15.次の文章のうち、正しいものには○、誤まっているものには×を、解答用紙の解答欄に記入 (マーク) しなさい。また、誤まっているものには、誤まっている箇所 (1ヵ所) の記号も記入 (マーク) しなさい。

③ インターネットで商品を購入し代金を決済する場合、あらかじめクレジットカードを発行する方式ではなく、番号やパスワードを決めておいて利用限度額の範囲内で代金後払いの決済をする方式は、㋐支払日が2カ月を超える後払いであっても抗弁の対抗規定の適用はないが、㋑リボルビング方式の場合、原則として、利用限度額を増額するときは指定信用情報機関を利用した支払可能見込額調査をする義務が発生し、㋒販売業者に対する苦情が多発したときは加盟店調査義務が発生する
④ クレジットカードを利用して商品を購入する際、商品購入時はマンスリークリア方式を利用して決済することとし、後日、消費者から申告してリボルビング方式に変更できるカードの場合、㋐マンスリークリア方式のままであれば抗弁の対抗規定の適用はないが、㋑後からリボルビング方式を選択できるカードの利用を認めていた以上、消費者の申告により、支払い方法がリボルビング方式に変更された段階で同法の適用を受け、抗弁の対抗が主張できることとなる。カード会社は㋒このようなクレジットカードについて、支払可能見込額の調査義務はカード発行時に履行しておかなければならない

【解説と解答】

「インターネットで商品を購入し代金を決済する場合、あらかじめクレジットカードを発行する方式ではなく、番号やパスワードを決めておいて利用限度額の範囲内で代金後払いの決済をする方式」というのは「カードレス取引」のことで平成12年の改正で規制の対象となりました。
通常の対面取引ではカードを提示して購入することになりますが、ネット取引ではカードを提示することができません。せいぜいカードを見ながらカード番号や期限などを入力することになります。それではカード自体をなくしても同じではないかということで、単にIDやパスワードを付与して、ネットの取引画面に入力すれば購入できるという形態がでてきたので平成12年に規制対象となり、割販法を適用することになりました。従来は「カードその他の物」として有体物の交付が前提であったため、番号だけの無体物は対象外でした。カードの番号を入力する場合はカードの交付が前提であるためもともと規制対象でした。

割販法第2条の定義に「カード等」と表現されています。
逐条解説38-39ページには詳しく解説されていますが一部抜粋します

3 「カード等」とは、「カードその他の物」(クレジットカード等の有体物)と「番号、記号その他の符号」(ID番号、パスワード等の無体物)の双方を含む概念である。
なお、従来、有体物たる「カード等」を念頭に置いて用いていた「交付」「提示」については、無体物たる「番号、記号その他の符号」に対応する表現として「付与」「通知」を用いている。

割販法では「カード等」という表現が、「割賦販売」「ローン提携販売」「包括信用購入あっせん」で使用されています。

この設問は割販法のクレジットカード=「包括信用購入あっせん」と同じになると考えればいいと思います。
すなわち、マンスリー方式では割販法の適用を受けないため抗弁の主張はできないが支払日が2ヶ月を超える後払い(ボーナス1回払いでも)は割販法の適用になり抗弁を主張でき、リボ払いは割販法の適用を受けるので「包括信用購入あっせん」の場合は原則として支払可能見込額の調査義務が生じ、加盟店調査義務も発生します。
したがって、マンスリークリアにはならないので③は㋐が不正解となります。

割賦販売法・・・http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S36/S36HO159.html

(定義)
第二条  この法律において「割賦販売」とは、次に掲げるものをいう。
二  それを提示し若しくは通知して、又はそれと引換えに、商品若しくは権利を購入し、又は有償で役務の提供を受けることができるカードその他の物又は番号、記号その他の符号(以下この項及び次項、次条並びに第二十九条の二において「カード等」という。)をこれにより
2  この法律において「ローン提携販売」とは、次に掲げるものをいう。
一  カード等を利用者に交付し又は付与し、当該利用者がそのカード等を提示し若しくは通知して、
3  この法律において「包括信用購入あつせん」とは、次に掲げるものをいう。
一  それを提示し若しくは通知して、又はそれと引換えに、特定の販売業者から商品若しくは権利を購入し、又は特定の役務提供事業者から有償で役務の提供を受けることができるカードその他の物又は番号、記号その他の符号(以下この項及び次項、第三十条から第三十条の二の三まで、第三十四条並びに第三十五条の十六において「カード等」という。)をこれにより
4  この法律において「個別信用購入あつせん」とは、カード等を利用することなく、

(包括支払可能見込額の調査)
第三十条の二  包括信用購入あつせん業者は、包括信用購入あつせんをするためカード等を利用者(個人である利用者に限る。以下この条、次条及び第三節において同じ。)に交付し若しくは付与しようとする場合又は利用者に交付し若しくは付与したカード等についてそれに係る極度額(包括信用購入あつせんに係る購入又は受領の方法により商品若しくは権利を購入し、又は役務を受領することができる額の上限であつて、あらかじめ定められたものをいう。以下同じ。)を増額しようとする場合には、その交付若しくは付与又はその増額に先立つて、経済産業省令・内閣府令で定めるところにより、年収、預貯金、信用購入あつせん(包括信用購入あつせん及び個別信用購入あつせんをいう。以下同じ。)に係る債務の支払の状況、借入れの状況その他の当該利用者の包括支払可能見込額を算定するために必要な事項として経済産業省令・内閣府令で定めるものを調査しなければならない。ただし、当該利用者の保護に支障を生ずることがない場合として経済産業省令・内閣府令で定める場合は、この限りでない。

(業務の運営に関する措置)
第三十条の五の二  包括信用購入あつせん業者は、利用者又は購入者若しくは役務の提供を受ける者の利益の保護を図るため、経済産業省令・内閣府令で定めるところにより、その包括信用購入あつせんの業務に関して取得した利用者又は購入者若しくは役務の提供を受ける者に関する情報の適正な取扱い、その包括信用購入あつせんの業務を第三者に委託する場合における当該業務の適確な遂行及びその利用者又は購入者若しくは役務の提供を受ける者からの苦情の適切かつ迅速な処理のために必要な措置を講じなければならない。


マンスリークリアを後リボに変更する方法で、②で少し触れた問題です。

ちなみに、この支払方式は包括信用購入あっせん(包括クレジット)となります。
クレジットの支払い方法は、一括払い・分割払い・リボ払いの3種類ありますが、信用購入の対象となるのは契約時から2ヶ月を超えない範囲で支払うマンスリークリアを除くものとなっており、1回払いでも、例えば半年後のボーナス一括は対象となります。
裏技としては翌月1回払いの引き落としが終わる前にリボ払いへ変更する(後リボ)と、割販法の規制対象となるという法律の想定外の使い方もあります。

ということで、設問に書かれているとおりですので、④はすべて正解です。

解答一覧

③→×㋐、④→○