1.次の文章のうち、正しいものには○、誤っているものには×を、解答用紙の解答欄に記入(マーク)しなさい。また、誤っているものには、誤っている箇所(1カ所)の記号も記入(マーク)しなさい。

② 市町村は、消費者安全法上、㋐必要に応じて消費生活センターを設置するよう努めなければならないとされているが、㋑消費生活センターを設置していない市町村も事業者に対する消費者からの苦情に係る相談に応じることとされ、㋒すべての市町村は重大事故等が発生した旨の情報を得たときは、直ちに、内閣総理大臣に通知する義務を負っている
③ 消費生活相談は、㋐相談者に「助言」して自主交渉を促す方法と、㋑消費生活センターから事業者に連絡して解決案を示すなどの「あっせん」を行う方法があり、㋒近年、全自治体の相談件数における「あっせん」件数が全体の約7割を占めている
④ 都道府県や主な政令指定都市には消費生活条例が制定されており、㋐物価や表示等に関して事業者への立入調査権、㋑不当取引行為に対する勧告・公表制度、㋒高齢者の判断力不足に乗じた契約の取消権などの規定が設けられている。

【解説と解答】
②③④は消費者センターの位置付けと業務内容です。頻出の基本事項です。

②消費者安全法での消費生活センターの位置づけで、定番必須問題です。そのほかにも押えるべきところを列挙します
★消費生活センターの設置・・・都道府県は義務、市町村は努力義務(法)・・頻出問題
★消費生活センターの相談日・・・都道府県と市町村ともに週4日以上(施行令)・・・過去に週3日以上か週4日以上かの二択あり
★事務の効率的な実施のために適切な電子情報処理組織その他の設備を備えているもの(法)・・・要はパソコン、PIO-NETのことです
★相談員の処遇・研修・人材の確保・資質の向上について努力義務(法)
★相談員の要件として3資格(施行規則)→(参考)固有の資格名を挙げているのは法ではあまりないというので、資格名でなく知識や技能等の要件が示されるように今後改正予定

消費者安全法・・・http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H21/H21HO050.html

第二節 消費生活センターの設置等
(消費生活センターの設置)
第十条  都道府県は、第八条第一項各号に掲げる事務を行うため、次に掲げる要件に該当する施設又は機関を設置しなければならない。
一  第八条第一項第二号イの相談について専門的な知識及び経験を有する者を同号イ及びロに掲げる事務に従事させるものであること。
二  第八条第一項各号に掲げる事務の効率的な実施のために適切な電子情報処理組織その他の設備を備えているものであること。
三  その他第八条第一項各号に掲げる事務を適切に行うために必要なものとして政令で定める基準に適合するものであること。
2  市町村は、必要に応じ、第八条第二項各号に掲げる事務を行うため、次に掲げる要件に該当する施設又は機関を設置するよう努めなければならない。
一  第八条第二項第一号の相談について専門的な知識及び経験を有する者を同号及び同項第二号に掲げる事務に従事させるものであること。
二  第八条第二項各号に掲げる事務の効率的な実施のために適切な電子情報処理組織その他の設備を備えているものであること。
三  その他第八条第二項各号に掲げる事務を適切に行うために必要なものとして政令で定める基準に適合するものであること。
3  都道府県知事又は市町村長は、第一項又は前項の施設又は機関(以下「消費生活センター」という。)を設置したときは、遅滞なく、その名称及び住所その他内閣府令で定める事項を公示しなければならない。

(消費生活センターの事務に従事する人材の確保等)
第十一条  都道府県及び消費生活センターを設置する市町村は、消費生活センターに配置された相談員(前条第一項第一号又は第二項第一号に規定する者をいう。以下この条において同じ。)の適切な処遇、研修の実施、専任の職員の配置及び養成その他の措置を講じ、相談員その他の消費生活センターの事務に従事する人材の確保及び資質の向上を図るよう努めるものとする。

第四章 消費者事故等に関する情報の集約等

(消費者事故等の発生に関する情報の通知)
第十二条  行政機関の長、都道府県知事、市町村長及び国民生活センターの長は、重大事故等が発生した旨の情報を得たときは、直ちに、内閣総理大臣に対し内閣府令で定めるところにより、その旨及び当該重大事故等の概要その他内閣府令で定める事項を通知しなければならない。

消費者安全法施行令・・・http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H21/H21SE220.html

都道府県が設置する消費生活センターの基準)
第六条  法第十条第一項第三号 の政令で定める基準は、法第八条第一項第二号 イ及びロに掲げる事務を一週間につき四日以上行うことができるものであることとする。
市町村が設置する消費生活センターの基準)
第七条  法第十条第二項第三号 の政令で定める基準は、法第八条第二項第一号 及び第二号 に掲げる事務を一週間につき四日以上行うことができるものであることとする。

消費者安全法施行規則・・・http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H21/H21F10001000048.html

(相談員)
第七条  消費者安全法 (以下「法」という。)第十条第一項第一号 又は第二項第一号 に規定する者は、次に掲げるいずれかの資格を有する者又はこれらと同等以上の専門的な知識及び経験を有する者とする。
一  独立行政法人国民生活センター(以下「国民生活センター」という。)が付与する消費生活専門相談員の資格
二  一般財団法人日本産業協会が付与する消費生活アドバイザーの資格
三  一般財団法人日本消費者協会が付与する消費生活コンサルタントの資格

ということで、消費者安全法の基本事項です。また、法を所管する大臣は内閣総理大臣になりますので、権限トップは内閣総理大臣になります。一部、権限委任があります(45条立入調査関連)。したがって、②はすべて正解です。

③消費生活相談は大きく分けて「助言」と「あっせん」があります。アとイは問題文の説明のとおりです。ウが正しいかどうかですが、消費生活センターでは「あっせん」を多くやっている印象がありますが、すべての事例で事業者に連絡するなどのあっせんをやっているほど時間も人員もありません。基本は「助言」であり、消費者自ら交渉してもらうためのアドバイスをします。自立した消費者ですね。ときどき、なぜやってくれないかといわれることもありますが、クーリングオフの書き方やメーカーへの相談方法など、比較的交渉がうまくいきやすいものなどは、まず相談者自身で交渉してもらって、うまくいかなかったら再相談してもらうという流れが基本になります。事故事例やメーカーとこじれてしまった事例、高齢者などで交渉能力に乏しい相談者には最初から「あっせん」にはいります。全国各地の消費生活相談の概要等を見ると、だいたい7割が助言というところですね。ちなみに、メーカーのお客様相談室でも苦情が多いと思われるかもしれませんが、圧倒的に一般的な問い合わせ相談が多いです。
したがって、③は㋒が不正解です。

④地方自治体での条例による規定ですが、法律に基づき権限が委任されているものであれば問題ありませんが、そうでないものは規定することができません。法律に規定がないものなどでも独自に行政指導として設ける場合もあります。法律よりも厳しい罰則等の規制を設けることは「上乗せ条例」といってできないこともありませんが、国と自治体間でのもめごとになります。
さて、問題であげられている3つの規定を見てみると、細かくはそれぞれの法律の委任などを見ていかなければならないのですが、そこまでする必要はありません。明らかに仲間はずれがありますね。アは立入調査権、イは勧告・公表制度、ウは取消権となっており、アとイは行為に対しての処分的なアクション、あわゆる行政処分であり、ウは法律行為の取り消しというステージが違う事柄があげられています。取消権は法律で厳密に規定されており条例の入る余地はありませんし、法律で規定のない行為を条例で規定すると問題も生じます。したがって、④は㋒が不正解です。こういう問題は一般論でも答えを導き出すことは可能です。

解答一覧

②→○、③→×㋒、④→×㋒