1.次の文章のうち、正しいものには○、誤まっているものには×を、解答用紙の解答欄に記入 (マーク) しなさい。また、誤まっているものには、誤まっている箇所 (1ヵ所) の記号も記入 (マーク) しなさい。

⑨消費者庁は、㋐消費者安全法、㋑金融商品取引法、㋒不当景品類及び不当防止表示法(景品表示法)、㋓個人情報の保護に関する法律(個人情報保護法)不当景品類及び不当防止表示法(景品表示法)について所管している。
⑩消費者安全法により、都道府県は㋐消費生活センターを設置しなければならないとされており、㋑市町村は設置するように努めなければならないとされている。また、都道府県は㋒苦情処理委員会も設置しなければならないとされている

【解説と解答】

消費者庁が設置されるにあたって移管された法律が29本あります。この移管により消費者庁に権限を集中させ、司令塔としての役割を担うこととなりました。
この問題は多くの法律が消費者庁に移管されたということがポイントだよと示しているような気がします。29本すべて覚えろとは言いませんが、大体分かると思います。この法律の移管に際しては、消費者庁関連3法のうちの「消費者庁設置法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律」で定められています。
金融商品取引法は金融関係の事業者への規制法であり、所管していません。ちなみに、金融商品の消費者関係の法律である金融商品販売法は消費者庁が所管しています。そのほかの法律は消費者庁が所管であることは分かると思います。
業法の中で、賃金業法・割賦販売法・宅建業法・旅行業法は消費者庁が所管しています(企画立案は共管、登録・免許、検査、処分は各省庁が行うが、消費者庁は処分について勧告権を持ち、そのための検査権限を持つ。また、処分について事前協議を受ける。)
それぞれの法律の移管の移管の理由については法律策定時にいくつか解説されていましたので一つを紹介します。
消費者庁関連3法案のポイントについて
http://www8.cao.go.jp/hyouka/dokuritsu/bunkakai/seikatsu19th/shiryou-s1-1.pdf

したがって、⑨は㋑が不正解です。正解するのは難しいかもしれませんね

消費者庁が所管する法律

不当景品類及び不当表示防止法【公正取引委員会】
農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律(JAS法)【農林水産省】
食品衛生法【厚生労働省】
健康増進法【厚生労働省】
家庭用品品質表示法【経済産業省】
住宅の品質確保の促進等に関する法律【国土交通省】
特定商品等の預託等取引契約に関する法律【経済産業省】
特定商取引に関する法律【経済産業省】
特定電子メールの送信の適正化等に関する法律【総務省】
貸金業法【金融庁】
割賦販売法【経済産業省】
宅地建物取引業法【国土交通省】
旅行業法【国土交通省】
食品安全基本法【内閣府】
消費生活用製品安全法【経済産業省】
有害物質を含有する家庭用品の規制に関する法律【厚生労働省】
国民生活安定緊急措置法【内閣府、物資所管省庁】
消費者基本法【内閣府】
消費者契約法【内閣府】
個人情報の保護に関する法律【内閣府】
無限連鎖講の防止に関する法律【内閣府、警察庁】
電子消費者契約及び電子承諾通知に関する民法の特例に関する法律【内閣府、経済産業省】
金融商品の販売等に関する法律【金融庁】
出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律【金融庁、法務省】
生活関連物資等の買占め及び売惜しみに対する緊急措置に関する法律【内閣府、物資所管省庁】
物価統制令【内閣府、物資所管省庁】
独立行政法人国民生活センター法【内閣府】
製造物責任法【内閣府】
公益通報者保護法【内閣府】

 


消費者安全法の問題です。消費生活センターの設置は都道府県は義務、市町村は努力義務というのは基本中の基本です。なかなか市町村全てに設置とまではいっておらず、そのために地方消費者行政活性化基金(2009-2012年度)を創設して設置を促しています。

消費者安全法・・・http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H21/H21HO050.html

第二節 消費生活センターの設置等
(消費生活センターの設置) ※一部省略しています
第十条  都道府県は、第八条第一項各号に掲げる事務を行うため、次に掲げる要件に該当する施設又は機関を設置しなければならない
2  市町村は、必要に応じ、第八条第二項各号に掲げる事務を行うため、次に掲げる要件に該当する施設又は機関を設置するよう努めなければならない
3  都道府県知事又は市町村長は、第一項又は前項の施設又は機関(以下「消費生活センター」という。)を設置したときは、遅滞なく、その名称及び住所その他内閣府令で定める事項を公示しなければならない。

問題となるのは「苦情処理委員会」ですが、消費者安全法には規定されていませんし、設置しなければならないという法律も見当たらないようです。
消費者基本法では紛争処理について努力規定があります。

消費者基本法・・・http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S43/S43HO078.html

(苦情処理及び紛争解決の促進)
第十九条  地方公共団体は、商品及び役務に関し事業者と消費者との間に生じた苦情が専門的知見に基づいて適切かつ迅速に処理されるようにするため、苦情の処理のあつせん等に努めなければならない。この場合において、都道府県は、市町村(特別区を含む。)との連携を図りつつ、主として高度の専門性又は広域の見地への配慮を必要とする苦情の処理のあつせん等を行うものとするとともに、多様な苦情に柔軟かつ弾力的に対応するよう努めなければならない。
2  国及び都道府県は、商品及び役務に関し事業者と消費者との間に生じた苦情が専門的知見に基づいて適切かつ迅速に処理されるようにするため、人材の確保及び資質の向上その他の必要な施策(都道府県にあつては、前項に規定するものを除く。)を講ずるよう努めなければならない。
3  国及び都道府県は、商品及び役務に関し事業者と消費者との間に生じた紛争が専門的知見に基づいて適切かつ迅速に解決されるようにするために必要な施策を講ずるよう努めなければならない

各都道府県や市町村では条例等により。苦情処理や紛争に関する機能を定めているところが多く、ADR機能を果たしています。
(参考)国民生活センターHP
http://www.kokusen.go.jp/
トップページ > 通報/相談窓口・紛争解決 > ADR(裁判外紛争解決手続)の紹介 > リンク集 > 消費者被害救済委員会等
http://www.kokusen.go.jp/adr/jorei_chiho.html
消費者被害救済委員会等
地方公共団体の消費者被害救済委員会等とその設置根拠となる条例のリンク集です。

したがって、⑩は㋒が不正解です。

解答一覧

⑨→×㋑、⑩→×㋒

問題1は8問以上の正解が欲しいですね。