一  特定商取引に関する法律第六条第一項 から第三項 まで、第二十一条各項、第三十四条第一項から第三項まで、第四十四条各項又は第五十二条第一項若しくは第二項の規定に違反する行為
二  消費者契約法 (平成十二年法律第六十一号)第四条第一項 から第三項 までに規定する行為(同条第二項 に規定する行為にあつては、同項 ただし書の場合に該当するものを除く。)
解答一覧

⑨→×㋐、⑩→×㋒

割販法は難しいです。というより問題を読むのがきついです。時間が十分な中で冷静に考えると正解できますが、試験では時間がありません。その中でも答えやすい問題やパターンがありますので、取りこぼしのないようにして、6割以上の正解を目指しましょう。

23年度 問題16 携帯電話サービス (選択穴埋) その1

16.次の文章の[   ]の部分に入れるのに最も適切な語句を、下記の語群の中から選び、解答用紙の解答欄にその番号を記入(マーク)しなさい。なお、同一記号には同一語句が入る。

【語 群】

1.課徴金 2.業務改善命令 3.基本料金 4.時効援用 5.無効となる 6.消費者契約法 7.民事上 8.本人確認義務
9.クーリング・オフ 10.無効となるものではない 11.みなし解除 12.知識・経験 13.プロバイダ責任制限法
14.刑事罰 15.登録取消し 16.電子消費者契約法 17.電気通信事業法 18.性別 19.説明義務 20.用語

問題16 [ ア ]~[ カ ]

現在の携帯電話サービスの契約は、非常に細かく複雑になっており、消費者が契約内容の全てを正確に把握し理解したうえで契約をすることは、現実的には難しく、国際ローミングなどの高額料金や解約金などのトラブルの原因ともなっている。
しかし、まず、契約・広告で用いる[ ア ]は事業者ごとにまちまちであったが、業者間のガイドラインとして近時整備され、事業者間での統一が図られた。
次に、消費者による契約内容の把握については、以前から、[ イ ]および同法の消費者保護ルールに関するガイドラインで、携帯電話事業者(取次・代理の業者も含む。)に対して、料金その他の提供条件の概要について、契約をしようとする消費者への[ ウ ]を課している。
携帯電話・PHS加入契約数は1億2000万を超え(平成22年末)、利用者である消費者は未成年者から高齢者まで幅広く、その[ エ ]等も多種多様である。
上記の[ イ ]の消費者保護ルールに関するガイドラインでも、消費者のサービスに関する[ エ ]等を考慮して説明することなど、事業者の「望ましい対応のあり方」も定めている。
携帯電話事業者が[ ウ ]に違反した場合、[ イ ]により、監督官庁から[ オ ]や[ カ ]などの行政上の処分を受ける場合がある。
しかし、[ イ ]には[ ウ ]違反の場合でも、携帯電話サービスの契約を無効としたり、特定商取引法における[ キ ]や契約解除権を認めるような[ ク ]の効果が生じる規定はない。
すなわち、携帯電話事業者の[ ウ ]違反が認められる場合に、携帯電話サービスの契約は直ちに[ ケ ]。
個々の説明の態様や消費者側の事情などに応じ、携帯電話サービスの契約を[ コ ]に基づき取り消すことが可能か等を検討することになる。

【解説と解答】

携帯電話サービスという試験範囲は特に定められていないので、いわゆるトピックス的な問題として出されたかものと思われます。
毎年出題されるとは限りませんが、携帯電話関連は相談件数も多いので、頻出ではないかと思います。
24年度の試験では携帯電話関連でソシアルゲームが景表法とからめて出題される可能性も高いと思います。

さて、トピックス的な問題は比較的目新しい話題になっていますので、一般常識で答えれば、ほぼ問題はありません。

語群をグループ分けします
今回はすっぱり分類しにくいものばかりですね。
5.無効となる 10.無効となるものではない
1.課徴金 2.業務改善命令 14.刑事罰 15.登録取消し
8.本人確認義務 19.説明義務
6.消費者契約法 13.プロバイダ責任制限法 16.電子消費者契約法 17.電気通信事業法
4.時効援用 9.クーリング・オフ 11.みなし解除
3.基本料金 7.民事上 12.知識・経験 18.性別 20.用語

まず知っておかなければならない重要なことは、テレビや携帯電話やプロバイダなどの電気通信事業の管轄は総務省になるということです。
制度的なことや事業者に対しての苦情の窓口として総務省を紹介することが多いです。大まかな地域ごとに管轄局があります。

管轄する法律なども総務省のHPにまとめられています。
総務省HP
http://www.soumu.go.jp/
総務省トップ > 政策 > 情報通信(ICT政策) > 電気通信政策の推進 > 電気通信消費者情報コーナー > 関係法令・ガイドライン
http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/joho_tsusin/d_syohi/kankei_hourei-guideline.html

消費者保護
・電気通信事業法
・電気通信事業法施行規則
・電気通信事業法の消費者保護ルールに関するガイドラインPDF
迷惑メール対策
・特定電子メールの送信の適正化等に関する法律
・特定電子メールに送信等に関するガイドラインPDF
プロバイダ責任制限法
個人情報保護法

携帯電話の問題点は契約やサービスが非常に複雑です。
また、各社で契約内容やプランも違い、用語も違います。
最近は用語も事業者間で統一されるようになってきました。
ということで、推測でも考えれると思いますが、[ ア ]は「20.用語」が正解です。

そして、「[ イ ]および同法の消費者保護ルールに関するガイドライン」という書き方になっているので、[ イ ]は法律名が入ることになりますので、携帯電話を規制する法律として、[ イ ]は「17.電気通信事業法」が正解となります。
そしてガイドラインである「電気通信事業法の消費者保護ルールに関するガイドライン」についての設問となっていますが、知らなくても常識で答えれると思います。
[ ウ ]は「19.説明義務」が正解となり、[ エ ]は「12.知識・経験」が正解となります。特に説明は不要と思いますが、語群をしっかり読んでおいてください。

事業者がガイドラインに違反した場合は電気通信事業法による行政処分を受けることがあります。
行政処分といえば、一般論として考えて、まず「業務改善命令」が思い浮かびます。
もう1つが悩ましいです。通常、業務改善命令に違反すると罰金が下され、同法にも明記されています。ただし、罰金と課徴金は厳密には違う意味です。
すると、残るのは「15.登録取消し」となります。したがって、[ オ ][ カ ]は順不動で「2.業務改善命令」「15.登録取消し」が正解となります。
なお、「登録取消し」は、ざっくりとしたもので、同法に違反するのなら登録を取り消しますよというようなことが同法第14条に明記されています。
ここだけはすっきり答えは出てこないと思います。

このガイドラインに定められている事項は主に3つあります。
・法第18条第3項(事業の休廃止に係る周知関係)
・法第26条(提供条件の説明関係)
・法第27条(苦情等の処理関係)
まさしく、今回の設問にあることですね。
ガイドラインはこれらの条項の逐条解説となっています。

電気通信事業法の消費者保護ルールに関するガイドライン

http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/joho_tsusin/d_syohi/syohi/pdf/090708_1.pdf

第2章 提供条件の説明(法第26条)関係
1 本規定を設けることとした趣旨
消費者がサービス内容を十分に理解した上で契約を締結できるようにするためには、より多くの専門的技術的な知識が必要とされるが、消費者自身がそのような知識を広く身につけることは容易ではない。そこで、情報の非対称性を解消して、電気通信事業者と消費者との間で適正に契約が締結されるよう、電気通信サービスに関する情報を十分に有している電気通信事業者に対して、消費者が最低限理解すべき提供条件について、契約締結時に当該消費者に説明しなければならない旨の義務を課すこととするものである。

2 法第26条の規定の概要及び説明
(3)本規定に対する違反への対応について
電気通信事業者等が本規定に違反したときは当該電気通信事業者等に対し、利用者の利益を確保するために必要な限度において、総務大臣による業務改善命令が発動される(法第29条第2項)。また、電気通信事業者が本規定に違反した場合において、公共の利益を阻害すると認めるときは、登録の取消事由又は認定の取消事由となり得る(法第14条第1項第1号又は第126条第1項第3号)。

電気通信事業法・・・http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S59/S59HO086.html

(提供条件の説明)
第二十六条 電気通信事業者及び電気通信事業者の電気通信役務の提供に関する契約の締結の媒介、取次ぎ又は代理を業として行う者(以下「電気通信事業者等」という。)は、電気通信役務の提供を受けようとする者(電気通信事業者である者を除く。)と国民の日常生活に係るものとして総務省令で定める電気通信役務の提供に関する契約の締結又はその媒介、取次ぎ若しくは代理をしようとするときは、総務省令で定めるところにより、当該電気通信役務に関する料金その他の提供条件の概要について、その者に説明しなければならない。
(苦情等の処理)
第二十七条 電気通信事業者は、前条の総務省令で定める電気通信役務に係る当該電気通信事業者の業務の方法又は当該電気通信事業者が提供する同条の総務省令で定める電気通信役務についての利用者(電気通信役務の提供を受けようとする者を含み、電気通信事業者である者を除く。第二十九条第二項において同じ。)からの苦情及び問合せについては、適切かつ迅速にこれを処理しなければならない。
(業務の改善命令)
第二十九条 総務大臣は、次の各号のいずれかに該当すると認めるときは、電気通信事業者に対し、利用者の利益又は公共の利益を確保するために必要な限度において、業務の方法の改善その他の措置をとるべきことを命ずることができる。
一~十一 (略)
十二 前各号に掲げるもののほか、電気通信事業者の事業の運営が適正かつ合理的でないため、電気通信の健全な発達又は国民の利便の確保に支障が生ずるおそれがあるとき。
2 総務大臣は、電気通信事業者等が第二十六条の規定に違反したときは当該電気通信事業者等に対し、又は電気通信事業者が第二十七条の規定に違反したときは当該電気通信事業者に対し、利用者の利益を確保するために必要な限度において、業務の方法の改善その他の措置をとるべきことを命ずることができる。

(登録の取消し)
第十四条  総務大臣は、第九条の登録を受けた者が次の各号のいずれかに該当するときは、同条の登録を取り消すことができる。
一  当該第九条の登録を受けた者がこの法律又はこの法律に基づく命令若しくは処分に違反した場合において、公共の利益を阻害すると認めるとき

第百八十六条 次の各号のいずれかに該当する者は、二百万円以下の罰金に処する。
一・二 (略)
三 第十九条第二項、第二十条第三項、第二十一条第四項、第二十九条第一項若しくは第二項、第三十条第四項、第三十一条第三項、第三十三条第六項若しくは第八項、第三十四条第三項、第三十五条第一項若しくは第二項、第三十八条第一項(第三十九条において準用する場合を含む。)、第四十三条第一項(同条第二項において準用する場合を含む。)、第五十一条又は第百二十一条第二項の規定による命令又は処分に違反した者
四・五 (略)

解答一覧

ア→20、イ→17、ウ→19、エ→12、オ・カ→2・15

23年度 問題16 携帯電話サービス (選択穴埋) その2

16.次の文章の[   ]の部分に入れるのに最も適切な語句を、下記の語群の中から選び、解答用紙の解答欄にその番号を記入(マーク)しなさい。なお、同一記号には同一語句が入る。

【語 群】

1.課徴金 2.業務改善命令 3.基本料金 4.時効援用 5.無効となる 6.消費者契約法 7.民事上 8.本人確認義務
9.クーリング・オフ 10.無効となるものではない 11.みなし解除 12.知識・経験 13.プロバイダ責任制限法
14.刑事罰 15.登録取消し 16.電子消費者契約法 17.電気通信事業法 18.性別 19.説明義務 20.用語

問題16 [ キ ]~[ コ ]

現在の携帯電話サービスの契約は、非常に細かく複雑になっており、消費者が契約内容の全てを正確に把握し理解したうえで契約をすることは、現実的には難しく、国際ローミングなどの高額料金や解約金などのトラブルの原因ともなっている。
しかし、まず、契約・広告で用いる[ ア ]は事業者ごとにまちまちであったが、業者間のガイドラインとして近時整備され、事業者間での統一が図られた。
次に、消費者による契約内容の把握については、以前から、[ イ ]および同法の消費者保護ルールに関するガイドラインで、携帯電話事業者(取次・代理の業者も含む。)に対して、料金その他の提供条件の概要について、契約をしようとする消費者への[ ウ ]を課している。
携帯電話・PHS加入契約数は1億2000万を超え(平成22年末)、利用者である消費者は未成年者から高齢者まで幅広く、その[ エ ]等も多種多様である。
上記の[ イ ]の消費者保護ルールに関するガイドラインでも、消費者のサービスに関する[ エ ]等を考慮して説明することなど、事業者の「望ましい対応のあり方」も定めている。
携帯電話事業者が[ ウ ]に違反した場合、[ イ ]により、監督官庁から[ オ ]や[ カ ]などの行政上の処分を受ける場合がある。
しかし、[ イ ]には[ ウ ]違反の場合でも、携帯電話サービスの契約を無効としたり、特定商取引法における[ キ ]や契約解除権を認めるような[ ク ]の効果が生じる規定はない。
すなわち、携帯電話事業者の[ ウ ]違反が認められる場合に、携帯電話サービスの契約は直ちに[ ケ ]。
個々の説明の態様や消費者側の事情などに応じ、携帯電話サービスの契約を[ コ ]に基づき取り消すことが可能か等を検討することになる。

【解説と解答】
語群をグループ分けします
今回はすっぱり分類しにくいものばかりですね。
5.無効となる 10.無効となるものではない
1.課徴金 2.業務改善命令 14.刑事罰 15.登録取消し
8.本人確認義務 19.説明義務
6.消費者契約法 13.プロバイダ責任制限法 16.電子消費者契約法 17.電気通信事業法
4.時効援用 9.クーリング・オフ 11.みなし解除
3.基本料金 7.民事上 12.知識・経験 18.性別 20.用語

法律の違反行為と契約の有効性についての問いですが、特商法などの他の法律と一般的な考えということで共通しているところです。
法律の中に該当する違反行為により契約が無効になるとの規定があれば無効となります。
たとえば、特商法の不実告知や消契法の誤認などです。
しかし、訪問時にうそを言って勧誘するなどの不当勧誘については当該業者に罰則があるものの、契約の有効性とは関係していないものが多いです。
契約が有効かどうかは契約の内容に不実告知があるかなどの要件を満たしているかが争点となり、不当勧誘はあくまでもきっかけにすぎません。
もっと分かりやすいもので例えれば、食品衛生法違反の食品を購入し消費してしまった場合に、その売買契約が無効となり代金が返ってくるということはありません。
正式に言えば不法行為や債務不履行による損害賠償請求等が必要となります。

携帯電話の契約についても、特商法のクーリングオフのような法律で契約が無効になるようなことが規定されていたら無効になりますが、多くの法律では、単に罰則だけが規定されていることがほとんどです。
今回の設問では、説明義務違反は電気通信事業法で違反行為となり、事業者に罰則が科せられますが、契約が無効になるとはされていません。
一般常識的に考えても想像がつくと思います。
したがって、[ キ ]は「9.クーリング・オフ」が、[ ク ]は「7.民事上」が、[ ケ ]は「10.無効となるものではない」がそれぞれ正解となります。

契約を無効にしたければ、その契約に直接かかわる部分の法律で無効を主張することになり、一般的には不当勧誘をきっかけとした消費者契約法の誤認や困惑での無効を主張していくことになります。
したがって、[ コ ]は「6.消費者契約法」が正解となります。
後半の部分は他の法律にも共通する一般論で対応できます。

解答一覧

キ→9、、ク→7、ケ→10、コ→6

比較的簡単なので9割または全問正解をめざしましょう。

23年度 問題17 製造物責任法 (正誤で×を選択) その1

製造物責任法は特に大きな変化はありませんので前年度の解説を再掲します。
トピックス的なものとして、こんにゃくゼリーの裁判や小麦せっけんのアレルギー事件を押さえておいてください。
法律の条文自体も全部で5条と非常に短いものですので確実に読み込んでおいてください。
条文自体からの出題が少なくありません。

以下再掲

製造物責任法は消費者問題の歴史の中でも重要な法律です。
問題文中にもありますが、本来、民法では損害賠償を請求するためには①製造物の欠陥と②損害と②過失の存在、という3つの要件が必要でしたが、過失の存在は一般の消費者にとって証明するのは時間も費用も必要で難しいものでした。
製造物責任法はこの3つの要件から過失の存在を外し、①製造物の欠陥と②損害が証明されれば損害が賠償されるという、無過失責任を採用しています。
この法律は1995年(平成7年)7月に施行されました。
もちろん、損害賠償については製造物責任法を使っても、民法をつかっても、どちらでもかまいません。
ハンドブック消費者や国民生活センターのHPに製造物責任法の判例が掲載されています。
思ったより数は少ないです。裁判になる前に解決するからでしょうね。
現場では製造物責任法を使って斡旋することはほとんどありません。
日本ではメーカーが真摯に事故対応する場合が多いからだと思います。

試験問題は、製造物責任法についての一般論や解釈などが出題されています。
どれも、基本的な内容ですので、しっかり勉強しておいてください。
また、この法律の施行当時は論文試験の問題にもなっています。

製造物責任法
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H06/H06HO085.html

国民生活センターHPより
製造物責任法(PL法)による訴訟
http://www.kokusen.go.jp/pl_l/index.html

消費者庁・消費者の窓
製造物責任(PL)法
http://www.consumer.go.jp/kankeihourei/seizoubutsu/index.html

(資料1) 製造物責任法について
1 法の概要
(1)目的
製造物の欠陥により,人の生命,身体又は財産に被害が生じた場合における製造業者等の損害賠償の責任(製造物責任)を定める。
(2)製造物
製造又は加工された動産一般
(3)欠陥(欠陥責任)
製造物が通常有すべき安全性を欠いていること。欠陥判断は製造物の特性,使用形態,引き渡した時期等を総合的に考慮される。
(4)製造物責任
故意又は過失を責任要件とする不法行為(民法第709条)の特則として欠陥を責任要件とする損害賠償責任を規定
(5)責任主体(製造業者等の範囲)
製造業者,輸入業者,製造物にこれらのものとして表示を付した者等2 法の制定
平成6年6月第129回通常国会にて成立し,平成6年法律第85号として,同年7月1日に公布,翌7年7月1日に施行された。

23年度 問題17 製造物責任法 (正誤で×を選択) その2

17.次の文章のうち、正しいものには○、誤まっているものには×を、解答用紙の解答欄に記入 (マーク) しなさい。また、誤まっているものには、誤まっている箇所 (1ヵ所) の記号も記入 (マーク) しなさい。

① 製造物責任法は、製造物の欠陥により人の生命、身体または財産にかかる被害が生じた場合における製造業者等の損害賠償の責任を定めることにより、被害者の保護を図ることを目的とするものである。従って、㋐被害者として保護される対象は消費者に限られ、事業者は保護の対象とされていない。また、同法における㋑「製造物」には外国製のものも含まれ、㋒「製造業者」には輸入業者も含まれる
② 製造物責任法における「製造物」とは、㋐製造または加工された動産であり、不動産は含まれない。㋑ただし、医薬品・医療機器については特別法があるので、製造物責任法の対象とはならない。㋒冷蔵庫、自動車などの製品が、たとえ中古品であっても製造物責任法の対象となる
③ 製造物責任法において賠償責任が認められるためには、㋐欠陥の存在を要件とし、製造業者等に過失がなくても賠償責任が認められる。㋑ただし、被害者の過失を不問に付すというものではなく、被害者に過失がある場合は、過失相殺されることがある。さらに、㋒欠陥と発生した損害との間に因果関係が存在することが必要である
④ 製造物責任法における「欠陥」とは、㋐当該製造物が通常有すべき安全性を欠いていることをいうが、㋑行政法規等の基準を満たしていれば、通常有すべき安全性があると常に判断される。㋒当該製造物の特性、通常予見される使用形態、当該製造物を引き渡した時期等の事情が欠陥を判断するにあたって考慮される事情となる
⑤ 欠陥は、設計上の欠陥、製造上の欠陥、指示・警告上の欠陥に分類される。㋐設計上の欠陥は、設計自体に製品の安全性に問題がある場合であり、㋑製造上の欠陥は、設計には問題はないが、設計どおりの部品を使わなかったり、溶接等に問題があった場合である。㋒指示・警告上の欠陥は、使用者が当該製品を安全に使用するための取扱説明書、警告表示が不十分な場合であるが、製造業者等が十分な指示・警告表示をすれば、設計上ないし製造上の欠陥があっても賠償責任を免れることになる

【解説と解答】

この法律の目的は、第一条にもあるとおり、「製造物の欠陥により人の生命、身体又は財産に係る被害が生じた場合」に「被害者の保護を図る」とされており、被害者は消費者だけでなく、事業者が事業として使用していた場合も当然含まれます。例えば、宿泊施設で石油ファンヒーターの欠陥により一酸化炭素中毒で従業員が被害を受けた場合は当然対象となることからも想像がつくと思います。

製造物が外国製であっても通常輸入業者が存在しますので当然対象となるわけですが、海外で購入した場合やオークションで海外から購入した場合、個人輸入した場合などは、海外で製品が引き渡されたことになるわけで、そうすると一般的に引き渡された国の法律が適用されることになります(法の適用に関する通則法)。とはいえ、通常の生活では海外製品も国内で正規に販売されることがほとんどです。そして、輸入品の場合は定義にもあるとおり輸入業者も含まれます。
したがって、①は㋐が不正解となります。


「製造物」とは、製造又は加工された動産をいう。の定義どおり、不動産は含みません。また、特商法のように適用除外の規定もないので、当然医薬品も対象と なります。ただし、医薬品などは予防接種にもあるように一定の割合で被害が出てしまうこともあり特別法で細かい被害救済の規定がされているので、PL法で 争わず特別法で解決を図ることがスムーズなこともあります。
それでも、PL法により争うことは可能です。薬害エイズ訴訟が製造物責任法で争われたことは記憶に新しいかもしれません。
中古品については、中古品であっても定義を満たせば対象となります。ただし、製造物を引き渡したときの状態であるという条件が中古品が流通後に改造や修理 がされていないことが不明であり、また、流通後10年が対象となるので、これらの条件を満たすかどうかが中古品が法律の対象となるかどうかにかかわってき ます。
したがって、医薬品も対象となるということで、②は㋑が不正解となります。


製造物責任法の賠償責任は①欠陥の存在②損害の発生③欠陥と損害との因果関係、の3点を満たすことになります。
また、第6条にもあるとおり、損害賠償の過失割合などのこの法律で定められていないことは「民法」が適用されることになります。したがって、設問にある過失割合についても民法により過失相殺されることがあります。
ということで③はすべて正解です。


第2条の定義では「2  この法律において「欠陥」とは、当該製造物の特性、その通常予見される使用形態、その製造業者等が当該製造物を引き渡した時期その他の当該製造物に係る事情を考慮して、当該製造物が通常有すべき安全性を欠いていることをいう。」とあります。
「行政法規等の基準」を満たすことと通常有すべき安全性があることは別次元の話です。特に「常に」と書かれているところがツボになります。
行政法規はあくまでも最低限度の基準で、法に則った表示をしていればOKかというと表示自体の欠陥についても言及しなければならないですし、こんにゃくゼリーについては何ら食品衛生法などに違反するものではないことを考えると想像がつくと思います。
したがって、④は㋑が不正解です。

⑤欠陥の分類についての問題です。
PL法における「欠陥」とは「製造物が通常有すべき安全性を欠いていること」とあります。
一般的に欠陥には①設計上の欠陥②製造上の欠陥③表示・警告上の欠陥の3種類があると言われています。
当然どれか1つを満たせばいいというものではなく、1つだけ該当しても欠陥となります。
したがって、⑤は㋒が不正解です。

製造物責任法・・・http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H06/H06HO085.html

(目的)
第一条  この法律は、製造物の欠陥により人の生命、身体又は財産に係る被害が生じた場合における製造業者等の損害賠償の責任について定めることにより、被害者の保護を図り、もって国民生活の安定向上と国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする。

(定義)
第二条  この法律において「製造物」とは、製造又は加工された動産をいう
2  この法律において「欠陥」とは、当該製造物の特性、その通常予見される使用形態、その製造業者等が当該製造物を引き渡した時期その他の当該製造物に係る事情を考慮して、当該製造物が通常有すべき安全性を欠いていることをいう
3  この法律において「製造業者等」とは、次のいずれかに該当する者をいう。
一  当該製造物を業として製造、加工又は輸入した者(以下単に「製造業者」という。)
二  自ら当該製造物の製造業者として当該製造物にその氏名、商号、商標その他の表示(以下「氏名等の表示」という。)をした者又は当該製造物にその製造業者と誤認させるような氏名等の表示をした者
三  前号に掲げる者のほか、当該製造物の製造、加工、輸入又は販売に係る形態その他の事情からみて、当該製造物にその実質的な製造業者と認めることができる氏名等の表示をした者

(製造物責任)
第三条  製造業者等は、その製造、加工、輸入又は前条第三項第二号若しくは第三号の氏名等の表示をした製造物であって、その引き渡したものの欠陥により他人の生命、身体又は財産を侵害したときは、これによって生じた損害を賠償する責めに任ずる。ただし、その損害が当該製造物についてのみ生じたときは、この限りでない。

(免責事由)
第四条  前条の場合において、製造業者等は、次の各号に掲げる事項を証明したときは、同条に規定する賠償の責めに任じない。
一  当該製造物をその製造業者等が引き渡した時における科学又は技術に関する知見によっては、当該製造物にその欠陥があることを認識することができなかったこと。
二  当該製造物が他の製造物の部品又は原材料として使用された場合において、その欠陥が専ら当該他の製造物の製造業者が行った設計に関する指示に従ったことにより生じ、かつ、その欠陥が生じたことにつき過失がないこと。

(期間の制限)
第五条  第三条に規定する損害賠償の請求権は、被害者又はその法定代理人が損害及び賠償義務者を知った時から三年間行わないときは、時効によって消滅する。その製造業者等が当該製造物を引き渡した時から十年を経過したときも、同様とする。
2  前項後段の期間は、身体に蓄積した場合に人の健康を害することとなる物質による損害又は一定の潜伏期間が経過した後に症状が現れる損害については、その損害が生じた時から起算する。

(民法 の適用)
第六条  製造物の欠陥による製造業者等の損害賠償の責任については、この法律の規定によるほか、民法 (明治二十九年法律第八十九号)の規定による。

附 則 抄

(施行期日等)
1  この法律は、公布の日から起算して一年を経過した日から施行し、その法律の施行後にその製造業者等が引き渡した製造物について適用する。

解答一覧

①→×㋐、②→×㋑、③→○、④→×㋑、⑤→×㋒

23年度 問題17 製造物責任法 (正誤で×を選択) その3

17.次の文章のうち、正しいものには○、誤まっているものには×を、解答用紙の解答欄に記入 (マーク) しなさい。また、誤まっているものには、誤まっている箇所 (1ヵ所) の記号も記入 (マーク) しなさい。

⑥ 製造物責任法において「製造業者等」には、㋐当該製品を輸入して国内で販売した業者は含まれないが、現実に当該製造物を製造した業者であれば、㋑当該製造物に自社の会社名を表示しなくても製造業者に該当する。逆に、㋒当該製造物を実際には製造していない業者であっても、当該製造物に商号、商標等を表示した者や、当該製造物の製造業者と誤認させるような表示をした者も製造業者等に該当する
⑦ 製造物責任法では、当該製造物に欠陥があったとしても、その製造業者等が引き渡したときにおける科学または技術に関する知見によっては、欠陥があることを認識することができなかった場合には、当該製造業者等は賠償責任を免れる規定をおいている。㋐ここでの「科学または技術に関する知見」とは、世界最高水準の科学知識、技術知識等であって、当該製造物を流通に置いた時点で入手可能な総体を意味すると解釈されている。㋑欠陥があることを認識できなかったことの立証責任は当該製造業者等の側が負担する
⑧ 製造業者等は、引き渡した製造物の欠陥により人の生命、身体または財産を侵害したときは、製造物責任法上の損害賠償責任を負う。㋐その場合に賠償されるべき損害は、財産的損害に限られ、精神的損害である慰謝料を含まない。㋑損害が当該製造物についてのみ生じたときは、製造物責任法上の責任は発生せず、債務不履行責任など民法の適用が検討されることになる。㋒水温が十分に高くならない電気ポットなどのように、安全上の問題でなく、品質や性能上の瑕疵にとどまる場合も製造物責任法上の責任は発生しない
⑨ 製造物責任法に基づく損害賠償請求権は、被害者またはその法定代理人が損害および賠償義務者を知ったときから3年間行わないときは時効によって消滅する。また、10年を経過したときも除斥期間の経過で消滅する。10年の除斥期間の起算点は、原則として、㋐製造業者等が当該製造物を引き渡したときであるが、アスベストによる肺気腫の被害のように、㋑人の身体に長期間にわたって蓄積されていき、一定量以上になると発症する場合は、症状が現れ損害が発生したときであり、㋒一定の潜伏期間が経過したあと発症する潜伏損害の場合も、症状が現れ損害が発生したときから起算する

【解説と解答】

単なる販売業者は製造業者とはなりませんが、輸入品については輸入した者が製造業者になると明記されています。販売業者が直接輸入していた場合は製造業者ということになります。輸入品を輸入業者から仕入れて販売するだけでは単なる販売業者ということになります。

製造者として製品に名前が出てなくても、製造した業者も当然製造業者になります。
また、実際に製造していなくても、自社の名前を表示した場合は製造業者となります。
これらは、いわゆるOEMのことで、国内でも多くの製品で他者に製造依頼して自社のブランド名を表示しています。
どちらも製造者ということになりますね。裁判のときにどちらが被告となるのかは、それぞれのメーカーがどのような関係になっているのかで違ってくると思います。
ということで、⑥は㋐が不正解です。

3  この法律において「製造業者等」とは、次のいずれかに該当する者をいう。
一  当該製造物を業として製造、加工又は輸入した者(以下単に「製造業者」という。)
二  自ら当該製造物の製造業者として当該製造物にその氏名、商号、商標その他の表示(以下「氏名等の表示」という。)をした者又は当該製造物にその製造業者と誤認させるような氏名等の表示をした者
三  前号に掲げる者のほか、当該製造物の製造、加工、輸入又は販売に係る形態その他の事情からみて、当該製造物にその実質的な製造業者と認めることができる氏名等の表示をした者


免責についての設問です。
免責には2つ規定されており、そのうちの1つですが、「世界最高水準の科学知識等」と解釈されており、実質的には適用は困難です。
なお、裁判ではときどき、「当時の科学的知見では」という文言が出てくる判例もありります。
ということで、⑦はすべて正解です。

(免責事由)
第四条  前条の場合において、製造業者等は、次の各号に掲げる事項を証明したときは、同条に規定する賠償の責めに任じない。
一  当該製造物をその製造業者等が引き渡した時における科学又は技術に関する知見によっては、当該製造物にその欠陥があることを認識することができなかったこと。


③でも解説したとおり、民法も適用することになるので、当然不法行為による慰謝料は請求することができます。

製造物責任法の賠償責任が認められる3つの条件(①欠陥の存在②損害の発生③欠陥と損害との因果関係)のうち、
第1条の「製造物の欠陥により人の生命、身体又は財産に係る被害が生じた場合」の被害というのは欠陥のあった製品以外の損害、いわゆる拡大損害のことを意味します。拡大損害はしっかり覚えておいてください。
拡大損害がないと2番目の損害の発生という条件が満たされなくなりますが、当然ながら民法等の他の法律の適用を考えたらいいことになります。
また、欠陥というのは「通常有すべき安全性」のことであり、いわゆる品質や性能といった「品質問題」は欠陥には該当しません。
ということで、⑧は㋐が不正解となります。

製造物責任法Q&A・・・http://www.consumer.go.jp/kankeihourei/seizoubutsu/pl-j.html問4 安全性に係わる欠陥による被害であれば,すべて,この法律による損害賠償の請求権が認められるのですか。
答え 欠陥による被害が,その製造物自体の損害にとどまった場合であれば,この法律の対象になりません。このような損害については,従来どおり,現行の民法に基づく瑕疵担保責任や債務不履行責任等による救済が考えられます。この法律による損害賠償の請求権が認められるのは,製造物の欠陥によって,人の生命,身体に被害をもたらした場合や,欠陥のある製造物以外の財産に損害が発生したとき(「拡大損害」が生じたとき)です。
問5 それでは,製品関連事故によって被害が生じた場合に,この法律に基づく損害賠償を受けるためにはどうすればいいのですか。
答え この法律に基づいて損害賠償を受けるためには,被害者が,1)製造物に欠陥が存在していたこと,2)損害が発生したこと,3)損害が製造物の欠陥により生じたことの3つの事実を明らかにすることが原則となります。なお,これらの認定に当たっては,個々の事案の内容,証拠の提出状況等によって,経験則,事実上の推定などを柔軟に活用することにより,事案に則した公平な被害者の立証負担の軽減が図られるものと考えられます。
損害賠償を求める場合の請求先としては,その製品の製造業者,輸入業者,製造物に氏名などを表示した事業者であり,単なる販売業者は原則として対象になりません。
なお,問2でも触れたように,本法による損害賠償責任請求が認められない場合であっても,現行の民法に基づく瑕疵担保責任,債務不履行責任,不法行為責任などの要件を満たせば,被害者はそれぞれの責任に基づく損害賠償を請求することができます


除斥期間の問題です。
時効については民法のところでも解説しましたが、おさらいします。
不法行為・・・損害および加害者を知ったときから3年または不法行為が行われた時から20年
製造物責任・・・損害および加害者を知ったときから3年または引き渡した時から10年

設問にある潜伏期間のある被害については、第5条に明記されています。
ということで、⑨はすべて正解です。

(期間の制限)
第五条  第三条に規定する損害賠償の請求権は、被害者又はその法定代理人が損害及び賠償義務者を知った時から三年間行わないときは、時効によって消滅する。その製造業者等が当該製造物を引き渡した時から十年を経過したときも、同様とする。
2  前項後段の期間は、身体に蓄積した場合に人の健康を害することとなる物質による損害又は一定の潜伏期間が経過した後に症状が現れる損害については、その損害が生じた時から起算する
製造物責任法・・・http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H06/H06HO085.html

(目的)
第一条  この法律は、製造物の欠陥により人の生命、身体又は財産に係る被害が生じた場合における製造業者等の損害賠償の責任について定めることにより、被害者の保護を図り、もって国民生活の安定向上と国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする。

(定義)
第二条  この法律において「製造物」とは、製造又は加工された動産をいう
2  この法律において「欠陥」とは、当該製造物の特性、その通常予見される使用形態、その製造業者等が当該製造物を引き渡した時期その他の当該製造物に係る事情を考慮して、当該製造物が通常有すべき安全性を欠いていることをいう
3  この法律において「製造業者等」とは、次のいずれかに該当する者をいう。
一  当該製造物を業として製造、加工又は輸入した者(以下単に「製造業者」という。)
二  自ら当該製造物の製造業者として当該製造物にその氏名、商号、商標その他の表示(以下「氏名等の表示」という。)をした者又は当該製造物にその製造業者と誤認させるような氏名等の表示をした者
三  前号に掲げる者のほか、当該製造物の製造、加工、輸入又は販売に係る形態その他の事情からみて、当該製造物にその実質的な製造業者と認めることができる氏名等の表示をした者

(製造物責任)
第三条  製造業者等は、その製造、加工、輸入又は前条第三項第二号若しくは第三号の氏名等の表示をした製造物であって、その引き渡したものの欠陥により他人の生命、身体又は財産を侵害したときは、これによって生じた損害を賠償する責めに任ずる。ただし、その損害が当該製造物についてのみ生じたときは、この限りでない。

(免責事由)
第四条  前条の場合において、製造業者等は、次の各号に掲げる事項を証明したときは、同条に規定する賠償の責めに任じない。
一  当該製造物をその製造業者等が引き渡した時における科学又は技術に関する知見によっては、当該製造物にその欠陥があることを認識することができなかったこと。
二  当該製造物が他の製造物の部品又は原材料として使用された場合において、その欠陥が専ら当該他の製造物の製造業者が行った設計に関する指示に従ったことにより生じ、かつ、その欠陥が生じたことにつき過失がないこと。

(期間の制限)
第五条  第三条に規定する損害賠償の請求権は、被害者又はその法定代理人が損害及び賠償義務者を知った時から三年間行わないときは、時効によって消滅する。その製造業者等が当該製造物を引き渡した時から十年を経過したときも、同様とする。
2  前項後段の期間は、身体に蓄積した場合に人の健康を害することとなる物質による損害又は一定の潜伏期間が経過した後に症状が現れる損害については、その損害が生じた時から起算する

(民法 の適用)
第六条  製造物の欠陥による製造業者等の損害賠償の責任については、この法律の規定によるほか、民法 (明治二十九年法律第八十九号)の規定による。

附 則 抄

(施行期日等)
1  この法律は、公布の日から起算して一年を経過した日から施行し、その法律の施行後にその製造業者等が引き渡した製造物について適用する。

解答一覧

⑦→×㋐、⑦→○、⑧→×㋐、⑨→○

23年度 問題18 消費生活用製品安全法・消費者安全法 (正誤で×を選択) その1

22年度は消費生活用製品安全法のみで10問の出題でしたが、23年度は消費生活用製品安全法5問と消費者安全法4問になり、事故についての問題にまとめられています。

消費生活用製品安全法は、事業者の法律であり、消費者センターが直接、この法律を事業者に適用することはありません。
ただし、消費者行政の歴史の中では、一酸化炭素中毒の事例やシュレッダーの事例など、重要な事件が発生しており、さらに、長期使用の扇風機などからの発火事故も問題となったことから、重要な法律改正がありました。
それらの背景と概要については、ずばり、試験問題となりますので必ず勉強しておいてください。
ポイントは3つあり、重大製品事故の報告制度と長期使用製品の制度とPSCマークの制度です。
これらについては、今回の試験問題となっています。逆に、これらの内容さえおさえておけば、消費生活用製品安全法はほぼOKとなります。

一方、消費者センターの現場では、製品事故の場合は消費者安全法による消費者庁への通知となります。
事業者にとっての国への報告は消費生活用製品安全法となります。
中小事業者はこの制度を知らない場合もあるので、消費者センターから、消費者庁やNITEへ相談するように説明します。
消費者安全法自体はややこしい法律ではありません。
ごくごく基本原則的な事項が定められています。

この2つの法律の重大事故の定義が異なっていますので要注意です。現場の相談員でも十分に理解していない場合があります。
消費生活用製品安全法の重大事故は「消費生活用製品」に限られます。
一方、消費者安全法の重大事故は、製品による事故だけでなく、美容などのサービスや、エスカレーターでの事故、など、商品やサービスに関係するものは、他の法律で規定があるもの(例えば医薬品)を除き対象となります。消費者庁の重大事故の通知の一覧表を見ていただくと雰囲気が分かると思います。こんなものまで通知しているのかと思います。商品以外の事故は消費者センターには全く関係していないものも多いです。

試験に出る範囲としては、法律の定義的なものが多く、条文に書かれているものがポイントとなります。
ただし、条文をすべて覚えるのは難しいですし、こんな細かいことまで、という場合もあるので、全体像をつかんで、あとは常識的な感覚で答えたらいいと思います。

消費者庁のHPでは2つの法律をまとめて「事故情報の一元化」でくくられています。
消費者庁HP
ホーム > 消費者安全課
事故情報の一元化
http://www.caa.go.jp/safety/index.html#m02

事故情報の一元化

消費者安全法
消費者庁では、消費者安全法に基づき、関係機関から事故情報を一元的に集約し、その分析・原因究明等を行い、被害の発生・拡大防止を図ります。また、いわゆる「すき間事案」への対応に取り組みます。
消費者安全法[PDF:186KB]
消費者安全法施行令[PDF:128KB]
消費者安全法施行規則[PDF:122KB]
消費者安全法の解釈に関する考え方[PDF:265KB]

消費生活用製品安全法(重大事故情報報告・公表制度)
消費生活用製品の製造事業者等は、重大な製品事故が発生したことを知ったときは10日以内に消費者庁に報告しなければなりません。消費者庁は、当該事故情報を迅速に公表するなどの措置を行います。

消費生活用製品安全法に基づく重大製品事故の報告義務[PDF:130KB]
事業者の方からの事故報告(ウェブサイト)
製品事故情報検討会
重大製品事故の公表までのフロー図[PDF:216KB]

過去の事故事例
いわゆる中国産冷凍ギョウザ問題
事故米穀の不正規流通問題

消費生活用製品安全法
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S48/S48HO031.html

経済産業省
消費生活用製品安全法のページ
http://www.meti.go.jp/policy/consumer/seian/shouan/index.htm
製品事故情報報告・公表制度の概要
http://www.meti.go.jp/product_safety/producer/lecture01.html

消費者安全法
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H21/H21HO050.html

23年度 問題18①~③ 消費生活用製品安全法・消費者安全法 (正誤で×を選択) その2

18.次の文章のうち、正しいものには○、誤まっているものには×を、解答用紙の解答欄に記入 (マーク) しなさい。また、誤まっているものには、誤まっている箇所 (1ヵ所) の記号も記入 (マーク) しなさい。

① 消費生活用製品安全法は、消費生活用製品による一般消費者の生命または身体に対する危害を防止するため、㋐特定製品の製造および販売を規制するとともに、㋑特定保守製品の適切な保守を促進し、㋒消費生活用製品の欠陥による被害を救済し、もって一般消費者の利益を保護することを目的としている。
② 消費生活用製品安全法における「特定製品」や「特別特定製品」は、政令で定めたものに限られ、㋐特定製品は主務大臣が定める技術基準に適合していなければならず、㋑特別特定製品は検査機関による検査を受け、主務大臣が定める技術基準に適合していることを示す証明書の交付を受けなければならないが、㋒いずれも技術基準に適合していればすべての事業者が製造、輸入することができる
③ 消費生活用製品安全法における「製品事故」とは、消費生活用製品の使用に伴い生じた事故のうち、㋐一般消費者の生命または身体に対する危害が発生した事故、および㋑消費生活用製品が滅失し、またはき損した事故であって、一般消費者の生命または身体に対する危害が発生するおそれのあるものであり、㋒消費生活用製品の欠陥によって生じたものでないことが明らかな事故以外のものをいう

【解説と解答】
①~⑤は消費生活用製品安全法の問題です。

①は、まさしく法律の目的という第1条です。
条文そのままなので正解のような気がしますが、注意して読むと、「欠陥による被害を救済」というのが誤りだと気づきます。ただし、試験の終盤に集中力を持って気づくかは分からないというのがこの試験の怖いところです。
ということで、①は㋒が不正解です。

②は「特定製品」「特定特別製品」についての問題です。
ややこしい用語が並んでいますが、この法律で扱う「特定製品」と「特定製品」の中でも特に厳しく規制しなければならない「特定特別製品」があると考えてください。
そして、基本となる「特定製品」は主務大臣が定める技術基準に適合しなければならず、「特定特別製品」はさらに定められた検査機関で検査した上で技術基準適合の証明書を受けなけれなりません。なお「特定製品」に表示されるマークがPSEマークとなります。
「特定製品」の販売は自由ですが、製造・輸入には届出が必要です。
したがって、②は㋒が不正解となります。

③消費生活用製品安全法の「製品事故」の定義です。
第2条に明記されているとおり、③はすべて正解です。

消費生活用製品安全法・・・http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S48/S48HO031.html

(目的)
第一条  この法律は、消費生活用製品による一般消費者の生命又は身体に対する危害の防止を図るため、特定製品の製造及び販売を規制するとともに特定保守製品の適切な保守を促進し、併せて製品事故に関する情報の収集及び提供等の措置を講じ、もつて一般消費者の利益を保護することを目的とする。

(定義)
第二条  この法律において「消費生活用製品」とは、主として一般消費者の生活の用に供される製品(別表に掲げるものを除く。)をいう。
2  この法律において「特定製品」とは、消費生活用製品のうち、構造、材質、使用状況等からみて一般消費者の生命又は身体に対して特に危害を及ぼすおそれが多いと認められる製品で政令で定めるものをいう。
3  この法律において「特別特定製品」とは、その製造又は輸入の事業を行う者のうちに、一般消費者の生命又は身体に対する危害の発生を防止するため必要な品質の確保が十分でない者がいると認められる特定製品で政令で定めるものをいう。
4  この法律において「特定保守製品」とは、消費生活用製品のうち、長期間の使用に伴い生ずる劣化(以下「経年劣化」という。)により安全上支障が生じ、一般消費者の生命又は身体に対して特に重大な危害を及ぼすおそれが多いと認められる製品であつて、使用状況等からみてその適切な保守を促進することが適当なものとして政令で定めるものをいう。
5  この法律において「製品事故」とは、消費生活用製品の使用に伴い生じた事故のうち、次のいずれかに該当するものであつて、消費生活用製品の欠陥によつて生じたものでないことが明らかな事故以外のもの(他の法律の規定によつて危害の発生及び拡大を防止することができると認められる事故として政令で定めるものを除く。)をいう。
一  一般消費者の生命又は身体に対する危害が発生した事故
二  消費生活用製品が滅失し、又はき損した事故であつて、一般消費者の生命又は身体に対する危害が発生するおそれのあるもの
6  この法律において「重大製品事故」とは、製品事故のうち、発生し、又は発生するおそれがある危害が重大であるものとして、当該危害の内容又は事故の態様に関し政令で定める要件に該当するものをいう。

(基準)
第三条  主務大臣は、特定製品について、主務省令で、一般消費者の生命又は身体に対する危害の発生を防止するため必要な技術上の基準を定めなければならない。この場合において、当該特定製品について、政令で定める他の法律の規定に基づき一般消費者の生命又は身体に対する危害の発生を防止するための規格又は基準を定めることができることとされているときは、当該規格又は基準に相当する部分以外の部分について技術上の基準を定めるものとする。

(販売の制限)
第四条  特定製品の製造、輸入又は販売の事業を行う者は、第十三条の規定により表示が付されているものでなければ、特定製品を販売し、又は販売の目的で陳列してはならない。

(事業の届出)
第六条  特定製品の製造又は輸入の事業を行う者は、主務省令で定める特定製品の区分(以下単に「特定製品の区分」という。)に従い、次の事項を主務大臣に届け出ることができる。
一  氏名又は名称及び住所並びに法人にあつては、その代表者の氏名
二  主務省令で定める特定製品の型式の区分
三  当該特定製品を製造する工場又は事業場の名称及び所在地(特定製品の輸入の事業を行う者にあつては、当該特定製品の製造事業者の氏名又は名称及び住所)
四  当該特定製品の欠陥により一般消費者の生命又は身体について損害が生じ、その被害者に対してその損害の賠償を行う場合に備えてとるべき

(基準適合義務等)
第十一条  届出事業者は、届出に係る型式の特定製品を製造し、又は輸入する場合においては、第三条第一項の規定により定められた技術上の基準(以下「技術基準」という。)に適合するようにしなければならない。ただし、次に掲げる場合に該当するときは、この限りでない。

(特別特定製品の適合性検査)
第十二条  届出事業者は、その製造又は輸入に係る前条第一項の特定製品(同項ただし書の規定の適用を受けて製造され、又は輸入されるものを除く。)が特別特定製品である場合には、当該特別特定製品を販売する時までに、次の各号のいずれかに掲げるものについて、主務大臣の登録を受けた者の次項の規定による検査(以下「適合性検査」という。)を受け、かつ、同項の証明書の交付を受け、これを保存しなければならない。ただし、当該特別特定製品と同一の型式に属する特別特定製品について既に第二号に係る同項の証明書の交付を受けこれを保存している場合において当該証明書の交付を受けた日から起算して特別特定製品ごとに政令で定める期間を経過していないとき又は同項の証明書と同等なものとして主務省令で定めるものを保存している場合は、この限りでない。

(表示)
第十三条  届出事業者は、その届出に係る型式の特定製品の技術基準に対する適合性について、第十一条第二項(特別特定製品の場合にあつては、同項及び前条第一項)の規定による義務を履行したときは、当該特定製品に主務省令で定める方式による表示を付することができる。

消費生活用製品安全法施行令・・・http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S49/S49SE048.html

(重大製品事故の要件)
第五条  法第二条第六項 の政令で定める要件は、次のいずれかとする。
一  一般消費者の生命又は身体に対し、次のいずれかの危害が発生したこと。
イ 死亡
ロ 負傷又は疾病であつて、これらの治療に要する期間が三十日以上であるもの又はこれらが治つたとき(その症状が固定したときを含む。)において内閣府令で定める身体の障害が存するもの
ハ 一酸化炭素による中毒
二  火災が発生したこと。

 

解答一覧

①→×㋒、②→×㋒、③→○

23年度 問題18④⑤ 消費生活用製品安全法・消費者安全法 (正誤で×を選択) その3

18.次の文章のうち、正しいものには○、誤まっているものには×を、解答用紙の解答欄に記入 (マーク) しなさい。また、誤まっているものには、誤まっている箇所 (1ヵ所) の記号も記入 (マーク) しなさい。

④ 消費生活用製品安全法における特定保守製品の製造または輸入の事業を行う者(以下、特定製造事業者等という。)は、㋐特定保守製品を販売するときは、特定製造事業者等に所有者情報を提供するための所有者票を添付し、㋑特定製造事業者等は、所有者から送付されてきた所有者票に基づいて所有者名簿を作成して所有者情報を保管・管理し、㋒特定保守製品の点検期間の始期の到来したときに、書面をもって点検を行うことが必要である旨の事項を通知しなければならない
⑤ 消費生活用製品の製造または輸入の事業を行う者は、その消費生活用製品について、㋐製品事故に関する情報を収集し、当該情報を一般消費者に対し適切に提供するよう努めなければならず、㋑製品事故が生じたことを知ったときは重大な製品事故について内閣総理大臣に対して報告しなければならず、㋒製品事故が発生した場合は、その原因を調査し、当該消費生活用製品の回収等危害の発生を防止するための措置をとるよう努めなければならない

【解説と解答】
④は「特定保守製品」に関する問題です。
「特定保守製品」は消費生活用製品安全法の重要な改正である「重大事故の報告制度」の後の2009年に改正できた、いわゆる扇風機などの長期使用製品の経年劣化事故を防止するために、点検制度等を設けようとしたものです。
しかも設問は細かい部分ですが、すべて条文に規定されています。
対象製品には所有者票を添付し、所有者が製造時業者に送付し、事業者が名簿を管理する。
そして、必要な点検が始まる時期が「到来したら」ではなく、「到来する前に」個別に通知することになっています。
したがって、④は㋒が不正解となります。
問題文を読むのがしんどいだけに、ちょっと難しいですね。

「長期使用製品安全点検制度」2009年4月1日施行
経済産業省HP
製品安全ガイド
トップページ > 事業者のみなさまへ > 消費生活用製品安全法改正について
長期使用製品安全点検・表示制度が創設されましたhttp://www.meti.go.jp/product_safety/producer/shouan/07kaisei.html

⑤は事業者の責務のダイジェスト版みたいです。すべて条文にあります。
ということで、⑤はすべて正解です。

消費生活用製品安全法・・・http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S48/S48HO031.html

(製品への表示等)
第三十二条の四
3  特定製造事業者等は、その製造又は輸入に係る特定保守製品を販売するときは、主務省令で定めるところにより、当該特定保守製品に、当該特定保守製品の所有者(所有者となるべき者を含む。以下この節において同じ。)がその氏名又は名称及び住所、当該特定保守製品の所在場所並びに当該特定保守製品を特定するに足りる事項(以下「所有者情報」という。)を当該特定製造事業者等に提供するための書面(以下「所有者票」という。)を添付しなければならない。

(所有者名簿等)
第三十二条の十一  特定製造事業者等は、第三十二条の八第一項の規定によりその製造又は輸入に係る特定保守製品に係る所有者情報を提供した者について名簿(以下「所有者名簿」という。)を作成し、これに所有者情報を記載し、又は記録しなければならない。
2  特定製造事業者等は、第三十二条の八第二項の規定によりその製造又は輸入に係る特定保守製品に係る所有者情報の変更について提供を受けたときは、速やかに、所有者名簿(その者が特定保守製品に係る事業の全部の譲受け又は相続、合併若しくは分割に伴つて取得した所有者情報に係る所有者名簿を含む。次項及び次条第三項において同じ。)における当該所有者情報の記載又は記録を変更しなければならない。
3  特定製造事業者等は、所有者名簿に所有者情報が記載され、又は記録された者(以下この項及び次条において「名簿記載者」という。)に係る特定保守製品の点検期間が経過するまでの間、当該名簿記載者に係る所有者情報を保管しなければならない。

(点検その他の保守に関する事項の通知)
第三十二条の十二  特定製造事業者等は、名簿記載者に対して、正当な理由がある場合を除き、当該名簿記載者に係る特定保守製品の点検期間の始期の到来前における主務省令で定める期間内に、書面をもつて、当該特定保守製品について、点検を行うことが必要である旨その他主務省令で定める事項(第四項において「点検通知事項」という。)の通知を発しなければならない

第一節 情報の収集及び提供の責務
(事業者の責務)
第三十四条  消費生活用製品の製造、輸入又は小売販売の事業を行う者は、その製造、輸入又は小売販売に係る消費生活用製品について生じた製品事故に関する情報を収集し、当該情報を一般消費者に対し適切に提供するよう努めなければならない

第二節 重大製品事故の報告等
(内閣総理大臣への報告等)
第三十五条  消費生活用製品の製造又は輸入の事業を行う者は、その製造又は輸入に係る消費生活用製品について重大製品事故が生じたことを知つたときは、当該消費生活用製品の名称及び型式、事故の内容並びに当該消費生活用製品を製造し、又は輸入した数量及び販売した数量を内閣総理大臣に報告しなければならない

第三節 危害の発生及び拡大を防止するための措置
(事業者の責務)
第三十八条  消費生活用製品の製造又は輸入の事業を行う者は、その製造又は輸入に係る消費生活用製品について製品事故が生じた場合には、当該製品事故が発生した原因に関する調査を行い、危害の発生及び拡大を防止するため必要があると認めるときは、当該消費生活用製品の回収その他の危害の発生及び拡大を防止するための措置をとるよう努めなければならない

 

解答一覧

④→×㋒、⑤→○

23年度 問題18⑥~⑨ 消費生活用製品安全法・消費者安全法 (正誤で×を選択) その4

18.次の文章のうち、正しいものには○、誤まっているものには×を、解答用紙の解答欄に記入 (マーク) しなさい。また、誤まっているものには、誤まっている箇所 (1ヵ所) の記号も記入 (マーク) しなさい。

⑥ 消費者安全法における「消費者事故等」は、㋐事業者がその事業として供給する商品等や役務の消費者による使用等に伴って生じた事故であって、消費者の生命または身体について、政令で定める要件、すなわち、㋑死亡、治療に要する期間が1日以上であるもの、一酸化炭素中毒等の被害が発生したもの(その事故に係る商品等または役務が消費安全性を欠くことにより生じたものでないことが明らかであるものを除く。)と、㋒消費安全性を欠く商品等または役務の消費者による使用等が行われた事態であって、上記の事故が発生するおそれがあるものとして政令で定める要件に該当するものをいう。
⑦ 消費者安全法における「重大事故等」は、㋐消費者事故等における事故のうち、その被害が重大であるものとして政令で定める要件、すなわち、㋑死亡、治療に要する期間が30日以上の負傷または疾病、内閣府令で定める後遺障害の発生、一酸化炭素中毒等の発生に該当するもの、または、㋒消費者事故等における事態のうち、上記事故を発生させるおそれがあるものとして政令で定める要件に該当するものをいう。
⑧ ㋐行政機関の長、都道府県知事、市町村長、国民生活センターの長は、重大事故等が発生した旨の情報を得たときは、㋑直ちに内閣総理大臣に通知しなければならず、㋒消費者事故等(重大事故等を除く。)が発生した旨の情報を得た場合であって、当該消費者事故等による被害が拡大し、または当該消費者事故等と同種もしくは類似の消費者事故等が発生するおそれがあると認めるときも、内閣総理大臣に対し通知するものとされている。
⑨ 内閣総理大臣は、㋐商品等または役務が消費安全性を欠くことにより重大事故等が発生した場合(重大消費者被害の発生または拡大の防止を図るために実施し得る他の法律の規定に基づく措置がある場合を除く。)において、㋑重大消費者被害の発生または拡大の防止を図るため必要があると認めるときは、当該商品等または役務を供給し、提供し、または利用に供する事業者に対し、㋒当該商品等または役務につき、必要な点検、修理、改造、安全な使用方法の表示、役務の提供の方法の改善その他の必要な措置をとるべきことを直ちに命じることができる

【解説と解答】
⑥~⑨は消費者安全法の「事故」に関する問題です。すべて条文から出題されています。

⑥は「消費者事故等」の定義に関する問題です。
条文のとおりですので、⑥はすべて正解です。

⑦は「重大事故等」の定義に関する問題です。
条文のとおりですので、⑦はすべて正解です。

⑧重大事故の通知に関する問題です。
重大事故が発生したときと重大事故の発生の情報を得たときに内閣総理大臣に直ちに通知するものです。
重大事故は30日以上の治療期間を要することとありますが、その確定を待たずに、とにかく、重大事故になりそうなものは通知します。
その後、30日に達しない事故であることが分かった場合は、取り消したらいいことになります。
様子を見て30日を確認してから通知した場合、消費者庁から怒られることになりますので、とにかく直ちに通知だけはしておくことが重要です(現場の話です)。
したがって、⑧ははすべて正解です。

⑨は重大事故の拡大発生措置に関する問題です。
○が続いたので怪しく感じながら、結局は引っ掛け問題です。
条文にもあるとおり、いきなり命令が下るわけではなく、まず、勧告する。勧告したにもかかわらず必要な措置をとらなければ命令する、という通常の行政指導と同じような方法ですね。
したがって、⑨は㋒が不正解です。

消費者安全法・・・http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H21/H21HO050.html

(定義)
第二条  この法律において「消費者」とは、個人(商業、工業、金融業その他の事業を行う場合におけるものを除く。)をいう。
2  この法律において「事業者」とは、商業、工業、金融業その他の事業を行う者(個人にあっては、当該事業を行う場合におけるものに限る。)をいう。
3  この法律において「消費者安全の確保」とは、消費者の消費生活における被害を防止し、その安全を確保することをいう。
4  この法律において「消費安全性」とは、商品等(事業者がその事業として供給する商品若しくは製品又は事業者がその事業のために提供し、利用に供し、若しくは事業者がその事業として若しくはその事業のために提供する役務に使用する物品、施設若しくは工作物をいう。以下同じ。)又は役務(事業者がその事業として又はその事業のために提供するものに限る。以下同じ。)の特性、それらの通常予見される使用(飲食を含む。)又は利用(以下「使用等」という。)の形態その他の商品等又は役務に係る事情を考慮して、それらの消費者による使用等が行われる時においてそれらの通常有すべき安全性をいう。
5  この法律において「消費者事故等」とは、次に掲げる事故又は事態をいう。
一  事業者がその事業として供給する商品若しくは製品、事業者がその事業のために提供し若しくは利用に供する物品、施設若しくは工作物又は事業者がその事業として若しくはその事業のために提供する役務の消費者による使用等に伴い生じた事故であって、消費者の生命又は身体について政令で定める程度の被害が発生したもの(その事故に係る商品等又は役務が消費安全性を欠くことにより生じたものでないことが明らかであるものを除く。
二  消費安全性を欠く商品等又は役務の消費者による使用等が行われた事態であって、前号に掲げる事故が発生するおそれがあるものとして政令で定める要件に該当するもの
三  前二号に掲げるもののほか、虚偽の又は誇大な広告その他の消費者の利益を不当に害し、又は消費者の自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがある行為であって政令で定めるものが事業者により行われた事態
6  この法律において「重大事故等」とは、次に掲げる事故又は事態をいう。
一  前項第一号に掲げる事故のうち、その被害が重大であるものとして政令で定める要件に該当するもの
二  前項第二号に掲げる事態のうち、前号に掲げる事故を発生させるおそれがあるものとして政令で定める要件に該当するもの

(消費者事故等の発生に関する情報の通知)
第十二条  行政機関の長、都道府県知事、市町村長及び国民生活センターの長は、重大事故等が発生した旨の情報を得たときは、直ちに、内閣総理大臣に対し、内閣府令 で定めるところにより、その旨及び当該重大事故等の概要その他内閣府令で定める事項を通知しなければならない
2  行政機関の長、都道府県知事、市町村長及び国民生活センターの長は、消費者事故等(重大事故等を除く。)が発生した旨の情報を得た場合であって、当該消 費者事故等の態様、当該消費者事故等に係る商品等又は役務の特性その他当該消費者事故等に関する状況に照らし、当該消費者事故等による被害が拡大し、又は 当該消費者事故等と同種若しくは類似の消費者事故等が発生するおそれがあると認めるときは、内閣総理大臣に対し、内閣府令で定めるところにより、当該消費 者事故等が発生した旨及び当該消費者事故等の概要その他内閣府令で定める事項を通知するものとする。
3、4省略

(事業者に対する勧告及び命令)
第十七条  内閣総理大臣は、商品等又は役務が消費安全性を欠くことにより重大事故等が発生した場合(当該重大事故等による被害の拡大又は当該重大事故等とその原因 を同じくする重大事故等の発生(以下「重大消費者被害の発生又は拡大」という。)の防止を図るために実施し得る他の法律の規定に基づく措置がある場合を除 く。)において重大消費者被害の発生又は拡大の防止を図るため必要があると認めるときは、当該商品等(当該商品等が消費安全性を欠く原因となった部品、 製造方法その他の事項を共通にする商品等を含む。以下この項において同じ。)又は役務を供給し、提供し、又は利用に供する事業者に対し、当該商品等又は役 務につき、必要な点検、修理、改造、安全な使用方法の表示、役務の提供の方法の改善その他の必要な措置をとるべき旨を勧告することができる
2  内閣総理大臣は、前項の規定による勧告を受けた事業者が、正当な理由がなくてその勧告に係る措置をとらなかった場合において、重大消費者被害の発生又は 拡大の防止を図るため特に必要があると認めるときは、当該事業者に対し、その勧告に係る措置をとるべきことを命ずることができる
3  内閣総理大臣は、重大消費者被害の発生又は拡大の防止を図るために他の法律の規定に基づく措置が実施し得るに至ったことその他の事由により前項の命令の必要がなくなったと認めるときは、同項の規定による命令を変更し、又は取り消すものとする。
4  内閣総理大臣は、第二項の規定による命令をしようとするとき又は前項の規定による命令の変更若しくは取消しをしようとするときは、あらかじめ、消費者委員会の意見を聴かなければならない。
5  内閣総理大臣は、第二項の規定による命令をしたとき又は第三項の規定による命令の変更若しくは取消しをしたときは、その旨を公表しなければならない。

消費者安全法施行令・・・http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H21/H21SE220.html

(消費者の生命又は身体について被害が発生した事故が消費者事故等に該当することとなる被害の程度)
第一条  消費者安全法 (以下「法」という。)第二条第五項第一号 の政令で定める被害の程度は、次の各号のいずれかに該当する被害の程度とする。
一  死亡
二  負傷又は疾病であって、これらの治療に要する期間が一日以上であるもの(当該治療のため通常医療施設における治療の必要がないと認められる軽度のものを除く。)
三  一酸化炭素その他の内閣府令で定める物質による中毒

(消費安全性を欠く商品等又は役務の使用等が行われた事態が消費者事故等に該当することとなる要件)
第二条  法第二条第五項第二号 の政令で定める要件は、次の各号のいずれかに該当することとする。
一  当該商品等又は当該役務が、法律(これに基づく命令を含む。以下同じ。)の規定に基づき事業者が商品等又は役務をこれに適合するものとしなければならな いこととされている消費者の生命又は身体の安全の確保のための商品等又は役務に関する基準に適合していなかったこと。
二  前号に掲げるもののほか、当該商品等又は当該役務の使用等において、物品(飲食の用に供するものを除く。)、施設又は工作物に、破損、故障、汚染若しくは変質その他の劣化又は過熱、異常音その他の異常が生じていたこと。
三  第一号に掲げるもののほか、当該商品等又は当該役務の使用等において、物品(飲食の用に供するものに限る。以下この号において同じ。)が腐敗し、変敗 し、不潔となり若しくは病原体により汚染されており、又は物品に有毒な若しくは有害な物質が含まれ若しくは付着し、異物が混入され若しくは添加され、若し くは異臭、その容器若しくは包装の破損その他の異常が生じていたこと。
四  前三号に掲げるもののほか、当該商品等又は当該役務の使用等において、消費者に窒息その他その生命又は身体に対する著しい危険が生じたこと。

(消費者の生命又は身体について被害が発生した事故が重大事故等に該当することとなる要件)
第四条  法第二条第六項第一号 の政令で定める要件は、消費者の生命又は身体について次の各号のいずれかに該当する程度の被害が発生したこととする。
一  死亡
二  負傷又は疾病であって、これらの治療に要する期間が三十日以上であるもの又はこれらが治ったとき(その症状が固定したときを含む。)において内閣府令で定める程度の身体の障害が存するもの
三  一酸化炭素その他の内閣府令で定める物質による中毒

解答一覧

⑥→○、⑦→○、⑧→○、⑨→×㋒

簡単そうで難しい条文基本問題です。6割以上の正解を目指しましょう。

23年度 問題19①~④ 景品表示法 (正誤で×を選択) その1

19.次の文章のうち、正しいものには○、誤まっているものには×を、解答用紙の解答欄に記入 (マーク) しなさい。また、誤まっているものには、誤まっている箇所 (1ヵ所) の記号も記入 (マーク) しなさい。

① 独占禁止法や景品表示法の規制対象者である「事業者」は、市場で商品・サービスを提供する者を意味し、一般の製造販売業者だけでなく、㋐医療サービスを提供する病院や㋑司法サービスを提供する弁護士事務所も事業者に該当する。
②「不当な取引制限」は代表的な独占禁止法違反行為であり、㋐いわゆる入札談合もこれに該当し得る。独占禁止法は米国で「反トラスト法」と呼ばれているとおり、㋑「不当な取引制限」は一般に「トラスト」と称されている
③ 独占禁止法上問題となる「私的独占」とは、㋐1つの事業者が市場のすべてを独占する場合に限られる。また、㋑「不当な取引制限」とは複数の事業者が市場における競争を制限することである。「不公正な取引方法」には㋒事業者団体が市場での公正な競争を阻害する場合も含まれる
④ ㋐景品表示法は独占禁止法の特例法として制定され、不当表示等を「公正な競争を阻害」する点に着目して規制していた。景品表示法の2009年改正後は、㋑「一般消費者による選択の阻害」自体に着目して規制することとなった。

【解説と解答】

特に深く考えずに、事業を行うものは事業者に該当するということでいいと思います。
したがって、①はすべて正解です。

不当景品類及び不当表示防止法・・・http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S37/S37HO134.html

(目的)
第一条  この法律は、商品及び役務の取引に関連する不当な景品類及び表示による顧客の誘引を防止するため、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれのある行為の制限及び禁止について定めることにより、一般消費者の利益を保護することを目的とする。

(定義)
第二条  この法律で「事業者」とは、商業、工業、金融業その他の事業を行う者をいい、当該事業を行う者の利益のためにする行為を行う役員、従業員、代理人その他の者は、次項及び第十一条の規定の適用については、これを当該事業者とみなす
2  この法律で「事業者団体」とは、事業者としての共通の利益を増進することを主たる目的とする二以上の事業者の結合体又はその連合体をいい、次に掲げる形態のものを含む。ただし、二以上の事業者の結合体又はその連合体であつて、資本又は構成事業者(事業者団体の構成員である事業者をいう。第二十条において同じ。)の出資を有し、営利を目的として商業、工業、金融業その他の事業を営むことを主たる目的とし、かつ、現にその事業を営んでいるものを含まないものとする。


ご存知のとおり、素直に「トラスト」ではなく「カルテル」ですね。
ということで、②は㋑が不正解です。
(ウィキペディアより)トラスト(英語: trust)とは企業合同とも訳され、同一業種の複数の企業が株式の買収や持合い、受託をおこなったり、また、持ち株会社を設立し同種企業を傘下に持つなどにより事実上企業として一体化させる、企業経営の形態のひとつ。
→ある一定規模のトラストは市場独占することになり独占禁止法上の独占になる。アメリカでは独占を禁止するためのいくつかの法律が反トラスト法と呼ばれた。
トラストは独占の意味を持つようになった。

公正取引委員会HP
ホーム > 独占禁止法ホーム > 独占禁止法の規制内容
http://www.jftc.go.jp/dk/kisei.html#Futou

2. 不当な取引制限について

 不当な取引制限は,独占禁止法第3条で禁止されている行為です。不当な取引制限に該当する行為には,「カルテル」と「入札談合」があります。「カルテル」は,事業者又は業界団体の構成事業者が相互に連絡を取り合い,本来,各事業者が自主的に決めるべき商品の価格や販売・生産数量などを共同で取り決める行為です。「入札談合」は,国や地方公共団体などの公共工事や物品の公共調達に関する入札に際し,事前に,受注事業者や受注金額などを決めてしまう行為です。


私的独占は1事業者だけでなく複数の事業者も含みます。また、独占禁止法で事業者団体の行為規制もされています。
なお、景表法第2条の事業者の定義でも、事業者団体は事業者とみなすとなっています。
したがって、③は㋐が不正解です。

1. 私的独占について

 私的独占は,独占禁止法第3条前段で禁止されている行為です。私的独占には,「排除型私的独占」と「支配型私的独占」とがあります。前者は,事業者が単独又は他の事業者と共同して,不当な低価格販売などの手段を用いて,競争相手を市場から排除したり,新規参入者を妨害して市場を独占しようとする行為です。後者は,事業者が単独又は他の事業者と共同して,株式取得などにより,他の事業者の事業活動に制約を与えて,市場を支配しようとする行為です。

3. 事業者団体の規制について

独占禁止法が規制している行為の対象者は,市場において事業活動を行っている事業者だけでなく,2以上の事業者で構成される社団や財団,組合等の事業者団体も対象となります。事業者団体とは,「事業者としての共通の利益を増進することを主たる目的とする2以上の事業者の結合体又はその連合体」をいうとされています。独占禁止法第8条では,事業者団体の活動として,事業者団体による競争の実質的な制限,事業者の数の制限,会員事業者・組合員等の機能又は活動の不当な制限,事業者に不公正な取引方法をさせる行為等を禁止しています。

私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律・・・http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S22/S22HO054.html

第三章 事業者団体
第八条  事業者団体は、次の各号のいずれかに該当する行為をしてはならない。
一  一定の取引分野における競争を実質的に制限すること。
二  第六条に規定する国際的協定又は国際的契約をすること。
三  一定の事業分野における現在又は将来の事業者の数を制限すること。
四  構成事業者(事業者団体の構成員である事業者をいう。以下同じ。)の機能又は活動を不当に制限すること。
五  事業者に不公正な取引方法に該当する行為をさせるようにすること


2009年に景表法は大きく改正されました。その概要はパンフレット等でも説明されています。
ということで、④はすべて正解です。

消費者庁HP
ホーム > 表示対策課
http://www.caa.go.jp/representation/index.html

不当景品類及び不当表示防止法(景品表示法)
改正景品表示法の概要[PDF:81 KB]

改正景品表示法の概要・・・http://www.caa.go.jp/representation/pdf/090927premiums_3.pdf

景品表示法の目的

不当景品類及び表示による顧客の誘引を防止するため、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれのある行為の制限及び禁止について定めることにより、一般消費者の利益を保護

改正前は、不当表示等を「公正な競争を阻害」に着目して規制独禁法の特例法

一般消費者による選択の阻害自体に着目して規制
・改正後も規制の対象範囲は実質上変わらない。

解答一覧

①→○、②→×㋑、③→×㋐、④→○

23年度 問題19⑤⑥ 景品表示法 (正誤で×を選択) その2

19.次の文章のうち、正しいものには○、誤まっているものには×を、解答用紙の解答欄に記入 (マーク) しなさい。また、誤まっているものには、誤まっている箇所 (1ヵ所) の記号も記入 (マーク) しなさい。

⑤ 景品表示法は、不当表示と過大な景品提供を禁止している。景品表示法上の㋐「表示」には事業者向けの表示も含まれるが、㋑不当表示として規制できるのは一般消費者向けに行われたものである。一方、㋒過大な景品提供については、事業者向けのものも規制できる
⑥ 景品表示法上の不当表示である優良誤認(同法第4条第1項1号違反)としては、例えば、㋐中古自動車の走行距離を過少に表示する事例、㋑観光土産品などに見られるいわゆるアゲゾコに関する事例、㋒製品の省エネ効果を過大に表示する事例などがある。

【解説と解答】

景品表示法は大きく分けて、「不当な表示の禁止」と「過大な景品類の提供の禁止」の2つの規制から構成されています。
この問題は難問かもしれません。
特商法などでは消費者の定義がしっかりされていたりしましたが、景表法ははっきりされておらず悩み、解説本(景品表示法 第2版 商事法務)を図書館で借りました。
(参考)アマゾン・・・景品表示法

消費者庁HP
ホーム > 表示対策課 > 景品表示法 > 景品規制の概要
景品類の定義
http://www.caa.go.jp/representation/keihyo/keihin/keihingaiyo.html
不当景品類及び不当表示防止法第2条の規定により景品類及び表示を指定する件(告示)
景品類等の指定の告示の運用基準

景品類等の指定の告示の運用基準・・・http://www.caa.go.jp/representation/pdf/100121premiums_20.pdf

3 「自己の供給する商品又は役務の取引」について
(1)「自己の供給する商品又は役務の取引」には,自己が製造し,又は販売する商品についての,最終需要者に至るまでのすべての流通段階における取引が含まれる。

解説本(157-158ページ)によると、商品を小売業者が一般消費者に販売する際の取引は、当該小売業者はもちろんのこと、当該商品のメーカーにとっても、「自己の供給する商品又は役務の取引」に該当する。

「不当な表示の禁止」は第4条で、条文中に「一般消費者に対し」と書かれています。
「過大な景品類の提供の禁止」は第3条で「一般消費者による」と書かれています。

ということで、⑤はすべて正解です。
これでいいのかわかりませんが、もっと分かりやすい解説や根拠がありましたら教えてください。

また、下記のような解説もありました。
消費者庁HP
ホーム > 表示対策課 > よくある質問コーナー(景品表示法関係)
http://www.caa.go.jp/representation/keihyo/qa/keihinqa.html#Q6

Q6
当社は産業用の機械のメーカーです。取引先はすべて事業者であり,消費者向けの販売は行っておりません。
当社製品を購入してくれた取引先に対し,抽選か,もれなくかのいずれかの方法で物品を提供したいと考えていますが,この場合,提供する物品は景品表示法上の「景品類」に該当するのでしょうか。
A.
取引に付随してくじなどの方法により物品を提供する場合は,提供の相手方が事業者であっても一般消費者であっても,景品表示法上の懸賞として,景品規制の対象となります(→Q3参照)。
一方,懸賞によらず提供する場合は,一般消費者向けに提供するものは総付景品に該当し,景品規制の対象となります(→Q5参照)が,事業者向けのものは原則として景品規制は適用されません
ただし,医療用医薬品業,医療機器業及び衛生検査所業については,例外的に,医療機関等の事業者向けに提供する物品・サービスについて,景品規制の対象となります(詳細はQ54を参照してください。)。
不当景品類及び不当表示防止法・・・http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S37/S37HO134.html

(景品類の制限及び禁止)
第三条  内閣総理大臣は、不当な顧客の誘引を防止し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を確保するため必要があると認めるときは、景品類の価額の最高額若しくは総額、種類若しくは提供の方法その他景品類の提供に関する事項を制限し、又は景品類の提供を禁止することができる。

(不当な表示の禁止)
第四条  事業者は、自己の供給する商品又は役務の取引について、次の各号のいずれかに該当する表示をしてはならない。
一  商品又は役務の品質、規格その他の内容について、一般消費者に対し、実際のものよりも著しく優良であると示し、又は事実に相違して当該事業者と同種若しくは類似の商品若しくは役務を供給している他の事業者に係るものよりも著しく優良であると示す表示であつて、不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあると認められるもの
二  商品又は役務の価格その他の取引条件について、実際のもの又は当該事業者と同種若しくは類似の商品若しくは役務を供給している他の事業者に係るものよりも取引の相手方に著しく有利であると一般消費者に誤認される表示であつて、不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあると認められるもの
三  前二号に掲げるもののほか、商品又は役務の取引に関する事項について一般消費者に誤認されるおそれがある表示であつて、不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあると認めて内閣総理大臣が指定するもの
2  内閣総理大臣は、事業者がした表示が前項第一号に該当するか否かを判断するため必要があると認めるときは、当該表示をした事業者に対し、期間を定めて、当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めることができる。この場合において、当該事業者が当該資料を提出しないときは、第六条の規定の適用については、当該表示は同号に該当する表示とみなす。


優良誤認の問題です。優良誤認は「内容」に関する表示を規制するものです。
消費者庁HP
ホーム > 表示対策課 > 景品表示法 > 表示規制の概要 > 優良誤認とは
http://www.caa.go.jp/representation/keihyo/yuryo.html

優良誤認とは

景品表示法第4条第1項第1号は,事業者が,自己の供給する商品・サービスの取引において,その品質,規格その他の内容について,一般消費者に対し,
(1) 実際のものよりも著しく優良であると示すもの
(2) 事実に相違して競争関係にある事業者に係るものよりも著しく優良であると示すもの
であって,不当に顧客を誘引し,一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあると認められる表示を禁止しています(優良誤認表示の禁止)。
具体的には,商品・サービスの品質を,実際よりも優れていると偽って宣伝したり,競争業者が販売する商品・サービスよりも特に優れているわけではないのに,あたかも優れているかのように偽って宣伝する行為が優良誤認表示に該当します。
なお,故意に偽って表示する場合だけでなく,誤って表示してしまった場合であっても,優良誤認表示に該当する場合は,景品表示法により規制されることになりますので注意が必要です。

優良誤認表示の具体例

中古自動車の場合・・・販売する中古自動車の走行距離を3万kmと表示したが,実は10万km以上走行した中古自動車のメーターを巻き戻したものだった。
食肉の場合・・・国産有名ブランド牛の肉であるかのように表示して販売していたが,実はブランド牛ではない国産牛肉だった。
医療保険の場合・・・「入院1日目から入院給付金をお支払い」と表示したが,入院後に診断が確定した場合,その日からの給付金しか支払われないシステムだった。
アクセサリーの場合・・・天然ダイヤを使用したネックレスのように表示したが,使われているのはすべて人造ダイヤだった。

この問題を答えるツボがあります。表示に関する問題であるのに表示ではないことが事例に出ています。アとウは「表示する事例」と書かれているのに、イは「アゲゾコに関する事例」となっており、表示ではなく現象に関して書かれています。これは過大包装のことであり、表示には関係ないと考えれば、即答できます。
ということで、⑥は㋑が不正解です。

解答一覧

⑤→○、⑥→×㋑

23年度 問題19⑦ 景品表示法 (正誤で×を選択) その3

19.次の文章のうち、正しいものには○、誤まっているものには×を、解答用紙の解答欄に記入 (マーク) しなさい。また、誤まっているものには、誤まっている箇所 (1ヵ所) の記号も記入 (マーク) しなさい。

⑦ 具体的な根拠のない比較対照価格を用いた二重価格表示は㋐有利誤認(景品表示法第4条第1項2号違反)として問題となり得る。過去の自店販売価格は、最近相当期間販売実績があれば㋑比較対照価格として使用できるが、㋒将来の自店販売価格は比較対照価格として景品表示法上使用できない

【解説と解答】

有利誤認の問題です。有利誤認は「取引条件」に関する表示を規制するものです。
消費者庁HP
ホーム > 表示対策課 > 景品表示法 > 表示規制の概要 > 有利誤認とは
http://www.caa.go.jp/representation/keihyo/yuri.html

有利誤認とは

景品表示法第4条第1項第2号は,事業者が,自己の供給する商品・サービスの取引において,価格その他の取引条件について,一般消費者に対し,
(1) 実際のものよりも著しく取引の相手方に著しく有利であると一般消費者に誤認されるもの
(2) 競争事業者に係るものよりも取引の相手方に著しく有利である一般消費者に誤認されるもの
であって,不当に顧客を誘引し,一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあると認められる表示を禁止しています(有利誤認表示の禁止)。
具体的には,商品・サービスの取引条件について,実際よりも有利であると偽って宣伝したり,競争業者が販売する商品・サービスよりも特に安いわけでもないのに,あたかも著しく安いかのように偽って宣伝する行為が有利誤認表示に該当します。
なお,故意に偽って表示する場合だけでなく,誤って表示してしまった場合であっても,有利誤認表示に該当する場合は,景品表示法により規制されることになりますので注意が必要です。

ホーム > 表示対策課 > 景品表示法 > 表示規制の概要 > 有利誤認とは > 二重価格表示
http://www.caa.go.jp/representation/keihyo/nijukikaku.html

二重価格表示

価格表示は,消費者にとって商品・サービスの選択上最も重要な情報の一つです。したがって,価格表示が適正に行われない場合には,消費者の選択を誤らせることとなります。このような観点から,価格表示に関する違反行為の未然防止と適正化を図るため,どのような価格表示が一般消費者に誤認を与え,景品表示法に違反するおそれがあるかについて「不当な価格表示についての景品表示法上の考え方」(価格表示ガイドライン)[PDF]を公表し,考え方を明らかにしています。
価格表示ガイドラインにおいては,価格表示を行う場合の考え方や,どのような表示が不当表示に該当するおそれがあるかを列挙し,価格表示を行う際の注意点を示しております。
価格表示ガイドラインのポイント

1 二重価格表示についての基本的な考え方

(1)次のような場合は二重価格表示に該当するおそれがあります。

同一ではない商品の価格を比較対照価格に用いて表示を行う場合
比較対照価格に用いる価格について実際と異なる表示やあいまいな表示を行う場合

(2)過去の販売価格を比較対照価格とする二重価格表示について

同一の商品について「最近相当期間にわたって販売されていた価格」を比較対照価格とする場合には,不当表示に該当するおそれはありません。
同一の商品について「最近相当期間にわたって販売されていた価格」とはいえない価格を比較対照価格に用いる場合には,当該価格がいつの時点でどの程度の期間販売されていた価格であるかなどその内容を正確に表示しない限り,不当表示に該当するおそれがあります。
※ 「最近相当期間にわたって販売されていた価格」については,価格表示ガイドライン第4の2(1)ア(ウ)を御覧ください。

(3)将来の販売価格を比較対照価格とする二重価格表示
表示された将来の販売価格が十分な根拠のあるものでないとき(実際の販売することのない価格であったり,ごく短期間のみ当該価格で販売するにすぎないなど)には,不当表示に該当するおそれがあります。
(4)希望小売価格を比較対照価格とする二重価格表示について
製造業者等により設定されあらかじめカタログ等により公表されているとはいえない価格を希望小売価格として称して比較対照価格に用いる場合には,不当表示に該当するおそれがあります。
(5)競争事業者の販売価格を価格対照価格とする二重価格表示について
消費者が同一の商品について代替的に購入し得る事業者の最近時の販売価格とはいえない価格を比較対照価格に用いる場合には,不当表示に該当するおそれがあります。
市価を比較対照価格とする二重価格表示については,競争関係にある相当数の事業者の実際の販売価格を正確に調査することなく表示する場合には,不当表示に該当するおそれがあります。

2 その他の価格表示

上記以外に,将来の販売価格又は他の顧客向けの販売価格を比較対照価格とする二重価格表示,割引率又は割引額の表示,販売価格の安さを強調する表示などにおける不当な価格表示についての景品表示法上の考え方を明らかにしております。

不当な二重価格表示の具体例

家電量販店の場合・・・家電製品の店頭価格について,競合店の平均価格から値引すると表示しながら,その平均価格を実際よりも高い価格に設定し,そこから値引きを行っていた。
メガネ店の場合・・・フレーム+レンズ一式で「メーカー希望価格の半額」と表示したが,実際には,メーカー希望価格は設定されていなかった。

二重価格は対象価格と比較するものなので取引条件(有利誤認)に関する規制を受けます。
常識的に考えても分かるすべて正解のような気がしますが、少し引っ掛け的な問題になっていて、将来の自店販売価格は比較対象としてすべて使用できないというのではなく、十分な根拠がないときに禁止されます。根拠があればOKということですね。
想像してみると、発売時のセールは最初の1週間は割引になるが、その後は定価になると考えればOKだと分かります。発売時のセール価格がいつまでもセール価格で比較価格にならない場合はダメだということですね。
ということで、⑦は㋒が不正解です。

解答一覧

⑦→×㋒

23年度 問題19⑧ 景品表示法 (正誤で×を選択) その4

19.次の文章のうち、正しいものには○、誤まっているものには×を、解答用紙の解答欄に記入 (マーク) しなさい。また、誤まっているものには、誤まっている箇所 (1ヵ所) の記号も記入 (マーク) しなさい。

⑧ 「おとり広告」は景品表示法第4条第1項3号の規定により㋐内閣総理大臣が指定する不当表示である。おとり広告として問題となるのは、㋑実際には販売することができない商品に関する広告表示だけでなく、㋒実際の販売数量が極めて限定されているにもかかわらず、その限定が明示されていない広告表示も含まれる。

【解説と解答】

「おとり広告」に関する問題です。
「おとり広告」は景表法第4条で3つに分類されているもののうちの「優良誤認」「有利誤認」のほかに特別に定められているもので、試験にも頻出なので、何に関することかだけでもチェックしておいてください。特に最新の平成16年に告示された「有料老人ホームに関する不当な表示」は事例として出やすいです。
消費者庁HP
ホーム > 表示対策課 > 景品表示法 > 表示規制の概要
http://www.caa.go.jp/representation/keihyo/hyoji/hyojigaiyo.html

「無果汁の清涼飲料水等についての表示」昭和48年
「商品の原産国に関する不当な表示」昭和48年
「消費者信用の融資費用に関する不当な表示」昭和55年
「不動産のおとり広告に関する表示」昭和55年
「おとり広告に関する表示」平成5年
「有料老人ホームに関する不当な表示」平成16年

消費者庁HP
ホーム > 表示対策課 > 景品表示法 > おとり広告に関する表示
http://www.caa.go.jp/representation/keihyo/hyoji/kokujiotori.html

おとり広告に関する表示

 景品表示法第4条第1項第3号の規定に基づく告示である「おとり広告に関する表示」(平成5年公正取引委員会告示第17号)は,次のように,商品・サービスが実際には購入できないにもかかわらず,購入できるかのような表示を不当表示として規定しています。

(1) 取引の申出に係る商品・サービスについて,取引を行うための準備がなされていない場合のその商品・サービスについての表示
(2) 取引の申出に係る商品・サービスの供給量が著しく限定されているにもかかわらず,その限定の内容が明りょうに記載されていない場合のその商品・サービスについての表示
(3) 取引の申出に係る商品・サービスの供給期間,供給の相手方又は顧客一人当たりの供給量が限定されているにもかかわらず,その限定の内容が明りょうに記載されていない場合のその商品・サービスについての表示
(4) 取引の申出に係る商品・サービスについて,合理的理由がないのに取引の成立を妨げる行為が行われる場合その他実際には取引する意思がない場合のその商品・サービスについての表示

この問題は常識手金考えても大丈夫です。
ということで、⑧はすべて正解です。

解答一覧

⑧→○

23年度 問題19⑨⑩ 景品表示法 (正誤で×を選択) その5

19.次の文章のうち、正しいものには○、誤まっているものには×を、解答用紙の解答欄に記入 (マーク) しなさい。また、誤まっているものには、誤まっている箇所 (1ヵ所) の記号も記入 (マーク) しなさい。

⑨ 公正競争規約は、事業者または事業者団体が自主的に設定したルールであるが、㋐消費者庁長官および公正取引委員会が申請に基づき認定したものであるので、㋑規約に参加していない事業者にも適用される
⑩ 不当表示が行われた場合、景品表示法の規定に基づき、消費者庁長官だけでなく、㋐都道府県知事も不当表示を排除するための指示ができるほか、消費者契約法上の㋑適格消費者団体が不当表示の差止めを請求することもできる

【解説と解答】

一般論として規約は参加団体が自主的に決めたものなので、参加するもしないも自由ですね。
ただし、ある程度の規模もあり国も認めているので、クリーニング賠償基準のように一般論として適用することは現場でもよくあります。
というわけで、自由参加は条文にもかかれており、⑨は㋑が不正解です。

(協定又は規約)
第十一条  事業者又は事業者団体は、内閣府令で定めるところにより、景品類又は表示に関する事項について、内閣総理大臣及び公正取引委員会の認定を受けて、不当な顧客の誘引を防止し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択及び事業者間の公正な競争を確保するための協定又は規約を締結し、又は設定することができる。これを変更しようとするときも、同様とする。
2  内閣総理大臣及び公正取引委員会は、前項の協定又は規約が次の各号のいずれにも適合すると認める場合でなければ、同項の認定をしてはならない。
一  不当な顧客の誘引を防止し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択及び事業者間の公正な競争を確保するために適切なものであること。
二  一般消費者及び関連事業者の利益を不当に害するおそれがないこと。
三  不当に差別的でないこと。
四  当該協定若しくは規約に参加し、又は当該協定若しくは規約から脱退することを不当に制限しないこと。


消費者庁のHPでも公表されているとおり、都道府県知事が頻繁に景表法の行政処分をしていますね。
また、消費者契約法が2009年4月に改正されて、適格消費者団体の差し止め請求を特商法に加えて、景表法も対象となっています。
したがって、⑩はすべて正解です。

(措置命令)
第六条  内閣総理大臣は、第三条の規定による制限若しくは禁止又は第四条第一項の規定に違反する行為があるときは、当該事業者に対し、その行為の差止め若しくはその行為が再び行われることを防止するために必要な事項又はこれらの実施に関連する公示その他必要な事項を命ずることができる。その命令は、当該違反行為が既になくなつている場合においても、次に掲げる者に対し、することができる。
一  当該違反行為をした事業者
二  当該違反行為をした事業者が法人である場合において、当該法人が合併により消滅したときにおける合併後存続し、又は合併により設立された法人
三  当該違反行為をした事業者が法人である場合において、当該法人から分割により当該違反行為に係る事業の全部又は一部を承継した法人
四  当該違反行為をした事業者から当該違反行為に係る事業の全部又は一部を譲り受けた事業者

(都道府県知事の指示)
第七条  都道府県知事は、第三条の規定による制限若しくは禁止又は第四条第一項の規定に違反する行為があると認めるときは、当該事業者に対し、その行為の取りやめ若しくはその行為が再び行われることを防止するために必要な事項又はこれらの実施に関連する公示その他必要な事項を指示することができる。その指示は、当該違反行為が既になくなつている場合においても、することができる。

(適格消費者団体の差止請求権)
第十条  消費者契約法 (平成十二年法律第六十一号)第二条第四項 に規定する適格消費者団体は、事業者が、不特定かつ多数の一般消費者に対して次の各号に掲げる行為を現に行い又は行うおそれがあるときは、当該事業者に対し、当該行為の停止若しくは予防又は当該行為が当該各号に規定する表示をしたものである旨の周知その他の当該行為の停止若しくは予防に必要な措置をとることを請求することができる。

※最後に共通事項として、景表法中の「内閣総理大臣」は「権限委任」により「消費者庁長官」と読み替えられるので覚えておいてください。

(権限の委任)
第十二条  内閣総理大臣は、この法律による権限(政令で定めるものを除く。)を消費者庁長官に委任する。
2  消費者庁長官は、政令で定めるところにより、前項の規定により委任された権限の一部を公正取引委員会に委任することができる。
3  公正取引委員会は、前項の規定により委任された権限を行使したときは、速やかに、その結果について消費者庁長官に報告するものとする。
改正景品表示法の概要・・・http://www.caa.go.jp/representation/pdf/090927premiums_3.pdf

違反行為に対する措置
消費者庁長官(政令により委任)による措置
措置命令(景表法第6条)
• 不当表示を行っていたことの公示
• 再発防止措置
• 不作為命令
※ 命令違反については、2年以下の懲役又は300万円
以下の罰金(併科あり)。法人は3億円以下の罰金
都道府県知事による措置
指示(景表法第7条)
※ 指示違反の場合、知事は消費者庁長官に措置請求
可能

解答一覧

⑨→×㋑、⑩→○

23年度 問題20 個人情報保護法 (選択穴埋) その1

試験問題とは切っても切れる関係の個人情報保護法です。
国民生活センターでは、個人情報保護法に関する分厚いテキストを作成しており、逐条解説風に網羅されています。
一番分かりやすい参考書といわれていますが非売品です。
また、法律の解説講座などのテキストが分かりやすくまとめられていますので、参加したことがある方は参考にしてください。

個人情報保護法での覚えるべきポイントは決まっています。とはいえ、その範囲が広いので大変です。

まあ、常識的な推測で答えられる問題も多いですが、一通り勉強して頭の隅に残しておけば、思い出して回答できると思います。
意外に細かいところまで追求されたりするので難しく感じるかもしれませんね。

消費者庁のHPに個人情報の解説ページがあるので参考にしてください。
消費者庁
個人情報の保護 → 説明会の資料やQ&Aなど多くの情報が掲載されています
http://www.caa.go.jp/seikatsu/kojin/index.html

個人情報保護法とは?(パンフレット)
http://www.caa.go.jp/seikatsu/kojin/kaisetsu/panfu.html

個人情報保護法に関するよくある疑問と回答
http://www.caa.go.jp/seikatsu/kojin/gimon-kaitou.html

個人情報の保護に関する法律
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H15/H15HO057.html

※22年度の過去問の解説も参考にしてください。

23年度 問題20 個人情報保護法 (選択穴埋) その2

20.次の文章の[   ]の部分に入れるのに最も適切な語句を、下記の語群の中から選び、解答用紙の解答欄にその番号を記入(マーク)しなさい。なお、同一記号には同一語句が入る。

【語 群】

1.利用の停止 2.第三者の同意 3.暴力団追放 4.法令に基づく場合 5.目的外 6.因果関係 7.公衆衛生
8.廃棄 9.利用目的 10.手数料 11.本人の同意 12.概念 13.相当の関連性 14.裁判に基づく場合

問題20 [ ア ]~[ キ ]

個人情報取扱事業者(以下、事業者という。)による個人情報の利用に関する大原則は、あらかじめ[ ア ]を得なければ、[ イ ]の達成に必要な範囲を超えて、個人情報を取り扱ってはならないということである。そして、この[ イ ]は、できる限り特定しなければならない。
個人情報保護法は、誰がどのような個人情報を保有しているかということだけでなく、「何のために」保有しているかを明確にさせ、それによって、個人情報の利用の限界を画することとしている。そのため、[ イ ]の特定は、事業者の規制の最も基本的な事柄といえる。情報主体である本人は、[ ウ ]の利用が判明した場合には、当該本人が識別される保有個人データの[ エ ]を求めることができる。
しかし、同法は、[ ア ]を得ずに[ イ ]の達成に必要な範囲を超えて利用できる場合として、4つの例外を設けている。まず、[ オ ]である。次に、人の生命、身体または財産保護のために必要がある場合であって、[ ア ]を得ることが困難であるとき。そして、[ カ ]の向上または児童の健全な育成の推進のために特に必要がある場合であって、[ ア ]を得ることが困難であるとき。最後に、国の機関もしくは地方公共団体またはその委託を受けた者が法令の定める事務を遂行することに対して協力する必要がある場合であって、[ ア ]を得ることにより当該事務の遂行に支障を及ぼすおそれがあるときである。
しかしながら、事業活動の変化などによって、個人情報を保有する事業者においては、保有している個人情報をそれまでと異なった利用をする必要が生じることが考えられる。そこで、同法において、[ イ ]の変更の規定をおいているが、[ イ ]の変更には、変更前の[ イ ]と[ キ ]を有すると合理的に認められる範囲を超えてはならないという制限がある。これを超える変更は許されず、変更について[ ア ]を得るか、新たな[ イ ]を示して再び個人情報を取得しない限り、変更後の新たな[ イ ]で個人情報を利用することはできない。

【解説と解答】

今回の問題は穴埋7個で、非常に簡単です。特に法律に詳しくなくても一般知識で回答できますし、試験終盤の時間帯で突如簡単な問題になったのでケアレスミスさえしなければ全問正解できます。

問題文は説明文のように感じますが、ほとんど法律の条文から抜粋されているものです。

[ ア ]と[ イ ]は第16条にあるとおり、[ ア ]は 「11.本人の同意」[ イ ]は「9.利用目的」が正解となります。

[ ウ ]と[ エ ]は第27条にあるとおり、[ ウ ]は「5.目的外」[ エ ]は「1.利用の停止」が正解となります。
もし、「訂正」という選択肢があった場合にケアレスミスしないように気をつけてください。

[ オ ]と[ カ ]は同意を得ないで目的外で利用することができる例外として第16条第3項に4つ定められています。具体的な事例は個人情報の保護のHPの「個人情報保護法の早わかり」にまとめられていますので、それを読めば常識的にも考えることができると分かります。
ということで、[ オ ]は「4.法令に基づく場合」[ カ ]は「7.公衆衛生」が正解となります。

最後の[ キ ]は利用目的の変更ですが、全く異なる目的には利用できませんが、類似の目的には利用できることを第15条第2項に規定されています。
したがって、[ キ ]は「13.相当の関連性」が正解となります。
類似した選択肢に「6.因果関係」があり、試験終盤の時間が少ない中で直感的に選択してしまう可能性もありますが、集中してケアレスミスしないように注意してください。

個人情報の保護に関する法律・・・http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H15/H15HO057.html

第四章 個人情報取扱事業者の義務等
第一節 個人情報取扱事業者の義務

(利用目的の特定)
第十五条  個人情報取扱事業者は、個人情報を取り扱うに当たっては、その利用の目的(以下「利用目的」という。)をできる限り特定しなければならない
2  個人情報取扱事業者は、利用目的を変更する場合には、変更前の利用目的と相当の関連性を有すると合理的に認められる範囲を超えて行ってはならない

(利用目的による制限)
第十六条  個人情報取扱事業者は、あらかじめ本人の同意を得ないで、前条の規定により特定された利用目的の達成に必要な範囲を超えて、個人情報を取り扱ってはならない
2  個人情報取扱事業者は、合併その他の事由により他の個人情報取扱事業者から事業を承継することに伴って個人情報を取得した場合は、あらかじめ本人の同意を得ないで、承継前における当該個人情報の利用目的の達成に必要な範囲を超えて、当該個人情報を取り扱ってはならない。
3  前二項の規定は、次に掲げる場合については、適用しない
一  法令に基づく場合
二  人の生命、身体又は財産の保護のために必要がある場合であって、本人の同意を得ることが困難であるとき。
三  公衆衛生の向上又は児童の健全な育成の推進のために特に必要がある場合であって、本人の同意を得ることが困難であるとき。
四  国の機関若しくは地方公共団体又はその委託を受けた者が法令の定める事務を遂行することに対して協力する必要がある場合であって、本人の同意を得ることにより当該事務の遂行に支障を及ぼすおそれがあるとき。

(訂正等)
第二十六条  個人情報取扱事業者は、本人から、当該本人が識別される保有個人データの内容が事実でないという理由によって当該保有個人データの内容の訂正、追加又は削除(以下この条において「訂正等」という。)を求められた場合には、その内容の訂正等に関して他の法令の規定により特別の手続が定められている場合を除き、利用目的の達成に必要な範囲内において、遅滞なく必要な調査を行い、その結果に基づき、当該保有個人データの内容の訂正等を行わなければならない。
2  個人情報取扱事業者は、前項の規定に基づき求められた保有個人データの内容の全部若しくは一部について訂正等を行ったとき、又は訂正等を行わない旨の決定をしたときは、本人に対し、遅滞なく、その旨(訂正等を行ったときは、その内容を含む。)を通知しなければならない。

(利用停止等)
第二十七条  個人情報取扱事業者は、本人から、当該本人が識別される保有個人データが第十六条の規定に違反して取り扱われているという理由又は第十七条の規定に違反して取得されたものであるという理由によって、当該保有個人データの利用の停止又は消去(以下この条において「利用停止等」という。)を求められた場合であって、その求めに理由があることが判明したときは、違反を是正するために必要な限度で、遅滞なく、当該保有個人データの利用停止等を行わなければならない。ただし、当該保有個人データの利用停止等に多額の費用を要する場合その他の利用停止等を行うことが困難な場合であって、本人の権利利益を保護するため必要なこれに代わるべき措置をとるときは、この限りでない。
2  個人情報取扱事業者は、本人から、当該本人が識別される保有個人データが第二十三条第一項の規定に違反して第三者に提供されているという理由によって、当該保有個人データの第三者への提供の停止を求められた場合であって、その求めに理由があることが判明したときは、遅滞なく、当該保有個人データの第三者への提供を停止しなければならない。ただし、当該保有個人データの第三者への提供の停止に多額の費用を要する場合その他の第三者への提供を停止することが困難な場合であって、本人の権利利益を保護するため必要なこれに代わるべき措置をとるときは、この限りでない。
3  個人情報取扱事業者は、第一項の規定に基づき求められた保有個人データの全部若しくは一部について利用停止等を行ったとき若しくは利用停止等を行わない旨の決定をしたとき、又は前項の規定に基づき求められた保有個人データの全部若しくは一部について第三者への提供を停止したとき若しくは第三者への提供を停止しない旨の決定をしたときは、本人に対し、遅滞なく、その旨を通知しなければならない。

消費者庁HP
個人情報の保護
http://www.caa.go.jp/seikatsu/kojin/
旧国民生活政策 > 個人情報の保護 > 個人情報保護法の早わかり
http://www.caa.go.jp/seikatsu/kojin/about.html
■事業者の方へ
本人からの同意を得なくても個人情報を提供できる場合は、どのような場合ですか?
法令に基づく場合等は、例外として本人の同意を得なくても提供できます。
→〔本人からの同意を得なくても個人情報を提供できる場合(例)(PDF)へ〕
http://www.caa.go.jp/seikatsu/kojin/20060228reigai.pdf

解答一覧

ア→11、イ→9、ウ→5、エ→1、オ→4、カ→7、キ→13

23年度 問題21 金融商品(デリバディブ取引) (選択穴埋め)  その1

21.次の文章の[   ]の部分に入れるのに最も適切な語句を、下記の語群の中から選び、解答用紙の解答欄にその番号を記入(マーク)しなさい。なお、同一記号には同一語句が入る。

【語 群】

1.再勧誘 2.ネット取引 3.不招請の勧誘 4.金融商品販売法 5.適格性原則 6.証券取引法 7.金融商品取引法
8.錯誤 9.商品先物取引法 10.商品取引所法 11.説明義務 12.実情 13.不法行為 14.適合性原則
15.不実告知禁止 16.特定商取引法 17.断定的判断提供等禁止 18.通信販売 19.情報提供義務 20.希望

金融商品については毎年同じような内容の試験です。
特によく似た名前の法律名と何の法律か、それぞれ事業者に課されている義務などを整理しておくことが重要です。
推測からは答えにくいものもあり。暗記物かもしれませんが、基本的なところをおさえておくと予想もしやすいと思います。

語群を整理してみます
いじわる問題的な一字違いとかありますので気をつけてください
なお、簡単そうで実際にといてみると、思ったよりも時間がかかってしまう可能性があります。
昨年度も書きましたが、ここ数年で金融商品に関する法律が統廃合していますので、法律名と統廃合の歴史とそれぞれの法律の概要を知っておく必要がありますので、昨年度の解説も参考にしてください。

(法律)4.金融商品販売法 7.金融商品取引法
(法律)9.商品先物取引法 10.商品取引所法
(法律)6.証券取引法 16.特定商取引法
(勧誘)1.再勧誘 3.不招請の勧誘
(原則)5.適格性原則 14.適合性原則
(義務)11.説明義務 19.情報提供義務
(禁止)15.不実告知禁止 17.断定的判断提供等禁止
(取引形態)2.ネット取引 18.通信販売
(その他)8.錯誤 13.不法行為
(その他)12.実情 20.希望

23年度 問題21 金融商品(デリバディブ取引) (選択穴埋め)  その2

21.次の文章の[   ]の部分に入れるのに最も適切な語句を、下記の語群の中から選び、解答用紙の解答欄にその番号を記入(マーク)しなさい。なお、同一記号には同一語句が入る。

【語 群】

1.再勧誘 2.ネット取引 3.不招請の勧誘 4.金融商品販売法
5.適格性原則 6.証券取引法 7.金融商品取引法 8.錯誤
9.商品先物取引法 10.商品取引所法 11.説明義務 12.実情
13.不法行為 14.適合性原則 15.不実告知禁止 16.特定商取引法
17.断定的判断提供等禁止 18.通信販売 19.情報提供義務 20.希望

問題21[ ア ]~[ コ ]

投資取引のうち、有価証券取引や様々な投資契約、商品以外のデリバティブ取引は[ ア ]とそれを準用する法律で規制され、商品デリバティブ取引は[ イ ]で規制されている。
投資取引の規制の例としては、リスクの大きい商品デリバティブ取引や個人を相手とする店頭デリバティブ取引など、一定の取引は[ ウ ]が禁止されている。そのため、これらの取引では顧客が自発的に選択して注文する[ エ ]が主流となる。FX取引がその例である。
有価証券取引など勧誘が許される取引では、[ オ ]、[ カ ]、[ キ ]などの勧誘ルールが重要である。これを守らない業者は、[ ア ]や[ イ ]により監督上の処分を受けることがあり、同時に民法に規定する[ ク ]となって損害賠償義務を負うことがある。そのほか、[ カ ]、[ キ ]の違反では[ ケ ]により損害賠償義務を負うこともある。
[ オ ]とは顧客の意向と[ コ ]に合わない勧誘をしてはならないという原則である。意向とは契約をする目的、投資方針などと同様の意味であり意思の内容を指し、[ コ ]とは顧客の知識、経験、財産の状況などの客観的なものを指す。[ カ ]とは、情報を持つ業者が顧客に金融商品の重要事項(内容、リスクなど)を伝える義務である。単に、パンフレットを読み上げれば足りるものではなく、目の前の顧客に理解できるように伝えることが必要であり、顧客によってその方法が異なることになる。[ キ ]とは、不確実な事項について、断定的なことを伝えて勧誘してはならないし、確実であると誤解させるような言い回しで勧誘してもいけないということである。

【解説と解答】
語群を分類分け
(法律)4.金融商品販売法 7.金融商品取引法
(法律)9.商品先物取引法 10.商品取引所法
(法律)6.証券取引法 16.特定商取引法
(勧誘)1.再勧誘 3.不招請の勧誘
(原則)5.適格性原則 14.適合性原則
(義務)11.説明義務 19.情報提供義務
(禁止)15.不実告知禁止 17.断定的判断提供等禁止
(取引形態)2.ネット取引 18.通信販売
(その他)8.錯誤 13.不法行為
(その他)12.実情 20.希望

最初の段落の中ほどに「それを準用する法律で規制され」とあるので、アとイは法律名が入ることになります。
その中で「デリバティブ取引」についての2つの法律が示されており、アは商品以外のデリバティブ取引、イは商品のデリバティブ取引となっています。
そしてアは「有価証券取引」とあるので株が対象になると考えると、証券会社が出てくるので、「6.証券取引法」かなと思ってしまいますが、間違いではあり ませんが、実は名前が金融商品取引法に変わっています。変更前の名称を語群に入れるのは意地悪問題のような気がしますが、[ ア ]は「7.金融商品取引法」が正解です。
そして、[ イ ]も「10.商品取引所法」の名称が商品先物取引法に変更され、海外先物法もこお法律に組み入れられ一本化しています。したがって、[ イ ]は「9.商品先物取引法」が正解です。
以上をまとめると、先物取引に関する法律は、現在、「金融商品取引法」と「商品先物取引法」の2つに集約されているということですね。

次の段落は取引の規制についての問題です。ハイリスク商品については事業者の消費者個人への電話などの営業活動が禁止されるようになったことは、こ こ数年のFX取引ブームの問題点として新聞報道もされたところですね。市場が縮小されるとの憶測もありましたが、円相場の活況により、ますます活発になる と共に、ネット取引で手数料も安く、いつでもどこでも取引できることになったというニュースは肌で感じているでしょうか。
ということで、[ ウ ]は「3.不招請の勧誘」[ エ ]は「2.ネット取引」が正解です。

次に、勧誘ルールについての問題です。
[ オ ][ カ ][ キ ]は順不同ではなく、後にかかれている説明にあわせる必要があります。

[ オ ]に関する説明として、顧客の意向と[ コ ]に合わない勧誘はダメということで、[ コ ]は顧客の知識・経験・財力の状況と説明されています。
有名な言葉で「適合性原則」といいます。後段は顧客の知識や財力に合わない契約は顧客がいくら希望してもダメですよということです。
したがって、[ オ ]は「14.適合性原則」[ コ ]は「12.実情」が正解です。

次に[ カ ]についての説明がされていますが、重要事項を伝える義務となっており、素直に[ カ ]は「11.説明義務」が正解です。

3つの最後の[ キ ]は「不確実な事項について断定的に伝えて」とあり、答がそのまま書いているようなもので、[ キ ]は「17.断定的判断提供等禁止」が正解です。

中段に戻って、金融商品についての判例解説では、基本となる商品取引の違反と共に必ず民法の不法行為が出てきます。
民法、損害賠償とくると、「不法行為」は即答になると思います。民法で損害賠償できるのは不法行為と債務不履行であることは既出ですね。
したがって、[ ク ]は「13.不法行為」が正解です。
[ カ ][ キ ]の説明義務や断定的判断提供等禁止に違反すると「損害賠償」、という言葉が出てきましたが不法行為は既に選択したので悩みどころですが、基本のそれ自体を管轄する法律を選択すればよく、消費者向けの法律として定められている「金融商品販売法」により直接的に損害賠償義務を負うことになります。
したがって、[ ケ ]は「4.金融商品販売法」が正解です。

昨年度にまとめたものを再掲します

まず消費生活センター的に金融関係の法律で最も重要なものは2つあります。
金商法、金販法と略して呼ばれるものです。
それは、「金融商品取引法」と「金融商品販売法」です。
この2つの法律から知識を広げていけばいいと思います。
また、法律の性質を考えるときに、事業者向けの法律か(=業法)か消費者向けの法律かを明確に分けておくことです。

証券取引法→題名改正→金融商品取引法
金融先物取引法ほか4法といわれる4つの法律が金融商品取引法に統合

「商品取引所法」の名称が「商品先物取引法」に変更
海外先物法(=海先法=海外商品市場における先物取引の受託等に関する法律)が廃止され「商品先物取引法」に一本化
プロアマ規制、不招請勧誘の禁止

「商品先物取引法」http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S25/S25HO239.html
1月に「商品デリバティブ取引が新しくなります。(経済産業省リーフレット) 」という記事を書きました。
新しい法律として重要であり、今回の問題にも出題されています。
ちなみにその記事の一部を抜粋すると
金融商品の法律である、「金融商品取引法」と「金融商品販売法」の違いを押さえておく必要があります。
「金融商品取引法」は証券取引法の改正法で市場ルールなどについての膨大な量の法律です。
一方、「金融商品販売法」は説明義務違反等について規定している10条だけの法律です。

「金融商品販売法」の特徴として
説明義務、断定的判断提供等の禁止、損害賠償責任等が規定されています。

金融商品販売法(金融商品の販売等に関する法律)
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H12/H12HO101.html

解答一覧

ア→7、イ→9、ウ→3、エ→2、オ→14、カ→11、キ→17、ク→13、ケ→4、コ→12

簡単そうで難しいかもしれませんが、基本をおさえると同時に、解答があちこちとぶので間違いなく転記することも重要です。8割以上を目指したいですね。

23年度 問題22 貸金三法・債務整理 (正誤で×を選択) その1

最後の問題は貸金三法と債務整理です。
ご存知の通り、貸金業法の改正は社会に大きな変化をもたらし、払いすぎた金利が戻ってきますというキャッチフレーズのもと、サラ金大手が次々と倒産するなど、大きな話題になりました。
22年度の論文試験にも出題されました。
債務整理については22年度にも出題されていますので参考にしてください。

いわゆる貸金三法

①利息制限法・・・http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S29/S29HO100.html
・利息については以下の制限がなされています(利息制限法第1条)。
元本額が10万円未満 → 年20%まで
元本額が100万円未満 → 年18%まで
元本額が100万円以上 → 年15%まで
・制限利率を超える利率の利息や遅延損害金の制限を超える部分は無効
・支払った制限超過部分は,元本に充当し、元本充当によって計算上元本が完済となった後もそれを知らずに利息や遅延損害金を支払い続けていた場合には,その支払いすぎた分は過払い金として返還を請求できる

②貸金業法・・・http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S58/S58HO032.html
貸金業者の事業登録や業務について,その適正化を図るための規制を定める法律・・・事業者を規制するための業法

③出資法(出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律)・・・http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S29/S29HO195.html
金融業者は年20パーセントを超える利率で、非金融業者は年109.5パーセンを超える利率を禁止
違反した場合には罰則適用(利息制限法には罰則なし)

債務整理

債務整理の種類としては
①自己破産・・・破産宣告の後、免責決定が受けられれば債務を全額免除してもらえる。
②個人再生・・・債権額が5分の1(または100万円)に減額される。住宅ローンの特則が受けられる。
③任意整理・・・利息制限法による返済額の見直しがある。返済は続くが、大きく減額されることも。
④特定調停・・・内容は任意整理とほぼ同じ。私的ではなく、裁判所を通した方法である。

法律関係
破産法・・・http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H16/H16HO075.html
民事再生法・・・http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H11/H11HO225.html

(参考HP)債務整理・過払い金ネット相談室
http://www.shakkinseiri.jp/

23年度 問題22①~⑤ 貸金三法 (正誤で×を選択) その2

22.次の文章のうち、正しいものには○、誤まっているものには×を、解答用紙の解答欄に記入 (マーク) しなさい。また、誤まっているものには、誤まっている箇所 (1ヵ所) の記号も記入 (マーク) しなさい。

① 金銭の貸付けにつき、利息制限法の制限金利を超える利息の契約をした場合、㋐それだけで直ちに貸付けの契約自体が無効となるのではなく、制限超過部分の利息の契約が無効となる。判例によれば、弁済すべき元本が残存する場合、支払った制限超過利息は、㋑まず元本に充当され、計算上元本が完済となったのちに支払った金額は、過払金としてその返還を請求できる。高金利の契約によって貸付けの契約自体が無効になる場合については㋒貸金業法等に定めがある
② 利息制限法は、㋐保証料については一切制限を設けていない。同法は、金銭の貸付契約の債務不履行による賠償額の予定については制限を設けており、㋑制限超過部分の賠償額の予定の契約を無効としているが、その制限の元本に対する割合は㋒利息の制限利率と全く同じではない
③ 出資法の上限金利を超える利息を㋐契約しただけでは刑事処罰の対象とならないが、これを㋑要求する行為は刑事処罰の対象となり、㋒受け取る行為も刑事処罰の対象となる
④ 利息制限法の制限金利と出資法の上限金利は完全には一致していないところ、貸金業者が、利息制限法の制限金利を超え、出資法の上限金利以下の金利で貸付けをした場合、㋐行政処分の対象になるが、㋑刑事処罰の対象にはならない
⑤ 貸金業法における過剰融資規制としてのいわゆる総量規制では、貸金業者は、借り手が個人の場合、㋐顧客の総借入残高が年収の3分の1を超える貸付けをすることが原則として禁止されており、㋑その違反は刑事処罰の対象となるが、㋒借り手が法人の場合にはいわゆる総量規制はない

【解説と解答】
貸金三法の問題ですが、細かいところをつつかれているようで難問かもしれません。○ばかりに見えてしまいます。


過払い金請求のことですのでアとイは正解ということはすぐに分かりますが、ウは悩みます。ただし、契約自体が無効になり原本も返還しなくてもよい」という話を聞いたことがあると思います。すると、何らかの法律で定められているのではと気がつきますが、何の法律か知らなくても、「貸金業法等」と「等」がついているので、オールマイティで何でもありの正解だと予想できます。迷うとすれば、契約が無効になるのは法律によるものなのか判例によるものかというところですね。
実は、貸金業法第42条に(高金利を定めた金銭消費貸借契約の無効)が定められています。この場合、当然に違法な利息は払わなくてもいいことになりますが、元本については明確な定めがなかったところ、最高裁で元本の返還も不要との判例が2006年に出ています。
したがって、①はすべて正解です。

貸金業法・・・http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S58/S58HO032.html

第四章 雑則
(高金利を定めた金銭消費貸借契約の無効)
第四十二条  貸金業を営む者が業として行う金銭を目的とする消費貸借の契約(手形の割引、売渡担保その他これらに類する方法によつて金銭を交付する契約を含む。)において、年百九・五パーセント(二月二十九日を含む一年については年百九・八パーセントとし、一日当たりについては〇・三パーセントとする。)を超える割合による利息(債務の不履行について予定される賠償額を含む。)の契約をしたときは、当該消費貸借の契約は、無効とする
2  出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律第五条の四第一項 から第四項 までの規定は、前項の利息の契約について準用する。


利息制限法の保証料は勉強をしていないと分からないですね。ここまで勉強する必要があるのかと思いますが、推測作戦でいけそうです。
保証料も金利の一つと考えると制限があるはずとしたらアが不正解ですね。ちなみに、イの制限超過部分は無効というのはまず正解でしょうし、延滞部分の利息は制限内であれば高くなってもOKという一般論でウもまず正解でしょう。単純にアが正解かどうかというところにポイントがあり、二者択一でアは不正解に分がありそうです。
ということで、アは第8条に、イは第7条に、ウは賠償額は例えば元本100万以上では年15%までであるが、賠償額は2割まではOKとなるので同じではないことが分かると思います。
したがって、②は㋐が不正解です。

利息制限法・・・http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S29/S29HO100.html

(利息の制限)
第一条  金銭を目的とする消費貸借における利息の契約は、その利息が次の各号に掲げる場合に応じ当該各号に定める利率により計算した金額を超えるときは、その超過部分について、無効とする。
一  元本の額が十万円未満の場合 年二割
二  元本の額が十万円以上百万円未満の場合 年一割八分
三  元本の額が百万円以上の場合 年一割五分
(賠償額の予定の特則)
第七条  第四条第一項の規定にかかわらず、営業的金銭消費貸借上の債務の不履行による賠償額の予定は、その賠償額の元本に対する割合が年二割を超えるときは、その超過部分について、無効とする。
2  第四条第二項の規定は、前項の賠償額の予定について準用する。

保証料の制限等)
第八条  営業的金銭消費貸借上の債務を主たる債務とする保証(業として行うものに限る。以下同じ。)がされた場合における保証料(主たる債務者が支払うものに限る。以下同じ。)の契約は、その保証料が当該主たる債務の元本に係る法定上限額(第一条及び第五条の規定の例により計算した金額をいう。以下同じ。)から当該主たる債務について支払うべき利息の額を減じて得た金額を超えるときは、その超過部分について、無効とする。


出資法のわけ分からない問題ですね。
これも一般論から推測する作戦でいくと、実行してしまえば刑事処罰の対象となると考えれば、あとは契約するだけの場合に刑事処罰があるかどうかの二者択一です。予測が難しいので勘ですね。
出資法第5条にどれも刑事処罰が課せられることが定められています。
したがって、③は㋐が不正解です。

出資法(出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律)・・・http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S29/S29HO195.html

(高金利の処罰)
第五条  金銭の貸付けを行う者が、年百九・五パーセント(二月二十九日を含む一年については年百九・八パーセントとし、一日当たりについては〇・三パーセントとする。)を超える割合による利息(債務の不履行について予定される賠償額を含む。以下同じ。)の契約をしたときは、五年以下の懲役若しくは千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。当該割合を超える割合による利息を受領し、又はその支払を要求した者も、同様とする。
2  前項の規定にかかわらず、金銭の貸付けを行う者が業として金銭の貸付けを行う場合において、年二十パーセントを超える割合による利息の契約をしたときは、五年以下の懲役若しくは千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。その貸付けに関し、当該割合を超える割合による利息を受領し、又はその支払を要求した者も、同様とする。
3  前二項の規定にかかわらず、金銭の貸付けを行う者が業として金銭の貸付けを行う場合において、年百九・五パーセント(二月二十九日を含む一年については年百九・八パーセントとし、一日当たりについては〇・三パーセントとする。)を超える割合による利息の契約をしたときは、十年以下の懲役若しくは三千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。その貸付けに関し、当該割合を超える割合による利息を受領し、又はその支払を要求した者も、同様とする。


利息制限法違反は行政処分だけで刑事処罰がなく、出資法違反には刑事処罰がある、ということを押さえておいてください。
いわゆるグレーゾーン金利の一般的な話ですね。
したがって、④はすべて正解です。


改正貸金業法の総量規制の問題ですのでご存知の話だと思いますが、設問はひねりが入っています。
総量規制が年収の3分の1は知っていると思いますが、それを超えると刑事処罰にまではならないという直感はありますが、罰則を調べてみると、信用情報を使用した調査をせずに増額した場合は罰則があるということぐらいしか見つかりませんでした。
また、総量規制は個人顧客に対する規制なので法人は対象外であることは常識的でOKですね。
したがって、⑤は㋑が不正解となります。

貸金業法・・・http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S58/S58HO032.html

(過剰貸付け等の禁止)
第十三条の二  貸金業者は、貸付けの契約を締結しようとする場合において、前条第一項の規定による調査により、当該貸付けの契約が個人過剰貸付契約その他顧客等の返済能力を超える貸付けの契約と認められるときは、当該貸付けの契約を締結してはならない。
2  前項に規定する「個人過剰貸付契約」とは、個人顧客を相手方とする貸付けに係る契約(住宅資金貸付契約その他の内閣府令で定める契約(以下「住宅資金貸付契約等」という。)及び極度方式貸付けに係る契約を除く。)で、当該貸付けに係る契約を締結することにより、当該個人顧客に係る個人顧客合算額(住宅資金貸付契約等に係る貸付けの残高を除く。)が当該個人顧客に係る基準額(その年間の給与及びこれに類する定期的な収入の金額として内閣府令で定めるものを合算した額に三分の一を乗じて得た額をいう。次条第五項において同じ。)を超えることとなるもの(当該個人顧客の利益の保護に支障を生ずることがない契約として内閣府令で定めるものを除く。)をいう。

第四十八条  次の各号のいずれかに該当する者は、一年以下の懲役若しくは三百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
一の四  第十三条第二項(同条第五項において準用する場合を含む。)の場合において、指定信用情報機関が保有する信用情報を使用した調査をせずに、同条第二項に規定する貸付けの契約を個人である顧客等と締結し、又は同条第五項に規定する極度方式基本契約の極度額を増額した者

解答一覧

①→○、②→×㋐、③→×㋐、④→○、⑤→㋑

23年度 問題22⑥~⑧ 債務整理 (正誤で×を選択) その3

22.次の文章のうち、正しいものには○、誤まっているものには×を、解答用紙の解答欄に記入 (マーク) しなさい。また、誤まっているものには、誤まっている箇所 (1ヵ所) の記号も記入 (マーク) しなさい。

⑥ 破産手続において、破産者が換価処分等せずに保有できる財産を自由財産というが、これには、㋐99万円までの現金、差押禁止財産、破産者が破産手続開始決定後の原因で取得した財産等がある。㋑自由財産以外の財産は換価処分等を求められるが、㋒原則は自由財産でない財産でも、自由財産の範囲を拡張する決定を得て、これを保有することができる場合がある
⑦ 個人破産で免責許可の申立てがあった場合に、法律上の免責不許可事由がない限り、裁判所は㋐免責許可決定をしなければならない。これに対して、免責不許可事由がある場合には、裁判所は㋑免責不許可決定をしなければならない。法律上の免責不許可事由としては、㋒浪費やギャンブルなどによって著しく財産を減少させたり、過大な債務を負担した場合などがある
⑧ 個人破産では、免責許可決定を受けても免責されない債権があり、㋐租税等の請求権、㋑過失による不法行為で他人の財産に損害を与えた場合の損害賠償請求権はその例である。㋒個人再生手続においても、再生計画が認可されても減免の対象にならない債権がある

【解説と解答】
22年度に比べると格段にやさしくなっています。
22年度の解説もあわせて勉強しておいてください。


個人の破産者のすべての財産を換価すると破産者は生活できなくなるので、一定の財産については自由財産として、保持することができます。
自由財産以外の財産については破産財産とすると定められています。
自由財産については破産法第34条第3項に定められています。
第34条第1項第1号の金額は民事執行法第131条第3号に2か月分の生活費となっており、そこから計算した額が「99万円までの現金」となります。
ただし、99万円の現金を保有している破産者はあまりおらず、預金や保険・自動車などの違う形で保有していることがあります。それらを、裁判所の判断で99万円相当(裁判所によって異なる)まで自由財産とする制度があり、それが破産法第34条第4項で定められている「自由財産拡張制度」です。
ということで、⑥はすべて正解です

破産法・・・http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H16/H16HO075.html

(破産財団の範囲)
第三十四条  破産者が破産手続開始の時において有する一切の財産(日本国内にあるかどうかを問わない。)は、破産財団とする。
2  破産者が破産手続開始前に生じた原因に基づいて行うことがある将来の請求権は、破産財団に属する。
3  第一項の規定にかかわらず、次に掲げる財産は、破産財団に属しない。
一  民事執行法 (昭和五十四年法律第四号)第百三十一条第三号 に規定する額に二分の三を乗じた額の金銭
二  差し押さえることができない財産(民事執行法第百三十一条第三号 に規定する金銭を除く。)。ただし、同法第百三十二条第一項 (同法第百九十二条 において準用する場合を含む。)の規定により差押えが許されたもの及び破産手続開始後に差し押さえることができるようになったものは、この限りでない。
4  裁判所は、破産手続開始の決定があった時から当該決定が確定した日以後一月を経過する日までの間、破産者の申立てにより又は職権で、決定で、破産者の生活の状況、破産手続開始の時において破産者が有していた前項各号に掲げる財産の種類及び額、破産者が収入を得る見込みその他の事情を考慮して、破産財団に属しない財産の範囲を拡張することができる。
5  裁判所は、前項の決定をするに当たっては、破産管財人の意見を聴かなければならない。
6  第四項の申立てを却下する決定に対しては、破産者は、即時抗告をすることができる。
7  第四項の決定又は前項の即時抗告についての裁判があった場合には、その裁判書を破産者及び破産管財人に送達しなければならない。この場合においては、第十条第三項本文の規定は、適用しない。

民事執行法・・・http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S54/S54HO004.html

(差押禁止動産)
第百三十一条  次に掲げる動産は、差し押さえてはならない。
一  債務者等の生活に欠くことができない衣服、寝具、家具、台所用具、畳及び建具
二  債務者等の一月間の生活に必要な食料及び燃料
三  標準的な世帯の二月間の必要生計費を勘案して政令で定める額の金銭
(以下省略)


個人破産(自己破産)、特に多重債務者の場合は目的は免責にあります。
破産手続きは破産者の財産を債権者に配当する手続のことであり、破産しただけでは負債が免責されることはありません。
免責決定を受けて初めて、負債が免責されます。
ただし、誰でも免責決定を受けられるということはなく、免責不許可事由があれば、免責不許可となります。
ただし、免責不許可事由があっても、程度によって裁量的に免責されることが多数のようです。
したがって、⑦は㋑が不正解となります。
ちなみにギャンブルによるものは免責されないですが、遠因としての場合は免責されることがあります。

破産法・・・http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H16/H16HO075.html

(免責許可の決定の要件等)
第二百五十二条  裁判所は、破産者について、次の各号に掲げる事由のいずれにも該当しない場合には、免責許可の決定をする
一  債権者を害する目的で、破産財団に属し、又は属すべき財産の隠匿、損壊、債権者に不利益な処分その他の破産財団の価値を不当に減少させる行為をしたこと。
二  破産手続の開始を遅延させる目的で、著しく不利益な条件で債務を負担し、又は信用取引により商品を買い入れてこれを著しく不利益な条件で処分したこと。
三  特定の債権者に対する債務について、当該債権者に特別の利益を与える目的又は他の債権者を害する目的で、担保の供与又は債務の消滅に関する行為であって、債務者の義務に属せず、又はその方法若しくは時期が債務者の義務に属しないものをしたこと。
四  浪費又は賭博その他の射幸行為をしたことによって著しく財産を減少させ、又は過大な債務を負担したこと。
五  破産手続開始の申立てがあった日の一年前の日から破産手続開始の決定があった日までの間に、破産手続開始の原因となる事実があることを知りながら、当該事実がないと信じさせるため、詐術を用いて信用取引により財産を取得したこと。
六  業務及び財産の状況に関する帳簿、書類その他の物件を隠滅し、偽造し、又は変造したこと。
七  虚偽の債権者名簿(第二百四十八条第五項の規定により債権者名簿とみなされる債権者一覧表を含む。次条第一項第六号において同じ。)を提出したこと。
八  破産手続において裁判所が行う調査において、説明を拒み、又は虚偽の説明をしたこと。
九  不正の手段により、破産管財人、保全管理人、破産管財人代理又は保全管理人代理の職務を妨害したこと。
十  次のイからハまでに掲げる事由のいずれかがある場合において、それぞれイからハまでに定める日から七年以内に免責許可の申立てがあったこと。
イ 免責許可の決定が確定したこと 当該免責許可の決定の確定の日
ロ 民事再生法 (平成十一年法律第二百二十五号)第二百三十九条第一項 に規定する給与所得者等再生における再生計画が遂行されたこと 当該再生計画認可の決定の確定の日
ハ 民事再生法第二百三十五条第一項 (同法第二百四十四条 において準用する場合を含む。)に規定する免責の決定が確定したこと 当該免責の決定に係る再生計画認可の決定の確定の日
十一  第四十条第一項第一号、第四十一条又は第二百五十条第二項に規定する義務その他この法律に定める義務に違反したこと。
2  前項の規定にかかわらず、同項各号に掲げる事由のいずれかに該当する場合であっても、裁判所は、破産手続開始の決定に至った経緯その他一切の事情を考慮して免責を許可することが相当であると認めるときは、免責許可の決定をすることができる。
(以下省略)


個人破産でも、税金など免責されない債権があり、破産法253条に定められています。
不法行為による損害賠償請求権は、重大な過失や悪意によるものは免責されませんが、単純な過失は認められるということですね(少し納得かない設問の表現です)。
したがって、⑧は㋑が不正解となります。

(免責許可の決定の効力等)
第二百五十三条  免責許可の決定が確定したときは、破産者は、破産手続による配当を除き、破産債権について、その責任を免れる。ただし、次に掲げる請求権については、この限りでない。
一  租税等の請求権
二  破産者が悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償請求権
三  破産者が故意又は重大な過失により加えた人の生命又は身体を害する不法行為に基づく損害賠償請求権(前号に掲げる請求権を除く。)
四  次に掲げる義務に係る請求権
イ 民法第七百五十二条 の規定による夫婦間の協力及び扶助の義務
ロ 民法第七百六十条 の規定による婚姻から生ずる費用の分担の義務
ハ 民法第七百六十六条 (同法第七百四十九条 、第七百七十一条及び第七百八十八条において準用する場合を含む。)の規定による子の監護に関する義務
ニ 民法第八百七十七条 から第八百八十条 までの規定による扶養の義務
ホ イからニまでに掲げる義務に類する義務であって、契約に基づくもの
五  雇用関係に基づいて生じた使用人の請求権及び使用人の預り金の返還請求権
六  破産者が知りながら債権者名簿に記載しなかった請求権(当該破産者について破産手続開始の決定があったことを知っていた者の有する請求権を除く。)
七  罰金等の請求権
2  免責許可の決定は、破産債権者が破産者の保証人その他破産者と共に債務を負担する者に対して有する権利及び破産者以外の者が破産債権者のために供した担保に影響を及ぼさない。
3  免責許可の決定が確定した場合において、破産債権者表があるときは、裁判所書記官は、これに免責許可の決定が確定した旨を記載しなければならない。
民事再生法・・・http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H11/H11HO225.html

(再生計画による権利の変更の内容等)
第二百二十九条  小規模個人再生における再生計画による権利の変更の内容は、不利益を受ける再生債権者の同意がある場合又は少額の再生債権の弁済の時期若しくは第八十四条第二項に掲げる請求権について別段の定めをする場合を除き、再生債権者の間では平等でなければならない。
2  再生債権者の権利を変更する条項における債務の期限の猶予については、前項の規定により別段の定めをする場合を除き、次に定めるところによらなければならない。
一  弁済期が三月に一回以上到来する分割払の方法によること。
二  最終の弁済期を再生計画認可の決定の確定の日から三年後の日が属する月中の日(特別の事情がある場合には、再生計画認可の決定の確定の日から五年を超えない範囲内で、三年後の日が属する月の翌月の初日以降の日)とすること。
3  第一項の規定にかかわらず、再生債権のうち次に掲げる請求権については、当該再生債権者の同意がある場合を除き、債務の減免の定めその他権利に影響を及ぼす定めをすることができない
一  再生債務者が悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償請求権
二  再生債務者が故意又は重大な過失により加えた人の生命又は身体を害する不法行為に基づく損害賠償請求権(前号に掲げる請求権を除く。)
三  次に掲げる義務に係る請求権
イ 民法第七百五十二条 の規定による夫婦間の協力及び扶助の義務
ロ 民法第七百六十条 の規定による婚姻から生ずる費用の分担の義務
ハ 民法第七百六十六条 (同法第七百四十九条 、第七百七十一条及び第七百八十八条において準用する場合を含む。)の規定による子の監護に関する義務
ニ 民法第八百七十七条 から第八百八十条 までの規定による扶養の義務
ホ イからニまでに掲げる義務に類する義務であって、契約に基づくもの
4  住宅資金特別条項によって権利の変更を受ける者と他の再生債権者との間については第一項の規定を、住宅資金特別条項については第二項の規定を適用しない。

解答一覧

⑥→○、⑦→×㋑、⑧→×㋑

23年度 問題22⑨⑩ 債務整理 (正誤で×を選択) その4

22.次の文章のうち、正しいものには○、誤まっているものには×を、解答用紙の解答欄に記入 (マーク) しなさい。また、誤まっているものには、誤まっている箇所 (1ヵ所) の記号も記入 (マーク) しなさい。

⑨ 個人破産で破産手続開始決定を受けた場合には、一定の資格の制限があり、㋐生命保険募集員などはその例である。資格が制限される期間は、㋑破産手続開始決定がなされてから7年間である。㋒個人再生手続では個人破産のような資格の制限はない
⑩ 個人再生手続は、個人破産に比べて、㋐免責不許可事由がない、㋑住宅資金特別条項を利用して住宅を保持する制度があるなどの利点があるが、㋒再生計画認可決定には全ての債権者の同意を得る必要がある

【解説と解答】


個人(自己)破産者の欠格事項です。
22年度と同じような設問です。
自己破産したらつけなくなる職業があります。主に、士がつく資格職やお金を扱う職業です。それぞれの職業に関する法律で欠格事項が定められています。
資格が制限される期間は一定に決まっているのではなく、免責決定がされたら欠格期間は終了します。破産法では「復権」といいます。
ということで、⑨は㋑が不正解となります。
このHPに対象となる職業一覧表が掲載されていましたので興味がある方は参考にしてください。
http://1st.geocities.jp/mochybooo/shikaku.html

破産法・・・http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H16/H16HO075.html

第二節 復権
(復権)
第二百五十五条  破産者は、次に掲げる事由のいずれかに該当する場合には、復権する。次条第一項の復権の決定が確定したときも、同様とする。
一  免責許可の決定が確定したとき
二  第二百十八条第一項の規定による破産手続廃止の決定が確定したとき。
三  再生計画認可の決定が確定したとき。
四  破産者が、破産手続開始の決定後、第二百六十五条の罪について有罪の確定判決を受けることなく十年を経過したとき。
2  前項の規定による復権の効果は、人の資格に関する法令の定めるところによる。
3  免責取消しの決定又は再生計画取消しの決定が確定したときは、第一項第一号又は第三号の規定による復権は、将来に向かってその効力を失う。

(復権の決定)
第二百五十六条  破産者が弁済その他の方法により破産債権者に対する債務の全部についてその責任を免れたときは、破産裁判所は、破産者の申立てにより、復権の決定をしなければならない。
2  裁判所は、前項の申立てがあったときは、その旨を公告しなければならない。
3  破産債権者は、前項の規定による公告が効力を生じた日から起算して三月以内に、裁判所に対し、第一項の申立てについて意見を述べることができる。
4  裁判所は、第一項の申立てについての裁判をしたときは、その裁判書を破産者に、その主文を記載した書面を破産債権者に、それぞれ送達しなければならない。この場合において、裁判書の送達については、第十条第三項本文の規定は、適用しない。
5  第一項の申立てについての裁判に対しては、即時抗告をすることができる。
6  前項の即時抗告についての裁判があった場合には、その裁判書を当事者に送達しなければならない。この場合においては、第十条第三項本文の規定は、適用しない。


個人再生手続は負債を減額させて債務を弁済していく制度ですので、この手続がされれば免責不許可となることはありません。
大きな特徴として、住宅ローンを払いながら住宅を保持できる住宅資金と区別条項があります。
個人再生手続を受けるには、債権者の半数以上が再生計画に同意するなどの必要があります。
したがって、⑩は㋒が不正解となります。

民事再生法・・・http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H11/H11HO225.html

(目的)
第一条  この法律は、経済的に窮境にある債務者について、その債権者の多数の同意を得、かつ、裁判所の認可を受けた再生計画を定めること等により、当該債務者とその債権者との間の民事上の権利関係を適切に調整し、もって当該債務者の事業又は経済生活の再生を図ることを目的とする。

(住宅資金特別条項を定めることができる場合等)
第百九十八条  住宅資金貸付債権(民法第五百条 の規定により住宅資金貸付債権を有する者に代位した再生債権者が当該代位により有するものを除く。)については、再生計画において、住宅資金特別条項を定めることができる。ただし、住宅の上に第五十三条第一項に規定する担保権(第百九十六条第三号に規定する抵当権を除く。)が存するとき、又は住宅以外の不動産にも同号に規定する抵当権が設定されている場合において当該不動産の上に第五十三条第一項に規定する担保権で当該抵当権に後れるものが存するときは、この限りでない。
2  保証会社が住宅資金貸付債権に係る保証債務を履行した場合において、当該保証債務の全部を履行した日から六月を経過する日までの間に再生手続開始の申立てがされたときは、第二百四条第一項本文の規定により住宅資金貸付債権を有することとなる者の権利について、住宅資金特別条項を定めることができる。この場合においては、前項ただし書の規定を準用する。
3  第一項に規定する住宅資金貸付債権を有する再生債権者又は第二百四条第一項本文の規定により住宅資金貸付債権を有することとなる者が数人あるときは、その全員を対象として住宅資金特別条項を定めなければならない。

解答一覧

⑨→×㋑、⑩→×㋒

6割以上の正解を目指してください。