8.次の文章のうち、正しいものには○、誤まっているものには×を、解答用紙の解答欄に記入 (マーク) しなさい。また、誤まっているものには、誤まっている箇所 (1ヵ所) の記号も記入 (マーク) しなさい。

①クリーニング業法では、㋐利用者の利益の擁護を図ることを目的の1つにしており、このため㋑繊維製品別に標準的なクリーニング処理の基準を設け、さらに施行規則では、㋒洗濯物の受け取りおよび引渡しをしようとする際に苦情の申し出先となるクリーニング所の名称などを記載した書面を配布することを定めている
②クリーニング業法では、㋐クリーニング業が行う洗濯の方法をランドリー、ドライクリーニング、ウェットクリーニングの3種類と規定し、㋑溶剤または洗剤を使用して衣類その他の繊維製品または皮革製品を原型のまま洗濯することを営業とすることをクリーニング業と定義しているが、いわゆるコインランドリーは洗濯機等を公衆に利用させる営業であり、㋒クリーニング業法上のクリーニングには該当しない

【解説と解答】
クリーニング業法についての問題で、基本的な定義を問われています。すべての法律に共通することですが、条文の「目的」や「定義」は必ず目を通しておきましょう。
そして法律には細かすぎることは書いていません。書くとしたら施行規則や別表などに書かれていることが多いですね。
逐条解説で細かく解釈されている場合もあります。

このクリーニング業法の問題は知っていないと分からないですが、「どれぐらい細かなところまで決められているのか」ということと一般常識的に考えれば、解答を導き出せる可能性もあります。


㋐は普通に考えて正解でしょう。
㋑で気になるのは「繊維製品別に基準を設ける」ことが必要かどうか、科学技術が発達していて洗濯方法も多様化進化しているのに法律で決める必要があるのか、という視点で考えれば、間違っている可能性が高いですね。
㋒は現場の相談員には必須事項です。平成16年にクリーニング業法の重要な改正がありました。その中の一つが、「苦情の申し出先を明示すること」です。ただし、書面を配布とまでは記載がなく、施行規則にもそこまで明言していませんが、別途通知で書面配布を定めており、正解かどうか微妙ですね。ちなみに、㋐の「利用者の利益の擁護を図ること」についても、この改正で追加されたものです。
クリーニング業法はもとは保健所の管轄で開設届けも保健所になっていますが、平成16年改正では消費者寄りに改正されたということで、消費者行政にも重要なものとなっています。
厚生労働省のHP
改正クリーニング業法の概要 http://www.mhlw.go.jp/topics/2004/09/tp0930-1.html


確かに㋐のようにクリーニングには3つの処理方法がありますが、こんな細かいことを法律で定める必要がないと感じることができれば、㋐は間違いであると推測されます。
㋑の定義は細かすぎず大まかにクリーニングを定義付けているので、このレベルでは正解かなと思います。
コインランドリーは常識的に考えてクリーニング業とは考えないとするのが普通ですね。かといって、野放しにすることも衛生上問題があるので、それぞれの自治体でクリーニング設置要綱などで届出を義務付けているところも多いと思います。ちなみに、「洗い張り」といって着物を分解して洗ってもとの着物に仕立て直すというものがありますが、これもクリーニング業法の適用外です(原型のままじゃyないですよね)。

ということで①は㋑が不正解となります。㋒は書面配布を法律の規定と解釈していますね。ちょっと条文を気にかけていてください。
そして②は㋐が不正解となります。
知らなくても予想で正解が出せそうな感じですね。ただし、両方ともすべて正解のような気もしてしまいます。

クリーニング業法
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S25/S25HO207.html
(目的)
第一条  この法律は、クリーニング業に対して、公衆衛生等の見地から必要な指導及び取締りを行い、もつてその経営を公共の福祉に適合させるとともに、利用者の利益の擁護を図ることを目的とする。
(定義)
第二条  この法律で「クリーニング業」とは、溶剤又は洗剤を使用して、衣類その他の繊維製品又は皮革製品を原型のまま洗たくすること(繊維製品を使用させるために貸与し、その使用済み後はこれを回収して洗たくし、さらにこれを貸与することを繰り返して行なうことを含む。)を営業とすることをいう。
2  この法律で「営業者」とはクリーニング業を営む者(洗たくをしないで洗たく物の受取及び引渡しをすることを営業とする者を含む。)をいう。
3  この法律で「クリーニング師」とは、第六条に規定する免許を受けた者をいう。
4  この法律で「クリーニング所」とは、洗たく物の処理又は受取及び引渡しのための営業者の施設をいう。
(利用者に対する説明義務等)
第三条の二  営業者は、洗濯物の受取及び引渡しをしようとするときは、あらかじめ、利用者に対し、洗濯物の処理方法等について説明するよう努めなければならない。
2  営業者は、洗濯物の受取及び引渡しをするに際しては、厚生労働省令で定めるところにより、利用者に対し、苦情の申出先を明示しなければならない。 

クリーニング業法施行規則
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S25/S25F03601000035.html
(苦情の申出先の明示)
第一条の二  法第三条の二第二項 の規定による苦情の申出先の明示については、次に掲げる方法によるものとする。
一  クリーニング所においては、苦情の申出先となるクリーニング所の名称、所在地及び電話番号を店頭に掲示しておくとともに、洗たく物の受取及び引渡しをしようとする際に、当該掲示事項を記載した書面を配布する。
二  クリーニング所を開設しないで洗たく物の受取及び引渡しをすることを営業としようとする車両を用いた店舗(以下「無店舗取次店」という。)においては、苦情の申出先となるクリーニング所又は無店舗取次店の名称、クリーニング所の所在地又は車両の保管場所並びに電話番号を記載した書面を配布する。

解答一覧

①→×㋑、②→×㋐