11.次の文章の[   ]の部分に入れるのに最も適切な語句を、下記の語群の中から選び、解答用紙の解答欄にその番号を記入(マーク)しなさい。なお、同一記号には同一語句が入る。

【語 群】

1.簡易裁判所 2.主要な事実 3.任意的 4.判決 5.調停 6.土地管轄  7.訴訟指揮権
8.依頼者 9.職権探知主義 10.あっせん 11.客観的な事実 12.了承 13.処分権主義
14.適正手続の保障 15.職分管轄 16.地方裁判所 17.決定 18.敗訴者 19.自白 20.強制的

問題11 (前半部分)[ ア ]~[ オ ]

貸金返還請求、交通事故による損害賠償請求等の民事の紛争は、訴訟、仲裁、[ ア ]、和解(示談)、という手続によって解決することができる。[ ア ]では、相手方の[ ア ]期日への正当な理由がない不出頭に対しては過料の制裁があるものの、欠席者があると手続は進行しないうえ、相手方には合意するか否かの自由がある。これに対し、民事訴訟は[ イ ]な手続であり、被告とされた者は、被告となることを拒絶することはできず、第1回口頭弁論期日に答弁書を提出せずに欠席すると、原告の主張を[ ウ ]したものとみなされ、敗訴判決を受けることがある。2回目以降の期日を欠席したときにも手続を進められてしまうこともある。
[ ア ]の申立て・訴訟の提起は、原則として被告の住所地を管轄する裁判所に対して行う。これを[ エ ]という。
高度な法的専門性を要求される民事訴訟においても、必ずしも弁護士等の訴訟代理人に事件の処理を委任しなければならないということはなく、弁護士報酬が原則[ オ ]の負担となるものでもない。

【解説と解答】

語群をグループ分けします
1.簡易裁判所 16.地方裁判所
2.主要な事実 11.客観的な事実
3.任意的 20.強制的
9.職権探知主義 13.処分権主義
8.依頼者 18.敗訴者
5.調停 10.あっせん
6.土地管轄 15.職分管轄
12.了承 19.自白
4.判決 17.決定
7.訴訟指揮権
14.適正手続の保障

民事紛争の解決方法には「裁判による解決」と「話し合いによる解決」とがあります。
「話し合いによる解決」には、
①「私法上(民法上)の和解」・・・民法上の和解契約(民法695・696条)、ADRもこの一種、示談ともいう、、裁判所は関与しない、合意の内容を強制するためには裁判上の和解が必要
②「裁判上の和解」・・・裁判官の前で当事者双方が合意する。内容が調書に記載されると確定判決と同じ効果がある、裁判所が関与する、訴え提起前の和解と訴訟上の和解がある
③「調停」・・・当事者が裁判所で話し合って合意し自主的に実行する。自主的にといっても調停委員会によって行われ、合意内容が調停長所に記載されると判決と同じ効果がある。

民法・・・http://law.e-gov.go.jp/htmldata/M29/M29HO089.html

第十四節 和解
(和解)
第六百九十五条  和解は、当事者が互いに譲歩をしてその間に存する争いをやめることを約することによって、その効力を生ずる。
(和解の効力)
第六百九十六条  当事者の一方が和解によって争いの目的である権利を有するものと認められ、又は相手方がこれを有しないものと認められた場合において、その当事者の一方が従来その権利を有していなかった旨の確証又は相手方がこれを有していた旨の確証が得られたときは、その権利は、和解によってその当事者の一方に移転し、又は消滅したものとする。

民事紛争の種類には裁判による解決と話し合いによる解決があります。話し合いには和解と調停があります。仲裁は第三者によるADRの一種です。
したがって、[ ア ]は「5.調停」となります。「10.あっせん」は和解の一種です。
話し合いには応じるかどうかは自由(任意)となっていますが、調停とは違い、裁判の場合は応じるべき強制力があります。もっとも、無視して裁判に応じないという選択肢もありますが、口頭弁論に答弁書を出さないなど何もしなければ自白したものとみなされ、相手側の訴えがそのまま認められ確定判決が出されてしまいます。一旦確定すれば後から覆すことは出来ません。ちなみに、事実に争いがないときに、何も言わなかったら「自白」となりますが、自ら相手の言い分を認めた場合は「認諾」といいます。
ということで、[ イ ]は「20.強制的」が、[ ウ ]は「19.自白」となります。

調停の訴えは被告の住所地を管轄する裁判所で行います。
語群の中で該当しそうなのは1つだけですので、[ エ ]は「6.土地管轄」となります。
管轄とは裁判所に対する裁判権の分配のことをいいます。法廷管轄(職分管轄・事物管轄)や裁判所の担当区域を定めた土地管轄、合意管轄などがあります。
ちなみに、「15.職分管轄」というのは、第一審はこの裁判所というように、どの裁判所にどんな種類の裁判を割り当てて役割を持たせるかということをいいます。

民事調停法・・・http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S26/S26HO222.html

(管轄)
第三条  調停事件は、特別の定がある場合を除いて、相手方の住所、居所、営業所若しくは事務所の所在地を管轄する簡易裁判所又は当事者が合意で定める地方裁判所若しくは簡易裁判所の管轄とする。

次の設問の段落だけ問題の流れからはみ出ており、問題の趣旨が分かりにくいです。
裁判では必ず弁護士に依頼しなければならないということはありませんが、高度に法的専門性を要求される民事訴訟では専門家の必要性は不可欠です。弁護士費用を用意することができない人には公的扶助制度があります。
また、敗訴すると裁判に要した費用を負担することになりますが、相手方の弁 護士報酬費用までは含まれておりません。
ただし、2004年3月に「敗訴した場合の弁護士報酬は敗訴者負担」が国レベルで検討され、法案が提出されましたが、医療事故のように敗 訴した場合の負担が大きくなれば、訴えることに萎縮してしまうことにもなりかねず、強い反対により導入されませんでした。
ということで、[ オ ]は「18.敗訴者」となります。

解答一覧

ア→5、イ→20、ウ→19、エ→6、オ→18