8.次の文章のうち、正しいものには○、誤まっているものには×を、解答用紙の解答欄に記入 (マーク) しなさい。また、誤まっているものには、誤まっている箇所 (1ヵ所) の記号も記入 (マーク) しなさい。

⑦ 洗たくしたワイシャツを乾燥せずに濡れたままプレス仕上げする方法を㋐商業クリーニングでは「濡れ掛けプレス」と呼んでおり、㋑衿やカフスなどの寸法変化がなく、㋒仕上げと乾燥が1つの工程で終了することなどの利点がある
⑧ 分散染料は、㋐綿や麻などセルロース系繊維用の染料として一般的に使用されている。この分散染料には㋑熱によって昇華しやすくなる性質があり、㋒クリーニングでプレス機を使用することは分散染料を昇華させる一因になる

【解説と解答】

「濡れ掛けプレス」は読んで字の如し、クリーニングでまだ乾いていない濡れた状態のまま、プレス(アイロン)をして乾かすと同時にアイロンがけすることです。
ワイシャツをマネキンのような人体模型に服を着せて曲線の大きなアイロンのような鉄板を周りからいくつか押し当てて機械で一気に乾かしプレスするというのをイメージしたらいいと思います。安価でのオートメーション作業ですね。もちろん、コストをかけて手でアイロン作業するという方法もあります。
濡れた衣料品をプレスの熱で乾かし、アイロンがけも行うという、仕上げと乾燥の工程が同時に終了することができます。
しかも、引き続き、折りたたみ、包装までしてしまう機械もあります。

ただし、濡れた上体でアイロンを押し当てるので、色泣きという、染料が周りににじみ出てしまうトラブルがあります。また、熱をかけるので素材によっては、縮む可能性もあります。したがって、寸法変化も起こる可能性があります。ということで、⑦は㋑が不正解となります。

⑧は染料の問題で基本とはいえ難しいかもしれません。
染色は素材によって適した方法があります。
少なくとも直接染料、反応染料、酸性染料、分散染料の4つは覚えておいたほうがいいと思います。
直接染料は、その名前のとおり染料の中に直接つけて染色します。したがって、染料がしみやすい綿などのセルロース系の染色に使用しますが、染色堅ろう度(染料を保持する力)が低い=水洗いするたびに落ちていきやすいので最近はあまり使用されていません。
反応染料は、直接染料に変わり使用されています。アルカリ性の染色液の中で化学反応によりセルロースの水酸基と染料とが化学結合(エーテル結合)により、染着し、強固に染色されるので染色堅ろう度も強くなります。
酸性染料は、アルカリに弱く、酸に強いウールなどの動物性の繊維に直接染める方法です。
分散染料は、その名のとおり染料が染まりにくいので繊維の中に染料を分散させて最後に熱で固定させる染色とイメージしていただいたらいいと思います。染まりにくい繊維といえば、主に疎水性のポリエステルなどの合成繊維と考えていただいたらいいと思います。
正確ではないかも知れませんが、ざっくり、説明しました。

分散染料の問題となっていますが、分散染料は染まりやすいセルロース系の繊維ではなく、染まりにくい合成繊維に使われ、熱で無理やり染着させるので、熱をかけると緩い状態に戻り、昇華(気化・蒸発)してしまいます。したがって、⑧は㋐が不正解です。
知らなくても予想できるかもしれません。イとウは同じことを言っているので両方間違いとはならないのでアが正解かどうかを考えればよく、綿の服もアイロンをかけることを考えれば、綿のことをいっているのではないなあということで、アが不正解だと予想できます。

解答一覧

⑦→×㋑、⑧→×㋐