平成28年度から試験制度が新しくなります

現時点で通知文や消費者庁・国民生活センターへの問合せで、理解していることをまとめました。
(少し信じられない気がするのですが、正確な情報は各自で再確認してください)

消費生活相談員が国家資格となる

国家資格は法律の条文の中で規定されたものです。規定されていないものは民間資格となります。消費生活相談員は消費者安全法で規定されています。
⇒消費者庁HP 消費者安全法の改正 http://www.caa.go.jp/region/index11.html

国家資格にもさまざまなレベルがあります

  • 医師などの受験資格が厳格で難易度の高いもの
  • 受験資格がなく食品衛生責任者のように半日の講習会を受講するだけで取得できるもの」

資格取得の手続きにもさまざまなレベルがあります

  • 医師や薬剤師など試験合格後に手数料を添えて国に申請して名簿に登録されて大臣名で認定されるもの
  • 食品衛生責任者など、市町村の食品衛生協会が開催して発行した受講証(修了証)が、別途国に申請することなく、そのまま資格を証明するものとなるもの

資格維持にもさまざまなレベルがあります

  • 何年かおきに定められた更新研修や手続きが必要となるもの
  • 一度取得すれば、一生のものとなるもの

こう考えてみると、もっとも権威?あるものと思われるのが
★大学等の専門課程を卒業して与えられる受験資格で、難関の試験を合格し、国に登録して、大臣名で資格が付与されるものだと思います。

さて、新しい消費生活専門相談員の資格はどうでしょうか?
★受験資格は特になく、複数の指定された試験機関が実施する試験に合格すれば、特に登録したり、更新手続きも不要で、国家資格が付与されるということです。
★この試験が民間資格試験(消費生活専門相談員・消費生活アドバイザー)とかねているので、その試験の難易度が消費生活相談員資格の難易度と同じということになります。そして、その難易度は、そこそこきちんと勉強して対策すれば取得できるというレベルです。
※消費生活専門相談員は少し癖のある問題ですが、試験範囲が限られてくるので過去問対策をしていれば対応可能。
※消費生活アドバイザーは深い知識は不要で、問題もそんなに難しくないですが、かなり広い範囲をカバーしなければならないので勉強時間と暗記能力が必要です。

新しい試験制度の「合格証」をもって自動的に資格が付与されることになります。
したがって、国に申請して何らかの名簿に登録されるというわけでもなく、消費者センターに就職するときに、資格を持っている証明として、合格証の写しを提出することになるということですね。

新しい相談員資格制度の検討が始まったときに比べてかなりトーンダウンして、いまいちな資格になってしまいました。こうなることは予想できましたが。2つの民間資格との関係も大いにあるでしょうね。

旧制度の資格保有者はどうなるのか?

これが少し複雑であり、こんな不公平なやり方をするのかという疑問がわきますが3つのパターに分けられます。

  1. 3資格保有者で平成28年4月1日の時点で、直近5年間で1年以上の実務経験がある
    ⇒一生涯に渡って新試験の合格者とみなされる(=みなし合格)
    ⇒(資格証明)3資格の保有証明+従事証明
  2. 3資格保有者で平成28年4月1日の時点で、1年以上の実務経験があるが、直近5年間ではない
    ⇒指定講習を終了すると、一生涯に渡って新試験の合格者とみなされる
    ⇒(資格証明)3資格の保有証明+従事証明+指定講習修了証
  3. 3資格保有者で平成28年4月1日の時点で、「実務経験がない」もしくは「実務経験が1年未満である」
    ⇒指定講習を終了すると、5年間だけ新試験の合格者とみなされる(平成33年4月以降は資格は失効する)
    ⇒(資格証明)3資格の保有証明+指定講習修了証

3のパターンが意味不明?

  • この3だけ全く意味のない「みなし合格」となります
    しかも、現時点で消費生活センターで仕事をしていても、27年4月2日以降採用であれば「1年以上」の要件を満たすことができず、指定講習を終了しても、5年で失効するため、再度、受験する必要性にせまられる可能性もあります。
  • 27年度試験に合格して、28年度から消費生活センターに就職することになったとしても、28年4月以降の実務経験は参入されないため、前述の説明と同じになります。
  • 国の言い分としては、新しい資格制度が決まったときに公表されているので、27年度試験を合格したとしても「5年みなし合格」となるのは、すでに周知しているはずである、ということです。私はそこまで読み取れませんでした。

3の実務上の対応は?

消 費生活相談員の要件としては2つあり、1つは「消費生活相談員の資格を有しているもの」で、もう1つが「それぞれの自治体が同等以上の能力を有すると認め たもの」となっています。前者は明快ですが、後者は要するに、新しい資格を持ってなくても、従来の3資格保有者を条件としてもいいし、資格をもっていなく ても自治体が認めたらOKということです。したがって、国としては、各自治体の消費生活相談員の採用については、これまでと支障ないという解釈です。

結局、パターン3の人はどうすればいいのか?

  • 従来の消費生活専門相談員の資格はこれまでどおり5年更新なので保有し続ける
  • 消費生活センターに就職するのに新制度の相談員資格を取得したいので、消費生活専門相談員試験を再度受験する

一部科目の免除

下記の要件を満たせば、「消費生活相談の実務に関する科目」が免除になるようですが、この科目が筆記試験なのか面接試験なのかは明らかになっていません。もしかすると、従来の試験での2次試験(面接試験)が免除される可能性があるのではと考えています。

質問
平成28年度から行われる予定の「消費生活相談員資格試験」を受験する場合に、試験科目の一部免除はありますか。

回答
「消費者安全法施行規則等の一部を改正する内閣府令」において、登録試験機関は、「消費生活相談員資格試験」を受験する者が、以下の(I)又は(II)に該当する場合には、「消費生活相談の実務に関する科目」につき試験の一部を免除することができると規定されています。

(I)次のいずれかに該当する場合
1.受験申込書を提出する際、現に地方公共団体における消費生活相談の事務に従事している者
2.受験申込書を提出する際、現に地方公共団体における消費生活相談の事務に従事することが既に決定されている者
3.受験申込書を提出した日から遡って5年間において、地方公共団体における消費生活相談の事務に通算して1年以上従事していた者
(II)次のいずれにも該当する場合
1.『消費生活専門相談員』等のいずれかの資格を保有する者
かつ

2.指定講習を修了した場合
国民生活センターが登録試験機関となった場合、上記(I)(II)の両方の免除を試験業務規程に盛り込む予定です。

【引用】国民生活センターHP http://www.kokusen.go.jp/shikaku/data/nshiken_faq2.html

一生涯みなし合格者である現職相談員は新試験を受験すべきかどうか?

指定専門相談員は新制度での試験合格が推奨されるのではないかと思います。

全く内容が変わった試験だったら現職相談員でも受験したほうがいいと思っていたのですが、基本的にはこれまでの消費生活専門相談員の資格試験が同じような形態で継続されるので、再度の受験はいまいちですが、自治体によっては、受けるようにいわれるかもしれませんね。

また、雇い止めなどで、別の消費生活センターへの就職を希望した場合は、新制度での試験合格者が優先されるかもしれません。

一生涯みなし合格者と新制度合格者との格差が出ないように、国で登録制度があれば、過去の履歴は関係ないので公平になるのですが、そのような登録制度はできなかったですね。私は、これができると思ってました。

再受験組は容易に合格するのか?

私 は毎年試験問題が公表されたら一人模擬試験をするのですが、ずっとクリアできています。現職相談員でも、日常的に広い範囲をカバーするような知識の集積を していれば、一部暗記物だけ付け焼刃にしてもクリアできると思います。しかし、ベテランになってくると、暗記能力が落ちてくるので、現場経験で対応しよう とすることになるので、少し大変かもしれませんね。

不合格だったら恥ずかしいという思いがあって再受験は嫌だと思いますが、こっそり受験して、事後報告すればいいのではと思います。

私の場合は、一生涯みなし合格者となる実務経験があるので、とりあえずキープしつつも、指定講習も受講しようと思ってますし、新しい試験も免除なしで受験しようと思ってます。

「登録試験機関」としての認定

現在、国民生活センターが申請中の「登録試験機関」に認定されてから、細かい規定が公表されるので、少し「待ち」の必要があるかもしれませんね。

消費生活専門相談員と消費生活アドバイザーのどちらがいいか?

難易度的には、過去問対策で合格の可能性が高まる「消費生活専門相談員」のほうが楽だと思います。ただし、この資格は行政以外使い物にならないので、範囲が広くて大変ですが、一般的にも認知されており、企業等で活用できる「消費生活アドバイザー」をおすすめします。

途中にも書きましたが、もともとこの新資格は民間企業にも通用する資格にするという理念で始まったのですが、結局は行政だけの資格になってしまったという感じですので、消費生活専門相談員資格がそのまま流用されただけのようになりました。