12.次の文章のうち、正しいものには○、誤まっているものには×を、解答用紙の解答欄に記入 (マーク) しなさい。また、誤まっているものには、誤まっている箇所 (1ヵ所) の記号も記入 (マーク) しなさい。

⑩ 消費者契約法に規定されている消費者団体訴訟制度によれば、適格消費者団体は、消費者被害の発生または拡大を防止するため、㋐同法に規定された事業者の一定の行為に対し、差止請求ができ、さらに㋑損害賠償請求もできる。また、㋒景品表示法と特定商取引法に規定された一定の行為に対しても差止請求 ができる

【解説と解答】

差止請求に関しては押さえておかなければならないポイントがあります。
(1)適格消費者団体について
(2)2008 年(平成20 年)改正により、景品表示法と特定商取引法が差止請求の対象に追加
(3)他の適格消費者団体を当事者とする差止請求に係る訴訟等につき既に確定判決等が存する場合において、請求の内容及び相手方が同一である場合はすることができない・・・(差止請求の制限)第十二条の二
(4)差止請求はできるが損害賠償請求はできない
ということで、⑩は㋑が不正解です。

消費者契約法・・・http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H12/H12HO061.html

(差止請求権)
第十二条  適格消費者団体は、事業者、受託者等又は事業者の代理人若しくは受託者等の代理人(以下「事業者等」と総称する。)が、消費者契約の締結について勧誘をするに際し、不特定かつ多数の消費者に対して第四条第一項から第三項までに規定する行為(同条第二項に規定する行為にあっては、同項ただし書の場合に該当するものを除く。次項において同じ。)を現に行い又は行うおそれがあるときは、その事業者等に対し、当該行為の停止若しくは予防又は当該行為に供した物の廃棄若しくは除去その他の当該行為の停止若しくは予防に必要な措置をとることを請求することができる。ただし、民法 及び商法 以外の他の法律の規定によれば当該行為を理由として当該消費者契約を取り消すことができないときは、この限りでない。
2  適格消費者団体は、次の各号に掲げる者が、消費者契約の締結について勧誘をするに際し、不特定かつ多数の消費者に対して第四条第一項から第三項までに規定する行為を現に行い又は行うおそれがあるときは、当該各号に定める者に対し、当該各号に掲げる者に対する是正の指示又は教唆の停止その他の当該行為の停止又は予防に必要な措置をとることを請求することができる。この場合においては、前項ただし書の規定を準用する。
一  受託者等 当該受託者等に対して委託(二以上の段階にわたる委託を含む。)をした事業者又は他の受託者等
二  事業者の代理人又は受託者等の代理人 当該代理人を自己の代理人とする事業者若しくは受託者等又はこれらの他の代理人
3  適格消費者団体は、事業者又はその代理人が、消費者契約を締結するに際し、不特定かつ多数の消費者との間で第八条から第十条までに規定する消費者契約の条項(第八条第一項第五号に掲げる消費者契約の条項にあっては、同条第二項各号に掲げる場合に該当するものを除く。次項において同じ。)を含む消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示を現に行い又は行うおそれがあるときは、その事業者又はその代理人に対し、当該行為の停止若しくは予防又は当該行為に供した物の廃棄若しくは除去その他の当該行為の停止若しくは予防に必要な措置をとることを請求することができる。ただし、民法 及び商法 以外の他の法律の規定によれば当該消費者契約の条項が無効とされないときは、この限りでない。
4  適格消費者団体は、事業者の代理人が、消費者契約を締結するに際し、不特定かつ多数の消費者との間で第八条から第十条までに規定する消費者契約の条項を含む消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示を現に行い又は行うおそれがあるときは、当該代理人を自己の代理人とする事業者又は他の代理人に対し、当該代理人に対する是正の指示又は教唆の停止その他の当該行為の停止又は予防に必要な措置をとることを請求することができる。この場合においては、前項ただし書の規定を準用する。

差し止め請求の対象となるのは、消費者契約法の不当な勧誘行為(第4条第1項第2項第3項)および不当な契約条項(第8条第9条第10条)です。
第4条
第1項・・・誤認(不実告知・断定的判断の提供)、第2項・・・不利益事実の不告知、第3項・・・困惑(不退去・退去妨害)
第8条・・・事業者の損害賠償の責任を免除する条項の無効
第9条・・・消費者が支払う損害賠償の額を予定する条項等の無効
第10条・・・消費者の利益を一方的に害する条項の無効

また、2008 年(平成20 年)改正により、景品表示法と特定商取引法が差止請求の対象に追加されました。それぞれの法律に条文があります。

不当景品類及び不当表示防止法
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S37/S37HO134.html
(適格消費者団体の差止請求権)
第十条  消費者契約法(平成十二年法律第六十一号)第二条第四項に規定する適格消費者団体は、事業者が、不特定かつ多数の一般消費者に対して次の各号に掲げる行為を現に行い又は行うおそれがあるときは、当該事業者に対し、当該行為の停止若しくは予防又は当該行為が当該各号に規定する表示をしたものである旨の周知その他の当該行為の停止若しくは予防に必要な措置をとることを請求することができる。
一  商品又は役務の品質、規格その他の内容について、実際のもの又は当該事業者と同種若しくは類似の商品若しくは役務を供給している他の事業者に係るものよりも著しく優良であると誤認される表示をすること。
二  商品又は役務の価格その他の取引条件について、実際のもの又は当該事業者と同種若しくは類似の商品若しくは役務を供給している他の事業者に係るものよりも取引の相手方に著しく有利であると誤認される表示をすること。
特定商取引に関する法律
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S51/S51HO057.html
第五章の二 差止請求権(第五十八条の四から第五十八条の十)
条文は省略します
解答一覧

⑩→×㋑

基本的な問題ばかりですが、引っ掛け的な細かい設問があるので、思ったよりも難しいかもしれません。考えれば考えるほど時間がかかって、あせってしまうおそれもありますので、実力を出し切れるとは限らないので、そのあたりも考慮しておいてください。
6割以上を目標に上積みしてください。