さて、もう少しまともな解答例はというか、この問題の基本的な模範解答になりそうなものについてはどこででも確認することができます。
当然、消費者行政を勉強してきている受験生なら一番最初に出てきた「消費者行政の歴史」そのものであることが分かると思いますし、そのものずばりの文章も見たことがあると思います。覚えがあることだけに、正確に模範解答を書いた上で自分の考えを肉付けしていくと論文が仕上がると思います。
模範解答の参考例
1.ハンドブック消費者2010(https://soudanshiken.com/room2012/20110105/25.html)の6ページ~[消費者基本法]
2.消費生活アドバイザー受験合格対策の「消費者基本法」
この2つで十分だと思います。
ただし、注意すべきことは、キーワードの「消費者庁」はこの消費者基本法よりもあとに創設されたものですので、うまく文章をつなげてください。
1.消費者庁・消費者委員会創設の経緯
これまで、消費者行政は、事業者の保護育成を主な目的とする各省庁が、付随的なテーマとして、所管する分野ごとにいわゆる縦割りの形で規制を行われてきました。すなわち、消費者の保護は、事業者の育成・保護を通じた国民経済の発展を図る中で、事後的かつ個別的に行われてきたという側面がありました。
確かに、このような産業保護・育成中心の行政は、戦後の貧困からの脱却に大きな役割を果たしており、急速な経済発展は日本モデルとして世界から注目を集めました。また、当時の経済政策下では主として所得の拡大を通じて、生活水準を高めることが目指されており、国民の期待も標準的な生活に置かれていました。しかしながら、グローバル化、複雑化した社会においては、消費者問題は複雑化の傾向にあり、複数の省庁にまたがる事案も数多く発生するなど、これまでの行政では適切に対処することが困難な状況でした。加えて、昨今、食の安全・安心という消費生活の最も基本的な事項に対する消費者の信頼を揺るがす事件や、高齢者の生活の基盤である資産を狙った悪徳商法による消費者被害などが相次いで発生しております。
こうした社会状況の変化などを踏まえ、これまでの行政をパラダイム(価値規範)転換し、国民一人ひとりの立場に立ったものとするため、各省庁の所管分野に横断的にまたがる事案に対し、いわば消費者行政の司令塔として機能し、各行政機関の権限の円滑な調整を行うとともに、必要な事案に対しては、自ら迅速に対応する新たな組織の設立に向けた検討が開始されました。2.消費者庁について
消費者庁の任務は、設置法第3条において、消費者基本法第2条の消費者の権利の尊重及びその自立の支援その他の基本理念にのっとり、消費者が安心して安全で豊かな消費生活を営むことができる社会の実現に向けて、消費者の利益の擁護及び増進、商品及び役務の消費者による自主的かつ合理的な選択の確保並びに消費生活に密接に関連する物資の品質に関する表示に関する事務を行うこととされており、まさに消費者行政全体の司令塔としての役割を果たしていくことが期待されています。
具体的には、
1)消費者の声に耳を傾け、自らが所掌する消費者関連法令を執行すること
2)消費者安全法に基づき、各府省庁、国民生活センターや地方の消費生活センターなどが把握した消費者事故などに関する情報を一元的に集約し、調査・分析を行うこと
3)消費者事故などに関する情報を迅速に発信して消費者の注意を喚起すること
4)各府省庁に対し措置要求を行うとともにいわゆる「すき間事案」については事業者に対する勧告や自ら措置を講じること
などの役割を果たします。
消費者庁の現在の重要課題は、2010年3月に閣議決定された消費者基本計画に盛り込まれている地方消費者行政の充実・強化、独立した調査機関の在り方の検討、食品表示の一元化、被害者救済制度の検討などを挙げることができます。
消費者基本法では、消費者政策の基本理念として「消費者の権利の尊重」及び「消費者の自立の支援」を掲げるとともに、その基本理念を具体的に実現する手段として、政府は、長期的に講ずべき消費者政策の大綱となる「消費者基本計画」を定めることとされています。これを受け、政府を挙げて消費者政策の計画的・一体的な推進を図るため、「消費者基本計画」が、2010年3月30日に閣議決定されました(同計画は2代目のもので、初代計画は2005年4月8日に策定されました。)。
1.「消費者基本計画」の全体構成
今次の「消費者基本計画」は、平成22年度(2010年4月)から平成26年度(2015年3月)までの5か年を対象としており、総論として、「消費者基本計画」策定の趣旨、消費者政策の基本的方向性、「消費者基本計画」の検証・評価・監視について記載するとともに、各論として、各府省庁等が取り組むべき171の具体的施策を掲げています。
2.消費者政策の基本的方向
「消費者基本計画」が目指す消費者政策の基本的な枠組みと主な課題は、以下のとおりです。
(1)消費者の権利の尊重と消費者の自立の支援
① 消費者の安全・安心の確保
② 消費者の自主的かつ合理的な選択の機会の確保
③ 消費者に対する啓発活動の推進と消費生活に関する教育の充実
④ 消費者の意見の消費者政策への反映と透明性の確保
⑤ 消費者の被害等の救済と消費者の苦情処理・紛争解決の促進
(2)地方公共団体、消費者団体等との連携・協働と消費者政策の実効性の確保・向上
① 地方公共団体への支援・連携
② 消費者団体等との連携
③ 事業者や事業者団体による自主的な取組の促進
④ 行政組織体制の充実・強化
(3)経済社会の発展への対応
① 環境に配慮した消費行動と事業活動の推進
② 高度情報通信社会の進展への的確な対応
③ 国際化の進展への対応
ハンドブック消費者からのピックアップだけでも概要をつかむことができます。
結局は消費者政策のあり方と課題をいかにまとめあげるかが焦点になると思います。
その消費者政策も何を選んでもOKということが分かると思います。
具体的な消費者政策は消費者基本計画を参照してください
消費者庁HP
ホーム > 消費者政策課
消費者の利益の擁護及び増進に関する基本的な政策
消費者基本計画等
http://www.caa.go.jp/adjustments/index.html