製造物責任法は特に大きな変化はありませんので前年度の解説を再掲します。
トピックス的なものとして、こんにゃくゼリーの裁判や小麦せっけんのアレルギー事件を押さえておいてください。
法律の条文自体も全部で5条と非常に短いものですので確実に読み込んでおいてください。
条文自体からの出題が少なくありません。

以下再掲

製造物責任法は消費者問題の歴史の中でも重要な法律です。
問題文中にもありますが、本来、民法では損害賠償を請求するためには①製造物の欠陥と②損害と②過失の存在、という3つの要件が必要でしたが、過失の存在は一般の消費者にとって証明するのは時間も費用も必要で難しいものでした。
製造物責任法はこの3つの要件から過失の存在を外し、①製造物の欠陥と②損害が証明されれば損害が賠償されるという、無過失責任を採用しています。
この法律は1995年(平成7年)7月に施行されました。
もちろん、損害賠償については製造物責任法を使っても、民法をつかっても、どちらでもかまいません。
ハンドブック消費者や国民生活センターのHPに製造物責任法の判例が掲載されています。
思ったより数は少ないです。裁判になる前に解決するからでしょうね。
現場では製造物責任法を使って斡旋することはほとんどありません。
日本ではメーカーが真摯に事故対応する場合が多いからだと思います。

試験問題は、製造物責任法についての一般論や解釈などが出題されています。
どれも、基本的な内容ですので、しっかり勉強しておいてください。
また、この法律の施行当時は論文試験の問題にもなっています。

製造物責任法
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H06/H06HO085.html

国民生活センターHPより
製造物責任法(PL法)による訴訟
http://www.kokusen.go.jp/pl_l/index.html

消費者庁・消費者の窓
製造物責任(PL)法
http://www.consumer.go.jp/kankeihourei/seizoubutsu/index.html

(資料1) 製造物責任法について
1 法の概要
(1)目的
製造物の欠陥により,人の生命,身体又は財産に被害が生じた場合における製造業者等の損害賠償の責任(製造物責任)を定める。
(2)製造物
製造又は加工された動産一般
(3)欠陥(欠陥責任)
製造物が通常有すべき安全性を欠いていること。欠陥判断は製造物の特性,使用形態,引き渡した時期等を総合的に考慮される。
(4)製造物責任
故意又は過失を責任要件とする不法行為(民法第709条)の特則として欠陥を責任要件とする損害賠償責任を規定
(5)責任主体(製造業者等の範囲)
製造業者,輸入業者,製造物にこれらのものとして表示を付した者等2 法の制定
平成6年6月第129回通常国会にて成立し,平成6年法律第85号として,同年7月1日に公布,翌7年7月1日に施行された。