12.次の文章のうち、正しいものには○、誤まっているものには×を、解答用紙の解答欄に記入 (マーク) しなさい。また、誤まっているものには、誤まっている箇所 (1ヵ所) の記号も記入 (マーク) しなさい。

③ 消費者契約法は、事業者の主観的認識に関係なく、㋐不実告知、㋑断定的判断の提供、㋒不利益事実の不告知をいずれも消費者が意思表示を取り消すことができる事由としている。
④ 事業者が、㋐消費者契約法第4条第1項1号の不実告知や、同法第4条第3項1号の不退去をしたら消費者は意思表示を取り消すことができる場合がある。その場合、㋑不実告知では消費者側の事情が問題となるが、㋒不退去では消費者側の事情は問題とならない
⑤ 消費者契約法第4条第3項2号の「退去させない」とは、㋐物理的な手段だけでなく、心理的なものでもよく、㋑必ずしも拘束時間が長時間にわたる必要もない。しかし、㋒一定の場所からの脱出を困難にさせる必要がある
⑥ 消費者契約法第4条の取消権は、㋐誤認に気がついたときや困惑から脱したときから6カ月、または㋑契約締結の日から5年間の行使期間の制限があり、㋒この期間は民法よりも短縮されている

【解説と解答】

消費者契約法・・・http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H12/H12HO061.html

(消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示の取消し)
第四条  消費者は、事業者が消費者契約の締結について勧誘をするに際し、当該消費者に対して次の各号に掲げる行為をしたことにより当該各号に定める誤認をし、それによって当該消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示をしたときは、これを取り消すことができる。
一  重要事項について事実と異なることを告げること。 当該告げられた内容が事実であるとの誤認
二  物品、権利、役務その他の当該消費者契約の目的となるものに関し、将来におけるその価額、将来において当該消費者が受け取るべき金額その他の将来における変動が不確実な事項につき断定的判断を提供すること。 当該提供された断定的判断の内容が確実であるとの誤認
2  消費者は、事業者が消費者契約の締結について勧誘をするに際し、当該消費者に対してある重要事項又は当該重要事項に関連する事項について当該消費者の利益となる旨を告げ、かつ、当該重要事項について当該消費者の不利益となる事実(当該告知により当該事実が存在しないと消費者が通常考えるべきものに限る。)を故意に告げなかったことにより、当該事実が存在しないとの誤認をし、それによって当該消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示をしたときは、これを取り消すことができる。ただし、当該事業者が当該消費者に対し当該事実を告げようとしたにもかかわらず、当該消費者がこれを拒んだときは、この限りでない。
3  消費者は、事業者が消費者契約の締結について勧誘をするに際し、当該消費者に対して次に掲げる行為をしたことにより困惑し、それによって当該消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示をしたときは、これを取り消すことができる。
一  当該事業者に対し、当該消費者が、その住居又はその業務を行っている場所から退去すべき旨の意思を示したにもかかわらず、それらの場所から退去しないこと。
二  当該事業者が当該消費者契約の締結について勧誘をしている場所から当該消費者が退去する旨の意思を示したにもかかわらず、その場所から当該消費者を退去させないこと。

第4条に取り消しができる対象が大きく分類して3つ列挙されています。
(1)4条第1項→誤認・・・不実告知、断定的判断の提供
(2)4条第2項→誤認・・・不利益事実の不告知 ※「ただし書き」あり
(3)4条第3項→困惑・・・不退去、退去妨害(監禁)

すると、この設問はすべて正解のように思えますが、少し落とし穴があって、「事業者の主観的認識に関係なく」という前提があります。
すなわち、「事業者が意識してようが意識してなかろうが」と言い換えると、第2号にだけ、ただし書きが書かれています。
ただし、当該事業者が当該消費者に対し当該事実を告げようとしたにもかかわらず、当該消費者がこれを拒んだときは、この限りでない。」
この例外規定は事業者が証明する必要があります
ということで、③は㋒が不正解となります。


③と同じような問題です。
不実告知は消費者側の事情に関係なく、「不実告知」という事実さえあればいいことになります。
不退去の場合は「退去すべき旨の意思を示したにもかかわらず」という消費者側の事情が前提となっています。
したがって、④は㋒が不正解となります。
もちろん、「不利益事実の不告知」の場合は消費者側が説明を阻んだときには「ただし書き」により取り消しできなくなることがあるのは問題③と同じです。


退去妨害(監禁)の解釈に関する問題です。逐条解説を参考にしてください。

逐条解説より・・・ひとつ古いバージョンですhttp://www.consumer.go.jp/kankeihourei/keiyaku/chikujou/file/keiyakuhou2.pdf

62ページ
(1)-2 監禁
① 「当該事業者が当該消費者契約の締結について勧誘をしている場所から当該消費者が退去する旨の意思を示したにもかかわらず」
「当該事業者が当該消費者契約の締結について勧誘をしている場所」については、当該事業者が勧誘(第4条第1項、第2項の解説を参照のこと)をしている場所であれば、どのような種類の場所であってもよい。
表示した場合(例えば「帰ります」「ここから出してください」と告知した場合)をいう。これを間接的に表示した場合については、例えば以下のア~ウのようなケ
ースであれば、直接的に表示した場合と同様の要保護性が消費者に認められ、相手方である事業者にも明確に意思が伝わることから、社会通念上「退去する旨の意思を示した」とみなすことが可能であると考えられる。
ア時間的な余裕がない旨を消費者が告知した場合
例:「時間がありませんので」「これから別の場所に用事がある」と消費者が告知した場合
イ当該消費者契約を締結しない旨を消費者が明確に告知した場合
例:「要らない」「結構です」「お断りします」と消費者が告知した場合ウ口頭以外の手段により消費者が意思を表示した場合
例:消費者が帰ろうとして部屋の出口に向かった場合
手振り身振りで「契約を締結しない」という動作をしながら、消費者がイスから立ち上がった場合
② 「その場所から当該消費者を退去させないこと」
「その場所」とは、「当該事業者が当該消費者契約の締結について勧誘をしている場所」を受ける。
「・・・から当該消費者を退去させないこと」とは、物理的な方法であるか心理的な方法であるかを問わず、消費者の一定の場所からの脱出を不可能もしくは著しく困難にする行為をいう。拘束時間の長短を問わない

ということで、⑤はすべて正解です。


取消権の時効についての問題です。
一般法(民法)に比べて特別法(消費者契約法)は消費者の権限が強く取消の要件が緩くなっています。そのため、権利を行使できる期間が少なくなっています。
民法の問題でも頻出です。
ちなみに逐条解説でも表になっています。
したがって、⑥はすべて正解です。

逐条解説より・・・ひとつ古いバージョンですhttp://www.consumer.go.jp/kankeihourei/keiyaku/chikujou/file/keiyakuhou2.pdf

57ページ
民法の詐欺と本法の「誤認」類型(第4条第1項・第2項)との比較について本法は、消費者と事業者との間の情報の格差が消費者契約(消費者と事業者との間で締結される契約)のトラブルの背景になっていることが少なくないことを前提として、消費者契約の締結に係る意思表示の取消しについては、民法の詐欺が成立するための厳格な要件を緩和するとともに、抽象的な要件を具体化・明確化したものである。
これによって消費者の立証負担を軽くし、消費者が事業者の不適切な勧誘行為に影響されて締結した契約から離脱することを容易にすることが可能となる。
民法の詐欺(第96条)・・・行為時から20年、追認可能時から5年
本法の「誤認」類型(第4条第1項・第2項)・・・追認可能時から6か月、契約締結時から5年

解答一覧

③→×㋒、④→×㋒、⑤→○、⑥→○