6.次の文章のうち、正しいものには○、誤まっているものには×を、解答用紙の解答欄に記入 (マーク) しなさい。また、誤まっているものには、誤まっている箇所 (1ヵ所) の記号も記入 (マーク) しなさい。

⑨ ビタミンCは、㋐酸化防止剤として使用すると食品添加物としての表示が必要だが、㋑栄養強化の目的で使用する場合には食品添加物としての表示は省略できるとされている。
⑩ 葉酸を含む栄養機能食品は、㋐国への許可申請や届出は必要なく企業の責任で「二分脊椎などの神経管閉鎖障害を持つ子どもが生まれるリスクを低減するかもしれません。」と表示できる。なお、㋒1日の摂取目安量を守るなどの注意喚起表示も必要である

【解説と解答】

食品添加物に関しての一般ルールを確認しておいてください。
ビタミンCの表示は、飲み物で「酸化防止剤(ビタミンC)」として原材料名の欄で目にしたことがあると思います。
「L-アスコルビン酸」になっている場合もありますが、「ビタミンC」のことです。
表示が省略できる場合についての設問があるので、やはり知識力が必要です。
食品添加物の一般的な表示ルールについて消費者庁のページでまとめられています。
消費者庁
ホーム > 食品表示課 > 食品添加物表示に関する情報
http://www.caa.go.jp/foods/index11.html
食品添加物表示について
食品添加物表示について[PDF:213KB]
http://www.caa.go.jp/foods/pdf/syokuhin496.pdf

添加物表示について

原則
使用した全ての食品添加物を「物質名」(名称別名、簡略名、類別名も可)で食品に表示する

添加物表示の例外
一括名で表示可・・・イーストフード、ガムベース、かんすい、酵素、光沢剤、香料、酸味料、調味料、豆腐用凝固剤、苦味料、乳化剤、pH調整剤、膨脹剤、軟化剤
→複数の組合せで効果を発揮することが多く、個々の成分まで全てを表示する必要性が低いと考えられる添加物や、食品中にも常在する成分であるため、一括名で表示しても、表示の目的を達成できるために認められている。ただし、通知において列挙した添加物を、示した定義にかなう用途で用いた場合に限る。
例:飲み下さないガムベース、通常は多くの組み合わせで使用され添加量が微量である香料、アミノ酸のように食品中にも常在成分として存在するもの等
用途名も併記・・・甘味料、着色料、保存料、増粘剤、酸化防止剤、発色剤、漂白剤、防かび剤
→消費者の関心が高い添加物について、使用目的や効果を表示することで、消費者の理解を得やすいと考えられるものは、用途名を併記する。
例:甘味料(サッカリンNa)、着色料(赤色3号)、保存料(ソルビン酸)
表示免除
加工助剤、キャリーオーバー、栄養強化剤
→最終食品に残存していない食品添加物や、残存してもその量が少ないため最終食品に効果を発揮せず、期待もされていない食品添加物については、表示が免除される。

ということで、⑨はすべて正解です。


いわゆる「健康食品」といわれるものの制度について確認しておく必要があります。
厚生労働省
ホーム > 政策について > 分野別の政策一覧 > 健康・医療 > 食品 >「健康食品」のホームページ
http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/hokenkinou/index.html

「健康食品」とは
健康食品と呼ばれるものについては、法律上の定義は無く、広く健康の保持増進に資する食品として販売・利用されるもの全般を指しているものです。
そのうち、国の制度としては、国が定めた安全性や有効性に関する基準等を満たした「保健機能食品制度」があります。
保健機能食品制度は、いわゆる健康食品のうち、一定の条件を満たした食品を「保健機能食品」と称することを認める表示の制度です。
「保健機能食品」=「特定保健用食品(個別許可型)」+「栄養機能食品(規格基準型)」

栄養機能食品で「葉酸」は頻出問題です。

消費者庁HP
ホーム > 食品表示課 > 健康や栄養に関する表示の制度について
http://www.caa.go.jp/foods/index4.html#m04

健康や栄養に関する表示の制度について

食品において健康や栄養に関する表示を行える制度は、以下の通りです。
・栄養成分表示・・・栄養成分の量や熱量等の表示をする場合の基準(健康増進法第31条)
栄養機能食品・・・規格基準に適合すれば許可申請や届出等は不要(健康増進法第31条)
・特定保健用食品(トクホ)・・・許可制(健康増進法第26条)
・特別用途食品・・・許可制(健康増進法第26条)
・虚偽・誇大広告等の禁止・・・健康の保持増進の効果等に関する虚偽又は誇大な広告の禁止(健康増進法第32条の2)

栄養機能食品とは

栄養成分(ビタミン・ミネラル)の補給のために利用される食品で、栄養成分の機能を表示するものをいいます。

栄養機能食品制度について
栄養機能食品は、栄養成分の機能の表示をして販売される食品です。栄養機能食品として販売するためには、一日当たりの摂取目安量に含まれる当該栄養成分量が定められた上・下限値の範囲内にある必要があるほか、栄養機能表示だけでなく注意喚起表示等も表示する必要があります

表示に当たっての留意点
栄養機能食品の表示に当たっては、法令で表示が義務づけられている事項及び表示が禁止されている事項に注意してください。
特に留意が必要なものは以下のとおりです。
・栄養機能食品の規格基準が定められている栄養成分以外の成分の機能の表示や特定の保健の用途の表示をしてはならないこと
(例)ダイエットできます、疲れ目の方に
・「栄養機能食品(ビタミンC)」等、栄養機能表示をする栄養成分の名称を「栄養機能食品」の表示に続けて表示すること
・消費者庁長官が個別に審査等をしているかのような表示をしないこと
(例)消費者庁長官認定規格基準適合

葉酸

1日当たりの摂取目安量に含まれる栄養成分量
下限値60 μg
上限値200 μg
栄養機能表示
葉酸は、赤血球の形成を助ける栄養素です。
葉酸は、胎児の正常な発育に寄与する栄養素です。
注意喚起表示
本品は、多量摂取により疾病が治癒したり、より健康が増進するものではありません。1日の摂取目安量を守ってください。
葉酸は、胎児の正常な発育に寄与する栄養素ですが、多量摂取により胎児の発育が良くなるものではありません。

一方、栄養機能食品と同時に覚えておかなければならないのが、特定保健用食品です

ホーム > 食品表示課 > 健康や栄養に関する表示の制度について
http://www.caa.go.jp/foods/index4.html#m04
特定保健用食品(トクホ) 許可制(健康増進法第26条)
特定保健用食品とは[PDF:140KB]
http://www.caa.go.jp/foods/pdf/syokuhin86.pdf

特定保健用食品

からだの生理学的機能などに影響を与える保健機能成分を含む食品で、血圧、血中のコレステロールなどを正常に保つことを助けたり、おなかの調子を整えたりするのに役立つ、などの特定の保健の用途に資する旨を表示するものをいいます。

特定保健用食品制度について
特定保健用食品(条件付き特定保健用食品を含む。)は、食品の持つ特定の保健の用途を表示して販売される食品です。特定保健用食品として販売するためには、製品ごとに食品の有効性や安全性について審査を受け、表示について国の許可を受ける必要があります。特定保健用食品及び条件付き特定保健用食品には、許可マークが付されています。

特定保健用食品の区分
特定保健用食品
健康増進法第26条第1項の許可又は同法第29条第1項の承認を受けて、食生活において特定の保健の目的で摂取をする者に対し、その摂取により当該保健の目的が期待できる旨の表示をする食品
・特定保健用食品(疾病リスク低減表示)
関与成分の疾病リスク低減効果が医学的・栄養学的に確立されている場合、疾病リスク低減表示を認める特定保健用食品
・特定保健用食品(規格基準型)
特定保健用食品としての許可実績が十分であるなど科学的根拠が蓄積されている関与成分について規格基準を定め、消費者委員会の個別審査なく、事務局において規格基準に適合するか否かの審査を行い許可する特定保健用食品
・条件付特定保健用食品
特定保健用食品の審査で要求している有効性の科学的根拠のレベルには届かないものの、一定の有効性が確認される食品を、限定的な科学的根拠である旨の表示をすることを条件として、許可対象と認める。許可表示:「○○を含んでおり、根拠は必ずしも確立されていませんが、△△に適している可能性がある食品です。」

疾病リスク低減表示について

疾病リスク低減表示を認めるもの

カルシウム(食品添加物公定書等に定められたもの又は食品等として人が摂取してきた経験が十分に存在するものに由来するもの)
1日摂取目安量:300mg~700mg
(特定の保健の用途に係る表示)この食品はカルシウムを豊富に含みます。日頃の運動と適切な量のカルシウムを含む健康的な食事は、若い女性が健全な骨の健康を維持し、歳をとってからの骨粗鬆症になるリスクを低減するかもしれません。
(摂取をする上での注意事項)一般に疾病は様々な要因に起因するものであり、カルシウムを過剰に摂取しても骨粗鬆症になるリスクがなくなるわけではありません。

葉酸(プテロイルモノグルタミン酸)
1日摂取目安量:400μg~1000μg
(特定の保健の用途に係る表示)この食品は葉酸を豊富に含みます。適切な量の葉酸を含む健康的な食事は、女性にとって、二分脊椎などの神経管閉鎖障害を持つ子どもが生まれるリスクを低減するかもしれません
(摂取をする上での注意事項)一般に疾病は様々な要因に起因するものであり、葉酸を過剰に摂取しても神経管閉鎖障害を持つ子どもが生まれるリスクがなくなるわけではありません。

同じ葉酸でもトクホになるものと栄養機能食品になるものがあります。問題のリスク低減表示はトクホのものです。したがって、⑩は㋑が不正解です。

解答一覧

⑨→○、⑩→×㋑

食品に関する問題は細かい知識が問われるので、どちらかというと難問です。6-7割を目標にしましょう。