論文試験の解答は公表されていません。採点基準も不明です。私が解答例を書いても適正に評価できず模範解答とはならないので、論文としての回答はしませんが、キーワードと全体の流れや何が求められているのかなどを想像しながらの解説にしたいと思います。
論文試験
次のテーマのうち1つを選び、1000字以上、1200字以内で論文にまとめ、解答用紙に記入しなさい。文字数制限が守られていない場合には、採点の対象外となります。
何を論じればいいのかというと、「この基本理念が定められた意義とその具体化のために必要な消費者政策のあり方と課題」となっていますので、これをしっかりおさえることが必要です。意外にこのことは重要で、すばらしい論文を書いても的外れであれば点数になりません。しっかり問題を読んで、何を論じるべきかという柱を考えるようにしてください。
この基本理念・・・消費者基本法における消費者政策の基本理念・・・ここでは「消費者の権利の尊重及びその自立の支援」にあること
①この基本理念が定められた意義
②その具体化のために必要な消費者政策の
②-(1)あり方
②-(2)課題
この前半で「意義」後半で「あり方」「課題」の3点が論点になります。
この3つの論点を「消費者保護基本法、 消費者の権利、 事業者の責務、消費者の役割、 消費者庁」というキーワードを使ってまとめることになります。
この問題は法律を正確に論じる問題(今回の問題2)ではありませんので、多様な論じ方が可能で答えやすいと思います。
ただし、ある程度は法律に基づいた説明をもとにして「消費者行政に対する自分の考え方を論じる」というのが正攻法ではないかと思います。
私が書くとすれば、できるだけ細かい法律を書きたくないので、組み立てとして
消費者保護基本法では消費者は行政から保護される立場だった(指定語句の消費者保護基本法をどこまで肉付けするか)
【第2段落・序論】意義
→消費者の権利を尊重し、その自立を支援するという理念の下に消費者基本法が施行された
→消費者基本法では、消費者の権利、 事業者の責務、消費者の役割が定められた(指定語句の消費者の権利、 事業者の責務、消費者の役割を説明する)
以上の消費者行政の歴史を論じて、消費者の権利、 事業者の責務、消費者の役割をいくつか具体的に説明する。また、消費者と事業者の情報格差などがあり、そのバランスを保つために、消費者契約法や特商法などの特別法があるという前提を加える。
【第3段落・本論】あり方・課題
→これらを実現するための消費者政策について、いくつか具体的にあり方と課題を自分なりに論じる。その中に消費者庁の創設と課題もあげてもいいし、次の段落に持っていってもいいと思います。
※最終的に、このあり方と課題のボリュームをメインにすれば論文らしく仕上がると思います。自分の書きやすい政策を選んだらいいと思います。
私であれば、消費者教育やIT情報格差などのあり方と課題を論じると思います。
消費者教育・・・賢い消費者になるためには小さい頃からの消費者教育が必要。クレジット社会における金銭教育、携帯電話の未成年者への普及と消費者被害、口頭でも契約は成り立つという契約の重要性、消費者センターの利用、高齢者の投資被害など→課題:学校教育に十分に組み込まれていない、高齢者に教育するのは難しい、消費者センターを浸透させる必要がある、消費者啓発にも限界はある、など
IT情報格差・・・ネットの普及によるデジタルデバイド(情報格差)が広がっており、便利さを享受できないなど社会生活の格差にもつながっていく。買い物難民という問題も解決する可能性がある、ネットが一部の人から一般的に普及した、ネット通販による消費者被害も増大、ワンクリック詐欺等も発生→課題:ネット社会のスピードについていけていない、法律の先を行く、被害をいいだせないような悪質さがある、電子マネーなど匿名送金など
【第4段落・まとめ】あり方・課題
消費者庁・・・製品事故などの消費者被害の発生では縦割り行政の影響で被害が拡大することもあり、縦割りをなくし横断的な機能を有する組織として消費者庁が創設された。さらに消費者がいつでも相談できるように、消費生活センターの設置の充実などの基金が創設された。
というような切り口にします。なんとでもごまかせる?ウソ八百?可能。
満点を取る必要はなく、合格点を取れればOKという発想があります。
少し気になる点は「消費者政策」を消費者基本法の条文にあるものに忠実に従うか、現実に問題になっていることを取り上げるか、というところです。
消費者基本法には「基本的施策」と「消費者政策」という似た言葉がありますので留意してください。
施策は理念や計画のような大きな方針で、政策とは施策を実行に移す具体的な行動、とでも考えたらいいのではないでしょうか。
消費者基本法の第2章には基本的施策として11条から23条まで列挙されています。
もし、消費者基本法の消費者政策を例示し、そこから派生する消費者政策を論じればすばらしいですが、そこまでの必要はないと思います。いきなり具体的な消費者政策に入っていけばいいと思います。
そして、基本的施策を見ていただけたら分かると思いますが、あらゆる分野に広範囲にわたっていますので、何を取り上げても問題はないと思いますので、得意分野について論じたらいいでしょう。そして、とりあげた政策について、あり方と課題をきっちり書き上げることが重要だと思います。字数の関係でたくさん取り上げることができないので欲張らずに絞ってしっかり論じあげてください。
あとは、消費者基本計画や消費者教育推進法などの、「おっ」と思わせるような言葉が入っていると印象がよくなるかもしれません。
以上が私なりの考え方です。最初に言ったとおり、これが正解ではありませんの、一つの参考として考えてください。