13.次の文章の[ ]の部分に入れるのに最も適切な語句を、下記の語群の中から選び、解答用紙の解答欄にその番号を記入(マーク)しなさい。なお、同一記号には同一語句が入る。
【解説と解答】
語群をグループ分けします
1.契約解除 2.慰謝料 3.懲罰的賠償 18.建替費用相当額の損害賠償請求
4.売買契約 7.請負契約 11.不動産媒介契約 16.委任契約
5.工作物責任 6.説明責任 12.不法行為責任 17.瑕疵担保責任
8.20年間 10.10年間
9.相当因果関係 13.事実的因果関係
14.雨水の浸入を防止する部分 19.耐火性能に関する部分
15.宅地建物取引業法 20.住宅の品質確保の促進等に関する法律
建物の欠陥に関する損害賠償は、民法の世界でも昔から議論され、様々な説が唱えられています。また、判例も多く出ていますので、かなり整理されてきたのではないでしょうか。
欠陥住宅に限らず、一般論としての損害賠償請求における損害の範囲は、民法416条に債務不履行の損害賠償の範囲につて定められており、他の損害賠償にも準用されます。
条文中の「通常生ずべき損害の賠償」が、損害の範囲となり、この「通常発生する範囲内の損害」のことを「相当因果関係にある損害」といいます(口語民法より)。
ということで、[ オ ]は「9.相当因果関係」が正解です。
「被害者の精神的苦痛」とくれば、素直に「慰謝料」となります。
したがって、[ カ ]は 「2.慰謝料」が正解です。
ただし、覚えておかなければならないのは裁判では財産的被害は財産的価値が回復されればよい、ということで、原則として慰謝料は認められていません。
しかし、欠陥住宅被害にあった場合、生活の本拠が脅かされるため、財産的被害だけでなく、精神的にも多大な負担を負ってしまうことがあるということで、最近の判例では慰謝料を認めることも多くなってきました。欠陥住宅による慰謝料請求の裁判例を研究してまとめてりる論文などもあります。
また、民法では「慰謝料」は民法710条の不法行為に規定されており財産以外の損害に対する賠償ということで「精神的苦痛による慰謝料」もここに含まれます。なお、慰謝料については債務不履行によるものも認められるのが通説ですが直接の条文にはなく、710条に絡めて慰謝料を請求することになります。
慰謝料を請求できる場合は「不法行為」と「債務不履行」と覚えておいたらいいと思います。
民法635条は請負契約の目的物に瑕疵があり、契約の目的を達することができない場合は「契約を解除」することができる。
というのもです。しかし、この条文には「ただし書き」があって、建築その他の土地の工作物については除外されています。なぜなら、住宅の一部に欠陥があったとしても、利用価値はあるのに建て替えすることは請負人に過酷で社会経済的な損失も大きいということになっています。
といっても、あまりにもひどい欠陥の場合には建て替えしか選択肢がなく、その場合には建て替え費用相当額が賠償されるという判例が出ています。
ということで、[ キ ]は 「18.建替費用相当額の損害賠償請求」が正解です。