今年は消費者基本計画の改訂が行われました。
それについては、ぶっとい冊子が全国に配布されるなど気合が入っています。
その中の序論の部分が消費者行政の現状をまとめているので参考になります。
また、論文対策にもなります。

消費者庁HP
ホーム > 消費者政策課
http://www.caa.go.jp/adjustments/index.html
消費者の利益の擁護及び増進に関する基本的な政策
消費者基本計画(平成22年3月30日閣議決定、平成24年7月20日一部改定)[PDF:400 KB]
http://www.caa.go.jp/adjustments/pdf/120720keikaku.pdf

第1 「消費者基本計画」策定の趣旨 ~消費者政策の新たなステージ~
すべての人は、消費者です。生まれてから一生を通じ、朝目覚めてから夜眠っている間も一日中、消費者であり続けます。社会で生活していく限り、私たちはあらゆる消費者問題に直面します。消費者の権利は守らなければなりません。
多くの人の、何十年にもわたる長年の思いと努力から、平成21 年9月1日に消費者庁と消費者委員会が創設されました。初めて、消費者の立場に立つ国の行政機関ができました。消費者が主役となる社会の実現に向け、これまでの施策や行政の在り方を積極的に見直すという意味で、「行政のパラダイム(価値規範)転換」の拠点として設けられたものです。
この背景には、消費者行政の前提となる健全な消費生活の基盤や行政に対する信頼が大きく揺らぐ中で、消費生活の問題を総合的・抜本的に解決していくための新たな枠組みの構築を求める声の高まりがあります。
新しい消費者行政は、行政の在り方を事業者優先から国民一人ひとりの立場に立ったものに転換していくことが重要です。また、従来の、産業振興の間接的、派生的テーマとしての縦割り行政の弊害を克服しなければなりません。

このため、消費者庁は、「消費者の利益の擁護及び増進」、「消費者の権利の尊重及び自立の支援」の観点から、これまでの行政の在り方を改めます。そして、消費者庁は消費者行政の司令塔として、また「エンジン役」としての役割を発揮していきます。さらに、消費者委員会は、消費者庁を含めた各府省庁の消費者行政全般に対する監視機能を発揮していかなければなりません。
「消費者の権利の尊重」と「自立の支援」を基本理念とする消費者基本法が平成16 年に施行されたことを受けて、政府は、平成17 年4月に平成17 年度から平成21 年度までの5年間を対象とした「消費者基本計画」を閣議決定しました。各府省庁は、この計画を消費者利益の擁護・増進に関する重要課題に政府全体として計画的・一体的に取り組むに当たっての基本的方針として施策を実施し、消費者政策会議は、この計画について、旧国民生活審議会の意見を聴きつつ、平成18 年から20 年にかけて毎年1回検証・評価・監視を行ってき
ました。
しかしながら、この間、食の安全・安心という消費生活の最も基本的な事項に対する消費者の信頼を揺るがす事件や、高齢社会を迎えるに当たって高齢者の生活の基盤である資産を狙った悪質商法など、暮らしの土台そのものを揺るがす問題が生じました。これに加え、消費者被害の発生に伴う行政の対応に対して、消費者の間に行政への大きな不信を招く事案が相次いで生じました。
このように消費生活の基盤や行政に対する信頼が大きく揺らぐ中で、創設された新たな枠組みの中で行われる消費者政策については、消費者庁はもとより、以下に掲げる各主体がそれぞれの役割を果たすとともにそれぞれが適切に協力することによって、消費者の立場に立って他の行政機関の個別政策を含めた基本的な政策の推進に万全を期することが求められています。

(中略)

このように、消費者政策は、現行の「消費者基本計画」の最終年度における消費者庁と消費者委員会の創設を契機として、新たに大きな歩みを進めることとなりました。政府は、このような新たなステージ(段階)に入った消費者政策について、消費者基本法の基本理念にのっとり、平成22 年度から平成26 年度までの5年間を対象とする新たな「消費者基本計画」をここに定め、政府を挙げた消費者政策の計画的・一体的な推進に取り組んでまいります。
なお、高度情報通信社会や国際化など経済社会の進展、高齢化の一層の進行など消費者を取り巻く環境は刻々と変わります。こうした状況変化に柔軟に対応していくために、この「消費者基本計画」は、毎年度行う検証・評価・監視の中で、常に状況の変化を把握し、適切に見直しを行うこととします。

第2 消費者政策の基本的方向
消費者基本法は、消費者政策の推進は、「消費者の権利の尊重」と「消費者の自立の支援」を基本とするとともに、高度情報通信社会の進展、消費生活の国際化の進展、環境の保全などに配慮して行われなければならないことを定めています。
また、国会における消費者庁等設置関連法案の審議において、地方公共団体の消費者行政の重要性とこれに対する国の支援の必要性が指摘され、このことは関連法案の附則や審議における附帯決議においても示されています。
政府としては、消費者基本法の規定や、関連法案の国会における審議、関連法案の附則及び附帯決議などを踏まえ、また、高齢者や子ども、障害者など消費者の年齢その他の特性に配慮するという観点に留意しつつ、この「消費者基本計画」が目指す消費者政策の基本的な枠組みと主な課題及びこれらを踏まえた重点的な取組を、以下のとおり取りまとめました。
なお、取組を進めるに当たり、平成23 年3月の東日本大震災への対応については、分かりやすい情報提供、被害を受けた自治体の支援、被災者の生活再建支援等のうち、消費者の利益の擁護の観点から必要となる各施策を適切に実施してまいります。

1 消費者の権利の尊重と消費者の自立の支援
(1)消費者の安全・安心の確保
消費者の安全と安心を確保するため、政府は、食品を始めとする商品と役務についての必要な基準の整備と確保、安全を害するおそれがある商品と役務に関する情報の収集と提供、事業者による注意喚起、商品の自主的な改修や回収の促進、リスクコミュニケーション1の充実などの必要な施策を講じます。
特に、消費者事故等の情報について、政府は、地方公共団体や関係機関との連携の下、消費者に対する適時かつ適切な提供による消費者の注意の喚起、分析と原因の調査・究明のための体制の充実、事業者等の違法な行為に対する厳正な法執行などの必要な施策を講じます。
また、被害に遭いやすい高齢者や子ども、障害者、妊産婦など消費者の年齢その他の特性に配慮しながら、消費者事故等の再発・拡大防止、未然防止に取り組みます。
とりわけ食の安全・安心の確保については大きく前進していく必要があることから、リスク評価機関2、リスク管理機関3とともに、消費者の立場に立った情報提供、消費者の意見の施策への反映に取り組むなど、消費者庁が司令塔・エンジン役としての役割を発揮します。

(以下省略)