8.次の文章のうち、正しいものには○、誤まっているものには×を、解答用紙の解答欄に記入 (マーク) しなさい。また、誤まっているものには、誤まっている箇所 (1ヵ所) の記号も記入 (マーク) しなさい。

⑤ テトラクロロエチレンは、㋐ドライクリーニングに用いられている有機溶剤の一種で、㋑同じくドライクリーニングに用いられる石油系溶剤と比べると油脂を溶解する作用が強いため、㋒ポリウレタン樹脂を使用した合成皮革製品の洗浄には適さない
⑥ ランドリーは、㋐クリーニングで行われている水洗いの一種で、㋑温水を使用して洗たくをすることから、㋒ドライクリーニングで残留する水溶性汚れの除去を主な目的に行われることが多い

【解説と解答】
クリーニング方法についての基本問題です。ランドリー、ウエット、ドライの3種類の違いをしっかり覚えておいてください。
ドライは有機溶剤を使用し、石油系や塩素系(テトラクロロエチレン・パークロロエチレン)、フッ素などがあります。
ドライについては石油系と塩素系の違いも覚えておいてください。

水洗い(ランドリー・ウエット)は汗などの水溶性の汚れは落ちやすく、皮脂などの油性の汚れは落ちにくいです。
ドライは、その逆となります。
つまり、水溶性の汚れは水で落とし、油性の汚れは油で落とすという原則です。

といえは、該当する汚れを落とすために単純に汚れに応じたクリーニングをすればよいということにはいかないのです。
そこには衣料品の「素材」の問題が出てくるのです。
みんさんご存知かと思いますが、ウールのセーターを水洗いすれば縮んでしまいますよね。表示には水洗い×のドライ表示があると思います。
ドライは水を使わないので縮むことがないのです。
それでも、水溶性の汚れを落としたいときに「ウェットクリーニング」をするのです。
ウェットはランドリーのように激しく洗うのではなく、低温の水を使って付け置き洗いのようにやさしく洗ってできるだけダメージを与えないように洗います。
家庭の洗濯機でもドライのものが洗えるコースがありますが似たような方法です。
なお、ランドリーは水洗いといっても実際はお湯で洗います。
素材に問題がなければ、水洗いとドライの両方で水溶性の汚れと油性の汚れを落とすW洗いという方法もあります。
ウエットはW洗いのようなもので、ドライで残った水溶性の汚れを何とか水で落とそうというものです。

多くの素材がドライで洗うことができるのですが、ドライに適さない素材というのは、単純に油に弱いものと考えていただいたらいいと思います。
色落ちに関しては、水溶性の染料はOKですが、顔料などはダメです。
樹脂で接着している衣料品やポリウレタンなどの樹脂系の衣料品も、新しいうちはドライでも大丈夫ですが2年程度の時間が経過すると樹脂自体がが劣化し、ドライで薄利や風合い変化などが発生します。特に塩素系ドライ溶剤は石油系溶剤に比べて脱脂力が大きいため、そのような素材には適さず、ドライであれば石油系を選択しますが、それでもリスクは高いと思います。水洗い×のドライ表示でも、ドライせずに水洗いをするという選択肢も商業クリーニングでは重要です。

⑤はドライ溶剤の問題です。
テトラクロロエチレン(パークロロエチレン)はドライ用の有機溶剤で、石油系よりも脱脂力は大きく洗浄力にすぐれていますが、樹脂形の素材には弱く風合い変化も起こしやすいので、ポリウレタン樹脂を使用した衣料品をドライするときには石油系を選択します。したがって、⑤はすべて正解です。

⑥はランドリーについての問題です。
ランドリーは温水を使用して水洗いします。ドライで残留する水溶性の汚れを落とすことを目的に行われるのはウエットクリーニングです。したがって、⑥は㋒が不正解となります。

解答一覧

⑤→○、⑥→×㋒