15.次の文章のうち、正しいものには○、誤まっているものには×を、解答用紙の解答欄に記入 (マーク) しなさい。また、誤まっているものには、誤まっている箇所 (1ヵ所) の記号も記入 (マーク) しなさい。

① 消費者がエステティックサロンに出向いて、期間3カ月、代金25万円の痩身施術の契約を個別信用購入あっせん(個別クレジット)契約を利用して締結した事案について、㋐契約書面交付義務はエステティック業者と個別クレジット業者の両方が負うが、㋑痩身施術契約について不実の告知により取消しができる場合でも、個別クレジット契約は取消しができない。㋒個別クレジット契約について、抗弁の対抗を主張できるにとどまる場合には、割賦販売法上の既払金返還請求までは認められない
② インターネットの出会い系サイトを利用して代金4万円をクレジットカードで決済したが、出会い系サイト業者による詐欺であることが後日判明した。この場合、割賦販売法によれば㋐マンスリークリア方式を利用したときは抗弁の対抗はできない。㋑リボルビング方式を利用した場合は割賦販売法の適用を受けることになるが、㋒リボルビング方式を利用したときでも、決済代行業者が介在するなど、クレジットカード会社と出会い系サイト業者とが直接加盟店契約を結んでいない場合には抗弁の対抗規定の適用がない

【解説と解答】
難解な割賦販売法になりました。問題自体を読み込むのがしんどいです。深読みせずに直感的に答えた方が楽かもしれません。ただし、ある程度の基本が分かってのことです。なお、割賦販売法は条文も長く複雑ですので解説は簡素化します。


キーワードがたくさん出てきます。
書面交付義務、不実告知による取消、抗弁、既払い金返還請求

まず、エステの契約が特商法の特定継続的役務に該当することを確認します。要件は期間が「1ヶ月を超えるもの」「5万円を超えるもの」なので満たしていますので、当然、特商法の適用を受けるので書面交付義務があります。個別信用購入あっせん契約についても、割販法「第三十五条の三の九」により書面交付義務があります。

不実告知があった場合は、特商法にもとづく契約の取消ができますが、個別クレジット契約についても「第三十五条の三の十」で取消ができます

抗弁権の主張は今後を含む今現在の請求(未払い金のこと)について待ってもらう(支払保留)制度ですので、まだ抗弁の結果も出ていませんし、単に抗弁を主張するだけの場合は既払金返還請求までには至っていないことになります。既払金返還請求はクーリングオフによる契約の取消が認められた場合に返還されます。

したがって、㋑が不正解となります。明らかに㋑が不正解なので他の部分は悩まずスルーして次の問題に進みましょう。

割賦販売法・・・http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S36/S36HO159.html

(個別信用購入あつせん業者による書面の交付)
第三十五条の三の九  個別信用購入あつせん業者は、次に掲げる個別信用購入あつせん関係販売契約又は個別信用購入あつせん関係役務提供契約に係る個別信用購入あつせん関係受領契約の申込みを受けたときは、遅滞なく、経済産業省令・内閣府令で定めるところにより、当該契約に関する次項各号の事項を記載した書面を当該申込みをした者に交付しなければならない。

(個別信用購入あつせん関係受領契約の申込みの撤回等)
第三十五条の三の十~

(個別信用購入あつせん業者に対する抗弁)
第三十五条の三の十九  購入者又は役務の提供を受ける者は、個別信用購入あつせん関係販売契約又は個別信用購入あつせん関係役務提供契約に係る第三十五条の三の八第三号の支払分の支払の請求を受けたときは、当該契約に係る個別信用購入あつせん関係販売業者又は個別信用購入あつせん関係役務提供事業者に対して生じている事由をもつて、当該支払の請求をする個別信用購入あつせん業者に対抗することができる。
2  前項の規定に反する特約であつて購入者又は役務の提供を受ける者に不利なものは、無効とする。
3  第一項の規定による対抗をする購入者又は役務の提供を受ける者は、その対抗を受けた個別信用購入あつせん業者からその対抗に係る同項の事由の内容を記載した書面の提出を求められたときは、その書面を提出するよう努めなければならない。
4  前三項の規定は、第一項の支払分の支払であつて政令で定める金額に満たない支払総額に係るものについては、適用しない。


出会い系サイトのクレジット1回払い契約のことです。この種のトラブルは非常に多くあっせんも苦労します。
一番のポイントは、1回払いのカード決済はマンスリークリアと呼ばれ、割賦販売法の対象外となっています。したがって、割販法による抗弁の主張はできません。ただし、相談現場では、とにかく抗弁を出すように助言することも少なくありません。問題のある支払であることの意思表示が大切です。

ちなみに、この支払方式は包括信用購入あっせん(包括クレジット)となります。
クレジットの支払い方法は、一括払い・分割払い・リボ払いの3種類ありますが、信用購入の対象となるのは契約時から2ヶ月を超えない範囲で支払うマンスリークリアを除くものとなっており、1回払いでも、例えば半年後のボーナス一括は対象となります。
裏技としては翌月1回払いの引き落としが終わる前にリボ払いへ変更する(後リボ)と、割販法の規制対象となるという法律の想定外の使い方もあります。

なお、、決済代行業者が間に入っていようが、消費者とカード会社の話なので関係あません。単純に支払い方法だけについて考えたらいいです。
したがって、㋒が不正解となります。

解答一覧

①→×㋑、②→×㋒