9.次の文章のうち、正しいものには○、誤まっているものには×を、解答用紙の解答欄に記入 (マーク) しなさい。また、誤まっているものには、誤まっている箇所 (1ヵ所) の記号も記入 (マーク) しなさい。

③民法は、行為能力の制度を設けて㋐制限行為能力者の保護を図っている。例えば、18歳の未成年者が㋑法定代理人の㋒同意を得ずに車を購入する契約をした場合、㋓本人は成年に達する前であっても自らの意志に基づきその契約を取り消すことができる
④㋐債権は、権利を行使することができるときから一定の期間経過すると、時効により消滅する。取消権についても、㋑追認をすることができる時から一定期間行使しないときは、時効によって消滅するものと規定されている。しかし、㋒所有権は、権利の不行使が長期にわたっても時効によって消滅することはなく、㋓契約の解除権も、不行使によって消滅することはない

【解説と解答】

制限行為能力者に関する問題の中で、もっとも簡単で有名な「未成年者契約の無効」というラッキー問題です。未成年者契約は「おこずかい」の範囲内であれば有効となりますが、それを超えると無効になります。ただし、自ら成年であるとして偽って契約した場合は有効となります。ということで、③はすべて正解です。ちなみに未成年者契約は2次試験の面接の事例でも頻出です。


時効は試験には必須のポイントです。法律により時効(追認も含めて)の期間は異なってくるので整理しておきましょう。
基本的に民法に比べて個別の特別法は期間が短くなっています。
民法の条文そのままが答えになっています。
この問題も常識で解答を導き出す手もあります。しかし、細かい解釈があり難しいです。
前半の債権の時効や追認は分かりやすいと思います。
後半が難しいですね。問題が良くないかもしれません。私も自信がありません。
所有権は消滅時効にかかりません。しかし、放置されたものを第3者が占有して時効取得が成立した場合には所有権は失われます。
契約の解除権は、期間が決まっていれば、期間内に行使しなければ消滅します。また、期間が定められていない場合でも相手方が相当の期間を定めて催告をすれば消滅しますので、催告があったときに行使しなければ消滅します。
したがって、㋒も㋓も誤りのように思います。しかし、㋒は正解で㋓は誤りとなっています。
単純に所有権は原則論に則り、契約の解除権は期間が過ぎれば消滅すると考えているのかもしれませんね。クーリングオフを意識しているのでしょうか。ちょっとわかりません。

民法

(債権等の消滅時効)
第百六十七条  債権は、十年間行使しないときは、消滅する。
2  債権又は所有権以外の財産権は、二十年間行使しないときは、消滅する。
(取消権の期間の制限)
第百二十六条  取消権は、追認をすることができる時から五年間行使しないときは、時効によって消滅する。行為の時から二十年を経過したときも、同様とする。
(所有権の取得時効)
第百六十二条  二十年間、所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然と他人の物を占有した者は、その所有権を取得する。
2  十年間、所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然と他人の物を占有した者は、その占有の開始の時に、善意であり、かつ、過失がなかったときは、その所有権を取得する。
(催告による解除権の消滅)
第五百四十七条  解除権の行使について期間の定めがないときは、相手方は、解除権を有する者に対し、相当の期間を定めて、その期間内に解除をするかどうかを確答すべき旨の催告をすることができる。この場合において、その期間内に解除の通知を受けないときは、解除権は、消滅する。

解答一覧

③→○、④→×㋓