9.次の文章のうち、正しいものには○、誤まっているものには×を、解答用紙の解答欄に記入 (マーク) しなさい。また、誤まっているものには、誤まっている箇所 (1ヵ所) の記号も記入 (マーク) しなさい。

①㋐刑事法においては、国家の刑罰権の恣意的行使から国民の人権を保障するため、行為時にその行為を犯罪とし刑罰を科す旨を定めた㋑成文の法律または慣習法 がなければ、その行為を処罰することはできないとする原則がとられている。これを㋒罪刑法定主義という。この考え方からすると、その行為者にとって不利益な㋓類推解釈は禁止される
②法律の規定の中には、強行規定と任意規定がある。契約の当事者が、㋐強行規定に反する内容の契約を設けた場合、㋑その約定は常に無効とされる。これに対し、契約の当事者が㋒任意規定と異なる内容の約定を設けた場合は、㋓その約定は常に有効とされる

【解説と解答】

この文章を読んでいると1箇所だけ違和感のある言葉が出てきます。それは「慣習法」です。流れの中で仲間はずれのような気がします。そういう発想で回答を導くことは試験本番ではOKです。
罪刑法定主義・・・ どのような行為が犯罪となり、どのような刑罰を科せられるのかをあらかじめ法律で定めておかなければならないとする原則のこと。
慣習法は不文法となるので、㋑は「成分の法律」のみが正解であります。したがって、㋑が不正解となります。
参考
罪刑法定主義 http://www.digistats.net/6L/text/ken31.htm
ちなみに慣習法は民法にも規定されわが国にも存在します。また、不文法には判例法もあります。
慣習法・・・公の秩序・善良の風俗に反しない慣習は、法令に規定が無い場合等でも法律と同一の効力を持つということで成立する法です
判例法・・・裁判所の判決が繰り返されることによって拘束力を持つことで成立する法


①の慣習法の事例として出てくる強行規定です。強行規定は相談現場でも重要です。強行規定と任意規定はしっかり覚えておきましょう。

強行規定と任意規定(消費生活アドバイザー受験合格対策より)
強行規定・・・当事者の意思にかかわらず適用されるのが強行規定で、社会秩序に関するものに多い。消費者契約法や、特定商取引法の行政規制・クーリングオフ規定等は強行規定である。強行規定に反する特約は無効。
任意規定・・・当事者の特約が優先されるのが任意規定で、債券法に多くみられる。

本来、契約とはお互いの合意に基づくものです。クーリングオフは契約は成立しているのに無条件で解約できるという契約の原則とは異なるルールであり、強行規定といいます。したがって、クーリングオフは3日間とする、クーリングオフは無効である、などの契約の特約を設けたとしても無効になります。強行規定とは非常に力のあるものです。したがって、㋐と㋑は正解です。
任意規定をもう少し詳しく解説すると、当事者に特約がなければ、普通に民法の規定に従うというものです。一般的な民法の規定ではない特約を設けたかったら、あらかじめ特約を設けておきます。そうすとと、この特約が優先されます。ただし、優先されるだけであって、常に有効とされるわけではありません。したがって、㋓は不正解となります。「常に有効」という言い回しは、例外を許さない言葉ですので、怪しいと考えて予想してもいいかと思います。

解答一覧

①→×㋑、②→×㋓

この2問は取れると思います。