10.次の文章のうち、正しいものには○、誤まっているものには×を、解答用紙の解答欄に記入 (マーク) しなさい。また、誤まっているものには、誤まっている箇所 (1ヵ所) の記号も記入 (マーク) しなさい。
【解説と解答】
約款の問題を特に当たっては、知らないとしても常識的な見地で考えれば正解を導き出すことが可能ですし、文脈のニュアンスや矛盾などに気づけば知識がなくてもいけそうです。約款も難しいので私の解説が正解かどうかは自信がないのを付け加えておきます。
①は「賃貸借契約書」「有料老人ホーム標準入居契約書」があって、それぞれの効力を考えるのですが、ヒントとして、「そのまま利用すれば約款となる」という表現があります。すると、書いてあることを相手方が採用すれば契約内容(約款)になるんだなと推測されます。となると、「賃貸借契約書」には限定条件がないので、文章の流れから矛盾が生じ、㋑が不正解ではないかと推測されます。
②でも、「約款による」との顧客の意思、「推定」という言葉があるので、問題はなさそうです。「約款条項と異なる個別合意があるときには」、「個別合意が優先される」という普通に考えれば違和感はありませんね。最後に、「しかし」、とくるので、問題のパターンから、この「しかし」以下が正解かどうか問われていると分析されます。「契約書面に記載されていない約款」はもちろん約款すべてを契約書に書けるわけではありませんので場合によっては「契約内容」と「なることがある」という表現は問題ないと思います。するとすべて正解ではないかと推測されます。
③は普通に考えると簡単そうですが答が少しわかりません。約款の解釈が「客観的・合理的」というもは妥当なところでしょうし、「平均的顧客の理解を基準」というのも問題ないでしょう。すると㋑の「作成者不利の原則」なんですが、解釈が意味不明だったら、顧客に有利に判断すると考えて、すべて正解といいたいところですが、そうではないようです。
約款について勉強する資料は、ハンドブック消費者2010(2010年10月発行 消費者庁)に数ページの解説がされています。
「おすすすめ参考書まとめ」のページなどを参考にしてください。
販売もされていますが、消費者庁のHPにも全部アップされています。
直接リンクは、http://www.caa.go.jp/planning/handbook2010.html
この中の、32ページから解説されていますので、一部抜粋します。
そのほかのポイントとして、順次問題に出てきますが、②では、約款に書かれていることは契約書に書かれていなくても基本的には契約として縛られることになりますが、約款を構成する契約条項のうち、個別の交渉を経て採用された条項は約款の条項よりも優先されることです。
ということで、予測した回答どおり、①は㋑が不正解で、②はすべて正解となります。
ところが③はすべて正解のような気がするのですが、そうではなく、③は㋑が不正解となっています。ちょっとわかりません。
「作成者不利の原則」は、約款に複数の解釈が可能な場合は消費者に有利な解釈をすべきであり、約款は事業者が一方的に作成したものであるから、表現の不明確さは事業者の責任とし、約款の解釈上の疑義は約款を作成した事業者の不利益にするのが公平であると考えられています。もしかすると、「全く意味不明」という言葉が原則を当てはめるものではないというのかもしれませんが、気になるのは、その点だけであり、申し訳ないですが、ちょっと分かりません。
参考までに、国民生活センターの公表資料の中に「約款」について書かれた文章があるので紹介しておきます。