21.次の文章の[   ]の部分に入れるのに最も適切な語句を、下記の語群の中から選び、解答用紙の解答欄にその番号を記入(マーク)しなさい。なお、同一記号には同一語句が入る。

【語 群】

1.再勧誘 2.ネット取引 3.不招請の勧誘 4.金融商品販売法
5.適格性原則 6.証券取引法 7.金融商品取引法 8.錯誤
9.商品先物取引法 10.商品取引所法 11.説明義務 12.実情
13.不法行為 14.適合性原則 15.不実告知禁止 16.特定商取引法
17.断定的判断提供等禁止 18.通信販売 19.情報提供義務 20.希望

問題21[ ア ]~[ コ ]

投資取引のうち、有価証券取引や様々な投資契約、商品以外のデリバティブ取引は[ ア ]とそれを準用する法律で規制され、商品デリバティブ取引は[ イ ]で規制されている。
投資取引の規制の例としては、リスクの大きい商品デリバティブ取引や個人を相手とする店頭デリバティブ取引など、一定の取引は[ ウ ]が禁止されている。そのため、これらの取引では顧客が自発的に選択して注文する[ エ ]が主流となる。FX取引がその例である。
有価証券取引など勧誘が許される取引では、[ オ ]、[ カ ]、[ キ ]などの勧誘ルールが重要である。これを守らない業者は、[ ア ]や[ イ ]により監督上の処分を受けることがあり、同時に民法に規定する[ ク ]となって損害賠償義務を負うことがある。そのほか、[ カ ]、[ キ ]の違反では[ ケ ]により損害賠償義務を負うこともある。
[ オ ]とは顧客の意向と[ コ ]に合わない勧誘をしてはならないという原則である。意向とは契約をする目的、投資方針などと同様の意味であり意思の内容を指し、[ コ ]とは顧客の知識、経験、財産の状況などの客観的なものを指す。[ カ ]とは、情報を持つ業者が顧客に金融商品の重要事項(内容、リスクなど)を伝える義務である。単に、パンフレットを読み上げれば足りるものではなく、目の前の顧客に理解できるように伝えることが必要であり、顧客によってその方法が異なることになる。[ キ ]とは、不確実な事項について、断定的なことを伝えて勧誘してはならないし、確実であると誤解させるような言い回しで勧誘してもいけないということである。

【解説と解答】
語群を分類分け
(法律)4.金融商品販売法 7.金融商品取引法
(法律)9.商品先物取引法 10.商品取引所法
(法律)6.証券取引法 16.特定商取引法
(勧誘)1.再勧誘 3.不招請の勧誘
(原則)5.適格性原則 14.適合性原則
(義務)11.説明義務 19.情報提供義務
(禁止)15.不実告知禁止 17.断定的判断提供等禁止
(取引形態)2.ネット取引 18.通信販売
(その他)8.錯誤 13.不法行為
(その他)12.実情 20.希望

最初の段落の中ほどに「それを準用する法律で規制され」とあるので、アとイは法律名が入ることになります。
その中で「デリバティブ取引」についての2つの法律が示されており、アは商品以外のデリバティブ取引、イは商品のデリバティブ取引となっています。
そしてアは「有価証券取引」とあるので株が対象になると考えると、証券会社が出てくるので、「6.証券取引法」かなと思ってしまいますが、間違いではあり ませんが、実は名前が金融商品取引法に変わっています。変更前の名称を語群に入れるのは意地悪問題のような気がしますが、[ ア ]は「7.金融商品取引法」が正解です。
そして、[ イ ]も「10.商品取引所法」の名称が商品先物取引法に変更され、海外先物法もこお法律に組み入れられ一本化しています。したがって、[ イ ]は「9.商品先物取引法」が正解です。
以上をまとめると、先物取引に関する法律は、現在、「金融商品取引法」と「商品先物取引法」の2つに集約されているということですね。

次の段落は取引の規制についての問題です。ハイリスク商品については事業者の消費者個人への電話などの営業活動が禁止されるようになったことは、こ こ数年のFX取引ブームの問題点として新聞報道もされたところですね。市場が縮小されるとの憶測もありましたが、円相場の活況により、ますます活発になる と共に、ネット取引で手数料も安く、いつでもどこでも取引できることになったというニュースは肌で感じているでしょうか。
ということで、[ ウ ]は「3.不招請の勧誘」[ エ ]は「2.ネット取引」が正解です。

次に、勧誘ルールについての問題です。
[ オ ][ カ ][ キ ]は順不同ではなく、後にかかれている説明にあわせる必要があります。

[ オ ]に関する説明として、顧客の意向と[ コ ]に合わない勧誘はダメということで、[ コ ]は顧客の知識・経験・財力の状況と説明されています。
有名な言葉で「適合性原則」といいます。後段は顧客の知識や財力に合わない契約は顧客がいくら希望してもダメですよということです。
したがって、[ オ ]は「14.適合性原則」[ コ ]は「12.実情」が正解です。

次に[ カ ]についての説明がされていますが、重要事項を伝える義務となっており、素直に[ カ ]は「11.説明義務」が正解です。

3つの最後の[ キ ]は「不確実な事項について断定的に伝えて」とあり、答がそのまま書いているようなもので、[ キ ]は「17.断定的判断提供等禁止」が正解です。

中段に戻って、金融商品についての判例解説では、基本となる商品取引の違反と共に必ず民法の不法行為が出てきます。
民法、損害賠償とくると、「不法行為」は即答になると思います。民法で損害賠償できるのは不法行為と債務不履行であることは既出ですね。
したがって、[ ク ]は「13.不法行為」が正解です。
[ カ ][ キ ]の説明義務や断定的判断提供等禁止に違反すると「損害賠償」、という言葉が出てきましたが不法行為は既に選択したので悩みどころですが、基本のそれ自体を管轄する法律を選択すればよく、消費者向けの法律として定められている「金融商品販売法」により直接的に損害賠償義務を負うことになります。
したがって、[ ケ ]は「4.金融商品販売法」が正解です。

昨年度にまとめたものを再掲します

まず消費生活センター的に金融関係の法律で最も重要なものは2つあります。
金商法、金販法と略して呼ばれるものです。
それは、「金融商品取引法」と「金融商品販売法」です。
この2つの法律から知識を広げていけばいいと思います。
また、法律の性質を考えるときに、事業者向けの法律か(=業法)か消費者向けの法律かを明確に分けておくことです。

証券取引法→題名改正→金融商品取引法
金融先物取引法ほか4法といわれる4つの法律が金融商品取引法に統合

「商品取引所法」の名称が「商品先物取引法」に変更
海外先物法(=海先法=海外商品市場における先物取引の受託等に関する法律)が廃止され「商品先物取引法」に一本化
プロアマ規制、不招請勧誘の禁止

「商品先物取引法」http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S25/S25HO239.html
1月に「商品デリバティブ取引が新しくなります。(経済産業省リーフレット) 」という記事を書きました。
新しい法律として重要であり、今回の問題にも出題されています。
ちなみにその記事の一部を抜粋すると
金融商品の法律である、「金融商品取引法」と「金融商品販売法」の違いを押さえておく必要があります。
「金融商品取引法」は証券取引法の改正法で市場ルールなどについての膨大な量の法律です。
一方、「金融商品販売法」は説明義務違反等について規定している10条だけの法律です。

「金融商品販売法」の特徴として
説明義務、断定的判断提供等の禁止、損害賠償責任等が規定されています。

金融商品販売法(金融商品の販売等に関する法律)
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H12/H12HO101.html

解答一覧

ア→7、イ→9、ウ→3、エ→2、オ→14、カ→11、キ→17、ク→13、ケ→4、コ→12

簡単そうで難しいかもしれませんが、基本をおさえると同時に、解答があちこちとぶので間違いなく転記することも重要です。8割以上を目指したいですね。