14.次の文章のうち、正しいものには○、誤まっているものには×を、解答用紙の解答欄に記入 (マーク) しなさい。また、誤まっているものには、誤まっている箇所 (1ヵ所) の記号も記入 (マーク) しなさい。

① 特定商取引法(以下、特商法という。)における「通信販売」とは、販売業者等が所定の方法により売買契約等の申込みを受けて行う㋐商品もしくは指定権利の販売または役務の提供であって、電話勧誘販売に該当しないものを意味する。インターネット上の取引も、省令第2条の定める㋑「情報処理の用に供する機器を利用する方法」で申込みを行う取引である。個人がネットオークションを通じて自己所有の商品を販売する場合も、㋒その多寡にかかわらず常に通信販売に該当することになる。
② 連鎖販売業における統括者または勧誘者は、店舗等によらないで連鎖販売業を行う個人との契約の締結について勧誘するに際し、商品の種類・性能や特定負担などについて㋐故意に事実を告げず、または不実のことを告げる行為をしてはならないとされるが、一般連鎖販売業者については、㋑故意に事実を告げないことについての禁止規定はない。これに対し、連鎖販売取引についての契約を締結させるため、人を威迫して困惑させることは㋒統括者・勧誘者のみならず一般連鎖販売業者についても禁止されている

【解説と解答】
いよいよメインの特商法の問題がやってきました。まず、問題文が長いです。読む気がなくなってしまいます。
しかし、意外にも、明らかに不正解と思われるものが含まれていることが少なくないです。すると、ほかの部分が正解かどうか分からなくても、正解を導き出すことができます。
短時間の間にれを判断するセンスがあれば意外に点数を取ることができます。単純なYES/NO形式の設問も少なくありません。
試験時間の半ばを過ぎた時間帯に集中です。


明らかに間違いが含まれています。簡単ですね。
インターネットオークションの個人間取引は通信販売ではありません。
それに気づけば、即答で、㋒が不正解と分かります。
あとの2つは覚えにくいですが条文に出てきます
ちなみに、オークションといっても出品者が事業者であれば通信販売になります。
また、個人であっても販売業者に該当する条件を満たせば事業者になります。
逆説的に考えた方がわかりやすいかもしれません。
ネットでの商品購入は原則として通信販売になるが、個人が掲示板やオークションサイトで所有する物品を廉価で譲渡するのみで反復継続性がなければ、個人間取引で事業者には当たらない、ということです(逐条解説参照)。

特定商取引に関する法律・・・http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S51/S51HO057.html

(定義)
第二条  この章及び第五十八条の四第一項において「訪問販売」とは、次に掲げるものをいう。

2  この章及び第五十八条の五において「通信販売」とは、販売業者又は役務提供事業者が郵便その他の主務省令で定める方法(以下「郵便等」という。)により売買契約又は役務提供契約の申込みを受けて行う商品若しくは指定権利の販売又は役務の提供であつて電話勧誘販売に該当しないものをいう。

特定商取引に関する法律・解説(平成21年版)・・・http://www.no-trouble.go.jp/#1259300931251

2 第2項は、「通信販売」の定義規定である。
(1) 「郵便その他の主務省令で定める方法」
これは、通常、遠隔地者間において契約の申込みが行われる方法を捉えたものであり、省令第2条では、次のとおり定めている。
① 郵便又は信書便
② 電話機、ファクシミリ装置その他の通信機器又は情報処理の用に供する機器を利用する方法
③ 電報
④ 預金又は貯金の口座に対する払込み
「郵便」とは、郵便法(昭和22 年法律第165 号)に規定される「郵便」のことで、これには通常の封書、葉書のほか、現金書留等も含まれる。また、小切手や郵便為替を、書留等の郵便により送付する場合も当然本項の「郵便」に該当する。
「信書便」とは、民間事業者による信書の送達に関する法律(平成14 年法律第99号)第2条第6項に規定する一般信書便事業者若しくは同条第9項に規定する特定信書便事業者による同条第2項に規定する「信書便」のことである。

また、「情報処理の用に供する機器」とはパーソナルコンピューター等であり、パソコン通信やインターネット等により申込みを行うものがこれに当たる。この場合、例えば電子掲示板等において単に自己が所有する物品を廉価で譲渡する旨表示するのみである等反復継続性が認められない広告をした者は本項にいう「販売業者」に該当しないが、例えばインターネット・オークションにおいて新品の同一商品を数ヶ月にわたって多数出品する広告を行う等、営利の意思をもって反復継続して取引を行う意思が広告より客観的に認められる限りにおいては、当該広告をした者は個人であるか法人であるかを問わず「販売業者」に該当する。
なお、インターネット・オークションにおける出品者が「販売業者」に該当するかどうかの考え方については、「インターネット・オークションにおける『販売業者』に係るガイドライン」を参照されたい。

インターネット・オークションにおける『販売業者』に係るガイドライン
http://www.meti.go.jp/policy/economy/consumer/consumer/tokutei/pdf/auctionguideline.pdf


統括者、勧誘者、一般連鎖販売業者と3つの主体があるのでややこしいですが、「統括者、勧誘者」と「一般連鎖販売業者」とに大きく分けられます。
基本的に「統括者、勧誘者」が一番悪質だということで、そそのかされてなった「一般連鎖販売業者」はゆるくなっているということでしょうね。
条文にもあるとおり、前者は不実告知のほかに、「故意に事実を告げず」がプラスされています。
なぜそうなるのかは逐条解説を読んでもわかりにくいですが、事実の不告知はその事実をもって違反とはならず、「故意に」なされた場合に違反となり、「一般連鎖販売業者」は他の部分も含め、そこまでの責任は課されていない(一種の被害者かもしれない)ということかもしれませんね。
ということで、②はすべて正解です。

特定商取引に関する法律・・・http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S51/S51HO057.html

第三章 連鎖販売取引
(禁止行為)
第三十四条  統括者又は勧誘者は、その統括者の統括する一連の連鎖販売業に係る連鎖販売取引についての契約(その連鎖販売業に係る商品の販売若しくはそのあつせん又は役務の提供若しくはそのあつせんを店舗その他これに類似する設備(以下「店舗等」という。)によらないで行う個人との契約に限る。以下この条において同じ。)の締結について勧誘をするに際し、又はその連鎖販売業に係る連鎖販売取引についての契約の解除を妨げるため、次の事項につき、故意に事実を告げず、又は不実のことを告げる行為をしてはならない
一  商品(施設を利用し及び役務の提供を受ける権利を除く。)の種類及びその性能若しくは品質又は施設を利用し若しくは役務の提供を受ける権利若しくは役務の種類及びこれらの内容その他これらに類するものとして主務省令で定める事項
二  当該連鎖販売取引に伴う特定負担に関する事項
三  当該契約の解除に関する事項(第四十条第一項から第三項まで及び第四十条の二第一項から第五項までの規定に関する事項を含む。)
四  その連鎖販売業に係る特定利益に関する事項
五  前各号に掲げるもののほか、その連鎖販売業に関する事項であつて、連鎖販売取引の相手方の判断に影響を及ぼすこととなる重要なもの
2  一般連鎖販売業者は、その統括者の統括する一連の連鎖販売業に係る連鎖販売取引についての契約の締結について勧誘をするに際し、又はその連鎖販売業に係る連鎖販売取引についての契約の解除を妨げるため、前項各号の事項につき、不実のことを告げる行為をしてはならない
3  統括者、勧誘者又は一般連鎖販売業者は、その統括者の統括する一連の連鎖販売業に係る連鎖販売取引についての契約を締結させ、又はその連鎖販売業に係る連鎖販売取引についての契約の解除を妨げるため、人を威迫して困惑させてはならない
4  統括者、勧誘者又は一般連鎖販売業者は、特定負担を伴う取引についての契約の締結について勧誘をするためのものであることを告げずに営業所、代理店その他の主務省令で定める場所以外の場所において呼び止めて同行させることその他政令で定める方法により誘引した者に対し、公衆の出入りする場所以外の場所において、当該契約の締結について勧誘をしてはならない。

解答一覧

①→×㋒、②→○