平成24年度の試験要項から

第2次試験
面接試験(出題範囲についての学識及び消費生活専門相談員として業務を遂行するための適性の有無を判定)

2次試験の傾向は、ここ数年変わっていません。
したがって、従来の対策でいいと思います。

2次試験対策については、平成22年度と23年度にも記事にしています。基本的には同じですので、若干修正を入れつつ再掲したいと思います。
また、何回かに分けて記事を書くよりも2次試験対策を急がれると思いますので、長文になりますが、この記事で完結したいと思います。
(参考)
平成22年度
2次試験(面接)について  (2011年1月12日)
2次試験(面接試験)対策 その1  (2011年11月10日)
2次試験(面接試験)対策 その2  (2011年11月11日)
2次試験(面接試験)対策 その3  (2011年11月13日)
2次試験(面接試験)対策 その4  (2011年11月14日)
2次試験(面接試験)対策 その5(最終回)  (2011年11月15日)


2次試験(面接)について

1次試験合格者は2次試験の面接へとコマを進めます。
面接は15分~20分です。早く終わる場合もあります。
2時試験問題の形式は受験要綱では
「第2次試験
面接試験(出題範囲についての学識及び消費生活専門相談員として業務を遂行するための適性の有無を判定)」
と書かれています。
2次試験が必ずこうだという確証はありませんが、いろいろな情報からあわせて書きたいと思います。

2次試験(面接)の目的

面接試験は落とすための試験というよりも、通すための試験だと思います。
1割ほどが不合格だとの未確認情報もありますが、よっぽど適性がなかったのかもしれません。
相談員の仕事は対人関係の仕事です。
普通の資格試験ではなく、消費者センターの相談員としてつとまるかどうかを見られています。
知識については1次試験で確認していますので、基本的にはこれ以上のことを要求されることはないと思います。
事例についても、すらすらと回答できることを期待されているのではありませんし、ほとんどができないと思います。
ただし、メインの法律の基本的なところは押さえておいた方がいいですが、答えることができなくても気にすることはありません。

一番は、コミュニケーションを円滑にすることができるかどうか、広い視野で物事を考えることができるかということだと思います。
したがって、よっぽどのことがない限り、大丈夫ではないかと思います。ただし、他人の意見を受け入れないという姿勢はダメです。
「相談者の気持ちを受け止める」ことが大切ですので、他人の意見もまず素直に受け入れるという柔軟な姿勢がポイントとなります。自分の意見と合わなかったら後からじっくり考えて整理すればいいのです。即答で拒否する姿勢はダメです。
応対の姿勢としてはこのあたりを注意しておくといいでしょう。

 

2次試験(面接)の内容

面接官は2人で、1人はまとめ役?で①と③を、もう1人が事例を出題し問答します。
基本的に20分ですが、スムーズに進めば15分程度で終わる場合もあります。
おおまかに次の3点が聞かれます。
①資格を取ろうと思った理由
・・・基本的に願書に書かれた職業を見て、話が始まります。ここで時間をかけるもよし、シンプルに答えるもよし
②事例問題を1~2問
・・・実際の相談にありそうな問題で比較的簡単なオーソドックスな問題が出されます。
こういう相談がありましたが、あなたが相談員だったら、どうアドバイスしますか?という感じです。
問題はいくつかのパターンかあるようで前の人と同じ問題とは限りません。
難易度はやさしいのですが、答えた内容によって、ではこういう場合はどうしますか?と、どんどん広がりを見せます。
答えられなくてパニックになっても助けてくれますのでご安心を。
うまく答えることができなかったら不合格というのでもないようで、資質を見られていると思います。
(10人に1人ぐらい不合格になるといううわさもあります)
1~2問というのは、1問で問題なく答えたら、さっさと終わるという感じでしょうか、絶対2問とは限らないようです。
さきほどいったとおり資質が判断できればOKということでしょうね。
ただし、メインとなる法律の重要なパターンは覚えておいてください。
③最近の消費者問題で気になること
・・・聞かれる人と聞かれない人がいます。これも②との関連性でしょうか。事例が上手く答えれなかった受験生への救済策かもしれませんね。最近の気になる裁判例、特に消費者契約法に関連する裁判例を聞かれることもあります。今回プラスしてチェックしておいてほしい裁判例として、携帯電話の解約金に関する消費者契約法がらみの裁判です。

①③は事前に準備をしていれば問題ないと思います。
それでは、①~③について、より詳しく解説します

①資格を取ろうと思った理由

基本的に願書に書かれた職業を見て話が始まります。
個人の状況が違いますので自分にあった回答を用意しておいてください。
特に相談員になりたい人を対象としている試験ですので、相談員になる予定がない場合は資格取得の理由を考えておいてください
「なぜ資格を取得したかったのか(受験したのか)」という動機と「資格をとった後の活用方法」について説明できるように。
(対策例)
すでに他の職業についている場合
・自分の仕事の関連性で、消費者と対応する業務であれば専門知識で信頼を得たい、企業内で活用するのであれば消費者目線、アドバイザーを持っているのなら企業側の資格だけではなく行政側の資格も取って両方の視点から消費者と対応したい。仕事が全く関連性がない場合でも、ゼロとはいえませんので無理やり理由を作っておいてください。
・企業の場合はアドバイザーが優先されるのでアドバイザーを持っている方は先の理由で、持ってない方はW受験している・来年取る予定であるなど
・取得後に企業内で活用したい、CS部門で仕事をしていて行政とも関連性が強い、特に法律知識について活用したい、など
・また、企業の方は、アドバイザーとの違いを認識しておいたほうがいいです(アドバイザーは範囲が広い・資格の活用度が高い、相談員は内輪の資格・難易度が高い・法律重視など)→出題範囲の比較(2010年12月13日)

無職の場合
「相談員になりたい」が一番ポイントが高く、そもそも相談員になりたい人を求めています
・資格取得だけが目的であれば、それでもいいと思います。そう答えた受験者もいるそうです。しっかり理由を説明できるように。
・定年退職後に相談員として仕事をしたいというのでもいいと思います。
・相談員になった場合は、どのような相談員になりたいか、現状の悪質商法や消費者像、食品表示、放射能問題、製品事故など切り込む部分は多いです

②事例問題を1~2問

どんな問題が出るかというのは、あまり情報がありません。
検索したり、コミュニティサイトでいくつか出ています。
リンク先を紹介するのは控えますので、必要な方は自力で探してください。
事例問題の対策としては、月刊国民生活などで紹介される事例や判例などを読んで、理論的に考える力をつけてください。
また、「くらしの豆知識」を精読することも消費者問題全般のチェックに最適です。

特に注意しておいてほしいことは、一般法より特別法が使いやすく現場では最も優先されるということです。
何のことか?という受験者はラストスパート復習をしてください。
一般法とは「民法」のことです。特別法というのは「消費者契約法」や「特定商取引法」のことです。
民法というのは解釈が難しく概念的です。民法の中から取り出して、詳しく使いやすい法律にしたのが特別法です。
特別法は限定された対象ですが条件が該当すれば強力な権利が主張できます。クーリングオフが最たる例です。
民法は弁護士の解釈や裁判まで判断を求めることが多く、消費者センターにはなじみません。
具体的には、民法の未成年者契約で契約の無効を訴えるよりも、特定商取引法のクーリングオフが可能であれば、最優先でクーリングオフを適用すること。
強行に「未成年者取消が最適と思います」と答えてはダメです。
また、未成年者でも結婚していれば成年したものとみなされるという民法の条文もありますのでご注意を。
面接官に指摘されたら、素直に同意しましょう。

比較的、頻出事例である「新聞勧誘」について具体的に解説します。
ただし、話の展開が途中で終わるか完結するかは、受験者の能力(知識)次第です。

事例問題の例題

「下宿している大学生の子供が宅配便屋を装った新聞の勧誘員から契約したがお金に余裕もなく解約したい」というものです。
必要な知識としては
特定商取引法のクーリングオフ(期間がすぎてたら?と切り返される)・・・書面不備など
消費者契約法の取り消し(誤認や不退去)
民法の未成年者契約の取り消し(未成年だったら必ず取り消しができるの?と切り返される)・・・お小遣いの範囲や未成年者結婚など
特定商取引法違反の行政処分(違法な勧誘方法)
など、4つとも相談現場で必要な法律が広く網羅されます

実は、この事例は私が体験した事例です。
面接での事例問題は最後まで完結しました。
自分の事例だったら、ここで紹介してもいいかなあと思いますので、指摘されたことや細かい突っ込みを紹介します
・説明調に話していたので、「面接官を相談者にみたてて相談員の言葉で説明してください」といわれました(結局説明調になってしまいました)
・「小遣いの範囲というのは、具体的には?」という突っ込み対して、私は「高校生であれば5000円とかが考えられますが、下宿している大学生なので決まった額というのではなく、仕送りや生活費などを考慮します。ぎりぎりの生活だと当然自由に使えるお金が少なくなります」と答えました。
・クーリングオフで解決はできるのですが、「この事例で他にできることはないですか?」という問いに、「取消や解約の方法はほかに何があるのかなあ」と答が思いつきませんでしたが、面接官のフォローが入り、「勧誘方法に問題がある→行政処分ができる」という回答だったようです。個人の対応から事業者への対応に話は移ってました。行政処分は良く知っていますが、その場では浮かんできませんでした。
・ほかに説明しておけばよかったなあと思ったことは、親からの相談なので、まず、「契約の取消はできると考えられます」と安心させたうえで、クーリングオフの方法について親から子どもに説明してあげるか、親からの説明が難しければ子どもに居住地の消費者センターに相談するように伝えるか、どちらでもいいですよ、と助言してあげることを追加しておいたらよかったなあと思いました。

実は受験当時、私は2次試験免除対象者でしたが、免除で資格を取るのが好きではなく、2次試験も受けました。
したがって、受験動機も簡単に終わったし、事例もこの1問だけで終わり(上記の回答をすらすらしたからで)、時間も予定よりずいぶん早く終わりました(15分程度)。
蛇足ですが、現職の相談員は2次試験は免除されます。
当然の結果だと思います。それだけ、現場は日常的に事例問題をやっているようなものです。
わざわざ面接する必要はないということです。

みなさまが紹介した事例のような回答をすることは難しいでしょう。
このような回答を求められているのではありません。
知識については試験で合格しているのですから。
面接官とのやり取りの中で資質を見られています。
指摘があれば素直に従う柔軟な姿勢が大切です。
答えられなくてパニックになることがダメですので、分からなかったら、「今思いつきません」でもいいと思います。

ちなみに、事例対策として直前に勉強したことは、特定商取引法や消費者契約法などの基本となる重要な法律の類型や適用条件、適用内容、解約・取消・無効の違いなどの最重要部分を復習として確認しました。みなさまも、事例対策としては私と同じでいいと思います。習熟度によって勉強する度合いは異なると思います。なお、特商法や消費者契約法がメインになると思いますが、割賦販売法が出題されることもあると思います。割賦販売法はまさに論文問題で出題されたものと同じような事例で、出会い系サイトやアダルトサイトのクレジット決済で決済代行業者や国際ブランドカード、マンスリークリアなどをチェックしておく必要があります。

③最近の消費者問題で気になること

これは何でもいいと思います。自分の考えをしっかり短時間で説明できるようにしてください。
ただし、思い込みが強い場合は?となります。
いろんな見方があって、その中で私はこう思う。ただし、他の考えを否定するわけではないという柔軟な考え方が好感をもたれると思います。
自分の言葉で、面接官が分かりやすいように説明してください。
この③は受験者によっては聞かれない場合もあります。①②で問題なければ聞く必要がないということでしょうね。もしくは時間がなくなったのかも。私は②で失敗した場合の救済策ではないかと思っています。
要は、やり取りの中でコミュニケーション力があるのかどうかも見られていると思います。

最近の消費者問題という大きなくくりではなく、最近の裁判例について聞かれる場合もあります。特に、消費者契約法と限定される場合もあります。
消費者契約法で有名な裁判は、「入学金返還訴訟」と「賃貸住宅の退去時の原状回復費用」についてですが、最近は携帯電話の違約金に関する判決(地裁レベルかドコモとauの2社だけでソフトバンクはもう少し先、判決内容が若干異なる)が出ていますので、気になるところです。
(参考)
解約金訴訟の第一審判決:ドコモとKDDIの違い
2012年7月22日(日)19:30 gooニュース
http://news.goo.ne.jp/article/wirelesswire/business/wirelesswire_201207220925.html

判例については国民生活センターのHPなどに掲載されています。
国民生活センターHP
トップページ > 相談事例・判例 > 消費者問題の判例集
http://www.kokusen.go.jp/hanrei/index.html

また、今年の夏に特定商取引法が改正されて、取消対象となる類型に「押し買い」が追加されましたので注意しておいてください。
消費者庁HP
特定商取引に関する法律の一部を改正する法律
http://www.caa.go.jp/trade/index.html#m05

それと、「相談員の新たな資格の創設に関する検討会」や論文試験に出た「基金」終了後の消費者行政のあり方についても気になるところです。
消費者庁HP
消費生活相談員資格の法的位置付けの明確化等に関する検討会 中間報告(平成24年8月)
http://www.caa.go.jp/region/index8.html#m01-2
地方消費者行政の充実・強化のための指針
http://www.caa.go.jp/region/index.html#m01-3

面接を受ける心構え

基本的には、よほどのことがない限り、落とされることはないと思われます。

・難関の1次試験は合格しているという自信を持つ
必要な知識は既に認められています。事例問題で知識の有無はあまり問題ではないと思います。
もちろん、答えれるほうが良いに決まっていますが、現場では、分からなかったら法律の解説を調べたらいいだけのことですので、あまり気にする必要はありません。
ただし、先に説明した基本的なポイントだけは覚えておいてください。ただ、間違ったり、忘れたとしても、不合格になるということではありません。その場合は面接官がフォローしてくれます。現場で先輩相談員からのフォローを受けているという気持ちでいればいいと思います。

・平静を保つ
これが難しいかもしれません。事例で答えられなくて面接官に指摘されたらパニックになってしまい、背中から汗が出て、しどろもどろになる。十分ありえます。答えられなかったとしても先に説明したとおりですので落ち着いてください。どちらかというと、落ち着いた対応ができるかどうか見られるのです。なぜなら、事例では、「じゃあ、こういうときはどうしますか?」と次々に質問が飛んできます。これは何も試験に限ったことではありません。現場では、はるかに難解な選択肢と決断が求められるのです。現場では混乱している場合ではありません。わからなければ、保留することもあるので、面接でも分からなかったら素直に分からないと認めることです。まあ、分からないの即答よりも、いろいろ考えて答えた結果、その答えに対して面接官が指摘して説明するほうが話が続くので、分からないと即答したり、答えられずに黙ってしまうことはせず、何でもいいから間違ってると思っても頭の中で考えていることを口に出してください。なかなか正解は出ません。そもそも正解をきちんと出せる人は面接を受ける必要もありません。しっかり、面接官と会話のキャッチボールをすることが大切です。

・協調性が大切
相談業務は話し合いによる「あっせん」をする仕事です。争っている当事者間の間に立って、お互いの妥協点をすり合わせたり、権利を主張したり、間違いを指摘したりすることが仕事です。相談員の意見を押し付けるのではなく、お互いの話をしっかり聞いて、取り持ってあげるという仲裁役になることを自覚しておいてください。そのため、必要な協調性があるかどうかということも会話のキャッチボールの中で見られています。面接官と違う意見のときもあるとは思いますが、面接官のほうが正解で受験者のほうが間違っていることが多いので、素直に受け入れてください。我を張ってはいけません。

・相談員に対してのイメージ
基本的には消費者センターで相談員になる人の面接です。現場に入らなければ、実際の仕事は分かりません。外から見た相談業務と中から見た相談業務は全く異なるかもしれません。素直に思っていることを話してください。

・雰囲気に飲まれない
面接室は一般的に狭い部屋と思われるかもしれませんが、場所によっては教室や会議室のような広い部屋の真ん中にぽつんとテーブルといすが置いてあるだけの場合があります。そのギャップに一瞬プレッシャーを感じるかもしれませんが、「あ、このことだな」と思い出してください。

以上で2次試験対策として、面接内容から最後の心がけまで書きました。
あとは、受験者次第です。しっかりがんばってください。

※二次試験について質問がある場合は「質問掲示板2012」にコメントしてください。
※なお、二次試験期間中の11/17~12/2までは、公平性を保つため、掲示板へのコメントは記入できますが、二次試験が終わるまでコメントの公表は控えさせていただきます。コメント閉鎖期間中にどうしても質問したい場合は直接メールしてください。
二次試験(11月17日(土曜)東京都、11月18日(日曜)東京都、11月23日(金曜・祝日)北海道、11月25日(日曜)福岡県、12月1日(土曜)愛知県、12月2日(日曜)大阪府)