もともと、相談業務というのは、ボランティア的な要素で始まったこともあり、行政職員が兼務で担当するというよりも、一般の主婦が相談員になることが多かったです。報酬も安く、人材不足もあり、相談員の職につくのは、そんなに難しくはありませんでした。
相談員の資格のステータスというのは、そんなに高くはなく、試験も易しいものでした。

消費者トラブルが社会問題となり、消費者庁が設置されるなど、社会を取り巻く状況が変化し、消費者センターや相談員、相談員資格試験を取り巻く状況も変化し、それなりのステータスとして位置づけられるようになりました。

相談員試験の内容は消費者庁が創設されてから大きく変貌してきました。どのように変わってきたか、そして、今後どうなるのかをまとめました。

目次

  1. 平成20年度まで
  2. 平成21年度から
  3. 平成23年度から
  4. 平成26年度
  5. 平成27年度
  6. 平成28年度から(これからの試験です)

平成20年度まで

国民生活センターが各地で主催する消費生活専門相談員養成講座の最後に試験があり、合格すると、本番の一次試験の択一式及び○×式筆記試験が免除になり、論文試験だけを受験することになっていました。

平成21年度から

20年度までの免除制度がなくなり、21年度からは制度が変更され、免除はなくなりました。
おそらく、消費者庁が創設され、消費者安全法で資格の位置づけがされ、一般受験者の増加ともあわせて公平性をたもつために免除がなくなったのではないかと思います。

試験内容も変わって難易度がアップ

ちなみに、この年(平成21年度)から、○×問題が単純な○×ではなく、×の場合はどの箇所(3-4箇所の下線から選択)が間違っているのかも答えなければならず、難易度が一気に高くなりました。すなわち、○×問題の当てずっぽうが不可能になりました。また、同一の大問で、すべて○にすると0点になるペナルティもあります。

2次試験は現職免除

二次試験の面接は現職の相談員などは免除になっています。当然、相談員になれるかどうかを面接するので、すでに相談員の場合は必要がありません。内容については二次試験の解説を参照してください。
また、前年度の一次試験に合格して、二次試験に不合格であったり、二次試験を欠席した場合は、一次試験は免除となります。
消費生活アドバイザーの二次試験と日程が重なることがありました。
蛇足ですが、二次試験を2回連続で不合格であれば、資質的に合格するのは難しいのではないか、もしくは、よっぽど試験対策ができていないかだと思います。

一次試験問題

全部で250問あり、2時間30分の試験時間です。はっきりいって、時間が足りません。時間が足りない中での解答テクニックも必要です。
ちなみに私は22年度に受験したのですが、試験をとくのは速いほうですが時間ぎりぎりになり焦りとプレッシャーで大変でした。そのときの受験記もあります。

1問を4点として計算し、1000点満点でした。私は744点、すなわち、250問中186問正解でした(今の200点満点で換算すると148.8点ということですね)。思ったよりできてました。下駄を履かせる制度があったかどうかは知りません。

平成23年度から

一次試験の択一式の問題数が250問から200問に減少しました。試験時間は同じです。試験内容も同じだったので、問題が減った分、楽になりました。それでも、時間がないという声が多かったです。

この平成21年と22年の2年間は、相談員試験の中でも最高レベルの試験の合格組です。特に21年度は○×試験の形式が変わるという、問題を見て寝耳に水という超難問の試験だっといえます。私もすごいときに受けたんだなあと感慨深いです。

平成26年度試験

ちょっとした異変がありました。
○×問題は穴埋め問題よりも難しいです。
これまでは、○×問題は穴埋め問題よりも多く出題され、1.5倍ぐらいの数でした。たとえば25年度だと、130問と70問。

それが、26年度(直近の試験)では、60問と140問と大幅な逆転現象となり、難易度が下がりました。
なぜ、こうなったかは分かりませんが、私の勝手な考えでは、試験制度が変わる前に何とか現職無資格相談員に合格してもらいたいというのがあったのかもしれません。

結果として高得点が続出しました。
試験の合格ラインは公表されていませんが、勉これまでの強部屋受験者からの報告で、おおむね126点前後がボーダーとして推測されていました。資格試験なので、大きくこのラインを変えることはないので合格者数も増えるのかと思ってたら、とんでもないことがおこりました。

合格ラインが推定140点以上に。
『択一式の得点が6割以上で、上位3割以内が基準となっている』という新情報が出ました。

結局、難易度が下がったとはいえ、7割とろうと思えば、少しのミスが命取りになります。
穴埋め問題はついになっていることが多く、片方を間違うともう片方は必ず間違うということもおきます。
最終的に、合格するべき人は合格し、ぎりぎりの人は、運次第となりました。
基本的な知識がないと逆にしんどいかなと思ったりしました。
難易度がそこそこ高かったほうが、きちんと勉強している人が報われると思います。
今回の試験はちょっと疑問符です。

平成27年度

昨年、下記のように書いたところですが、予想通り、穴埋め問題は減り、これまでどおりの形式となりました。26年度の過去問しか対策していない受験生は、試験時間が足りなくなったかもしれません。私も自分でやってみて時間一杯かかりました。それに伴い、合格ラインも10点ほど下がりましたが、易しかった26年度を除いて、これまでで一番高いラインになっています。ちなみに120点台後半から毎年1点づつぐらい上昇して、27年度には130点台にのりました。26年度対策に加えて、25年度までの試験対策をしていれば、あわてずに対応できたと思います。

平成27年度(これからの試験です)

みなさんがこれから挑まれる試験です。
試験制度が変わる最後の年になります。
個人的には、○×の比率は、それなりの比率に戻るのではないかと思います。多くても半々ぐらいに。
変わらなければラッキーかもしれませんが、そうすれば合格ラインが上がってしまうので同じでしょう。
資格試験なので、60~65%の正答率にすべきだと思います。

結局、試験対策はこれまでと同じく、きちんと基礎知識をつけて、過去問対策をするというオーソドックスな勉強をしましょう。

また、相談員試験の翌日に実施されていたアドバイザー試験が、25年度から1週間ずれて実施されるています。相談員試験が1週間早くしたというほうが正しいかも。したがって、10月の頭だったのが、9月の末になることもありますので、スケジューリングを早くする必要があります。
今回も、そうするのではないかと思います。

平成28年度から

新試験制度については別途記事にしておりますので参照してください。
結局、実質的に、これまでと変わらないものとなるようですので、これまでどおりの試験対策になると思われます。つまり、過去問対策重視ですね。

平成28年度から

相談員の資格は、いくつかの指定された試験の合格者に与えられることになります。
しかし、ビジネス的にこの試験はお金にならないのでボランティア的な団体しか手を上げないと思います。
もし、国民生活センターが、試験機関になってもいいのだとすると、出題範囲が若干変わって、継続される可能性があります。出題形式も同じではないのかなあと私は思います。

その場合は、国民生活センターが認める「消費生活専門相談員」という名称は残る可能性が高いですね。
なぜなら、この資格がなくなると、全国消費生活相談員協会が困るからです。現に存続の要望書を出しています。

また、アドバイザー試験が対応するかどうかも注目です。ライバル資格なのであわせてくるとは思いませんが、合格者の会員への取り込みを目指して、相談員資格向けに、足らない科目だけを追加する試験を実施する手法があるかもしれませんね。