15.次の文章のうち、正しいものには○、誤まっているものには×を、解答用紙の解答欄に記入 (マーク) しなさい。また、誤まっているものには、誤まっている箇所 (1ヵ所) の記号も記入 (マーク) しなさい。
【解説と解答】
⑨
重要な特商法のクーリングオフとの連動です。
特商法と割販法それぞれにクーリングオフの規程がありますが、クーリングオフする順番を間違えるととんでもないことになりますので、現場でも注意が必要です。
なお、割販法のクーリングオフは、「個別信用購入あっせん」にのみ規定されています。
また、対象となる取引は特定商取引法の5類型(訪問販売、電話勧誘販売、連鎖販売取引、特定継続的役務提供取引、業務提供誘引販売取引)の取引となっています。
「第三十五条の三の十」は割販法の取消をすれば特商法の契約を撤回したこととみなすという規定です。
ただし、現に効力を有する契約とされており、特商法のクーリングオフを割販法のクーリングオフに先立ち取り消してしまうと、現に効力を有する契約とはなりません。
すると、既払い金の返還規定がなくなってしまうため、取り返すのが困難になる場合があります。
この部分はとても重要で、逐条解説でも相当量のページを割いているので、細かい説明は省略します。
クーリングオフのみなし規定は、クレジット会社に通知した場合に、販売業者にも通知したことになり、その反対はありません。
したがって、⑨は㋐が不正解です。
条文も長く読んでられませんが、一部簡単に抜粋しておきます。
「第三十五条の三の十」は訪問販売、電話勧誘販売に関するクーリングオフ
「第三十五条の三の十一」は連鎖販売取引、特定継続的役務提供取引、業務提供誘引販売取引に関するクーリングオフ
「第三十五条の三の十二」は訪問販売の過量販売に関するクーリングオフ
「第三十五条の三の十三」は訪問販売のクーリングオフの既払金返還規定
「第三十五条の三の十四」は連鎖販売のクーリングオフの既払金返還規定
「第三十五条の三の十五」は特定継続的役務提のクーリングオフの既払金返還規定
「第三十五条の三の十六」は訪業務提供誘引販売のクーリングオフの既払金返還規定
第三十五条の三の十三
割販法に基づき取消した場合
2.クレジット会社は購入者に対し支払い請求ができない。
3.販売業者はクレジット会社に対し返金しなければならない
4.購入者はクレジット会社に対して既払い金の返還を請求できる
というロジックになっています。
⑩
店舗販売、個別信用購入あっせん、販売業者の退去妨害(困惑、消費者契約法第4条3)
ということですね。買うまで帰してくれないという絵画商法を思い浮かべてしまいました。
まず、個別信用購入あっせん契約なので、抗弁権は主張できます。
消費者契約法第5条は契約に第3者が介在していた場合に第3者が悪さをすれば責任をとりなさいよという条文だと思います。
第3者である販売業者が消費者契約法第4条の困惑により契約が取り消しになったのだからクレジット契約も取り消しなさいと主張するイメージでしょうか。
「割賦販売法上の与信審査時における調査義務」、すなわち、「クレジット会社はクレジットの申し込みがあれば申込者に対し、必ず申し込みの確認をします」が、この調査は法第三十五条の三の五にもあるとおり特商法5類型に限られるので、契約形態がこの特商法5類型に該当しない単なる店舗購入であれば、この調査自体が義務となっていません。この設問は「店舗販売の方法で」と書かれているので訪問販売などの特商法5類型に該当しないと考えます。したがって、誤認であろうが困惑したであろうが割賦販売法でのクレジット会社の調査義務違反は問われません。したがって、⑩は㋒が不正解です。
もっとも、特商法5類型に該当しなくても誤認や困惑があれば販売業者は消費者契約法上の違反を問われます(契約の取り消しになったとしても、精算に手間取る場合があります)。
なお、路上でキャッチされて絵画を購入してしまったり、アポイントメントセールスで購入したりした場合などの特商法5類型の場合は、困惑で契約したことが分かった場合はきちんと調査していなかったということで調査義務違反を問われ得るということです。
割販法は難しいです。というより問題を読むのがきついです。時間が十分な中で冷静に考えると正解できますが、試験では時間がありません。その中でも答えやすい問題やパターンがありますので、取りこぼしのないようにして、6割以上の正解を目指しましょう。