昨年と同様、2次試験についてコメントしたいと思います。
昨年↓のように書きましたが今年も全く同じですね。

みなさま悲観しておられる方が多いですが、すらすら答えれる受験者なんていません。
そうなれば合格者はいなくなってしまいます。
とにかく、最終合格発表まで気持ちを落ち着けてください。

さて、この下には、昨年と同じように、一次試験の点数報告から合格ラインを予測する欄にします。
それまでは、昨年の合格ラインをコピーしておきます。

ちなみに、1次試験の択一式の合格ラインはコメントを見る限り
200点満点中、128点で合格、124点で不合格となっています。
※択一125点、論文4点で不合格のメールを直接いただきました。
ダメだったにもかかわらず情報提供いただきありがとうございました。
ぜひとも来年リベンジしてください。
択一が合格しないと論文は採点しないので、125点は択一合格点だと思われます。
したがって、200点満点中、125点で合格、124点で不合格となり、125点以上が択一の合格ラインであると推測されます。
7割と思っていましたが、意外に低いラインですね。合格率と関係があるのでしょうか、気になります。
昨年までの250問の1000点満点換算の合否判定(7割以上が合格とのうわさ)が素直に素点×4点かどうか確認できませんが、今年は素点どおりなので分かりやすいですね。
論文試験の採点基準はよくわかりませんが、合格の5点と不合格の4点の差は5点と6点との比較とは違い、紙一重というのではなく、かなり明らかな違いがあるのではないかなあと思います。

受験報告掲示板の2次試験のコメントから

「センターの位置づけが法で明確化されなければならない根拠は?」
→昨年度の記事を参照
2次試験のコメント (2011年12月1日)https://soudanshiken.com/room2012/20111201/370.html

事業者に消費者の代わりに斡旋、仲介をする根拠を聞かれたらどう答えるか
⇒これは意表を突く鋭い質問ですね。即答できないかもしれないですね。消費者基本法と消費者安全法の2つの法律が出てくればいいです。
まずは自治体の苦情処理の役割を明確にしている消費者基本法です

(苦情処理及び紛争解決の促進)
第十九条  地方公共団体は、商品及び役務に関し事業者と消費者との間に生じた苦情が専門的知見に基づいて適切かつ迅速に処理されるようにするため、苦情の処理のあつせん等に努めなければならない。この場合において、都道府県は、市町村(特別区を含む。)との連携を図りつつ、主として高度の専門性又は広域の見地への配慮を必要とする苦情の処理のあつせん等を行うものとするとともに、多様な苦情に柔軟かつ弾力的に対応するよう努めなければならない。

さらに、消費者安全法に続いている流れを説明できればOKです。
消費者基本法に基づく具体的な事務を消費生活センターが実施することを明文化しました。

(都道府県及び市町村による消費生活相談等の事務の実施)
第八条 都道府県は、次に掲げる事務を行うものとする。
一 次項各号に掲げる市町村の事務の実施に関し、市町村相互間の連絡調整及び市町村に対する技術的援助を行うこと。
二 消費者安全の確保に関し、主として次に掲げる事務を行うこと。
イ 事業者に対する消費者からの苦情に係る相談のうち、その対応に各市町村の区域を超えた広域的な見地を必要とするものに応じること。
ロ 事業者に対する消費者からの苦情の処理のためのあっせんのうち、その実施に各市町村の区域を超えた広域的な見地を必要とするものを行うこと。
ハ 消費者事故等の状況及び動向を把握するために必要な調査又は分析であって、専門的な知識及び技術を必要とするものを行うこと。
ニ 各市町村の区域を超えた広域的な見地から、消費者安全の確保のために必要な情報を収集し、及び住民に対し提供すること。
三 市町村との間で消費者事故等の発生に関する情報を交換すること。
四 前三号に掲げる事務に附帯する事務を行うこと。
2 市町村は、次に掲げる事務を行うものとする。
一 消費者安全の確保に関し、事業者に対する消費者からの苦情に係る相談に応じること。
二 消費者安全の確保に関し、事業者に対する消費者からの苦情の処理のためのあっせんを行うこと。
三 消費者安全の確保のために必要な情報を収集し、及び住民に対し提供すること。
四 都道府県との間で消費者事故等の発生に関する情報を交換すること。
五 前各号に掲げる事務に附帯する事務を行うこと。

(追記)大事なことを書き忘れていました。大原則となることは、消費者と事業者の間に圧倒的な情報量や交渉力の差があり、消費者個人では事業者と対等な交渉が難しくなることが多く、その格差を解消するために、消費者基本法や消費者契約法、特定商取引法などの法律があり、行政・自治体・消費者センターが間に入って事業者と交渉する(あっせんする)役割を担っているということです。


「クーリング・オフすると電話で連絡し業者はそのとき了解したと言ったのにクーリング・オフ期間が過ぎたあと書面がなかったのでクーリング・オフできないっていわれたのだがどうして?」
→電話で合意していたら書面がなくてもクーリングオフは成立しています。ただし、言った言わないの論争になると証拠がない場合に不利になるので法律では「書面で」と書かれていますが、逐条解説では口頭合意でも成立します。
今回の質問をそのまま考えると、業者はクーリングオフを電話で合意していたが、書面がないので無効だということですが、クーリングオフ期間内に電話(口頭)で合意があったことを業者が認めているので、「口頭で合意していたら書面は必ずしも必要ということではない」と説明したら、どこにいっても勝てます。
ところが、「電話で合意した覚えはない、証拠を出せ」といわれたら苦しいと思います。センターが入ってもあっせんできないこともあります。
ただし、よほどの悪質業者でない限り、電話で合意していたのを撤回することはないと思います。それでも、センターでは消費者に「間違いなく成立していますが、念のためにクーリングオフの通知をpはがきを出しておいた方がいいです」と助言します。
なお、クーリングオフの通知を受け取り拒否にする業者や受け取っていないと主張する業者もいますので、少なくとも簡易書留で通知しておいた方がいいです(内容証明は手続が煩雑で費用がかかるので、よほどのことがない限り、簡易書留の300円追加でOK)。

特定商取引に関する法律・・・http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S51/S51HO057.html

(訪問販売における契約の申込みの撤回等)
第九条  販売業者若しくは役務提供事業者が営業所等以外の場所において商品若しくは指定権利若しくは役務につき売買契約若しくは役務提供契約の申込みを受けた場合若しくは販売業者若しくは役務提供事業者が営業所等において特定顧客から商品若しくは指定権利若しくは役務につき売買契約若しくは役務提供契約の申込みを受けた場合におけるその申込みをした者又は販売業者若しくは役務提供事業者が営業所等以外の場所において商品若しくは指定権利若しくは役務につき売買契約若しくは役務提供契約を締結した場合(営業所等において申込みを受け、営業所等以外の場所において売買契約又は役務提供契約を締結した場合を除く。)若しくは販売業者若しくは役務提供事業者が営業所等において特定顧客と商品若しくは指定権利若しくは役務につき売買契約若しくは役務提供契約を締結した場合におけるその購入者若しくは役務の提供を受ける者(以下この条から第九条の三までにおいて「申込者等」という。)は、書面によりその売買契約若しくは役務提供契約の申込みの撤回又はその売買契約若しくは役務提供契約の解除(以下この条において「申込みの撤回等」という。)を行うことができる。ただし、申込者等が第五条の書面を受領した日(その日前に第四条の書面を受領した場合にあつては、その書面を受領した日)から起算して八日を経過した場合(申込者等が、販売業者若しくは役務提供事業者が第六条第一項の規定に違反して申込みの撤回等に関する事項につき不実のことを告げる行為をしたことにより当該告げられた内容が事実であるとの誤認をし、又は販売業者若しくは役務提供事業者が同条第三項の規定に違反して威迫したことにより困惑し、これらによつて当該期間を経過するまでに申込みの撤回等を行わなかつた場合には、当該申込者等が、当該販売業者又は当該役務提供事業者が主務省令で定めるところにより当該売買契約又は当該役務提供契約の申込みの撤回等を行うことができる旨を記載して交付した書面を受領した日から起算して八日を経過した場合)においては、この限りでない。
2  申込みの撤回等は、当該申込みの撤回等に係る書面を発した時に、その効力を生ずる。

特定商取引に関する法律の解説(逐条解説)・・・http://www.no-trouble.go.jp/#1259300931251

第2章 訪問販売、通信販売及び電話勧誘販売
第2節 訪問販売
第9条の解説より抜粋
(2) 「書面により」
これは、クーリング・オフが購入者等からの一方的な申込みの撤回又は契約の解除についての意思表示であるので、「口頭」ではなく、「書面」によってその意思を表示することにより、当事者間の権利関係を明確にするとともに、後日紛争が生ずることのないようにする趣旨である。(仮に書面でなく、口頭でクーリング・オフを認めると証拠が残らないため、業者が「聞いていない」と抗弁すると紛争となるおそれがある。そのため、証拠を残すという意味で内容証明郵便で行うことが望ましい。)また、書面でなく口頭で申込者が解除を申し出て事業者が異議を唱えずこれを受領した場合には、クーリング・オフと同趣旨の合意解除が成立したものとみなされる場合が多いと考えられる。

もっと細かいところを言えば、「申込みの撤回等は書面で行わなければならない」というのではなく、「書面により申込みの撤回等を行うことができる」となっています。つまり、クーリングオフの要件の一つを特別法に定めているだけで、両者が合意すれば書面によらなくても成立するという一般民法の原則(逐条解説に書かれている「クーリング・オフと同趣旨の合意解除」)も適用できると解釈できるのではないでしょうか。