今までと同じ「WEB版」で見たい方もおられると思いますので、22年度と同じように作成しました。
ただし、かなり長いページになりますので、ご注意ください。
内容は個別記事と同じです。
なお、各記事のタイトルが上手く整形できていませんがご了承ください。
「解説と解答]をクリックしてください。
23年度 問題1①~④ 相談統計 (正誤で×を選択) その1
1.次の文章のうち、正しいものには○、誤まっているものには×を、解答用紙の解答欄に記入 (マーク) しなさい。また、誤まっているものには、誤まっている箇所 (1ヵ所) の記号も記入 (マーク) しなさい。
【解説と解答】
PIO-NETの統計情報による相談状況の問題です。前年にはありませんでしたが、一般的な相談傾向として考えても十分に解答を導き出すことができます。
基本的には国民生活センターが毎年公表し出版している「消費生活年報2011」(2011年10月発行)に掲載されているものです。出版に先立ち、8月に概要が公表されています。とりあえず、必須情報ですね。なお、年報を購入しなくても公表資料で十分だと思います(もちろん、余裕があれば年報を読んでみてもいいかと思います)。
そして、今回の問題で一番重要なことは、問題となっている統計が最新の2010年度ではなく2009年度が対象となっていることです。
2009年度の公表資料と2010年度の公表資料を抜粋します。
①
2003年度から2004年度にかけて架空請求はがきが全国にばら撒かれたり、携帯電話に覚えのない請求メールがSMSやEmailを使って送りまくられていた象徴的な年でした。相談時間は5分もあれば終了しますが、相談件数が何倍にも膨れ上がり、通常の相談業務に支障をきたすほどの事態になりました。統計も比較しずらくなったので架空請求と架空請求以外の件数を分けるようになりました。今は形を変えた架空請求がありますが、相談件数は当時の比ではありません。そのような時代背景を体感していたのなら、この設問は分かりやすいと思います。したがって、①はすべて正解です。
②
高齢者に対する次々販売やリフォームなどは個品割賦(今は個別信用購入あっせん契約)によるものが多く、クレジット会社の加盟店管理や過剰与信も問題になり、割賦販売法が改正されたことは勉強をしている方なら当然知っていると思います。したがって、個品割賦は減少傾向にあります。ただし、今は携帯電話の購入が個別信用購入あっせん契約なので今後の増加要因になるかもしれないのですが2009年度なので考えすぎて不正解にしないように注意してください。下線部が契約の種類で減少しているのは確定事実なので、問題の書き方からいって深く考えずに割販法の改正の影響で減少したとしてください。また、下記の概要の解説にもあるとおり、出会い系サイトのポイントをクレジット決済するなど通常のカード払いが増加しています。したがって、②はすべて正解です。
③
2003年度といえば2004年度にかけて激増した架空請求で、若者にも被害が続出しました。その後、架空請求は減少しているので、30歳未満の若者の相談割合が減少すると考えるのは自然です(グラフを見れば一目瞭然ですが)。やはり、被害の中心は高齢者です。ただし、いくらなんでも半数を占めることはありえませんね。すると、①はもれなく正解だと導かれます。このあたりの解答はまじめに考えずに直感でさくっと考えてください。ということで、③は㋑が不正解です。
④
未公開株やロコロンドンなど、あらゆる種類の投資が出現しているのは実感していると思います。手口も劇場型など詐欺的手法が使われています。未公開株に関する被害は30歳代だけでなく、お金を持っていそうな世代に広く被害が発生しています。30歳代に被害が集中するというのは明らかに間違いであると気づくと思います。したがって、④は㋒が不正解となります。明らかに不正解と分かれば残りは正解ということで、さっさとスルーしましょう。
この4つは全部正解しておきたい問題です。
23年度 問題1⑤ 消費者ホットライン (正誤で×を選択) その2
1.次の文章のうち、正しいものには○、誤まっているものには×を、解答用紙の解答欄に記入 (マーク) しなさい。また、誤まっているものには、誤まっている箇所 (1ヵ所) の記号も記入 (マーク) しなさい。
【解説と解答】
⑤
現場におられる方なら即答ですね。②が不正解です。現場を知らない方は、どうだったかなと迷うかもしれません。勉強していたとしても実感がわかないかもしれません。
現場では「いまいち」の制度です。消費者庁だと思って電話をかけたのに最寄りの消費者センターだった、とか、消費者庁だと思って相談していたのに、そうでないなら相談しなかった早く言って欲しかった、など苦情も寄せられています。残念ながら、あまり普及していないことも伺えます。
消費者ホットラインは消費者庁につながるのではなく、最寄の消費生活センターにつながります。
ナビダイヤルを採用したことにより、IP電話ではかけられなかったり、着信できなかったりなどの問題が表面化しました。また、ナビダイヤルはフリーダイヤル(無料)ではありませんし、ナビダイヤルを経由せずに直接電話したほうが料金が安かったりします。
消費者庁
http://www.caa.go.jp/
トップ > 地方協力課
7.消費者ホットライン
http://www.caa.go.jp/region/index.html#m04
23年度 問題1⑥~⑧ 消費者基本法 (正誤で×を選択) その3
1.次の文章のうち、正しいものには○、誤まっているものには×を、解答用紙の解答欄に記入 (マーク) しなさい。また、誤まっているものには、誤まっている箇所 (1ヵ所) の記号も記入 (マーク) しなさい。
【解説と解答】
消費者基本法の問題ですが、超基本事項の出題で簡単ですので間違えないようにしてください。
⑥
消費者基本法は消費者庁の設置より前の平成16年(2004年)に消費者保護基本法を全面改正し名称も変更されています。
消費者の保護から消費者の自立支援に変わっています。その中で、問題文中にもあるとおり、国や地方公共団体、事業者の責務を定めています。
したがって、㋐が不正解となります。即答ですので残り2つはもれなく正解です。
⑦
消費者の権利といえば、1962年のケネディの4つの権利です。その後、CI(国際消費者機構)がそれに加えて消費者の8つの権利と5つの責任を提唱しました。これは消費者問題を勉強する人にとっては消費者問題の基本となることです。すべて言えるように覚えてください。
ケネディの4つの権利とは、「安全を求める権利、知らされる権利、選ぶ権利、意見を聞いてもらう権利」であり、消費者基本法の基本理念では後に追加されたものも合わせた8つ全てが明記されています。問題では3つが例示されており、⑦はすべて正解です。
せっかくなので条文から8つを箇条書きにします
(1)国民の消費生活における基本的な需要が満たされ、
(2)その健全な生活環境が確保される中で、
(3)消費者の安全が確保され、
(4)商品及び役務について消費者の自主的かつ合理的な選択の機会が確保され、
(5)消費者に対し必要な情報及び
(6)教育の機会が提供され、
(7)消費者の意見が消費者政策に反映され、
(8)並びに消費者に被害が生じた場合には適切かつ迅速に救済されること
日本語は長いので英語のほうが覚えやすいかもしれません
(CIの消費者の8つの権利)
Basic Needs、Safety、Information、Choice、representation(意見を反映させる権利)、Redress(補償を受ける権利)、Consumer Education、Healthy Envioronment
⑧
事業者の責務は消費者基本法第5条に明記されています。条文を覚えていなくても常識的に考えれば簡単ですね。ということ、⑦はすべて正解です。
23年度 問題1⑨⑩ 消費者庁関連法 (正誤で×を選択) その4
1.次の文章のうち、正しいものには○、誤まっているものには×を、解答用紙の解答欄に記入 (マーク) しなさい。また、誤まっているものには、誤まっている箇所 (1ヵ所) の記号も記入 (マーク) しなさい。
【解説と解答】
⑨
消費者庁が設置されるにあたって移管された法律が29本あります。この移管により消費者庁に権限を集中させ、司令塔としての役割を担うこととなりました。
この問題は多くの法律が消費者庁に移管されたということがポイントだよと示しているような気がします。29本すべて覚えろとは言いませんが、大体分かると思います。この法律の移管に際しては、消費者庁関連3法のうちの「消費者庁設置法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律」で定められています。
金融商品取引法は金融関係の事業者への規制法であり、所管していません。ちなみに、金融商品の消費者関係の法律である金融商品販売法は消費者庁が所管しています。そのほかの法律は消費者庁が所管であることは分かると思います。
業法の中で、賃金業法・割賦販売法・宅建業法・旅行業法は消費者庁が所管しています(企画立案は共管、登録・免許、検査、処分は各省庁が行うが、消費者庁は処分について勧告権を持ち、そのための検査権限を持つ。また、処分について事前協議を受ける。)
それぞれの法律の移管の移管の理由については法律策定時にいくつか解説されていましたので一つを紹介します。
消費者庁関連3法案のポイントについて
http://www8.cao.go.jp/hyouka/dokuritsu/bunkakai/seikatsu19th/shiryou-s1-1.pdf
したがって、⑨は㋑が不正解です。正解するのは難しいかもしれませんね
⑩
消費者安全法の問題です。消費生活センターの設置は都道府県は義務、市町村は努力義務というのは基本中の基本です。なかなか市町村全てに設置とまではいっておらず、そのために地方消費者行政活性化基金(2009-2012年度)を創設して設置を促しています。
問題となるのは「苦情処理委員会」ですが、消費者安全法には規定されていませんし、設置しなければならないという法律も見当たらないようです。
消費者基本法では紛争処理について努力規定があります。
各都道府県や市町村では条例等により。苦情処理や紛争に関する機能を定めているところが多く、ADR機能を果たしています。
(参考)国民生活センターHP
http://www.kokusen.go.jp/
トップページ > 通報/相談窓口・紛争解決 > ADR(裁判外紛争解決手続)の紹介 > リンク集 > 消費者被害救済委員会等
http://www.kokusen.go.jp/adr/jorei_chiho.html
消費者被害救済委員会等
地方公共団体の消費者被害救済委員会等とその設置根拠となる条例のリンク集です。
したがって、⑩は㋒が不正解です。
問題1は8問以上の正解が欲しいですね。
23年度 問題2 消費者庁 (選択穴埋め) その1
2.次の文章の[ ]の部分に入れるのに最も適切な語句を、下記の語群の中から選び、解答用紙の解答欄にその番号を記入(マーク)しなさい。なお、同一記号には同一語句が入る。
先に語群をみてみます。
消費者庁に関する問題です。
消費者庁が創設されるまでに議論された経緯が問題となっています。
その中で、いくつかのポイントとなる事件をからめて問題に仕上げています。
問題自体が勉強になる内容です。
ぜひ何度も復習して消費者庁創設に関する流れをつかんでください。
語群では聞きなれないものもありますが、穴埋方式なので、知らなくても文脈を考えると、自然に埋まっていきます。
比較的簡単なので、時間を使わないようにして、満点を目指してください。
23年度 問題2 消費者庁 (選択穴埋め) その2
2.次の文章の[ ]の部分に入れるのに最も適切な語句を、下記の語群の中から選び、解答用紙の解答欄にその番号を記入(マーク)しなさい。なお、同一記号には同一語句が入る。
【解説と解答】
5.建議
10.消費者行政推進会議 13.消費者政策会議
16.消費者行政推進基本計画 19.消費者基本計画
8.中国産冷凍ギョウザ事件 18.焼き肉ユッケ事件
1.悪質事業者情報 12.消費者事故情報 6.個人信用情報
4.偽装表示問題 14.多重債務問題
7.消費者安全法 9.消費者基本法
3.勧告 17.制限 20.要求
2.事業者 11.都道府県知事 15.内閣総理大臣
上のように語群を整理すると答えやすいですが、試験中では時間の関係があるので、語群に印を大胆につけて、漏れがないようにしてください。
5つの段落に分けられています。
最初の段落では消費者庁を作る準備段階のことについて書かれています。通常、新たな政策をするときには「会議」が設置されて、何らかの「計画」が決められることになるのは、語群から考えても分かると思います。ということで、 [ ア ]は「10.消費者行政推進会議」、 [ イ ]は「16.消費者行政推進基本計画」となります。
特に「消費者行政」と必ず「行政」付きで言葉が出てくるので、迷うことは少ないと思います。
ちなみに、「13.消費者政策会議」は消費者基本法に関係するものであり、「19.消費者基本計画」を策定しています。
次の段落では、30の法律の所管が消費者庁に移管されることについて説明されていますが、もともと縦割り行政を解消するために行われたことであり、何らかの事件が起こるたびに縦割り行政が問題となります。今回のきっかけの1つとなったのは、頻発と書かれているので、特定の事件ではなく、同じような事件の集合体で、当時、ミートホープ、白い恋人、赤福、吉兆などの表示偽装が続発した問題のことです。したがって、 [ ウ ]は「4.偽装表示問題」が正解となります。もし、「8.中国産冷凍ギョウザ事件」を選択しても、次の段落で気づくと思います。
次の段落は、安全に関する法律の解説です。消費者庁に一元的に集約して分析するといえば、安全→事故となり、事故情報ということで、 [ エ ] は「12.消費者事故情報」が正解となります。そして、今回のきっかけの1つとなったのは、食中毒の事故が迅速に報告されず、情報共有されなかったため被害が拡大して社会問題となったギョウザ事件です。したがって、 [ オ ]は「8.中国産冷凍ギョウザ事件」が正解となります。「18.焼き肉ユッケ事件」は最近の事件なので、この設問には選択の余地がなく正解が出てきます。 [ ウ ] に入れていたとしても、ここで気がつくと思います。
(参考)中国産冷凍ギョウザ事件をご存知でない方のために、論文を紹介します。
23年度 問題2 消費者庁 (選択穴埋め) その3
2.次の文章の[ ]の部分に入れるのに最も適切な語句を、下記の語群の中から選び、解答用紙の解答欄にその番号を記入(マーク)しなさい。なお、同一記号には同一語句が入る。
【解説と解答】
5.建議
10.消費者行政推進会議 13.消費者政策会議
16.消費者行政推進基本計画 19.消費者基本計画
8.中国産冷凍ギョウザ事件 18.焼き肉ユッケ事件
1.悪質事業者情報 12.消費者事故情報 6.個人信用情報
4.偽装表示問題 14.多重債務問題
7.消費者安全法 9.消費者基本法
3.勧告 17.制限 20.要求
2.事業者 11.都道府県知事 15.内閣総理大臣
上のように語群を整理すると答えやすいですが、試験中では時間の関係があるので、語群に印を大胆につけて、漏れがないようにしてください。
後半は「消費者被害の発生又は拡大の防止のための措置」について説明されています。
これらの措置の実施を定めている法律は説明するまでもなく消費者安全法ですね。したがって、 [ カ ] は「7.消費者安全法」が正解です。
そして、自らの所管する法律による措置だけでなく、他省庁の所管する法律の措置が必要な場合には、消費者安全法16条に基づき、当該措置の速やかな実施を求めることができます。16条の表題が(他の法律の規定に基づく措置の実施に関する要求)となっています。ということで、 [ キ ]は「20.要求」が正解となります。「3.勧告」ほどのきついやり方ではないですね。「3.勧告」は別の問題の答えになるので間違えても気づくと思います。
次は、消費者安全法の目玉となっているものです。消費者庁にも他省庁にも権限がない「すき間事案」を消費者庁の権限とすることを定めています。
このすき間案件に対する措置については、消費者安全法第17条(事業者に対する勧告及び命令)と18条(譲渡等の禁止又は制限)に事業者に対しての措置が定められています。したがって、 [ ク ]は「2.事業者」が正解で、 [ ケ ]は「3.勧告」が正解となります。「3.勧告」「17.制限」「20.要求」は冷静に考えたら言葉の言い回しからも、うまく当てはめることができると思います。
最後の段落では、消費者委員会の役割に関する問題で、消費者安全法20条に規定されています。20条の表題は(消費者委員会の勧告等)となっており、条文に「内閣総理大臣に対し、消費者被害の発生又は拡大の防止に関し必要な勧告をすることができる」とされています。したがって、[ コ ] は「15.内閣総理大臣」が正解となります。最後の [ ケ ]は先ほども出てきた「3.勧告」ですね。
正直言って、問題2はラッキー問題かもしれません。全問正解を目指してください。
23年度 問題3①~⑤ 環境問題 (正誤で×を選択) その1
3.次の文章のうち、正しいものには○、誤まっているものには×を、解答用紙の解答欄に記入 (マーク) しなさい。また、誤まっているものには、誤まっている箇所 (1ヵ所) の記号も記入 (マーク) しなさい。
【解説と解答】
問題2は環境問題です。この種の問題は「暗記物」のパターンが多いですね。学生ではないので暗記力が落ちてきますが、常識力で補うようにしましょう
①
地球環境問題といえば、1997年のCOP3京都会議。定番の環境問題である「京都議定書」ですね。毎年、会議が開催されるごとに目標をどうするのか世界中でもめています。15年も前のことなので私もすっかり忘れてしまいましたが、いまだに話題になるほど強力な会議でした。目標は3%だったか6%だったか。完全に暗記物ですね。試験勉強しているのであれば「環境問題」には必ず必須知識になっているでしょう。そういえば、「チーム・マイナス6%」というキャンペーンに登録すれば、割引を受けられるので登録したような覚えがあります。このような自分の生活の断片から解答を導き出すことをできるのが常識力ですね。と思って「○」と考えたのですが落とし穴がありました。日本の数字が問題というのではなく、「一律」というところが問題で、実は国によって削減目標が異なるのです。というわけで、①は㋑が不正解です。最近の話だったら記憶にありますが昔の話は忘れてしまいました。ちなみに、2009年に鳩山政権が「チャレンジ25」という国民運動を開始しました。
②
平成11年の産業構造審議会における報告書「循環型経済システムの構築に向けて」という問題を読んだとたん、頭がくらくらしそうですが、これを知らなくても全く問題はありません。要は、その次にでてくる「3R]とは何かという基本問題です。「3R]とは、リデュース(Reduse)・リユース(Reuse)・リサイクル(Recycle)のことですね。リデュース(Reduse)は覚えにくいですが、ゴミを減らす・排出抑制のことです。リバース(Rebirth)は笑ってしまいますね。残り2つが有名なので知らなくても分かるのではないでしょうか。ということで、②は㋐が不正解となります。
③
循環型社会形成推進基本法では、環境基本法の理念に則り、循環型社会の形成について基本原則を定めている、という問題も②と同じように頭がくらくらしてきますが、問題の本質は簡単で、この法律を知っていようが知っていまいが、消費者基本法と同じ考えでいけます。すなわち、権利と義務です。やっぱり、国民には責務があるというのが最近の法律の流れですね。そう考えると、常識力で持って、③は㋑が不正解となります。
④この問題も「環境省より発表されている一般廃棄物処理事業実態調査の結果(平成21年度)」という統計資料からの問題ですが、読んでいなくても、というか誰も読んでいないとは思いますが、事業系ごみは減少し、家庭系ゴミを減らすことが課題であるという一般論を素直に用いるのがいいと思います。ということで、④はすべて正解です。
⑤
家電リサイクル法はよく知られていますが「特定家庭用機器廃棄物」って何?という感じですね。あまり気にする必要はありません。実は「家電リサイクル法」は通称名で正式には「特定家庭用機器再商品化法」なのです。したがって、「特定家庭用機器」はリサイクルすることに決まっている家電品であるということが理解できると思います。対象となる電化製品について出題されますので、追加分等をよく確認しておいてください。まあ、そんな細かいことは知らなくても、こお問題は特にチェックする必要もなく、よく知られていることが書かれています。ということで、⑤はすべて正解です。
①に引っ掛けがありますが、ほかは特に難しくはありません。
23年度 問題4① 経済用語 (選択穴埋め) その1
4.次の文章の[ ]の部分に入れるのに最も適切な語句を、下記の語群の中から選び、解答用紙の解答欄にその番号を記入(マーク)しなさい。なお、同一記号には同一語句が入る。
【解説と解答】
①
原発事故をからめた経済の問題です。といっても、常識的に考えれば回答が出てきます。大きい小さいなどの選択肢は冷静に考えましょう。
[ ア ]は「2.買いだめ」が、 [ イ ]が「10.需要」が、 [ ウ ]が「3.原油価格」正解であるのはいうまでもありませんね。
ここで「価格弾力性」という経済用語が出てきますが、日常的には聞かないものの試験には良く出る言葉ですので、何となく意味は分かると思いますが、この機会に再確認してください。
22年度試験の問題4の④でも出題されています(https://soudanshiken.com/room2012/20110318/70.html)
ガソリンは価格の生活必需品ですので、 [ エ ] は「7.小さい」が正解となります。そして品薄=供給の減少になれば値上がりしますので、 [ オ ] は「12.供給」が正解となります。
また、輸入品の価格が抑えられる=安くなるのは、まさしく今の日本の現状であり、 [ カ ]は「5.円高」が正解となります。
価格弾力性以外の部分は常識的に考えれば簡単ですので少なくとも6問中5問以上の正解を目指してください。
23年度 問題4② 経済用語 (選択穴埋め) その2
4.次の文章の[ ]の部分に入れるのに最も適切な語句を、下記の語群の中から選び、解答用紙の解答欄にその番号を記入(マーク)しなさい。なお、同一記号には同一語句が入る。
【解説と解答】
②
経済産業省が発表した平成23年3月の商業販売統計(確報)、そんなの知らないです。したがって、推測、常識で問題を考えます。
要するに、どこの業態の販売額が増減したかというのを、平成23年3月時点で考えたらいいわけです。
業態となれば、選択肢としては、「4.百貨店」「9.スーパー」「15.コンビニエンスストア」からの三択埋め込みですので1個間違えると2個以上間違えることになりますので慎重に選択してください。
[ キ ] の販売額が前年同月比15.4%の大幅減少
[ ク ] の販売額も前年同月比1.2%の減少
[ ケ ] の販売額は前年同月比で9.1%の増加→要因・・・非食品の販売額が前年同月比2割以上の増加になったほか、 [ コ ] の販売額が4.2%増加した
ニュース等でも聞いたことがあるかもしれませんが、素直に、「百貨店苦戦」「コンビニ好調」でいいのではないかと思います。
特にコンビニでは、「なか食」である惣菜やおかずや弁当も好調ですし、何よりも「たばこ」などの非食品が相変わらず好調です。
というニュースはよく耳にします。
ということで、[ キ ] は「4.百貨店」が、[ ク ]は「9.スーパー」が、 [ ケ ] は「15.コンビニエンスストア」が正解となります。
また、[ コ ] は「6.加工食品」が正解となります。コはこれしか選択肢はないですね、と思ってたら統計には「サービス」の売り上げというのもありました。
それでは、商業販売額の動向についての実際の統計を見て見ましょう。
経済産業省 HP
http://www.meti.go.jp/
商業動態統計調査
>>経済産業省ホーム>>利用目的から調べる[統計]>>統計>>商業動態統計調査
http://www.meti.go.jp/statistics/tyo/syoudou/index.html・・・最新統計
>>経済産業省ホーム>>利用目的から調べる[統計]>>統計>>商業動態統計調査>>統計表一覧>>確報
http://www.meti.go.jp/statistics/tyo/syoudou/result/kakuho_2.html・・・過去統計
問題4は9問以上はとりたいです。
23年度 問題5① 金融用語 (選択穴埋め) その1
5.次の文章の[ ]の部分に入れるのに最も適切な語句を、下記の語群の中から選び、解答用紙の解答欄にその番号を記入(マーク)しなさい。なお、同一記号には同一語句が入る。
定番中の定番の金融用語の基本です。穴埋といっても選択なので難易度は高くありません。普段から新聞を読んだり、ニュースを見てください。
金融関係の情報に慣れ親しむためのテレビ番組として、テレビ東京系列のワールドビジネスサテライト(WBS)をおすすめします。
http://www.tv-tokyo.co.jp/wbs/
また、金融用語を解説するHPはいくつかありますが、私が参考にしたHPを紹介します。
金融大学・・・http://www.findai.com/
金融大学 > 金融用語辞典・・・http://www.findai.com/yogo/index.html
【解説と解答】
①
「金融機関の信用力を見るための指標」です。非常に簡単ですので取りこぼしが内容にしてください。
債務支払い能力「AAAやAA」→[ ア ]は「9.格付け」が正解
健全性の目安「200%を超える」→[ イ ]は「20.ソルベンシーマージン比率」が正解
銀行経営の安全性の指標「8%以上」→[ ウ ]は「12.自己資本比率」が正解
②
金融商品の性質についての問題です。特に「上昇」と「下落」という相反する選択肢があるので混乱しないように落ち着いてください。ただ、重複穴埋になっているので矛盾が出ないように考えたら楽だと思います。
銀行預金
元本保証の銀行預金は2005年に開始された「ペイオフ」ですね。若い人はなじみがないかもしれませんが、30代以上の方は様々に報道されたのでご存知だと思います。ペイオフは、金融機関が破たんした場合に、元本1000万円とその利子を限度額として預金者に払い戻す保護制度です。
したがって、[ エ ]は「4.1000」が正解です。
預金保険制度・・・http://www.findai.com/yogo/0145.htm
国債
国債の価格と利回りの関係は即答しにくいかもしれませんので実例で考えると分かりやすいかもしれません。
国債には「利付債」と「割引債」がありますが、「割引債」で考えてみます。
国債は満期日になると額面どおりの額が償還されます。
1000円で購入し1000円が償還→利益なし(利回り0%)
900円で購入し1000円で償還→利益100円(利回り約11%)
価格が下がると利回りが上昇する
ということで、[ オ ]は「14.上昇」が正解です。
国債・・・http://www.findai.com/yogo/0313.htm
その他の語群に出てくる金融商品は、5.債券 6.通貨 7.株式 18.投資信託 19.証拠金取引です。
解説するほどでもあるませんが念のため。
投資型金融商品・・・[ カ ]や[ キ ]
[ カ ]
企業にとって返済義務のない資金調達手段
企業業績が[ オ ]すると予想されるとき、その価格は[ オ ]する
企業利益が増加した場合、利益還元としての[ ク ]も増加する
企業の資金調達種さんとして「株式」と「社債」が思い浮かびますね。社債は償還期限がありますので、株式であれば市場で売買され直接企業が資金を返済しなければならないということ払いません。企業業績が上がれば価格も上がる。そして、株主には利益還元の配当がある。
ということで、[ カ ]は「7.株式」、[ ク ]は「10.配当」が正解です。
[ キ ]
様々な投資家から資金を集め、それを[ カ ]や[ ケ ]などに投資し、運用成果を分配金や値上がり益そして、という形で投資家に配分する仕組み
思い浮かぶのはこれだけですので、[ キ ]は「18.投資信託」が正解です。
投資先は[ カ ]=株式や[ ケ ]=「企業が発行するものや国が発行するもの、外国政府が発行するものなどがある」ということで、[ ケ ]は「5.債券」が正解です。
外国の[ カ ]=株式、[ ケ ]=債券、外貨預金に存在し、円高になると元本に損失が発生するリスクといえば、為替リスクなので、[ コ ]は「1.為替」が正解です。
ちなみに語群でスルーした「13.ペイ・レシオ」「16.総資産利益率」「17.コマーシャルペーパー」は、スルーしても影響はありませんでしたが、勉強のために解説します。
特に難しくないので、全問正解で点数を稼いでください。
23年度 問題6① 食品 (正誤で×を選択) その1
6.次の文章のうち、正しいものには○、誤まっているものには×を、解答用紙の解答欄に記入 (マーク) しなさい。また、誤まっているものには、誤まっている箇所 (1ヵ所) の記号も記入 (マーク) しなさい。
【解説と解答】
23年度はこのあたりからの問題から苦しくなってくると思います。
経済や金融の専門用語は、何となく予想がつくものが多いのですが、食品の専門用語は定義が法律で定められたりするものが多く、常識力や予想、なんとなくといった感覚で解答を導き出せるものが少なく、難易度は高めです。常識力で解ける問題は取りこぼしがないように、また、食品の専門用語はある程度テキストや資料で覚えていかなければならないので、それなりに勉強してください。深くはないですが範囲が広いですので、自分ができるバランスをみながら勉強してください。あとは、法律が変わったりして、対象品目が増えたりした場合には、出題される可能性が高いですのでチェックしておいてください。
①
私にとってはいきなり難問です。農薬の基準に関する問題は頻出ですが、「ポジティブリスト」等は知っていますが、安全基準を導き出すための用語は覚えていません。「TDI]ぐらいだったら頭のすみにはありそうな気がしますが、感で答えるしかないですね。すらっと正解が出る受験生は素晴らしいです。今回の問題は次回は出ないと思いますが、今後のために調べてみます。
農薬についての1日摂取量はTDIではなくてADIということになります。したがって、①は㋑が不正解です。難問かもしれません。
実は専門用語の解説は厚生労働省が作成している「食品関係用語集」から引用しました。
十数年前にはすでに存在しており、当時私も参考にしたものです。今でも改訂されながら公表されており、衛生関係の行政機関にも専門用語の解説として引用されているのでお墨付きの用語集です。
今回の問題は「食品関係用語集」のなかの「リスク評価」という項目を参照しました。この項目には5つの用語が解説されており、今回の問題に出てきた3つに加えて、「許容一日摂取量(ADI:Acceptable Daily Intake)」「急性参照用量(ARfD:Acute Reference Dose)」があげられているので、「リスク評価」の用語で最低限覚えておけばいいのは、この5つということになるのかもしれませんね。
厚生労働省
http://www.mhlw.go.jp/
ホーム > 政策について > 分野別の政策一覧 > 健康・医療 > 食品
一番下の「政策分野関連情報」から
http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/
食品安全情報
食品関係用語集
http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/iyaku/syoku-anzen/glossary.html
さらに詳しい用語解説集がリンクされています
ホーム > 用語集
用語集
http://www.fsc.go.jp/yougoshu.html
食品の安全性に関する用語集(第4版)平成20年10月
食品安全委員会
http://www.fsc.go.jp/yougoshu_fsc.pdf
23年度 問題6② 食品 (正誤で×を選択) その2
6.次の文章のうち、正しいものには○、誤まっているものには×を、解答用紙の解答欄に記入 (マーク) しなさい。また、誤まっているものには、誤まっている箇所 (1ヵ所) の記号も記入 (マーク) しなさい。
【解説と解答】
②
この問題は知識問題です。強調表示は頻出の知識ですので覚えていない場合は今一度チェックしておいてください。
強調表示は健康増進法に基づく栄養表示制度に定められています。
健康増進法は以前は栄養改善法という名称でした。
具体的な運用については、平成8年に「栄養表示基準の取扱い」という通知が出されています。
消費者庁
ホーム > 食品表示課 > 健康や栄養に関する表示の制度について
http://www.caa.go.jp/foods/index4.html#m05
ということで、②は㋐が不正解となります。
知らない場合は、砂糖不使用という言葉だけ、他に比べて違和感があるということで考えてもいいかもしれません。
今回の問題は「含まない旨」の表示でしたが、「低い旨」の表示についてもチェックが必要ですね。
23年度 問題6③④ 食品 (正誤で×を選択) その3
6.次の文章のうち、正しいものには○、誤まっているものには×を、解答用紙の解答欄に記入 (マーク) しなさい。また、誤まっているものには、誤まっている箇所 (1ヵ所) の記号も記入 (マーク) しなさい。
【解説と解答】
③
遺伝子組み換え食品も知識力が必要になります。
消費者庁
ホーム > 食品表示 > 食品表示Q&A・ガイドライン等
食品添加物
食品表示に関するパンフレット・Q&A・ガイドライン等
Q&A
関係府省共通
食品表示に関する共通Q&A(第3集:遺伝子組み換え食品に関する表示について)
http://www.caa.go.jp/foods/pdf/syokuhin244.pdf
ということで、この問題の対象となっている「しょうゆ」や「大豆油(高オレイン酸遺伝子組換えを除く)」は任意表示です。ただし、大豆油でも「高オレイン酸遺伝子組換え」は表示が必要です。設問では「除く」となっているので任意表示になります。コーンスターチは対象にはなっていません。したがって、③は㋑が不正解となります。
④
加工食品品質表示基準の改正も頻出の知識問題です。
消費者庁HP
ホーム > 食品表示 > 食品表示Q&A・ガイドライン等
http://www.caa.go.jp/jas/hyoji/qa.html#m02
食品添加物
食品表示に関するパンフレット・Q&A・ガイドライン等
Q&A
加工食品
加工食品品質表示基準Q&A(原料原産地表示)(PDF:615KB)
※主な改正内容
「Ⅰ 制度全般」の(全般-10)を改正(17ページ)
「Ⅱ 義務表示対象品目」の(品目-3)、「8 黒糖及び黒糖加工品」及び「18 こんぶ巻」を追加(20、39~42、68~70ページ)
ということで、④は㋒が不正解です。
(参考)
農林水産省HP
ホーム > 組織・政策 > 消費・安全 > 食品表示とJAS規格 > 食品表示について > 品質表示基準一覧
品質表示基準一覧
http://www.maff.go.jp/j/jas/hyoji/kijun_itiran.html
加工食品品質表示基準(PDF:201KB)
http://www.maff.go.jp/j/jas/hyoji/pdf/kijun_kakou_h230930.pdf
23年度 問題6⑤⑥ 食品 (正誤で×を選択) その4
6.次の文章のうち、正しいものには○、誤まっているものには×を、解答用紙の解答欄に記入 (マーク) しなさい。また、誤まっているものには、誤まっている箇所 (1ヵ所) の記号も記入 (マーク) しなさい。
【解説と解答】
⑤
食中毒に関する一般知識です。
食中毒というのは食事をしてすぐに症状が出るのではなく潜伏期間を経て発症します。しかし、一般の消費者は直前の食事が原因だと思っているのが現実です。
魚介類が原因となる「腸炎ビブリオ」では早ければ6時間後ぐらいから、病原性大腸菌やカンピロバクターなどは5日以上後に発症することもあります。
保健所は1週間程度の喫食状況を調査します。
食中毒に関する相談があったときには、基本的には医療機関への受診や保健所への相談をすすめますが、このような予備知識を相談者に助言しておくことで、相談者も冷静になって次のステップへ進めます。無関係の食品を原因と思い込み、店舗ともめている場合もあるので冷静な対応が必要です。
相談員としても最低限の知識は必要ですね。
代表的な食中毒の原因物質として
細菌(腸炎ビブリオ・サルモネラ・カンピロバクター・病原性大腸菌)、ウイルス(ノロウイルス)、自然毒(きのこ・フグ)、化学物質(ヒスタミン)
は、潜伏機関・症状・原因物質などをチェックしておく必要があるでしょう。
横須賀市HP
ホーム > くらし・環境 > 生活衛生・食の安全 > 食中毒 > おもな食中毒微生物一覧
おもな食中毒微生物一覧
http://www.city.yokosuka.kanagawa.jp/3140/hosei/ss_info/kin_ichiran.html
※自治体のHPのほうが上手くまとまっていますので、お住まいの自治体を検索してみてははどうでしょうか。
厚生労働省HP
ホーム > 政策について > 分野別の政策一覧 > 健康・医療 > 食品 > 食中毒
3 病因物質別の情報
http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/syokuchu/index.html
もちろん、この問題はユッケによる食中毒事件を意識していますね。
ということで、⑤はすべて正解です。
⑥
健康食品も消費者問題では最重要部類に入ります。
相談現場では効果に関することや、大げさな表示、返品に関する相談が中心になってきますので、「健康食品とは何か」について細かく深い知識は必要ないかもしれませんが、食品に関する知識としては重要です。
厚生労働省HP
ホーム > 政策について > 分野別の政策一覧 > 健康・医療 > 食品 >「健康食品」のホームページ
http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/hokenkinou/index.html
健康食品の安全性に関する情報等(関係法令等)
http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/iyaku/syoku-anzen/hokenkinou/kankeihourei.html
まあ、この指針を読んでいる人はあまりいないと思います。問題を読んでも違和感がないので、常識力ですべて正解としましょう作戦でいきましょう。
ということで、指針に書かれているとおり、⑥はすべて正解です。
(参考)厚生労働省HP
「健康食品」のホームページ の「健康食品」の安全性に関する情報等からリンクしている「健康食品」の安全性・有効性情報(https://hfnet.nih.go.jp/)は健康食品に関する科学的なデータがまとめられているので、成分に関する情報を公式に消費者に伝えることができます。
23年度 問題6⑦⑧ 食品 (正誤で×を選択) その5
6.次の文章のうち、正しいものには○、誤まっているものには×を、解答用紙の解答欄に記入 (マーク) しなさい。また、誤まっているものには、誤まっている箇所 (1ヵ所) の記号も記入 (マーク) しなさい。
【解説と解答】
⑦
アレルギー表示に関する必須の知識問題です。
受験生はしっかり覚えておきましょう。
これも、対象項目の追加があった場合は頻出になります。
消費者庁HP
ホーム > 食品表示課 > アレルギー表示に関する情報
http://www.caa.go.jp/foods/index8.html
このページにアレルギーに関する資料がまとめられています。
アレルギー表示について
アレルギー表示とは[PDF:282KB]・・・1枚物で分かりやすくまとめた図がります。今回の問題もすべてカバーされています。
http://www.caa.go.jp/foods/pdf/syokuhin425.pdf
したがって、「入っているかもしれません」という表示はできないので⑦は㋒が不正解となります。
(参考)
アレルギー表示に関する通知
アレルギー物質を含む食品に関するQ&A[PDF:413KB]
http://www.caa.go.jp/foods/pdf/syokuhin12.pdf
このQ&Aに必要な情報が網羅されています。そこからいくつか抜粋します。
⑧
有機JASマークも頻出問題です。
ポイントとしては、「どのような場合にマークをつけることができるのか」とあくまでも「任意表示」であることです。
任意表示といっても、付加価値の表示ですので、通常の価格より割高で売れるので、偽装表示が散見されます。
有機JASというだけあって、農林水産省所管のJAS法に関する制度です。
農林水産省HP
ホーム > 組織・政策 > 消費・安全 > 食品表示とJAS規格 > JAS規格について > 有機食品の検査認証制度
http://www.maff.go.jp/j/jas/jas_kikaku/yuuki.html
有機食品等の検査認証制度全体について
有機食品の検査認証制度について(PDF:350KB)
http://www.maff.go.jp/j/jas/jas_kikaku/pdf/yuuki_yokogami.pdf
パンフレットがわかりやすいかもしれません
ホーム > 組織・政策 > 消費・安全 > 食品表示とJAS規格 > JAS規格について > JAS規格に関するパンフレット
http://www.maff.go.jp/j/jas/jas_kikaku/pamph.html
ご存じですか?有機食品の検査認証制度 (PDF:1,288KB)
http://www.maff.go.jp/j/jas/jas_kikaku/pdf/yuuki_pamph_b.pdf
「農薬や化学合成肥料は使用しないのが原則。やむをえない場合、リスト化されたもののみ使用が可能です。」となっています。
できる限り、農薬や化学肥料などの化学物質に頼らないということですので、「一切」使わないということはありません。したがって、⑧は㋐が不正解となります。
23年度 問題6⑨⑩ 食品 (正誤で×を選択) その6
6.次の文章のうち、正しいものには○、誤まっているものには×を、解答用紙の解答欄に記入 (マーク) しなさい。また、誤まっているものには、誤まっている箇所 (1ヵ所) の記号も記入 (マーク) しなさい。
【解説と解答】
⑨
食品添加物に関しての一般ルールを確認しておいてください。
ビタミンCの表示は、飲み物で「酸化防止剤(ビタミンC)」として原材料名の欄で目にしたことがあると思います。
「L-アスコルビン酸」になっている場合もありますが、「ビタミンC」のことです。
表示が省略できる場合についての設問があるので、やはり知識力が必要です。
食品添加物の一般的な表示ルールについて消費者庁のページでまとめられています。
消費者庁
ホーム > 食品表示課 > 食品添加物表示に関する情報
http://www.caa.go.jp/foods/index11.html
食品添加物表示について
食品添加物表示について[PDF:213KB]
http://www.caa.go.jp/foods/pdf/syokuhin496.pdf
ということで、⑨はすべて正解です。
⑩
いわゆる「健康食品」といわれるものの制度について確認しておく必要があります。
厚生労働省
ホーム > 政策について > 分野別の政策一覧 > 健康・医療 > 食品 >「健康食品」のホームページ
http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/hokenkinou/index.html
栄養機能食品で「葉酸」は頻出問題です。
消費者庁HP
ホーム > 食品表示課 > 健康や栄養に関する表示の制度について
http://www.caa.go.jp/foods/index4.html#m04
一方、栄養機能食品と同時に覚えておかなければならないのが、特定保健用食品です
ホーム > 食品表示課 > 健康や栄養に関する表示の制度について
http://www.caa.go.jp/foods/index4.html#m04
特定保健用食品(トクホ) 許可制(健康増進法第26条)
特定保健用食品とは[PDF:140KB]
http://www.caa.go.jp/foods/pdf/syokuhin86.pdf
同じ葉酸でもトクホになるものと栄養機能食品になるものがあります。問題のリスク低減表示はトクホのものです。したがって、⑩は㋑が不正解です。
食品に関する問題は細かい知識が問われるので、どちらかというと難問です。6-7割を目標にしましょう。
23年度 問題7① 薬事法 (選択穴埋め) その1
7.次の文章の[ ]の部分に入れるのに最も適切な語句を、下記の語群の中から選び、解答用紙の解答欄にその番号を記入(マーク)しなさい。なお、同一記号には同一語句が入る。
【解説と解答】
改正薬事法の基礎的な問題に、多くの被害者を出した「茶のしずく」石鹸によるアレルギーの問題をからめています。
改正薬事法は、平成21年に大きく改正され、社会に与えるインパクトも相当大きなものになりました。
実生活でも、ドラッグストアやコンビニで医薬品が販売されているのは肌で感じていると思います。
覚えなければならないことは限られていますので取りこぼしがないようにしましょう。
語群を分けてみます。
5.2分類 7.3分類
1.登録販売者 3.薬剤師 4.販売管理者 6.医師
8.厚生労働省 10.医薬品医療機器総合機構
2.そば 9.小麦
5問中4問は鉄板ですね。
厚生労働省HP
ホーム > 政策について > 分野別の政策一覧 > 健康・医療 > 医薬品・医療機器 > 一般用医薬品販売制度
http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iyakuhin/ippanyou/index.html
薬事法の一部を改正する法律の概要[127KB]
http://www.mhlw.go.jp/bunya/iyakuhin/ippanyou/pdf/kaiseiyakuji.pdf
というわけで、[ ア ]は「7.3分類」が、[ イ ]は「3.薬剤師」が、[ ウ ]は「1.登録販売者」が正解です。
知らなくても分かると思います。
次に[ エ ]は改正薬事法とは関係なく、昔からある医薬品による事故の救済制度です。
この救済制度の原資となるものは国から拠出されているのではなく、医薬品メーカーが拠出しているものです。
したがって、[ エ ]は「10.医薬品医療機器総合機構」が正解です。
医薬品医療機器総合機構HP
ホーム > 健康被害救済制度 > 医薬品副作用被害救済制度
http://www.pmda.go.jp/kenkouhigai/help.html
医薬品副作用被害救済制度
http://www.pmda.go.jp/
最後は「茶のしずく」ですね。大きくニュースになったのでご存知かと思います。また、アナフィラキシーという言葉も覚えておいてください。
ということで、[ オ ]は「9.小麦」が正解です。
国民生活センターHP
http://www.kokusen.go.jp/ncac_index.html
トップページ > 注目情報 > 発表情報 >
小麦加水分解物を含有する「旧茶のしずく石鹸」(2010年12月7日以前の販売分)による危害状況について-アナフィラキシーを発症したケースも-[2011年9月7日:更新][2011年7月14日:公表]
http://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20110714_1.html
小麦加水分解物を含有する「旧茶のしずく石鹸」(2010年12月7日以前の販売分)7月14日公表後の危害状況について[2011年9月8日:公表]
http://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20110908_5.html
4問以上は正解したいところです。
23年度 問題8 クリーニング (正誤で×を選択) その1
問題8はクリーニングに関する正誤問題です。
22年度の問題解説も必ずチェックしておいてください。
クリーニング
その1、その2、その3、その4、その5、その6
23年度 問題8①② クリーニング (正誤で×を選択) その2
8.次の文章のうち、正しいものには○、誤まっているものには×を、解答用紙の解答欄に記入 (マーク) しなさい。また、誤まっているものには、誤まっている箇所 (1ヵ所) の記号も記入 (マーク) しなさい。
【解説と解答】
2問はどちらも基本的なクリーニング業法の問題です。どちらも、平成16年のクリーニング業法の改正がからんでいます。
①
利用者への説明義務としては、クリーニング業法第三条の二に定められているとおり、「洗たくの処理方法」と「苦情の申し出先の明示」の2つです。これらは平成16年のクリーニング業法の改正で定められました。常識的に考えても、法律で料金のことまで突っ込んでいることはないと考えてもいいです。
ただし、標準営業約款に細かい規定がされている可能性はありますが、約款は自主基準のようなものですので全体に及ぶものではありません。ちなみに、約款では(役務の内容の表示の適正化に関する事項)と(施設又は設備の表示の適正化に関する事項)がありますが、料金に関する規定はないようです。
ということで、①は㋐が不正解です。
②
㋐と㋑はクリーニング業法の条文の定義そのままです。そして、㋒は平成16年のクリーニング業法の改正で「無店舗取次店の営業者の届出」義務が規定されました。したがって、②は㋒が不正解です。
厚生労働省のHP
改正クリーニング業法の概要 http://www.mhlw.go.jp/topics/2004/09/tp0930-1.html
必ずリンク先のページを熟読しておいてください。
23年度 問題8③④ クリーニング (正誤で×を選択) その3
8.次の文章のうち、正しいものには○、誤まっているものには×を、解答用紙の解答欄に記入 (マーク) しなさい。また、誤まっているものには、誤まっている箇所 (1ヵ所) の記号も記入 (マーク) しなさい。
【解説と解答】
22年度の解説を一部加筆し、そのまま今回の解説に使いまわしします。
③は、繊維の組成、家庭洗濯等取扱い方法、はっ水性、の3種類で収縮率は不要です。したがって、①は㋐が不正解となります。
④は知らないとしても、家庭洗濯に関する規定に商業洗濯で使われる「タンブラー乾燥」が入っているのは不自然だと考えれば予想がつきます。ということで、④は㋐が不正解となります。
く条文を参照してください。
消費者庁のHP
トップ > 家庭用品品質表示法 > 施行令・規則 > 繊維製品品質表示規程
家庭用品品質表示法の繊維製品品質表示規程
http://www.caa.go.jp/hinpyo/law/law_04.html
簡単にまとめると
品質に関し表示すべき事項
①繊維の組成
②家庭洗濯等取扱い方法→取扱い絵表示
③はっ水性(表示をする場合は基準を満たすこと)
これらを表示者の氏名又は名称及び住所又は電話番号を付記して、需要者の見やすい箇所に見やすいように表示すること
23年度 問題8⑤⑥ クリーニング (正誤で×を選択) その4
8.次の文章のうち、正しいものには○、誤まっているものには×を、解答用紙の解答欄に記入 (マーク) しなさい。また、誤まっているものには、誤まっている箇所 (1ヵ所) の記号も記入 (マーク) しなさい。
【解説と解答】
クリーニング方法についての基本問題です。ランドリー、ウエット、ドライの3種類の違いをしっかり覚えておいてください。
ドライは有機溶剤を使用し、石油系や塩素系(テトラクロロエチレン・パークロロエチレン)、フッ素などがあります。
ドライについては石油系と塩素系の違いも覚えておいてください。
水洗い(ランドリー・ウエット)は汗などの水溶性の汚れは落ちやすく、皮脂などの油性の汚れは落ちにくいです。
ドライは、その逆となります。
つまり、水溶性の汚れは水で落とし、油性の汚れは油で落とすという原則です。
といえは、該当する汚れを落とすために単純に汚れに応じたクリーニングをすればよいということにはいかないのです。
そこには衣料品の「素材」の問題が出てくるのです。
みんさんご存知かと思いますが、ウールのセーターを水洗いすれば縮んでしまいますよね。表示には水洗い×のドライ表示があると思います。
ドライは水を使わないので縮むことがないのです。
それでも、水溶性の汚れを落としたいときに「ウェットクリーニング」をするのです。
ウェットはランドリーのように激しく洗うのではなく、低温の水を使って付け置き洗いのようにやさしく洗ってできるだけダメージを与えないように洗います。
家庭の洗濯機でもドライのものが洗えるコースがありますが似たような方法です。
なお、ランドリーは水洗いといっても実際はお湯で洗います。
素材に問題がなければ、水洗いとドライの両方で水溶性の汚れと油性の汚れを落とすW洗いという方法もあります。
ウエットはW洗いのようなもので、ドライで残った水溶性の汚れを何とか水で落とそうというものです。
多くの素材がドライで洗うことができるのですが、ドライに適さない素材というのは、単純に油に弱いものと考えていただいたらいいと思います。
色落ちに関しては、水溶性の染料はOKですが、顔料などはダメです。
樹脂で接着している衣料品やポリウレタンなどの樹脂系の衣料品も、新しいうちはドライでも大丈夫ですが2年程度の時間が経過すると樹脂自体がが劣化し、ドライで薄利や風合い変化などが発生します。特に塩素系ドライ溶剤は石油系溶剤に比べて脱脂力が大きいため、そのような素材には適さず、ドライであれば石油系を選択しますが、それでもリスクは高いと思います。水洗い×のドライ表示でも、ドライせずに水洗いをするという選択肢も商業クリーニングでは重要です。
⑤はドライ溶剤の問題です。
テトラクロロエチレン(パークロロエチレン)はドライ用の有機溶剤で、石油系よりも脱脂力は大きく洗浄力にすぐれていますが、樹脂形の素材には弱く風合い変化も起こしやすいので、ポリウレタン樹脂を使用した衣料品をドライするときには石油系を選択します。したがって、⑤はすべて正解です。
⑥はランドリーについての問題です。
ランドリーは温水を使用して水洗いします。ドライで残留する水溶性の汚れを落とすことを目的に行われるのはウエットクリーニングです。したがって、⑥は㋒が不正解となります。
23年度 問題8⑦⑧ クリーニング (正誤で×を選択) その5
8.次の文章のうち、正しいものには○、誤まっているものには×を、解答用紙の解答欄に記入 (マーク) しなさい。また、誤まっているものには、誤まっている箇所 (1ヵ所) の記号も記入 (マーク) しなさい。
【解説と解答】
⑦
「濡れ掛けプレス」は読んで字の如し、クリーニングでまだ乾いていない濡れた状態のまま、プレス(アイロン)をして乾かすと同時にアイロンがけすることです。
ワイシャツをマネキンのような人体模型に服を着せて曲線の大きなアイロンのような鉄板を周りからいくつか押し当てて機械で一気に乾かしプレスするというのをイメージしたらいいと思います。安価でのオートメーション作業ですね。もちろん、コストをかけて手でアイロン作業するという方法もあります。
濡れた衣料品をプレスの熱で乾かし、アイロンがけも行うという、仕上げと乾燥の工程が同時に終了することができます。
しかも、引き続き、折りたたみ、包装までしてしまう機械もあります。
ただし、濡れた上体でアイロンを押し当てるので、色泣きという、染料が周りににじみ出てしまうトラブルがあります。また、熱をかけるので素材によっては、縮む可能性もあります。したがって、寸法変化も起こる可能性があります。ということで、⑦は㋑が不正解となります。
⑧は染料の問題で基本とはいえ難しいかもしれません。
染色は素材によって適した方法があります。
少なくとも直接染料、反応染料、酸性染料、分散染料の4つは覚えておいたほうがいいと思います。
直接染料は、その名前のとおり染料の中に直接つけて染色します。したがって、染料がしみやすい綿などのセルロース系の染色に使用しますが、染色堅ろう度(染料を保持する力)が低い=水洗いするたびに落ちていきやすいので最近はあまり使用されていません。
反応染料は、直接染料に変わり使用されています。アルカリ性の染色液の中で化学反応によりセルロースの水酸基と染料とが化学結合(エーテル結合)により、染着し、強固に染色されるので染色堅ろう度も強くなります。
酸性染料は、アルカリに弱く、酸に強いウールなどの動物性の繊維に直接染める方法です。
分散染料は、その名のとおり染料が染まりにくいので繊維の中に染料を分散させて最後に熱で固定させる染色とイメージしていただいたらいいと思います。染まりにくい繊維といえば、主に疎水性のポリエステルなどの合成繊維と考えていただいたらいいと思います。
正確ではないかも知れませんが、ざっくり、説明しました。
分散染料の問題となっていますが、分散染料は染まりやすいセルロース系の繊維ではなく、染まりにくい合成繊維に使われ、熱で無理やり染着させるので、熱をかけると緩い状態に戻り、昇華(気化・蒸発)してしまいます。したがって、⑧は㋐が不正解です。
知らなくても予想できるかもしれません。イとウは同じことを言っているので両方間違いとはならないのでアが正解かどうかを考えればよく、綿の服もアイロンをかけることを考えれば、綿のことをいっているのではないなあということで、アが不正解だと予想できます。
23年度 問題8⑨⑩ クリーニング (正誤で×を選択) その6
8.次の文章のうち、正しいものには○、誤まっているものには×を、解答用紙の解答欄に記入 (マーク) しなさい。また、誤まっているものには、誤まっている箇所 (1ヵ所) の記号も記入 (マーク) しなさい。
【解説と解答】
22年度の解説を流用します。
22年度分と合わせて参照してください。
「クリーニング事故賠償基準」は一般の人は知らないと思います。しかし、消費者センターでは最重要な基準で、現場で知らなければ話になりません。現職受験者には日常用語ですが、それ以外の人にとっては難しいかもしれません。
クリーニングの苦情は多く、紛失や事故にあったときに、誰がどのような基準で弁償するかが定められています。
昔は民法の損害賠償でしか弁償してもらう手段がなかったのですが、それは手間がかかるので、国と業界が作った自主基準が「クリーニング事故賠償基準」です。自主基準でありながら、基本ルールとして扱われています。
基本的には組合に加入しているクリーニング店の自主基準ですが、未加盟のクリーニング店でも準用しています。
⑨は事故発生時の責任の一部がほかのものの過失にあるときの賠償額の支払いの一部減額についての問題で、賠償基準の第6条が該当します。
まず、第3条により、クリーニング業者の責任の有無を問わず、クリーニング店が賠償責任を負うという基本原則です。
そして、その原因が「もっぱら」他の物に責任があると証明したときは、第3条により賠償額の支払いをのがれることができます。
ただし、その原因の「一部」が他の物に責任があると証明したときは、一部の支払いをのがれることができるとはならず、第6条により、被害者には全額支払う必要があるが、一部をその者に請求することができるとなっています。
すなわちクリーニング店が自分の責任ではない部分を責任の一部がある他の者と交渉することになり、交渉が上手くいけば一部を取り戻すことができるし、うまくいかなければ全額賠償しなければならないことになります。
ただ、現場ではなかなか上手くまとまらないのが現実です。
なお、倒産等で請求できない場合は一部カットすることができると定められています。
ということで、⑨は㋑が不正解です。
⑩は「クリーニング事故賠償基準運用マニュアル」にかかれている文章そのままですが、さすがに、一般の方はマニュアルの存在までは知らないと思います。
まあ、常識力でいけると思います。
「着用に耐えない」の解釈が焦点になります。すなわち、通常のクリーニングでおこる消耗的なことで、結果として「許容範囲」であれば問題がないということです。ただし、現場では、許容範囲かどうかという基準が消費者と事業者との間でギャップがありトラブルが大きくなります。基本的には消費者はクリーニングすれば新品と同じ状態に戻るという思いがあるからです。
また、上下物であれば当然セットで賠償されるものです。ただし、上下物だとは認識できなかった場合はのがれることができます。
ということで、⑩はすべて正解です。
クリーニング賠償基準は直接国のHPには掲載されていないようですが、各都道府県や組合などのHPに掲載されています。
東京都クリーニング生活衛生同業組合
東京都クリーニング生活衛生同業組合「クリーニング事故賠償基準」
http://www.tokyo929.or.jp/misc/post_2.php
「クリーニング事故賠償基準」全文
http://www.tokyo929.or.jp/pdf/cleaningjikorule.pdf
大阪府クリーニング生活衛生同業組合
http://www.oc929.net/
資料室>クリーニングに関する法律等
クリーニング事故賠償基準
http://www.oc929.net/library/houki/baisyo.html
クリーニング事故賠償基準運用マニュアル
http://www.oc929.net/library/houki/unyo.html
23年度 問題9 民法 (正誤で×を選択) その1
いよいよ相談員試験らしく法律問題に突入しました。
まずは民法です。
こうやって並べると、民法の中でも消費者契約に関する基本的なものばかりですね。
すなわち、民法では勉強すべき範囲やポイントは限られているということです。
では何を勉強すればよいかということですが、できるだけ効率に勉強したい場合は、毎年5月に発売される「消費生活アドバイザー受験合格対策」の中の法律知識の民法を含めた法律の一般的な解説がされている最初の10ページ程度に絞って、そこから知識を広げていくという方法です。過去問と比べて説明されていない分野は個別に調べていくことになります。
民法は勉強し始めてもきりがなく、どこから手をつけていいのかわからないことがあります。
この本は勉強が終わった後の復習確認にも使用できます。
また、過去に紹介している参考書類をもう一度紹介しておきます。
「参考書2012」のページにまとめています
https://soudanshiken.com/room2012/book-sankou2012
①ポイントまとめタイプ
「消費生活アドバイザー受験合格対策」(amazonへ)
②消費者法全般を少ないボリュームで分かりやすく網羅解説
「18歳から考える消費者と法」(amazonへ)
③民法の条文の解説
「口語民法補訂4版」(amazonへ)
特に相談員試験を何から手をつけていけばいいのか分からない初心者(?)の人は、とりあえず、②「18歳から考える消費者と法」を読み込めば全体像が分かると思います。1日に2-3時間で1週間もあれば読めると思います。説明も初心者向けで分かりやすいです。
23年度 問題9①②③ 民法 (正誤で×を選択) その2
9.次の文章のうち、正しいものには○、誤まっているものには×を、解答用紙の解答欄に記入 (マーク) しなさい。また、誤まっているものには、誤まっている箇所 (1ヵ所) の記号も記入 (マーク) しなさい。
【解説と解答】
①
民法の錯誤無効に関する問題です。錯誤無効は現場でも頻繁に使いますし、消費者の行為や事業者の表示などが錯誤に該当するかどうかについての判断も現場でして行くことになるので民法の中でも最重要分野です。
基本原則となる民法の条文を確認します。
意思表示というのは表示した者に帰属するものであり、錯誤があったとしても、それを主張するかどうかは表示者の自由であり、主張せず、受け入れることには何ら問題はありません。したがって、相手方や第3者が存在する錯誤を主張しても表意者が主張しないのなら無効になることはありません。日常生活でもよくあることですので、判断に迷いますが、①は㋐が不正解と考えたらいいです。
インターネットでの注文に関する特別法といえば、ご存知「電子消費者契約法」ですね。
②
制限行為能力者とは、ものごとを判断する能力が不足している人のことで、法律によって保護されています。
民法第20条に「制限行為能力者(未成年者、成年被後見人、被保佐人及び第十七条第一項の審判を受けた被補助人をいう。以下同じ。)」という表現があります。
制限行為能力者には、この4類型があり、それぞれの類型によって、保護される内容(レベル)が異なっていますので、その違いをしっかり覚えておくことが重要です。
未成年者に法律行為は、第5条3で規定されている「お小遣いの範囲(法定代理人が目的を定めて処分を許した財産は、その目的の範囲内において、未成年者が自由に処分することができる)」であれば取消できませんが、車はお小遣いの範囲を超えているので法定代理人の同意がなければ取り消しできます。
また、成年被後見人は日常生活に関する行為は取り消しできませんが、車の購入は日常生活とは言えませんので、条文どおり取消できます。もちろん、同意があったとしても取消することができます。ただし、成年被後見人の法定代理人が行った法律行為は取消することができません。
問題の、「後見人の同意を得ていたか否かにかかわらず」で、「同意を得ていた」ら取消できないように感じるかもしれませんが、取り消しできるのです。
したがって、②はすべて正解となります。
なお、被保佐人については制限行為が第13条に列挙されています。
被補助人についてはあらかじめ制限する行為を選択しておくことになります。
注意しておかなければならないことは、制限行為能力者が詐欺的な手段を使ったときは取消できないということです。
これらの違いはポイントとなるのでしっかり勉強しておいてください。
③
強行規定は相談現場でも重要です。強行規定と任意規定はしっかり覚えておきましょう。
22年度の解説を引用します。
本来、契約とはお互いの合意に基づくものです。クーリングオフは契約は成立しているのに無条件で解約できるという契約の原則とは異なるルールであり、強行規定といいます。したがって、クーリングオフは3日間とする、クーリングオフは無効である、などの契約の特約を設けたとしても無効になります。強行規定とは非常に力のあるものです。
任意規定をもう少し詳しく解説すると、当事者に特約がなければ、普通に民法の規定に従うというものです。一般的な民法の規定ではない特約を設けたかったら、あらかじめ特約を設けておきます。そうすとと、この特約が優先されます。ただし、優先されるだけであって、常に有効とされるわけではありません。
今回の問題でに出てくる96条の「詐欺又は強迫による意思表示は、取り消すことができる」という規定を特約で排除することは当然許されないことは常識的に分かると思います。
したがって、③はすべて正解です。
23年度 問題9④⑤⑥ 民法 (正誤で×を選択) その3
9.次の文章のうち、正しいものには○、誤まっているものには×を、解答用紙の解答欄に記入 (マーク) しなさい。また、誤まっているものには、誤まっている箇所 (1ヵ所) の記号も記入 (マーク) しなさい。
【解説と解答】
④
いきなり「意思表示」に下線が引かれていますが、民法上の意思表示とは「法律効果が発生するという効果意思を、他人に知らせたいという表示意思を持って、外部に表示する表示行為を行うこと」です。ウィキペディアが参考になります(意思表示)。
代理行為による法律行為は民法第3節99条から118条に規定されています。それだけ重要ということでしょうね。
代理権には、本人から代理権が与えられる任意代理というのと法律の規定による法定代理の2種類があります。
任意代理は、例えば、「この本を買ってきて」と1000円渡してお願いするようなイメージを考えていただいたら分かりやすいです。
法定代理は、未成年者の契約を親権者がしたり、相続財産の管理人のように裁判所から選任されたりする場合などです。
ともに、代理人がした行為は本人がした行為となります。ただし、代理行為の瑕疵や制限などトラブル回避のための複雑な規定があります。
ということで、④はすべて正解です。
⑤
時効です。覚えるしかないです。時効の期間については民法ゆるめ、特別法きつめ、となっていますので、同じ時効でも適用する法律により時効の期間が変わってきますので、その違いをしっかり覚えておいてください。
口語民法にも分かりやすい解説と表が掲載されていますが、債権の10年時効には多くの例外があります。
そのなかでも、商行為から生じた債権は原則として5年(商法522条)となります。
問題にある民法724条による不法行為のの損害賠償請求は条文にあるとおり、3年です。また、不法行為から20年経過したときに時効になりますが、この20年を「除斥期間」といいます。除斥期間は民法の条文上には出てきません。除斥期間は消滅時効と対比されることがあり、実は難解な問題点となっているようです。
除斥期間の起算点は権利の発生日で期間が中断されることなく固定されており、裁判所が判断することができます。
ということで、知ったときから2年ではなく3年となるので、⑤は㋑が不正解となります。
細かい期間を問題にするとは意地悪ですね。
⑥
約款についての問題です。約款の定義としては問題文中にもあるとおり、「多数取引の画一的処理のため、あらかじめ定型化された契約条項」です。
約款といえば具体的にどんな契約をイメージしますか?
保険契約、通信契約、電気ガス契約、旅行契約など多数あります。私たちは日常的に約款を使用しています。
そもそも約款を使用しないとなると、事業者が契約するに際して、任意規定として、契約者と細かいところまで合意して契約しなければならず事実上不可能です。
そこで統一的な約款を作成しています。
便利な反面、こっそり不利益となる条項が書かれている場合もあります。
そのような背景から相談現場でも約款を確認するという場面は頻繁です。
さて、このような約款は事業者と消費者だけでなく、事業者と事業者でも日常的に契約されていることは分かりますよね。
この問題で判例として保険契約が例に出されています。22年度の試験もほぼ同じ内容でした。
約款の法的拘束力を認める場合の根拠について議論がありますが、判例では、「意思推定説(当事者が約款によらない旨の意思表示をせずに契約したときは、その約款による意思で契約したと推定すべきである)」との立場で、「大正4年」のものが踏襲されています。
また、ウの出題する意味が不明確ですが、消費者契約法では約款の「契約条項のうち約款の不当条項のみを対象」とありますが、「不当条項」だけでなく「契約 事項に錯誤があれば無効を主張できるのでは、と解釈して間違いとします。もともと、「のみを対象」という出題方式は間違っていることが多いですね。
というわけで、⑥は㋒が不正解だと思います。
消費者契約法と約款についての係争中の裁判があり注目です。
23年度 問題9⑦⑧⑨ 民法 (正誤で×を選択) その4
9.次の文章のうち、正しいものには○、誤まっているものには×を、解答用紙の解答欄に記入 (マーク) しなさい。また、誤まっているものには、誤まっている箇所 (1ヵ所) の記号も記入 (マーク) しなさい。
【解説と解答】
⑦
「取締規定」の定義は取締という文言からも想像がつくように行政上の取締で設問にあるとおりの説明です。
問題となるのは違反する行為がされたときにその効力は有効であるかどうかという話です。
身近なもので考えてください。
飲食店が無許可営業であった場合はもちろん「取締規定」に違反することになり行政的な罰則を受けることになりますが、では、その飲食店で飲食したという 「売買契約」そのものも無効となるのでしょうか?無効にはならないですね。民法では契約は自由に行えます。売買契約と取締規定は別個のものと考えてくださ い。
ただし、公序良俗(民法90条)に違反する場合は、「法律行為」も無効になるという例外があります。たとえば、違法な薬物を販売すれば取締規定に違反しますが売買契約も公序良俗により違法となるというのを想像していただければ分かりやすいと思います。
すると、普通の売買契約においても基本的には同じ考え方であるので、取締規定に反する契約がなされた場合は、行政的な罰則が適用されるが、契約自体は無効とはなりません。したがって、⑦は㋑が不正解です。
⑧
民法
第二節 債権の効力
第一款 債務不履行の責任等(第四百十二条―第四百二十二条)
に債務不履行が規定されています
消費者契約法の不当条項で損害賠償額が平均的な損害を超える場合は無効であるというのはご存知だと思います。
設問では2つの事例があり、無効であるかどうか判断されることになります。民法といいながら消費者契約法の問題になっていますね。
「ホテルのキャンセル料の条項」と「貸衣装の延滞料の条項」です。
実は両方無効になると思いましたが、違っており、悩みました。
22年度の問題でも「レストランのキャンセル料条項やビデオレンタル延滞料は、同条の規制対象からはずされている」の解説の一部が間違っていました。
ホテルのキャンセル料は「平均的な損害を超える場合は無効である」で正解だと思います。
実は、貸衣装の延滞料はビデオの延滞料で判例があるように、不当条項の中の「平均的損害」という考え方ではなく、延滞料が「金銭債務の遅延損害金の年利14.6パーセントを超える分」は無効であるという考え、もしくは、暴利をむさぼるのは消費者の利益を一方的に害するという考え方でいいと思います。
すなわち、ホテルのキャンセル料が平均的損害を超える場合は消費者契約法9条1が該当しますが、貸衣装の延滞料の場合は14.6%を超える部分は消費者契約法9条2または10条に該当します。
したがって、⑧は㋒が不正解となります。
なお、貸衣装やビデオの損害額の上限は無限に延滞料が加算されるのではなく新品の購入費用になります。購入価格を超える延滞料金は消費者契約法10条に違反すると考えます。
(参考)東京都港区のHPに分かりやすく解説されています。
ホーム > 暮らし・手続き > 消費生活 > 消費者契約法が適用された具体的な事例
http://www.city.minato.tokyo.jp/shouhisha/kurashi/shohi/jire.html
⑨は瑕疵担保責任の問題です。
イとウについては正解であることは分かりますよね。
アの設問がいまいち分かりにくいですね。
「隠れた瑕疵」の意味が単純に「売主から買主に告げられていない瑕疵」であっているのかどうかでということだとすると、正解のような気がしますが、解答では不正解になっています。悩む。
本来、「隠れた瑕疵」は契約時に買主が知らなかった瑕疵のことであり、その瑕疵については売主が知ってても知らなくても対象となるので、「売主から買主に告げられていない瑕疵」は「売主が瑕疵を知っていて買主に告げていない」と限定解釈したうえで、「隠れた瑕疵」はそれだけではなく、「売主が知らなかったために買主に告げていない」瑕疵についても対象となるので、「売主が瑕疵を知っていて買主に告げていない」だけではないので不正解である、としか考えられません。
分かりませんが、そういう意味で考えて⑨は㋐が不正解としておきます。
23年度 問題9⑩ 民法 (正誤で×を選択) その5
9.次の文章のうち、正しいものには○、誤まっているものには×を、解答用紙の解答欄に記入 (マーク) しなさい。また、誤まっているものには、誤まっている箇所 (1ヵ所) の記号も記入 (マーク) しなさい。
【解説と解答】
⑩あらゆる場面で登場する原状回復費用に関する「敷金返還請求訴訟」ですね。当然ながら知っているべき裁判例であり、現場でもこの判例や国土交通省が作成した「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」をもとに助言しています。
国土交通省HP
http://www.mlit.go.jp/
ホーム >> 政策・仕事 >> 住宅・建築 >> 住宅
http://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/
主な施策>主な取り組み>「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」について
http://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/torikumi/genzyokaifuku.htm
■「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」(再改訂版)本文
したがって、⑩はすべて正解です。
思考回路が止まってしまう民法ですが、5割以上は正解できるように集中しましょう。
23年度 問題10①②③ 消費者関連法 (正誤で×を選択) その1
10.次の文章のうち、正しいものには○、誤まっているものには×を、解答用紙の解答欄に記入 (マーク) しなさい。また、誤まっているものには、誤まっている箇所 (1ヵ所) の記号も記入 (マーク) しなさい。
【解説と解答】
①
深刻な消費者問題になっている訪問買取トラブルはご存知だと思います。事業者が商品を販売する訪問販売ではなく、訪問購入となるので、特定商取引法の6つの対象類型には該当しません。したがって、クーリングオフもできないのは当然です。
しかし、訪問購入時に誤認させるような説明や不退去(困惑)などがあれば消費者契約法第4条でで取消を主張できるのは一般的な取引に共通しているものといえます。したがって、①は㋐が不正解です。
ただし、訪問買取を特定商取引法の7つ目の対象類型に新たに指定されることが、この3月に閣議決定されました。施行日は決まってなかったように思いますが、次回の試験問題には必須ですね。とはいいながら、施行された頃には悪質な訪問買取業者の手口はなくなっていると思います。契約書面の交付なんて面倒でやってられませんよね。新たな手口を模索しているでしょう。
消費者庁HP
http://www.caa.go.jp/
ホーム > 組織・制度について > 国会提出法案
http://www.caa.go.jp/soshiki/houan/index.html
第180回国会(常会)提出法案
平成24年3月2日 特定商取引に関する法律の一部を改正する法律案 概要[PDF:205 KB]
http://www.caa.go.jp/soshiki/houan/pdf/120302_1.pdf
②
(参考)国民生活センター公表資料
短期解約特例制度とは、2006年7月以降の契約について、有料老人ホームに入居してから90日以内に退去あるいは契約解除をする場合、入居一時金など前払い金が全額返還されるシステムのことです。
老人ホームに関する標準約款は定められていないと思います。
ということで、②はすべて正解です。
③
社会問題となった「保証人紹介ビジネス」です。
このビジネスは、保証人を紹介するだけであり、対象となる保証の契約には業者は全く出てこない、すなわち、個人の契約書の保証人には業者名ではなく紹介された保証人が記載されることになるため、紹介事業者名はまったく出てきません。したがって、保証人が保証債務を履行しない場合は事業者が連帯責任を負うこともありませんし、貸金業にも当たらないし、契約書を作成するかどうかも任意です。
ということで、③はすべて正解です。
(参考)国民生活センター公表資料
23年度 問題10④⑤ 消費者関連法 (正誤で×を選択) その2
10.次の文章のうち、正しいものには○、誤まっているものには×を、解答用紙の解答欄に記入 (マーク) しなさい。また、誤まっているものには、誤まっている箇所 (1ヵ所) の記号も記入 (マーク) しなさい。
【解説と解答】
④
「医師が行う」というのがポイントで、医師が行う医療行為は特商法の継続的役務の「エステ」には該当しないと考えられています。ただし、医師が行うかどうか不明確な美容医療サービスは特商法の対象とすべきといわれています。
キャッチセールスの場合は単純に特商法の対象となると考えればいいです。
通信販売は、ネットや電話、郵便などの方法で申し込みをする遠隔地間取引のことですので、ネットの広告を見てクリニックに行った場合は「通信販売」にはなりません。
したがって、④は㋒が不正解です。アとイで悩む前にウが明らかに間違いなので、さっさと正解を選んで次に進みましょう。
⑤
クレジットカードのショッピング枠を現金化する方法は、大きく分けて「買取屋による方式」と「キャッシュバック付商品の販売による方式」の2 種類があります。
買い取り方式は、従来からある方法で、クレジットカードで購入した家電品や指輪などを、単純に買い取る方式です。当然買い取り金額は低くなります。商品の受け渡しをしないこともあります。新幹線の回数券もこれに該当します。
そして、キャッシュバック方式は、価値が不明の商品を購入すれば、同時にキャッシュバックを受けることができるとするものです。このキャッシュバック方式が急増しています。「キャッシュバック方式は景品表示法に違反しない合法なもの」「景品表示法を遵守しています。」と広告する業者もありますが、現金化は景品表示法の景品に該当しないに過ぎず、景品表示法に該当するかどうかの問題以前に、「クレジットカード現金化」はクレジットカード契約に違反する取引です。
とはいえ、カード規約に違反することが消費者に分かりやすく説明されていない問題もあることから、業界へは要望等も出しているところです。
そして、問題文中にあるとおり、購入代金額と受取金額との差額を金利と考えれば、実質的には高金利貸付けの可能性があります。
ということで、⑤はすべて正解です。特に難しくないと思います。
(参考)
国民生活センター公表資料
今回の5問ですが、実は、消費者庁のHPに掲載されている「設け話に注意!」というページで紹介されている8つに事例のうちの2つに該当します。
題文作成当時も同じだったかどうかは不明ですが、最新の事例としてチェックしておくことも重要だと思います。
消費者庁HP
ホーム > 消費者情報課 > 儲け話に注意!
http://www.caa.go.jp/information/kashikin.html
問題10は②が難しいかもしれませんが4問以上の正解を目指してください。
23年度 問題11 訴訟 (選択穴埋) その1
11.次の文章の[ ]の部分に入れるのに最も適切な語句を、下記の語群の中から選び、解答用紙の解答欄にその番号を記入(マーク)しなさい。なお、同一記号には同一語句が入る。
語群をグループ分けします
1.簡易裁判所 16.地方裁判所
2.主要な事実 11.客観的な事実
3.任意的 20.強制的
9.職権探知主義 13.処分権主義
8.依頼者 18.敗訴者
5.調停 10.あっせん
6.土地管轄 15.職分管轄
12.了承 19.自白
4.判決 17.決定
7.訴訟指揮権
14.適正手続の保障
訴訟に関する問題は必ず出題されますが、問題は本当に基本的なレベルです。
試験問題も重複する設問が多く、ポイントは限られています。
22年度の解説もあわせて参考にしてください。
なお、22年度の解説に書いたことを再掲します。
23年度 問題11 訴訟 (選択穴埋) その2
11.次の文章の[ ]の部分に入れるのに最も適切な語句を、下記の語群の中から選び、解答用紙の解答欄にその番号を記入(マーク)しなさい。なお、同一記号には同一語句が入る。
【解説と解答】
語群をグループ分けします
1.簡易裁判所 16.地方裁判所
2.主要な事実 11.客観的な事実
3.任意的 20.強制的
9.職権探知主義 13.処分権主義
8.依頼者 18.敗訴者
5.調停 10.あっせん
6.土地管轄 15.職分管轄
12.了承 19.自白
4.判決 17.決定
7.訴訟指揮権
14.適正手続の保障
民事紛争の解決方法には「裁判による解決」と「話し合いによる解決」とがあります。
「話し合いによる解決」には、
①「私法上(民法上)の和解」・・・民法上の和解契約(民法695・696条)、ADRもこの一種、示談ともいう、、裁判所は関与しない、合意の内容を強制するためには裁判上の和解が必要
②「裁判上の和解」・・・裁判官の前で当事者双方が合意する。内容が調書に記載されると確定判決と同じ効果がある、裁判所が関与する、訴え提起前の和解と訴訟上の和解がある
③「調停」・・・当事者が裁判所で話し合って合意し自主的に実行する。自主的にといっても調停委員会によって行われ、合意内容が調停長所に記載されると判決と同じ効果がある。
民事紛争の種類には裁判による解決と話し合いによる解決があります。話し合いには和解と調停があります。仲裁は第三者によるADRの一種です。
したがって、[ ア ]は「5.調停」となります。「10.あっせん」は和解の一種です。
話し合いには応じるかどうかは自由(任意)となっていますが、調停とは違い、裁判の場合は応じるべき強制力があります。もっとも、無視して裁判に応じないという選択肢もありますが、口頭弁論に答弁書を出さないなど何もしなければ自白したものとみなされ、相手側の訴えがそのまま認められ確定判決が出されてしまいます。一旦確定すれば後から覆すことは出来ません。ちなみに、事実に争いがないときに、何も言わなかったら「自白」となりますが、自ら相手の言い分を認めた場合は「認諾」といいます。
ということで、[ イ ]は「20.強制的」が、[ ウ ]は「19.自白」となります。
調停の訴えは被告の住所地を管轄する裁判所で行います。
語群の中で該当しそうなのは1つだけですので、[ エ ]は「6.土地管轄」となります。
管轄とは裁判所に対する裁判権の分配のことをいいます。法廷管轄(職分管轄・事物管轄)や裁判所の担当区域を定めた土地管轄、合意管轄などがあります。
ちなみに、「15.職分管轄」というのは、第一審はこの裁判所というように、どの裁判所にどんな種類の裁判を割り当てて役割を持たせるかということをいいます。
次の設問の段落だけ問題の流れからはみ出ており、問題の趣旨が分かりにくいです。
裁判では必ず弁護士に依頼しなければならないということはありませんが、高度に法的専門性を要求される民事訴訟では専門家の必要性は不可欠です。弁護士費用を用意することができない人には公的扶助制度があります。
また、敗訴すると裁判に要した費用を負担することになりますが、相手方の弁 護士報酬費用までは含まれておりません。
ただし、2004年3月に「敗訴した場合の弁護士報酬は敗訴者負担」が国レベルで検討され、法案が提出されましたが、医療事故のように敗 訴した場合の負担が大きくなれば、訴えることに萎縮してしまうことにもなりかねず、強い反対により導入されませんでした。
ということで、[ オ ]は「18.敗訴者」となります。
23年度 問題11 訴訟 (選択穴埋) その3
11.次の文章の[ ]の部分に入れるのに最も適切な語句を、下記の語群の中から選び、解答用紙の解答欄にその番号を記入(マーク)しなさい。なお、同一記号には同一語句が入る。
【解説と解答】
語群をグループ分けします
1.簡易裁判所 16.地方裁判所
2.主要な事実 11.客観的な事実
3.任意的 20.強制的
9.職権探知主義 13.処分権主義
8.依頼者 18.敗訴者
5.調停 10.あっせん
6.土地管轄 15.職分管轄
12.了承 19.自白
4.判決 17.決定
7.訴訟指揮権
14.適正手続の保障
訴訟を起こすか否か、どのような訴訟を起こすか、訴えを取り下げるか、和解するかなどは自分で決めることになります。これを専門用語で「処分権主義」といいます。
裁判では当事者が申し立てない事項について判決を出すことはできません。申し立てた範囲内で審理が行われ判決が出されます。これを専門用語で「弁論主義」といいます。
弁論主義とは
・自分に有利な事実は自分の側で主張する
・自白には拘束力がある(自分に不利内容を認めてしまうと後から簡単にはひっくり返すことができない)
・自分に有利な証拠は自分の側でだす
ということで、[ カ ] は「13.処分権主義」が正解となります。
弁論主義により、裁判の基礎となる訴訟資料(事実と証拠)の提出は当事者が行いますが、弁論主義が適用される事実は、法律効果の判断に直接必要な事実である「主要な事実」に限られます。
一般的に、一定の法律効果が発生するために必要な具体的事実を要件事実といい、民事訴訟では主要事実が該当します。
ということで、[ キ ] は「2.主要な事実」が正解となります。
弁論主義では証拠の提出は当事者の責任とされていますが、裁判所が判決を下すために職務の一環として事実関係の審査をすることがあり(職権証拠調べ)、これを「職権探知主義」といいます。したがって、[ ク ] は「9.職権探知主義」が正解となります。
調停で合意が成立し、調停調書に記載されれば裁判上の和解と同一の効力が認められますすなわち、確定判決と同一の効力を持つということになります。したがって、強制執行をすることもできます。
ということで、[ ケ ]は「4.判決」が正解となります。
最後に少額訴訟です。
少額訴訟は、少額の金銭の支払いを目的とする訴訟について、主として、一般市民が迅速に解決するための制度で、簡易裁判所の管轄です。
少額訴訟は、当初30万円以下が対象でしたが、平成15年に60万円以下に改正されました。
ということで、[ コ ]は「1.簡易裁判所」が正解となります。
また、判決で分割払いや支払猶予を目汁ことが民事訴訟法第375条により可能となります。
訴訟特有の専門用語があり、覚えるしかないですが、そんなに多くはないので一通り勉強してください。
22年度の正誤問題に比べて穴埋ですので分かりやすいです。
8割以上の正解を目指しましょう。
23年度 問題12①② 消費者契約法 (正誤で×を選択) その1
12.次の文章のうち、正しいものには○、誤まっているものには×を、解答用紙の解答欄に記入 (マーク) しなさい。また、誤まっているものには、誤まっている箇所 (1ヵ所) の記号も記入 (マーク) しなさい。
【解説と解答】
①
消費者契約法の条文を参照してください。
設問では一定の不当な勧誘行為となっていますが、これは、他の条文でも、「消費者契約の締結について勧誘をするに際し」となっていますので、素直に正解と考えてください。あとは、ほぼ条文どおりです。
したがって、①はすべて正解です。
②
22年度の解説をそのまま使わせていただきます。税理士ではなく、わざわざ税理士個人と書かれていますね。基本として、会社であろうがPTAであろうが、団体は除かれます。逐条解説のとおり、個人事業者については、「事業者」として契約の当事者となる場合も、「消費者」として契約の当事者となる場合もある。
ということで、②は㋒が不正解となります。
23年度 問題12③④⑤⑥ 消費者契約法 (正誤で×を選択) その2
12.次の文章のうち、正しいものには○、誤まっているものには×を、解答用紙の解答欄に記入 (マーク) しなさい。また、誤まっているものには、誤まっている箇所 (1ヵ所) の記号も記入 (マーク) しなさい。
【解説と解答】
③
第4条に取り消しができる対象が大きく分類して3つ列挙されています。
(1)4条第1項→誤認・・・不実告知、断定的判断の提供
(2)4条第2項→誤認・・・不利益事実の不告知 ※「ただし書き」あり
(3)4条第3項→困惑・・・不退去、退去妨害(監禁)
すると、この設問はすべて正解のように思えますが、少し落とし穴があって、「事業者の主観的認識に関係なく」という前提があります。
すなわち、「事業者が意識してようが意識してなかろうが」と言い換えると、第2号にだけ、ただし書きが書かれています。
「ただし、当該事業者が当該消費者に対し当該事実を告げようとしたにもかかわらず、当該消費者がこれを拒んだときは、この限りでない。」
この例外規定は事業者が証明する必要があります
ということで、③は㋒が不正解となります。
④
③と同じような問題です。
不実告知は消費者側の事情に関係なく、「不実告知」という事実さえあればいいことになります。
不退去の場合は「退去すべき旨の意思を示したにもかかわらず」という消費者側の事情が前提となっています。
したがって、④は㋒が不正解となります。
もちろん、「不利益事実の不告知」の場合は消費者側が説明を阻んだときには「ただし書き」により取り消しできなくなることがあるのは問題③と同じです。
⑤
退去妨害(監禁)の解釈に関する問題です。逐条解説を参考にしてください。
ということで、⑤はすべて正解です。
⑥
取消権の時効についての問題です。
一般法(民法)に比べて特別法(消費者契約法)は消費者の権限が強く取消の要件が緩くなっています。そのため、権利を行使できる期間が少なくなっています。
民法の問題でも頻出です。
ちなみに逐条解説でも表になっています。
したがって、⑥はすべて正解です。
23年度 問題12⑦⑧⑨ 消費者契約法 (正誤で×を選択) その3
12.次の文章のうち、正しいものには○、誤まっているものには×を、解答用紙の解答欄に記入 (マーク) しなさい。また、誤まっているものには、誤まっている箇所 (1ヵ所) の記号も記入 (マーク) しなさい。
【解説と解答】
⑦
「学納金訴訟最高裁判決」は消費者契約法の歴史上の重大事件のひとつです。
実務的にも活用されていますし、「平均的損害」についての考え方も明確になっています。
また、2次試験の面接でも出題されることがあります。
絶対に理解しておいてください。
国民生活センターHP
トップページ > 相談事例・判例 > 消費者問題の判例集 > 大学に対する入学辞退者による学納金返還請求
http://www.kokusen.go.jp/hanrei/data/200706.html
すなわち、入学金は返還しないが、授業料は3月31日までに入学辞退を申し出れば返還されます。
(入学後に辞退した場合についての判例もあります)
したがって、⑦は㋐が不正解です。
⑧
⑤の設問が「退去妨害(監禁)」でしたが、⑧の設問は「不退去」です。
逐条解説のとおりです。
したがって、⑧はすべて正解です。
⑨
「建物賃貸借契約における敷引特約」ですが、「通常使用分の原状回復費用」などとともに、様々な判例が出ており、⑦の「学納金訴訟最高裁判決」に並ぶ重要な分野ですので、必須事項となります。
敷引き特約の効力に関する裁判例は下級審で様々に示されていましたが、平成23年3月に初めて最高裁で、敷引き特約が消費者契約法第10条により無効となるか否か判断されました。今回の問題は、この判例が出題されたものです。
問題文は判決要旨そのままです。
したがって、⑨はすべて正解です。
最高裁判所
http://www.courts.go.jp/
判例検索
23年度 問題12⑩ 消費者契約法 (正誤で×を選択) その4
12.次の文章のうち、正しいものには○、誤まっているものには×を、解答用紙の解答欄に記入 (マーク) しなさい。また、誤まっているものには、誤まっている箇所 (1ヵ所) の記号も記入 (マーク) しなさい。
【解説と解答】
⑩
差止請求に関しては押さえておかなければならないポイントがあります。
(1)適格消費者団体について
(2)2008 年(平成20 年)改正により、景品表示法と特定商取引法が差止請求の対象に追加
(3)他の適格消費者団体を当事者とする差止請求に係る訴訟等につき既に確定判決等が存する場合において、請求の内容及び相手方が同一である場合はすることができない・・・(差止請求の制限)第十二条の二
(4)差止請求はできるが損害賠償請求はできない
ということで、⑩は㋑が不正解です。
差し止め請求の対象となるのは、消費者契約法の不当な勧誘行為(第4条第1項第2項第3項)および不当な契約条項(第8条第9条第10条)です。
第4条
第1項・・・誤認(不実告知・断定的判断の提供)、第2項・・・不利益事実の不告知、第3項・・・困惑(不退去・退去妨害)
第8条・・・事業者の損害賠償の責任を免除する条項の無効
第9条・・・消費者が支払う損害賠償の額を予定する条項等の無効
第10条・・・消費者の利益を一方的に害する条項の無効
また、2008 年(平成20 年)改正により、景品表示法と特定商取引法が差止請求の対象に追加されました。それぞれの法律に条文があります。
基本的な問題ばかりですが、引っ掛け的な細かい設問があるので、思ったよりも難しいかもしれません。考えれば考えるほど時間がかかって、あせってしまうおそれもありますので、実力を出し切れるとは限らないので、そのあたりも考慮しておいてください。
6割以上を目標に上積みしてください。
23年度 問題13 住宅の損害賠償 (選択穴埋) その1
13.次の文章の[ ]の部分に入れるのに最も適切な語句を、下記の語群の中から選び、解答用紙の解答欄にその番号を記入(マーク)しなさい。なお、同一記号には同一語句が入る。
【解説と解答】
語群をグループ分けします
1.契約解除 2.慰謝料 3.懲罰的賠償 18.建替費用相当額の損害賠償請求
4.売買契約 7.請負契約 11.不動産媒介契約 16.委任契約
5.工作物責任 6.説明責任 12.不法行為責任 17.瑕疵担保責任
8.20年間 10.10年間
9.相当因果関係 13.事実的因果関係
14.雨水の浸入を防止する部分 19.耐火性能に関する部分
15.宅地建物取引業法 20.住宅の品質確保の促進等に関する法律
この問題には、そもそも「契約」とは何か?という要素が含まれていると思います。
実は民法には第3編「債権」の中の第2章「契約」に13種の典型的タイプの契約(典型契約)が定められています。
民法は、これらの典型契約のそれぞれについて、どのような契約なのかの定義や具体的な権利義務(債権債務)の関係を定めています。
ただ、現在では特別法によってだいぶ改められており、新しい型の契約が定型化されたり、重要性を失っている契約もあります。
参考書として紹介している「口語民法」に分かりやすく解説されています。
「建売住宅を購入」ということですので単純に「売り買い」の契約です。したがって、[ ア ]は「4.売買契約」となります。
「注文住宅を建築する」場合は、「住宅を建てる」という仕事をしてもらう契約になります。したがって、[ イ ]は「7.請負契約」となります。
なお、「11.不動産媒介契約」ですが、「代理」は法律行為の事務の委託となり「民法での委任契約」になりますが、「媒介」は法律行為ではない事務の委託となり「民法での準委任契約」に該当するというのが一般的な考えです。
ちなみに、その直後の問題文に、「売主や工事請負人に対して」とかかれているので、売買契約・請負契約であるという答が書いているようなものです。
23年度 問題13 住宅の損害賠償 (選択穴埋) その2
13.次の文章の[ ]の部分に入れるのに最も適切な語句を、下記の語群の中から選び、解答用紙の解答欄にその番号を記入(マーク)しなさい。なお、同一記号には同一語句が入る。
【解説と解答】
語群をグループ分けします
1.契約解除 2.慰謝料 3.懲罰的賠償 18.建替費用相当額の損害賠償請求
4.売買契約 7.請負契約 11.不動産媒介契約 16.委任契約
5.工作物責任 6.説明責任 12.不法行為責任 17.瑕疵担保責任
8.20年間 10.10年間
9.相当因果関係 13.事実的因果関係
14.雨水の浸入を防止する部分 19.耐火性能に関する部分
15.宅地建物取引業法 20.住宅の品質確保の促進等に関する法律
(請負人の担保責任)
第六百三十四条 仕事の目的物に瑕疵があるときは、注文者は、請負人に対し、相当の期間を定めて、その瑕疵の修補を請求することができる。ただし、瑕疵が重要でない場合において、その修補に過分の費用を要するときは、この限りでない。
2 注文者は、瑕疵の修補に代えて、又はその修補とともに、損害賠償の請求をすることができる。この場合においては、第五百三十三条の規定を準用する。
(抵当権等がある場合における売主の担保責任)
第五百六十七条 売買の目的である不動産について存した先取特権又は抵当権の行使により買主がその所有権を失ったときは、買主は、契約の解除をすることができる。
2 買主は、費用を支出してその所有権を保存したときは、売主に対し、その費用の償還を請求することができる。
3 前二項の場合において、買主は、損害を受けたときは、その賠償を請求することができる。
(不法行為による損害賠償)
第七百九条 故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。
住宅に欠陥があった場合には、契約上の責任ということで、責任の語群から選びますが、欠陥は専門用語で「瑕疵」といいます。普通の人は知らない言葉です。
ということで、[ ウ ]は「 17.瑕疵担保責任」となります。
次の問いは答えにくいですが、「責任」の語群から選ぶので簡単です。
直接的に責任を問う相手がいない場合、すなわち売買契約では購入者と建売販売業者と住宅を建てた業者という三角関係があり、購入者と建築業者とは直接的に契約関係はありませんが、欠陥(瑕疵)のある建物を建てたという責任があり、それは「法律上保護される利益を侵害した」ということで、「不法行為」を追求できる可能性があります。ということで、[ エ ]は「12.不法行為責任」となります。
23年度 問題13 住宅の損害賠償 (選択穴埋) その3
13.次の文章の[ ]の部分に入れるのに最も適切な語句を、下記の語群の中から選び、解答用紙の解答欄にその番号を記入(マーク)しなさい。なお、同一記号には同一語句が入る。
【解説と解答】
語群をグループ分けします
1.契約解除 2.慰謝料 3.懲罰的賠償 18.建替費用相当額の損害賠償請求
4.売買契約 7.請負契約 11.不動産媒介契約 16.委任契約
5.工作物責任 6.説明責任 12.不法行為責任 17.瑕疵担保責任
8.20年間 10.10年間
9.相当因果関係 13.事実的因果関係
14.雨水の浸入を防止する部分 19.耐火性能に関する部分
15.宅地建物取引業法 20.住宅の品質確保の促進等に関する法律
建物の欠陥に関する損害賠償は、民法の世界でも昔から議論され、様々な説が唱えられています。また、判例も多く出ていますので、かなり整理されてきたのではないでしょうか。
欠陥住宅に限らず、一般論としての損害賠償請求における損害の範囲は、民法416条に債務不履行の損害賠償の範囲につて定められており、他の損害賠償にも準用されます。
条文中の「通常生ずべき損害の賠償」が、損害の範囲となり、この「通常発生する範囲内の損害」のことを「相当因果関係にある損害」といいます(口語民法より)。
ということで、[ オ ]は「9.相当因果関係」が正解です。
「被害者の精神的苦痛」とくれば、素直に「慰謝料」となります。
したがって、[ カ ]は 「2.慰謝料」が正解です。
ただし、覚えておかなければならないのは裁判では財産的被害は財産的価値が回復されればよい、ということで、原則として慰謝料は認められていません。
しかし、欠陥住宅被害にあった場合、生活の本拠が脅かされるため、財産的被害だけでなく、精神的にも多大な負担を負ってしまうことがあるということで、最近の判例では慰謝料を認めることも多くなってきました。欠陥住宅による慰謝料請求の裁判例を研究してまとめてりる論文などもあります。
また、民法では「慰謝料」は民法710条の不法行為に規定されており財産以外の損害に対する賠償ということで「精神的苦痛による慰謝料」もここに含まれます。なお、慰謝料については債務不履行によるものも認められるのが通説ですが直接の条文にはなく、710条に絡めて慰謝料を請求することになります。
慰謝料を請求できる場合は「不法行為」と「債務不履行」と覚えておいたらいいと思います。
民法635条は請負契約の目的物に瑕疵があり、契約の目的を達することができない場合は「契約を解除」することができる。
というのもです。しかし、この条文には「ただし書き」があって、建築その他の土地の工作物については除外されています。なぜなら、住宅の一部に欠陥があったとしても、利用価値はあるのに建て替えすることは請負人に過酷で社会経済的な損失も大きいということになっています。
といっても、あまりにもひどい欠陥の場合には建て替えしか選択肢がなく、その場合には建て替え費用相当額が賠償されるという判例が出ています。
ということで、[ キ ]は 「18.建替費用相当額の損害賠償請求」が正解です。
23年度 問題13 住宅の損害賠償 (選択穴埋) その4
13.次の文章の[ ]の部分に入れるのに最も適切な語句を、下記の語群の中から選び、解答用紙の解答欄にその番号を記入(マーク)しなさい。なお、同一記号には同一語句が入る。
【解説と解答】
語群をグループ分けします
1.契約解除 2.慰謝料 3.懲罰的賠償 18.建替費用相当額の損害賠償請求
4.売買契約 7.請負契約 11.不動産媒介契約 16.委任契約
5.工作物責任 6.説明責任 12.不法行為責任 17.瑕疵担保責任
8.20年間 10.10年間
9.相当因果関係 13.事実的因果関係
14.雨水の浸入を防止する部分 19.耐火性能に関する部分
15.宅地建物取引業法 20.住宅の品質確保の促進等に関する法律
あまり知られていないかもしれませんが、「住宅品質確保法」「住宅性能評価」について、消費者センターには多くの種類のリーフレットが置かれています。
それだけ、国は広報に力を入れているのではないかと思います。
ただ、住宅を買う当事者にとっては重大事項かもしれませんが、縁のない人には知らない世界です。
勉強して知っておくしかないでしょう。
国土交通省HP
ホーム >> 政策・仕事 >> 住宅・建築 >> 住宅 >> 住宅の品質確保の促進等に関する法律
http://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk4_000016.html
概要
『法律・制度全般』
法律の概要(平成19年10月1日改訂版)
http://www.mlit.go.jp/common/000052921.pdf
2.骨子
■瑕疵担保責任の特例
①新築住宅の取得契約(請負・売買売買)において、基本構造部分(柱・梁など住宅の構造耐力上主要な部分等)の暇疵担保責任(修補請求権等)を 10年間義務付ける。
②新築住宅の取得契約(請負・売買売買)において、基本構造部分以外も含めた暇疵担保責任の20年までの伸長も可能にする。
4.新築住宅に係る瑕疵担保責任の特例
①対象となる部分
・構造体力上主要な部分
住宅の基礎、基礎ぐい、壁、柱、小屋組、土台、斜材、床版、屋根版、横架材のうち、当該住宅の自重若しくは積載荷重、積雪、風圧、土圧若しくは水圧又は地震その他の震動若しくは衝撃を支える部分(建築基準法施行令第l条第l項第3号と同様の内容)
・雨水の浸入を防止する部分
① 住宅の屋根又は外壁
② 住宅の屋根又は外壁の開口部に設ける戸、わくその他の建具
③ 雨水を排除するため住宅に設ける排水管のうち、当該住宅の屋根若しくは外壁
の内部又は屋内にある部分
②請求できる内容
・修補請求(民法上売買契約には明文なし)
・損害賠償請求
・解除(解除は売買契約のみで、修補不能な場合に限る。)
③瑕疵担保機関
完成引渡しから 10 年間義務化
※これらに反し住宅取得者に不利な特約は無効
ということで、法律の名前を問う[ ク ]は「20.住宅の品質確保の促進等に関する法律」が正解です。
そして、10年保証となる部分についての設問も、[ ケ ]が「14.雨水の浸入を防止する部分」、[ コ ]が「10.10年間」が正解となります。
問題13は何もない状態でとくのは難しいかもしれませんが、語群からの選択方式で、しかも語群の分類分けから考えると正解が出しやすく、常識的なところでも輪kるので知識がなくても点数が取れます。8割以上は正解して点数を稼ぎましょう。
23年度 問題14 特定商取引法 (正誤で×を選択) その1
22年度に書いた記事を再掲します。
勉強方法が分からない場合は消費生活安全ガイドのHPをしっかり読み込んでください
消費生活安全ガイド
http://www.no-trouble.go.jp/
特定商取引法の条文
http://www.no-trouble.go.jp/#1400000
平成20年法律改正に関する情報(改正法テキスト)
http://www.no-trouble.go.jp/page?type=gallery&id=1251714214636
特定商取引に関する法律
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S51/S51HO057.html
法律解釈は逐条解説を参考にしてください。
特定商取引に関する法律・解説(平成21年版)
http://www.no-trouble.go.jp/#1259300931251
23年度 問題14①② 特定商取引法 (正誤で×を選択) その2
14.次の文章のうち、正しいものには○、誤まっているものには×を、解答用紙の解答欄に記入 (マーク) しなさい。また、誤まっているものには、誤まっている箇所 (1ヵ所) の記号も記入 (マーク) しなさい。
【解説と解答】
いよいよメインの特商法の問題がやってきました。まず、問題文が長いです。読む気がなくなってしまいます。
しかし、意外にも、明らかに不正解と思われるものが含まれていることが少なくないです。すると、ほかの部分が正解かどうか分からなくても、正解を導き出すことができます。
短時間の間にれを判断するセンスがあれば意外に点数を取ることができます。単純なYES/NO形式の設問も少なくありません。
試験時間の半ばを過ぎた時間帯に集中です。
①
明らかに間違いが含まれています。簡単ですね。
インターネットオークションの個人間取引は通信販売ではありません。
それに気づけば、即答で、㋒が不正解と分かります。
あとの2つは覚えにくいですが条文に出てきます
ちなみに、オークションといっても出品者が事業者であれば通信販売になります。
また、個人であっても販売業者に該当する条件を満たせば事業者になります。
逆説的に考えた方がわかりやすいかもしれません。
ネットでの商品購入は原則として通信販売になるが、個人が掲示板やオークションサイトで所有する物品を廉価で譲渡するのみで反復継続性がなければ、個人間取引で事業者には当たらない、ということです(逐条解説参照)。
インターネット・オークションにおける『販売業者』に係るガイドライン
http://www.meti.go.jp/policy/economy/consumer/consumer/tokutei/pdf/auctionguideline.pdf
②
統括者、勧誘者、一般連鎖販売業者と3つの主体があるのでややこしいですが、「統括者、勧誘者」と「一般連鎖販売業者」とに大きく分けられます。
基本的に「統括者、勧誘者」が一番悪質だということで、そそのかされてなった「一般連鎖販売業者」はゆるくなっているということでしょうね。
条文にもあるとおり、前者は不実告知のほかに、「故意に事実を告げず」がプラスされています。
なぜそうなるのかは逐条解説を読んでもわかりにくいですが、事実の不告知はその事実をもって違反とはならず、「故意に」なされた場合に違反となり、「一般連鎖販売業者」は他の部分も含め、そこまでの責任は課されていない(一種の被害者かもしれない)ということかもしれませんね。
ということで、②はすべて正解です。
23年度 問題14③ 特定商取引法 (正誤で×を選択) その3
14.次の文章のうち、正しいものには○、誤まっているものには×を、解答用紙の解答欄に記入 (マーク) しなさい。また、誤まっているものには、誤まっている箇所 (1ヵ所) の記号も記入 (マーク) しなさい。
【解説と解答】
③
まず、訪問販売の定義を知ることが重要であり、現場でも、その契約が訪問販売に該当するかどうかで対応方針が大きく異なってきますのでおさえるべき事項です。
特に、今回の問題のような展示会販売はトラブルも多く、まず、訪問販売に該当するかどうかを判断することから始まります。
最初に「1週間にわたりホテルの会場を利用して呉服の展示会販売を行う」行為が訪問販売に該当するか、単なる販売店での店舗購入に該当するかどうかです。
訪問販売であれば、書面交付やクーリングオフなど特商法の規制を受けることになります。
特商法の定義では、第1号は店舗外契約、すなわち自宅への訪問やキャッチでファミレスで契約など単純に考えていただけたらいいと思います。第2号はアポイントメントセールスやキャッチセールスなどで、様々な方法により勧誘し、事業者の営業所へ連れてきて契約することをいいます。
現場では展示会や健康食品のSF商法での契約トラブルの場合、まず営業日数を確認します。1日や2日だと店舗とはみなされないので第1号に該当し訪問販売となりますのでクーリングオフが可能です。営業期間が長くなれば店舗ということになり、第2号の勧誘方法を検討することになります。
では、「営業所等に該当するかどうか」を検討します。単純には1週間の営業は固定店舗とみなされるので訪問販売にならないので勧誘方法や販売方法の検討をしていくことになりますが、営業所の定義に合致しているかどうかを検討します。
施行規則では、「一定の期間にわたり、商品を陳列し、当該商品を販売する場所であつて、店舗に類するもの」は営業所に該当するので、第1号の訪問販売は適用されません。一定の期間というのは2-3日以上のことであり、ホテル等は店舗に類するものとなります。ただし、「商品を陳列し」とは「消費者が自由に商品を選択できる状態にある」ということが前提になっており、これが満たされないと営業所等に該当しないとなります。その条件が逐条解説で例示されています。
ということで、設問のイとウはこの条件に該当するため第1号の訪問販売となります。
ではアはどうなるのかというと、1週間の営業ということで通常の固定店舗とみなされます。そこで検討するのが、「勧誘方法」に関するものであり、販売目的を隠して特定の場所への来訪を要請した場合は、特商法のアポイントメントセールス等となり、第2号の訪問販売に該当します。今回の設問では小さい文字でありながら「販売目的」を表示しているので、「隠して」と断言できるかどうかですが、これについても逐条解説に説明があります。
ということで、アは販売目的を隠していることになるのでアポイントメントセールス等に該当する第2号の訪問販売となります。
要するに、販売目的を示す条件を無理やり満たしていても、消費者が販売目的であることを認識できているのかを争点として交渉していく余地があるということです。
ところが、この設問はアイウが「いずれも、商品を陳列し、消費者が自由に商品を選択できる状態だったとはいえないため、その契約はいわゆる店舗外取引として訪問販売に該当する」かどうか、すなわち第1号に該当する訪問販売かどうかを問われているので、イとウは第1号ですが、アは第2号となります。
したがって、③は㋐が不正解となります。
引っ掛け問題的で嫌ですね。
反面、問題の意図が分かっていると中身を検討することなくアが不正解と導き出すことも可能です。
23年度 問題14④⑤⑥ 特定商取引法 (正誤で×を選択) その4
14.次の文章のうち、正しいものには○、誤まっているものには×を、解答用紙の解答欄に記入 (マーク) しなさい。また、誤まっているものには、誤まっている箇所 (1ヵ所) の記号も記入 (マーク) しなさい。
【解説と解答】
④
訪問販売は消費者が冷静に考える余地がないうちに契約させてしまう不意打ち性がに問題があるので特商法で規制されています。
したがって、店舗に赴き商品を購入したが「サイズが合わなかった、人に贈ったが気に入らなかった、心変わりした」などの理由でクーリングオフしたいといってもできないのは当然で、店舗との自主交渉になります。しかし、現場ではこの手の相談が多く、なぜできないのだ、消費者センターは消費者の味方じゃないのか、税金泥棒、などと非難を浴びます。不意打ち性をしっかり理解しておいてください。
法26条の適用除外に関する問題になります。
設問の、チラシを見て商品を決めて業者を呼んで契約すれば、消費者がじっくり考えて決めたことなので不意打ち性はなく訪問販売には該当しません。
したがって、特商法に基づく書面交付義務もなく、クーリングオフもできません。ただし、通常の契約書を取り交わすことは民法上のトラブルを回避するためにも義務ではありませんが必要と考えた方がいいと思います。
後半の部分の解釈が難しいです。
突然の訪問で見積書は作成して、後日の来訪で契約した、ということですが、明確に買う意思をもって来訪要請していたのであれば適用除外になりますが、設問では、「消費者の方から後日電話をさせる約束をとりつけ」とあります。つまり、明確に買う意思がなくても電話するように業者に言われていたと解釈し、その電話で訪問することを約束したと考えれば、特商法が適用されると考え、クーリングオフが可能です。例えば、買うか買わないかを電話してほしいといわれていて、契約しない旨返答したのに説得されて再訪問にいたり契約してしまったなど。
したがって、④は㋒が不正解です。
なんだかスッキリしませんが、答がそうなので、こう解釈しました。
さて、このチラシを見て業者を呼ぶというのは特商法が適用される場合もあるので覚えておく必要があります。
「商品等についての単なる問合せ又は資料の郵送の依頼等を行った際に、販売業者等より訪問して説明をしたい旨の申出があり、これを消費者が承諾した場合は、消費者から「請求」を行ったとは言えないため、本号には該当しない。」
⑤
この問題は「無料低額宿泊所の利用サービス等の提供」という題材が混乱を招く気がしますが、単なる役務のキャッチセールスと考えるのが素直です。
平成20年度の特商法の改正で指定商品制・指定役務制が撤廃されてすべての商品・役務が規制対象となりました。
公園で声をかけて契約した場合は訪問販売の「第2条第1項の営業所以外の場所での契約」に当たりますし、公園で声をかけて事業者の事務所に同行させて契約した場合は「第2条第2項の営業所での契約」に該当します。
したがって、⑤は㋒が不正解です。単純素直に考えましょう。
⑥
消費生活安心ガイドより
業務提供誘引販売取引・・・「仕事を提供するので収入が得られる」という口実で消費者を誘引し、仕事に必要であるとして、商品等を売って金銭負担を負わせる取引のこと。
クーリングオフは20日間ですのでアとイは正解であることの説明は不要ですよね。
さて、問題は「軽貨物運送の代理店契約」ということです。
単純な内職商法と違い、契約と同時に運送業の営業届けを出していることもあり、業者はあくまで事業所等で業務を行っている者との契約であるとして、特定商取引法のクーリング・オフや取消権のルールは適用にならないと主張します。しかし、営業の届出をしていても、実質のある事業を行っていない場合は事業所等に当たらず、特商法の適用対象となります。
したがって、⑥は㋒が不正解です。
国民生活センターHP
トップページ > 注目情報 > 発表情報 > 「独立開業で高収入?」軽貨物運送の代理店契約に関する相談が再び増加!-支払いできず、多重債務に陥るケースも-
[2010年9月1日:公表]
http://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20100901_3.html
23年度 問題14⑦⑧ 特定商取引法 (正誤で×を選択) その5
14.次の文章のうち、正しいものには○、誤まっているものには×を、解答用紙の解答欄に記入 (マーク) しなさい。また、誤まっているものには、誤まっている箇所 (1ヵ所) の記号も記入 (マーク) しなさい。
【解説と解答】
⑦
適用除外の問題です。
基本的な適用除外事項として、他の法律で同様の規制がある場合は、そちらの法律が適用されます。代表的な法律が26条に列挙されており、そのなかに宅建業法も含まれます。したがって、特商法に基づくクーリングオフはできませんし、特商法に基づく書面交付義務もありませんが、宅建業法37条による書面交付義務があります。
宅地建物取引業の登録をしていない不動産業者の場合は宅建業法が適用されませんので、一般的な法律、すなわち、特商法や消費者契約法が適用されることになります。したがって、電話のアポイントメントセールスでの訪問販売による契約となるので、規制事項が守られていない場合はクーリングオフが可能です。
ということで、⑦は㋑が不正解です。
参考までに、不動産の場合、一般的に宅建業法に基づく売買契約書に契約の解除について定められていますので、契約に基づいての「解除」になります。定めのあるときは書くことになっていますので、もし契約書に書かれていない場合は、民法557条の規定を適用することになるかもしれないので、不動産の解約手付けや債務不履行については法律解釈でもっと深い部分があります。
この設問の背景として、投資用不動産の強引な電話勧誘が社会問題になったという事件が関係しています。
従来は、宅建業者でなければ特商法により再勧誘の禁止がいえますが、宅建業者の場合、宅建業法に再勧誘の禁止について明確な規定がありませんでしたが、平成23年10月に法律の改正があり、再勧誘の禁止が明文化されました。
⑧
特商法の特定継続的役務に関する定義の基本です。
浪人生だけは対象外です。浪人生と現役生が混ざっている場合は対象となります。特定継続的役務には期間と金額が決まっており、金額は一律5万円を超えるものですが、期間は異なっており、今回の「いわゆる学習塾は」は2ヶ月を超えるものとなっています(エステだけが1ヶ月で他は2ヶ月)。また、クーリングオフの期間は8日間です。
ということで、⑧はすべて正解です。
23年度 問題14⑨⑩ 特定商取引法 (正誤で×を選択) その6
14.次の文章のうち、正しいものには○、誤まっているものには×を、解答用紙の解答欄に記入 (マーク) しなさい。また、誤まっているものには、誤まっている箇所 (1ヵ所) の記号も記入 (マーク) しなさい。
【解説と解答】
⑨
次々販売・過量販売に関する規制です。
その量を超えた分についてのみ契約の解除ができます。過去の分もまとめてとはなりません。ただし、過去の分について書面不備などの違反があれば解除の余地はあります。
設問がだらだらしていて分かりにくいですが、過去の分も解除できるとした㋐が明らかに間違いなので、時間の限られた試験では、その部分に気づいてさっさと先に進みましょう。
ということで、⑨は㋐が不正解です。
⑩
特商法の定義に関する基本問題です。
特に難しいことはないと思います。
ということで、⑩はすべて正解です。
メインの法律だけに、設問を読むだけでしんどくなってしまいます。集中して単純ミスのないようにがんばりましょう。
6割以上を目標にしましょう。
23年度 問題15 割賦販売法 (正誤で×を選択) その1
「割賦販売法」、略して「割販法」です。
クレジットに関する法律です。
クレジットといっても、さまざまな分類パターンがあります。
特に、特商法が2009年に改正されたときに、割販法も同時に改正されており、しかも、これが非常に重要な改正になっています。
それ以後については大きな変化はありません。
所管は経済産業省になります。
現場では、実際に割販法に基づいてあっせんするという機会はあまりないように感じます。
ただし、最近は携帯電話の購入が実質0円といいながら、個別信用購入あっせん契約になっています。
毎月の電話料金を滞納してしまうと、携帯電話機の割賦購入の支払を延滞したことになり、記録され、家のローンが組めなくなるような不利益を受けてしまうこともありうるのが怖いところです。
消費者の多くが今までに縁のなかった割賦購入を知らない?うちに利用しているという事実があります。
一度、携帯電話の契約書を確認してみてはどうでしょうか。
もちろん、携帯電話のカタログにも説明されています。
割販法では、個別信用購入あっせん、マンスリークリア、クーリングオフ(特商法との連動)などはポイントです。
また、定義についてもややこしいですが理解しておいてください。
割賦販売法(経済産業省HP)
http://www.meti.go.jp/policy/economy/consumer/credit/11kappuhanbaihou.htm
割賦販売法関係資料
http://www.meti.go.jp/policy/economy/consumer/credit/112kappuhanbaihoukankeishiryou.htm
割賦販売法
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S36/S36HO159.html
割賦販売法施行規則
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S36/S36F03801000095.html
割賦販売法の逐条解説は、HP等に掲載されていませんので、各種参考資料を見るか、必要な場合は別途購入してください。
改正割賦販売法の概要・・・このまとめが結構役に立ちます。
http://www.meti.go.jp/policy/economy/consumer/credit/pdf/112-1kaiseikappanhousetumeisiryou.pdf
23年度 問題15①② 割賦販売法 (正誤で×を選択) その2
15.次の文章のうち、正しいものには○、誤まっているものには×を、解答用紙の解答欄に記入 (マーク) しなさい。また、誤まっているものには、誤まっている箇所 (1ヵ所) の記号も記入 (マーク) しなさい。
【解説と解答】
難解な割賦販売法になりました。問題自体を読み込むのがしんどいです。深読みせずに直感的に答えた方が楽かもしれません。ただし、ある程度の基本が分かってのことです。なお、割賦販売法は条文も長く複雑ですので解説は簡素化します。
①
キーワードがたくさん出てきます。
書面交付義務、不実告知による取消、抗弁、既払い金返還請求
まず、エステの契約が特商法の特定継続的役務に該当することを確認します。要件は期間が「1ヶ月を超えるもの」「5万円を超えるもの」なので満たしていますので、当然、特商法の適用を受けるので書面交付義務があります。個別信用購入あっせん契約についても、割販法「第三十五条の三の九」により書面交付義務があります。
不実告知があった場合は、特商法にもとづく契約の取消ができますが、個別クレジット契約についても「第三十五条の三の十」で取消ができます。
抗弁権の主張は今後を含む今現在の請求(未払い金のこと)について待ってもらう(支払保留)制度ですので、まだ抗弁の結果も出ていませんし、単に抗弁を主張するだけの場合は既払金返還請求までには至っていないことになります。既払金返還請求はクーリングオフによる契約の取消が認められた場合に返還されます。
したがって、㋑が不正解となります。明らかに㋑が不正解なので他の部分は悩まずスルーして次の問題に進みましょう。
②
出会い系サイトのクレジット1回払い契約のことです。この種のトラブルは非常に多くあっせんも苦労します。
一番のポイントは、1回払いのカード決済はマンスリークリアと呼ばれ、割賦販売法の対象外となっています。したがって、割販法による抗弁の主張はできません。ただし、相談現場では、とにかく抗弁を出すように助言することも少なくありません。問題のある支払であることの意思表示が大切です。
ちなみに、この支払方式は包括信用購入あっせん(包括クレジット)となります。
クレジットの支払い方法は、一括払い・分割払い・リボ払いの3種類ありますが、信用購入の対象となるのは契約時から2ヶ月を超えない範囲で支払うマンスリークリアを除くものとなっており、1回払いでも、例えば半年後のボーナス一括は対象となります。
裏技としては翌月1回払いの引き落としが終わる前にリボ払いへ変更する(後リボ)と、割販法の規制対象となるという法律の想定外の使い方もあります。
なお、、決済代行業者が間に入っていようが、消費者とカード会社の話なので関係あません。単純に支払い方法だけについて考えたらいいです。
したがって、㋒が不正解となります。
23年度 問題15③④ 割賦販売法 (正誤で×を選択) その3
15.次の文章のうち、正しいものには○、誤まっているものには×を、解答用紙の解答欄に記入 (マーク) しなさい。また、誤まっているものには、誤まっている箇所 (1ヵ所) の記号も記入 (マーク) しなさい。
【解説と解答】
③
「インターネットで商品を購入し代金を決済する場合、あらかじめクレジットカードを発行する方式ではなく、番号やパスワードを決めておいて利用限度額の範囲内で代金後払いの決済をする方式」というのは「カードレス取引」のことで平成12年の改正で規制の対象となりました。
通常の対面取引ではカードを提示して購入することになりますが、ネット取引ではカードを提示することができません。せいぜいカードを見ながらカード番号や期限などを入力することになります。それではカード自体をなくしても同じではないかということで、単にIDやパスワードを付与して、ネットの取引画面に入力すれば購入できるという形態がでてきたので平成12年に規制対象となり、割販法を適用することになりました。従来は「カードその他の物」として有体物の交付が前提であったため、番号だけの無体物は対象外でした。カードの番号を入力する場合はカードの交付が前提であるためもともと規制対象でした。
割販法第2条の定義に「カード等」と表現されています。
逐条解説38-39ページには詳しく解説されていますが一部抜粋します
割販法では「カード等」という表現が、「割賦販売」「ローン提携販売」「包括信用購入あっせん」で使用されています。
この設問は割販法のクレジットカード=「包括信用購入あっせん」と同じになると考えればいいと思います。
すなわち、マンスリー方式では割販法の適用を受けないため抗弁の主張はできないが支払日が2ヶ月を超える後払い(ボーナス1回払いでも)は割販法の適用になり抗弁を主張でき、リボ払いは割販法の適用を受けるので「包括信用購入あっせん」の場合は原則として支払可能見込額の調査義務が生じ、加盟店調査義務も発生します。
したがって、マンスリークリアにはならないので③は㋐が不正解となります。
④
マンスリークリアを後リボに変更する方法で、②で少し触れた問題です。
ということで、設問に書かれているとおりですので、④はすべて正解です。
23年度 問題15⑤⑥ 割賦販売法 (正誤で×を選択) その4
15.次の文章のうち、正しいものには○、誤まっているものには×を、解答用紙の解答欄に記入 (マーク) しなさい。また、誤まっているものには、誤まっている箇所 (1ヵ所) の記号も記入 (マーク) しなさい。
【解説と解答】
⑤
「訪問販売の方法により商品を購入し、代金はカード等を発行せずに、金銭消費貸借形式の申込書を利用して2カ月を超える分割後払いとした」という契約方式が「個別方式のローン提携販売」ということになりますが、平成20年度改正でカードを交付しない「個別方式のローン提携販売」は「ローン提携販売」から削除され、「個別信用購入あせん」で規制強化することになりました。したがって、この契約方式は、「個別信用購入あっせん」となります。
ただし、通常の「個別信用購入あっせん」はクレジット会社が代金を販売業者に支払い、購入者はクレジット会社に分割払いします。
それに対して、「金銭消費貸借形式」は、購入者が貸金業者から代金を借りて購入者が販売業者に全額支払い、購入者は貸金業者に分割返済します。
この場合、購入者が借りたお金が本当に目的物を買う代金にあてられるのかという問題も含め割販法に該当するのか議論は分かれていますが、「個別信用購入あっせん」に該当すると考えられています。この「金銭消費貸借形式」は問題も多くありもっと複雑なもので議論が続いています。
該当するとなると割販法に規制を受けるので、抗弁も主張できますし、割販業者としての登録も必要ですし、調査義務も負います。
したがって、⑤はすべて正解です。
⑥
適用除外の設問です。
条文にもあるとおり、営業の場合、不動産取引の場合、適用除外となります。
設問にある「自分でネットにアクセスして購入」は通常の購入形態ですので割販法の適用を受けます。
したがって、⑥は㋑が不正解です。
特商法にも適用除外はありましたが、同じようなイメージで考えると知らなくても答が出そうですね。
この問題をきっかけに適用除外について知っておいてください。
23年度 問題15⑦⑧ 割賦販売法 (正誤で×を選択) その5
15.次の文章のうち、正しいものには○、誤まっているものには×を、解答用紙の解答欄に記入 (マーク) しなさい。また、誤まっているものには、誤まっている箇所 (1ヵ所) の記号も記入 (マーク) しなさい。
【解説と解答】
⑦
「個別信用購入あっせん契約」の書面交付に関する設問ですが、深読みせずに素直に回答しましょう。
条文にあるとおり、⑦はすべて正解です。
⑧
信用購入あっせん契約の抗弁について設問です。
信用購入あっせんという書き方なので「包括」と「個別」の両方を含むものと考えます。
店舗販売であろうがクレジット契約したものは抗弁の対象となります。ただし、マンスリークリアに関しては、そもそも「信用購入あっせん」に該当しないことをお忘れなく。
素直に、「信用購入あっせん」で生じた関係業者とのトラブルに関してはすべて「抗弁できる」と考えたらいいと思います。
したがって、⑧はずべて正解です。
23年度 問題15⑨⑩ 割賦販売法 (正誤で×を選択) その6
15.次の文章のうち、正しいものには○、誤まっているものには×を、解答用紙の解答欄に記入 (マーク) しなさい。また、誤まっているものには、誤まっている箇所 (1ヵ所) の記号も記入 (マーク) しなさい。
【解説と解答】
⑨
重要な特商法のクーリングオフとの連動です。
特商法と割販法それぞれにクーリングオフの規程がありますが、クーリングオフする順番を間違えるととんでもないことになりますので、現場でも注意が必要です。
なお、割販法のクーリングオフは、「個別信用購入あっせん」にのみ規定されています。
また、対象となる取引は特定商取引法の5類型(訪問販売、電話勧誘販売、連鎖販売取引、特定継続的役務提供取引、業務提供誘引販売取引)の取引となっています。
「第三十五条の三の十」は割販法の取消をすれば特商法の契約を撤回したこととみなすという規定です。
ただし、現に効力を有する契約とされており、特商法のクーリングオフを割販法のクーリングオフに先立ち取り消してしまうと、現に効力を有する契約とはなりません。
すると、既払い金の返還規定がなくなってしまうため、取り返すのが困難になる場合があります。
この部分はとても重要で、逐条解説でも相当量のページを割いているので、細かい説明は省略します。
クーリングオフのみなし規定は、クレジット会社に通知した場合に、販売業者にも通知したことになり、その反対はありません。
したがって、⑨は㋐が不正解です。
条文も長く読んでられませんが、一部簡単に抜粋しておきます。
「第三十五条の三の十」は訪問販売、電話勧誘販売に関するクーリングオフ
「第三十五条の三の十一」は連鎖販売取引、特定継続的役務提供取引、業務提供誘引販売取引に関するクーリングオフ
「第三十五条の三の十二」は訪問販売の過量販売に関するクーリングオフ
「第三十五条の三の十三」は訪問販売のクーリングオフの既払金返還規定
「第三十五条の三の十四」は連鎖販売のクーリングオフの既払金返還規定
「第三十五条の三の十五」は特定継続的役務提のクーリングオフの既払金返還規定
「第三十五条の三の十六」は訪業務提供誘引販売のクーリングオフの既払金返還規定
第三十五条の三の十三
割販法に基づき取消した場合
2.クレジット会社は購入者に対し支払い請求ができない。
3.販売業者はクレジット会社に対し返金しなければならない
4.購入者はクレジット会社に対して既払い金の返還を請求できる
というロジックになっています。
⑩
店舗販売、個別信用購入あっせん、販売業者の退去妨害(困惑、消費者契約法第4条3)
ということですね。買うまで帰してくれないという絵画商法を思い浮かべてしまいました。
まず、個別信用購入あっせん契約なので、抗弁権は主張できます。
消費者契約法第5条は契約に第3者が介在していた場合に第3者が悪さをすれば責任をとりなさいよという条文だと思います。
第3者である販売業者が消費者契約法第4条の困惑により契約が取り消しになったのだからクレジット契約も取り消しなさいと主張するイメージでしょうか。
「割賦販売法上の与信審査時における調査義務」、すなわち、「クレジット会社はクレジットの申し込みがあれば申込者に対し、必ず申し込みの確認をします」が、この調査は法第三十五条の三の五にもあるとおり特商法5類型に限られるので、契約形態がこの特商法5類型に該当しない単なる店舗購入であれば、この調査自体が義務となっていません。この設問は「店舗販売の方法で」と書かれているので訪問販売などの特商法5類型に該当しないと考えます。したがって、誤認であろうが困惑したであろうが割賦販売法でのクレジット会社の調査義務違反は問われません。したがって、⑩は㋒が不正解です。
もっとも、特商法5類型に該当しなくても誤認や困惑があれば販売業者は消費者契約法上の違反を問われます(契約の取り消しになったとしても、精算に手間取る場合があります)。
なお、路上でキャッチされて絵画を購入してしまったり、アポイントメントセールスで購入したりした場合などの特商法5類型の場合は、困惑で契約したことが分かった場合はきちんと調査していなかったということで調査義務違反を問われ得るということです。
割販法は難しいです。というより問題を読むのがきついです。時間が十分な中で冷静に考えると正解できますが、試験では時間がありません。その中でも答えやすい問題やパターンがありますので、取りこぼしのないようにして、6割以上の正解を目指しましょう。
23年度 問題16 携帯電話サービス (選択穴埋) その1
16.次の文章の[ ]の部分に入れるのに最も適切な語句を、下記の語群の中から選び、解答用紙の解答欄にその番号を記入(マーク)しなさい。なお、同一記号には同一語句が入る。
【解説と解答】
携帯電話サービスという試験範囲は特に定められていないので、いわゆるトピックス的な問題として出されたかものと思われます。
毎年出題されるとは限りませんが、携帯電話関連は相談件数も多いので、頻出ではないかと思います。
24年度の試験では携帯電話関連でソシアルゲームが景表法とからめて出題される可能性も高いと思います。
さて、トピックス的な問題は比較的目新しい話題になっていますので、一般常識で答えれば、ほぼ問題はありません。
語群をグループ分けします
今回はすっぱり分類しにくいものばかりですね。
5.無効となる 10.無効となるものではない
1.課徴金 2.業務改善命令 14.刑事罰 15.登録取消し
8.本人確認義務 19.説明義務
6.消費者契約法 13.プロバイダ責任制限法 16.電子消費者契約法 17.電気通信事業法
4.時効援用 9.クーリング・オフ 11.みなし解除
3.基本料金 7.民事上 12.知識・経験 18.性別 20.用語
まず知っておかなければならない重要なことは、テレビや携帯電話やプロバイダなどの電気通信事業の管轄は総務省になるということです。
制度的なことや事業者に対しての苦情の窓口として総務省を紹介することが多いです。大まかな地域ごとに管轄局があります。
管轄する法律なども総務省のHPにまとめられています。
総務省HP
http://www.soumu.go.jp/
総務省トップ > 政策 > 情報通信(ICT政策) > 電気通信政策の推進 > 電気通信消費者情報コーナー > 関係法令・ガイドライン
http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/joho_tsusin/d_syohi/kankei_hourei-guideline.html
携帯電話の問題点は契約やサービスが非常に複雑です。
また、各社で契約内容やプランも違い、用語も違います。
最近は用語も事業者間で統一されるようになってきました。
ということで、推測でも考えれると思いますが、[ ア ]は「20.用語」が正解です。
そして、「[ イ ]および同法の消費者保護ルールに関するガイドライン」という書き方になっているので、[ イ ]は法律名が入ることになりますので、携帯電話を規制する法律として、[ イ ]は「17.電気通信事業法」が正解となります。
そしてガイドラインである「電気通信事業法の消費者保護ルールに関するガイドライン」についての設問となっていますが、知らなくても常識で答えれると思います。
[ ウ ]は「19.説明義務」が正解となり、[ エ ]は「12.知識・経験」が正解となります。特に説明は不要と思いますが、語群をしっかり読んでおいてください。
事業者がガイドラインに違反した場合は電気通信事業法による行政処分を受けることがあります。
行政処分といえば、一般論として考えて、まず「業務改善命令」が思い浮かびます。
もう1つが悩ましいです。通常、業務改善命令に違反すると罰金が下され、同法にも明記されています。ただし、罰金と課徴金は厳密には違う意味です。
すると、残るのは「15.登録取消し」となります。したがって、[ オ ][ カ ]は順不動で「2.業務改善命令」「15.登録取消し」が正解となります。
なお、「登録取消し」は、ざっくりとしたもので、同法に違反するのなら登録を取り消しますよというようなことが同法第14条に明記されています。
ここだけはすっきり答えは出てこないと思います。
このガイドラインに定められている事項は主に3つあります。
・法第18条第3項(事業の休廃止に係る周知関係)
・法第26条(提供条件の説明関係)
・法第27条(苦情等の処理関係)
まさしく、今回の設問にあることですね。
ガイドラインはこれらの条項の逐条解説となっています。
ア→20、イ→17、ウ→19、エ→12、オ・カ→2・15
23年度 問題16 携帯電話サービス (選択穴埋) その2
16.次の文章の[ ]の部分に入れるのに最も適切な語句を、下記の語群の中から選び、解答用紙の解答欄にその番号を記入(マーク)しなさい。なお、同一記号には同一語句が入る。
1.課徴金 2.業務改善命令 3.基本料金 4.時効援用 5.無効となる 6.消費者契約法 7.民事上 8.本人確認義務
9.クーリング・オフ 10.無効となるものではない 11.みなし解除 12.知識・経験 13.プロバイダ責任制限法
14.刑事罰 15.登録取消し 16.電子消費者契約法 17.電気通信事業法 18.性別 19.説明義務 20.用語
現在の携帯電話サービスの契約は、非常に細かく複雑になっており、消費者が契約内容の全てを正確に把握し理解したうえで契約をすることは、現実的には難しく、国際ローミングなどの高額料金や解約金などのトラブルの原因ともなっている。
しかし、まず、契約・広告で用いる[ ア ]は事業者ごとにまちまちであったが、業者間のガイドラインとして近時整備され、事業者間での統一が図られた。
次に、消費者による契約内容の把握については、以前から、[ イ ]および同法の消費者保護ルールに関するガイドラインで、携帯電話事業者(取次・代理の業者も含む。)に対して、料金その他の提供条件の概要について、契約をしようとする消費者への[ ウ ]を課している。
携帯電話・PHS加入契約数は1億2000万を超え(平成22年末)、利用者である消費者は未成年者から高齢者まで幅広く、その[ エ ]等も多種多様である。
上記の[ イ ]の消費者保護ルールに関するガイドラインでも、消費者のサービスに関する[ エ ]等を考慮して説明することなど、事業者の「望ましい対応のあり方」も定めている。
携帯電話事業者が[ ウ ]に違反した場合、[ イ ]により、監督官庁から[ オ ]や[ カ ]などの行政上の処分を受ける場合がある。
しかし、[ イ ]には[ ウ ]違反の場合でも、携帯電話サービスの契約を無効としたり、特定商取引法における[ キ ]や契約解除権を認めるような[ ク ]の効果が生じる規定はない。
すなわち、携帯電話事業者の[ ウ ]違反が認められる場合に、携帯電話サービスの契約は直ちに[ ケ ]。
個々の説明の態様や消費者側の事情などに応じ、携帯電話サービスの契約を[ コ ]に基づき取り消すことが可能か等を検討することになる。
【解説と解答】
語群をグループ分けします
今回はすっぱり分類しにくいものばかりですね。
5.無効となる 10.無効となるものではない
1.課徴金 2.業務改善命令 14.刑事罰 15.登録取消し
8.本人確認義務 19.説明義務
6.消費者契約法 13.プロバイダ責任制限法 16.電子消費者契約法 17.電気通信事業法
4.時効援用 9.クーリング・オフ 11.みなし解除
3.基本料金 7.民事上 12.知識・経験 18.性別 20.用語
法律の違反行為と契約の有効性についての問いですが、特商法などの他の法律と一般的な考えということで共通しているところです。
法律の中に該当する違反行為により契約が無効になるとの規定があれば無効となります。
たとえば、特商法の不実告知や消契法の誤認などです。
しかし、訪問時にうそを言って勧誘するなどの不当勧誘については当該業者に罰則があるものの、契約の有効性とは関係していないものが多いです。
契約が有効かどうかは契約の内容に不実告知があるかなどの要件を満たしているかが争点となり、不当勧誘はあくまでもきっかけにすぎません。
もっと分かりやすいもので例えれば、食品衛生法違反の食品を購入し消費してしまった場合に、その売買契約が無効となり代金が返ってくるということはありません。
正式に言えば不法行為や債務不履行による損害賠償請求等が必要となります。
携帯電話の契約についても、特商法のクーリングオフのような法律で契約が無効になるようなことが規定されていたら無効になりますが、多くの法律では、単に罰則だけが規定されていることがほとんどです。
今回の設問では、説明義務違反は電気通信事業法で違反行為となり、事業者に罰則が科せられますが、契約が無効になるとはされていません。
一般常識的に考えても想像がつくと思います。
したがって、[ キ ]は「9.クーリング・オフ」が、[ ク ]は「7.民事上」が、[ ケ ]は「10.無効となるものではない」がそれぞれ正解となります。
契約を無効にしたければ、その契約に直接かかわる部分の法律で無効を主張することになり、一般的には不当勧誘をきっかけとした消費者契約法の誤認や困惑での無効を主張していくことになります。
したがって、[ コ ]は「6.消費者契約法」が正解となります。
後半の部分は他の法律にも共通する一般論で対応できます。
キ→9、、ク→7、ケ→10、コ→6
比較的簡単なので9割または全問正解をめざしましょう。
23年度 問題17 製造物責任法 (正誤で×を選択) その1
製造物責任法は特に大きな変化はありませんので前年度の解説を再掲します。
トピックス的なものとして、こんにゃくゼリーの裁判や小麦せっけんのアレルギー事件を押さえておいてください。
法律の条文自体も全部で5条と非常に短いものですので確実に読み込んでおいてください。
条文自体からの出題が少なくありません。
以下再掲
製造物責任法は消費者問題の歴史の中でも重要な法律です。
問題文中にもありますが、本来、民法では損害賠償を請求するためには①製造物の欠陥と②損害と②過失の存在、という3つの要件が必要でしたが、過失の存在は一般の消費者にとって証明するのは時間も費用も必要で難しいものでした。
製造物責任法はこの3つの要件から過失の存在を外し、①製造物の欠陥と②損害が証明されれば損害が賠償されるという、無過失責任を採用しています。
この法律は1995年(平成7年)7月に施行されました。
もちろん、損害賠償については製造物責任法を使っても、民法をつかっても、どちらでもかまいません。
ハンドブック消費者や国民生活センターのHPに製造物責任法の判例が掲載されています。
思ったより数は少ないです。裁判になる前に解決するからでしょうね。
現場では製造物責任法を使って斡旋することはほとんどありません。
日本ではメーカーが真摯に事故対応する場合が多いからだと思います。
試験問題は、製造物責任法についての一般論や解釈などが出題されています。
どれも、基本的な内容ですので、しっかり勉強しておいてください。
また、この法律の施行当時は論文試験の問題にもなっています。
製造物責任法
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H06/H06HO085.html
国民生活センターHPより
製造物責任法(PL法)による訴訟
http://www.kokusen.go.jp/pl_l/index.html
消費者庁・消費者の窓
製造物責任(PL)法
http://www.consumer.go.jp/kankeihourei/seizoubutsu/index.html
1 法の概要
(1)目的
製造物の欠陥により,人の生命,身体又は財産に被害が生じた場合における製造業者等の損害賠償の責任(製造物責任)を定める。
(2)製造物
製造又は加工された動産一般
(3)欠陥(欠陥責任)
製造物が通常有すべき安全性を欠いていること。欠陥判断は製造物の特性,使用形態,引き渡した時期等を総合的に考慮される。
(4)製造物責任
故意又は過失を責任要件とする不法行為(民法第709条)の特則として欠陥を責任要件とする損害賠償責任を規定
(5)責任主体(製造業者等の範囲)
製造業者,輸入業者,製造物にこれらのものとして表示を付した者等2 法の制定
平成6年6月第129回通常国会にて成立し,平成6年法律第85号として,同年7月1日に公布,翌7年7月1日に施行された。
23年度 問題17 製造物責任法 (正誤で×を選択) その2
17.次の文章のうち、正しいものには○、誤まっているものには×を、解答用紙の解答欄に記入 (マーク) しなさい。また、誤まっているものには、誤まっている箇所 (1ヵ所) の記号も記入 (マーク) しなさい。
【解説と解答】
①
この法律の目的は、第一条にもあるとおり、「製造物の欠陥により人の生命、身体又は財産に係る被害が生じた場合」に「被害者の保護を図る」とされており、被害者は消費者だけでなく、事業者が事業として使用していた場合も当然含まれます。例えば、宿泊施設で石油ファンヒーターの欠陥により一酸化炭素中毒で従業員が被害を受けた場合は当然対象となることからも想像がつくと思います。
製造物が外国製であっても通常輸入業者が存在しますので当然対象となるわけですが、海外で購入した場合やオークションで海外から購入した場合、個人輸入した場合などは、海外で製品が引き渡されたことになるわけで、そうすると一般的に引き渡された国の法律が適用されることになります(法の適用に関する通則法)。とはいえ、通常の生活では海外製品も国内で正規に販売されることがほとんどです。そして、輸入品の場合は定義にもあるとおり輸入業者も含まれます。
したがって、①は㋐が不正解となります。
②
「製造物」とは、製造又は加工された動産をいう。の定義どおり、不動産は含みません。また、特商法のように適用除外の規定もないので、当然医薬品も対象と なります。ただし、医薬品などは予防接種にもあるように一定の割合で被害が出てしまうこともあり特別法で細かい被害救済の規定がされているので、PL法で 争わず特別法で解決を図ることがスムーズなこともあります。
それでも、PL法により争うことは可能です。薬害エイズ訴訟が製造物責任法で争われたことは記憶に新しいかもしれません。
中古品については、中古品であっても定義を満たせば対象となります。ただし、製造物を引き渡したときの状態であるという条件が中古品が流通後に改造や修理 がされていないことが不明であり、また、流通後10年が対象となるので、これらの条件を満たすかどうかが中古品が法律の対象となるかどうかにかかわってき ます。
したがって、医薬品も対象となるということで、②は㋑が不正解となります。
③
製造物責任法の賠償責任は①欠陥の存在②損害の発生③欠陥と損害との因果関係、の3点を満たすことになります。
また、第6条にもあるとおり、損害賠償の過失割合などのこの法律で定められていないことは「民法」が適用されることになります。したがって、設問にある過失割合についても民法により過失相殺されることがあります。
ということで③はすべて正解です。
④
第2条の定義では「2 この法律において「欠陥」とは、当該製造物の特性、その通常予見される使用形態、その製造業者等が当該製造物を引き渡した時期その他の当該製造物に係る事情を考慮して、当該製造物が通常有すべき安全性を欠いていることをいう。」とあります。
「行政法規等の基準」を満たすことと通常有すべき安全性があることは別次元の話です。特に「常に」と書かれているところがツボになります。
行政法規はあくまでも最低限度の基準で、法に則った表示をしていればOKかというと表示自体の欠陥についても言及しなければならないですし、こんにゃくゼリーについては何ら食品衛生法などに違反するものではないことを考えると想像がつくと思います。
したがって、④は㋑が不正解です。
⑤欠陥の分類についての問題です。
PL法における「欠陥」とは「製造物が通常有すべき安全性を欠いていること」とあります。
一般的に欠陥には①設計上の欠陥②製造上の欠陥③表示・警告上の欠陥の3種類があると言われています。
当然どれか1つを満たせばいいというものではなく、1つだけ該当しても欠陥となります。
したがって、⑤は㋒が不正解です。
(目的)
第一条 この法律は、製造物の欠陥により人の生命、身体又は財産に係る被害が生じた場合における製造業者等の損害賠償の責任について定めることにより、被害者の保護を図り、もって国民生活の安定向上と国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする。
(定義)
第二条 この法律において「製造物」とは、製造又は加工された動産をいう。
2 この法律において「欠陥」とは、当該製造物の特性、その通常予見される使用形態、その製造業者等が当該製造物を引き渡した時期その他の当該製造物に係る事情を考慮して、当該製造物が通常有すべき安全性を欠いていることをいう。
3 この法律において「製造業者等」とは、次のいずれかに該当する者をいう。
一 当該製造物を業として製造、加工又は輸入した者(以下単に「製造業者」という。)
二 自ら当該製造物の製造業者として当該製造物にその氏名、商号、商標その他の表示(以下「氏名等の表示」という。)をした者又は当該製造物にその製造業者と誤認させるような氏名等の表示をした者
三 前号に掲げる者のほか、当該製造物の製造、加工、輸入又は販売に係る形態その他の事情からみて、当該製造物にその実質的な製造業者と認めることができる氏名等の表示をした者
(製造物責任)
第三条 製造業者等は、その製造、加工、輸入又は前条第三項第二号若しくは第三号の氏名等の表示をした製造物であって、その引き渡したものの欠陥により他人の生命、身体又は財産を侵害したときは、これによって生じた損害を賠償する責めに任ずる。ただし、その損害が当該製造物についてのみ生じたときは、この限りでない。
(免責事由)
第四条 前条の場合において、製造業者等は、次の各号に掲げる事項を証明したときは、同条に規定する賠償の責めに任じない。
一 当該製造物をその製造業者等が引き渡した時における科学又は技術に関する知見によっては、当該製造物にその欠陥があることを認識することができなかったこと。
二 当該製造物が他の製造物の部品又は原材料として使用された場合において、その欠陥が専ら当該他の製造物の製造業者が行った設計に関する指示に従ったことにより生じ、かつ、その欠陥が生じたことにつき過失がないこと。
(期間の制限)
第五条 第三条に規定する損害賠償の請求権は、被害者又はその法定代理人が損害及び賠償義務者を知った時から三年間行わないときは、時効によって消滅する。その製造業者等が当該製造物を引き渡した時から十年を経過したときも、同様とする。
2 前項後段の期間は、身体に蓄積した場合に人の健康を害することとなる物質による損害又は一定の潜伏期間が経過した後に症状が現れる損害については、その損害が生じた時から起算する。
(民法 の適用)
第六条 製造物の欠陥による製造業者等の損害賠償の責任については、この法律の規定によるほか、民法 (明治二十九年法律第八十九号)の規定による。
附 則 抄
(施行期日等)
1 この法律は、公布の日から起算して一年を経過した日から施行し、その法律の施行後にその製造業者等が引き渡した製造物について適用する。
①→×㋐、②→×㋑、③→○、④→×㋑、⑤→×㋒
23年度 問題17 製造物責任法 (正誤で×を選択) その3
17.次の文章のうち、正しいものには○、誤まっているものには×を、解答用紙の解答欄に記入 (マーク) しなさい。また、誤まっているものには、誤まっている箇所 (1ヵ所) の記号も記入 (マーク) しなさい。
【解説と解答】
⑥
単なる販売業者は製造業者とはなりませんが、輸入品については輸入した者が製造業者になると明記されています。販売業者が直接輸入していた場合は製造業者ということになります。輸入品を輸入業者から仕入れて販売するだけでは単なる販売業者ということになります。
製造者として製品に名前が出てなくても、製造した業者も当然製造業者になります。
また、実際に製造していなくても、自社の名前を表示した場合は製造業者となります。
これらは、いわゆるOEMのことで、国内でも多くの製品で他者に製造依頼して自社のブランド名を表示しています。
どちらも製造者ということになりますね。裁判のときにどちらが被告となるのかは、それぞれのメーカーがどのような関係になっているのかで違ってくると思います。
ということで、⑥は㋐が不正解です。
一 当該製造物を業として製造、加工又は輸入した者(以下単に「製造業者」という。)
二 自ら当該製造物の製造業者として当該製造物にその氏名、商号、商標その他の表示(以下「氏名等の表示」という。)をした者又は当該製造物にその製造業者と誤認させるような氏名等の表示をした者
三 前号に掲げる者のほか、当該製造物の製造、加工、輸入又は販売に係る形態その他の事情からみて、当該製造物にその実質的な製造業者と認めることができる氏名等の表示をした者
⑦
免責についての設問です。
免責には2つ規定されており、そのうちの1つですが、「世界最高水準の科学知識等」と解釈されており、実質的には適用は困難です。
なお、裁判ではときどき、「当時の科学的知見では」という文言が出てくる判例もありります。
ということで、⑦はすべて正解です。
第四条 前条の場合において、製造業者等は、次の各号に掲げる事項を証明したときは、同条に規定する賠償の責めに任じない。
一 当該製造物をその製造業者等が引き渡した時における科学又は技術に関する知見によっては、当該製造物にその欠陥があることを認識することができなかったこと。
⑧
③でも解説したとおり、民法も適用することになるので、当然不法行為による慰謝料は請求することができます。
製造物責任法の賠償責任が認められる3つの条件(①欠陥の存在②損害の発生③欠陥と損害との因果関係)のうち、
第1条の「製造物の欠陥により人の生命、身体又は財産に係る被害が生じた場合」の被害というのは欠陥のあった製品以外の損害、いわゆる拡大損害のことを意味します。拡大損害はしっかり覚えておいてください。
拡大損害がないと2番目の損害の発生という条件が満たされなくなりますが、当然ながら民法等の他の法律の適用を考えたらいいことになります。
また、欠陥というのは「通常有すべき安全性」のことであり、いわゆる品質や性能といった「品質問題」は欠陥には該当しません。
ということで、⑧は㋐が不正解となります。
答え 欠陥による被害が,その製造物自体の損害にとどまった場合であれば,この法律の対象になりません。このような損害については,従来どおり,現行の民法に基づく瑕疵担保責任や債務不履行責任等による救済が考えられます。この法律による損害賠償の請求権が認められるのは,製造物の欠陥によって,人の生命,身体に被害をもたらした場合や,欠陥のある製造物以外の財産に損害が発生したとき(「拡大損害」が生じたとき)です。
問5 それでは,製品関連事故によって被害が生じた場合に,この法律に基づく損害賠償を受けるためにはどうすればいいのですか。
答え この法律に基づいて損害賠償を受けるためには,被害者が,1)製造物に欠陥が存在していたこと,2)損害が発生したこと,3)損害が製造物の欠陥により生じたことの3つの事実を明らかにすることが原則となります。なお,これらの認定に当たっては,個々の事案の内容,証拠の提出状況等によって,経験則,事実上の推定などを柔軟に活用することにより,事案に則した公平な被害者の立証負担の軽減が図られるものと考えられます。
損害賠償を求める場合の請求先としては,その製品の製造業者,輸入業者,製造物に氏名などを表示した事業者であり,単なる販売業者は原則として対象になりません。
なお,問2でも触れたように,本法による損害賠償責任請求が認められない場合であっても,現行の民法に基づく瑕疵担保責任,債務不履行責任,不法行為責任などの要件を満たせば,被害者はそれぞれの責任に基づく損害賠償を請求することができます。
⑨
除斥期間の問題です。
時効については民法のところでも解説しましたが、おさらいします。
不法行為・・・損害および加害者を知ったときから3年または不法行為が行われた時から20年
製造物責任・・・損害および加害者を知ったときから3年または引き渡した時から10年
設問にある潜伏期間のある被害については、第5条に明記されています。
ということで、⑨はすべて正解です。
第五条 第三条に規定する損害賠償の請求権は、被害者又はその法定代理人が損害及び賠償義務者を知った時から三年間行わないときは、時効によって消滅する。その製造業者等が当該製造物を引き渡した時から十年を経過したときも、同様とする。
2 前項後段の期間は、身体に蓄積した場合に人の健康を害することとなる物質による損害又は一定の潜伏期間が経過した後に症状が現れる損害については、その損害が生じた時から起算する。
(目的)
第一条 この法律は、製造物の欠陥により人の生命、身体又は財産に係る被害が生じた場合における製造業者等の損害賠償の責任について定めることにより、被害者の保護を図り、もって国民生活の安定向上と国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする。
(定義)
第二条 この法律において「製造物」とは、製造又は加工された動産をいう。
2 この法律において「欠陥」とは、当該製造物の特性、その通常予見される使用形態、その製造業者等が当該製造物を引き渡した時期その他の当該製造物に係る事情を考慮して、当該製造物が通常有すべき安全性を欠いていることをいう。
3 この法律において「製造業者等」とは、次のいずれかに該当する者をいう。
一 当該製造物を業として製造、加工又は輸入した者(以下単に「製造業者」という。)
二 自ら当該製造物の製造業者として当該製造物にその氏名、商号、商標その他の表示(以下「氏名等の表示」という。)をした者又は当該製造物にその製造業者と誤認させるような氏名等の表示をした者
三 前号に掲げる者のほか、当該製造物の製造、加工、輸入又は販売に係る形態その他の事情からみて、当該製造物にその実質的な製造業者と認めることができる氏名等の表示をした者
(製造物責任)
第三条 製造業者等は、その製造、加工、輸入又は前条第三項第二号若しくは第三号の氏名等の表示をした製造物であって、その引き渡したものの欠陥により他人の生命、身体又は財産を侵害したときは、これによって生じた損害を賠償する責めに任ずる。ただし、その損害が当該製造物についてのみ生じたときは、この限りでない。
(免責事由)
第四条 前条の場合において、製造業者等は、次の各号に掲げる事項を証明したときは、同条に規定する賠償の責めに任じない。
一 当該製造物をその製造業者等が引き渡した時における科学又は技術に関する知見によっては、当該製造物にその欠陥があることを認識することができなかったこと。
二 当該製造物が他の製造物の部品又は原材料として使用された場合において、その欠陥が専ら当該他の製造物の製造業者が行った設計に関する指示に従ったことにより生じ、かつ、その欠陥が生じたことにつき過失がないこと。
(期間の制限)
第五条 第三条に規定する損害賠償の請求権は、被害者又はその法定代理人が損害及び賠償義務者を知った時から三年間行わないときは、時効によって消滅する。その製造業者等が当該製造物を引き渡した時から十年を経過したときも、同様とする。
2 前項後段の期間は、身体に蓄積した場合に人の健康を害することとなる物質による損害又は一定の潜伏期間が経過した後に症状が現れる損害については、その損害が生じた時から起算する。
(民法 の適用)
第六条 製造物の欠陥による製造業者等の損害賠償の責任については、この法律の規定によるほか、民法 (明治二十九年法律第八十九号)の規定による。
附 則 抄
(施行期日等)
1 この法律は、公布の日から起算して一年を経過した日から施行し、その法律の施行後にその製造業者等が引き渡した製造物について適用する。
⑦→×㋐、⑦→○、⑧→×㋐、⑨→○
23年度 問題18 消費生活用製品安全法・消費者安全法 (正誤で×を選択) その1
22年度は消費生活用製品安全法のみで10問の出題でしたが、23年度は消費生活用製品安全法5問と消費者安全法4問になり、事故についての問題にまとめられています。
消費生活用製品安全法は、事業者の法律であり、消費者センターが直接、この法律を事業者に適用することはありません。
ただし、消費者行政の歴史の中では、一酸化炭素中毒の事例やシュレッダーの事例など、重要な事件が発生しており、さらに、長期使用の扇風機などからの発火事故も問題となったことから、重要な法律改正がありました。
それらの背景と概要については、ずばり、試験問題となりますので必ず勉強しておいてください。
ポイントは3つあり、重大製品事故の報告制度と長期使用製品の制度とPSCマークの制度です。
これらについては、今回の試験問題となっています。逆に、これらの内容さえおさえておけば、消費生活用製品安全法はほぼOKとなります。
一方、消費者センターの現場では、製品事故の場合は消費者安全法による消費者庁への通知となります。
事業者にとっての国への報告は消費生活用製品安全法となります。
中小事業者はこの制度を知らない場合もあるので、消費者センターから、消費者庁やNITEへ相談するように説明します。
消費者安全法自体はややこしい法律ではありません。
ごくごく基本原則的な事項が定められています。
この2つの法律の重大事故の定義が異なっていますので要注意です。現場の相談員でも十分に理解していない場合があります。
消費生活用製品安全法の重大事故は「消費生活用製品」に限られます。
一方、消費者安全法の重大事故は、製品による事故だけでなく、美容などのサービスや、エスカレーターでの事故、など、商品やサービスに関係するものは、他の法律で規定があるもの(例えば医薬品)を除き対象となります。消費者庁の重大事故の通知の一覧表を見ていただくと雰囲気が分かると思います。こんなものまで通知しているのかと思います。商品以外の事故は消費者センターには全く関係していないものも多いです。
試験に出る範囲としては、法律の定義的なものが多く、条文に書かれているものがポイントとなります。
ただし、条文をすべて覚えるのは難しいですし、こんな細かいことまで、という場合もあるので、全体像をつかんで、あとは常識的な感覚で答えたらいいと思います。
消費者庁のHPでは2つの法律をまとめて「事故情報の一元化」でくくられています。
消費者庁HP
ホーム > 消費者安全課
事故情報の一元化
http://www.caa.go.jp/safety/index.html#m02
消費者安全法
消費者庁では、消費者安全法に基づき、関係機関から事故情報を一元的に集約し、その分析・原因究明等を行い、被害の発生・拡大防止を図ります。また、いわゆる「すき間事案」への対応に取り組みます。
消費者安全法[PDF:186KB]
消費者安全法施行令[PDF:128KB]
消費者安全法施行規則[PDF:122KB]
消費者安全法の解釈に関する考え方[PDF:265KB]
消費生活用製品安全法(重大事故情報報告・公表制度)
消費生活用製品の製造事業者等は、重大な製品事故が発生したことを知ったときは10日以内に消費者庁に報告しなければなりません。消費者庁は、当該事故情報を迅速に公表するなどの措置を行います。
消費生活用製品安全法に基づく重大製品事故の報告義務[PDF:130KB]
事業者の方からの事故報告(ウェブサイト)
製品事故情報検討会
重大製品事故の公表までのフロー図[PDF:216KB]
過去の事故事例
いわゆる中国産冷凍ギョウザ問題
事故米穀の不正規流通問題
消費生活用製品安全法
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S48/S48HO031.html
経済産業省
消費生活用製品安全法のページ
http://www.meti.go.jp/policy/consumer/seian/shouan/index.htm
製品事故情報報告・公表制度の概要
http://www.meti.go.jp/product_safety/producer/lecture01.html
消費者安全法
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H21/H21HO050.html
23年度 問題18①~③ 消費生活用製品安全法・消費者安全法 (正誤で×を選択) その2
18.次の文章のうち、正しいものには○、誤まっているものには×を、解答用紙の解答欄に記入 (マーク) しなさい。また、誤まっているものには、誤まっている箇所 (1ヵ所) の記号も記入 (マーク) しなさい。
【解説と解答】
①~⑤は消費生活用製品安全法の問題です。
①は、まさしく法律の目的という第1条です。
条文そのままなので正解のような気がしますが、注意して読むと、「欠陥による被害を救済」というのが誤りだと気づきます。ただし、試験の終盤に集中力を持って気づくかは分からないというのがこの試験の怖いところです。
ということで、①は㋒が不正解です。
②は「特定製品」「特定特別製品」についての問題です。
ややこしい用語が並んでいますが、この法律で扱う「特定製品」と「特定製品」の中でも特に厳しく規制しなければならない「特定特別製品」があると考えてください。
そして、基本となる「特定製品」は主務大臣が定める技術基準に適合しなければならず、「特定特別製品」はさらに定められた検査機関で検査した上で技術基準適合の証明書を受けなけれなりません。なお「特定製品」に表示されるマークがPSEマークとなります。
「特定製品」の販売は自由ですが、製造・輸入には届出が必要です。
したがって、②は㋒が不正解となります。
③消費生活用製品安全法の「製品事故」の定義です。
第2条に明記されているとおり、③はすべて正解です。
(目的)
第一条 この法律は、消費生活用製品による一般消費者の生命又は身体に対する危害の防止を図るため、特定製品の製造及び販売を規制するとともに、特定保守製品の適切な保守を促進し、併せて製品事故に関する情報の収集及び提供等の措置を講じ、もつて一般消費者の利益を保護することを目的とする。
(定義)
第二条 この法律において「消費生活用製品」とは、主として一般消費者の生活の用に供される製品(別表に掲げるものを除く。)をいう。
2 この法律において「特定製品」とは、消費生活用製品のうち、構造、材質、使用状況等からみて一般消費者の生命又は身体に対して特に危害を及ぼすおそれが多いと認められる製品で政令で定めるものをいう。
3 この法律において「特別特定製品」とは、その製造又は輸入の事業を行う者のうちに、一般消費者の生命又は身体に対する危害の発生を防止するため必要な品質の確保が十分でない者がいると認められる特定製品で政令で定めるものをいう。
4 この法律において「特定保守製品」とは、消費生活用製品のうち、長期間の使用に伴い生ずる劣化(以下「経年劣化」という。)により安全上支障が生じ、一般消費者の生命又は身体に対して特に重大な危害を及ぼすおそれが多いと認められる製品であつて、使用状況等からみてその適切な保守を促進することが適当なものとして政令で定めるものをいう。
5 この法律において「製品事故」とは、消費生活用製品の使用に伴い生じた事故のうち、次のいずれかに該当するものであつて、消費生活用製品の欠陥によつて生じたものでないことが明らかな事故以外のもの(他の法律の規定によつて危害の発生及び拡大を防止することができると認められる事故として政令で定めるものを除く。)をいう。
一 一般消費者の生命又は身体に対する危害が発生した事故
二 消費生活用製品が滅失し、又はき損した事故であつて、一般消費者の生命又は身体に対する危害が発生するおそれのあるもの
6 この法律において「重大製品事故」とは、製品事故のうち、発生し、又は発生するおそれがある危害が重大であるものとして、当該危害の内容又は事故の態様に関し政令で定める要件に該当するものをいう。
(基準)
第三条 主務大臣は、特定製品について、主務省令で、一般消費者の生命又は身体に対する危害の発生を防止するため必要な技術上の基準を定めなければならない。この場合において、当該特定製品について、政令で定める他の法律の規定に基づき一般消費者の生命又は身体に対する危害の発生を防止するための規格又は基準を定めることができることとされているときは、当該規格又は基準に相当する部分以外の部分について技術上の基準を定めるものとする。
(販売の制限)
第四条 特定製品の製造、輸入又は販売の事業を行う者は、第十三条の規定により表示が付されているものでなければ、特定製品を販売し、又は販売の目的で陳列してはならない。
(事業の届出)
第六条 特定製品の製造又は輸入の事業を行う者は、主務省令で定める特定製品の区分(以下単に「特定製品の区分」という。)に従い、次の事項を主務大臣に届け出ることができる。
一 氏名又は名称及び住所並びに法人にあつては、その代表者の氏名
二 主務省令で定める特定製品の型式の区分
三 当該特定製品を製造する工場又は事業場の名称及び所在地(特定製品の輸入の事業を行う者にあつては、当該特定製品の製造事業者の氏名又は名称及び住所)
四 当該特定製品の欠陥により一般消費者の生命又は身体について損害が生じ、その被害者に対してその損害の賠償を行う場合に備えてとるべき
(基準適合義務等)
第十一条 届出事業者は、届出に係る型式の特定製品を製造し、又は輸入する場合においては、第三条第一項の規定により定められた技術上の基準(以下「技術基準」という。)に適合するようにしなければならない。ただし、次に掲げる場合に該当するときは、この限りでない。
(特別特定製品の適合性検査)
第十二条 届出事業者は、その製造又は輸入に係る前条第一項の特定製品(同項ただし書の規定の適用を受けて製造され、又は輸入されるものを除く。)が特別特定製品である場合には、当該特別特定製品を販売する時までに、次の各号のいずれかに掲げるものについて、主務大臣の登録を受けた者の次項の規定による検査(以下「適合性検査」という。)を受け、かつ、同項の証明書の交付を受け、これを保存しなければならない。ただし、当該特別特定製品と同一の型式に属する特別特定製品について既に第二号に係る同項の証明書の交付を受けこれを保存している場合において当該証明書の交付を受けた日から起算して特別特定製品ごとに政令で定める期間を経過していないとき又は同項の証明書と同等なものとして主務省令で定めるものを保存している場合は、この限りでない。
(表示)
第十三条 届出事業者は、その届出に係る型式の特定製品の技術基準に対する適合性について、第十一条第二項(特別特定製品の場合にあつては、同項及び前条第一項)の規定による義務を履行したときは、当該特定製品に主務省令で定める方式による表示を付することができる。
(重大製品事故の要件)
第五条 法第二条第六項 の政令で定める要件は、次のいずれかとする。
一 一般消費者の生命又は身体に対し、次のいずれかの危害が発生したこと。
イ 死亡
ロ 負傷又は疾病であつて、これらの治療に要する期間が三十日以上であるもの又はこれらが治つたとき(その症状が固定したときを含む。)において内閣府令で定める身体の障害が存するもの
ハ 一酸化炭素による中毒
二 火災が発生したこと。
①→×㋒、②→×㋒、③→○
23年度 問題18④⑤ 消費生活用製品安全法・消費者安全法 (正誤で×を選択) その3
18.次の文章のうち、正しいものには○、誤まっているものには×を、解答用紙の解答欄に記入 (マーク) しなさい。また、誤まっているものには、誤まっている箇所 (1ヵ所) の記号も記入 (マーク) しなさい。
【解説と解答】
④は「特定保守製品」に関する問題です。
「特定保守製品」は消費生活用製品安全法の重要な改正である「重大事故の報告制度」の後の2009年に改正できた、いわゆる扇風機などの長期使用製品の経年劣化事故を防止するために、点検制度等を設けようとしたものです。
しかも設問は細かい部分ですが、すべて条文に規定されています。
対象製品には所有者票を添付し、所有者が製造時業者に送付し、事業者が名簿を管理する。
そして、必要な点検が始まる時期が「到来したら」ではなく、「到来する前に」個別に通知することになっています。
したがって、④は㋒が不正解となります。
問題文を読むのがしんどいだけに、ちょっと難しいですね。
「長期使用製品安全点検制度」2009年4月1日施行
経済産業省HP
製品安全ガイド
トップページ > 事業者のみなさまへ > 消費生活用製品安全法改正について
長期使用製品安全点検・表示制度が創設されましたhttp://www.meti.go.jp/product_safety/producer/shouan/07kaisei.html
⑤は事業者の責務のダイジェスト版みたいです。すべて条文にあります。
ということで、⑤はすべて正解です。
(製品への表示等)
第三十二条の四
3 特定製造事業者等は、その製造又は輸入に係る特定保守製品を販売するときは、主務省令で定めるところにより、当該特定保守製品に、当該特定保守製品の所有者(所有者となるべき者を含む。以下この節において同じ。)がその氏名又は名称及び住所、当該特定保守製品の所在場所並びに当該特定保守製品を特定するに足りる事項(以下「所有者情報」という。)を当該特定製造事業者等に提供するための書面(以下「所有者票」という。)を添付しなければならない。
(所有者名簿等)
第三十二条の十一 特定製造事業者等は、第三十二条の八第一項の規定によりその製造又は輸入に係る特定保守製品に係る所有者情報を提供した者について名簿(以下「所有者名簿」という。)を作成し、これに所有者情報を記載し、又は記録しなければならない。
2 特定製造事業者等は、第三十二条の八第二項の規定によりその製造又は輸入に係る特定保守製品に係る所有者情報の変更について提供を受けたときは、速やかに、所有者名簿(その者が特定保守製品に係る事業の全部の譲受け又は相続、合併若しくは分割に伴つて取得した所有者情報に係る所有者名簿を含む。次項及び次条第三項において同じ。)における当該所有者情報の記載又は記録を変更しなければならない。
3 特定製造事業者等は、所有者名簿に所有者情報が記載され、又は記録された者(以下この項及び次条において「名簿記載者」という。)に係る特定保守製品の点検期間が経過するまでの間、当該名簿記載者に係る所有者情報を保管しなければならない。
(点検その他の保守に関する事項の通知)
第三十二条の十二 特定製造事業者等は、名簿記載者に対して、正当な理由がある場合を除き、当該名簿記載者に係る特定保守製品の点検期間の始期の到来前における主務省令で定める期間内に、書面をもつて、当該特定保守製品について、点検を行うことが必要である旨その他主務省令で定める事項(第四項において「点検通知事項」という。)の通知を発しなければならない。
第一節 情報の収集及び提供の責務
(事業者の責務)
第三十四条 消費生活用製品の製造、輸入又は小売販売の事業を行う者は、その製造、輸入又は小売販売に係る消費生活用製品について生じた製品事故に関する情報を収集し、当該情報を一般消費者に対し適切に提供するよう努めなければならない。
第二節 重大製品事故の報告等
(内閣総理大臣への報告等)
第三十五条 消費生活用製品の製造又は輸入の事業を行う者は、その製造又は輸入に係る消費生活用製品について重大製品事故が生じたことを知つたときは、当該消費生活用製品の名称及び型式、事故の内容並びに当該消費生活用製品を製造し、又は輸入した数量及び販売した数量を内閣総理大臣に報告しなければならない。
第三節 危害の発生及び拡大を防止するための措置
(事業者の責務)
第三十八条 消費生活用製品の製造又は輸入の事業を行う者は、その製造又は輸入に係る消費生活用製品について製品事故が生じた場合には、当該製品事故が発生した原因に関する調査を行い、危害の発生及び拡大を防止するため必要があると認めるときは、当該消費生活用製品の回収その他の危害の発生及び拡大を防止するための措置をとるよう努めなければならない。
④→×㋒、⑤→○
23年度 問題18⑥~⑨ 消費生活用製品安全法・消費者安全法 (正誤で×を選択) その4
18.次の文章のうち、正しいものには○、誤まっているものには×を、解答用紙の解答欄に記入 (マーク) しなさい。また、誤まっているものには、誤まっている箇所 (1ヵ所) の記号も記入 (マーク) しなさい。
【解説と解答】
⑥~⑨は消費者安全法の「事故」に関する問題です。すべて条文から出題されています。
⑥は「消費者事故等」の定義に関する問題です。
条文のとおりですので、⑥はすべて正解です。
⑦は「重大事故等」の定義に関する問題です。
条文のとおりですので、⑦はすべて正解です。
⑧重大事故の通知に関する問題です。
重大事故が発生したときと重大事故の発生の情報を得たときに内閣総理大臣に直ちに通知するものです。
重大事故は30日以上の治療期間を要することとありますが、その確定を待たずに、とにかく、重大事故になりそうなものは通知します。
その後、30日に達しない事故であることが分かった場合は、取り消したらいいことになります。
様子を見て30日を確認してから通知した場合、消費者庁から怒られることになりますので、とにかく直ちに通知だけはしておくことが重要です(現場の話です)。
したがって、⑧ははすべて正解です。
⑨は重大事故の拡大発生措置に関する問題です。
○が続いたので怪しく感じながら、結局は引っ掛け問題です。
条文にもあるとおり、いきなり命令が下るわけではなく、まず、勧告する。勧告したにもかかわらず必要な措置をとらなければ命令する、という通常の行政指導と同じような方法ですね。
したがって、⑨は㋒が不正解です。
(定義)
第二条 この法律において「消費者」とは、個人(商業、工業、金融業その他の事業を行う場合におけるものを除く。)をいう。
2 この法律において「事業者」とは、商業、工業、金融業その他の事業を行う者(個人にあっては、当該事業を行う場合におけるものに限る。)をいう。
3 この法律において「消費者安全の確保」とは、消費者の消費生活における被害を防止し、その安全を確保することをいう。
4 この法律において「消費安全性」とは、商品等(事業者がその事業として供給する商品若しくは製品又は事業者がその事業のために提供し、利用に供し、若しくは事業者がその事業として若しくはその事業のために提供する役務に使用する物品、施設若しくは工作物をいう。以下同じ。)又は役務(事業者がその事業として又はその事業のために提供するものに限る。以下同じ。)の特性、それらの通常予見される使用(飲食を含む。)又は利用(以下「使用等」という。)の形態その他の商品等又は役務に係る事情を考慮して、それらの消費者による使用等が行われる時においてそれらの通常有すべき安全性をいう。
5 この法律において「消費者事故等」とは、次に掲げる事故又は事態をいう。
一 事業者がその事業として供給する商品若しくは製品、事業者がその事業のために提供し若しくは利用に供する物品、施設若しくは工作物又は事業者がその事業として若しくはその事業のために提供する役務の消費者による使用等に伴い生じた事故であって、消費者の生命又は身体について政令で定める程度の被害が発生したもの(その事故に係る商品等又は役務が消費安全性を欠くことにより生じたものでないことが明らかであるものを除く。)
二 消費安全性を欠く商品等又は役務の消費者による使用等が行われた事態であって、前号に掲げる事故が発生するおそれがあるものとして政令で定める要件に該当するもの
三 前二号に掲げるもののほか、虚偽の又は誇大な広告その他の消費者の利益を不当に害し、又は消費者の自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがある行為であって政令で定めるものが事業者により行われた事態
6 この法律において「重大事故等」とは、次に掲げる事故又は事態をいう。
一 前項第一号に掲げる事故のうち、その被害が重大であるものとして政令で定める要件に該当するもの
二 前項第二号に掲げる事態のうち、前号に掲げる事故を発生させるおそれがあるものとして政令で定める要件に該当するもの
(消費者事故等の発生に関する情報の通知)
第十二条 行政機関の長、都道府県知事、市町村長及び国民生活センターの長は、重大事故等が発生した旨の情報を得たときは、直ちに、内閣総理大臣に対し、内閣府令 で定めるところにより、その旨及び当該重大事故等の概要その他内閣府令で定める事項を通知しなければならない。
2 行政機関の長、都道府県知事、市町村長及び国民生活センターの長は、消費者事故等(重大事故等を除く。)が発生した旨の情報を得た場合であって、当該消 費者事故等の態様、当該消費者事故等に係る商品等又は役務の特性その他当該消費者事故等に関する状況に照らし、当該消費者事故等による被害が拡大し、又は 当該消費者事故等と同種若しくは類似の消費者事故等が発生するおそれがあると認めるときは、内閣総理大臣に対し、内閣府令で定めるところにより、当該消費 者事故等が発生した旨及び当該消費者事故等の概要その他内閣府令で定める事項を通知するものとする。
3、4省略
(事業者に対する勧告及び命令)
第十七条 内閣総理大臣は、商品等又は役務が消費安全性を欠くことにより重大事故等が発生した場合(当該重大事故等による被害の拡大又は当該重大事故等とその原因 を同じくする重大事故等の発生(以下「重大消費者被害の発生又は拡大」という。)の防止を図るために実施し得る他の法律の規定に基づく措置がある場合を除 く。)において、重大消費者被害の発生又は拡大の防止を図るため必要があると認めるときは、当該商品等(当該商品等が消費安全性を欠く原因となった部品、 製造方法その他の事項を共通にする商品等を含む。以下この項において同じ。)又は役務を供給し、提供し、又は利用に供する事業者に対し、当該商品等又は役 務につき、必要な点検、修理、改造、安全な使用方法の表示、役務の提供の方法の改善その他の必要な措置をとるべき旨を勧告することができる。
2 内閣総理大臣は、前項の規定による勧告を受けた事業者が、正当な理由がなくてその勧告に係る措置をとらなかった場合において、重大消費者被害の発生又は 拡大の防止を図るため特に必要があると認めるときは、当該事業者に対し、その勧告に係る措置をとるべきことを命ずることができる。
3 内閣総理大臣は、重大消費者被害の発生又は拡大の防止を図るために他の法律の規定に基づく措置が実施し得るに至ったことその他の事由により前項の命令の必要がなくなったと認めるときは、同項の規定による命令を変更し、又は取り消すものとする。
4 内閣総理大臣は、第二項の規定による命令をしようとするとき又は前項の規定による命令の変更若しくは取消しをしようとするときは、あらかじめ、消費者委員会の意見を聴かなければならない。
5 内閣総理大臣は、第二項の規定による命令をしたとき又は第三項の規定による命令の変更若しくは取消しをしたときは、その旨を公表しなければならない。
(消費者の生命又は身体について被害が発生した事故が消費者事故等に該当することとなる被害の程度)
第一条 消費者安全法 (以下「法」という。)第二条第五項第一号 の政令で定める被害の程度は、次の各号のいずれかに該当する被害の程度とする。
一 死亡
二 負傷又は疾病であって、これらの治療に要する期間が一日以上であるもの(当該治療のため通常医療施設における治療の必要がないと認められる軽度のものを除く。)
三 一酸化炭素その他の内閣府令で定める物質による中毒
(消費安全性を欠く商品等又は役務の使用等が行われた事態が消費者事故等に該当することとなる要件)
第二条 法第二条第五項第二号 の政令で定める要件は、次の各号のいずれかに該当することとする。
一 当該商品等又は当該役務が、法律(これに基づく命令を含む。以下同じ。)の規定に基づき事業者が商品等又は役務をこれに適合するものとしなければならな いこととされている消費者の生命又は身体の安全の確保のための商品等又は役務に関する基準に適合していなかったこと。
二 前号に掲げるもののほか、当該商品等又は当該役務の使用等において、物品(飲食の用に供するものを除く。)、施設又は工作物に、破損、故障、汚染若しくは変質その他の劣化又は過熱、異常音その他の異常が生じていたこと。
三 第一号に掲げるもののほか、当該商品等又は当該役務の使用等において、物品(飲食の用に供するものに限る。以下この号において同じ。)が腐敗し、変敗 し、不潔となり若しくは病原体により汚染されており、又は物品に有毒な若しくは有害な物質が含まれ若しくは付着し、異物が混入され若しくは添加され、若し くは異臭、その容器若しくは包装の破損その他の異常が生じていたこと。
四 前三号に掲げるもののほか、当該商品等又は当該役務の使用等において、消費者に窒息その他その生命又は身体に対する著しい危険が生じたこと。
(消費者の生命又は身体について被害が発生した事故が重大事故等に該当することとなる要件)
第四条 法第二条第六項第一号 の政令で定める要件は、消費者の生命又は身体について次の各号のいずれかに該当する程度の被害が発生したこととする。
一 死亡
二 負傷又は疾病であって、これらの治療に要する期間が三十日以上であるもの又はこれらが治ったとき(その症状が固定したときを含む。)において内閣府令で定める程度の身体の障害が存するもの
三 一酸化炭素その他の内閣府令で定める物質による中毒
⑥→○、⑦→○、⑧→○、⑨→×㋒
簡単そうで難しい条文基本問題です。6割以上の正解を目指しましょう。
23年度 問題19①~④ 景品表示法 (正誤で×を選択) その1
19.次の文章のうち、正しいものには○、誤まっているものには×を、解答用紙の解答欄に記入 (マーク) しなさい。また、誤まっているものには、誤まっている箇所 (1ヵ所) の記号も記入 (マーク) しなさい。
【解説と解答】
①
特に深く考えずに、事業を行うものは事業者に該当するということでいいと思います。
したがって、①はすべて正解です。
(目的)
第一条 この法律は、商品及び役務の取引に関連する不当な景品類及び表示による顧客の誘引を防止するため、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれのある行為の制限及び禁止について定めることにより、一般消費者の利益を保護することを目的とする。
(定義)
第二条 この法律で「事業者」とは、商業、工業、金融業その他の事業を行う者をいい、当該事業を行う者の利益のためにする行為を行う役員、従業員、代理人その他の者は、次項及び第十一条の規定の適用については、これを当該事業者とみなす。
2 この法律で「事業者団体」とは、事業者としての共通の利益を増進することを主たる目的とする二以上の事業者の結合体又はその連合体をいい、次に掲げる形態のものを含む。ただし、二以上の事業者の結合体又はその連合体であつて、資本又は構成事業者(事業者団体の構成員である事業者をいう。第二十条において同じ。)の出資を有し、営利を目的として商業、工業、金融業その他の事業を営むことを主たる目的とし、かつ、現にその事業を営んでいるものを含まないものとする。
②
ご存知のとおり、素直に「トラスト」ではなく「カルテル」ですね。
ということで、②は㋑が不正解です。
(ウィキペディアより)トラスト(英語: trust)とは企業合同とも訳され、同一業種の複数の企業が株式の買収や持合い、受託をおこなったり、また、持ち株会社を設立し同種企業を傘下に持つなどにより事実上企業として一体化させる、企業経営の形態のひとつ。
→ある一定規模のトラストは市場独占することになり独占禁止法上の独占になる。アメリカでは独占を禁止するためのいくつかの法律が反トラスト法と呼ばれた。
トラストは独占の意味を持つようになった。
公正取引委員会HP
ホーム > 独占禁止法ホーム > 独占禁止法の規制内容
http://www.jftc.go.jp/dk/kisei.html#Futou
不当な取引制限は,独占禁止法第3条で禁止されている行為です。不当な取引制限に該当する行為には,「カルテル」と「入札談合」があります。「カルテル」は,事業者又は業界団体の構成事業者が相互に連絡を取り合い,本来,各事業者が自主的に決めるべき商品の価格や販売・生産数量などを共同で取り決める行為です。「入札談合」は,国や地方公共団体などの公共工事や物品の公共調達に関する入札に際し,事前に,受注事業者や受注金額などを決めてしまう行為です。
③
私的独占は1事業者だけでなく複数の事業者も含みます。また、独占禁止法で事業者団体の行為規制もされています。
なお、景表法第2条の事業者の定義でも、事業者団体は事業者とみなすとなっています。
したがって、③は㋐が不正解です。
私的独占は,独占禁止法第3条前段で禁止されている行為です。私的独占には,「排除型私的独占」と「支配型私的独占」とがあります。前者は,事業者が単独又は他の事業者と共同して,不当な低価格販売などの手段を用いて,競争相手を市場から排除したり,新規参入者を妨害して市場を独占しようとする行為です。後者は,事業者が単独又は他の事業者と共同して,株式取得などにより,他の事業者の事業活動に制約を与えて,市場を支配しようとする行為です。
独占禁止法が規制している行為の対象者は,市場において事業活動を行っている事業者だけでなく,2以上の事業者で構成される社団や財団,組合等の事業者団体も対象となります。事業者団体とは,「事業者としての共通の利益を増進することを主たる目的とする2以上の事業者の結合体又はその連合体」をいうとされています。独占禁止法第8条では,事業者団体の活動として,事業者団体による競争の実質的な制限,事業者の数の制限,会員事業者・組合員等の機能又は活動の不当な制限,事業者に不公正な取引方法をさせる行為等を禁止しています。
第三章 事業者団体
第八条 事業者団体は、次の各号のいずれかに該当する行為をしてはならない。
一 一定の取引分野における競争を実質的に制限すること。
二 第六条に規定する国際的協定又は国際的契約をすること。
三 一定の事業分野における現在又は将来の事業者の数を制限すること。
四 構成事業者(事業者団体の構成員である事業者をいう。以下同じ。)の機能又は活動を不当に制限すること。
五 事業者に不公正な取引方法に該当する行為をさせるようにすること。
④
2009年に景表法は大きく改正されました。その概要はパンフレット等でも説明されています。
ということで、④はすべて正解です。
消費者庁HP
ホーム > 表示対策課
http://www.caa.go.jp/representation/index.html
不当景品類及び不当表示防止法(景品表示法)
改正景品表示法の概要[PDF:81 KB]
景品表示法の目的
改正前は、不当表示等を「公正な競争を阻害」に着目して規制(独禁法の特例法)
↓
一般消費者による選択の阻害自体に着目して規制
・改正後も規制の対象範囲は実質上変わらない。
①→○、②→×㋑、③→×㋐、④→○
23年度 問題19⑤⑥ 景品表示法 (正誤で×を選択) その2
19.次の文章のうち、正しいものには○、誤まっているものには×を、解答用紙の解答欄に記入 (マーク) しなさい。また、誤まっているものには、誤まっている箇所 (1ヵ所) の記号も記入 (マーク) しなさい。
【解説と解答】
⑤
景品表示法は大きく分けて、「不当な表示の禁止」と「過大な景品類の提供の禁止」の2つの規制から構成されています。
この問題は難問かもしれません。
特商法などでは消費者の定義がしっかりされていたりしましたが、景表法ははっきりされておらず悩み、解説本(景品表示法 第2版 商事法務)を図書館で借りました。
(参考)アマゾン・・・景品表示法
消費者庁HP
ホーム > 表示対策課 > 景品表示法 > 景品規制の概要
景品類の定義
http://www.caa.go.jp/representation/keihyo/keihin/keihingaiyo.html
不当景品類及び不当表示防止法第2条の規定により景品類及び表示を指定する件(告示)
景品類等の指定の告示の運用基準
3 「自己の供給する商品又は役務の取引」について
(1)「自己の供給する商品又は役務の取引」には,自己が製造し,又は販売する商品についての,最終需要者に至るまでのすべての流通段階における取引が含まれる。
「不当な表示の禁止」は第4条で、条文中に「一般消費者に対し」と書かれています。
「過大な景品類の提供の禁止」は第3条で「一般消費者による」と書かれています。
ということで、⑤はすべて正解です。
これでいいのかわかりませんが、もっと分かりやすい解説や根拠がありましたら教えてください。
また、下記のような解説もありました。
消費者庁HP
ホーム > 表示対策課 > よくある質問コーナー(景品表示法関係)
http://www.caa.go.jp/representation/keihyo/qa/keihinqa.html#Q6
当社は産業用の機械のメーカーです。取引先はすべて事業者であり,消費者向けの販売は行っておりません。
当社製品を購入してくれた取引先に対し,抽選か,もれなくかのいずれかの方法で物品を提供したいと考えていますが,この場合,提供する物品は景品表示法上の「景品類」に該当するのでしょうか。
A.
取引に付随してくじなどの方法により物品を提供する場合は,提供の相手方が事業者であっても一般消費者であっても,景品表示法上の懸賞として,景品規制の対象となります(→Q3参照)。
一方,懸賞によらず提供する場合は,一般消費者向けに提供するものは総付景品に該当し,景品規制の対象となります(→Q5参照)が,事業者向けのものは原則として景品規制は適用されません。
ただし,医療用医薬品業,医療機器業及び衛生検査所業については,例外的に,医療機関等の事業者向けに提供する物品・サービスについて,景品規制の対象となります(詳細はQ54を参照してください。)。
(景品類の制限及び禁止)
第三条 内閣総理大臣は、不当な顧客の誘引を防止し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を確保するため必要があると認めるときは、景品類の価額の最高額若しくは総額、種類若しくは提供の方法その他景品類の提供に関する事項を制限し、又は景品類の提供を禁止することができる。
(不当な表示の禁止)
第四条 事業者は、自己の供給する商品又は役務の取引について、次の各号のいずれかに該当する表示をしてはならない。
一 商品又は役務の品質、規格その他の内容について、一般消費者に対し、実際のものよりも著しく優良であると示し、又は事実に相違して当該事業者と同種若しくは類似の商品若しくは役務を供給している他の事業者に係るものよりも著しく優良であると示す表示であつて、不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあると認められるもの
二 商品又は役務の価格その他の取引条件について、実際のもの又は当該事業者と同種若しくは類似の商品若しくは役務を供給している他の事業者に係るものよりも取引の相手方に著しく有利であると一般消費者に誤認される表示であつて、不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあると認められるもの
三 前二号に掲げるもののほか、商品又は役務の取引に関する事項について一般消費者に誤認されるおそれがある表示であつて、不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあると認めて内閣総理大臣が指定するもの
2 内閣総理大臣は、事業者がした表示が前項第一号に該当するか否かを判断するため必要があると認めるときは、当該表示をした事業者に対し、期間を定めて、当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めることができる。この場合において、当該事業者が当該資料を提出しないときは、第六条の規定の適用については、当該表示は同号に該当する表示とみなす。
⑥
優良誤認の問題です。優良誤認は「内容」に関する表示を規制するものです。
消費者庁HP
ホーム > 表示対策課 > 景品表示法 > 表示規制の概要 > 優良誤認とは
http://www.caa.go.jp/representation/keihyo/yuryo.html
景品表示法第4条第1項第1号は,事業者が,自己の供給する商品・サービスの取引において,その品質,規格その他の内容について,一般消費者に対し,
(1) 実際のものよりも著しく優良であると示すもの
(2) 事実に相違して競争関係にある事業者に係るものよりも著しく優良であると示すもの
であって,不当に顧客を誘引し,一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあると認められる表示を禁止しています(優良誤認表示の禁止)。
具体的には,商品・サービスの品質を,実際よりも優れていると偽って宣伝したり,競争業者が販売する商品・サービスよりも特に優れているわけではないのに,あたかも優れているかのように偽って宣伝する行為が優良誤認表示に該当します。
なお,故意に偽って表示する場合だけでなく,誤って表示してしまった場合であっても,優良誤認表示に該当する場合は,景品表示法により規制されることになりますので注意が必要です。
中古自動車の場合・・・販売する中古自動車の走行距離を3万kmと表示したが,実は10万km以上走行した中古自動車のメーターを巻き戻したものだった。
食肉の場合・・・国産有名ブランド牛の肉であるかのように表示して販売していたが,実はブランド牛ではない国産牛肉だった。
医療保険の場合・・・「入院1日目から入院給付金をお支払い」と表示したが,入院後に診断が確定した場合,その日からの給付金しか支払われないシステムだった。
アクセサリーの場合・・・天然ダイヤを使用したネックレスのように表示したが,使われているのはすべて人造ダイヤだった。
この問題を答えるツボがあります。表示に関する問題であるのに表示ではないことが事例に出ています。アとウは「表示する事例」と書かれているのに、イは「アゲゾコに関する事例」となっており、表示ではなく現象に関して書かれています。これは過大包装のことであり、表示には関係ないと考えれば、即答できます。
ということで、⑥は㋑が不正解です。
⑤→○、⑥→×㋑
23年度 問題19⑦ 景品表示法 (正誤で×を選択) その3
19.次の文章のうち、正しいものには○、誤まっているものには×を、解答用紙の解答欄に記入 (マーク) しなさい。また、誤まっているものには、誤まっている箇所 (1ヵ所) の記号も記入 (マーク) しなさい。
【解説と解答】
⑦
有利誤認の問題です。有利誤認は「取引条件」に関する表示を規制するものです。
消費者庁HP
ホーム > 表示対策課 > 景品表示法 > 表示規制の概要 > 有利誤認とは
http://www.caa.go.jp/representation/keihyo/yuri.html
景品表示法第4条第1項第2号は,事業者が,自己の供給する商品・サービスの取引において,価格その他の取引条件について,一般消費者に対し,
(1) 実際のものよりも著しく取引の相手方に著しく有利であると一般消費者に誤認されるもの
(2) 競争事業者に係るものよりも取引の相手方に著しく有利である一般消費者に誤認されるもの
であって,不当に顧客を誘引し,一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあると認められる表示を禁止しています(有利誤認表示の禁止)。
具体的には,商品・サービスの取引条件について,実際よりも有利であると偽って宣伝したり,競争業者が販売する商品・サービスよりも特に安いわけでもないのに,あたかも著しく安いかのように偽って宣伝する行為が有利誤認表示に該当します。
なお,故意に偽って表示する場合だけでなく,誤って表示してしまった場合であっても,有利誤認表示に該当する場合は,景品表示法により規制されることになりますので注意が必要です。
ホーム > 表示対策課 > 景品表示法 > 表示規制の概要 > 有利誤認とは > 二重価格表示
http://www.caa.go.jp/representation/keihyo/nijukikaku.html
価格表示は,消費者にとって商品・サービスの選択上最も重要な情報の一つです。したがって,価格表示が適正に行われない場合には,消費者の選択を誤らせることとなります。このような観点から,価格表示に関する違反行為の未然防止と適正化を図るため,どのような価格表示が一般消費者に誤認を与え,景品表示法に違反するおそれがあるかについて「不当な価格表示についての景品表示法上の考え方」(価格表示ガイドライン)[PDF]を公表し,考え方を明らかにしています。
価格表示ガイドラインにおいては,価格表示を行う場合の考え方や,どのような表示が不当表示に該当するおそれがあるかを列挙し,価格表示を行う際の注意点を示しております。
価格表示ガイドラインのポイント
1 二重価格表示についての基本的な考え方
(1)次のような場合は二重価格表示に該当するおそれがあります。
同一ではない商品の価格を比較対照価格に用いて表示を行う場合
比較対照価格に用いる価格について実際と異なる表示やあいまいな表示を行う場合
(2)過去の販売価格を比較対照価格とする二重価格表示について
同一の商品について「最近相当期間にわたって販売されていた価格」を比較対照価格とする場合には,不当表示に該当するおそれはありません。
同一の商品について「最近相当期間にわたって販売されていた価格」とはいえない価格を比較対照価格に用いる場合には,当該価格がいつの時点でどの程度の期間販売されていた価格であるかなどその内容を正確に表示しない限り,不当表示に該当するおそれがあります。
※ 「最近相当期間にわたって販売されていた価格」については,価格表示ガイドライン第4の2(1)ア(ウ)を御覧ください。
(3)将来の販売価格を比較対照価格とする二重価格表示
表示された将来の販売価格が十分な根拠のあるものでないとき(実際の販売することのない価格であったり,ごく短期間のみ当該価格で販売するにすぎないなど)には,不当表示に該当するおそれがあります。
(4)希望小売価格を比較対照価格とする二重価格表示について
製造業者等により設定されあらかじめカタログ等により公表されているとはいえない価格を希望小売価格として称して比較対照価格に用いる場合には,不当表示に該当するおそれがあります。
(5)競争事業者の販売価格を価格対照価格とする二重価格表示について
消費者が同一の商品について代替的に購入し得る事業者の最近時の販売価格とはいえない価格を比較対照価格に用いる場合には,不当表示に該当するおそれがあります。
市価を比較対照価格とする二重価格表示については,競争関係にある相当数の事業者の実際の販売価格を正確に調査することなく表示する場合には,不当表示に該当するおそれがあります。
2 その他の価格表示
上記以外に,将来の販売価格又は他の顧客向けの販売価格を比較対照価格とする二重価格表示,割引率又は割引額の表示,販売価格の安さを強調する表示などにおける不当な価格表示についての景品表示法上の考え方を明らかにしております。
家電量販店の場合・・・家電製品の店頭価格について,競合店の平均価格から値引すると表示しながら,その平均価格を実際よりも高い価格に設定し,そこから値引きを行っていた。
メガネ店の場合・・・フレーム+レンズ一式で「メーカー希望価格の半額」と表示したが,実際には,メーカー希望価格は設定されていなかった。
二重価格は対象価格と比較するものなので取引条件(有利誤認)に関する規制を受けます。
常識的に考えても分かるすべて正解のような気がしますが、少し引っ掛け的な問題になっていて、将来の自店販売価格は比較対象としてすべて使用できないというのではなく、十分な根拠がないときに禁止されます。根拠があればOKということですね。
想像してみると、発売時のセールは最初の1週間は割引になるが、その後は定価になると考えればOKだと分かります。発売時のセール価格がいつまでもセール価格で比較価格にならない場合はダメだということですね。
ということで、⑦は㋒が不正解です。
⑦→×㋒
23年度 問題19⑧ 景品表示法 (正誤で×を選択) その4
19.次の文章のうち、正しいものには○、誤まっているものには×を、解答用紙の解答欄に記入 (マーク) しなさい。また、誤まっているものには、誤まっている箇所 (1ヵ所) の記号も記入 (マーク) しなさい。
【解説と解答】
⑧
「おとり広告」に関する問題です。
「おとり広告」は景表法第4条で3つに分類されているもののうちの「優良誤認」「有利誤認」のほかに特別に定められているもので、試験にも頻出なので、何に関することかだけでもチェックしておいてください。特に最新の平成16年に告示された「有料老人ホームに関する不当な表示」は事例として出やすいです。
消費者庁HP
ホーム > 表示対策課 > 景品表示法 > 表示規制の概要
http://www.caa.go.jp/representation/keihyo/hyoji/hyojigaiyo.html
「商品の原産国に関する不当な表示」昭和48年
「消費者信用の融資費用に関する不当な表示」昭和55年
「不動産のおとり広告に関する表示」昭和55年
「おとり広告に関する表示」平成5年
「有料老人ホームに関する不当な表示」平成16年
消費者庁HP
ホーム > 表示対策課 > 景品表示法 > おとり広告に関する表示
http://www.caa.go.jp/representation/keihyo/hyoji/kokujiotori.html
景品表示法第4条第1項第3号の規定に基づく告示である「おとり広告に関する表示」(平成5年公正取引委員会告示第17号)は,次のように,商品・サービスが実際には購入できないにもかかわらず,購入できるかのような表示を不当表示として規定しています。
(1) 取引の申出に係る商品・サービスについて,取引を行うための準備がなされていない場合のその商品・サービスについての表示
(2) 取引の申出に係る商品・サービスの供給量が著しく限定されているにもかかわらず,その限定の内容が明りょうに記載されていない場合のその商品・サービスについての表示
(3) 取引の申出に係る商品・サービスの供給期間,供給の相手方又は顧客一人当たりの供給量が限定されているにもかかわらず,その限定の内容が明りょうに記載されていない場合のその商品・サービスについての表示
(4) 取引の申出に係る商品・サービスについて,合理的理由がないのに取引の成立を妨げる行為が行われる場合その他実際には取引する意思がない場合のその商品・サービスについての表示
この問題は常識手金考えても大丈夫です。
ということで、⑧はすべて正解です。
⑧→○
23年度 問題19⑨⑩ 景品表示法 (正誤で×を選択) その5
19.次の文章のうち、正しいものには○、誤まっているものには×を、解答用紙の解答欄に記入 (マーク) しなさい。また、誤まっているものには、誤まっている箇所 (1ヵ所) の記号も記入 (マーク) しなさい。
【解説と解答】
⑨
一般論として規約は参加団体が自主的に決めたものなので、参加するもしないも自由ですね。
ただし、ある程度の規模もあり国も認めているので、クリーニング賠償基準のように一般論として適用することは現場でもよくあります。
というわけで、自由参加は条文にもかかれており、⑨は㋑が不正解です。
第十一条 事業者又は事業者団体は、内閣府令で定めるところにより、景品類又は表示に関する事項について、内閣総理大臣及び公正取引委員会の認定を受けて、不当な顧客の誘引を防止し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択及び事業者間の公正な競争を確保するための協定又は規約を締結し、又は設定することができる。これを変更しようとするときも、同様とする。
2 内閣総理大臣及び公正取引委員会は、前項の協定又は規約が次の各号のいずれにも適合すると認める場合でなければ、同項の認定をしてはならない。
一 不当な顧客の誘引を防止し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択及び事業者間の公正な競争を確保するために適切なものであること。
二 一般消費者及び関連事業者の利益を不当に害するおそれがないこと。
三 不当に差別的でないこと。
四 当該協定若しくは規約に参加し、又は当該協定若しくは規約から脱退することを不当に制限しないこと。
⑩
消費者庁のHPでも公表されているとおり、都道府県知事が頻繁に景表法の行政処分をしていますね。
また、消費者契約法が2009年4月に改正されて、適格消費者団体の差し止め請求を特商法に加えて、景表法も対象となっています。
したがって、⑩はすべて正解です。
第六条 内閣総理大臣は、第三条の規定による制限若しくは禁止又は第四条第一項の規定に違反する行為があるときは、当該事業者に対し、その行為の差止め若しくはその行為が再び行われることを防止するために必要な事項又はこれらの実施に関連する公示その他必要な事項を命ずることができる。その命令は、当該違反行為が既になくなつている場合においても、次に掲げる者に対し、することができる。
一 当該違反行為をした事業者
二 当該違反行為をした事業者が法人である場合において、当該法人が合併により消滅したときにおける合併後存続し、又は合併により設立された法人
三 当該違反行為をした事業者が法人である場合において、当該法人から分割により当該違反行為に係る事業の全部又は一部を承継した法人
四 当該違反行為をした事業者から当該違反行為に係る事業の全部又は一部を譲り受けた事業者
(都道府県知事の指示)
第七条 都道府県知事は、第三条の規定による制限若しくは禁止又は第四条第一項の規定に違反する行為があると認めるときは、当該事業者に対し、その行為の取りやめ若しくはその行為が再び行われることを防止するために必要な事項又はこれらの実施に関連する公示その他必要な事項を指示することができる。その指示は、当該違反行為が既になくなつている場合においても、することができる。
(適格消費者団体の差止請求権)
第十条 消費者契約法 (平成十二年法律第六十一号)第二条第四項 に規定する適格消費者団体は、事業者が、不特定かつ多数の一般消費者に対して次の各号に掲げる行為を現に行い又は行うおそれがあるときは、当該事業者に対し、当該行為の停止若しくは予防又は当該行為が当該各号に規定する表示をしたものである旨の周知その他の当該行為の停止若しくは予防に必要な措置をとることを請求することができる。
※最後に共通事項として、景表法中の「内閣総理大臣」は「権限委任」により「消費者庁長官」と読み替えられるので覚えておいてください。
第十二条 内閣総理大臣は、この法律による権限(政令で定めるものを除く。)を消費者庁長官に委任する。
2 消費者庁長官は、政令で定めるところにより、前項の規定により委任された権限の一部を公正取引委員会に委任することができる。
3 公正取引委員会は、前項の規定により委任された権限を行使したときは、速やかに、その結果について消費者庁長官に報告するものとする。
違反行為に対する措置
消費者庁長官(政令により委任)による措置
措置命令(景表法第6条)
• 不当表示を行っていたことの公示
• 再発防止措置
• 不作為命令
※ 命令違反については、2年以下の懲役又は300万円
以下の罰金(併科あり)。法人は3億円以下の罰金
都道府県知事による措置
指示(景表法第7条)
※ 指示違反の場合、知事は消費者庁長官に措置請求
可能
⑨→×㋑、⑩→○
23年度 問題20 個人情報保護法 (選択穴埋) その1
試験問題とは切っても切れる関係の個人情報保護法です。
国民生活センターでは、個人情報保護法に関する分厚いテキストを作成しており、逐条解説風に網羅されています。
一番分かりやすい参考書といわれていますが非売品です。
また、法律の解説講座などのテキストが分かりやすくまとめられていますので、参加したことがある方は参考にしてください。
個人情報保護法での覚えるべきポイントは決まっています。とはいえ、その範囲が広いので大変です。
まあ、常識的な推測で答えられる問題も多いですが、一通り勉強して頭の隅に残しておけば、思い出して回答できると思います。
意外に細かいところまで追求されたりするので難しく感じるかもしれませんね。
消費者庁のHPに個人情報の解説ページがあるので参考にしてください。
消費者庁
個人情報の保護 → 説明会の資料やQ&Aなど多くの情報が掲載されています
http://www.caa.go.jp/seikatsu/kojin/index.html
個人情報保護法とは?(パンフレット)
http://www.caa.go.jp/seikatsu/kojin/kaisetsu/panfu.html
個人情報保護法に関するよくある疑問と回答
http://www.caa.go.jp/seikatsu/kojin/gimon-kaitou.html
個人情報の保護に関する法律
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H15/H15HO057.html
※22年度の過去問の解説も参考にしてください。
23年度 問題20 個人情報保護法 (選択穴埋) その2
20.次の文章の[ ]の部分に入れるのに最も適切な語句を、下記の語群の中から選び、解答用紙の解答欄にその番号を記入(マーク)しなさい。なお、同一記号には同一語句が入る。
1.利用の停止 2.第三者の同意 3.暴力団追放 4.法令に基づく場合 5.目的外 6.因果関係 7.公衆衛生
8.廃棄 9.利用目的 10.手数料 11.本人の同意 12.概念 13.相当の関連性 14.裁判に基づく場合
個人情報取扱事業者(以下、事業者という。)による個人情報の利用に関する大原則は、あらかじめ[ ア ]を得なければ、[ イ ]の達成に必要な範囲を超えて、個人情報を取り扱ってはならないということである。そして、この[ イ ]は、できる限り特定しなければならない。
個人情報保護法は、誰がどのような個人情報を保有しているかということだけでなく、「何のために」保有しているかを明確にさせ、それによって、個人情報の利用の限界を画することとしている。そのため、[ イ ]の特定は、事業者の規制の最も基本的な事柄といえる。情報主体である本人は、[ ウ ]の利用が判明した場合には、当該本人が識別される保有個人データの[ エ ]を求めることができる。
しかし、同法は、[ ア ]を得ずに[ イ ]の達成に必要な範囲を超えて利用できる場合として、4つの例外を設けている。まず、[ オ ]である。次に、人の生命、身体または財産保護のために必要がある場合であって、[ ア ]を得ることが困難であるとき。そして、[ カ ]の向上または児童の健全な育成の推進のために特に必要がある場合であって、[ ア ]を得ることが困難であるとき。最後に、国の機関もしくは地方公共団体またはその委託を受けた者が法令の定める事務を遂行することに対して協力する必要がある場合であって、[ ア ]を得ることにより当該事務の遂行に支障を及ぼすおそれがあるときである。
しかしながら、事業活動の変化などによって、個人情報を保有する事業者においては、保有している個人情報をそれまでと異なった利用をする必要が生じることが考えられる。そこで、同法において、[ イ ]の変更の規定をおいているが、[ イ ]の変更には、変更前の[ イ ]と[ キ ]を有すると合理的に認められる範囲を超えてはならないという制限がある。これを超える変更は許されず、変更について[ ア ]を得るか、新たな[ イ ]を示して再び個人情報を取得しない限り、変更後の新たな[ イ ]で個人情報を利用することはできない。
【解説と解答】
今回の問題は穴埋7個で、非常に簡単です。特に法律に詳しくなくても一般知識で回答できますし、試験終盤の時間帯で突如簡単な問題になったのでケアレスミスさえしなければ全問正解できます。
問題文は説明文のように感じますが、ほとんど法律の条文から抜粋されているものです。
[ ア ]と[ イ ]は第16条にあるとおり、[ ア ]は 「11.本人の同意」、[ イ ]は「9.利用目的」が正解となります。
[ ウ ]と[ エ ]は第27条にあるとおり、[ ウ ]は「5.目的外」、[ エ ]は「1.利用の停止」が正解となります。
もし、「訂正」という選択肢があった場合にケアレスミスしないように気をつけてください。
[ オ ]と[ カ ]は同意を得ないで目的外で利用することができる例外として第16条第3項に4つ定められています。具体的な事例は個人情報の保護のHPの「個人情報保護法の早わかり」にまとめられていますので、それを読めば常識的にも考えることができると分かります。
ということで、[ オ ]は「4.法令に基づく場合」、[ カ ]は「7.公衆衛生」が正解となります。
最後の[ キ ]は利用目的の変更ですが、全く異なる目的には利用できませんが、類似の目的には利用できることを第15条第2項に規定されています。
したがって、[ キ ]は「13.相当の関連性」が正解となります。
類似した選択肢に「6.因果関係」があり、試験終盤の時間が少ない中で直感的に選択してしまう可能性もありますが、集中してケアレスミスしないように注意してください。
第四章 個人情報取扱事業者の義務等
第一節 個人情報取扱事業者の義務
(利用目的の特定)
第十五条 個人情報取扱事業者は、個人情報を取り扱うに当たっては、その利用の目的(以下「利用目的」という。)をできる限り特定しなければならない。
2 個人情報取扱事業者は、利用目的を変更する場合には、変更前の利用目的と相当の関連性を有すると合理的に認められる範囲を超えて行ってはならない。
(利用目的による制限)
第十六条 個人情報取扱事業者は、あらかじめ本人の同意を得ないで、前条の規定により特定された利用目的の達成に必要な範囲を超えて、個人情報を取り扱ってはならない。
2 個人情報取扱事業者は、合併その他の事由により他の個人情報取扱事業者から事業を承継することに伴って個人情報を取得した場合は、あらかじめ本人の同意を得ないで、承継前における当該個人情報の利用目的の達成に必要な範囲を超えて、当該個人情報を取り扱ってはならない。
3 前二項の規定は、次に掲げる場合については、適用しない。
一 法令に基づく場合
二 人の生命、身体又は財産の保護のために必要がある場合であって、本人の同意を得ることが困難であるとき。
三 公衆衛生の向上又は児童の健全な育成の推進のために特に必要がある場合であって、本人の同意を得ることが困難であるとき。
四 国の機関若しくは地方公共団体又はその委託を受けた者が法令の定める事務を遂行することに対して協力する必要がある場合であって、本人の同意を得ることにより当該事務の遂行に支障を及ぼすおそれがあるとき。
(訂正等)
第二十六条 個人情報取扱事業者は、本人から、当該本人が識別される保有個人データの内容が事実でないという理由によって当該保有個人データの内容の訂正、追加又は削除(以下この条において「訂正等」という。)を求められた場合には、その内容の訂正等に関して他の法令の規定により特別の手続が定められている場合を除き、利用目的の達成に必要な範囲内において、遅滞なく必要な調査を行い、その結果に基づき、当該保有個人データの内容の訂正等を行わなければならない。
2 個人情報取扱事業者は、前項の規定に基づき求められた保有個人データの内容の全部若しくは一部について訂正等を行ったとき、又は訂正等を行わない旨の決定をしたときは、本人に対し、遅滞なく、その旨(訂正等を行ったときは、その内容を含む。)を通知しなければならない。
(利用停止等)
第二十七条 個人情報取扱事業者は、本人から、当該本人が識別される保有個人データが第十六条の規定に違反して取り扱われているという理由又は第十七条の規定に違反して取得されたものであるという理由によって、当該保有個人データの利用の停止又は消去(以下この条において「利用停止等」という。)を求められた場合であって、その求めに理由があることが判明したときは、違反を是正するために必要な限度で、遅滞なく、当該保有個人データの利用停止等を行わなければならない。ただし、当該保有個人データの利用停止等に多額の費用を要する場合その他の利用停止等を行うことが困難な場合であって、本人の権利利益を保護するため必要なこれに代わるべき措置をとるときは、この限りでない。
2 個人情報取扱事業者は、本人から、当該本人が識別される保有個人データが第二十三条第一項の規定に違反して第三者に提供されているという理由によって、当該保有個人データの第三者への提供の停止を求められた場合であって、その求めに理由があることが判明したときは、遅滞なく、当該保有個人データの第三者への提供を停止しなければならない。ただし、当該保有個人データの第三者への提供の停止に多額の費用を要する場合その他の第三者への提供を停止することが困難な場合であって、本人の権利利益を保護するため必要なこれに代わるべき措置をとるときは、この限りでない。
3 個人情報取扱事業者は、第一項の規定に基づき求められた保有個人データの全部若しくは一部について利用停止等を行ったとき若しくは利用停止等を行わない旨の決定をしたとき、又は前項の規定に基づき求められた保有個人データの全部若しくは一部について第三者への提供を停止したとき若しくは第三者への提供を停止しない旨の決定をしたときは、本人に対し、遅滞なく、その旨を通知しなければならない。
消費者庁HP
個人情報の保護
http://www.caa.go.jp/seikatsu/kojin/
旧国民生活政策 > 個人情報の保護 > 個人情報保護法の早わかり
http://www.caa.go.jp/seikatsu/kojin/about.html
■事業者の方へ
本人からの同意を得なくても個人情報を提供できる場合は、どのような場合ですか?
法令に基づく場合等は、例外として本人の同意を得なくても提供できます。
→〔本人からの同意を得なくても個人情報を提供できる場合(例)(PDF)へ〕
http://www.caa.go.jp/seikatsu/kojin/20060228reigai.pdf
ア→11、イ→9、ウ→5、エ→1、オ→4、カ→7、キ→13
23年度 問題21 金融商品(デリバディブ取引) (選択穴埋め) その1
21.次の文章の[ ]の部分に入れるのに最も適切な語句を、下記の語群の中から選び、解答用紙の解答欄にその番号を記入(マーク)しなさい。なお、同一記号には同一語句が入る。
1.再勧誘 2.ネット取引 3.不招請の勧誘 4.金融商品販売法 5.適格性原則 6.証券取引法 7.金融商品取引法
8.錯誤 9.商品先物取引法 10.商品取引所法 11.説明義務 12.実情 13.不法行為 14.適合性原則
15.不実告知禁止 16.特定商取引法 17.断定的判断提供等禁止 18.通信販売 19.情報提供義務 20.希望
金融商品については毎年同じような内容の試験です。
特によく似た名前の法律名と何の法律か、それぞれ事業者に課されている義務などを整理しておくことが重要です。
推測からは答えにくいものもあり。暗記物かもしれませんが、基本的なところをおさえておくと予想もしやすいと思います。
語群を整理してみます
いじわる問題的な一字違いとかありますので気をつけてください
なお、簡単そうで実際にといてみると、思ったよりも時間がかかってしまう可能性があります。
昨年度も書きましたが、ここ数年で金融商品に関する法律が統廃合していますので、法律名と統廃合の歴史とそれぞれの法律の概要を知っておく必要がありますので、昨年度の解説も参考にしてください。
(法律)4.金融商品販売法 7.金融商品取引法
(法律)9.商品先物取引法 10.商品取引所法
(法律)6.証券取引法 16.特定商取引法
(勧誘)1.再勧誘 3.不招請の勧誘
(原則)5.適格性原則 14.適合性原則
(義務)11.説明義務 19.情報提供義務
(禁止)15.不実告知禁止 17.断定的判断提供等禁止
(取引形態)2.ネット取引 18.通信販売
(その他)8.錯誤 13.不法行為
(その他)12.実情 20.希望
23年度 問題21 金融商品(デリバディブ取引) (選択穴埋め) その2
21.次の文章の[ ]の部分に入れるのに最も適切な語句を、下記の語群の中から選び、解答用紙の解答欄にその番号を記入(マーク)しなさい。なお、同一記号には同一語句が入る。
1.再勧誘 2.ネット取引 3.不招請の勧誘 4.金融商品販売法
5.適格性原則 6.証券取引法 7.金融商品取引法 8.錯誤
9.商品先物取引法 10.商品取引所法 11.説明義務 12.実情
13.不法行為 14.適合性原則 15.不実告知禁止 16.特定商取引法
17.断定的判断提供等禁止 18.通信販売 19.情報提供義務 20.希望
投資取引のうち、有価証券取引や様々な投資契約、商品以外のデリバティブ取引は[ ア ]とそれを準用する法律で規制され、商品デリバティブ取引は[ イ ]で規制されている。
投資取引の規制の例としては、リスクの大きい商品デリバティブ取引や個人を相手とする店頭デリバティブ取引など、一定の取引は[ ウ ]が禁止されている。そのため、これらの取引では顧客が自発的に選択して注文する[ エ ]が主流となる。FX取引がその例である。
有価証券取引など勧誘が許される取引では、[ オ ]、[ カ ]、[ キ ]などの勧誘ルールが重要である。これを守らない業者は、[ ア ]や[ イ ]により監督上の処分を受けることがあり、同時に民法に規定する[ ク ]となって損害賠償義務を負うことがある。そのほか、[ カ ]、[ キ ]の違反では[ ケ ]により損害賠償義務を負うこともある。
[ オ ]とは顧客の意向と[ コ ]に合わない勧誘をしてはならないという原則である。意向とは契約をする目的、投資方針などと同様の意味であり意思の内容を指し、[ コ ]とは顧客の知識、経験、財産の状況などの客観的なものを指す。[ カ ]とは、情報を持つ業者が顧客に金融商品の重要事項(内容、リスクなど)を伝える義務である。単に、パンフレットを読み上げれば足りるものではなく、目の前の顧客に理解できるように伝えることが必要であり、顧客によってその方法が異なることになる。[ キ ]とは、不確実な事項について、断定的なことを伝えて勧誘してはならないし、確実であると誤解させるような言い回しで勧誘してもいけないということである。
【解説と解答】
語群を分類分け
(法律)4.金融商品販売法 7.金融商品取引法
(法律)9.商品先物取引法 10.商品取引所法
(法律)6.証券取引法 16.特定商取引法
(勧誘)1.再勧誘 3.不招請の勧誘
(原則)5.適格性原則 14.適合性原則
(義務)11.説明義務 19.情報提供義務
(禁止)15.不実告知禁止 17.断定的判断提供等禁止
(取引形態)2.ネット取引 18.通信販売
(その他)8.錯誤 13.不法行為
(その他)12.実情 20.希望
最初の段落の中ほどに「それを準用する法律で規制され」とあるので、アとイは法律名が入ることになります。
その中で「デリバティブ取引」についての2つの法律が示されており、アは商品以外のデリバティブ取引、イは商品のデリバティブ取引となっています。
そしてアは「有価証券取引」とあるので株が対象になると考えると、証券会社が出てくるので、「6.証券取引法」かなと思ってしまいますが、間違いではあり ませんが、実は名前が金融商品取引法に変わっています。変更前の名称を語群に入れるのは意地悪問題のような気がしますが、[ ア ]は「7.金融商品取引法」が正解です。
そして、[ イ ]も「10.商品取引所法」の名称が商品先物取引法に変更され、海外先物法もこお法律に組み入れられ一本化しています。したがって、[ イ ]は「9.商品先物取引法」が正解です。
以上をまとめると、先物取引に関する法律は、現在、「金融商品取引法」と「商品先物取引法」の2つに集約されているということですね。
次の段落は取引の規制についての問題です。ハイリスク商品については事業者の消費者個人への電話などの営業活動が禁止されるようになったことは、こ こ数年のFX取引ブームの問題点として新聞報道もされたところですね。市場が縮小されるとの憶測もありましたが、円相場の活況により、ますます活発になる と共に、ネット取引で手数料も安く、いつでもどこでも取引できることになったというニュースは肌で感じているでしょうか。
ということで、[ ウ ]は「3.不招請の勧誘」、[ エ ]は「2.ネット取引」が正解です。
次に、勧誘ルールについての問題です。
[ オ ][ カ ][ キ ]は順不同ではなく、後にかかれている説明にあわせる必要があります。
[ オ ]に関する説明として、顧客の意向と[ コ ]に合わない勧誘はダメということで、[ コ ]は顧客の知識・経験・財力の状況と説明されています。
有名な言葉で「適合性原則」といいます。後段は顧客の知識や財力に合わない契約は顧客がいくら希望してもダメですよということです。
したがって、[ オ ]は「14.適合性原則」、[ コ ]は「12.実情」が正解です。
次に[ カ ]についての説明がされていますが、重要事項を伝える義務となっており、素直に[ カ ]は「11.説明義務」が正解です。
3つの最後の[ キ ]は「不確実な事項について断定的に伝えて」とあり、答がそのまま書いているようなもので、[ キ ]は「17.断定的判断提供等禁止」が正解です。
中段に戻って、金融商品についての判例解説では、基本となる商品取引の違反と共に必ず民法の不法行為が出てきます。
民法、損害賠償とくると、「不法行為」は即答になると思います。民法で損害賠償できるのは不法行為と債務不履行であることは既出ですね。
したがって、[ ク ]は「13.不法行為」が正解です。
[ カ ][ キ ]の説明義務や断定的判断提供等禁止に違反すると「損害賠償」、という言葉が出てきましたが不法行為は既に選択したので悩みどころですが、基本のそれ自体を管轄する法律を選択すればよく、消費者向けの法律として定められている「金融商品販売法」により直接的に損害賠償義務を負うことになります。
したがって、[ ケ ]は「4.金融商品販売法」が正解です。
まず消費生活センター的に金融関係の法律で最も重要なものは2つあります。
金商法、金販法と略して呼ばれるものです。
それは、「金融商品取引法」と「金融商品販売法」です。
この2つの法律から知識を広げていけばいいと思います。
また、法律の性質を考えるときに、事業者向けの法律か(=業法)か消費者向けの法律かを明確に分けておくことです。
証券取引法→題名改正→金融商品取引法
金融先物取引法ほか4法といわれる4つの法律が金融商品取引法に統合
「商品取引所法」の名称が「商品先物取引法」に変更
海外先物法(=海先法=海外商品市場における先物取引の受託等に関する法律)が廃止され「商品先物取引法」に一本化
プロアマ規制、不招請勧誘の禁止
「商品先物取引法」http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S25/S25HO239.html
1月に「商品デリバティブ取引が新しくなります。(経済産業省リーフレット) 」という記事を書きました。
新しい法律として重要であり、今回の問題にも出題されています。
ちなみにその記事の一部を抜粋すると
金融商品の法律である、「金融商品取引法」と「金融商品販売法」の違いを押さえておく必要があります。
「金融商品取引法」は証券取引法の改正法で市場ルールなどについての膨大な量の法律です。
一方、「金融商品販売法」は説明義務違反等について規定している10条だけの法律です。
「金融商品販売法」の特徴として
説明義務、断定的判断提供等の禁止、損害賠償責任等が規定されています。
金融商品販売法(金融商品の販売等に関する法律)
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H12/H12HO101.html
ア→7、イ→9、ウ→3、エ→2、オ→14、カ→11、キ→17、ク→13、ケ→4、コ→12
簡単そうで難しいかもしれませんが、基本をおさえると同時に、解答があちこちとぶので間違いなく転記することも重要です。8割以上を目指したいですね。
23年度 問題22 貸金三法・債務整理 (正誤で×を選択) その1
最後の問題は貸金三法と債務整理です。
ご存知の通り、貸金業法の改正は社会に大きな変化をもたらし、払いすぎた金利が戻ってきますというキャッチフレーズのもと、サラ金大手が次々と倒産するなど、大きな話題になりました。
22年度の論文試験にも出題されました。
債務整理については22年度にも出題されていますので参考にしてください。
①利息制限法・・・http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S29/S29HO100.html
・利息については以下の制限がなされています(利息制限法第1条)。
元本額が10万円未満 → 年20%まで
元本額が100万円未満 → 年18%まで
元本額が100万円以上 → 年15%まで
・制限利率を超える利率の利息や遅延損害金の制限を超える部分は無効
・支払った制限超過部分は,元本に充当し、元本充当によって計算上元本が完済となった後もそれを知らずに利息や遅延損害金を支払い続けていた場合には,その支払いすぎた分は過払い金として返還を請求できる
②貸金業法・・・http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S58/S58HO032.html
貸金業者の事業登録や業務について,その適正化を図るための規制を定める法律・・・事業者を規制するための業法
③出資法(出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律)・・・http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S29/S29HO195.html
金融業者は年20パーセントを超える利率で、非金融業者は年109.5パーセンを超える利率を禁止
違反した場合には罰則適用(利息制限法には罰則なし)
債務整理の種類としては
①自己破産・・・破産宣告の後、免責決定が受けられれば債務を全額免除してもらえる。
②個人再生・・・債権額が5分の1(または100万円)に減額される。住宅ローンの特則が受けられる。
③任意整理・・・利息制限法による返済額の見直しがある。返済は続くが、大きく減額されることも。
④特定調停・・・内容は任意整理とほぼ同じ。私的ではなく、裁判所を通した方法である。
法律関係
破産法・・・http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H16/H16HO075.html
民事再生法・・・http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H11/H11HO225.html
(参考HP)債務整理・過払い金ネット相談室
http://www.shakkinseiri.jp/
23年度 問題22①~⑤ 貸金三法 (正誤で×を選択) その2
22.次の文章のうち、正しいものには○、誤まっているものには×を、解答用紙の解答欄に記入 (マーク) しなさい。また、誤まっているものには、誤まっている箇所 (1ヵ所) の記号も記入 (マーク) しなさい。
【解説と解答】
貸金三法の問題ですが、細かいところをつつかれているようで難問かもしれません。○ばかりに見えてしまいます。
①
過払い金請求のことですのでアとイは正解ということはすぐに分かりますが、ウは悩みます。ただし、契約自体が無効になり原本も返還しなくてもよい」という話を聞いたことがあると思います。すると、何らかの法律で定められているのではと気がつきますが、何の法律か知らなくても、「貸金業法等」と「等」がついているので、オールマイティで何でもありの正解だと予想できます。迷うとすれば、契約が無効になるのは法律によるものなのか判例によるものかというところですね。
実は、貸金業法第42条に(高金利を定めた金銭消費貸借契約の無効)が定められています。この場合、当然に違法な利息は払わなくてもいいことになりますが、元本については明確な定めがなかったところ、最高裁で元本の返還も不要との判例が2006年に出ています。
したがって、①はすべて正解です。
第四章 雑則
(高金利を定めた金銭消費貸借契約の無効)
第四十二条 貸金業を営む者が業として行う金銭を目的とする消費貸借の契約(手形の割引、売渡担保その他これらに類する方法によつて金銭を交付する契約を含む。)において、年百九・五パーセント(二月二十九日を含む一年については年百九・八パーセントとし、一日当たりについては〇・三パーセントとする。)を超える割合による利息(債務の不履行について予定される賠償額を含む。)の契約をしたときは、当該消費貸借の契約は、無効とする。
2 出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律第五条の四第一項 から第四項 までの規定は、前項の利息の契約について準用する。
②
利息制限法の保証料は勉強をしていないと分からないですね。ここまで勉強する必要があるのかと思いますが、推測作戦でいけそうです。
保証料も金利の一つと考えると制限があるはずとしたらアが不正解ですね。ちなみに、イの制限超過部分は無効というのはまず正解でしょうし、延滞部分の利息は制限内であれば高くなってもOKという一般論でウもまず正解でしょう。単純にアが正解かどうかというところにポイントがあり、二者択一でアは不正解に分がありそうです。
ということで、アは第8条に、イは第7条に、ウは賠償額は例えば元本100万以上では年15%までであるが、賠償額は2割まではOKとなるので同じではないことが分かると思います。
したがって、②は㋐が不正解です。
(利息の制限)
第一条 金銭を目的とする消費貸借における利息の契約は、その利息が次の各号に掲げる場合に応じ当該各号に定める利率により計算した金額を超えるときは、その超過部分について、無効とする。
一 元本の額が十万円未満の場合 年二割
二 元本の額が十万円以上百万円未満の場合 年一割八分
三 元本の額が百万円以上の場合 年一割五分
(賠償額の予定の特則)
第七条 第四条第一項の規定にかかわらず、営業的金銭消費貸借上の債務の不履行による賠償額の予定は、その賠償額の元本に対する割合が年二割を超えるときは、その超過部分について、無効とする。
2 第四条第二項の規定は、前項の賠償額の予定について準用する。
(保証料の制限等)
第八条 営業的金銭消費貸借上の債務を主たる債務とする保証(業として行うものに限る。以下同じ。)がされた場合における保証料(主たる債務者が支払うものに限る。以下同じ。)の契約は、その保証料が当該主たる債務の元本に係る法定上限額(第一条及び第五条の規定の例により計算した金額をいう。以下同じ。)から当該主たる債務について支払うべき利息の額を減じて得た金額を超えるときは、その超過部分について、無効とする。
③
出資法のわけ分からない問題ですね。
これも一般論から推測する作戦でいくと、実行してしまえば刑事処罰の対象となると考えれば、あとは契約するだけの場合に刑事処罰があるかどうかの二者択一です。予測が難しいので勘ですね。
出資法第5条にどれも刑事処罰が課せられることが定められています。
したがって、③は㋐が不正解です。
(高金利の処罰)
第五条 金銭の貸付けを行う者が、年百九・五パーセント(二月二十九日を含む一年については年百九・八パーセントとし、一日当たりについては〇・三パーセントとする。)を超える割合による利息(債務の不履行について予定される賠償額を含む。以下同じ。)の契約をしたときは、五年以下の懲役若しくは千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。当該割合を超える割合による利息を受領し、又はその支払を要求した者も、同様とする。
2 前項の規定にかかわらず、金銭の貸付けを行う者が業として金銭の貸付けを行う場合において、年二十パーセントを超える割合による利息の契約をしたときは、五年以下の懲役若しくは千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。その貸付けに関し、当該割合を超える割合による利息を受領し、又はその支払を要求した者も、同様とする。
3 前二項の規定にかかわらず、金銭の貸付けを行う者が業として金銭の貸付けを行う場合において、年百九・五パーセント(二月二十九日を含む一年については年百九・八パーセントとし、一日当たりについては〇・三パーセントとする。)を超える割合による利息の契約をしたときは、十年以下の懲役若しくは三千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。その貸付けに関し、当該割合を超える割合による利息を受領し、又はその支払を要求した者も、同様とする。
④
利息制限法違反は行政処分だけで刑事処罰がなく、出資法違反には刑事処罰がある、ということを押さえておいてください。
いわゆるグレーゾーン金利の一般的な話ですね。
したがって、④はすべて正解です。
⑤
改正貸金業法の総量規制の問題ですのでご存知の話だと思いますが、設問はひねりが入っています。
総量規制が年収の3分の1は知っていると思いますが、それを超えると刑事処罰にまではならないという直感はありますが、罰則を調べてみると、信用情報を使用した調査をせずに増額した場合は罰則があるということぐらいしか見つかりませんでした。
また、総量規制は個人顧客に対する規制なので法人は対象外であることは常識的でOKですね。
したがって、⑤は㋑が不正解となります。
(過剰貸付け等の禁止)
第十三条の二 貸金業者は、貸付けの契約を締結しようとする場合において、前条第一項の規定による調査により、当該貸付けの契約が個人過剰貸付契約その他顧客等の返済能力を超える貸付けの契約と認められるときは、当該貸付けの契約を締結してはならない。
2 前項に規定する「個人過剰貸付契約」とは、個人顧客を相手方とする貸付けに係る契約(住宅資金貸付契約その他の内閣府令で定める契約(以下「住宅資金貸付契約等」という。)及び極度方式貸付けに係る契約を除く。)で、当該貸付けに係る契約を締結することにより、当該個人顧客に係る個人顧客合算額(住宅資金貸付契約等に係る貸付けの残高を除く。)が当該個人顧客に係る基準額(その年間の給与及びこれに類する定期的な収入の金額として内閣府令で定めるものを合算した額に三分の一を乗じて得た額をいう。次条第五項において同じ。)を超えることとなるもの(当該個人顧客の利益の保護に支障を生ずることがない契約として内閣府令で定めるものを除く。)をいう。
第四十八条 次の各号のいずれかに該当する者は、一年以下の懲役若しくは三百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
一の四 第十三条第二項(同条第五項において準用する場合を含む。)の場合において、指定信用情報機関が保有する信用情報を使用した調査をせずに、同条第二項に規定する貸付けの契約を個人である顧客等と締結し、又は同条第五項に規定する極度方式基本契約の極度額を増額した者
①→○、②→×㋐、③→×㋐、④→○、⑤→㋑
23年度 問題22⑥~⑧ 債務整理 (正誤で×を選択) その3
22.次の文章のうち、正しいものには○、誤まっているものには×を、解答用紙の解答欄に記入 (マーク) しなさい。また、誤まっているものには、誤まっている箇所 (1ヵ所) の記号も記入 (マーク) しなさい。
【解説と解答】
22年度に比べると格段にやさしくなっています。
22年度の解説もあわせて勉強しておいてください。
⑥
個人の破産者のすべての財産を換価すると破産者は生活できなくなるので、一定の財産については自由財産として、保持することができます。
自由財産以外の財産については破産財産とすると定められています。
自由財産については破産法第34条第3項に定められています。
第34条第1項第1号の金額は民事執行法第131条第3号に2か月分の生活費となっており、そこから計算した額が「99万円までの現金」となります。
ただし、99万円の現金を保有している破産者はあまりおらず、預金や保険・自動車などの違う形で保有していることがあります。それらを、裁判所の判断で99万円相当(裁判所によって異なる)まで自由財産とする制度があり、それが破産法第34条第4項で定められている「自由財産拡張制度」です。
ということで、⑥はすべて正解です。
(破産財団の範囲)
第三十四条 破産者が破産手続開始の時において有する一切の財産(日本国内にあるかどうかを問わない。)は、破産財団とする。
2 破産者が破産手続開始前に生じた原因に基づいて行うことがある将来の請求権は、破産財団に属する。
3 第一項の規定にかかわらず、次に掲げる財産は、破産財団に属しない。
一 民事執行法 (昭和五十四年法律第四号)第百三十一条第三号 に規定する額に二分の三を乗じた額の金銭
二 差し押さえることができない財産(民事執行法第百三十一条第三号 に規定する金銭を除く。)。ただし、同法第百三十二条第一項 (同法第百九十二条 において準用する場合を含む。)の規定により差押えが許されたもの及び破産手続開始後に差し押さえることができるようになったものは、この限りでない。
4 裁判所は、破産手続開始の決定があった時から当該決定が確定した日以後一月を経過する日までの間、破産者の申立てにより又は職権で、決定で、破産者の生活の状況、破産手続開始の時において破産者が有していた前項各号に掲げる財産の種類及び額、破産者が収入を得る見込みその他の事情を考慮して、破産財団に属しない財産の範囲を拡張することができる。
5 裁判所は、前項の決定をするに当たっては、破産管財人の意見を聴かなければならない。
6 第四項の申立てを却下する決定に対しては、破産者は、即時抗告をすることができる。
7 第四項の決定又は前項の即時抗告についての裁判があった場合には、その裁判書を破産者及び破産管財人に送達しなければならない。この場合においては、第十条第三項本文の規定は、適用しない。
(差押禁止動産)
第百三十一条 次に掲げる動産は、差し押さえてはならない。
一 債務者等の生活に欠くことができない衣服、寝具、家具、台所用具、畳及び建具
二 債務者等の一月間の生活に必要な食料及び燃料
三 標準的な世帯の二月間の必要生計費を勘案して政令で定める額の金銭
(以下省略)
⑦
個人破産(自己破産)、特に多重債務者の場合は目的は免責にあります。
破産手続きは破産者の財産を債権者に配当する手続のことであり、破産しただけでは負債が免責されることはありません。
免責決定を受けて初めて、負債が免責されます。
ただし、誰でも免責決定を受けられるということはなく、免責不許可事由があれば、免責不許可となります。
ただし、免責不許可事由があっても、程度によって裁量的に免責されることが多数のようです。
したがって、⑦は㋑が不正解となります。
ちなみにギャンブルによるものは免責されないですが、遠因としての場合は免責されることがあります。
(免責許可の決定の要件等)
第二百五十二条 裁判所は、破産者について、次の各号に掲げる事由のいずれにも該当しない場合には、免責許可の決定をする。
一 債権者を害する目的で、破産財団に属し、又は属すべき財産の隠匿、損壊、債権者に不利益な処分その他の破産財団の価値を不当に減少させる行為をしたこと。
二 破産手続の開始を遅延させる目的で、著しく不利益な条件で債務を負担し、又は信用取引により商品を買い入れてこれを著しく不利益な条件で処分したこと。
三 特定の債権者に対する債務について、当該債権者に特別の利益を与える目的又は他の債権者を害する目的で、担保の供与又は債務の消滅に関する行為であって、債務者の義務に属せず、又はその方法若しくは時期が債務者の義務に属しないものをしたこと。
四 浪費又は賭博その他の射幸行為をしたことによって著しく財産を減少させ、又は過大な債務を負担したこと。
五 破産手続開始の申立てがあった日の一年前の日から破産手続開始の決定があった日までの間に、破産手続開始の原因となる事実があることを知りながら、当該事実がないと信じさせるため、詐術を用いて信用取引により財産を取得したこと。
六 業務及び財産の状況に関する帳簿、書類その他の物件を隠滅し、偽造し、又は変造したこと。
七 虚偽の債権者名簿(第二百四十八条第五項の規定により債権者名簿とみなされる債権者一覧表を含む。次条第一項第六号において同じ。)を提出したこと。
八 破産手続において裁判所が行う調査において、説明を拒み、又は虚偽の説明をしたこと。
九 不正の手段により、破産管財人、保全管理人、破産管財人代理又は保全管理人代理の職務を妨害したこと。
十 次のイからハまでに掲げる事由のいずれかがある場合において、それぞれイからハまでに定める日から七年以内に免責許可の申立てがあったこと。
イ 免責許可の決定が確定したこと 当該免責許可の決定の確定の日
ロ 民事再生法 (平成十一年法律第二百二十五号)第二百三十九条第一項 に規定する給与所得者等再生における再生計画が遂行されたこと 当該再生計画認可の決定の確定の日
ハ 民事再生法第二百三十五条第一項 (同法第二百四十四条 において準用する場合を含む。)に規定する免責の決定が確定したこと 当該免責の決定に係る再生計画認可の決定の確定の日
十一 第四十条第一項第一号、第四十一条又は第二百五十条第二項に規定する義務その他この法律に定める義務に違反したこと。
2 前項の規定にかかわらず、同項各号に掲げる事由のいずれかに該当する場合であっても、裁判所は、破産手続開始の決定に至った経緯その他一切の事情を考慮して免責を許可することが相当であると認めるときは、免責許可の決定をすることができる。
(以下省略)
⑧
個人破産でも、税金など免責されない債権があり、破産法253条に定められています。
不法行為による損害賠償請求権は、重大な過失や悪意によるものは免責されませんが、単純な過失は認められるということですね(少し納得かない設問の表現です)。
したがって、⑧は㋑が不正解となります。
第二百五十三条 免責許可の決定が確定したときは、破産者は、破産手続による配当を除き、破産債権について、その責任を免れる。ただし、次に掲げる請求権については、この限りでない。
一 租税等の請求権
二 破産者が悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償請求権
三 破産者が故意又は重大な過失により加えた人の生命又は身体を害する不法行為に基づく損害賠償請求権(前号に掲げる請求権を除く。)
四 次に掲げる義務に係る請求権
イ 民法第七百五十二条 の規定による夫婦間の協力及び扶助の義務
ロ 民法第七百六十条 の規定による婚姻から生ずる費用の分担の義務
ハ 民法第七百六十六条 (同法第七百四十九条 、第七百七十一条及び第七百八十八条において準用する場合を含む。)の規定による子の監護に関する義務
ニ 民法第八百七十七条 から第八百八十条 までの規定による扶養の義務
ホ イからニまでに掲げる義務に類する義務であって、契約に基づくもの
五 雇用関係に基づいて生じた使用人の請求権及び使用人の預り金の返還請求権
六 破産者が知りながら債権者名簿に記載しなかった請求権(当該破産者について破産手続開始の決定があったことを知っていた者の有する請求権を除く。)
七 罰金等の請求権
2 免責許可の決定は、破産債権者が破産者の保証人その他破産者と共に債務を負担する者に対して有する権利及び破産者以外の者が破産債権者のために供した担保に影響を及ぼさない。
3 免責許可の決定が確定した場合において、破産債権者表があるときは、裁判所書記官は、これに免責許可の決定が確定した旨を記載しなければならない。
(再生計画による権利の変更の内容等)
第二百二十九条 小規模個人再生における再生計画による権利の変更の内容は、不利益を受ける再生債権者の同意がある場合又は少額の再生債権の弁済の時期若しくは第八十四条第二項に掲げる請求権について別段の定めをする場合を除き、再生債権者の間では平等でなければならない。
2 再生債権者の権利を変更する条項における債務の期限の猶予については、前項の規定により別段の定めをする場合を除き、次に定めるところによらなければならない。
一 弁済期が三月に一回以上到来する分割払の方法によること。
二 最終の弁済期を再生計画認可の決定の確定の日から三年後の日が属する月中の日(特別の事情がある場合には、再生計画認可の決定の確定の日から五年を超えない範囲内で、三年後の日が属する月の翌月の初日以降の日)とすること。
3 第一項の規定にかかわらず、再生債権のうち次に掲げる請求権については、当該再生債権者の同意がある場合を除き、債務の減免の定めその他権利に影響を及ぼす定めをすることができない。
一 再生債務者が悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償請求権
二 再生債務者が故意又は重大な過失により加えた人の生命又は身体を害する不法行為に基づく損害賠償請求権(前号に掲げる請求権を除く。)
三 次に掲げる義務に係る請求権
イ 民法第七百五十二条 の規定による夫婦間の協力及び扶助の義務
ロ 民法第七百六十条 の規定による婚姻から生ずる費用の分担の義務
ハ 民法第七百六十六条 (同法第七百四十九条 、第七百七十一条及び第七百八十八条において準用する場合を含む。)の規定による子の監護に関する義務
ニ 民法第八百七十七条 から第八百八十条 までの規定による扶養の義務
ホ イからニまでに掲げる義務に類する義務であって、契約に基づくもの
4 住宅資金特別条項によって権利の変更を受ける者と他の再生債権者との間については第一項の規定を、住宅資金特別条項については第二項の規定を適用しない。
⑥→○、⑦→×㋑、⑧→×㋑
23年度 問題22⑨⑩ 債務整理 (正誤で×を選択) その4
22.次の文章のうち、正しいものには○、誤まっているものには×を、解答用紙の解答欄に記入 (マーク) しなさい。また、誤まっているものには、誤まっている箇所 (1ヵ所) の記号も記入 (マーク) しなさい。
【解説と解答】
⑨
個人(自己)破産者の欠格事項です。
22年度と同じような設問です。
自己破産したらつけなくなる職業があります。主に、士がつく資格職やお金を扱う職業です。それぞれの職業に関する法律で欠格事項が定められています。
資格が制限される期間は一定に決まっているのではなく、免責決定がされたら欠格期間は終了します。破産法では「復権」といいます。
ということで、⑨は㋑が不正解となります。
このHPに対象となる職業一覧表が掲載されていましたので興味がある方は参考にしてください。
http://1st.geocities.jp/mochybooo/shikaku.html
第二節 復権
(復権)
第二百五十五条 破産者は、次に掲げる事由のいずれかに該当する場合には、復権する。次条第一項の復権の決定が確定したときも、同様とする。
一 免責許可の決定が確定したとき。
二 第二百十八条第一項の規定による破産手続廃止の決定が確定したとき。
三 再生計画認可の決定が確定したとき。
四 破産者が、破産手続開始の決定後、第二百六十五条の罪について有罪の確定判決を受けることなく十年を経過したとき。
2 前項の規定による復権の効果は、人の資格に関する法令の定めるところによる。
3 免責取消しの決定又は再生計画取消しの決定が確定したときは、第一項第一号又は第三号の規定による復権は、将来に向かってその効力を失う。
(復権の決定)
第二百五十六条 破産者が弁済その他の方法により破産債権者に対する債務の全部についてその責任を免れたときは、破産裁判所は、破産者の申立てにより、復権の決定をしなければならない。
2 裁判所は、前項の申立てがあったときは、その旨を公告しなければならない。
3 破産債権者は、前項の規定による公告が効力を生じた日から起算して三月以内に、裁判所に対し、第一項の申立てについて意見を述べることができる。
4 裁判所は、第一項の申立てについての裁判をしたときは、その裁判書を破産者に、その主文を記載した書面を破産債権者に、それぞれ送達しなければならない。この場合において、裁判書の送達については、第十条第三項本文の規定は、適用しない。
5 第一項の申立てについての裁判に対しては、即時抗告をすることができる。
6 前項の即時抗告についての裁判があった場合には、その裁判書を当事者に送達しなければならない。この場合においては、第十条第三項本文の規定は、適用しない。
⑩
個人再生手続は負債を減額させて債務を弁済していく制度ですので、この手続がされれば免責不許可となることはありません。
大きな特徴として、住宅ローンを払いながら住宅を保持できる住宅資金と区別条項があります。
個人再生手続を受けるには、債権者の半数以上が再生計画に同意するなどの必要があります。
したがって、⑩は㋒が不正解となります。
(目的)
第一条 この法律は、経済的に窮境にある債務者について、その債権者の多数の同意を得、かつ、裁判所の認可を受けた再生計画を定めること等により、当該債務者とその債権者との間の民事上の権利関係を適切に調整し、もって当該債務者の事業又は経済生活の再生を図ることを目的とする。
(住宅資金特別条項を定めることができる場合等)
第百九十八条 住宅資金貸付債権(民法第五百条 の規定により住宅資金貸付債権を有する者に代位した再生債権者が当該代位により有するものを除く。)については、再生計画において、住宅資金特別条項を定めることができる。ただし、住宅の上に第五十三条第一項に規定する担保権(第百九十六条第三号に規定する抵当権を除く。)が存するとき、又は住宅以外の不動産にも同号に規定する抵当権が設定されている場合において当該不動産の上に第五十三条第一項に規定する担保権で当該抵当権に後れるものが存するときは、この限りでない。
2 保証会社が住宅資金貸付債権に係る保証債務を履行した場合において、当該保証債務の全部を履行した日から六月を経過する日までの間に再生手続開始の申立てがされたときは、第二百四条第一項本文の規定により住宅資金貸付債権を有することとなる者の権利について、住宅資金特別条項を定めることができる。この場合においては、前項ただし書の規定を準用する。
3 第一項に規定する住宅資金貸付債権を有する再生債権者又は第二百四条第一項本文の規定により住宅資金貸付債権を有することとなる者が数人あるときは、その全員を対象として住宅資金特別条項を定めなければならない。
⑨→×㋑、⑩→×㋒
6割以上の正解を目指してください。