22.次の文章の[ ]の部分に入れるのに最も適切な語句を、下記の語群の中から1つ選び、解答用紙の解答欄にその番号を記入(マーク)しなさい。なお、同一記号には同一語句が入る。

① 平成22年6月18日より、[ ア ]からの借入残高が[ イ ]の[ ウ ]を超えている者については、新規の貸し付けが禁止されることになった。これに反して貸し付けがなされた場合、その業者は[ エ ]。なお、この場合であっても[ オ ]のカードローンは、新規の貸し付けが禁止されていない。

② 多重債務処理の方法としては、破産、個人版民事再生、[ カ ]、任意整理の4つの方法がある。任意整理を除く3つの方法は裁判所を利用する手続であり、破産手続と個人版民事再生手続は[ キ ]、[ カ ]手続は[ ク ]に申し立てる。
個人が申立をして裁判所が手続開始を認める要件は、破産手続の場合、[ ケ ]に陥っていること、個人版民事再生手続の場合、[ ケ ]のおそれまたは支払困難であることである。破産手続も個人版民事再生手続も裁判所により手続開始決定が出されたときには、債権者は、[ コ ]により債権回収をすることができなくなる。債務者の経済的再生を図ることを一つの目的とする規定であり、申立人である債務者は手続によって守られることになる。

【語群】
1.月収 2.3分の1 3.4分の1 4.クレジット会社 5.刑事罰の対象となる 6.金融機関 7.家庭裁判所 8.銀行 9.強制執行 10.貸金業者 11.家事調停 12.債務不履行 13.特定調停 14.年収 15.地方裁判所 16.債権届出 17.支払不能 18.高等裁判所 19.簡易裁判所 20.行政処分の対象となる

解説 問題22 貸金3法・債務整理

  • 貸金3法と債務整理もは基本的な制度が出題されます。分類と違いをしっかり確認すれば、そんなに難しくはありません。
  • 同じような問題が出題されますので、過去問対策をきっちりしていれば大丈夫です。
  • ただし、暗記事項が多く、40代以上にはつらいかもしれません。
  • また、穴埋めは比較的易しく、正誤問題は難しくなるのは同じ傾向です。特に穴埋めの場合は同じような問題が繰り返し出題されています。今回の問題も同様です。

貸金業法の改正(平成18年改正・22年完全施行)

金融庁HP
ホーム > 金融庁の政策 >貸金業法のキホン
http://www.fsa.go.jp/policy/kashikin/kihon.html

貸金業法とは
貸金業法は、消費者金融などの貸金業者や、貸金業者からの借入れについて定めている法律です。

近年、返済しきれないほどの借金を抱えてしまう「多重債務者」の増加が、深刻な社会問題(「多重債務問題」)となったことから、これを解決するため、平成18年、従来の法律が抜本的に改正され、この貸金業法がつくられました。

新しい貸金業法のポイント

(1)「総量規制」借り過ぎ・貸し過ぎの防止
・借入残高が年収の3分の1を超える場合、新規の借り入れができなくなります。
・借り入れの際に、基本的に、「年収を証明する書類」が必要になります。
(2)「上限金利の引下げ」
・法律上の上限金利が、29.2%から、借り入れ金額に応じて、15%~20%に引き下げられます。
(3)「貸金業者に対する規制の強化」
・法令遵守の助言・指導を行う国家資格のある者(貸金業取扱主任者)を営業所におくことが必要になります。

総量規制とは
総量規制とは、借りることのできる額の総額に制限を設ける、新しい規制のことです。
この新しい規制は、平成22年6月18日から実施されています。

具体的には、貸金業者からの借入残高が年収の3分の1を超える場合、新規の借入れをすることができなくなります。ただし、すでに、年収の3分の1を超える借入残高があるからといって、その超えている部分についてすぐに返済を求められるわけではありません。

この総量規制が適用されるのは、貸金業者から個人が借入れを行う場合です。銀行からの借入れや法人名義での借入れは対象外です。

また、住宅ローンなど、一般に低金利で返済期間が長く、定型的である一部の貸付けについては、総量規制は適用されません

また、借入れの際、基本的に、「年収を証明する書類」が必要となります。
「年収を証明する書類」としては、源泉徴収票や給与明細などがあります。
この「年収を証明する書類」を提出しないと、借りられなくなる場合があるので、注意してください。

上限金利の引下げは

法律上の上限金利には、
(1) 利息制限法の上限金利(超過すると民事上無効):貸付額に応じ15%~20%
(2) 出資法の上限金利(超過すると刑事罰):改正前は29.2%
の2つがあります。

これまで、貸金業者の場合、この出資法の上限金利と利息制限法の上限金利の間の金利帯でも、一定の要件を満たすと、有効となっていました。これが、いわゆる「グレーゾーン金利」です。

他方、金利負担の軽減という考え方から、今回の改正により、平成22年6月18日以降、出資法の上限金利 が20%に引き下げられ、グレーゾーン金利が撤廃されます。これによって、上限金利は利息制限法の水準(貸付額に応じ15%~20%)となります。なお、 利息制限法の上限金利を超える金利帯での貸付けは民事上無効で、行政処分の対象にもなります。出資法の上限金利を超える金利帯での貸付けは、刑事罰の対象 です。

日本貸金業協会HP
http://www.0570-051-051.jp/contents/outline/1-1.html

利息制限法で定められている上限金利

10万円未満:年利20%
10万円以上〜100万円未満:年利18%
100万円以上:年利15%

平成22年度試験の論文問題

1.改正貸金業法が完全施行された後、クレジットカードで自社商品等を購入させ、業者がその商品を安く買い取るなど、クレジットカードのショッピング利用可能枠の換金目的による利用(現金化)が問題となっています。貸金業法改正とクレジットカードショッピング枠の「現金化」問題の背景を説明し、クレジットカードの不正使用を防ぐために、クレジット会社、消費者、行政の果たすべき役割について、下記の指定語句をすべて使用して論じなさい。なお、文章中の指定語句の箇所には、わかるように必ず下線を引きなさい。
指定語句:多重債務、 総量規制、 消費者教育、 加盟店管理、クレジットカード会員規約

※【こんな枠組みで論文構成】多重債務が社会問題化→貸金業法の改正→貸し過ぎ防止=総量規制→上限一杯でも借りたい→ショッピング枠の現金化→会員規約に違反・加盟店管理の徹底→消費者教育が必要

いわゆる貸金三法

①利息制限法・・・http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S29/S29HO100.html
・利息については以下の制限がなされています(利息制限法第1条)。
元本額が10万円未満 → 年20%まで
元本額が100万円未満 → 年18%まで
元本額が100万円以上 → 年15%まで
・制限利率を超える利率の利息や遅延損害金の制限を超える部分は無効
・支払った制限超過部分は,元本に充当し、元本充当によって計算上元本が完済となった後もそれを知らずに利息や遅延損害金を支払い続けていた場合には,その支払いすぎた分は過払い金として返還を請求できる(最高裁判例)

②貸金業法・・・http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S58/S58HO032.html
貸金業者の事業登録や業務について,その適正化を図るための規制を定める法律・・・事業者を規制するための業法

③出資法(出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律)・・・http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S29/S29HO195.html
金融業者は年20パーセントを超える利率で、非金融業者は年109.5パーセンを超える利率を禁止
違反した場合には罰則適用(利息制限法には罰則なし)

債務整理

債務整理の種類としては
①自己破産・・・破産宣告の後、免責決定が受けられれば債務を全額免除してもらえる。
②個人再生・・・債権額が5分の1(または100万円)に減額される。住宅ローンの特則が受けられる。
③任意整理・・・利息制限法による返済額の見直しがある。返済は続くが、大きく減額されることも。
④特定調停・・・内容は任意整理とほぼ同じ。私的ではなく、裁判所を通した方法である。

法律関係
破産法・・・http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H16/H16HO075.html
民事再生法・・・http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H11/H11HO225.html
民事調停法・・・http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S26/S26HO222.html

【参考】尼崎市HP

ホーム > 安心・安全・相談 > 消費生活センター > 深刻化する多重債務
http://www.city.amagasaki.hyogo.jp/ansin/syouhi/065tajuu.html

多重債務に陥ったら

万一、多重債務に陥ってしまった場合の解決方法として、次のような方法があります。

「任意整理」
任意整理は、裁判所などの公的機関を利用しないで、貸金業者と直接和解交渉する方法です。通常は弁護士・司法書士に依頼します。

「特定調停」
特定調停は、簡易裁判所に申立をし、調停委員の斡旋を受けながら和解の成立を図る制度です。

これらは、返済資金を調達して一括返済する方法と、毎月の収入から分割して返済する方法があり、利息制限法に定める利率に換算し直して残債務を確定することが原則ですので、返済額がかなり減額されることがあります。

 「個人再生」
平成13年4月から導入されており、個人事業者や給与所得者が自己破産せずに生活再建できる制度です。

住宅ローンを除いた債務総額が5,000万円以下で、継続的な収入の見込みがある債務者が、債務の一定額を原則3年間で返済する計画をたて、裁判所 の認可を受けた上で、計画どおり返済が完了すれば、残債務の免除が受けられるというものです。ローン返済中の住宅も処分することなく、生活の建て直しがで きます。

「自己破産」
「任意整理」や「特定調停」、「個人再生」による解決が困難な場合に「自己破産」という方法があります。

裁判所に自己破産の申立をし、支払不能であることを裁判所に宣告してもらいます。
さらに、破産宣告を受けた後、すぐに免責の申立を行ない、それが認められると債務の支払義務がなくなります。
破産宣告を受けると、財産を債権者に配当するため、生活必需品以外のもの(不動産、自動車、生命保険など)は処分することになります。しかし、一部 の職業を除き、一般の会社員や公務員はそのまま勤務することが出来ますし、また、戸籍や住民票に記載されたり、公民権(選挙権など)を失うことはありませ ん。ただ、破産者は官報に告示されますので、そこから氏名・住所を入手し、あらたにヤミ金業者のターゲットにされることもあるようです。

【参考】裁判所HP

裁判所トップページ > 裁判手続の案内 > 裁判の話題 > 債務を整理するための裁判所の手続について
http://www.courts.go.jp/saiban/wadai/1809/