9.次の文章のうち、正しいものには○、誤まっているものには×を、解答用紙の解答欄に記入 (マーク) しなさい。また、誤まっているものには、誤まっている箇所 (1ヵ所) の記号も記入 (マーク) しなさい。
【解説と解答】
⑦
「取締規定」の定義は取締という文言からも想像がつくように行政上の取締で設問にあるとおりの説明です。
問題となるのは違反する行為がされたときにその効力は有効であるかどうかという話です。
身近なもので考えてください。
飲食店が無許可営業であった場合はもちろん「取締規定」に違反することになり行政的な罰則を受けることになりますが、では、その飲食店で飲食したという 「売買契約」そのものも無効となるのでしょうか?無効にはならないですね。民法では契約は自由に行えます。売買契約と取締規定は別個のものと考えてくださ い。
ただし、公序良俗(民法90条)に違反する場合は、「法律行為」も無効になるという例外があります。たとえば、違法な薬物を販売すれば取締規定に違反しますが売買契約も公序良俗により違法となるというのを想像していただければ分かりやすいと思います。
すると、普通の売買契約においても基本的には同じ考え方であるので、取締規定に反する契約がなされた場合は、行政的な罰則が適用されるが、契約自体は無効とはなりません。したがって、⑦は㋑が不正解です。
⑧
民法
第二節 債権の効力
第一款 債務不履行の責任等(第四百十二条―第四百二十二条)
に債務不履行が規定されています
消費者契約法の不当条項で損害賠償額が平均的な損害を超える場合は無効であるというのはご存知だと思います。
設問では2つの事例があり、無効であるかどうか判断されることになります。民法といいながら消費者契約法の問題になっていますね。
「ホテルのキャンセル料の条項」と「貸衣装の延滞料の条項」です。
実は両方無効になると思いましたが、違っており、悩みました。
22年度の問題でも「レストランのキャンセル料条項やビデオレンタル延滞料は、同条の規制対象からはずされている」の解説の一部が間違っていました。
ホテルのキャンセル料は「平均的な損害を超える場合は無効である」で正解だと思います。
実は、貸衣装の延滞料はビデオの延滞料で判例があるように、不当条項の中の「平均的損害」という考え方ではなく、延滞料が「金銭債務の遅延損害金の年利14.6パーセントを超える分」は無効であるという考え、もしくは、暴利をむさぼるのは消費者の利益を一方的に害するという考え方でいいと思います。
すなわち、ホテルのキャンセル料が平均的損害を超える場合は消費者契約法9条1が該当しますが、貸衣装の延滞料の場合は14.6%を超える部分は消費者契約法9条2または10条に該当します。
したがって、⑧は㋒が不正解となります。
なお、貸衣装やビデオの損害額の上限は無限に延滞料が加算されるのではなく新品の購入費用になります。購入価格を超える延滞料金は消費者契約法10条に違反すると考えます。
(参考)東京都港区のHPに分かりやすく解説されています。
ホーム > 暮らし・手続き > 消費生活 > 消費者契約法が適用された具体的な事例
http://www.city.minato.tokyo.jp/shouhisha/kurashi/shohi/jire.html
⑨は瑕疵担保責任の問題です。
イとウについては正解であることは分かりますよね。
アの設問がいまいち分かりにくいですね。
「隠れた瑕疵」の意味が単純に「売主から買主に告げられていない瑕疵」であっているのかどうかでということだとすると、正解のような気がしますが、解答では不正解になっています。悩む。
本来、「隠れた瑕疵」は契約時に買主が知らなかった瑕疵のことであり、その瑕疵については売主が知ってても知らなくても対象となるので、「売主から買主に告げられていない瑕疵」は「売主が瑕疵を知っていて買主に告げていない」と限定解釈したうえで、「隠れた瑕疵」はそれだけではなく、「売主が知らなかったために買主に告げていない」瑕疵についても対象となるので、「売主が瑕疵を知っていて買主に告げていない」だけではないので不正解である、としか考えられません。
分かりませんが、そういう意味で考えて⑨は㋐が不正解としておきます。