質問回答 試験合格後、就業までの過ごし方について 【採用試験】
お陰様で相談員試験に合格することができました。
今はハローワークに通いながら、職探しと平行して、パソコンスキルの職業訓練校に入る予定です。
職探し・就業までの間の取り組み方について、管理人様に幾つか教えて頂きたいのてすが、よろしくお願いします。
1つめに、相談員の採用試験の面接ではどのようなことを中心に聞かれますでしょうか(相談員試験の時のように法律の知識も問われるか否か)
2つめに、実際の業務に備えての勉強法です。
私は相談員未経験者なのですが、過去問の解説で実際の業務ではクリーニングの相談が多いなど、とても勉強になりました。再度過去問も勉強させてもらおうと思うのですが、その他に勉強しておいた方がよいと思われる分野がありましたらご教授戴けますでしょうか?
【採用試験】
1つ目の質問にお答えします。
相談員の採用試験は自治体によっても異なりますが、基本は「3資格のうちいずれかを所有していること」が前提となっています。
面接だけのところもあれば、課題論文があったり、「どんな相談員になりたいのか」などの事前提出作文など、まちまちです。
ご質問の法律などの知識が問われることはあまりないと思います。ずばり、人物像を観られます。
国民生活センターのHPに採用募集情報がありますので、応募条件や報酬などを比較してみることをおすすめします。
以下に相談員の就職について、3年前に書いた過去の勉強部屋の記事を再掲します。
消費生活センターへの就職 2011年1月17日
資格を取得したら、いつでも消費生活センターに就職できるとは限りません。
まず、募集が非常に少なく、いつ募集されるか分かりません。
欠員が生じたので募集する、という場合が多いでしょう。
ただし、消費者庁の創設および消費者安全法による市町村への消費生活センターの設置の義務付けから、今だけ新規採用が広がる可能性はあると思います。
したがって、採用情報の収集が大切になります。
都市部と地方でも温度差があり、地方では相談員が不足していることが多く、都市部では募集が少ないです。
地方では先に相談員になって、仕事を続けながら資格を取得するパターンもあるようです。
職場環境も都市部ほど消費者行政が活発であるのに対して、地方では行政職員の理解が薄く、理解不足から人間関係が上手くいかないところもあります。
相談件数も段違いであったり、地方では知り合いばかりで地元に相談したがらない消費者もいます。
都市部では困った消費者も少なくありません。
複数の相談員か1人だけの相談員か、商品テスト担当者がいるところといないところでも差があります。
そのため、職場環境についても事前に情報収集することも大切です。
就職するに当たって「採用形態」も重要な要素となります。
基本的に行政の正規職員として新卒新規採用されるという職種ではないので、中途採用(?)が原則となります。
大きく分けて、①行政の非常勤嘱託職員、②行政の委託先職員、の2パターンがあります。
就職したい消費生活センターがどちらの形態かを把握する必要があります。
①行政の非常勤嘱託職員
給与や福利厚生などの面では行政だけあって公正明大です。
ただし、行政のルールで非常勤は「雇い止め」があります。
1年契約の、3年延長までとか5年延長までとかあります。
相談員は長年経験してこそ一人前に育つものです。
それと矛盾するということで、問題になっています。
しかし、行政のルールという一律規定があるので大きな改革がない限り、難しいと思います。
採用情報は公表されていますが、まめにチェックする必要があります。
行政の採用情報は、国民生活センターのHPで採用情報として掲載されますので要チェックですね。
もっとも効率の良い方法は、直接センターに赴いて、採用があるかどうか尋ねることです。
優先して連絡があるかもしれません。
②行政の委託先職員
前述のように行政の非常勤嘱託職員だと雇い止めなどがあり相談員のレベルを維持するのが難しくなることがあります。
そこで、相談業務自体を委託するというセンターもあります。
委託先としては、消費者協会やNPO法人などです。
委託契約であると雇い止めする必要がないので管理しやすくなります。
ただし、、消費者協会やNPO法人は相談業務以外の業務もしており、採用も公募ではなくコネであったりします。
こちらの方こそ、情報収集と積極的なアクションが必要です。
給与などの待遇面については、パート並のところが多いです。
時給1000円というところでしょうかね。
待遇改善が叫ばれています。
基金を人件費にあててもよいということで給与を上げることもできるのですが、期間限定の基金ですので、期間終了後は原資がないということで積極的ではないようです。
また、週5日の常勤か週2日の非常勤かという問題もあります。
いまのところ、大変な仕事の割には給与は低く、消費者を助けたいとか悪質業者をやっつけたいという正義感などのモチベーションが支えになっているかもしれません。
とにかく消費生活センターに就職したいのなら、そのセンターに突撃して情報を収集してください。
国民生活センター 各地の相談員の募集 http://www.kokusen.go.jp/shikaku/s_saiyou.html
質問回答 試験合格後、就業までの過ごし方について 【事前勉強】
【事前勉強】
2つめの質問である事前勉強について回答します。
消費者にとって、新人もベテランもありません。そのことを肝に銘じる必要があります。
必要な知識は、実務がこなせる知識です。
民法などは相談員試験に出てくる問題などはあまり必要ではありません。実際に必要なのは「未成年者契約」や「債務不履行」「不法行為」など限られています。訴訟や金融関係も実際には相談先を紹介することが多いので、ざっくりした知識でも構いません。
現場で一番必要な知識は特商法のクーリングオフです。それに関連する割販法も使う機会は少ないですね。また、消費者契約法も使います。
クーリングオフなど直接相談解決に結びつく知識はしっかり整理しておいてください。そばに、資料をおいて仕事ができますので丸暗記する必要はありませんが、クーリングオフだけは暗記するぐらいの気持ちで勉強してください。また、資料のどこを読めば分かるかということもチェックしておいてください。さらに、逐条解説は相談員が最も参考にする資料です。国に照会した場合も、逐条解説の~ページを持てくださいといわれるぐらいです。複数の相談員がいれば先輩にきくことができますが、1人相談員だといきなり全部1人でしなければなりません。
法律で直接解決に結びつきにくい問題が多くを占めています。
新聞契約のトラブルについての景品の問題。光回線の強引な契約の問題。携帯電話の契約や支払、故障などに関するトラブルなど、お互いの話をよく聞いてあっせんすることになります。
クリーニングの相談は商品の分野で非常に多いのですが、解決するのも簡単ではない分野です。自治体によって、商品テストをするかなど、違いもあります。実践から学ぶことになりますが、参考書もいくつかあり、全相協が出版したブックレットや月刊国民生活のクリーニングの解説などがあります。クリーニング事故は消費者由来の原因も少なくありません。そのときは、相談者に説明し納得してもらうコミュニケーションスキルが必要になります。このようなスキルが相談員には重要だと国が資格制度を変えようとしています。このような技能を学ぶことは簡単ではなく、そういう研修もあまりありません。このあたりが課題です。繊維製品品質管理士(TES)の勉強をしてみるのもいいかもしれません。資格を持っていれば一味違う相談員になります。
製品苦情や製品事故については、センターに技術職員や商品テスト担当者、都道府県がどこまで支援してくれるかなどにより違いがありますので、センターの方針に従うことになります。ただし、消費者庁への重大事故の通知やNITEへの事故通知など、事務手続きとして知っておかなければならにことがあります。製品の相談は、いかに製品を知っているか、論理的に考える能力があるかなど、相談員の実力が反映される分野です。
以上のことは、事前に勉強できることもありますし、実務をしながら学んでいくものもあります。
いろんなことを書いたので気が重くなったかもしれませんが、理想の形を書いただけで、実際には、そこまでは難しいと思いますので、実務をしながら実力をつけていくことになります。
さて、ご存知の方もいるかもしれませんが、私は現職相談員向けのサイトも運営管理しています。コミニュケーションなどの現場での実務能力の向上と最新情報・最新知識の習得など、行政では手の届きにくい分野を草の根的な思いで、スキルアップを望む向上心のある相談員に学ぶ場と交流の場を提供しています。就職が決まったらぜひ連絡ください。