1.次の文章のうち、正しいものには○、誤っているものには×を、解答用紙の解答欄に記入(マーク)しなさい。また、誤っているものには、誤っている箇所(1カ所)の記号も記入(マーク)しなさい。

⑧ 消費者庁は、㋐「地方消費者行政活性化交付金」を予算措置し、地方消費者行政の充実・強化をはかってきたが、㋑平成23年度をもって財政支援措置は終了した
⑨ 消費者教育の推進に関する法律では、地方公共団体の㋐努力義務として、㋑教育委員会やその他の関係機関相互間の緊密な連携の下に、㋒との役割分担を踏まえて、消費者教育の施策を策定し実施することを求めている。
⑩ 近時問題となっている表示の関係では、消費者庁は、㋐景品表示法、㋑家庭用品品質表示法、㋒薬事法などを所管している。

解説

問題1⑧

「交付金」と「基金」は違うのでは?など、深く考えたら迷うかもしれません。

まず、消費者庁が創設されるにあたり、全国の市町村に消費生活センターを設置してもらうということから、「地方消費者行政活性化交付金」の予算措置がされました。その交付金を全国の都道府県に交付して、各都道府県に「基金(地方消費者行政活性化基金)」が造成されました。
基金は都道府県にあるので、各市町村は都道府県に対して予算要求をしました。

基金・交付金のざくっとした流れ(簡略してますので正確でない部分もあります)
  • 20年度補正予算でスタート
  • 21年9月に消費者庁創設
  • 21年度から本格的に動き出した→「集中育成・強化期間(平成21 年3月5日~平成23 年度末)
    →(20)・21・22・23年度がいわゆる「3年間の基金」です。3年間に取り崩して使いました。
    ※この基金は100%補助金であり、自治体の一般的な予算(一般会計)とは別物だったので、かなり自由に使用できました。相談員の人件費にも使えたことが特徴です(基金終了後に一旦上げた相談員の賃金をどこから補填するのかで議論)。
  • 基金は23年度で終了予定でしたが、24年度にはまだ使っていない基金を延長できるようにしました。
  • 25年度からは新たな先駆的取り組みに対して「交付金」が措置されるようになり、以後、さまざまな名目で交付金が継続しています。ただし、この交付金は毎年度要求する一般会計なので使い勝手が悪く、各自治体でも内部で予算措置を説明納得してもらわなければならない性格だったので、活発な自治体とそうでない自治体とで温度差が生まれました。

消費者庁HP
ホーム > 消費者教育・地方協力課 > 地方消費者行政活性化基金
http://www.caa.go.jp/region/kikin.html

地方消費者行政活性化基金
<概要>
・地方消費者行政活性化基金の概要[PDF:207KB]
http://www.caa.go.jp/region/pdf1/1.kikin_2.pdf
※この1枚物の図が基金の概要で、右下の図がアドバイザー試験対策本にも掲載されていますので、見るだけ見ててください。

地方消費者行政活性化交付金交付要綱

(目的)
第2 この交付金は、消費生活相談の複雑化、高度化が進む中、都道府県に設置する消費者行政活性化のための基金の造成に必要な経費を交付し、消費生活相談窓口等の機能強化に向けた地方公共団体の取組を支援することにより、地域の消費者の安全で安心な消費生活の実現に資することを目的とする。

平成20・21年度に「地方消費者行政活性化交付金」が予算措置され、23年度までの3年間の限定でしたが、基金は延長され、また、新しい取り組みに対する「交付金」も一般会計ですが、引き続き継続されています。

したがって、⑧は㋑が不正解です。
基金という細かいところにとらわれず、地方の消費者行政の充実のためには当然毎年何らかの予算措置をしているのは常識だろうという発想があれば正解できるような感じで、現職は知っていることですが、一般受験者は少し迷いますね。

問題1⑨

消費者教育推進法では、国や地方の責務が定められています。責務ですので努力義務ではありません。少し迷うかもしれませんので、今覚えてください。後は、条文のとおりです。

したがって、⑨は㋐が不正解です。

消費者教育の推進に関する法律・・・http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H24/H24HO061.html

(地方公共団体の責務
第五条  地方公共団体は、基本理念にのっとり、消費生活センター(消費者安全法 (平成二十一年法律第五十号)第十条第三項 に規定する消費生活センターをいう。第十三条第二項及び第二十条第一項において同じ。)、教育委員会その他の関係機関相互間の緊密な連携の下に、消費者教育の推進に関し、との適切な役割分担を踏まえて、その地方公共団体の区域の社会的、経済的状況に応じた施策を策定し、及び実施する責務を有する

なお、消費者教育推進法は今後も出題の論点となるので、基本事項は押さえておいてください。

消費者庁HP
ホーム > 消費者教育・地方協力課
http://www.caa.go.jp/region/index.html

1.消費者教育
消費者教育の推進に関する法律
消費者庁が行う消費者教育の推進について[PDF:298KB]
http://www.caa.go.jp/information/pdf/120705suishin_1.pdf
消費者教育の推進に関する基本的な方針(基本方針)
http://www.caa.go.jp/information/index17.html
消費者教育推進のための体系的プログラム研究会
http://www.caa.go.jp/information/index14.html

ホーム > 消費者教育・地方協力課 > 消費者教育の推進に関する法律
http://www.caa.go.jp/information/index12.html

消費者教育の推進に関する法律
概要[PDF: 157KB]
http://www.caa.go.jp/information/pdf/kyoiku_gaiyou2.pdf

リーフレット
消費者市民社会って? 消費者教育の推進に関する法律が施行されました[PDF: 1,619KB]
http://www.caa.go.jp/information/pdf/leaflet.pdf

問題1⑩

消費者庁が創設されたのは、縦割り行政からの脱却で、消費者関係に関わる法律が一斉に移管され、一元化されました。ただし、すべての部門概観されるのではなく、たとえば食品衛生法など執行部門は厚生労働省に残したままのものがあるなど、司令塔としての役割を担う仕組みになっています。

平成23年度試験には次のような問題も出ています

問題2
表示・取引・安全に関する約30の法律が、消費者庁の所管あるいは他省庁との共管とされた。とりわけ、表示に関する法律の多くが消費者庁の所管となった。これは、消費者庁の創設の議論のきっかけの1つが平成19年に頻発した[ ウ ]であったことによる。

景品表示法は該当するとして、家庭用品品質表示法はなじみがない法律かも知れませんね。また、薬事法は頻繁に登場するので、該当しそうな気がします。

判断する基準として、誰が主体になる法律かということを考えると分かりやすいかもしれません。直接的に、消費者のための法律なのか、事業者の事業のための法律なのか、という視点で考えると、家庭用品の品質は消費者が商品選択のために必要なものです。一方、薬事法は事業者が自分の製品(薬など)をルールに基づき製造し、届け出て承認をもらったりする法律なので、直接的に消費者とはならなさそうな気がします。同様に、医療の関係もそうですね。行政では「医務・薬務」とひとくくりになっていることもあります。そのように考えると、薬事法は厚生労働省に残ったままということだと想像できます。

したがって、⑩は㋒が不正解です。
ちなみに、景品表示法の正式名称は「不当景品類及び不当表示防止法」です。

移管された法律は消費者庁のHPで列挙されています。せっかくなのでコピペします。

消費者庁所管法律の一覧

消費者庁HP
ホーム > 組織・制度について > 所管の法令等 > 法律一覧
http://www.caa.go.jp/soshiki/legal/index1.html

所管の法令等
法律一覧

物価統制令(昭和21年勅令第118号)
食品衛生法(昭和22年法律第233号)
農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律(昭和25年法律第175号)
宅地建物取引業法(昭和27年法律第176号)
旅行業法(昭和27年法律第239号)
出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律(昭和29年法律第195号)
割賦販売法(昭和36年法律第159号)
家庭用品品質表示法(昭和37年法律第104号)
不当景品類及び不当表示防止法(昭和37年法律第134号)
消費者基本法(昭和43年法律第78号)
生活関連物資等の買占め及び売惜しみに対する緊急措置に関する法律(昭和48年法律第48号)
消費生活用製品安全法(昭和48年法律第31号)
有害物質を含有する家庭用品の規制に関する法律(昭和48年法律第112号)
国民生活安定緊急措置法(昭和48年法律第121号)
特定商取引に関する法律(昭和51年法律第57号)
無限連鎖講の防止に関する法律(昭和53年法律第101号)
貸金業法(昭和58年法律第32号)
特定商品等の預託等取引契約に関する法律(昭和61年法律第62号)
製造物責任法(平成6年法律第85号)
住宅の品質確保の促進等に関する法律(平成11年法律第81号)
消費者契約法(平成12年法律第61号)
金融商品の販売等に関する法律(平成12年法律第101号)
電子消費者契約及び電子承諾通知に関する民法の特例に関する法律(平成13年法律第95号)
健康増進法(平成14年法律第103号)
独立行政法人国民生活センター法(平成14年法律第123号)
特定電子メールの送信の適正化等に関する法律(平成14年法律第26号)
食品安全基本法(平成15年法律第48号)
個人情報の保護に関する法律(平成15年法律第57号)
公益通報者保護法(平成16年法律第122号)
消費者安全法(平成21年法律第50号)
米穀等の取引等に係る情報の記録及び産地情報の伝達に関する法律(平成21年法律第26号)
消費者教育の推進に関する法律(平成24年法律第61号)
消費税の円滑かつ適正な転嫁の確保のための消費税の転嫁を阻害する行為の是正等に関する特別措置法(平成25年法律第41号)
食品表示法(平成25年法律第70号)
消費者の財産的被害の集団的な回復のための民事の裁判手続の特例に関する法律(平成25年法律第96号)
消費者庁及び消費者委員会設置法(平成21年法律第48号)

【解答】
⑧→×㋑、⑨→×㋐、⑩→×㋒

問題1は解説を読んでみると、基本的な問題が多く、そんなに難しく感じないと思いますが、実際に試験となると迷ってしまいます。今回の論点と膨らました論点を頭に入れておきましょう。
なかなか全問正解とはいきませんが、最低6割、できたら7割とりたいところです。